masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

魅力ある職場づくりに必要なこと、不要なこと


講演依頼の相談をいただく際に、講演テーマについては主催者の希望に沿うように努めている。

僕の場合、特養の相談員(勤め始めた当時は生活指導員という職名だったが・・・。)から始まり、通所介護の相談員、施設の介護支援専門員や居宅介護支援事業所の介護支援専門員、そして特養の総合施設長などを歴任してきたので、その実務経験に即したお話ができ、その守備範囲もかなり広いと思う。

そんななか、愛媛県老施協からは、ここ4〜5年続けて講演依頼を受けていた。今までは職員対象の講演であったが、今年度は管理職員研修会ということで、それも7月と8月に分けて、2回同じ内容の研修を行うことになった。(参照:masaの講演予定。)

ということは愛媛県老施協に加入している事業者の管理者は、その2回のうちどちらかに参加することが前提となっているかもしれない。僕の知識と経験が、それらの方々に受け入れられるのか期待と不安の入り混じった気持ちにさせられている。

この研修の対象者は、愛媛県老施協に加入している事業者の、施設長、管理者、人材育成担当者、リーダー職員等である。

研修の目的としては、「管理職が“魅力ある職場づくり”や“ストレスマネジメント”等の知識や技術を身につけ、職員がいきいきと働くことができる環境整備と、離職防止等による人材確保等を図ること。」とされている。

そのために今回いただいたテーマは下記の3つである。(※つまり1回の研修で、3講義を行う予定になっている。)

10:30〜12:00 講義 崙きがいのある魅力的な職場づくり」
13:00〜14:30 講義◆嵶タΔ鯔匹絢茲蠢箸漾
14:40〜15:30 講義「管理職のストレスマネジメント」


ここで語るべき内容としていくつかのキーワードもいただいており、それは下記のようなものである。

・安全衛生管理(メンタルヘルス、職場の安全管理等)
・労務管理(労働時間、就業条件等)
・管理職に求められる役割
・介護の魅力をアピールする取り組み
・人材育成
・人事考課
・他職種間との相互連携 ・職業理念
・ストレスマネジメント


講義時間の関係上、すべてのキーワードに及ぶ説明はできないかもしれないが、できるだけ要望に沿った講演内容にしようと、昨日から本格的にスライドづくりに取り掛かっているところだ。ただ僕はあくまで実務に即した本年の講義しかしないので、教科書的な内容にはならないので、その点、研修主催者の方の意図から外れないかと、我ながら心配になることもある。

例えばキーワードの一つである、「人事考課」についていえば、本来は職員のモチベーションアップを図り、就業意欲につながる人事考課のあり方をレクチャーせねばならないのだろうが、経営コンサルタント的な講義内容にしたくない僕としては、そもそも人事考課が介護事業者に必要なのかという問いかけから始めたくなるのである。

本来の介護サービスの場面では、人相手のサービスであるがゆえに「教科書ではそうなっているけど、〇〇さんの表情を見た?どこか嫌がっていたよね、それって何故だかわかる?」というような人の感情にアプローチするアドバイスや評価が不可欠である。ところが、このように細かく評価を下すことを人事考課による評価は奪っていく。成果主義で「客観的」に項目を埋め数字で評価をつけていく方が楽だからである。

その結果、動作の評価はできても行為そのものの評価はしなくなるから、業務としてできていても、人の心に暖かにアプローチする支援者を育てる結果にはならないことが多い。

そういう意味では、人事考課と成果報酬は介護サービスの質を下げこそすれ、上げることはないし、その中で職員間の評価されるストレスと、評価するストレスがぶつかり合う結果を生み、介護職員のモチベーションは下がり、他業種への人材流出を促進こそすれ、減らすことはなくなるという結果になることも多い。

そのため講義に使うスライドの一つがこんな内容になっている。
人事考課
人事考課は上司の人を育てるという行為を自然に奪って、職員のモチベーションをますます下げる結果を生むことがあるのだ。

その理由は、成果主義は評価が難しいと誤解されるが、実は逆に簡単だからだ。評価の書式などコンサルタント会社に、お金を払って依頼すれば簡単に手渡してくれる。評価者たる上司は、その書式の内容を埋めるだけで機械的に点数をつけていけばよいのだから何の判断も下さなくてよくなる。

しかし優秀な人材は若いうちにいろいろな経験を積まなければ育たない。いろんなことに挑戦して失敗を重ねながら成長していくのである。失敗をするのが当たり前なのだから、それをいちいちとがめるのはおかしな話で、経験を積んでいる間の給与は、結果に応じて差をつけるべきではないのである。

成長して責任を取れるようになったら、そこで給料や昇進を結果にリンクさせればよく、かつて日本企業は年功制の下でそうした賃金制度を実行してきたわけである。

スライドに書いているように、人事考課を取り入れる介護事業者が増えている理由は、厳しい介護報酬改定の下で、給与体系の見直しを行う際に、経営コンサルタントを入れて、改革に努めている結果であるが、経営コンサルタントからすれば、人事考課の導入は、システム指南にとどまらず、その運用の教育もセットで受注できるために、大きな収益につながるという一面がある。

よって経営コンサル会社が、人事考課を勧めるのは当然と言えば当然であるのだが、前述したように、そのシステムによって、評価する職員も、評価させる職員も、新たなストレスを抱えるという一面もあることを、経営者や管理者は十分理解した上で、システムを導入の可否を決定し、導入するとしたら、どのようなシステムが良いのかという判断をする必要がある。

そんなことも話してこようかと思っているところだ。その前に、講演スライドを仕上げなければならない。午後から早速、とりかかろうと思う。
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地域包括ケアシステムの真の姿は、一律右ならえ。


先日の記事でもふれたが、9日に政府が「骨太の方針」を閣議決定し、「経済財政運営と改革の基本方針2017 介護関連要旨」を示した。

そこには以下のような内容がかかれている。

・個人・患者本位で最適な健康管理・診療・ケアを提供する基盤として、健康・医療・介護のビッグデータを連結し「保健医療データプラットフォーム」を構築する。また、自立支援などの効果が科学的に裏付けられた介護を実現するため、必要なデータを収集・分析するためのデータベースを構築する。それぞれ2020年度の本格的な運用開始を目指す。

・医療・介護の連携強化に向けて、診療報酬・介護報酬の両面から対応する。自立支援に向けた介護サービス事業者に対するインセンティブ付与のためのアウトカムなどに応じた介護報酬のメリハリ付けや、生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準の緩和やそれに応じた報酬の設定、通所介護などその他の給付の適正化について、関係審議会などで具体的な内容を検討し、2018年度の介護報酬改定で対応する。」


自立支援の結果を測定するためのデータベースは、人の暮らしに潤いを与えられるのだろうか。それとも「潤い」などと表現すること自体が、「非科学的」であるとして否定されるのだろう。

導き出される「科学的根拠」が、全国老施協が介護力向上講習で行っていた、「科学的介護」という崩壊した理論の轍を踏まないことを祈るばかりである。

保険者の権限強化も懸念された方向に向かいつつある。(参照:成立した改正介護保険法はマイナーチェンジではないぞ

・保険者機能の強化に向けた財政的インセンティブ付与の在り方について検討し、早期に具体化を図る。あわせて調整交付金の活用についても検討する。

・1人あたり介護費の地域差の縮減に向けて、個々の自治体の取り組みを「見える化」するとともに、好事例の全国展開を図る。


来年度の診療報酬と介護報酬の同時改定や、介護保険制度改正の目的は、「地域包括ケアシステムの深化。」を目指したものであると言われている。それは限られた財源を有効に活用するために、地域ごとの個別ニーズをあぶりだして、地域事情に応じて、それらのニーズのうち、より必要性の高いものに対して予算を重点配分することが目的とされている。

そうであるにもかかわらず、報酬金という飴は、国が敷いたレールの先にある結果にだけ支払われるもので、しかもそのモデルとして特定県や特定市の取り組みの結果が示されているのだから、ここに地域包括ケアシステムの主役となるべき各市町村の独自性など見いだせない。

それはいうなれば厚労省が管理する和光市方式のケアマネジメントであり、介護の独自性は極めて薄められて、医療にすり寄る介護サービス方式にならざるを得ない。それは介護サービス利用者にとって望ましいサービス像なのだろうか。

マスコミはこぞって、介護保険制度・介護サービスからの卒業を礼賛した報道をしているが、介護保険を卒業させられた人に中には、介護サービスを自費利用という形で継続利用している人が1割程度存在するというデータも存在している。これは結果的に財政論によるサービス抑制にほかならず、自立支援の結果によるものではなく、サービスを使いづらくした結果でしかないのではないだろうか。

同時に介護保険制度からの卒業を目的化することによって、介護認定のゆがみ(調査法・認定審査の状況等)が生じていないのかも検証される必要がある。

未来投資会議が昨年まとめた提言案の中で、「介護保険で提供できるサービスは、入浴や排せつなど、日常生活の支援が中心で高齢者の自立支援につながっていない。」と指摘しているが、このことには大いに異議がある。この考え方は、重度障がいを持ち、自力で日常生活が営むことができない人を、価値の低い存在とみなす恐れさえある。

脳梗塞を繰り返してきた四肢麻痺の人が、栄養管理や食事支援が適切に行われ、入浴や排泄ケアが適切にされて、身辺保清がなされ、皮膚障害がなく、健康を保って暮らせているとしたら、それは自立支援といえないのだろうか。入浴や排せつなど、日常生活の支援を評価しない先には、生活の質を無視する評価軸しか見えず、それはADLからQOLの視点という過去のサービス向上に逆行するものであるといわざるを得ない。 

そもそも自立支援だけが唯一の「国民の福祉の向上。」であるかのような意見にはついていけない。自立を支援することは大事ではあるが、我々が向かい合う利用者の方々にとって、それより先に、「上手に依存する。」ことが必要な方々が数多く存在する。誰かの手を借りるという前提がないと暮らしが成立しない人がたくさんおられる。そういう人々は頑張っていないから駄目だとされ、頑張るために尻を叩けとでもいうのだろうか。どうも違うように思う。

急性期や回復期を過ぎた状態の人に、必要な機能訓練とは、手足を曲げ伸ばしすることでもなく、平行棒につかまって歩くことでもなく、日課活動に参加して他者と交流したり、食事をしっかりとって、適切な排泄支援を受けることであったりするわけである。そうした支援を自立支援ではないと切り捨てる人たちの介護のイメージは、きわめて貧弱・貧困なものであるとしかいえない。こういう人たちが国の高齢者介護施策を決めるのだとしたら、この国の高齢者介護の行く末は、きわめて暗いものにならざるを得ない。
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見知らぬ読者の皆様に感謝を込めて


僕の最新著作本、「介護の誇り」(日総研出版社)を上梓してから早1月以上が過ぎました。

おかげさまで出版前から100冊以上の購入予約をいただいており、出版後もセミナー会場などでたくさんの方にこの本を購入していただいております。ほうとうに感謝の気持ちでいっぱいです。

セミナー会場で本を買ってくださる人には、サインをして直接お渡ししているので、その場でお礼もできるのですが、それ以外の場所で購入していただいている方には、この場で感謝の気持ちを述べるしか方法がありません。本当にありがとうございます。

この本を書店で購入されている人もいるし、インターネットで購入されている方も多いと思います。試しにヤフーで、「介護の誇り 本」で検索すると、たくさんのネットショップがヒットするようになりました。

例えばAmazonでは、先週の金曜日には、在庫が20冊とされていたものが、今の時点では11冊と表示されています。(この数字もすでに変わっているかもしれませんね)。週末に9冊も売れているんですね。楽天ブックスでは、先週は在庫数が表示されていませんでしたが、昨日には在庫1冊のみと表示され、本日は取り寄せと表示が変わっています。早く補充してください。(笑

ということはそれだけの数の本を購入してくださっている誰かがいるということです。どのような方々が僕の本を購入してくださっているのか想像もできませんが、このブログ記事の読者の方で購入しただいた方もいるのかもしれません。どちらにしても僕の書いたものに興味をもっていただき、本屋やネットショップで購入してくださる人が毎日のようにいるということ自体が奇跡的に思えます。本当にありがたい気持ちでいっぱいです。

フェイスブックでつながっている人の中で、僕の本を買って読むところだということを、写真画像付きでお知らせしてくださる方もいます。そんなタイムラインを目にするとうれしい気持ちになると同時に、読んでつまらないと思われたらどうしようと思ったりもします。感想はそれぞれでよいのですが、僕自身はある種の手ごたえを感じながら書き上げた1冊なので、自身をもってお勧めしているところであります。

来月予定されている福岡・尼崎・大阪・松山の講演でも、全会場で本販売とサイン会を予定しています。(参照:masaの講演予定)会場にお越しになる皆様には、是非お手に取ってみていただきたいと思います。

この本の「出版記念セミナー」も企画されています。出版元の日総研出版社の本社・支社のある全国7会場(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡)でセミナーを開催する方向で、今現在企画の真っ最中です。現時点での有力案では、10月21日(土)仙台、10月22日(日)東京を皮切りに、土日の日程で12月までに全国7ケ所を廻る予定で企画を進めております。

出版記念セミナーのテーマは、「感覚麻痺・不適切な介護を見直す!介護保健施設での虐待を発生させない体制作り・見直すべき介護〜ホスピタリティーファーストのススメ〜」が有力ですが、これから最終的に詰めていく予定です。

どちらにしても誇りある人々が、誇りをもって仕事に臨めるための介護を実現する方法論を示す内容となることでしょう。詳細が決まり次第、このブログでも案内したいと思うので、その節はどうぞよろしくお願いします。

マザーテレサはかつて、「人をケアするという職業を、仕事として選んだのではなく、生き方として選んだと思いなさい。」と言いました。対人援助の職業を選んだ僕たちは、まさに生き方として人の暮らしに関わりを持つことを選択していると考え、そこで人に後ろ指をさされない生き方を実践しなければならないと思うのです。他者に関わることで、誰かの人生が幸せなものになる結果を求め、そのことに誇りを抱いてほしいとも思うのです。

