masaの介護福祉情報裏板

介護や福祉への思いを中心に日頃の思いを綴ってみました。表の掲示板とは一味違った切り口で、福祉や介護の現状や問題について熱く語っています!!表板は業界屈指の情報掲示板です。

2010年07月

認知症学習療法の効果は?

もうずいぶん昔の話であるが、精神医学の分野では、総合失調症等の様々な症状に対応する新療法が考案され、例えば「電気ショック療法」なども盛んに行われていた。しかし現在では、このような治療はほとんど効果がないとして、ごく稀な症例を除いて行われることはなくなった。

同じように「温浴療法」「入浴療法」などと言われる取組も行われた時期があり、これは1日に複数回、一定時間、一定温度の湯船に浸かることで、暴力行為などの精神症状が改善する療法であると言われた。しかしその方法をよく調べてみると、かなり長い時間、しかも1日に3回も4回も湯船に浸かっており、これじゃ精神症状がある人も、湯あたりするか、のぼせて行動がダウンするだろうと思えるものである。

こういうことも現在では行われなくなっている。

しかし例えば、鬱症状のある方に対し「光」が効果あるとして5,000〜10,000ルクス程度の照度を30分-1時間程度照射する「光療法」なるものも行われていて効果があるとされている。これはしっかりとしたエビデンスのある治療法となっていくのだろうか?

「電気ショック療法」にしても「温浴療法」にしても、その当時はしっかり有効であるという「科学的データ」が示されているのに、なぜ時がたつとそれが否定されるような状況になっているのか。それほど医学というのは不確実な要素を数多く抱えていると言えるのだろうが、少なくともその当時に有効であるとされた理由は何かあるんだろう。

それはおそらく新療法ということで、それに関わる関係者が、新療法の対象となる患者に、非常に近いところで濃厚に関わるという人間関係が生じていたという所に理由があるのではないか?効果があるのではないかと一生懸命療法に関わり、効果の検証のために一生懸命患者の傍らで状態を観察し、コミュニケーションを交わした、ということにその効果のモトダネがあるのではないか?

なぜ今更こんなことを考えているかというと、最近、認知症の高齢者の症状改善に繋がるということで「学習療法」が大流行だからである。この療法にそんなに効果があるのかと、疑い深い性格の僕は首を傾げたくなるのである。

認知症高齢者に対する学習療法とは、音読と計算を中心とする教材を用いた学習を、学習者と支援者がコミュニケーションを取りながら行うことで、学習者の認知機能やコミュニケーション機能、身辺自立機能などの前頭前野機能の維持・改善を図るもので、一度特定の機能を獲得した神経細胞がほかの機能を獲得する能力を意味する「脳の可塑性(かそせい)」に着目した療法である。

認知症高齢者に対しては、脳を活性化していくことによって認知症の進行スピードを緩め、場合によっては進行をくい止めたり、症状が軽くなる可能性があり、学習療法はこの効果に期待したものである。

この療法を推奨する東北大学の川島隆太教授の講座などは大人気で、受講者を募集すれば制限しなければ軽く千人を超える希望者が集まることもまれではない。そして各地に学習療法を実践する事業所ネットワークとしての「学習療法研究会」が立ちあげられており、北海道でも今月それが発足した。

認知症高齢者に対する学習療法は川島教授と某民間営利企業が作る研究所の登録商標で、勝手に名乗ったり使ったりできるものではない。

この効果について、それを実践している人々に聞くと、効果があり見当識や記憶の改善がみられるケースがあったり、症状が出る前にテスト結果から認知症の進行や症状の発症の兆候がみられるという肯定的な意見が多い。

しかしなお疑い深い僕は、これとて眉唾に聞いているのである。

それは学習療法自体の効果なのか、あの療法に取り組みにおける1対1の利用者と担当者の関係と時間の共有の効果なのか、これは少し時間をかけての検証が必要だ。

そもそもこれを川島教授とのタッグで推奨している研究所の母体は、子供の学習法で有名な企業だから、少子化で子供の学習だけでは収益の先が見える状況を見越して、需要の大幅増が見込める認知症高齢者にターゲットを絞った商業戦略に乗ったものではないかなどと穿った見方をしてしまう。

こうした先入観はいかんと自分でも感じているが、どちらにしても世間のこの療法に対する現在の「免疫なき受容状態」は少し異常だと思っている。

少なくとも、僕が携わるサービスの現場では、療法よりも関係を大事にしたい。関係を紡ぐ(つむぐ)方法論の一つに、そうした療法という機会があってもよいとは思うが・・・・。

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MVP獲得の舞台裏

本日当施設は午前中から介護保険法の介護老人福祉施設の実地指導と、老人福祉法の社会福祉法人定期監査(悪いことをしているわけではなく老人福祉法上は監査である)の真っ最中である。(表の掲示板の実況中継でご存じの方も多いだろう。)

今、昼休み休憩に入ったところなので、いつものようにブログ記事を更新しようと思うが、あまり堅い話題を書くと、実地指導の内容に及んでしまって午後からの協議に支障を来しても困るので(行政批判に関連する記事になってもまずいしな。)、全く別の軽い話題にしたい。今日の報告などに関連する記事は、後日改めて書くとしよう。


全国優勝記念左の画像は、平成2年5月25日に撮影したもので、岩手県盛岡市で行われた第12回東日本軟式野球選手権(一部)で全国制覇した際の記念写真である。右端で優勝旗を持っているのが、当時チーム(三愛病院クラブ)の主将で29歳の頃の僕である。

ドラえもんの「のびた」のようなでかい黒ぶちの眼鏡が笑えるが(画像をクリックすると拡大するので、そうしてみるとよくわかります)、当時はヤクルトの古田も同じような眼鏡をかけていたし、きっと流行りだったのだろう。この時、胸に掛けているメダルは、僕らが数々の大会で優勝してもらったメダルの中でも、特別思い入れが深いものだし、大切なものであり、大事にしまっている・・・と思って、どこにあるだろうかと探してみたが・・・ない!!

まあ物より、記憶の方が大事だからあきらめよう。


遠征先でのヒトコマちなみに右の写真も、この年の高松宮杯全道大会期間中のヒトコマであるが、このように野球をやっていた当時は、義務免除で休みをいただいて全道・全国を野球をするためだけに飛び回っていたのである。しかし大会期間中でも、こんなふうに飲んだり遊んだりしながら息抜きをしており、野球漬けではなかった。この写真の右から3人目が僕だが、それにしても若いし、顔も細いよなあ〜。


天皇杯全道優勝ところで、全国優勝のメダルを探しているときに出てきたのが、こちらの画像のメダル2個である。一つは軟式野球の最高峰である天皇賜杯軟式野球大会で全道優勝した際のメダルで、この時の全国大会は宮崎県都城市で行われ、僕らは開幕試合で今は亡き高円宮殿下の観戦試合にあたり、厳重な警備の下(ベンチにもSPが張り付いていました)地元宮崎県の代表チームと戦い、見事5-0で勝利した。その後、2回戦で香川県代表チームに4-3で惜敗、その時の相手投手は、あの池田高校野球部の出身だった。メダル一つで、こういう記憶がよみがえってくる。懐かしいなあ。

たそがれ野球MVPさてもう一つのメダルは、チームで獲得したものではなく、僕が唯一持っている個人賞のMVP(最高殊勲選手賞)を獲得した時のメダルである。受賞した大会は、非常にローカルであるが、北海道新聞社旗争奪「たそがれ野球大会」という大会で、その冠のごとく、多くの企業の仕事が終わる後の午後5時30分からプレーボールされる大会で、夕闇でボールが見えなくなる場合は、その時点で終了となる。ただ夏は午後7時半くらいまでは明るいので、規定の7回終了まで試合ができることが多い。僕らは、仕事が終わってからでは間に合わないので、この大会に出場するために、午後4時30分以降は就業義務免除されていた。

そもそも軟式野球はボールが硬式より飛ばないこともあって、投手戦が多くなる傾向が強く、自然と個人賞も投手から選ばれやすいから、野手で、しかもたいした優秀なプレーヤーでもない僕が個人賞をとること自体が奇跡的である。しかも、その時のMVP獲得には、ちょっとした裏話があるのだ。そのことを記事にしよう。

たそがれ野球と馬鹿にする人がいるかもしれないが、この地域はノンプロの強いチームが多く、都市対抗野球で全国制覇した大昭和製紙(当時:白老町;現在は日本製紙)や新日鉄室蘭等で活躍した往年の名プレーヤーが軟式野球に下りてきているので、結構レベルが高い。

この時の決勝も、新日鉄SMEXというチームとの対戦で、相手のバッテリーは、鈴木投手・岡田捕手という、前年まで都市対抗野球でクリーンアップを打っていた選手である。ちなみに鈴木選手は、過去に野手として近鉄バッファローズのドラフト指名を受けたことがある。

試合は投手戦となり0対0で最終回まで進んだ。スコアは互角だが、鈴木投手の速球に僕らのチームは手こずって、チャンスも作れず押され気味であった。

最終回の表の攻撃、ツーアウトから、四球で待望のランナーが出て、僕に打順が回ってきた。ところが、ここで我がチームの監督はギャンブルに出ようとした。カウント1-1から盗塁のサインが出たのである。これが何故ギャンブルかというと、相手投手はモーションも早い速球投手で、しかも捕手は、この地区でも有名な鉄砲肩の岡田捕手である。盗塁の成功する確率は非常に低いと言わざるを得ない。

ただ監督にすれば、ここでヒットが出ても長打でない限り得点にはならないし、ましてや投手の出来をみると、連打が続く期待も持てないので、ギャンブルでスコアリングポジションまでランナーを進めて、1本のヒットで得点する場面を作ろうというわけである。

しかしサインをみた僕は考えた。「絶対無理だって。盗塁アウトに決まっている!」って。そしたらその時点で攻撃終了、僕の打席は回って来ない(延長なしで、この回が最終回。同点の場合は、両者優勝というルールだった。)。それはいかんとも受け入れ難い選択肢であった。

当時僕はチームの主将であったし、チームプレーの大切さは人一倍分かっていたし、監督のサインは絶対であると考えて無視することなどなかったが、この時ばかりは、グランドで実際にプレーしていない監督がゲームの臭いを嗅ぎ取っていないと憤った。

で、どうしたかというと、ここはわがままを通そうと決断し(たそがれ野球というローカルな大会だからできたことではあるが)、盗塁のサインを無視し、ともかく来た球に手を出そうと決めた。もし空振りであっても、盗塁死なら、その時点で打席はなくなるので、ともかくファールでも当てるのが絶対条件であると思った。そして変化球はカットするつもりで、速球に的を絞って待っていた。

相手バッテリーも当然、盗塁があり得ると速球勝負をしてくるだろうし、捕手が投げやすい外角球を投げてくるだろうと思って、思い切り踏み込んでバットを出そうと思った。

そうしたら、おあつらえ向きに外角高めの「真直ぐ」が来た!!ともかくバットを振ろう、当てようと思って、踏み込んでいる僕にとって外角球は真ん中と同じである。見逃せばおそらくボールの高めのコースだが、そんなの関係ない。「シャアー」というばかりにバットを一閃すると、真芯でボールを捉え、右中間を深々と破るスリーベースヒットになって一塁ランナーは長駆ホームイン。これが決勝点となった。

