同じ手間だから!とどうしてもたくさん作ってしまう。
カレーやシチューは3日続き、けんちん汁は4日、おでんに至っては5日間食べるハメになる。
熟成してどんどん美味しくなるが同時に飽きる。
1kg蒸し麺でやるチョモランマ焼きそばは2日で成敗できる。
ナイアガラ瀑布級の汗を流して喰らう出来たて熱々がうまい。
太めの麺の芯までソースが染み込んだ翌日は、小学校時代の給食を彷彿させて懐かしさにむせび泣く。
バリエーションは色々。
基本は豚バラ、ぶなしめじ、キャベツ、もやし。
派生形として豚挽肉、鶏モモ、ベーコン、玉葱、長ねぎ、ピーマン、ししとう、ブラックタイガー、スルメイカ、刺身用ホタテ、ホタルイカ、カキ・・・。
オタフク焼きそばソースが最も多い。甘いのでウスターを少々足す。
甘さ抑えめカントリーハーベスト焼きそばソース1.8リットルボトルも活躍した。
醤油と酒だけの時もあった。
まだやってないのが大好きなあぶらげ。長ねぎと合わせたい。
普段あまり食べないゴーヤも豚バラと共演させよう。
チョモランマ焼きそばは特大フライパンを使うので洗うのが大変。エベレスト焼きそばも同様。
回数を減らすため、いいとこ取りの“あぶらげゴーヤ”焼きそばを思いついた。すばらしい着想だ。
今はもう9月24日。ゴーヤの季節は過ぎ去った。
代わりにししとうを使う。高知産。
顔見知り男店員が向こうのレジから声を上げる。
「おはようございま~す!長袖になりましたねぇ~!」
「うん、流石に寒くなったよ!」
オレのレジSちゃんは大爆笑。
「オレもついに長袖になった!」
「あははははははは!」
あぶらげ2袋10枚を切り、ししとう31本のヘタを落とす。
45cm巨大フライパンにサラダ油を敷き麺を焼く。良い具合だ。一旦皿に取る。
油を足し、あぶらげ&ししとうを炒める。あぶらげが油を吸う。良いカンジの焦げ目。
麺を合流。
オタフク焼きそばソース1本とブルドックウスターソース少々。じゃ~~~っ。
餃子返しを左手に持ち、右手に菜箸。持ち上げながら混ぜる。じゃ~じゃ~良い音。完成。
34cm青磁皿。おやっ、チョモランマにならない。あぶらげが萎んだから?
喰らう。さぁどうか?
「・・・」
しっとり感がない。旨味がない。ただの麺とソースの炒め物だ。しょっぱい。
大好きなあぶらげ。味にぜんぜん貢献してない。
ししとうは単なる彩りに過ぎない。
焦げた麺だけはバリッとうまい。
煮物にものすごい威力を発揮するあぶらげ。炒め物には力を出せなかった。
ラグビー選手はサッカー選手ではない。
相撲取りはプロレスラーじゃない。
卓球選手は庭球選手とは違う。
キャデラックはベンツではない。
オレはあぶらげに“お門違い”をしてしまった。
だから“異端児あぶらげ焼きそば”が美味しくないのはキミのせいじゃない。
起用の仕方を誤ったワタシの責任だ。(2015.9.24)