そんな願いを込め書き上げた「介護の誇り」は、実現不可能な理想を並べたフィクションではなく、介護実践にとことんこだわった実務書です。介護関係者の皆様は是非一度手に取ってご覧になり、職場で介護を考える議論のきっかけにしていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
新刊・介護の誇り

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ケアマネの犯罪は資格者への信頼を損ねる由々しき問題


2017年6月14日 8時17分付で、 産経新聞 が配信した記事を転載させていただく。リンクを貼ったほうが良いのかもしれないが、数日後にリンク先の記事は消えてしまうために、コピペして転載することをお許しいただきたい。
---------------------------------------------(転載ここから。)
訪問介護で出入りしていた女性宅でキャッシュカードなどを盗み、現金約320万円を引き出したとして、兵庫県警兵庫署は13日、窃盗などの疑いで、神戸市須磨区のケアマネジャー、常陰(つねかげ)珠世容疑者(55)を逮捕した。「預金は頼まれて引き出した」と容疑を否認している。

逮捕容疑は4月18〜26日、同市兵庫区の会社役員の女性宅で通帳2通とキャッシュカード2枚を盗み、銀行から現金約320万円を引き出したとしている。

女性が4月26日に入院した際、カードなどがなくなっているのを親族が発見。探していたところ、5月2日に女性が死亡した後、常陰容疑者が「預かっていた」と返しにきたという。

----------------------------------------------(転載ここまで。)
まったくとんでもないケアマネがいるものである。しかしこのようなことが起きると、何の落ち度もない清廉潔白なケアマネまで影響が及ぶことになる。

いまでも苦々しく思い出すのは、介護保険制度が施行された直後の2001年4月3日に起こった、「和歌山ケアマネ、利用者殺人事件」である。あの事件直後、多くのケアマネが、利用者宅に訪問時に、玄関先から中に入れてもらえないという状況が生じたものだ。

本件は殺人という事件とは異なるが、ケアマネという資格の信頼を揺るがせるという意味では、同じような意味を持つ恐れさえある。

居宅介護支援事業所の介護支援専門員は、居宅介護支援の事業が、指定居宅サービス等の実態を知悉する者により併せて行われることが効果的であるとされる場合もあることに配慮され、他の業務との兼務を認められているために、容疑者は介護支援専門員兼訪問介護員として、2つの立場で利用者支援に携わっていたと思われる。

盗難されたといわれるお金を、容疑者が返しに来たと報道されているが、これはおそらく、遺族が預金通帳がないことに気づいたことを知って、盗難の発覚を恐れて、「預かった」と嘘で逃れようとしたものではないかと想像できる。

このように容疑者は、「預金は頼まれて引き出した」と犯行を否定しているとのことであるが、そもそも介護支援専門員にしても、訪問介護員にしても、預金を預かるという業務はないし、ましてやその預金を引き出すことは許されていない。利用者の預金通帳を持ち、その通帳からお金を引き出した時点で犯行は成立していると言われても仕方がないと思う。ましてや利用者の死後、引き出した預金を自身の手元に置いていたのだから、言い逃れはできないだろう。

こうした犯罪の影響は、お金にまつわる行為にとどまらない。例えば「ケアマネとて人間だから、犯罪者になり得る。」と考えられて、不信感をもって疑って係わる必要がある、と考えられてしまうこと自体が問題で、そのことによって信頼関係を創るという、援助の根底が揺らいでしまうことが大問題なのだ。そのような影響を受けるケアマネが、全国津々浦々にいることだろうと想像し、非常に残念に思う。自分が行った行為とは無関係な場所で、自分の資格や、自分の仕事に不信感を持たれてしまうことは本当に困ったことである。全国のケアマネジャーの皆さんの、憤りの声が聞こえていそうである。

それにしても本件で疑問なことは、預金通帳のお金を、なぜケアマネが引き出すことができたのかということである。暗証番号を聞き出して、キャッシュカードを使ったとしか思えない。なぜなら金融機関の窓口では、本人以外の家族でも、簡単に預金を引き出すことはできないからである。

僕はかつて、母親の成年後見人に任命された経験があるが、息子というだけでは預金は引き出せなかったし、後見人となってその資格で初めて預金管理や、引き出しを行うことができたことを考えると、その取扱いは厳重であったと記憶している。

本件のこの辺りの状況がどうであったのかを知りたいところである。どちらにしても、このような事件が起きた直後であるから、ケアマネに対する風当たりは強くなり、いわれのない非難中傷を浴びることもあるかもしれないが、それにめげずに、黙々と使命を果たしていく以外にないだろう。

全国各地で頑張っている介護支援専門員の皆さんに、改めてエールを送りながら、このような事件が二度と起きないことを願いたいと思う。

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銀の翼を広げて


大学を卒業してから介護施設に職を得て、介護施設での相談援助業務や管理業務を本業としながら、いつのころからか物書きとして、講師として対価を得ることができるようになり、2足も3足もわらじを重ねて履きながら走り続けてきた。

そのような状態に一時的に?終止符を打って、現在、物書き業と講師業をフリーランスの立場で行いながら過ごしている。勿論、近い将来は施設サービスの場で、新たな職を得て活動したいと思っており、声もかけていただいてはいるが、それが具体化するまで、今しばらくは拠点も自宅において、執筆・講演活動を中心に活動していく予定だ。

今までは本業優先のため、全国各地を廻って歩く講演についても土日が中心で、せいぜいそれに月曜か金曜を組み合わせた日程が主だった。仮に水曜日の講演予定で前後に移動日が必要になるとしたら、本業のほうを週のど真ん中である(火・水・木)と休まなければならなくなり、それはなかなか難しかった。

土日月と講演を行うために、週の初めの月曜日に休みをもらっていたその週に、さらに金曜日の予定が入って休まねばならないということも、なかなか難しいことで、やむを得ず講演依頼をお断りすることもあった。

そういえば昨年も、せっかく沖縄からオファーをいただきながら、移動日を入れて平日3日間の日程であったために、休みがどうしても取れずにお断りせざるを得なかった。2度目となる沖縄講演が幻となってしまい、非常に残念であった。

どちらにしても限られた時間の中で、日程調整を行うために、すべての依頼に応えられるわけではなく、日程によっては早い者勝ちということにもなるために、講演予定は2〜3ケ月前から調整することが常であり、半年前や1年前から調整している場合も珍しくない。現に一番先の講演予定は、来年の6月の予定が入っており、これは今年4月ころには既にオファーが入っていたものである。(参照:masaの講演予定・履歴

しかし現在の立場は曜日に関係なく、全国どこでも、いつでも飛んでいくことができる。日程さえ空いておれば、明日の予定を今日決めて飛んでいくことも可能なフットワークの軽い立場でもある。講演依頼がある方は、「あかい花」のホームページに、メルアドなどの連絡先を掲載しているので、是非ご連絡をいただきたい。

僕に講演を依頼してくださる人の動機は様々だが、このブログを読むようになって、そのことがきっかけで講演を依頼してくださる人もいる。

先日6/11に大阪で行った講演受講者の方も、このブログを読んで、僕の考え方に共鳴して講演を聴きに来ていただいた一人で、当日、講演会場で声をかけていただき、是非その方の所属する会の主催講演で話をしてほしいという依頼を受けて、早速日程調整を行い来月予定を入れた。

その週は、水曜日に北海道を経ち、水、木、金と関西に滞在して、金曜日の夕方に松山に飛び、金・土・日と松山に滞在して、日曜日の夜に北海道に戻ってくる予定となっている。本当はもう一日くらい松山に滞在したいところではあるが、月曜日は介護福祉養成校の授業があるために、そのような観光気分は捨てなければならない。

どちらにしても、今までは決して実現できなかった平日の長旅ができるのが、今の自分の立場である。そうなると結構講演を行う現地で時間的余裕ができたりする。そんな場合、空いている時間に声をかけていただければ、職場内研修講師としてお話をすることもできる。その際は、移動費や滞在費が必要なく講演料のみで構わないので、お気軽に声をかけていただきたい。

それというのも僕の実務論は、「現場での取り組みをもとに話して下さるので、大変分かりやすくヒントもたくさん得られま した。 」という声をいただいているのと同時に、「講義すべてをスタッフに伝える事は難しいかもしれませんが、スタッフにぜひ伝えたい内容 と思いました。 」とか、「ほかのスタッフにも直接聞かせたい。」とかいう声が多いからである。

現場を変える動機づけを、スタッフ全員が持つことで、改革のスピードは間違いなくアップする。それは利用者に対するサービスが向上するだけではなく、結果的に高品質のサービスを提供することによって、顧客から洗濯されるサービス事業になるということで、事業経営の安定化にもつながることといえる。そういう現実論をお話しすることができると思っている。

近直では尼崎周辺で、7/12(水)の夕方〜夜にかけてと、翌7/13(木)午前中に時間が空いている。その他、下記の日時で調整が可能ですので、ご用命の方はお気軽にメールで問い合わせください。

・横浜市で、8/5(土)午前中か午後早い時間の講演
・岡山市で、8/5(土)午後からの講演
・岡山市で、8/6(日)17:00〜19:00までくらいの講演
・浜松市で、8/17(木)夕方の講演もしくは8/18(金)午前中の講演
・東京都内で、10/11(水)の午後と10/12(木)の夕方の講演。

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必要な救命治療と不必要な延命医療の線引き(後編)


前編から続く。)高齢者の点滴や経管栄養を、不必要な延命治療のごとく論ずるのは間違っている。

脳梗塞や誤嚥性肺炎など、特定の病気を繰り返している高齢者などの場合でも、治療を試みて状態を改善させようとすることは当然であり、仮のその人が100歳であるからといって、その治療を試みないという判断があってはならない。

状態改善・症状緩和につながる点滴や経管栄養は、必要な治療であり、高齢を理由にしてそれらの行為を否定することは許されない。

そもそも経管栄養と一言で言っても、それはいろいろな状態が考えられ、経口摂取だけでは十分栄養改善ができない場合に、経管栄養で補う方法もあり、それは必要な対応である。場合によっては食事を経口摂取し、薬や水分のみ経管摂取しているという事例も見られる。それは必要な医療行為である。

このように食事の経口摂取ができない人だけが経管栄養を行っているということではなく、高齢者の経管栄養を一律否定するような偏見はあってはならないのである。

しかし一方では、終末期で回復が期待できない状態であるにもかかわらず、点滴や経管栄養で延命を図っているケースがある。その際の点滴や経管栄養が、終末期を生きるためのQOLの改善につながるのなら必要な行為といえるだろうが、我が国の現状からいえば、決してそうではない事例が多々見られる。点滴や経管栄養により、心臓を動かし続ける時間を長くできたとしても、そのことが点滴や経管栄養を施されている人にとって、苦しみの時間を長くしているに過ぎないケースが多々あるのだ。

自然死しようとする人の死を阻害することは、そのまま苦痛を引き延ばすことではないのだろうか。二人の医師の言葉がそれを表している。

・老衰の終末期を迎えた体は、水分や栄養をもはや必要としません。無理に与えることは負担をかけるだけです。苦しめるだけです。(石飛幸三医師著:「平穏死のすすめ」講談社)

・点滴注射の中身はブドウ糖がわずかに入った、スポーツドリンクより薄いミネラルウォーターです。「水だけ与えるから、自分の体を溶かしながら生きろ」というのは、あまりに残酷というものではないでしょうか。(中村仁一医師著:「大往生したけりゃ医療とかかわるな」・幻冬舎新書)


特養や老健で、自然死を阻害する点滴により、足がパンパンに腫れた状態で寝かされている人に、QOLは存在するのだろうか。それは必要な治療行為といえるのだろうか。

経管栄養にしても、それによってQOLが改善できるのであればよいが、苦痛や不快感を増す経管栄養がそこかしこに存在する。そもそも経管栄養によって、すべての対象者の機能状態や生命予後が改善されるというのは神話の世界で、機能状態や生命予後の改善は末期の状況では期待できない。それは自然死を阻害し、苦しみを増す行為にしか過ぎなくなる。

療養病床の一室で、経管栄養によって命をつないでいる人が、痰がつまらないように気管切開され、チューブが入っている状態を想像してほしい。それらの人たちは、意思疎通もできず、起きているのか眠っているのかもわからない状態で、日がな一日ベッド上で寝て過ごしている。しかしそれらの人が、1日数回の気管チューブから痰の吸引のたびに、体を震わせて苦しんでいるのだ。これが生きるということなのだろうか。ここに過度な延命行為は存在しないのだろうか。

これが世界一の長寿国・日本の姿である。この陰の部分を見直す必要があるのではないだろうか。

例えばアルツハイマー型認知症の方の、晩期の摂食障害をどう考えたらよいだろうか。

アルツハイマー型認知症の症状のひとつとして、脳細胞が減って、口や喉の筋肉の動きをコントロールできなくなるためむせやすくなるという症状がみられる。そうなった場合、一時的には食事形態を工夫することでむせないで食べることができるが、しかし症状は確実に進行し、再びむせるようになる。そして口を開けなくなったり、咀嚼せず、いつまでも口の中に食べ物をためたりするようになる。舌の上で食べものをもてあそび、いつまでも呑みこまない人がいる。この場合は経管栄養とする以外、栄養摂取できる方法はなくなる。しかしその状態で経管栄養を施し、年単位で命をつなぐことができたとしても、果たしてそれが求められていることなのであろうか?