しかしこの場合のスリーベースヒットはちょっとまずい。何しろサインを出した監督は、三塁コーチャーボックスに立っているのだ。塩梅悪いというわけである。案の定唖然と僕の方を見ながら、次の瞬間苦笑いしながら「しゃあないナア」と一言吐き捨てられた。

しかし決勝点は決勝点であり、この裏の攻撃を抑え、見事この大会を制した。MVPはピッチャーかなと思っていたが、決勝タイムリーがよほど印象的だったのか(勿論サイン破りとは誰も知らない)僕がそれに選ばれた。こうなれば後から監督もあまり嫌味が言えないというわけである。

しかしである。やっぱり野球は個人スポーツではないので、監督の指示を無視するのはいかんと反省している。皆さんも職場の上司の指示を無視した個人プレーはいかんぞ。

職場でも施設長の指示を無視してはいけないのである。しかし・・・説得力はないか・・・。

さあそれでは午後の実地指導と監査に臨みますか。今日は午後6時から、登別市地域福祉実践計画推進委員会があるから、パパパッと終わらせちゃいましょう。表の掲示板の実況中継で進行具合を確認していてください。

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何のための大学だか・・。

世間では学生たちが既に夏休みに入っていたり、もうすぐ入ろうとする季節である。

僕の長男は大学3年生だが、この夏休み期間は実習のため、プライベートな時間はほとんどとれない。幸い実習先が実家近くの公的機関であるため、実家に帰省して通えるのが親にとっても安心だし、嬉しいことではある。

大学生の実習は、自分の専門研究の糧になるものであるし、大学で培った知識を実地の場で確認して自分なりの技術を磨く場であるので、人生のこの貴重な一時期に、そうした体験を持てることに喜びを感じてほしい。

遊びや、休養の時間は人生の中で、これからいつでも取ることができるが、学生という身分で、誰かを指導教官として現場で学ぶという機会は2度とないのだ。それは実際に職業に就いた後のOJTなどと全く異なる「実習機会」であり、未熟であっても社会人である場合には間違うことができないこともあるが、学生実習であるがゆえに許容されることもあるだろうし、自分の職業に対する「向き、不向き」も自分自身で確認できる機会なのだから、できるだけ大事に真剣に相対してほしい。しかし彼について言えば、親が言わなくても本人は分かっているようである。

ところで最近の福祉系の大学では、3年時または最終学年の夏休みや冬休み、あるいは春休みを使って、社会福祉士受験対策集中セミナーなどを企画して実施しているところがあるらしい。大学によっては、新卒者の社会福祉士国家試験合格率の高さを「売り」にしているところもあると聞く。

正直って馬鹿げていると思うし、そんな大学などなくしてしまえと思う。

大学とは、単なる最高学府というにとどまらず、学術研究の場であって、その道の専門家、研究者を育てる場であり、それは特定の資格を取るだけのことを意味しない。

そもそもそうした特定の資格だけにターゲットを絞った集中セミナーを開催するのが大学という機関の役割だと考えている連中の頭の構造が分からない。社会福祉士の資格を取るためなら専門学校でも行った方がましだろう。そんなことだから豊かな学識やユニークなアイディアを持った専門家が育たなくなりつつあるのだ。

社会福祉の勉強を4年間という期間を費やし学んでいる人間であれば、社会福祉士の資格試験など過去問を少し解きながら、日ごろの知識を積み重ねるだけで落ちる方が難しい、というレベルの試験だろうと(個人的には)思っている。それなのに新卒者の合格率が低いのは、最高学府としての大学の教育方法と、学術研究を学生に促す姿勢が問われているという問題で、集中セミナーや集中講義で詰め込み学習して、知恵にならない知識をまる暗記させ合格率を高めても、専門研究機関としての矜持は保たれない。

資格取得に血眼になって集中セミナーを受けなければならないレベルの低い学生と、その受講を促す頭のいかれた大学教授。こうした学生や大学教授が少子化で学生の減っている時代に、逆に大量生産されている現状が、この国の教育レベルの衰退に繋がっている。それはとりもなおさず、福祉マンパワーのスキル低下に繋がっているといっても過言でないだろう。

特に福祉援助の現場では、コミュニケーションツールとしての言葉や文章は重要なのに、大学を卒業したのに、まともな表現力がなかったり、論文の一つも書けない人間が実に多い。

人間としての表現力は、特定の資格を取ることによっても、集中セミナーで知識を詰め込まれても獲得できるものではない。

だから大学生の長期の休み期間は、実習を行う以外に、人生経験としてのアルバイトや、遊びや、様々な人間関係を通して人間自体を学んでいく貴重な時間であると同時に、自分の研究対象を様々なものから探すことができる貴重な時間でもある。

卒論のテーマに沿った素材を探すために、地方の名もなき図書館で文献を探したり、わずかな時給を得るために、どれだけ大変さがあるかを知るために働いたり、輝く太陽の時間を感じるために寝る間さえ惜しんで遊びまわったり、それが大事なのである。夏休みや冬休みはそのためにあるものだ。

そんな時間を社会福祉士試験合格セミナーに使う方も、使わせる企画をするほうもどうかしている。

大学よ、そこの教授連中よ、単なる国家資格合格者を生産するんではなく、研究者として優れたセンスを持つ若者を育てよ。それが君たちの役割だということを忘れないでほしい。

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こんな悲惨な死があってはならない

関係者の方は既にご存じだろうが、介護サービスに関連して、事業者のミスでまた貴重な命が奪われてしまった。それも非常に悲惨な形である。

(東京新聞記事より抜粋)
24日午後5時ごろ、千葉県木更津市羽鳥野の介護施設「めぐみの家」敷地内にある屋外の駐車場に止めてあったワゴン車内で、同市貝渕一、無職宇田川美知子さん(81)が死亡しているのを介護施設職員が発見し、木更津署に届けた。同署は、炎天下で室温が上がった車内で熱中症で死亡したとみている。
木更津署によると、宇田川さんはデイサービスの利用者。施設から委託された男性(70)が運転したワゴン車で自宅に迎えに来てもらい、午前九時十五分ごろ施設に到着。ほかに四人の利用者が同乗していたが、宇田川さんだけが降車しないでいるのに気付かず、約8時間置き去りとなったらしい。宇田川さんは三列シートの一番後ろの座席に座っていた。同署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
夕方になって、利用者を帰宅させるために職員がワゴン車を見に行き、宇田川さんに気付いた。


過去にも介護サービスをめぐっては、特養で特浴搬送用のストレッチャーから転落死亡する事故や、特浴の温度調整がずさんで火傷を負わせ死亡させた事故や、通所介護の送迎車のリフトから転落し死亡した事故などがあり、このように介護サービス関連で事故が起こった場合、当施設・事業所でも同じ間違いを犯さないように、事故内容を職員に周知して、原因を考え、対策を講じるようにしており、この死亡事故についても同じように周知した。しかし今回の死亡事故に対する職員の反応は今までの事故の周知の際とは全く異なったものであった。

それは「こんなことあり得ない」という反応であり、どれだけの不注意をすればこんな事故に繋がるのだろうと考えてしまうほどの想像範囲外であるという反応である。

送迎委託で、直接サービスに関わっていない70歳の運転手が一人で送迎対応していたとしても、自分が実際に車両に乗せた利用者を(被害者は足が不自由で自力で歩けなかったそうだから当然、乗車介助もしているはずである)わずか5人しか乗せていない車両から降ろすのを忘れた、ということも信じられないが、当該通所事業所の不注意もそれ以上に信じられない。

ワムネットで調べたところ、当該通所介護事業所は12名定員である。いくら被害者が臨時利用であったとしても、わずか12名の当日の利用者の顔が浮かばない事業者はどうかしている。点呼をしないから気づかないという状況でもないだろう。あまりに機械的にサービスを提供していたんではないのか?

せめてその日に利用する一人ひとりの顔を思い浮かべながら、玄関で迎えるサービスでなきゃあ・・・。その時、送迎車から降りてこない人に気づくサービスでなきゃあ嘘だろうに・・・。

普通なら事業所に到着後にバイタルチェックが当然行われるであろうし、その時に利用予定者がいなければ気づくだろうに・・。百歩譲って、何らかの事情でその際に気がつかなかったとしても、昼食は人数分用意しているはずで、その時にも一人欠けていることになぜ気がつかないのか?こういうことを考えると、この事業所の普段のサービス内容や経営理念はともかく、介護サービスを提供するという組織としての責任感や運営方法に大きな欠陥があったと言わざるを得ない。

それにしても、このような事故で命を失ってしまった方は本当にお気の毒である。本来そこでサービスを受けることは楽しみであるはずだ。仮にそう感じてはいなくとも、そこで命に係る危険があろうと思いながら利用している人はいない。それなのに、本来人の豊かな暮らしを守るためにあるべき通所介護に行ったのに、わずか5名しか乗っていないワゴン車から自分一人が降ろしてもらえず、灼熱の車内に8時間も放置されてしまった。寂しく怖かったろう。さぞ苦しかったろうに・・・。

人生の最期の瞬間をこんなつらい思いをしなければならなかったなんて、そんな状況で生涯を終えなければならなかったなんて、なんともやりきれない。

我々は高齢者の方々に関わりを持つサービスに従事しているんだから、利用者さんの死という時期がサービス終了時期であるという例が数多くある。そうであるがゆえに、我々は関わりを持った瞬間から、最期の時を安らかに迎えるために日々ベストの対応に心がけようという気持ちが必要で、それが「ADLからQOL、そしてQODへ」という考え方である。

しかし死の瞬間が、こんなに寂しく、哀しく、つらい状況でるとしたら、そしてそれが介護サービス事業者の不注意でそのような状況が作られているとしたら、あまりにもそれは罪深いことである。

我々が施設で看取り介護に係る際の理念として、マザーテレサの「人生の99%が不幸だとしても、最期の1%が幸せだとしたら、その人の人生は幸せなものに替わるでしょう。」という言葉の実現を目指そうとしているが、今回の事故死のケースは、これとは全く逆の状況を生んでしまっていると言わざるを得ず、その過失責任は重大である。

今はただ亡くなられた方のご冥福をお祈りするしかない。深く、深くご冥福をお祈りするしかない。こんなことが2度と起きませんようにと祈りながら・・・。合掌。

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判決主文・日本初のケアプラン作成義務についての判例(最終回)

(6)不作成の被告主張未作成プラン等につき、原告が主張する理由について
ア、原告は、被告主張未作成プラン等の不作成は、業務過重やパソコンの故障等の現場の仕事環境に原因があり、原告の職務怠慢によるものではない旨主張し、職場にも慣れない状況で一挙に33人の利用者の引継ぎを受け、残業、日直、休日出勤をして忙しく働いていた、また、被告〇〇で使用していたパソコンに不具合があったなどと陳述する。(甲63)