この状態は、体が食べ物を必要としなくなっている状態といえるのではないだろうか。終末期の選択肢のひとつといえないだろうか。

そうではないとして、もはや口から栄養摂取ができなくなったアルツハイマー型認知症の人に胃瘻を増設した場合に、「胃ろうカテーテル」(カテーテル=管、チューブ)を抜いてしまうことが多い。その行為は、胃壁内部を損傷させ命にかかわる場合があるとして、身体拘束禁止の例外に当たるとして、一時的と称され手をベッド柵に縛られてしまう。その状態が嫌だともがき苦しんでいる認知症の人が全国に何万人いるだろう。

しかしその行為は、胃瘻を造り、そこに差し込まれたカテーテルの違和感を我慢できないという理由によるものだ。その違和感の元凶である胃瘻から栄養を注ぎ続けるために、手足を縛られる人の苦しみが増すことはやむを得ないことと無視されてよいのだろうか。そもそもその胃瘻は、必要だったのだろうか。

自分にその状態を置き換えたとき、そうまでして自然死を阻害し、命を永らえることをあなたは望むだろうか。それを望む人は決して多くはないだろう。

そうした観点から、介護施設や在宅で、看取り介護やターミナルケアに関わる関係者が、「自然死を阻害しない」・「不必要な延命行為は、ターミナルケアの対極にある」ということを理解し、チームでコンセンサスを交わしたうえで、看取り介護・ターミナルケアに関わる必要があるのだと思う。

老健でターミナルケアに取り組む際には、医師を巻き込んで、看護チーム全体が、こうした視点から点滴と経管栄養のあり方を確認しあうところから始めないと、大きな混乱につながる恐れがあるので、くれぐれもご注意願いたい。
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必要な救命治療と不必要な延命医療の線引き(前編)


今日書こうと思うテーマは、おそらく長くなる。いつもの倍くらいの長い記事になろうと思うので、あらかじめ今日と明日の2回に分けて書く予定であることをお断りしておこう。

さて本題。

今年で2年目を迎えた全国7ケ所を舞台にして行う、正味5時間の看取り介護セミナー(日総研出版社主催)も、今年度も残すところ7/2(日)の福岡セミナーと、8/6(日)の岡山セミナーのみとなった。

このセミナーの最少催行人数は13人として設定されており、5時間という長時間の座学であり、かつ決して参加料が安いセミナーとは言えないことを考えると、その人数さえも集まるだろうかと懸念した時期もあるが、幸いにして2年間ともに、最少催行人数を気ににかける必要もないほどたくさんの方が受講してくださり、50人超えは当たり前で、会場によっては100人を超える受講人数だったこともある。

セミナー後のアンケートもおおむね好評で、受講料に見合った内容であると評価を受けている。

うれしいことに、最近は老健の看護職員の方々の受講が増えている。僕がかねてより、老健の在宅復帰機能・中間施設としての機能と、看取り介護・ターミナルケア機能は相反するものではなく、「老健でのターミナルケア・看取りは、利用者の長期間の在宅療養支援の結果として行われるものである(27年報酬改定の要点より)」と主張してきたが、そのことが多くの老健関係者に認められつつあるのではないだろうか。

現に一般型老健と在宅復帰加算型老健では、在宅復帰率が高い老健ほど、ターミナルケア加算算定率が高いし、在宅復帰率が80%を超える在宅復帰型老健においても、76%の施設でターミナルケアが行われているのである。

つまりこれからの老健は、在宅復帰機能と同時に、繰り返し何度も老健を利用している利用者の、人生の最終ステージをもカバーする機能が求められてくるわけで、その機能を放棄する老健に未来はないとさえいえるわけである。

そんな中、ソーシャルワーカーとして、施設管理者として、僕ほど多くの看取り介護実践に関わってきた人材はそう多くないと言えるし、かつ特養と老健の実務経験を持っているという意味において、『「生きる」を支える看取り介護の実践』というテーマで、特養・老健・療養型医療施設・在宅のすべての領域に共通する看取り介護・ターミナルケアの話をできる講師としても貴重な存在ではないかと自負している。

看取り介護・ターミナルケアに関する講演依頼のある方は是非お気軽に相談いただきたい。おっと、そんな宣伝はどうでもよいが、ここで考えておかねばならないことがある。

老健でターミナルケアを実践しようとする際に、事前に十分職員間のコンセンサスをとっておかないと、後々厄介となる問題がある。それは『自然死とは何か?』というコンセンサスであり、そのことに関連して、経管栄養や点滴をどう考えるのかという問題である。

それは老健には医師が常勤配置されており、なおかつ過半数の老健は、看護職員の夜勤体制もあり、24時間医療行為ができる施設であるという側面があるからだ。つまり医療行為ができるだけに、可能な医療行為である点滴の実施、経管からの栄養補給について、『行わない』とする判断が難しいのである。

できる行為をしないためには、「しなくても良い」あるいは「しないほうが良い」という判断基準が必要である。その根拠を看護職員が十分理解しないまま、ターミナルケアを実施すると、実施中に「経管栄養をなぜ行わないのか」、「経管栄養をしないという治療の中止は倫理上・道義上の問題ではないのか」という疑問が一部の職員に生じかねない。

そうなるとその施設におけるターミナルケアは、職員の意志不統一の状態で、バラバラの考え方と思惑が交差している中で行われるという意味になり、それはターミナルケア対象者や、その家族にとって、何よりの不安要素である。そのような状態で、ターミナルケアが実施されることは防がねばならず、そのために事前の教育と意思統一は不可欠なのである。

しかしながらそれは、高齢者の点滴や経管栄養を全否定するような論理であるはずがない。必要な救命治療と不必要な延命医療の線引きをどうするかという問題であって、この点が明確化され、コンセンサスを得られれば良いわけである。

この部分の議論や教育は避けて通れないところであり、それをきちんとレクチャーできる講師役が内部にいない場合、講師を外部に求めなければならないこともあるわけである。(明日に続く)
看取り介護セミナー
看取り介護セミナー2

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人の幸福度につながるアウトカムって何だろうか?


介護福祉士養成校の臨時講師を務めるようになって、かれこれ10年以上の月日が経っている。

僕が現在受け持っている授業は、社会福祉主事の資格取得のための講義と演習である。演習の場合は、小グループで生徒同士が討議する時間があるが、その際にはどんな話し合いが行われているかを確認するために各グループを廻って歩くことが多い。

しかし自由な議論を促すためには、あまり近づき過ぎずに見守るということも必要になり、遠くから全体を見渡すという時間もある。

数年前のそんな時に、教室の片隅に置かれた本が目に留まって、それを手にして開いたところ、印象的な和歌が目についた。

その本は、「NHK介護百人一首」という句集で、あとから調べたところ、NHKが介護に関わる方々から広く短歌を募集し、その中から100首を選んで句集として発刊しているということが分かった。

僕は当時、本業として特養の総合施設長を務めていたが、僕が偶然本を手にして最初に開いたページに載せられていた和歌は、特養に入所した夫の様子を、80歳代の妻が詠んだ和歌だった。(和歌の解説文にそのことが書いてあったと記憶している。)その句は次のような句であったと記憶している。

「やわらかな 日差しあふれる特養に 私を忘れた あなたが笑う」

この句を詠んだ妻の気持ちを想像すると、次のようなことではないのだろうか。

『決して望んだわけではないが、やむにやまれぬ事情で特養に入所せざるを得なくなった夫のことを心配していた妻ではあるが、入所後の夫の様子を見ると、妻である自分の顔も忘れてしまっている夫ではあるにもかかわらず、入所した施設の職員が親身になってお世話をうけており、夫はそんな特養の暮らしの中で、常に笑顔で暮らしている姿を見て安心した。』

僕にはこんな情景が浮かんだ。「やわらかな日差し」とは、単なる天候のことを詠んだわけではなく、その場の温かい柔らかな雰囲気を詠んだ文章ではないのだろかとも思った。

どちらにしても、特養という新たな居所で、笑顔で暮らしている夫の姿を見て安心している妻の気持ちが伝わってくる和歌である。妻のほっとした様子が創造され、ほのぼのとした気持ちにさせられた。とても素敵な和歌だと思った。

同時に、この和歌に詠まれた夫が暮らしている特養の、温かい介護も目に見えるように感じられて、とても素晴らしい特養なのだと思った。

よく言われることであるが、特養に自ら希望して入所する人はいないといわれる。そうであったとしても、我々介護関係者は、そのことを否定するのではなく、家庭・自宅が一番だと考える気持ちをもっともだと受容し、そうであるがゆえに、自宅より良い特養をアピールするのではなく、入所したくなかった施設であるとしても、いったん入所したら、退所したくなくなるような施設サービスを創りあげればよいと思う。

家族や自宅に勝つ特養である必要はない。家族や自宅が一番であったとしても、第二の居所として満足いただける暮らしをつくればよい。

家族にしても決して身内を特養に入所させるのを望まないかもしれない。その気持ちをも受容して、心配だろうけれども、私たち特養関係者も、利用者やご家族や、周囲の人々の気持ちを察しながら、皆さんが安心できる場所になるように努力しますよという結果を、利用者の笑顔という形で示すことができるようにすればよい。

そういう意味では、利用者の表情とか満足感が、特養のアウトカムなのであって、それは決して要介護度の改善という数値で示されるようなものではない。

しかし9日に政府が閣議決定した「骨太の方針」では、このようなアウトカム評価はまったく無視されている。「経済財政運営と改革の基本方針2017」として示されている介護関連の要旨では、「自立支援に向けた介護サービス事業者に対するインセンティブ付与のためのアウトカムなどに応じた介護報酬のメリハリ付け」という言葉で、加算=報酬金として、介護サービスの質を数値で評価しようとする方向性が改めて示された。

数値化できない利用者や家族の満足感より、政府の決めた方向性=介護費用の削減に向かう方向性を評価しようというわけである。

自立支援という名の業者の尻たたきは、利用者の尻を叩く方向から、利用者の頭を打ち付けて、その表情から笑顔を消し去る方向へと舵を切っていくかのようである。
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セントレアより


僕は今、中部国際空港のラウンジにて、この記事を更新している。先週金曜日からの大阪〜名古屋の旅を終えこの後、13:15発の便で新千歳空港に向けて飛び立つ予定である。

今回は3日間で4講演、合計講演時間が14時間というハードなスケジュールだったが、充実した時間を持つことができた。新しい出会いとつながりもでき、楽しく素敵な3泊4日の旅となった。

金曜日に行った大阪市老連主催セミナーでは、日常の何気ない心の乱れが高齢者虐待のきっかけとなることの恐ろしさを、過去の実例から明らかにし、介護関係者が今しなければならないことを現実論として示し、その先に見える介護業界の将来像を示した。定員いっぱいの140名を超える皆さんに集まっていただき、今回も大盛況だった。

オフ会も大いに盛り上がり、特に山口の銘酒『獺祭』が飲み放題ということで、少々飲みすぎたが、大阪市老連さん主催セミナーは、今年度もさらに数回行うことになりそうなので、楽しみであるの

大阪と名古屋での看取り介護セミナーは、両日とも正味5時間のセミナーで、しかもグループワークもない座学だけの長時間セミナーであったが、居眠りや中途退場する人もなく、セミナー後には、もっと話を聞きたいというコメントもいただいて本当にありがたかった。今回のセミナー参加者は、老健や医療機関の看護師さんも多く、僕の特養での実践を参考にしていただきありがたく思った。

5時間講演を終えた夜、名古屋の株式会社で行った2時間講演も、参加職員の皆さんが熱心に聴いてくださり、介護実践に即生かそうとする姿勢を示していただき嬉しい限りだ。同社の今後の発展を願ってやまない。

5月11日に上梓した、「介護の誇り」をそれぞれの会場で販売させていただいたが、たくさんの受講者の方に購入いただいた。この場を借りて改めてお礼を申し述べたい。

今回は、この本の出版記念セミナーの打ち合わせも行うことができ、10月から日総研出版社の本社・支社のある全国7ケ所(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡)でセミナーを開催することも決まった。

詳しい日程等はこれから決まるが、その節には是非たくさんの方にお越しいただきたい。すでに本を購入されている方についても、会場に本を持ち込んでいただければサインをさせていただくので、よろしくお願いします。

僕は一旦北海道に戻り、締め切りの迫った連載原稿の執筆と、介護福祉士養成校の授業資料作りにかかる予定だ。

来月は講演予定が立て込んでいるので、その準備もしなければならない。しかし今現在は『北海道介護福祉道場 あかい花』の活動に専念しているので、講演依頼は余裕で受けることができるの平日の講演も問題ないので、お気軽に相談のメールを送っていただきたい。masa@akai-hana.jp


必ず身のある内容のお話をして、介護実践に生かすことをお約束するとともに、介護サービスには携わる皆さんのモチベーションをアップさせ、離職せずに長く介護の仕事を続ける仲間を増やすことをお約束します。

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通所介護はどうなってしまうのだろう


6月2日に開かれた平成29年第9回経済財政諮問会議では、今年の「骨太の方針」の素案が提示された。今後その素案をもとに与党との調整を経て近く閣議決定されることになる。

この素案のなかに、訪問介護の生活援助と通所介護の報酬見直しが明記されている。

訪問介護については、生活援助を中心とするサービスについて、人員基準を緩和した新たなルールを創設し、そのルールに見合う報酬を設定する構想が示されている。要するに、生活援助=家事であるから、専門性がさほど必要ではないだろうから、資格要件等を取り払って、誰でもサービス提供できるように基準を緩和して、その分報酬を下げるという意味だろう。

しかしこれが実現すれば、訪問介護事業所はたまったものではない。今でも単価が厳しい生活援助の単価がさらに下がって、そこで収益を挙げるのは極めて困難になる。そもそもそのような単価で、人件費が捻出できるのだろうか。仮に捻出できたとしても、その額で働こうと思う人がどれだけ集まるのだろう。

そのことを考えると、今後は生活援助サービスを提供しないという訪問介護事業所も出てくるかもしれない。その先には、制度あってサービスなしという状況が生まれかねない。それともそのことは国は織り込み済みで、近い将来の、保険給付からの生活援助外しの布石とするつもりなんだろうか。

通所介護はさらに厳しい。通所介護の収益率はいまだに高水準だとして、報酬の効率化・適正化を図るとされている。

その根拠は、マイナス2.27%とされた前回改定の影響をうけた2016年度経営概況調査(昨年末、厚労省が公開)結果である。それによると、施設・事業所双方の2015年度の全21種類のサービスのうち16種類で収益が悪化していたが、通所介護については、収益率が6.3%となっており、この数字は中小企業の平均(2014年度:3.6%)よりもかなり高いものだというのである。よって通所介護の給付費は、もっと下げられる余地があるとされ、特にやり玉にあげあっれているのが、機能訓練をしていない単なるレスパイトケアである。

そうなると機能訓練加算を算定していない事業所の単価が下げられる可能性が高く、基本サービス費を下げて、機能訓練加算等の単価を上げ、全体として給付費をマイナス改定するという方向性が見えてくる。

このことに関連して5/24の社会保障審議会・介護給付費分科会では、認知症対応型デイサービスと一般の小規模なデイサービスの機能分化があいまいになり、一般型デイでも認知症高齢者の利用が目立っているという指摘がされている。ということは現在報酬が高く設定されている認知症対応型通所介護費の単価も削減ターゲットにされる可能性も出てくる。

しかし前にも書いたが、27年度報酬改定以降、事業廃止した通所介護事業所が目立っている。そうした事業者は、収益を挙げられず経営不振に陥ったという意味である。しかもそうした閉鎖・廃止された事業者の収支状況は、経営概況調査の数字には反映されない。現に運営できている事業者は、経営努力の結果、収益を挙げているもので、そうした経営能力の高い事業者の数字だけを取り上げて、事業閉鎖に追い込まれた事業者の窮状を無視した経営実態評価はあり得るのだろうか。

現に運営を続けて収益を挙げている事業所にしても、報酬削減により経営状態が悪化しないようにする努力は、もともと低く抑えられた従業員の給与水準に支えられたものであり、そうした従業者のさらなる給与削減は、人手不足の折難しいことから、収益を挙げている小規模通所介護事業所の経営者の給与水準は、民間の中小企業よりかなり低く抑えられている場合が多い。中には従業員より、経営者の給与のほうが低く抑えられているという逆転事業者も珍しくない。

そうした中での収益率である。それは「儲け過ぎ」というにはあたらないものである。しかも比較対象となっている中小企業とは、決して零細企業ではなく、資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人である。

それに比べ小規模通所介護事業者とは、定員が18人以下で全従業者の数も10人に満たない事業者が多いのだから、100人近くの従業者がいて、資本金が何千万円単位で経済活動を行う中から収益を挙げている民間企業と比べるのもどうかと思う。収益率は似通ったとしても、そこで得られている収益金額には大きな差があるのだ。

そういう意味では、通所介護費については、削減ありきの意図的に偏ったデータ抽出が疑われてもしょうがないと思う。

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時代を超えて生き残るサービス事業のキーワードは、リスペクト


介護サービス事業所が、将来に向けてどう生き残っていくかを考えて、時代の変化に応じた様々な経営戦略を考えていくことは必要なんだろう。その先に多角経営とか、混合介護という方向性があって当然だとも思う。

しかし介護サービス事業所が提供するサービスは何かということを考えると、それは介護サービスそのものであり、それこそが企業の商品にあたるといえるのではないだろうか。よって介護サービス事業者が介護という主力商品をどうお客様に選んでもらうかということが何より重要になることは時代がどう変わろうと変わることがない視点で、常に一定レベル以上の介護の品質を担保して、お客様にサービス提供することが時代を超えて求められていくことではないかと思う。

そもそも介護サービスは、使う人がいるということそのものが商品の売れ行きなのだから、使って魅力があるサービスでなければ、いつか売れなくなることは必然の結果である。

これが売り手市場で、サービスを使うために、待機期間が生ずる時期であれば、高かろう悪かろうのサービスでも売れることになるが、そのような事情は永遠に続くわけがなく、買い手市場にシフトが移る段階では、安くて良いサービスか、高くてもより良いサービスしか選ばれて行かないことになる。

サ高住や有料老人ホーム、そして特養等もこの時代に入ろうとしており、箱を作りさえすれば売れるという事情ではなくなりつつある。

広告がいくら派手で上手でも、商品の品質が伴わないと、その効果は一時的なものにすぎなくなる例は枚挙にいとまがないように、介護サービスの品質が伴わない派手な宣伝を打っても、安定的な顧客確保にはつながらないことは明白である。しかも時代は、家族が介護という商品を選ぶのではなく、利用者自身が自分が使う介護サービスを選ぶ時代にシフトしつつある。

それは家族であれば妥協して選ばれていたかもしれないサービスが、利用者自身が嫌だと思った瞬間から売れなくなるという意味だ。

特に施設サービスは、暮らしの場所とケアサービスをセットで提供するサービスであり、暮らしを営むための介護が商品なのだから、「特別なこと」・「非日常」より、日常の暮らしの質を支える介護という商品が選択のポイントになる。本当の意味で、自らの生活を支える介護サービスが選ばれ続けるというわけである。

しかもそのサービスを選ぶのは、感情がある人間であり、この厄介な感情にどう付き合っていくかという視点も、介護という商品を売る為の重要な要素になる。嫌だという感情を抱かせずに、介護という商品を選択していただくためには何をどうするかということも必要な戦略になってくる。こちら側が良かれと思っても、嫌だという感情がもたれたらおしまいなのである。顧客は正論を買うわけではなく、自分が求める商品を買うのであって、その選択の理由は、常に顧客自身の価値観によるのである。

そのためにお客様に良い感情を持っていただく以前に、悪感情を持たれないとこが何より大事である。

当然そこには顧客に対するホスピタリティとか、サービスマナーとかが必要になることは言うまでもないが、それが表面上の繕いではなく、心の底からのもてなしの心にならないと、お客様に伝わらないだろう。

そのために必要なのは、自らの事業所の介護という商品を選んでくださるお客様に対する敬意の心ではないかと思う。

介護経営者は、従業者に対してお客様に対する敬意の心を持つ教育を何よりも大切にしなければならない。

しかしお客様に対して敬意の心を持つべきであると訴える経営者自身が、従業者に対して敬意のかけらも払わないとしたら、そのような事業者において、従業員がお客様に対して敬意を払うことが根付くだろうか?はなはだ疑問である。

勿論、経営者が従業者に媚を売って、必要なマナー教育もできないような状態であってはならないし、叱る教育も必要である。しかし単に怒るだけで人は動かないし、愛情と敬意を持った叱るという行為でなければ人は成長しないように思う。それが伴って初めて血の通った人間が動くことにつながるのではないだろうか。

そういう意味では、人事考課というシステムは、経営者や上司が、従業員や部下を愛情をもって叱るという行為を奪い、人事考課システムの中で、それぞれをリスペクトするという機会を奪っていくという結果をもたらしたのではないだろうか。それは人を成長させるのではなく、弱肉強食だけを助長する体質を抱え込む結果をもたらすという負の遺産につながっているように思えてならない。

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ケアプランの目標の書き方を考える


介護支援専門員という有資格者が作成すべき、施設サービス計画書と居宅サービス計画書(以下ケアプランと略す)については、一定のルールだけを押さえておれば、それぞれの表現方法は自由である。

つまり「書き方」には特徴があって良いわけであり、定型文を当てはめて作成するようものではない。

しかし表現方法にも工夫が必要だ。ケアプランは自分が読んでわかればよいというものではなく、サービス提供する側と、提供を受ける側の双方が読んで理解できるものでなければならない。よって介護支援専門員には、介護の専門家にも非専門家にも、両者にわかりやすく伝えるための国語力・文章力が求められる。

「決めれる」・「起きれる」などのら抜き言葉でしか文章表現書できないケアマネがいたりして、物書きから見ればそれは表現力としてどうかとは思う。この部分はできるだけ丁寧な表現に注意をしてもらいたいと思ったりするが、これも時代なのかなと思ったりもする。ただそこはあまり重要視しなくても良いところかもしれない。要はいかに伝わるかである。

さらに伝わる言葉で文章を書くことができるというスキルに加えて、サービス計画書が何を目的にしているかということにも注意を払っていただきたい。

第1表の総合的援助方針は、支援チームが何のために行動するかという方向性を示すところであり、チームケアの目的を示す内容を書かなければならない。ここはある意味、「理想」が含まれてよい部分である。利用者の理想的な暮らしぶりに目を向けて、そこにたどり着く道しるべとなる行動方針が見えさえすればよく、場合によってそれは抽象的で長期にわたるものであっても良いし、どこまで行ってもたどり着かないと思える内容かもしれない。そうであっても目指すものである限り、それはかまわないわけである。

一方で第2表に記載する「長期目標・短期目標」については、総合的援助方針で示した目的を達成するために、定期的・定量的に測定できる具体的目標でなければならず、測定不能な具体性に欠ける内容であってはならないし、ある時期までに達成可能なものである必要がある。

長・短期目標の期間について、それぞれの目標の内容によって、その期間は異なるべきだと考える人がいるが、馬鹿を言うなと言いたい。忙しいケアマネが、一つの計画書について、それぞれの目標それぞれに期間を違えて設定し、その期間ごとにいちいちモニタリングを行うなんてことは現実的ではない。この期間はサービス計画書ごとに、長期目標は1年、短期目標は半年などと最初から期間を固定して定めても良いものだ。なぜなら目標期間とは、定期的に達成度を測定するという意味であり、その期間と考えてよいからだ。(参照:長・短期目標の期間について考える1 ・ 2 ・ ケアプラン目標期間は一律機械的でなぜ悪い

長短期目標について、さすがに以前のように、一つのケアプランの中で利用者目標と事業者目標が混在しているような計画書は少なくなったように思え、ポジティブプランの観点から、利用者目標に統一されるようになりつつあることは良いことだと思う。(参照:ケアプランの目標は誰の目標か?

しかしいまだに解決すべき課題に、「穏やかに過ごしたい」などと意味の分からない表現しかされていない場合がある。そこにはまったく課題要因が見えない。「したい」という表現にこだわるあまり、何が解決策につながるかわからない課題になってしまっているケアプランが多い。(参照:第2表・生活全般の解決すべき課題(ニーズ)に何を書くべきか? ・ 生活課題を「したいの山」にしない工夫。

ここで考えたいことは、「穏やかに過ごす」を解決すべき課題ではなく、目標とするのはどうだろうかということである。

これもいただけない。「穏やかに過ごしているかどうか」ということは、果たして定量的に測定できるのだろうか?仮に本人に「穏やかですか?」と尋ねても、穏やかの基準が質問者と回答者にずれがあり、それは本当の答えにはならない場合が多い。結果的にその評価は、あくまで評価する人の主観に過ぎず、客観的指標とはなり得ない。穏やかに過ごしている状態像を、もっと具体化して表現して、客観的に評価できる内容とする必要がある。

この場合、穏やかではなくなる具体的要因は何かを考え、その具体的な事象が起きないようにするための目標とすべきである。例えばそれは「排泄の失敗がない」かもしれないし、「定期的に家族と面会できる」であるのかもしれない。これなら定期的・定量的に客観的評価が可能になる。

また長期目標にしても、短期目標にしても、一つの目標に複数の評価が必要になる内容は避けるべきである。「健康状態を維持できる」なら、「健康が維持できているか」という評価で済むが、「健康を維持して、日課活動を継続できる」であれば、一つの目標なのに、「健康が維持できているか」ということと、「日課活動が継続できているか」という両方の評価が必要になる。仮に健康が維持できているのに日課活動が継続できていない場合、健康維持と日課活動を続けられることが必ずしもリンクしていないということになり、この二つの事柄は別々に評価しないと課題解決につながらない可能性が高まる。

長短期目標は複数設定可能なのだから、評価が複数必要な目標を立てるのではなく、1目標1評価を基本にして、複数の目標を設定するほうが、より適切な評価につながるという考え方も必要なのである。

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日総研看取り介護セミナー2
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大阪と名古屋で行う4講演(合計14時間)に備えて


僕の最新著作本「介護の誇り」を上梓してから、4週間が過ぎようとしている。

ここにきて楽天市場や、Amazonからも購入できるようになって、購入してくださる方も増えているようだ。

僕の本の写真画像を載せて、「読書中」とフェイスブックにアップしてくださるお友達も増えている。僕のタイムラインのコメント欄にもそれらの方々からいろいろなメッセージをいただいている。つい最近も下記のようなご意見をいただいた。

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読ませていただきました。全ての内容が心に響きました。
そして、何よりあとがきに惹かれました。
同じような方がいらっしゃるんだなぁ…
masaさんのblog、本に出会えたお陰で今があります。
そして講演にも行き、改めてこの仕事に帰ってこれて良かったと思いました。
次にお会いできるときにサインお願いします。

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こんなふうに書いていただくと本当にうれしく思う。物書き冥利に尽きるというものである。

新刊・介護の誇り
この本は、ネット販売だけではなく、書店でも購入できるが(置いていない書店でも注文は可能)、一番たくさん売れる場所は、僕自身の講演会場である。そういう意味では、この本を上梓した後は、まだ一度しか講演を行っていないので、これから本格的に皆さんにご購入いただく機会が増えるのではないかと期待している。それは売り上げが上がるとか、印税が入るとかいう問題ではなく、この本を通じて、介護という職業に誇りを持つことの意味や、その先にどのような未来が創造できるのかを伝えることができるという期待である。

この本の販売会&サイン会を伴う講演を、今週金曜日〜日曜日にかけて、大阪と名古屋で行う予定になっている。それも3日間で4講演・合計講演時間は14時間であるから、なかなかハードなスケジュールといえるだろう。

北海道はまだまだ朝晩寒くて、暖房が必要な日も多いが、大阪や名古屋は、上着がいらない気候だろうか?