(ア)そこで検討するに、証拠(甲61.63.乙8.106.107)によれば、原告が被告〇〇において担当していた各月ごとの利用者数の推移については、平成17年7月に引継ぎを受けた時点で27人(入院中等の者を含めると、33人)、同年8月に31人、同年9月に32人、同年10月に35人、同年11月に34人、同年12月に37人、平成18年1月に40人、同年2月に43人、同年3月に44人であったと認められるところ、当時、介護支援専門員一人当たりの担当利用者数は標準で50人とされており(本件基準2条2項、前提事実(2)エ)、原告の担当者数はこれよりも少なかったこと、その後、同年3月厚生労働省令第33号による改正(同年4月1日施行)により、介護支援専門員一人当たりの担当利用者数は35人とされたものの(同改正後の本件基準2条2項)、少なくとも平成17年11月までの原告の担当者数はこの改正後の基準よりも少なかったこと、被告〇〇の他の介護支援専門員であった〇〇〇〇(以下「〇〇」という。)の担当件数は、平成17年7月に45人、同年8月に44人、同年9月に44人、同年10月に44人、同年11月に43人、同年12月に42人、平成18年1月に43人、同年2月に41人、同年3月に45人であったと認められ、原告の担当者数よりおおむね上回っていたが、〇〇は、業務を遅滞なく行っており、〇〇〇〇点検結果(乙4)上も、平成17年6月までについて点検された部分については、利用者番号7(〇〇〇〇)のものを除き、過誤は認められていないことが認められる。
 加えて、証拠(乙4.127.証人〇〇)によれば、〇〇は、原告の担当していた利用者から、38名の業務を引き継いだ後、作成されていないケアプラン等について、平成18年6月30日付け業務命令により作成を指示され、31名について、利用者宅を訪問し、同年8月下旬までにはケアプラン等を作成し終えたことが認められ、このような事情にもかんがみれば、原告の業務が過重であったために被告主張未作成プラン等が作成されなかったものと認めることはできない。

(イ)また、証拠(甲62.63)によれば、原告が被告○○で常勤介護支援専門員として各利用者を担当していた期間(平成17年10月1日から平成18年3月31日まで)において、ケアプランの作成作業を行うパソコンに不具合が生じたとして、業者が対応業務を行ったのが、平成17年10月17日と同年11月24日の2回であったことが認められ、加えて、証拠(乙107)によれば、〇〇は、原告が主張しているコンピューターの故障や不具合はない旨述べていることなどにも照らせば、いまだ業務遂行が不能又は著しく困難な程度のパソコンの支障があったとまではいうことはできない。

(ウ)以上からすれば、被告主張未作成ケアプラン等の未作成について、業務過重やパソコンの故障等の現場の仕事環境に原因があったということはできない。

イ、以上のほか、原告は、個別の利用者について、未作成のレアプラン等が生じた理由を主張するので、以下検討する。

(ア)原告は、利用者番号15(〇〇〇〇〇)について、同利用者からの訪問看護を受けたい旨の相談が急であり、速やかに訪問看護を行う必要があったため、緊急とのことでケアプランを未作成のまま訪問看護サービスを受けることになった旨主張するが、証拠(甲42.63、乙136.137)によれば、同利用者は、平成18年2月3日に要介護認定を申請したこと、原告は、同月16日に同利用者の家族から、同利用者につき訪問看護の居宅サービスを受けたい旨の相談を受けたこと、同年3月7日から同利用者に対する訪問看護サービスが開始されたこと、原告は同月8日に〇〇〇〇に対し同利用者に係る要介護認定等に関する資料の開示を申請し、そのころ、「認定情報(開示用)」と題する書面等の開示を受けており、開示に係る資料には、介護認定審査会による判定結果及び認定の有効期間等の記載がされていたことが認められるところ、前提事実(2)オのとおり、介護認定の申請中の場合であっても認定の見込み内容を基にアセスメントを行い、同結果に基づいてケアプランを作成することが求められると解されることから、〇〇〇〇から要会gp認定等に関する資料の開示を受けた以降、介護保険被保険者証の交付を受けるのを待つことなく、速やかに、遅くとも同月中にはケアプランを作成すべきであったものといえる。しかし、原告は、同月末に異動するまでに同利用者についてのケアプランを作成しなかったものであるから、前記アの説示にも照らせば、原告は、同利用者のケアプラン等の作成を怠ったものというべきである。

(イ)原告は、利用者番号43(〇〇〇〇)について、家族から情報がもらえなかったため未作成となっている旨主張するが、証拠(乙131)によれば、同利用者につき、平成17年9月に従前の介護支援専門員(被告〇〇とは別の事業者に所属)から原告に交代した際、原告に対し家族から情報提供がされていることが認められ、同利用者について不作成がやむを得ない事情によるものであったなどとする原告の上記主張は認められない。

(7)以上の検討結果を踏まえ、本件解雇の効力について検討するに、前記(3)ないし(6)のとおり、原告は、利用者番号7(〇〇〇〇)(ただし、認定の有効期間平成18年1月1日からの分)22(〇〇〇〇)(ただし、認定の有効期間平成18年2月1日からの分)、25(〇〇〇〇〇)及び29(〇〇〇〇)の各モニタリング表を除く被告主張未作成プラン等の作成を怠ったものであり、その態様からすれば、原告の職務遂行能力は不良であったと言わざるを得ず、本件解雇が客観的に合理的な理由を欠くものとはいえない。
 また、前記(2)の本件解雇に至る経緯のとおり、原告は、平成18年5月に後任の〇〇から本件チェック票を渡され、その後、書類の作成を催促されるなどしたのに対し、監査が入ると分かったら作ればよい旨回答するなどして、同書類の作成をせず、同年6月6日ころに原告が介護支援専門員として作成すべき種類の作成を怠っている事実を知った被告〇〇から、早急に整理して完備するよう指示されたにもかかわらず、これらの作成をせず、被告〇〇は、同月30日には、これらの未作成の種類の作成を〇〇に命じるに至ったものであり、その後も、原告は、被告○○や〇〇らから作成を促されても「おいおいにやっているので、待っていてください。」などと返答し、同年7月には、そのことで○○や被告〇〇と口論するなどし、原告は、被告〇〇に対し「私は辞めますので、後任のケアマネを探してください。」などと述べた一方で、未作成ケアプラン等の作成については更に猶予を求め、これに対し、被告〇〇は、「あなたのいう猶予とはいつまでか、6か月か、1年か、もういいかげんにしてくれ。あなたと一緒に仕事をすることはできない。おれが辞めるか、あなたが辞めるか、〇〇(〇〇〇〇〇〇)に決断してもらおう。」と述べるなどし、同年8月15日には、被告〇〇が〇〇〇〇〇〇から種類不備についての業務指導を受けるなどし、同月21日や23日の会議においても、原告は、未作成のプラン等は今から作る等と述べるなどしていたものであって、これら経過を踏まえ、同月29日に本件解雇の通知がされたものと認められる。
 これからすれば、本件解雇が、社会通念上相当として是認することができないものということもできない。
 したがって、本件解雇が解雇権の濫用として無効になるということはできない。

主文
1.原告の請求をいずれも棄却する。
2.訴訟費用は原告の負担とする。

判例番号:平成19年(ワ)第378号 損害賠償請求事件
判例番号:平成19年(ワ)第583号 地位確認等請求事件

以上。本日の記事をもって本判決文の情報提供記事を終了します。

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裁判所の判断4・日本初のケアプラン作成義務についての判例7

イ、作成の有無について
(ア)原告は、(3)項の利用者の一部について、狭義のケアプランを作成しなかったことを認めている(前記アにおいて、そもそも作成義務がないと主張するものを含む。利用者番号14.15.19.20.27.30.44.46。なお、利用者番号44については、別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の「当事者の主張」・「原告の主張」欄に作成の有無について記載がないが、「備考」欄に「更新あるも(サービス内容に)変更なし」旨記載されていることのほか、作成を証する証拠の摘示がないことなどにもかんがみれば、作成自体はされていないとする趣旨に解される。)

(イ)また原告は、上記(ア)を除く(3)項の利用者の一部について、狭義のケアプランを作成期限後に作成したことを認めている(利用者番号1.2.4.6.7.9.12.18.22.31.33.35.41ないし43)。

(ウ)原告は、上記(ア)及び(イ)を除くその余の(3)項の利用者については、狭義のケアプランを作成期限までに作成した旨主張する(利用者番号3.5.23ないし25.29.36.40のもの。以下「原告主張作成済み利用者」という。)。
a そこで検討するに、原告は、まず、狭義のケアプランを作成する上で要求される利用者の同意については、原告が作成済みと主張するものにはすべて狭義のケアプラン自体に利用者の同意署名を得ていたなどと主張する。
 しかしながら、本件基準によれば、「介護支援専門員は・・・当該居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により利用者の同意を得なければならない。」とされ(本件基準13条10号)、被告〇〇においては、かかる同意の方式として、狭義のケアプラン(第1表)自体に利用者の署名押印をもらう方式(乙1)や、別文書(「居宅サービス計画書に関する同意書(兼受領書)」)で、狭義のケアプランと第7表及び第8表とを併せて利用者の署名押印をもらう方式(乙18、34ないし37。以下「別文書方式」という。)、又はこれを併用する方式が存在していたところ(証人〇〇)、原告主張作成済み利用者については、狭義のケアプラン自体に又は別文書で利用者に同意を得たことを示す証拠は提出されていない。そして、前記(2)のとおり、原告から居宅介護支援専門員の業務を引き継いだ〇〇は、本件基準29条2項2号に基づき被告〇〇に保管されている利用者のファイルや、原告がケアプランの作成に使用していたパソコン内を確認した上で、平成18年5月7日、本件チェック票を作成したものであるところ、本件チェック票(乙127.132)によれば、原告主張作成済み利用者のうち、3.5.23.25.36及び40については狭義のケアプランは作成されているものの利用者の同意を確認することができず、24及び29については作成自体の確認ができなかったとされており、〇〇は、これらを含む未作成プラン等について原告に問い合わせたが、同月末になっても原告から提出はされなかったのであり(前記(2))、さらに、被告〇〇は、〇〇〇〇に対し、平成18年11月13日付け「平成17年度書類不備報告について」と題する書面を送付し、本件チェック票を踏まえ、原告主張作成済み利用者について、いずれも作成なしとして報告し(乙8)、〇〇〇〇においても、関係書類を点検したところ、いずれについても作成なしと認例されている(〇〇〇〇点検結果。乙4。)。この点、原告は、原告が利用者から同意署名を得た原本は被告〇〇が所持しているとも主張し、同旨の供述もするが(原告本人)、被告〇〇が、本件基準に従った運営をしなかったとして重大な不利益処分を受ける恐れのある状況下で、利用者の同意署名を得た原本があるのにあえてそれを提出せずに不作成であった旨虚偽の申告をするとは考え難く、原告の上記の主張は採用できない。
 以上にかんがみれば、原告主張作成済み利用者について、そのうち利用者番号24及び29のものについては作成自体がされておらず、その余のものについては、狭義のケアプラン自体への同意署名又は別文書による同意署名は存在しないものと認めるのが相当である。

b もっとも、原告は、狭義のケアプランに対する同意の様式について、第7表及び第8表への利用者の署名押印で足るものと主張し、原告の担当していた各利用者についてはいずれも第7表及び第8表に利用者の署名押印を得ていることから、これをもって狭義のケアプランへの同意があったと主張する。
 しかしながら、本件チェック票によれば、原告主張作成済み利用者のうち、利用者番号25の平成18年3月分の第7表に利用者の署名は確認されなかったものであるが、このことを措いても、本件基準によれば、文書により利用者の同意を得なければならない対象については、「当該居宅サービス計画の原案の内容」とされるところ(本件基準13条10号)、居宅サービス計画の原案に記載される内容とは、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項をいう(同条8号)から、これらを標準様式で示される様式に則していえば、狭義のケアプラン、第7表及び第8表の内容を指すものと解される。そして被告〇〇においても、狭義のケアプラン、第7表及び第8表について利用者の同意署名を得ることが必要である旨指導されており(乙110)、実際に、被告〇〇において採用されていた別文書方式においても、第7表及び第8表のほか、狭義のケアプランも同意の対象とされていることからすれば、被告〇〇においても、狭義のケアプランも同意と第7表及び第8表に対する同意とは別であるとの解釈の下で運用されていたものといえる。原告は第7表及び第8表への同意をもって足りる旨主張するが、第7表及び第8表の記載事項では、前記居宅サービス計画の原案の記載内容(同条8号)を網羅するものといえないことから、同条10条にいう同意として十分なものといえず、原告の上記主張は採用できない。

c 以上より、原告主張作成済み利用者については、そのうち利用者番号24及び29のものについては作成自体がされておらず、その余のものについては利用者の文書による同意がないものといえる。
したがって、(3)項の利用者の狭義のケアプランについては、いずれも適切に作成されたものということはできないことになる。

(4)被告主張未作成ケアプラン等のうち、アセスメント表又は第4表について(利用者番号1ないし7.9.10.12ないし15.18ないし25.27.29ないし31.33.35ないし46.49。以下「(4)項の利用者」という。)

ア、作成義務の有無について
原告は、(4)項の利用者のうち、利用者番号1.2.4.6.9.12.14.18ないし20.22.24.27.30.31.33.41.44ないし46については、前任者において作成すべきこと又は期間更新時にサービスの変更がないことから、いずれも原告に作成義務が生じない旨主張するが、これらの利用者は、すべて(3)項の利用者に含まれており、狭義のケアプランを作成する前提としてアセスメントを行い、その結果に基づいて居宅サービス計画の原案を作成してサービス担当者会議を主宰するなどすることになるから、いずれについてもアセスメント表や第4表の作成義務が生ずることになるものと解され、原告の上記主張は採用できない。

イ、作成の有無について
原告は、(4)項の利用者のうち、利用者番号7(〇〇〇〇)については作成済みである旨主張するが、別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の同利用者に係る「当事者の主張」、「原告の主張」欄では、いずれも平成18年4月以降の作成である旨記載されている。そして前記(3)ア(ア)のとおり、要介護更新認定がされた場合には、改めてケアプランを作成すべきところ、同利用者に係る要介護更新認定後(有効期間平成18年1月1日から平成19年12月31日まで)のアセスメント表及び第4表については、遅くとも更新に係る有効期間の始期である平成18年1月1日までに作成すべきことになるから、原告主張の作成時期を前提としても、いずれも作成期限後の作成となる。
 また、利用者番号22(〇〇〇〇)についても、原告は、別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の同利用者に係る「当事者の主張」、「原告の主張」欄で「作成あり」との主張をするが、その作成日は認定の有効期間の開始時点以降としていることから、作成期限後の作成である。
 利用者番号7及び22を除くその余の(4)項の利用者については、別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」において、原告も不作成を認めるもの(そもそも作成義務がないと主張するものも含む。利用者番号1ないし3.5.10.13.15.19.21.23.25.29.33.35.ないし37.40.42.43.49)と、作成の有無の記載のないもの(利用者番号4.6.9.12.14.18.20.24.27.30.31.38.39.41.44.ないし46)とがある。後者について、いずれも作成を証する証拠は提出されていないところ、利用者番号24.38.45のアセスメント表については、第4表が作成されていないこと、また、その余の利用者については、狭義のケアプランが作成されていない(期限後の作成を含む。)ことにもかんがみると、これらはいずれも作成されていないと認めるのが相当である。

(5)被告主張未作成プラン等のうち、第6表又はモニタリング表について
(全利用者)
ア、作成義務の有無について
(ア)原告は、利用者番号3.13.25.29.35ないし37.42について、利用開始日が平成18年1月10日意向であるとして作成義務の不履行はない旨主張するところ、その趣旨は、1か月に1度以上作成すべき第6表と異なり、モニタリング表は3か月に1度作成すべきものであるところから、利用開始日が上記のとおりであれば、原告が介護支援専門員としてこれらの利用者を担当していた平成18年3月31日までに、モニタリング表の作成義務は生じなかった旨主張するものと解される。
 前提事実(2)エ(イ)fのとおり、本件基準では、少なくとも3か月に1回モニタリングの結果を記録することが求められており、このことを踏まえ、前記(1)ウ(カ)のとおり、モニタリング表は、少なくとも3か月が経過するごとに速やかに作成すべきことが求められているものと解される。
 原告の上記主張のうち、利用者番号3.13.35ないし37及び42のモニタリング表については、そもそも作成義務不履行が解雇理由と主張されているものではない。その余の利用者番号25及び29のモニタリング表については、いずれも平成18年1月中の利用開始であるから(別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の利用者番号25及び29に係る「当事者の主張」欄参照)、原告が平成18年3月末までにこれらの利用者のモニタリング表を作成しなかったとしても、作成義務に違反するとまではいうことはできない。

(イ)次に、原告は、利用者番号46(〇〇〇〇)について、要介護更新認定を受けた月と同じ平成17年10月から居宅サービスの利用が停止されたため、第6表の作成義務は生じない旨主張するが、前記(3)ア(イ)に認定したところからすれば、原告には、第6表の作成義務が生ずるものであり、原告の上記主張は採用できない。

イ、作成の有無について
(ア)原告は、利用者番号7(〇〇〇〇)の第6表のうち、平成17年7月分については作成した旨主張し、証拠として当該利用者の当該期間に係る第6表を提出する(甲46の8)。しかしながら、本件チェック票においては、当該第6表の存在が確認された旨は記載されておらず(乙127.132)、また、〇〇〇〇点検結果(乙4)においても、同利用者につき平成17年7月分以降の第6表がないとされていることからすると、原告が、同利用者の平成17年7月分の第6表を期限内に作成し、事務所ファイルにつづっていたものと認めることはできない。
 他方、原告は、同利用者のモニタリング表のうち、認定の有効期間平成18年1月1日からの分については同月27日に作成済みである旨主張するところ、〇〇〇〇点検結果(乙4)においても、同月分のモニタリング表は確認されていることからすると、原告はこれを作成していたものと認めるのが相当である。

(イ)また、原告は、利用者番号22(〇〇〇〇)の認定の有効期間平成18年2月1日からの分について、第6表及びモニタリング表を作成した旨主張するところ、同利用者の上記期間に係る第6表については、そもそも作成義務不履行が解雇理由として主張されているものではなく、また、モニタリング表については、〇〇〇〇点検結果(乙4)によれば、同期間に係るモニタリング票の確認はできた旨記載されていることからして、モニタリング表は作成されていたと認められる。

(ウ)そのほか、利用者番号1ないし3.5.8.10ないし13.15ないし21.2325.2628.29.31.32.34ないし38.40.42.43.47ないし49については、原告も不作成を認めている(別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の各利用者についての第6表及びモニタリング表に係る「当事者の主張」・)「原告の主張」参照)。
 また、利用者番号4.6.9.14.24.27.30.33.39.41.44ないし46については、原告は、別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」に、作成したものかどうか記載していないが、〇〇〇〇点検結果(乙4)によれば、これらはいずれも確認されていないことからして、不作成であったと認められる。

(明日に続く〜明日は原告が主張する不作成理由の妥当性評価から最終判断、主文まで:最終回)

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裁判所の判断3・日本初のケアプラン作成義務についての判例6

(3)被告主張未作成プラン等のうち、狭義のケアプランについて(利用者番号1ないし7.9.12.14.15.18ないし20.22ないし25.27.29ないし31.33.35.36.40ないし44.46以下「(3)項の利用者」という) 

ア、原告は(3)項の利用者のうち、要介護更新認定を受けた者(利用者番号1.2.4.6.7.9.12.14.18ないし20.22.24.27.30.31.33.41.44.46。以下、「本件更新利用者」という。)については、提供されるべきサービスの内容に変更がない限り、介護支援専門員には、そもそも新たにケアプラン等を作成する義務が生じない旨主張する。そこで、以下、要介護認定の更新がされた場合におけるケアプラン等の作成の要否について検討する。

a、まず、介護保険法27条によれば、要介護認定の手順は、以下のとおりと解される。
 要介護認定を受けようとする被保険者は、申請書に被保険者証を添付して市町村(保険者。本件においては〇〇〇〇)に申請をする(指定居宅介護支援事業者等が手続を代行する場合もある。)。(同条1項)
 市町村は、当該被保険者の心身の状況等についての調査(委託を受けた指定居宅介護支援事業者等による場合もある。)及び主治医へ意見を求め、それらの結果を介護認定審査会へ通知する。(同条2項、6項、7項)
 介護認定審査会は、要介護状態に該当すること及びその該当する要介護状態区分等に関する審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知する。介護認定審査会は、必要があると認めるときは、当該被保険者の要介護状態の軽減又は悪化の防止のために必要な療養に関する事項又は同法41条1項に規定する指定居宅サービス等の適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項について、市町村に意見を述べることができる。(同条8項)
 市町村は、上記介護認定審査会の通知に基づいて、要介護認定又は要介護者に該当しない旨の判断を行う。なお、介護認定は、その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる。(同条10項ないし12項)

b 介護支援専門員は、利用者につき、上記の手順を経て要介護認定がされている場合にはその内容を踏まえ、又は要介護認定が未了の場合にはその認定の見込み内容を踏まえ、アセスメントを行う。そして、居宅要介護者等が指定居宅サービス等の適切な利用等をすることができるよう(前提事実(2)ア参照)、アセスメントの結果に基づき、居宅サービス計画の原案を作成し、担当者会議を主宰するなどして専門的意見を聴取し、同原案を修正の上、前提事実(2)オ(イ)の様式に従って、ケアプランを作成する。(前記(1))
 介護支援専門員が作成するケアプランのうち第1表には、要介護認定に関し、認定済みか申請中かの別や、認定の有効期間、要介護状態区分(要支援又は要介護1から要介護5までの中から選択する。)、介護認定審査会の意見及びサービス種類の指定を記載する。(甲56)。
このような記載が求められる理由として、標準様式通知には、以下のように記されている。