今回の予定は、金曜日の午前の便で北海道(新千歳空港)を経ち、関空からリムジンバスで天王寺に向かい、午後6時から大阪府西成区の大阪市社会福祉研修・情報センター で、「高齢者虐待の実態と防止策〜虐待をゼロにする難しさ 当たり前のこと!をしっかり考える〜」(大阪市老人福祉施設連盟 主催研修)をテーマにした2時間講演を行う。

虐待といわれる行為が、無意識に行われてしまう実態や、自分がその当事者になろうとは思わなかった人が、感覚を麻痺させて人を気付つけていく先に、どのような事件や事案につながっているかを明らかにしたうえで、こうしたあってはならない状態を起こさないために、何が必要かを、介護サービスの場で実践できる防止策として明らかにしようと思う。

会場の関係で、定員は110名であるが、すでに満席の状態であると聞いている。ありがたいことである。

大阪市老連さんは、毎年複数回講師としてお招きをいただくようになって、もう7〜8年の付き合いではないかと思うが、毎回の愉しみは講演後のオフ会である。いつも楽しく呑んで語るのが常であり、今回も楽しみにしている。

翌土曜日は、同じく大阪市の田村駒ビルで行われる、日総研出版主催の看取り介護セミナーである。5時間のセミナーを終えた足で、名古屋に向かい、翌土曜日は、名古屋市内の日総研ビルで同じセミナーを行う。日総研は、今回の新刊の出版元であるので、当然両会場でも本の販売会が行われる。このセミナーはまだ席があるので、直前まで申し込みは可能ですので、駆け込み受講大検芸である。

そんなふうにして土日の両日で、計10時間の看取り介護セミナーが行われるわけであるが、実は日曜日はそれだけで終わらない。

看取り介護セミナーin名古屋会場は、10:00〜16:00まで行われるが、それを終えた足で名古屋駅に直行し、JR中央線で高蔵寺駅まで移動して、17:30〜すまいるハッピー上志段味デイサービスセンターわくわくオオツカ さんという事業所内で、株式会社オオツカ 社内研修講師役を務める。これが終了するのが19:00になる。

ということで日曜日は、2会場で2講演・合計7時間の講演時間となる。1日で7時間の講演を行うのは、僕の長い講師経験でも初めてのことである。ちなみに今までの1日最長講演時間は6時間で、それも複数回経験しているので、さほど変わりない気もしないではない。

というわけで今回は、日曜日も名古屋に泊まり、北海道に帰るのは月曜日ということになっている。

名古屋では名駅桜通口を出てすぐの名鉄グランドホテルに2泊するわけであるが、講演以外の予定は入っていないので、土曜日と日曜日は駅近くで寂しく、「ひとりオフ会」ということになろそうである。

名古屋駅周辺で、どこか良いお店があればぜひ紹介していただきたい。

それでは大阪と名古屋でお会いする皆さま、当日はよろしくお願いします。「介護の誇り」もぜひ手に取ってご覧ください。

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看護師がまったく配置されていない特養の不正請求の意味。


先週発信されたネットニュースの中に、愛知県岡崎市の特養が、看護師を配置していない状態で、不正請求を行い報酬返還指導と効力の一部停止処分を受けたという報道がされている。

詳しい報道内容については、張り付けたリンク先を参照いただきたいが、報道内容をまとめると以下のとおりである。

・岡崎市内の地域密着型介護老人福祉施設が、看護師を配置していないのに介護報酬を不正請求していた。

・これに対し岡崎市は、介護保険法に基づく指定の一部効力を停止する処分とした。

・具体的には、5月1日から8月31日までの4ヵ月間新規の利用者受け入れを禁ずる処分を行ったほか、その間の介護報酬についても3割の減算とする。

・不正に請求・受領した介護報酬額に加算金40%を加えた約14万円の返還を求めて徴収する。


この報道記事を読んで、疑問の声が多数あがっている。時にネットニュースの記事では、「看護師をまったく配置していないのに介護報酬を満額請求するなど不正を繰り返してきたとして。」という文字が躍っているので、看護師がいないのに看護処置をどうしていたのかとか、返還金額が少なすぎないかなどという疑問が呈されている。

しかしこれは、報道記事を配信した記者の知識不足から、言葉が足りない文章として配信されていることによる誤解が生じていることが原因のように思われる。

つまりこの施設は、「看護師をまったく配置していない」のは、事実だろうが、その意味は「看護職員がまったく配置されていない」という意味ではないと思われる。つまり准看護師は規定数配置されていたと思われるのだ。その理由は以下のとおりである。

この施設は、「地域密着型介護老人福祉施設」であるから、看護職員配置は常勤1名でよい。(※サテライト施設であれば、常勤換算で1.0人をクリアしておればよいことになる。)

そこで報道内容をよく読むと、「不正に請求・受領した介護報酬額に加算金40%を加えた約14万円の返還を求めて徴収していくことになる。」とされている。もし看護職員がまったく配置されていなかったとしたら、介護報酬は7割しか請求できないので、返還額及び加算金は、このような金額に収まるはずはない。

よって返還指導を受けているのは、看護師を常勤配置する際に算定できる看護職員配置加算のみであって、基本サービス費自体の返還指導を受けているわけではなく、この施設は3割減算請求の対象ではなかったということだ。つまり看護師ではない、准看護師の配置は基準通り行われていたという意味である。

5月1日から8月31日までの4ヵ月間の介護報酬3割の減算とは、あくまで看護体制加算気良埓祇禅瓩紡个垢襯撻淵襯謄であり、看護職員配置基準減算ではないのである。

このように介護報酬の不正に関する報道では、しばしば記者の理解不足による、内容の混乱した記事がみられることがあるので、介護関係者である読者には、報道内容の隅々をチェックして事実のみをピックアップし、介護報酬の算定構造等と比較検証する分析力が求められる。

そうしないと、いたずらに報道文に踊らされて、間違った情報に基づいた間違った理解をしてしまうことになる。そのあたりは常日頃から注意しておく必要があるだろう。

それにしてもこの施設はなぜ、こんなバレバレの不正請求を行っていたのだろう。しかも指定取り消しにもつながりかねない不正請求といっても、わずかな加算単位だけの不正請求で、あまりにリスクが大きすぎる。このことによって、8月末まで空きベッドが生じても、それを埋められないばかりか、その間の報酬も3割減算である。

ペナルティの加算金を上乗せした報酬返還分と減収分を考えると、これは大きな減収である。わずかな加算報酬を得るために、このような大きなリスクを犯す理由がわからない。その理由はもしかしたらこの施設の管理者の、信じられないほどの理解不足だったのだろうか。そこに悪意があるかどうかは不明だが、管理能力という点では大いに疑問符が付くといって過言ではないだろう。

遵法精神と法令理解は、管理者に最低限求められるものであるという理解が必要だろう。

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次期介護報酬改定で自立支援を評価するというが・・・。


5月30日に行われた未来投資会議で政府が示した資料には、『介護:科学的介護の導入による「自立支援の促進」 』として次の取り組みが示されている。

・自立支援等の効果が科学的に裏付けられた介護の実現に向け、必要なデータを 収集・分析するためのデータベースを構築し 2020 年度の本格運用開始を目指 す。
・次期介護報酬改定において、効果のある自立支援について評価を行う。
・データ分析による科学的な効果が裏付けられた介護サービスについて、2021 年 度以降の介護報酬改定で評価するとともに、そうしたサービスが受けられる事 業所を厚生労働省のウェブサイト等で公表し、国民に対する「見える化」を進 める。
・介護現場でのロボット・センサー等の活用について、効果実証を着実に進め、 その結果を踏まえて、次期介護報酬改定の際に、介護報酬や人員・設備基準の 見直しなど制度上の対応を行う。
・今後の介護ロボット等開発では、自立支援等による利用者の生活の質の維持・ 向上と、介護者の負担軽減の両方を実現するため、現場のニーズを真に酌み取 り開発シーズとつなげられるプロジェクトコーディネーターを新たに育成・配 置する。
・ロボット介護機器の開発重点分野を再検証し、本年夏までに戦略的な開発の方 向性を取りまとめ、来年度以降の新たな開発支援対象に反映する。


このうち「次の介護報酬改定で事業所の効果的な取り組みを評価すると」については、自立支援のアウトカムについて、加算報酬を導入するという意味だろう。

しかしここで問題となるのは、政府が言う「どのような状態にどのような支援をすれば自立につながるか明らかにする。」ではなく、それ以前に「自立とは何か。」という概念そのものではないのだろうか。

もしこれが要介護度の改善という意味であれば、それはずいぶん乱暴で、自立という概念を矮小化したものでしかないと思う。

介護保険給付対象サービスを利用している人の多くは、高齢者であり、その中でも後期高齢者のサービス利用が増え続けているのだから、その自立の概念も多様に考えていかねばならないと思う。身体機能や認知機能を維持するだけではなく、それらが衰えていく過程に寄り添い、その速度を緩やかにするということも自立支援といえるだろうし、衰えゆく心身機能状態でどのように暮らしを送るのかが問われてくる問題で、その過程のエビデンスなど存在するのだろうか。

AIによるケアプランが、この過程を明らかにしてくれるのだろうか。

千差万別な人の暮らしの中で、必要とされる介護を定型化できるものなのだろうか。人間の感情は定型化できないのだから、「いやだ」・「良かった」という感情がサービスの結果評価である点を考えても、介護の定型化などできるものではないように思う。

そもそも自立支援だけが唯一の「国民の福祉の向上」であるかのような意見にはついていけない。自立を支援することは大事ではあるが、我々が向かい合う利用者の方々にとって、それより先に、「上手に依存する。」ことが必要な方々が数多くいる。その前提がないと暮らしが成立しない人がたくさんおられる。そういう人々は頑張っていないから駄目だとされ、頑張るために尻を叩けとでもいうのだろうか。どうも違うように思う。

大事なことは超高齢社会の中で、身体・認知機能の低下をきたしている高齢者の方々が、どこで暮らそうとも人としてふさわしい暮らしぶりを送ることができるということではないのだろうか。

そのためにどのような介護支援が必要なのかということを、自立支援と同時平行に考えていかないと、医学的・治療的リハビリテーションエクササイズの方法論だけが奨励され、本当の意味での生活支援がなされないケースが多発し、使えない、救えない制度になりかねない。

マスメディアでは、身体機能が改善して介護保険サービス利用が必要なくなった高齢者の事例がもてはやされる傾向にあるが、それが結果として求められるケース以外に、適切なサービスを使いながら、暮らしの質が落ちないことが重要となるケースは、それ以上に多いのだ。ここを間違って捉えてもらっては困る。

介護保険給付サービスは、本来卒業するのが目的ではなく、使うこと、使えることが目的ではなかったのか?そうだからこそ社会のセーフティネットの役割を担えるのではないか?使わなくなることが求められるのであれば、制度は必要悪ということになりかねない。そんなことではないだろうに・・・。

介護ロボットの導入促進策にしても、それが人が担う介護業務の省力化につながるのであれば歓迎するが、経済成長のために新産業育成ありきの視点からそのことが考えられるのであれば、無理が通って道理が引っ込み、ロボット操作に振り回される現場職員という近未来図が生まれかねない。

そもそも介護ロボットの導入促進は、介護報酬の加算によるものではなく、補助金で対応すべきではないのだろうか。

どうもこの経済成長戦略からの介護報酬改定論は、絵に描いた餅であり、危うくてしょうがないように思えてならない。

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法令ルールを知らないのか、守る気がないのか・・・。


僕は昨日の勤務をもって老健実務から卒業したが、約一年間老健施設で実務を行う機会を得たことで、老健という施設の実情・実態を理解できただけではなく、特養という施設を外から見ることによって、特養に対する見方も変わったような気がする。

特養が暮らしの場として、老健より優れた面が多々あることが改めて理解できたが、その反面、暮らしの場とか生活施設という冠に胡坐をかいて、日がな一日天井を睨んで暮らす生活を利用者に強いている特養もあったりする。そこに本当の意味での暮らしはあるのだろうか?

そう考えると、介護施設を選ぶ際には、施設種別だけで選択するのではなく、個々のサービス内容を精査して選ばないとベストの選択には結びつかいことを改めて強く感じている。そうであるがゆえに、今後特養の経営にかかわっていく際には、誰からも選択される高品質なサービスを提供できる暮らしの場を目指そうとする一人一人の職員の意識づけが大事になると、改めて強く感じている。

ところで老健は、在宅復帰を目指すリハビリ施設であるが、実際には在宅復帰が難しく、サ高住やグループホーム、特定施設、特養などへ入所する間のつなぎの施設として利用されているという側面がある。

よって老健から特養へ入所する際の調整業務も多くなるわけであるが、その際に法令ルールに沿っていない、特養側の勝手なルールの押し付けと思われる場面に遭遇することがある。

例えば日常の移動に車椅子が必要な人であっても、自分専用の車いすを持っているとは限らない。老健に入所している人の場合、老健の備品である車椅子を使っている人が多いが、特養に入所する際に、個人専用の車いすを持参するように求められることがある。これは明らかな法令違反である。

一般型の車いすは、介護用品として施設側が備えおく必要があり、数が足りないから持参させるなどは許されていない。個人専用の特殊な車いすが必要な場合は、個人負担で車いすを購入・持参していただいても良いが、それ以外の理由で、車いすの個人購入やその持参を求めることは許されていない。このような基本的なルールをなぜ護ろうとしないのか、それともそのようなルール理解がないというのだろうか。

どちらにしてもこうしたやり取りを行う調整役は、相談援助職であり、施設の頭脳ともいえる相談援助職が、ルールを無視したり、ルールを知らずにおかしな取り扱いを押し付けたりするのは恥ずかしいことである。

このことは老企第54号通知で考え方が示されているが、この内容をさらに詳しく解説した北海道の通知文によれば、徴収できない費用例と、徴収可能な費用例が以下のように示されているので、参考にしていただきたい。

保険給付の対象に含まれるものの具体例 (徴収不可) 】
・車椅子、歩行器、杖、ポータブルトイレ、しびん等
・寝具類(ふとん、シーツ類)、失禁シーツ、エアマット、体位交換用クッション等
・おむつ、おむつカバー等
・食事用・介助用のエプロン、おしぼり、ティッシュ等
・清拭タオル
・私物以外の洗濯代(おむつ、寝具類に係るもの等)
・おやつ代(入所者全員を対象に提供するもの)
・機能訓練に係る材料費等
・健康管理費用(定期健康診断等)
・通院の際の交通費
・行事関係経費(レクリエーション、入所者全員が参加する定例行事等)
・作業療法等機能訓練の一環として行われるクラブ活動
・教養娯楽関係(談話室にあるテレビ、ビデオ、カラオケ、CD等の設備及びソフト、新聞、雑誌等)