(a)認定済みか申請中かの別
 認定により要介護状態区分が確定しているか、初回申請中又は変更申請中で要介護状態区分が変動する等の可能性があるかを明らかにしておく必要がある。
(b)認定の有効期間
 当該ケアプラン作成に係る要介護状態区分の有効期間がいつまで継続するのかを把握することにより、例えば、長時間にわたり要介護状態区分に変化がない事例の点検に資する。
(c)認定審査会の意見及びサービス種類の指定
 介護保険法に「指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援を受けようとする被保険者から提示された被保険者証に、介護認定審査会の意見が記載されているときは、当該認定審査会意見に配慮して、当該被保険者に当該指定居宅介護支援を提供するように努めなければならない。」(同法80条2項)などとされていることを受け、被保険者証に認定審査会の意見及びサービスの種類の指定が付されている場合には、これを第1表に転記し、これに沿ったケアプランを作成するとともに、サービス担当者間の共通認識として確認しておく必要がある。

c 要介護認定は、要介護状態区分に応じて定められる期間(有効期間)内に限り効力を有するものである(介護保険法28条1項)が、要介護認定を受けた被保険者は、有効期間の満了日においても要介護状態に該当すると見込まれるときは、要介護更新認定の申請をすることができる(同条2項)。要介護更新認定の手順は要介護認定と同様であり、まず、市町村(保険者。本件においては〇〇〇〇)において、当該被保険者の心身の状況等についての調査及び主治医への求意見がされ、介護認定審査会において、要介護状態に該当すること及びその該当する要介護状態区分等に関する審査及び判定(必要があると認めるときは、市町村に意見を述べる。)が行われ、市町村において、要介護認定又は要介護者に該当しない旨の認定が行われることになる(同条4項、27条(11項を除く。))。要介護更新認定は、要介護認定の有効期間の満了日の翌日にさかのぼってその効力を生ずる(同法28条5項)。

d 以上のように、ケアプランは、介護支援専門員が要介護認定内容(認定未了の場合はその見込み)や認定審査会の意見等を踏まえ、居宅要介護者等が指定居宅サービス等の適切な利用等をすることができるように作成するものであるところ、要介護認定は、認定の有効期間によって終了し、要介護更新認定の申請により、改めて申請者の心身の状況等についての調査がされ、主治医への意見が求められ、介護認定審査会において、要介護状態への該当の有無及び要介護状態区分等に関する意見が述べられるものであることからすると、要介護更新認定がされた場合、改めてアセスメント表を初めとするケアプラン等が作成されるべきことが前提とされているものと解すべきである。
 このことは、第1表に認定の有効期間の記載が求められ、また、第2表に長期目標・短期目標の期間や援助内容等の期間の記載が求められており(前提事実(2)オ(イ))、当該有効期間内のケアプランであるべきことが前提とされていることからも明らかといえる。
 また、本件基準13条14号において、介護支援専門員は、要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けた場合、サービス担当者会議を主宰すること等によって、担当者の専門的意見を求めるとされており、かかるサービス担当者会議等の前提として居宅サービス計画の原案を作成しておくべきことが求められると解されることからも、介護支援専門員は、要介護更新認定がされた場合に改めてケアプランを作成すべきことが求められているものと解される。
 原告は、「居宅サービス計画ガイドラインを使った課題分析と介護サービス計画の作り方」と題する文書(甲58)に、「本様式は、当初の介護サービス計画原案を作成する際に記載し、その後、介護サービス計画の一部を変更する都度、別葉を使用して記載するものとする。但し、サービス内容への具体的な影響がほとんど認められないような軽微な変更については、当該変更記録の箇所の冒頭に変更時点を明記しつつ、同一用紙に継続して記載することができるものとする。」と記載されていること(標準様式通知の「記載要領」及びガイドライン(甲56)の記載と同様)や、「介護保険サービス運営ハンドブック」(甲43)に「居宅サービス計画の変更(第15号)」、「介護支援専門員は居宅サービス計画を変更する際には、原則として、基準第13条第3号から第11号までに規定された居宅サービス計画作成に当たっての一連の業務を行うことが必要である。なお、利用者の希望による軽微な変更(サービス提供日時の変更等)を行う場合には、この必要はないものとする。」と記載されていることを根拠に、提供されるべきサービス内容に変更がなければ改めてケアプランを作成する義務は生じない旨主張し、同旨の陳述及び供述をする(甲63、原告本人)が、これらの記載は、その文脈上、認定の有効期間内において、サービス内容が変更される場合における記載要領を述べるものと解され、要介護更新認定の場合とは前提を異にする。前記のように、そもそも、利用者に提供される居宅サービス計画の原案を作成し、サービス担当者会議の主宰等を経て、ケアプランが決定されることになるものであって、原告の上記主張は採用できない。

(イ)なお、原告は、利用者番号46(〇〇〇〇)について、要介護更新認定を受けた月と同じ平成17年10月から居宅サービスの利用が停止されたため、狭義のケアプラン作成義務は生じない旨主張する。(別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」のうち、同利用者に係る「当事者の主張」・「原告の主張」欄参照)が、証拠(乙4の50、109)によれば、同利用者は、同年11月5日まで通所介護(デイサービス)の居宅サービスを利用していたことが認められるから、原告には同利用者につきケアプランを作成すべき義務が生じていたものであって、原告の上記の主張は認められない。

(ウ)以上より、原告は、本件更新利用者を含む(3)項の利用者について、いずれも狭義のケアプランの作成義務を負っていたものといえる。

(明日に続く〜明日は裁判所の判断4〜作成の有無についてから)

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裁判所の判断2・日本初のケアプラン作成義務についての判例5

現在、本日行う講演のため大阪に移動中である。大阪の今日の気温は35℃を超えるとの事で、道産子の僕にとっては厳しい暑さである。

さて判決文の情報提供記事もいよいよ佳境に入ってきた。判決の核心部分に触れる熱い内容が続く。本情報提供記事は土日も休まず、来週月曜まで続く予定である。

(2)本件解雇に至る経緯 
ア、前提事実及び証拠(甲4ないし6、42.Z10.17.29.127.133.証人〇〇、原告本人、被告〇〇本人)によれば、本件解雇に至る経緯は、以下のとおりであると認められる。

(ア)原告は、平成17年7月6日に被告〇〇に非常勤の被告〇〇指定居宅介護サービス事業・居宅介護支援事業・介護支援専門員(ケアマネージャー)として雇用され(雇用予定期間同年9月30日まで)、同年10月1日から常勤の居宅介護支援事業介護支援専門員となった。
 原告は、平成18年4月1日に居宅介護支援事業介護支援専門員兼地域包括支援センター主任介護支援専門員に任命された。

(イ)〇〇は、原告の後任の介護支援専門員として、平成18年5月1日から、原告の担当していた利用者のうち38名について事務引継を開始した。〇〇が、本件基準29条2項2号に基づき被告〇〇記録棚に保管されている記録を確認したところ、上記利用者のうちの一部についてパソコン内にもそのデータは入力されていなかった。そこで、○○は、同月7日、原告が作成すべき書類についての作成の有無を一覧にした本件チェック票を作成した。
 ○○は、平成18年5月中旬ごろ、原告に対し、本件チェック票を手渡し、書類が作成されていないことについて質問したところ、原告は、整理していないだけなので少し待ってほしい旨述べた。
 しかしながら、原告は、平成18年5月31日に至っても不作成書類を〇〇に提出しなかったので、○○は、原告に対し書類の作成を催促した。これに対し、原告は、監査が入ると分かったら作ればよい旨回答した。
 ○○は、平成18年6月1日、監督機関である〇〇〇〇〇の〇〇〇〇に相談し、同日、被告〇〇の記録棚の確認及びパソコンの再確認をしたが不作成書類は見当たらなかった。そこで○○は、同月5日、本件チェック票を添付した「業務引継ぎに関する不備について」と題する書面(乙127)を作成し、同月6日、被告〇〇に提出した。

(ウ)被告〇〇は、平成18年6月6日、〇〇から提出された上記書面により、原告が介護支援専門員として作成すべき書類の作成を怠っている事実を知り、そのころ、原告を呼んで本件チェック票を示して説明を求めた。これに対し、原告は、作成すべき種類を作成していないことを認めた上、自己が記載していたメモに基づいて不作成書類を作成する旨を約束したため、被告○○は、早急に整理し、完備するように指示した。また、原告は、残業や休日出勤をして処理する旨を述べたところ、被告〇〇は、その旨を了承した。なお被告○○は原告に協力して不作成書類を作成をする旨申し出たが、原告は、その申出を断った。
 また〇〇〇〇〇〇は、主任会議(〇〇〇〇において、〇〇〇〇(〇〇)、〇〇〇〇及び〇〇〇が出席し、毎週開催される会議)において、原告に対し、早急にケアプラン等の作成をするように注意を促したところ、原告は、「責任を持って作成しますが、しばらく猶予を下さい。」旨返答した。
 その後、被告〇〇は、原告から作成した旨の報告がなかったことや、他の職員に確認しても原告がケアプラン等を作成している状況はうかがえなかったことから、平成18年6月30日、〇〇に対し、原告に作成義務がある未作成プラン等について、原告に作成を指示しているが一向に作成する様子がないため、返還、減算もやむを得ない状況にあるが、介護保険事業所への支障を最小限に抑えるべく早急に貴殿で作成するよう指示する旨の業務命令書を交付して、その作成を指示した。

(エ)その後、被告○○や〇〇らが、原告に対し、未作成のケアプラン等の作成を促すことがあったが、原告は、これに対し、「おいおいにやっているので、待っていてください。」などと返答していた。
 また、未作成のケアプラン等のことで、原告と〇〇らとの間で口論となることもあり、平成18年7月12日にもそのような口論があった。そして同日の口論の後、原告は、被告〇〇のところへ行き、「私は辞めますので、後任のケアマネを探してください。」などと述べた一方で、未作成ケアプラン等の作成についてはさらに猶予を求めた。これに対し、被告○○は、「あなたのいう猶予とはいつまでか、6か月か、1年か、もういいかげんにしてくれ。あなたと一緒に仕事をすることはできない。おれが辞めるか、あなたが辞めるか、〇〇(〇〇〇〇〇〇)に決断してもらおう。」と述べた。

(オ)平成18年7月14日及び同月21日、それぞれ広域連合から、被告〇〇に対し、個別の利用者についてケアプラン等の提出依頼があり、原告は、これらの依頼に係る書面を作成し、同月31日、〇〇〇〇に提出した。
 また、平成18年8月4日にも、〇〇〇〇から、被告〇〇に対し、個別の利用者についてのケアプラン等の提出依頼があり、原告は、同依頼に係る書面を作成し、同月14日、〇〇〇〇に提出した。

(カ)被告○○は、平成18年8月15日、〇〇〇〇〇を訪れたところ、書面不備について業務指導を受け、会計監査で発覚した場合は減算どころか指定取り消しにもなりかねないので、自主申告した方が事業所の存続に繋がるのではないかと指摘され、また、理事会報告をしないと管理者責任を問われるなどと指導を受けた。

(キ)被告〇〇は、平成18年8月21日、原告に対し、原告がそれまでに作成したケアプラン等についての業務報告を求めた。同日、被告〇〇介護保険事業所関係者が集まり、会議が開かれ、原告の未作成ケアプラン等の件について話し合われた。原告は、作成済みの分は提出し、未作成の分は作成する旨などを述べた。また、原告は、ヘルパーを交えた会議を開催するように求めたため、後日、改めて職員会議(全体会議)が開催されることになった。
 平成18年8月23日午前、原告は、未作成ケアプラン等のうち、19人分の第1表及び第2表について、封筒に入れ、〇〇に交付した。その中には利用者の同意署名のないものがあったため、〇〇が指摘すると、原告は、「家族の都合で逢えないこともありますから。」などと述べた。同日午後、被告〇〇において全体会議が開催され、再び原告の未作成ケアプラン等の件について話し合われた。原告は、作っていないケアプラン等は今から作る、ただ、今すぐというのはできない旨などを述べた。これに対し、被告○○は、同会議において、原告に辞職を迫った。