その他の日常生活費の具体的な範囲について徴収可能
・入所者の希望によって、身の回り品として日常生活に必要なものを施設が提供する場合に係る費用
・入所者の希望によって、教養娯楽として日常生活に必要なものを施設が提供する場合に係る費用
・健康管理費(インフルエンザ予防接種に係る費用等)
・預かり金の出納管理に係る費用

その他の日常生活費とは区分される費用(サービス提供とは関係のないもの)※その他の日常生活費とは別に徴収可能
・冷蔵庫、電話、テレビ使用料
・個人専用の家電の電気代、電話代
・洗濯機、乾燥機使用料(コイン式)
・クリーニング代(業者への取り次ぎ)
・嗜好品(菓子、酒、タバコ等)
・個人用の新聞、雑誌等
・入所者(個人)の趣味活動に係る材料費等
・希望者を募り実施する旅行等の実費

以上である。基本法令は理解した上で、しっかり守らなきゃあだめだからね。齟齬を指摘したり、変えるためのソーシャルアクションが受け入れられるには、法令を守ったうえでのアクションが必要になることを忘れてはならない。

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処方内容を書く施設サービス計画への疑問


本日をもって、現在勤めている職場を退職いたします。明日からは片道2時間通勤からやっと解放されます。やはりこの通勤ロスは無理がありました。今後は単身でも職場の近くから通い、通勤時間をできるだけ短縮します。

老健の業務に就いて約1年余り、自分としては今後に生かせる良い経験になりました。

これから次のステップに向けて準備期間を経る予定です。拠点を道外に移す予定があるため、秋に予定していた介護福祉士専門学校の講義も、6月と7月に前倒ししてもらいました。専門性の高い授業を担当してますので、いきなり辞任ということになっても他の講師が見つからないので、今年度の授業は責任もって全うします。

そんなわけで、ここ数ケ月は講演・授業講義・執筆などフリーランスで活動しながら、次の仕事に就く準備をします。そのことは後日、詳しくお知らせします。

1年あまり勤めた老健から得た知識は、次の仕事にも生かしていこうと思います。

それにしても老健は生活施設ではなく、滞在施設・中間施設という意味合いもあるからでしょうか、規則が特養より圧倒的に多い印象が残っています。

特養の仕事が長かった僕から見れば、そのことは随分窮屈なことだなと思ったりしていました。勿論それは利用者からすればという意味ですよ。そのことも今後何らかの記事として、こちらで論評する機会があると思います。ともかくネタはたくさんあります。

もうひとつ、僕が印象深かった老健の特徴を挙げるとすれば、老健は介護施設とされていますが、組織的・意識的には医療機関ですね。そうであるがゆえに、「暮らし」より「治療」が優先される場面が多々見られました。そのことも後日書きますが、今日は老健の施設サービス計画を見て気づいた点を一つ指摘しておきます。

老健はリハビリ施設ですし、短期集中リハビリテーション実施加算などを算定する関係上、そのことが全員の計画に載ってくるのは当然ですが、そうであるがゆえに計画内容が固定化する傾向が見て取れました。AI(人工知能ロボット)によってケアプランが立てられるようになると、こうした感じになるのかなあと思ったりしました。気をつけないと課題や目標が金太郎飴のように、全部同じ顔になりがちな傾向にあります。そのことは良いとして、健康管理を目標にしたサービス内容に、利用者一人一人の処方内容をすべて書いていることには、少なからず疑問を抱きました。

つまり老健内で服薬している薬を、基本的にはすべて施設サービス計画のサービス内容(2表)の中に落とし込むことに対する疑問です。

これ他の老健でも同じなんでしょうか?

しかしこれって問題ありですね。これ計画書ですから、多職種協働の会議の中で決めて実行することを書くのが基本ですが、処方内容を決定するのは会議ではなく、医師の判断でしかできないわけですから、その指示を受けて服薬支援するだけであり、処方内容をすべて書くのはどうかと思っています。

そもそも処方される薬は、サービス計画書の期間中に何度も変わるでしょう。そうすると処方内容をサービス計画書の2表「サービス内容」に書いてしまっている場合、処方内容が変わるたびに、計画書を変更する必要があります。

仮に治療方針や目的が変わらずに、処方内容だけ変えるのだから、それは軽微変更だろうと判断できるとしても、何もしなくても良いということにはなりません。老企29号で、「軽微な変更については、当該変更記録の箇所の冒頭に変更時点を明記しつつ、同一用紙に継続して記載することができるものとする。」と規定されているんですから、処方内容をすべて2表に落とし込んでいる場合、処方が変わるたびに計画書の冒頭に変更時点を明記しつつ、同一用紙に継続して変更された処方薬を記載していないと、運営基準違反となり指導対象です。

ですから僕が以前勤めていた特養で、僕が施設サービス計画を作成していた時は、処方内容は具体的サービス内容ではなく、アセスメント情報として記録するだけで、2表のサービス内容には「服薬支援を行う」等の表記しかしていませんでした。それで十分でしょう。アセスメント情報は、アセスメントした時点での処方内容という意味ですから、これは計画期間中に処方が変わっても変える必要はありません。

例えば施設サービス計画に健康管理で服薬支援が必要な状態を入れるとしたら、第2表のサービス内容に書くべきは下記の3通りでよいのではないでしょうか?

・薬剤調整を行う(医師:適時)
・副作用の確認を行う(看護職員:随時)
・服薬支援を行う(介護職員:毎食後)


昼夜逆転を防ぐなどで眠剤調整が必要な際も、同じように計画書に落とすことができます。これなら薬剤が変わるたびに、軽微変更の手順を踏む必要はありません。こうした形で、少しでも介護支援専門員の仕事を省力化すべきではないかと思ったりしました。

ただこの施設では、この方法が通例になっており、僕の管轄でもないし、指導を仰がれてもいないので、特段の指摘はしてきませんでした。でもあまり良い方法とは言えないことは確かですね。軽微変更ルールに基づいた対応をしているかどうかは不明ですが、一応指摘しておいたほうが良いのかもしれません。

帰る前に対応しましょうか。

とにもかくにも、軽微変更は計画書をいじらなくともよいと考えているケアマネが多いのですが、それは間違いだという理解を今一度深めて下さいね。2表のサービス内容に書くべきこと、書かなくて良いことも今一度整理して考えてみてください。

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看取り介護対象者の入浴支援を考え直すきっかけになったエピソード


Tさんはパーキンソン病を患い、手の震顫(しんせん)に悩みながらも、特養で一部介助を受けながら、自分でできることを頑張ってし続ける芯の強さをもった方だった。

身体状況には日内変動があり、その状況も月日の流れとともに緩やかに衰え続けていたが、決して絶望することなく、周囲に笑いを振りまく明るい性格の方でもあった。

Tさんの最大の楽しみは、「入浴」である。手の震えのため、洗身は介助が必要だったが、身体を支えてもらいながら浴室内を移動し、大きな浴槽につかるのがTさんにとっては至福のときである。

幸いその特養には、源泉かけ流しの天然温泉浴室があり、(曜日は決まっているが)希望すれば夜間入浴もできたし、ほぼ毎日入浴できる施設だったため、Tさんにとっては満足度の高い暮らしを送ることができる場所であったといってよいだろう。

そんなTさんに肝臓がんが見つかった。そのときは手術で癌を切除したが、1年後に再発しただけではなく、他の臓器にも転移しており、「がん末期」という診断を受けた。年齢がまだ60代と比較的若かったことも、がん進行の一因であったかもしれない。

Tさんは余命半年と診断され、施設で看取り介護を行うことになったが、そのことはTさん自身には知らされることはなかった。しかし徐々に身体が弱り、看取り介護に移行してから数ケ月後には、ベッドから離れられない状態となり、Tさん自身、察するものがあったようで、自分がもう長くはないという覚悟をもたれていたように見えた。

そんなある日、Tさんから「風呂に入りたい。」という希望が出された。

Tさんの現況は、身体状況の悪化と体力の低下で、入浴ができない状態と判断されていたため、我々はTさんに対して毎日体清拭を行って保清援助を行っていた。そのためTさんがお風呂に入れなくなってすでに10日が過ぎていた。

そのような中の希望であり、本当に入浴が可能かどうかを話し合った。特に浴槽に入ることは体力を奪うことにつながらないかと考える人も多く、様々な意見が出された。しかしTさんの希望をかなえてあげたいという気持ちは、全員共通していたので、担当医に相談を持ちかけた。

その結果、バイタルが安定しているのなら、湯船に浸かる時間があまり長くならないように注意して入浴することはやぶさかではないという指示を得た。

ただこのときのTさんは、ベッドに臥床状態が続いていたので、特浴で入浴支援を行うことが当然のように考えられており、事実我々は特浴対応で入浴支援を行った。

Tさんはさぞかし喜んでくれると思った我々は、無事入浴支援を終えて数時間後に、「お風呂気持ちよかったですか?」と尋ねてみた。そのとき帰ってきた答えは、「風呂?そんなものに入っていない。」であった。

もともとTさんは認知症ではなく、記憶障害の症状も見られていない方である。がん症状の進行で、身体レベルが低下したとしても、数時間前の入浴を覚えていないわけがない。しかしその表情は険しく、希望がかなってうれしいような表情は見て取れなかった。

そのとき我々は気づかされた。

それは、Tさんが望んだ「風呂に入りたい」という状態は、機械浴で流れ作業のようにお湯に浸かることではなく、臥床状態になる前のTさんが、大きな浴槽の中で手足を伸ばして気持ちよさそうにお湯に使っている、あの姿を望んでいるのではないかということにである。

「もしかしてTさん、温泉に浸かりたいですか?」、その問いかけにTさんは当然のようにうなづいた。

Tさんの希望が単に入浴するという行為を行うことではなく、以前のようにくつろいで温泉に浸かりたいという希望であることに気がつけず、入浴できさえすればよいと思い込み、Tさんがそれまで入ったこともない機械浴で対応することは、Tさんにとっては何も意味のない行為であったのだ。

その2日後、体調を身ながら、二人がかりで温泉浴に入ってもらったときのTさんの表情は、それはもう晴れ晴れとした表情であった。その日から12日後にTさんは旅立たれたが、それまでの間にも数回の温泉浴支援を受けて、その都度満足そうな表情をされていた。

このケースから我々は、看取り介護対象者の方でも、湯船に浸かるという、日本人が長く続けてきた文化を護って支援することの重要性を再認識するのと同時に、支援対象者の生活習慣に応じた入浴方法という配慮が求められることも再認識した。

そして看取り介護対象者だからといって、湯船にゆったりと浸かってお風呂に入る機会を、簡単に奪ってはならないことを肝に銘じ、以後、看取り介護対象者がいつまで入浴支援を受けることができたのかを必ず記録し、その時期や方法について適切なものであったかを、デスカンファレンスで話し合うことを通例とした。

このことに関連して、特養の医師も勤めている中村 仁一氏は、ベストセラーになった著書「大往生したけりゃ医療とかかわるな〜「自然死」のすすめ」(幻冬舎新書)の中で、特養において看取り介護対象者の入浴支援に取り組む職員の姿を、『生前湯かん』と書き、『やりすぎ』というニュアンスで論評されている。

しかしTさんのように、残されたわずかな時間の中で、お風呂に入りくつろぐことを最大の楽しみにしていた人がいたという事実は、利用者が望むことで、それが少しでも実現可能であれば、そのことに向けて我々が最大限のエネルギーを注ぎ込むことに意味があることを示しているように思う。

看取り介護期の、『あきらめない介護』の中には、「湯船に浸かって入浴する機会を作ることもあきらめない」ことが含まれているのである。

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成立した改正介護保険法はマイナーチェンジではないぞ


改正介護保険法などを含む「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」は、先週末の25日に参議院厚生労働委員会で自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決され、26日の参議院本会議でも可決・成立した。

森友問題、加計問題やテロ等準備罪法案審議が全面に出されて、介護保険法案については野党からのさしたる反対の声もなく、過去最低の審議時間で可決されてしまったが、この法案には重大な変更点があって、今後の制度運営に大きく影響しそうである。

介護業界にとってこのことは大ニュースといってよいはずだが、それに対する反響が思ったほどない。また巷のニュースでもその取扱いは大きくない。

介護保険法改正に関連して報道されている内容は、現役並み所得者とされる所得が年340万円以上(単身)などの介護保険サービス利用料が、30年8月から3割負担とされることである。

なるほどこれも大きな変更だ。特に27年度改正で、所得が年280万円以上(単身)など「一定の所得のある人」が2割とされたばかりで、その影響についての検証作業も行われていない状況で、さらなる負担増を求められる人がいることは大問題である。これによってサービスを抑制せざるを得ない人や、そのことで暮らしに困難が生じる人がいないことを願うのみである。

またこの変更によって、高額介護合算療養費の対象となる人が増えることが予測され、居宅介護支援事業所の介護支援専門員などが、この制度を活用するように利用者支援する必要性も増すだろう。そのことを忘れないでほしい。

2号被保険者の保険料が、段階的に総報酬割りに変更されることについても、大企業等のサラリーマン家庭にとっては、直接家計に影響する問題なので、大きく取り上げられるのは当然だろう。

しかしそれらの変更は、かなり以前から予測されていた範囲の域を出ない。それが証拠に、僕自身が2007年12月04日に書いた、「介護保険利用者1割負担は恒久的なものではない」で、自己負担割合は3割まで拡大されることを予測しているし、2号保険料の総報酬割りについては、「2号保険料の算定方式は変更は、財の再分配効果に繋がる」などで、そうすべきであることを主張し続けてきた。

だからこれらは既定路線であり、実施時期が来年度からになったに過ぎない。

今回新たに示された変更として介護医療院を新設(35年度までに介護療養病床を廃止)することや、介護保険と障害福祉のサービスを一体提供することを想定した「共生型サービス」の創設も報道されているが、それ以外にほとんど報道記事に書かれていないことで、大きな変更があることをご存じだろうか。