(ク)平成18年8月29日、理事会が開催され、原告については、1か月分の賃金を支払って解雇すべきとの結論となり、同日、〇〇〇〇〇から、原告に対し、同月31日付けで解雇する旨(本件解雇)の通知が交付された。同月29日付け解雇理由書において、本件解雇の解雇理由は、「業務について不正な行為(具体的には、あなたがケアマネ(注:介護支援専門員のこと)として、当然作成すべきケアプランが作成されていない。(1表〜8表・モニタリング。・アセスメント)29件)ことによる解雇」とされた。
 その後、原告が本件解雇を争う姿勢を示したところ、被告〇〇は、平成18年11月9日、原告に対し、再度8月31日付け解雇理由書を交付した。同日付け解雇理由書においては、本件解雇の解雇理由が追加され、「職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、別紙のとおりしたこと。)による解雇」「業務については不正な行為(具体的には、別紙のとおりしたこと)による解雇」及び「勤務態度又は勤務成績が不良であること(具体的には、別紙のとおりしたこと)による解雇」とされ、別紙として、「平成18年6月6日にケアマネジメント業務1票〜6票(ケアプラン31件・サービス担当者会議31件、介護経過45件)7・8票(利用票・利用票別表14件)モニタリング45件、アセスメント38件を作成していないため、速やかに作成するよう指導したが作成せず、再三に亘る指導においても作成されていなため解雇とする。」とされた。

イ、なお、上記認定について、原告は、〇〇への引継ぎをしたのは平成18年5月後半であり、また、〇〇から本件チェック票を手渡されて未作成ケアプラン等の作成を催促されたことはない旨陳述及び供述するが(甲4、原告本人)、〇〇が同月7日現在として本件チェック票を作成し、さらに同年6月5日付けで、本件チェック票を添付して「業務引継に関する不備について」と題する書面を作成し、被告〇〇に報告していること(乙127、132)などの経緯に照らせば、前記アのとおりに認定するのが相当であり、これに反する原告の陳述及び供述は採用できない。

(明日に続く〜明日は裁判所の判断3〜作成義務の有無についてから)

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裁判所の判断1・日本初のケアプラン作成義務についての判例4

本日の記事からは、いよいよ裁判所が示した判断である。つまりこの裁判は確定しているので、今日以降の記事で示す「裁判所の判断」とは即ち「判例」として確定された解釈である。

よってこの中で「〜求められるものと解するのが相当である。」「〜されておることが必要である。」とされている部分は、現時点で絶対的なもので、最低限ケアマネジメントとして、このことが行われていなければ、今後はこの判例に基づき指導対象になるという意味でもある。

その判断を「当然の考え方」と感じるか、「こんなふうに解釈できるの?」と感じるか、ここは現場の実務に携わる介護支援専門員にとっては大きな問題である。

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)(本件解雇は、解雇権の濫用にあたるか。)について
(1)介護支援専門員の職務の内容について
介護支援専門員は、要介護者等からの相談に応じ、また、市町村、居宅サービス事業を行う者等との連絡調整を行い、職務としてケアプラン等を作成するものであり(前提事実(2)イ)、その職務の内容については、本件基準13条に指定居宅介護支援の具体的取扱方針として示されている(前提事実(2)エ)

ア、ガイドライン(甲56)によれば、上記の具体的取扱方針を踏まえ、介護支援専門員の職務の具体的内容は次のとおりとされている。

(ア)介護支援専門員は、1エントリー、2アセスメント、3居宅サービス計画の作成、4居宅サービス計画の実施に伴う手続、5モニタリングをそれぞれ実施し、5の後、居宅サービスの終了まで、必要に応じて2の手続に戻る。

(イ)エントリー(1)
 要介護認定された要介護者等が居宅介護支援事業者を選択し、又は居宅介護支援事業者が認定前の要介護者等とみなされる人を発見するなどしてその人について要介護認定がされた後、介護支援専門員は、当該要介護者等にケアマネジメントを始めることを説明し、了解を取り付ける。

(ウ)アセスメント(2)
 介護支援専門員は、アセスメント用紙(アセスメント表)を用い、面接や観察を通じて要介護者等の生活の全体像を把握する。

(エ)居宅サービス計画の作成(3)
 介護支援専門員は、アセスメントによって得られた情報を基に居宅サービス計画の原案を作成し、サービス担当者会議(ケアカンファレンス)を主宰するなどして専門的意見を聴取した上、上記原案を修正し、これに対して要介護者等本人・家族の同意や居宅サービス事業者の合意を取り付け、居宅サービス計画を決定する。

(オ)居宅サービス計画の実施(4)
 介護支援専門員は、居宅サービス事業者に対し、サービス内容、頻度、時間数などを明確にした文書(サービス提供票)をもって居宅介護サービスの依頼を行うとともに、利用者にも同様の文書(サービス利用票)をもって予定されるサービス内容を明確にする。
 また、介護支援専門員は、居宅サービス計画に基づき実施したケアの実績について、介護給付対象のサービスの種類・点数等を「給付管理票」に記入し、国民健康保険連合会に送ることが求められる。

(カ)モニタリング(5)
居宅サービス計画が要介護者等又は家族にとって適切であるかをみるため、計画の実施に合わせて本人及び家族から感想などを尋ねる一方で、居宅サービス事業者からも情報を得る。モニタリング過程を通じて新たな課題(ニーズ)が発生していると考えられる場合等には、再度アセスメントをし、サービス担当者会議を主宰するなどして意見を調整し、居宅サービス計画の未真央氏を行うことになる。

イ、また、被告〇〇における介護支援専門員の業務の実施手順については、要旨、次のとおりとされている(乙3)
(ア)利用者に対するアセスメントの実施
(イ)居宅サービス計画(第1表ないし第8表)の作成
 a 第1表ないし第4表については、作成後、事業所に提出する。
 b 第6表については、毎月1回異常訪問し、本人と面談し、記録する。
 c 第7表及び第8表については、毎月利用者宅を訪問し、利用について説明し、同意をもらい、交付する。また、サービス提供票として、毎月第7表及び第8表を一緒に事業所に交付する。
(ウ)モニタリングの実施
平成17年度までは、3か月に1回、平成18年度以降は1か月に1回
(エ)なお、介護認定の更新があると、以上の作業が繰り返される。

ウ、介護支援専門員が作成すべきケアプラン等の作成時期について
 前提事実(2)オに加え、上記ア及びイに照らせば、介護支援専門員は、原則として、以下の各時期に、各ケアプラン等を作成すべきことが求められるものと解するのが相当である。

(ア)アセスメント表
 アセスメント表は、生活全般のアセスメント部分、ケアアセスメント部分及び総括アセスメント部分からなり、生活全般アセスメント部分には、本人氏名や要介護認定の内容(要介護認定が未了の場合は、認定の見込み内容について記載する。)等の基本的な情報(フェースシート)や、家族状況とインフォーマルな支援の状況、サービス利用状況、住居等の状況、本人の健康状態・受診等の状況を記載し、ケアアセスメント部分には、本人の基本動作等の状況と援助内容の詳細(要介護認定調査項目を含む)を記載し、総括アセスメント部分には、全体のまとめ、特記事項及び1日のスケジュールを記載するものであって(前提事実(2)オ(ア))、居宅サービス計画の原案を作成する基となるものであるから、居宅サービス計画の原案の作成時までに作成されていることが必要である。

(イ)狭義のケアプラン
 狭義のケアプラン(第1表ないし第3表)は、(1)利用者氏名、生年月日、住所、居宅サービス計画作成者氏名、居宅介護支援事業者・事業所名及び住所地、居宅サービス計画作成(変更)日、初回居宅サービス計画作成日、初回・紹介・継続の別、認定済。申請中の別、認定日、認定の有効期間、要介護状態区分、(要支援。要介護1ないし要介護5)、利用者及び家族の介護に対する意向、介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定、総合的な援助の方針を記載する第1表(居宅サービス計画書(1))、(2)生活全般の解決すべき課題(ニーズ)、援助目標(長期目標・短期目標)、(長期目標及び短期目標に付する)期間、サービス内容、保険給付の対象か否かの区分、サービス種別、頻度、期間を記載する第2表(居宅サービス計画書(2))、及び、(3)第1表に記載したサービスを1週間のタイムスケジュールに落としたものであり、その際、本人の主な日常生活上の活動を踏まえながら設定する第3表(週間サービス計画表)からなるものであって(前提事実(2)オ(イ))、実施される居宅サービスの内容であることから、居宅サービスの実施前までに作成されていることが必要である。

(ウ)第4表又は第5表
 第4表(サービス担当者会議の要点)は、利用者名、生年月日、住所、居宅サービス計画作成者氏名、開催日、開催場所、開催時間、開催回数、会議出席者、検討した項目、検討内容、結論、残された課題(次回の開催時期等)を記載するものであり、また、第5表(サービス担当者に対する照会(依頼)内容)は、サービス担当者会議を開催しない場合又は会議に出席できない場合に、サービス担当者に対する照会やサービス担当者からの依頼について記載するものであって(前提事実(2)オ(イ))、これらは、サービス担当者会議の開催後又はサービス担当者への照会がされた後、速やかに作成されることが必要であるが、狭義のケアプランとともに事業所に提出されるものであることからすると、居宅サービスの実施の前までに作成されていることが必要である。

(エ)第6表
 第6表(居宅介護支援経過)は、モニタリングを通じて把握した利用者やその家族の意向・満足度、援助目標の達成度、事業者との調整内容、居宅サービス計画の変更の必要性等について記載するものであって(前提事実(2)オ(イ))、月1回以上の利用者宅の訪問後、速やかに作成されることが必要であり、〇〇〇〇に居宅介護支援費(居宅サービス計画費)を請求してその費用の支払を受ける場合にあっては、その請求までに作成されていることが必要である。

(オ)第7表、第8表、サービス提供表及び同別表
 第7表(サービス利用票(兼居宅サービス計画))は、第8表とともに、居宅介護支援事業者から利用者に交付されるものであり、保険者名、居宅介護支援事業者事業所名、被保険者の氏名等のほか、月間サービス計画及び実績の記録等を記載し、サービス内容の予定の確認及び利用の確認の機能を持つもの、第8表(サービス利用票別表)は、第7表の別表であり、訪問通所区分支給限度額管理・利用者負担計算等について記載するもので、両表について、居宅介護支援事業者は、居宅サービス計画のうち、保険給付対象内のサービスについては、サービスの実績管理を単位として行い、その結果を国民健康保険連合会に提出するという一連の「給付管理業務」を行うこととなり、また、指定居宅サービス等は、その種類、内容、利用料等について利用者又はその家族に対して説明し、文書により同意を得なければならないとされており、給付管理業務が月を単位として行われるため、当該居宅サービス計画の説明及び同意についても月ごとに確認を要することになるのであり、また、サービス提供票及びサービス提供票別表は、それぞれ第7表及び第8表と同じもので、居宅介護支援時御者からサービス事業者に交付されるものである(前提事実(2)オ(イ))から、これら第7表、第8表、サービス提供表及び同別表は、各月ごとの居宅サービスの実施の前までに作成されていることが必要である。

(カ)モニタリング表
 モニタリングは表は、生活全般の解決すべき課題、短期目標、サービス内容、サービスの実行確認及び確認方法、利用者本人・家族の意見・要望等モニタリングの結果について記載しするものであって(前提事実(2)オ(イ))、月1回以上の利用者宅の訪問について、3か月が経過するごとに速やかに作成されることが必要であり〇〇〇〇に居宅介護支援費(居宅介護サービス計画費)を請求してその費用の支払を受ける場合にあっては、その請求までに作成されておることが必要である。
(明日に続く〜明日は裁判所の判断2〜本件解雇に至る経緯から)

介護・福祉情報掲示板(表板)

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被告の主張・日本初のケアプラン作成義務についての判例3

(被告〇〇の主張)
ア、原告は、被告主張未作成ケアプラン等の作成を故意に怠っているので、解雇理由があり、また、本件解雇は合理的であり有効である。

イ、本件解雇に至る経過
(ア)〇〇は、平成18年5月1日から原告との事務引継を開始した。
〇〇は、原告に対し、利用者の氏名、住所、生年月日、要介護度、利用しているサービス等を知るために一覧表の交付を求めたが、原告は一覧表はないと回答した。そのため、〇〇は、利用者の氏名すら知り得なかったので、介護支援専門員の請求事務を担当していた〇〇〇に依頼して利用者氏名に関する一覧表を作成してもらった。

〇〇は、後日原告と利用者宅を訪問することになるので、その事前準備として利用者及び家族情報等を把握するために、狭義のケアプランやアセスメント表等を確認しようとしたが、記録棚にはこれらの種類は保存されておらず、また、その情報はパソコンにも入力されていなかった。
〇〇は、平成18年5月7日、原告が作成すべき書類のうち、作成されていない書類を一覧にした「給付管理票 チェック票」(乙127.132。以下「本件チェック票」という。)を作成した。
〇〇は、平成18年5月中旬ごろ、原告に対し、本件チェック票を手渡し、書類が作成されていないことについて質問したところ、原告は、「整理していないだけなので少し待ってほしい。」旨述べた。
しかし、原告は、平成18年5月31日に至っても不作成書類の作成を完成しなかったので、〇〇は、原告に対し書類作成に催促をしたが、原告は、「監査が入ると分かったら作ればよい。」と回答した。
○○は、平成18年6月1日、監査機関である〇〇〇〇〇の〇〇〇〇に相談し、再度確認して作成されていなければ、上司に報告するよう指示を受けた。〇〇は、記録棚及びパソコンを確認したところ、不作成書類は作成されていなかったことから、同月5日、本件チェック票を添付した「業務引継ぎに関する不備について」と題する書面(乙127)を作成し、同月6日、被告〇〇に提出した。

(イ)被告〇〇は、平成18年6月6日、〇〇から提出された上記書面により、原告が介護支援専門員として作成すべき書類の作成を怠っている事実を知った。
 被告〇〇は、平成18年6月7日、原告を呼んで本件チェック票を示したところ、原告は、本件チェック票に記載された書類を作成していない事実を認めた上、自己が記載していたメモに基づいて不作成書類を作成する旨を約束した。これに対し、被告○○は、原告に協力して不作成書類の作成をする旨申し出たが、原告は、その申出を拒絶した。
 被告〇〇は、当時、既に原告は〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇での業務に従事していたことに配慮し、不作成書類の作成について、残業手当を支払う旨も提案した。
 結局、被告○○は、原告に対し、3回以上、速やかに不作成書類を作成することを要請したが、原告は、不作成書類を作成しなかった。

(ウ)また、〇〇は、平成18年6月中旬ごろ、原告に対し、原告が記載していたメモに基づき〇〇が不作成書類を作成することを申し出たが、原告は、守秘義務を理由に〇〇の申出も拒絶した。

(エ)以上のように、原告は、不作成書類の作成をするに当たり、〇〇らの協力を得ることが可能であり、作業時間については、残業手当が支給される環境が整えられていた。また、被告〇〇としては、再三にわたり不作成書類を作成すべき業務命令も発令していたのであるから、本件解雇につき、十分な手続きを経ているものである。

ウ、ケアプラン等の作成義務について
(ア)a 本件基準13条10号は、「介護支援専門員は、・・・当該居宅サービス計画の原案の内容について利用者又はその家族に対して説明し、文書により同意を得なければならない。」と規定するところ、ここにいう「居宅サービス計画」とは、狭義のケアプラン、第7表及び第8表を指し、また、「文書」とは、原則として狭義のケアプラン、第7表及び第8表そのものを指すが、他の文書に利用者の同意署名を得ることも許される。被告○○では、ケアプランの書類そのものに利用者の同意署名をもらう方式を原則としているが、「居宅サービス計画書に関する同意書(兼受領書)」という文書に利用者の同意署名をもらう方式や、これらを併用する方式も用いられている。本件基準で利用者の同意署名が求められている文書について、利用者の同意署名が存在しないのであれば、本件基準が求める要件を具備しない違法の書類として無効である。
 また、ケアプランの作成時期については、本件基準の文言上、遅くともサービス提供がされるまでに作成されるべきことは明らかである。したがって、仮に上記書類の作成期限を徒過した後に上記書類が作成されたとしても、それは適法な書類ではなく無効な書類であり、介護支援専門員として適法な書類を作成しなかった責任が治癒されるものではない。
 さらに第6表及びモニタリング表については、利用者にサービス提供が開始されてから、サービス計画の実施状況の把握のためにされるものであるから、サービス提供中に作成されるべき書類である。

b 原告は、介護支援専門員として法令を遵守すること及びケアプランについては利用者の同意署名を整えることを誓約して被告〇〇に雇用されており、狭義のケアプラン、第7表及び第8表に利用者の同意署名をもらうことや、アセスメント表及び第6表を作成することは、労働契約上の原告の義務ともなっている。
 〇〇も、介護支援専門員として採用されるに際し、上記と同様の指導を受けており、原告の後任の介護支援専門員として、すべての利用者から狭義のケアプラン、第7表及び第8表に同意署名を得ており、また、原告の前任者である〇〇〇〇も、被告〇〇の指導を受け入れ、狭義のケアプラン、第7表及び第8表について、すべての利用者から同意署名を得ていたものである。
 さらに、ケアプランを作成し、利用者の同意署名をもらうことは、〇〇〇〇〇からの指導に基づくものでもあった。

(イ)a これに対し、原告は、第7表及び第8表に同意署名を得ることにより、介護保険法及び本件基準が求める要件は充足されている旨主張している。
しかしながら、本件基準第13条10号は「居宅サービス計画の原案」について規定し、11号は「居宅サービス計画」について規定しており、「計画の原案」と「計画」とは明確にしゅん別されている。そして、計画の原案に狭義のケアプランが含まれることは明白であり、計画に第7表及び第8表が含まれることは明白である。
 したがって、原告が主張するように介護保険法が求める利用者の同意署名が存在する文書が第7表及び第8表でよいのであれば、その旨を明確に規定するはずであるが、本件基準13条10号では、計画の原案について、文書により利用者の同意を得なければならないと規定しているのであるから、第7表及び第8表だけに利用者の同意署名があればよいということにはならない。原告の主張では、本件基準13条11号で利用者の同意署名について本来規定されるべきことになるはずであるが、むしろ同号は利用者の署名同意を規定せず(これは同10条に規定されている。)、利用者等に対する計画の交付だけを規定しているのであるから、原告の上記主張には法的及び論理的根拠が全く存在しないことになる。

b 更新利用者についての書類作成義務について
(a)原告は、「更新利用者」(正式には「要介護更新認定者」という。介護保険法28条参照。)につき、サービス内容に変更がない場合は、ケアプラン等の作成義務はない旨主張する。
 この点、原告の前任者の下でサービス提供が開始され、原告が担当する間に有効期限が終了し、更にサービス提供を行わない場合には、原告がケアプランを作成する余地はないが、原告の前任者の下でサービス提供が開始され、原告が担当する間に有効期限が終了するが、利用者がサービス提供の継続を希望する場合の利用者(以下「要介護更新認定希望者」という。)については、以下のとおり、原告にケアプラン等を作成する義務がある。

(b)まず、介護保険法その他の関連法令のどこにも要介護更新認定希望者についてケアプラン等の作成義務を免除する規定はないし、サービス内容に変更がなかった場合にケアプラン等の作成義務を免除する規定もない。
 したがって、利用者は新規であれ、要介護更新認定希望者であれ、同じく本件基準等に規定されている適正な手続を経て、サービス提供が開始されるものと解すべきである。

(c)また、利用者がサービス提供の継続を希望する場合において、契約の更新が原則的に認められているものではない。
 サービス提供の継続については、まず、利用者からの申出が必要である(介護保険法28条)。市町村は、要介護更新認定の申請が被保険者からされた場合、被保険者の主治医に意見を求め、当該意見を介護認定審査会に通知し、介護認定審査会では、訪問調査の結果と主治医の意見を基に審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知し、要介護状態に応じた区分認定し、その結果を本人に通知する(介護保険法28条4項、27条)。かかる介護認定審査会の手続は、新規利用者も要介護更新認定希望者も同一である。このように、要介護更新認定希望者からの申請があった場合にも、主治医等から意見を求め、介護の要否及び程度を認定するという実質的・現実的な手続を経るべきとされ、認定された介護度に基づいて、介護支援専門員は、具体的なサービスを利用者に提供するためにアセスメント以下の諸手続を担当し、実践する。第1表には、要介護状態区分を記載する欄や介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定を記載する欄が設けられているが、これらは、客観的な認定機関である介護認定審査会が設定した、利用者の身体的及び精神的状況に基づく介護の程度を明確にし、介護に対する同審査会の意見を付することによって、担当介護支援専門員に具体的指針を示しながら、介護支援専門員が利用者の状況に適した具体的サービスを提供することを当然予定しているからである。介護支援専門員は、アセスメントから始まる手続に着手すると、居宅サービス計画を作成し、サービス担当者会議を開催することになる。そして、サービス担当者会議には利用者・介護支援専門員のほかに、医師が出席し、医師が出席できない場合には、医師に対して照会が行われる。この会議では、利用者等の意見、説明も行われるが、医師からの利用者の状態についての説明も行われ、それが検討される。この検討の結果、一定の結論が出され、それによって、利用者に対するサービス提供内容が確定するのである。
 したがって、サービス担当者会議の前には、要介護更新認定希望者のビス内容は確定(特定)しない。他方、介護支援専門員はサービス担当者会議の開催の前に、既にアセスメント表、狭義のケアプランは作成しておらねばならない。したがって、サービス内容に変更があるかどうかの判断は、アセスメント表、狭義のケアプランが作成され、サービス担当者会議で利用者に対するサービス提供の内容が確定した段階で初めて可能になるのである。
 原告は、更新利用者についてサービス内容に変更がない場合には、ケアプラン等の作成は不要であると主張しているが、原告が主張する上記「サービス内容」は、介護支援専門員がアセスメント以下の諸手続を行うことによって、サービス内容が利用者によって選択されて初めて確定し、具体的に特定されるのである。
 したがって、原告の、サービス内容に変更がないのでアセスメント表や狭義のケアプランを作成しなかった旨の主張は、論理的に成立しないばかりか、介護支援専門員の職務の実務とは余りにもかけ離れている。
 上記の手続を経て、サービス担当者会議で利用者に提供されるべきサービス内容が確定すると、介護支援専門員は、職務上の義務として、利用者に具体的サービスを提供するために手続を進めなくてはならず、第7表及び第8表を作成して担当者にサービスの指示をし、かつ、サービス提供が始まるとモニタリング表を作成し、第6表を作成する義務があることも、当然である。