それはこのブログで再三取り上げている市町村のインセンティブである。(参照:報奨金で地域他付けケアシステムは深化するのか)これは制度の理念や根幹を揺るがしかねない大きな改革である。

このことを、あまり深刻に捉えていない関係者が多すぎるのではないかと心配している。特に改正法で一番影響を受けると思われる介護支援専門員から、そのことに関連した声が挙がってこないのはなぜだろう。それともこの大改革に気が付いていないのだろうか。

これによって市町村のケアマネジメント介入が深刻な問題となってくる。特に30年4月からは、居宅介護支援事業所の指定権が、都道府県から市町村に移り、市町村の指導権限が強化される中でのインセンティブの導入なのだから、報酬金を得るための市町村によるケアマネジメント介入強化が図られる。

そのモデルは和光市方式なんだから、介護保険サービスからの卒業を求められる利用者や、そのことを積極的に行うケアマネジメントが求められてくる。

しかし卒業者といわれる人々の後追い調査では、約1割の人がその後も自費(介護保険外の10割負担)でサービスを使っていたという数字も出されており、その実態は単なる給付制限でしかないことも明らかになっている。そうであるがゆえに来年度以降は全国津々浦々で、そうした矛盾に悩むケアマネジャーが増えるというわけである。

さらにこの問題に関連しては、社会保障審議会介護保険部会が、ケアマネジメント手法の標準化に向けた取組に取り組むことも資料に明記しているのだから(H28年12月9日の社会保障審議会介護保険部会の資料2)、アセスメントツールの統一に向けた動きが出てくる可能性も高い。そうなれば介護支援専門員は、今使っている慣れたた手法を捨てて、統一されたツール手法を学びなおす必要もある。ソフトだって新たに導入しなければならなくなる。

つまり、好む好まざるにかかわらず、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の仕事ぶりが変えられるということだ。これは本当に大きな変更だ。介護支援専門員の職能団体は、このことについてなぜもっと意見を挙げないんだろうか。大いに疑問である。

またこの変更は(あえて改正という言葉を使わない)、他の分野にも及んでくる。、2018(平成30)年度介護報酬改定から、自立支援に向けたインセンティブを検討するとされているんだから、自立支援介護の名のもとに、何らかの成果に対する加算報酬が、各サービスに導入される可能性が高くなった。

それは人の自立を要介護度の軽度化という現象でしか評価しない、「自立支援の矮小化」という方向に流れかねない大問題でもある。

そもそもこの制度においては、アウトカム評価のエビデンスさえ存在していないのに、どうしてインセンティブという考え方につながるのか、大いに疑問である。

どちらにしても今回の介護保険制度改正は、決してマイナーチェンジではなく、制度の理念さえ揺るがしかねない大改革となっているのだ。しかもそれは給付制限という実態を複雑なルールの中でカモフラージュした大改悪である。

マスコミもこの程度のことには気が付いて、広く国民に知らしめるべきであると思うのである。

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地域でつながるということ


最近テレビを見ていると「昔は世界とはつながっていなかったけど、近所の人とはつながっていた。」というフレーズを耳にする機会が増えた。

なるほど、確かに以前のほうが近所とのつながりは強かったように思う。そこかしこに『向こう三軒両隣』の関係性が存在していた。

それに比べ現在は、インターネットを通じて世界と繋がっている人が増えているけれど、それらの人々が近所の人とつながっているとは限らない。むしろ隣や向かいの家に誰が住んでいるかを知らない人も多く、逆にそのことを知ろうとすれば、怪しい人に思われかねないのが現代社会といえるかもしれない。

こうした社会で、要介護高齢者が暮らし続けることは簡単ではない。家族などのインフォーマルな支援者がいるならば良いが、一人暮らしの高齢者で、自分が気づかぬうちに徐々に心身の機能が衰えてきた場合、そのことに気づいてくれる誰かが必要だ。

その状態に気づかぬうちに、誰からも知られない場所で、心身状況が悪化し続けて、住み慣れた地域社会で暮らしを維持できなくなる人が増えている。

地域包括ケアシステムは、こうした人々を発見する地域社会を実現するためにも必要なシステムである。

そのために現代社会のような、つながりが途切れがちの地域社会の糸を、結びなおそうという目的も持っているのだと思う。いつ切れるか分からない糸のような細いつながりを紡いでいく先に、決して切れることのない関係という強固な繋がりをつくりあげるのを目的としたシステムでもあろうと思う。

近隣住民がお互いに関心を向けて、そこで何かあった際にしかるべき機関につなげる関係性がないと、高齢者が増え、様々な生活課題と、そのことに対応するためのニーズを持った人々が、住み慣れた地域社会で「暮らしの場」を確保することが難しくなる。そうしないためのつながりが根底にないと、行政中心のシステムは機能しなくなる。

だから本来このシステムの主役は、地域住民であるはずだ。

しかし医療制度改革や介護保険制度改革で高らかに唱えられる地域包括ケアシステムの構築に必要とされる、保健・医療・福祉・介護のネットワークに、地域住民の姿が見えてこないことが多い。それは本来まずいことだろう。

そういう意味では、今後求められる地域ネットワークには、多職種連携だけではなく、職種を超えた多住民連携の視点も求められるのではないだろうか。

少なくとも住民代表の立場である、町内会などをどのように巻き込んでいくのか、あるいは住民活動に興味を持つ人が、地域ネットワークに参加できる機会を、どのように確保することができるのかということが、『地域ケア会議』等の議題になるべきである。

そこに力を注ぐだけで、地域の社会資源は増える可能性がある。

なぜなら地域包括ケアシステムを支える力の一つは、住民同士がお互いを支えるという力だからである。

住民同士のそうしたつながりを、どのようにつむぐのかが大きな課題だ。

そしてそのときに注意が必要なことは、インターネットで様々な人と繋がっている人が、必ずしも人とつながることを得意としているわけではないということだ。ネット上の仮想世界で饒舌な人が、実際の人間関係の中で、コミュニケーションが上手にできない場合もある。チームワークが必要な機会に参加する経験が少なく、自分や他者の役割りが理解できない日ともいるだろう。

そういう人たちをも排除せず、どう導くかが専門職に問われてくるのだろう。そのためには、専門職であっても、一地域住民であるということを忘れずに、住民目線でものを考える必要もあるだろう。

専門職である以前に、地域住民として、他の地域住民とつながりを持つという意識も必要なのかもしれない。

人と人のつながりが、地域を変えることを信じて、その繋がりを尊く思うことから、真の地域包括ケアシステムは始まるのではないだろうか。

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受講者数は問題になりません


大変ありがたいことに、全国各地の様々な方に、研修講師としてご招待を受ける機会が多い。その数は毎年50本ほどに昇っている。

50本を多いと見るか、少ないと見るかはいろいろな評価があるが、平日の本業を優先している僕にとっては、この数は決して少なくない。だからといって土日を中心に全国を講演して歩く旅がつらいということはまったくない。

むしろそのことは僕にとって一番の喜びである。おかげで日本中のいろいろな場所に行く機会を得て、その土地でしか味わえないものを食べたり、地酒に舌鼓を打ったり、名勝・名跡を目にする機会を得られている。

現在まで僕が講演を行ったことがない県は、山梨・鳥取・島根・香川の4県だけになったが、それ以外のすべての都道府県に行った経験がある人は、そんなに多くはないだろう。ありがたいことである。

勿論、講演は僕にとってビジネスでもあるので、観光は時間があるときに限られており、研修会場近くに観光名所があったとしても、そのようなものに目もくれずに、会場と空港の往復だけで終わることも多い。しかしそうだとしても、研修会場で主催者の方や、受講者の方々との出会いがあり、それがきっかけで新しい関係性につながっていくことも多く、それが僕にとっては何よりの財産である。

そうした機会を毎年数多く持てる人生に幸せを感じながら過ごしている。

講演を依頼してくださるきっかけとして、このブログの読者が、ここに書いている僕の考えに共感して連絡してくれる場合も多い。最近ではフェイスブックでつながっている人が、メッセンジャーから講演依頼を送ってくれる機会も増えている。勿論、僕の著作本を読んで依頼をくださる人もいる。僕の講演を聴いてくださった受講者の方が、研修主催者となって僕を招いてくれる場合もある。

何年も続けて毎年のように僕を招いてくださる団体も多い。本当にありがたいことである。

今年もたくさんの講演依頼をいただいている。masaの講演予定に掲載しているように、すでに来年6月の講演予定も入っている。過去の履歴や予定表を持てもらうとわかるが、テーマも様々に設定している。これらはすべて依頼主様の要望を受けて決めている。

こうした様々なテーマでお話しできるのも僕の売りであるが、それは僕が特養の相談員や介護支援専門員、そして施設長としての経験や、介護支援専門員の職能団体の代表などの経験に基づくもので、すべて実践という裏付けがあるお話であることが、全国の皆様から共感と支持をいただいている最大の理由だろう。

5/14(日)札幌で行った看取り介護セミナーを受講した方から、セミナー主催者の日総研宛に次のようなメッセージが寄せられたとの連絡をいただいた。
----------------------
昨日はお疲れさまでした。 masaさんの研修、やはり最高でした! 「看取り」の研修は僕は2度目でしたが、何度聞いても、熱くて、新鮮でした。 また勇気を頂きました。誇りを持って頑張ります。

今回連れて行った3人の後輩は、それぞれリーダーとして志し高く頑張っており、 今後、●●とともに「特養」を引っ張っていくメンバーでしたが、スタッフのモチベーションやケアの質がなかなか上がらず苦労していました。 しかし、帰りの車の中で始めは「良かったねー」と盛り上がってましたが、その後は〇〇につくまでずっと無言で、それぞれが何かをじーっと考えたり、シュミレーションしたりしているようでした。

masaさんの話を聞いて何かをつかんだ、目標をみつけられたんだと思います。 ほんとうにありがとうございました。

----------------------
このような連絡をいただく僕のモチベーションもますます上がるというものだ。何より僕が話したことを、受講者の方々が実践に取り入れようとしてくれていることがうれしい。それが僕の一番の希望でもある。

ところで講演依頼をくださる人の中には、小さな事業所単位の研修で、人数が少ない場合、講演を依頼すること自体が失礼ではないかと考えて遠慮している場合がある。しかし僕にとって受講人数の多寡はまったく関係ないと言える。1事業所の職場内研修で、10名に満たない場合でも、日程等の条件さえあえば問題なく講師依頼をお受けできる。

例えば何らかの事情で、業務改善・見直しが必要とされる小さな事業所で、再出発のために接遇改善・ケアの体質改善のために、一度従業者全員の意識改革のために、僕の話を聞きたいという事業者もあるが、それは僕の最も得意とする分野である。その場合、どんなに人数が少なくても全国どこでも飛んでいくつもりである。

勿論、講演料や移動費実費などの費用負担が必要となるが、業務改善に直接つながる実務論だから、コストパフォーマンスは高いと言えるのではないだろうか。また予算が足りないという場合は、「交通費と宿泊費が不要のお得な講師ご用命はありませんか。」で紹介しているような機会もあり、まだ空いている日程もあるので、ご相談いただきたい。

とうことで、どうか受講人数は気にせず、講演希望がある方はお気軽にご相談いただきたい。問い合わせ・相談の結果、条件が合わずに依頼しないということもありなので、「北海道介護福祉道場 あかい花」の右上のメールの絵をクリックして、連絡していただけるとありがたい。全国どこにでも飛んでいきます。

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特定事業所集中減算は残るのか、廃止されるのか。


介護報酬改定に向けた議論は、いよいよ佳境に入りつつあるが、利用者負担の導入が見送られた居宅介護支援費については、今後具体的な論議が行われる。

基本サービス費の単価アップは望めないが、加算・減算の見直しが行われるものと思え、そのなかで僕個人としての最大の関心事は、特定事業所集中減算の見直し(廃止)が行われるかどうかという点である。

それは今後のケアマネジメントの評価にも関わってくる重大な問題だからである。

そもそも特定事業所集中減算については、そんなルールは必要ないことを、このブログでは何度も指摘してきた経緯がある。(特定事業所集中減算についての関連記事一覧

関連記事の中の、特定事業所集中減算の見直しが現実化という記事でもお知らせしているが、昨年6月に会計検査院が、減収を避ける目的で意図的に集中割合を下げる事業所が多いとして、「集中割合を調整しようとすれば、必ずしも利用者本位のプランが作られていないことになる。ケアマネジメントのそもそもの趣旨に反する」、「(特定事業所集中減算というルールは、)合理的で有効とは言えない」と見直しを求めたことが、廃止議論のきっかけになった。

そして昨年9月の社会保障審議会・介護保険部会では、その見直しを求める強い声が挙がり、厚労省も「介護報酬改定にあわせて検討する。」と明言しているところだ。

これらの経緯をみると、減算ルールの廃止は現実的なものと言えそうであるが、その後議論は中断しているような状態が続いている。

そんな中で、先月4/26の介護給付費分科会では、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームの入居者に対し、外部の介護サービスが過剰に提供されているのではないかという問題提起がされ、老健局の蒲原基道局長が、来年度に向けて対策を強化できないか検討していく意向を示している。

そうなると、これはケアマネジメントに対する制限強化につながる恐れがあり、特定事業所集中減算という制限は、残しておかねばならないという議論に向かう可能性もあり、予断の許さないところである。

ところでサ高住や住宅型有料老人ホーム入居者の過剰な外部サービスとは何だろう。4/26の会議では、大阪府が公表した報告内容において、一月の支給限度額に占める実際の介護費の割合について、サ高住や住宅型有料老人ホームが、特養より高くなっている点が問題視され、これが囲い込みによる過剰サービスではないかと指摘を受けたわけである。

しかしサ高住は、介護を必要とする高齢者が、外部のサービスを利用することを想定して居住する場所である。また住宅型有料老人ホームは、もともと住居だけを求めた人が入居した後に介護が必要ななった際には、外部のサービスしか利用できないホームである。

両方とも外部サービスであるがゆえに、特養のように暮らしの場に介護サービスが張り付いて、常時見守りができるという状態ではないために、回数や頻度を増やさないと、介護ニーズに対応できないという面がある。

サ高住入居者や住宅型有料老人ホームで介護を要する状態になった人の状態像を見ると、インフォーマルな支援者がいないことにより、必要なケアが受けられない要介護者である場合が多く、インフォーマルな支援者に代わるサービスとして、支給限度額ぎりぎりのサービスが必要な場合も多い。

つまり割合だけで判断できない部分があり、過剰なサービスという指摘が的外れで、必要なサービスである場合もあるということだ。

この点を精査せずに、ケアマネジメント批判が起こり、「同一事業者によるサービス規制」や「特定事業諸集中減算の継続」につながるとしたら、制度改悪に他ならなくなる。

介護支援専門員の職能団体や、サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームの関係者は、この点について、もっとしっかり声を挙げるべきではないだろうか。

同時に、介護支援専門員の方々で、サ高住や住宅型有料老人ホーム入居者の居宅サービス計画を担当している方には、自らの計画を見直して、ケアマネジメント批判につながるような囲い込み前提の計画になっていないか、検証しなおしてほしい。

囲い込みでもなく、過剰なサービスでもないというしっかりとした理論武装ができないプランに終始している限り、介護支援専門員の専門性は疑われ続けることになり、制限も更に増えることになることを忘れてはならない。

世にとって必要で重要な「介護支援専門員」という資格を、そのように自らの手で貶めてはならないのである。

日本の福祉の底辺を確実に引き上げている、介護支援専門員という有資格者としての自覚と誇りを忘れないでほしいと思う。

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先送りされた混合介護


介護報酬改訂議論の中で、昨年から盛んに議論されてきた混合介護については、このブログ記事でも何度も取り上げてきた。(参照:混合介護について

一連の記事を読んでもらうとわかるが、財源がないとして保険給付が縮小される中で、介護保険事業者が保険給付サービスだけに頼らず、保険外サービスの収益も含めて事業経営を考えていかねばならないという方向性は理解できるとしても、現在議論されている混合介護という形が、本当に求められている形なのかということについては、僕は懐疑的に捉えてきたつもりである。

そんななか、5/20に混合介護が先送りされることを各社が報道している。
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政府の規制改革推進会議は、介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」の拡大を先送りする。厚生労働省や与党の一部などから、高所得者ばかりが恩恵を受ける不平等につながりかねない−などの批判の声があるからだ。
同会議は当初、運用開始にあたり混合介護の事業者向けのガイドライン(指針)を2017年内につくるよう厚労省に求めていた。しかし、こうした批判を受け、5月23日に公表する答申では「2018年度上期」に「ルール整理」するとのあいまいな表現に後退するとみられる。これにより、年内の指針策定は難しく、混合介護の拡大運用は遅れる見通しとなった。
(5/20のネットニュースより)
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先送りされる混合介護とは、介護保険給付対象サービスと保険外サービスを同時一体的に提供しようというものだ。例えば訪問介護で、要介護者の生活援助(家事援助)を行いながら、同時一体的に要介護者以外の家族の食事や掃除等を行い、「介護報酬+保険外の自由設定価格」の料金を徴収するという形が考えられていた。

しかしそうした形ではない「混合介護」はすでに合法的におこなわれている。介護保険の指定事業所であっても、保険外サービスの提供により、契約で定めた料金を徴収することは認められているからだ。

介護保険給付の対象となるサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定(保険外料金)することも可能である。
 
1. 当該サービスが保険給付の対象とならないことを説明し、理解を得る
 
2. 当該事業の目的、運営方針、利用料等が事業所の運営規定とは別に定められている
 
3. 会計が指定事業の会計と区分されている
 
4.ただし、当該別サービスを行うことにより、指定業所としての人員配置、設備基準等に低下がある場合、介護報酬の減算や、指定取消を含めた指導の対象となることに留意が必要。


よって通所介護で、人員設備基準の低下がない形での、保険外サービス利用者の受け入れは現在でも可能である。

事業化されている保険外サービスとしては、訪問介護におけるそれが最もポピュラーである。保険給付の対象となっていないサービスの料金を契約で定めて、保険給付サービスの前後に、時間を明確に区切って保険外サービスを利用することは可能だ。時間区分さえ明確になっていれば、保険給付サービスと保険外サービスを連続的に行うことも可能である。

今回先送りされた混合介護とは、保険給付サービスと保険外サービスとを同時一体的に行うというもので、それによりサービス事業者の収益が上がることが期待でき、従業者の給与引き上げにもつながるという理由づけがされていたが、果たしてそうなのだろかと疑問を呈し続けてきた。

保険給付サービスと保険外サービスを同時一体的に行うことで、従業者の手間や労力は増えることは確実で、介護事故も増える可能性が高い。

保険外サービスを一体的に提供し、収益が上がる構造になることを理由に、保険給付単価が下げられはしないのかという危惧もぬぐい切れない。(※むしろ保険給付サービスと時間を別にすれば可能な保険外サービスを、わざわざ同時一体的に行うことを推奨する意味は、同時一体的に保険外収益を得ることができるという飴の替わりに、保険給付は下げるという鞭が隠されていると疑う人は多いのではないだろうか。)

厚労省内部や与党から「保険外の負担ができない人がサービスを受けにくくなる」などと慎重意見が出されるのもうなづける。

そもそも要介護者(もしくは要支援者)以外の家族の家事支援等をサービスとして行うことは、介護保険の理念である、「自立支援」と矛盾するし、そうしたサービスを保険給付と同時一体的に提供するとしたら、自立を支援しないサービスプランを不適切としてきた行政指導とも整合性が取れなくなり、介護保険制度の理念自体を揺るがす問題になりかねない。

そのような諸々のことを鑑みると、今回の先送りは適切な判断であったと言えよう。

しかしこのことによって次期介護報酬の議論の中心は、2018(平成30)年度介護報酬改定から、自立支援に向けたインセンティブの実現に向かうのではないかと危惧している。(参照:自立支援に向けたインセンティブは実現するのか

そうなることは介護保険制度における自立支援の矮小化という結果しかもたらさないと思われるからである。

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新刊・介護の誇り、好評です。


5月11日に上梓した僕の新刊本、「介護の誇り」について、医療・介護の総合情報サイトCBニュースが、『masaさんが「介護の誇り」を上梓 』として取り上げてくれている。

大変すばらしい紹介文を書いていただき恐縮である。このブログの読者の皆様にも、是非ご一読願いたいものだ。

新刊・介護の誇り
事前に購入予約いただいた方々のお手元にも、先週中に届いていることと思うが、週末にでも目を通していただいただろうか。僕の著作本を読まれて読者がどのように感じてくださるのかは、いつも気になることであるが、それを直接確かめる機会は意外と少なく、時折感想を寄せてくださる方のコメント等を読んで、喜んだり、反省したり、意外と自分は小心者であることに気づかされる。

本を読まれた方で気が付かれた方がいると思うが、本には下記のように発行日が本日5月22日とされている。

介護の誇り
実際に印刷製本がされ、書店等の店頭に並べられる日と、本に書かれる発刊日がなぜ違うのかはよくわからないが、今まで出版した自著本4冊も同じように、実際の発刊日と本の記載日は異なっていたので、出版に際する何らかの慣例あるいはルールに基づくものなのだろう。

どちらにしても本に記載された発刊日は本日なので、この機会にぜひ発注いただけるとありがたい。

インターネットで、「本 介護の誇り」で検索すると、この本を購入できる取次サイトが次々とヒットするようになってきているが、中には著者名を間違えて表記する取次サイトがあるのが困ることである。

良く間違われるのであるが、僕の苗字は、「菊地」であって、「菊池」ではない。

メールなどの変換ミスで菊池と書いてくる分には、いちいち菊地ですと訂正して、以後気を付けてもらえば問題ないが、作品を紹介・取次を行うサイトであれば、最も重要な作者名を確認してからサイトアップしてほしいと思うのは僕だけだろうか。ちょっと気になる所である。

全国の書店でも平積みされているところもある。
新宿紀伊国屋
画像はフェイスブックでつながっている神奈川の岡さんが、新宿紀伊国屋で平積みされてる僕の本を撮影して、彼のフェイスブックにアップしてくれたものである。岡さんありがとう。もちろん平積みされていた本は全冊買って、周りの人に配っていただけましたよね・・・。

この本を販売した先々週の札幌セミナー会場では、受講者の半数以上の方が本を購入してくださり、大変ありがたく思った。

次の販売会場は、大阪市老連主催のセミナー・『高齢者虐待の実態と防止策』 〜虐待をゼロにする難しさ 当たり前のこと!をしっかり考える〜 となる。このセミナーは、参加料が会員¥2,000、一般¥4,000となっているが、どなたでも参加できるオープンセミナーなので、興味のある方は張り付いたリンク先から、是非お問い合わせいただきたい。

今後、僕の講演では主催者の方々の許可が得られれば、この本を販売しながら、ご希望者にはサインもさせていただくので、よろしくお願いします。なお僕が講演を行う会場に、すでに購入した本をお持ちいただく場合も、喜んでサインをさせていただくので、すでに購入済みの方は、遠慮なさらずに本を持参していただきたい。

本を購入っしていただいた方には、是非読んでいただきたい。決して本棚の肥やしで終わらせることがないことをお願いしたいところである。
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多職種連携における介護職の役割り


多職種連携が機能するために必要なことより続く)

多職種連携は、協働作業のための連携なので、チーム内での協力が必要になる。

しかし協力とは、誰かの力を借りる前に、自分の担当領域を自分自身の力でしっかりカバーするという前提によって成り立つ。その上で自分と異なる専門性をもった人に、自分がカバーしきれない領域のコンサルテーションを受けるという意味として協力を仰ぐのである。

連携してより良い方法を手に入れるために、他の専門職の力を借りるという意味は、自分がすべきこともせずに、人の力を借りるという意味ではないことに注意が必要である。

※コンサルテーションとは、異なる専門性をもつ複数の者が、援助対象である問題状況 について検討し、よりよい援助の在り方について話し合うプロセスをいう。対人援助におけるコンサルテーションとは、ある専門職が、関連機関や関連領域の他の専門家等に的確な情報と意見を求め、援助に役立てることである。

そうであればチームメンバーは、自分以外の専門職の領域についても、ある程度の知識を持っていなければならない。他職種や他領域のことをまったく知らないと、所属意識の弊害が発生して、思考が自分の専門領域のみの利益に偏る恐れがあるからだ。

そういう意味では、「自分のことを他のメンバーにわかってほしい」と思ったり、「自分のことを他のメンバーがまったく理解してくれない」と嘆く以前に、「自分が他のメンバーの役割りや思いを理解しよう」とすることが重要となる。

そうしないと意見の食い違いの原因を、相手の理解不足だと決め付けてしまい、共通する価値観や目的、目標を捉える議論にはならないのである。それは新しい要求に応じられない状態を生み、「慣れた仕事の手順だけを続けたい」という保守的な考え方から抜け出せない状態を生む。

医療職や看護職が、チームメンバーである介護職員に求める要求として、「医療分野の専門家とコミュニケーションを図れるようになってほしい」という意見が多いが、それは介護職員に対する上から目線と捉えるのではなく、介護職員に自分たちの役割りを理解してもらう前提として、最低限の医療知識や看護知識は必要とされるという意味でポジティブに捉えてほしい。

分からないことは聞けばよいのだ。その替わりに一度尋ねたことはとことん理解できるまで疑問を正し、理解して忘れないように努めることだ。その際にあまりにも分かりにくい専門用語があれば、「利用者やその家族は、そのような用語は理解できないと思います。」というふうに、利用者の立場から代弁することがあっても良いだろう。

ところで対人援助チームの連携に際して、チームの中で介護職の役割りは何かと考えたとき、介護職の立場はなかなか難しいことが分かる。

なぜなら医業は医師ではないとできないし、医療行為は医師や看護師等しかできないが、介護は誰が行っても良い行為である。その中で専門性を探すのは難しいとも言える。

勿論、介護ができることと、介護技術に長けていることには大きな違いがあるし、介護知識や介護技術に長けていることは、介護の専門性であるといってよいとは思うが、それは目に見えにくいものである。

そうであるがゆえに介護職員のチーム内での役割りを考える場合、しっかりとした介護技術を持っていることを前提として、さらに他職種から期待される役割りを意識する必要がある。

他職種連携チームの中で、医療職・看護職が介護職に求める役割りは、しっかりとした介護技術を基盤にした身体介護と生活援助(家事支援)のみならず、「家族や他の人には言えないことを引き出す能力」であったり、「その人の今を深く知る他者、声を拾う専門職」・「細かな変化に気づける観察力」・「他職種(医師、PT、看護師等)が知りたいと思うことを、介護を通じて情報収集すること」であったりする場合が多い。

つまり他のメンバーは介護職に対して、「利用者の一番近くで気づく人」という役割りを求めており、利用者の真情を代弁することを求めているわけである。

勿論、利用者の代弁機能は、連携チームメンバーのすべての人が意識すべき大切な機能であるが、介護職は他の職種と比べ、利用者と密接にかかわる場面が多い職種であるがゆえに、他の専門職が気づかないような利用者の訴えや思いをくみ取り、それを本人に代わって周囲に伝えていくような行動が、他の専門職からより強く求められるわけである。

その期待に応えることも、介護職の専門性を発揮するということにつながるのではないだろうか。

なぜなら介護職とは「暮らしを支援する専門職」であり、暮らしの中でのちょっとした微妙な変化に気づくことが出来、利用者の「声なき声」を聞く事が出来る職種だからである。そしてこのような介護職員の「声なき声を聴く利用者の代弁者」としての役割は、対人援助の連携チームの中では非常に重要ではないかと思われるのである。

利用者の一番近くで気づき代弁する専門職。それが多職種連携において介護職員に求められるのではないだろうか。

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