(d)以上のとおり、要介護更新認定希望者について、原告にはケアプラン等を作成する義務は存在していたものである。

エ、業務過重の主張について
 原告が担当した件数で最も多いときは43名くらいであったが、平成17年7月当時の本基準では、介護支援専門員は50名までを担当してよいことになっており、業務過重であるとはいえない。なお、原告は、被告〇〇の採用面接の際に、自ら積極的に50件を担当する積極的な意見や意思やその経験があることを表明し、被告〇〇に雇用されたという経緯がある。

オ、利用者番号15(〇〇〇〇〇)及び43(〇〇〇〇〇)については、道利用者がそれまで入院していた病院を退院後、速やかに訪問看護を行う必要があったため、緊急とのことで介護保険を申請中、ケアプラン未作成のまま訪問看護サービスを受けることとなった旨主張するが、原告が同利用者から訪問看護の相談を受けた18年2月16日からサービス開始日である同年3月7日までは約3週間の期間が存在しており、原告が主張するような緊急の案件ではなかった。また、原告は、同利用者の家族と連絡がスムーズに取れなかった旨主張するが、同利用者の家族は、1日でも早い訪問看護を希望しており、介護支援専門員からの連絡を待っていたが、それがなかったものであり、原告の主張とは異なる。さらに、原告は、同利用者の家族から保険手帳の交付を受けるのが配属直前であったため、期限内の作成ができなかった旨も主張するが、保険手帳の交付がなくともケアプランの作成は可能である。介護保険被保険者証(乙50)に記載される利用者に関する情報は、〇〇町役場に保管されている「認定情報」(乙137)により得られるものであり、原告は、同年3月9日、同利用者について認定情報の開示を受けている。したがって、原告は、利用者番号15(〇〇〇〇〇)のケアプラン等の作成は同日以降可能であった。

(イ)原告は、利用者番号43(〇〇〇〇)については、家族から情報がもらえなかったため未作成となっている旨主張するが、原告は同利用者の家族から情報を得ている。
(明日に続く〜明日は「当裁判所の判断1」から)

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原告の主張・日本初のケアプラン作成義務についての判例2

昨日からの続きであるが、ここで注目する点は、原告は解雇不当の最大の理由として、ケアプラン作成を行っていないことを解雇理由にしていることに対して、そもそも更新認定時のケアプランについてはサービスの変更がない限り再作成義務がなく、更新前のケアプランがそのまま継続されるので、プランを作成していないことは職務怠慢ではなく解雇理由に当たらないという主張である。

(※つまりケアプランを作成していなかったケースが多数あることは認め、この点は争っていないのである。)

これに対して、多くの介護支援専門員の皆さんは「そんなことはない」というが、法律論から、この主張を覆す根拠を探すのは非常に難しい。なぜなら介護保険法にも、基準省令にも、解釈通知にも、更新時のケアプラン再作成義務は明示されていないからで、原告はこの盲点をついてきていると言え、裁判開始当初は「裁判官もその主張に傾きつつある」という事実があったのだ。
(※県もこのことについて、法令には作成義務が書かれていないことから明確に再作成すべきとは言えないという立場をとった。)

そういう意味では、普段から「根拠」を考える姿勢は大事であり、保険者が言っていた、上司からそういわれたetcだけで終わってはならないという教訓が与えられたケースと考えてもよいだろう。

だから、このことに関して判例という形で明確な解釈を示したということが大きな意味があり、このことを知ることなしに「そもそも更新時のプラン作成など当たり前だろう」と主張する人々は、どこかピントがずれているといえるだろう。

つまり更新時のサービス変更のないケースについて、どのような法律解釈によってプラン作成義務を認めたかという点が重要なのである。では本題・・・。

(原告の主張)
ア、被告〇〇は、本件解雇の理由として、原告が作成すべきであったケアプラン等(別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の各利用者に係る「当事者の主張」・「被告〇〇の主張」欄で「作成なし」とするもの。以下「被告主張未作成プラン等」という)を作成せず、原告には職務怠慢があった旨主張するが、普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇し得るものではなく、具体的な事情の下において、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は解雇権の濫用として無効となるというべきであるところ、原告には職務怠慢は存在していなかったものであるし、また、被告〇〇の行う事業に支障が生じ、原告を排除しなければならない程度に達していたものでもないから、本件解雇は、解雇権の濫用に当たり、無効と言うべきである。

イ、被告主張未作成プラン等に対する各利用者ごとの個別的原告の主張は、次のとおりである。(なお、利用者番号は、別紙「ケアプラン(広義)等の作成対照表」の記載による。以下同じ。特に個別的な事情が主張されている利用者以外のものについては、氏名の表記を省略する。)。
(ア)狭義のケアプランについて
A原告が前任者から引継ぎを受けた利用者について(利用者番号1.4.6.7.9.12.14.18.22.24.27.30.33.41.44.46)
本件基準等の規定からすると、居宅サービス計画は、指定居宅介護支援事業者がサービスの提供を開始する際に作成されるものであり、いったん作成された後は、サービスの変更が行われた場合に、居宅サービス計画の変更が求められているものと解すべきである。
そうであるところ、上記各利用者については、いずれもサービス変更はないので、原告に作成義務は生じない。
この点、被告〇〇は、サービス提供日の変更、要介護状態区分の変更、住宅改修工事が行われたこと及びベッドの貸与がされたことというサービスの変更があったとして、改めてケアプランを作成すべきであった旨主張するが、サービス提供日数の変更及び要介護状態区分の変更については、そもそもサービスの内容には該当しないし、住宅改修が行われたこと及びベッドの貸与がされたことについては、サービスの変更ではなく新たなサービスの提供であって、住宅改修サービスのための申請書類や福祉用具貸与の場合にはサービス計画書を作成すれば足りるものである。

B原告が新規利用時から担当した利用者について(利用者番号2.3.5.15.19.20.23.25.29.31.35.36.40.42.43)

(a)利用者番号2.19.20.31については、期間更新がされているところ、これらについてはサービスの変更はないので、原告に作成義務は生じない。
この点、被告〇〇は、改めてケアプランを作成すべきであった旨主張するが、認定期間の更新があっても、利用者からのサービス内容変更の申し出がない限り、従前のサービスが継続して提供されるものであるから、サービス内容の変更又はサービス計画の変更には当たらない。
また、被告〇〇は、認定期間の更新があったもののうち、通所介護日数の変更や、住宅改修サービス、ベッド貸与、要介護状態の区分変更があり、サービス内容の変更があったものもいる旨主張するが、これらの変更は、前記aと同様、サービス内容の変更には当たらないし、仮に通所介護日数の変更が居宅サービス計画の変更に当たるとしても、軽微な変更であり作成義務は生じない。

(b)利用者番号3、5の各第3表については、作成したか否かは不明である。

(c)利用者番号15(〇〇〇〇〇)について、同利用者は、従前入院していた病院を退院後、訪問看護を受けることを希望したが、この相談が急であり、退院後速やかに訪問看護を行う必要があったため、緊急のことで介護保険を申請中、ケアプランを未作成のまま訪問看護サービスを受けることになった。また、同利用者は、入浴のため訪問介護を受けることになったが、家族と連絡がスムーズに取れず、家族から保険手帳の交付を受けたのが平成18年3月28日であったため、期間内の作成ができなかったものである。したがって、直ちに原告の作成義務不履行として非難することはできない。

(d)前期(a)ないし(c)に掲記した者を除くその余の利用者については、すべて作成済みである。

なお、原告が第7俵及び第8表に利用者の署名押印を得ていることは被告〇〇も争っていないところ、原告は、被告〇〇担当者とともに利用者宅を訪問し、その際にケアプランの内容を確認した上で利用者の同意を得て、第7俵及び第8表に署名押印を得ているものであるという実態からすれば、狭義のケアプラン自体にも利用者の同意署名を得た原本そのものであると推認される。証拠上、狭義のケアプランに同意署名が存在しないものがあるのは、それらが、別途パソコンから打ち出されたものであることによる。原告が業務上使用していた様式では、パソコン操作で同意署名欄の印字の有無を自由に選択し得るものであったため、証拠上、下欄の同意署名欄のあるものとないものが混在している。原告が利用者から同意署名を得た原本は、被告〇〇が所持しており、提出されていない。

また、利用者の署名は、狭義のケアプランの成立要件とは定められていない。本件基準13条10号は、居宅サービス計画の原案につき、「文書により利用者の同意を得なければならない」としているにすぎず、どのような形式で上記の同意を求めるかは運用にゆだねられているところ、本件基準を踏まえて作成されたガイドライン(甲56)で提示されている書式(被告〇〇でも用いられている。)では、狭義のケアプランに同意署名は存在せず、第7表及び第8表に「保険者確認印」欄が設けられており、同欄への押印が本件基準で求められる利用者の同意とされているものと解される。そうであるところ、原告は、第7表及び第8表に利用者の署名押印を得ており、これにより、狭義のケアプランに対する利用者の同意があったといえる。

C、なお、未作成の場合の理由は、業務の多忙さによるものである。
原告は、前任者から33名分の利用者を引き継いでおり、平成18年3月には44名の利用者を担当していたが、神奈川県介護支援専門員協会の平成15年度の調査結果で一人当たりの妥当な担当利用者数を40人未満と回答した介護支援専門員が約73パーセントいたことや法改正により平成18年4月1日から介護支援専門員一人当たりの担当利用者数が35人と定められたことからしても、原告の業務が過重であったと推認される。また、原告は平成17年7月から平成18年3月まで一月当たり31時間50分の所定外労働を行っていたものであり、まじめに職務を執行していたことを示すものである。これらのことなどからして、原告の未作成プラン等は、日常業務の忙しさのために生じたものといえる。

(イ)第4表及びアセスメント表について(利用者番号1ないし7.9.10.12ないし15.18ないし25.27.29ないし31.33.35ないし46.49)

a、利用者番号1.2.4.6.9.12.14.18ないし20.22.24.27.30.31.33.41.44ないし46については、前任者において作成すべきこと又は期間更新時にサービスの変更がないことから、いずれも原告に作成義務が生じない。

b、利用者番号7(〇〇〇〇)については、作成済みである。

C、前記a及びbに掲記した者を除くその余の利用者については、未作成である。
未作成のものについては、業務過重によるものである。

(ウ)第6表及びモニタリング表について(利用者番号1ないし49)
a、利用者番号1.7については、作成済み(遅れて作成したもの)である。

b、利用者番号3.13.25.29.35.36.37.42については、利用開始日が平成18年1月10日いこうであること、利用者番号15(〇〇〇〇〇)については、前記(ア)b(c)のとおり、配置直前に保険手帳の交付を受けたものであること、利用者番号46(〇〇〇〇)については、利用が終了していたことから、いずれも原告に作成義務の不履行があったとはいえない。

C、前記a及びbに掲記した者を除くその余の利用者については、作成義務の不履行を認めるが、その理由は、過重業務やパソコンの故障等の現場の仕事環境にあったものである。また、利用者番号43(〇〇〇〇)については、家族から情報がもらえなかったため未作成となっているものである。

ウ、原告は、平成18年4月から、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇での業務に従事させられているが、同業務は大変忙しく、そのような中で業務の引継ぎと未作成のケアプラン等の作成業務を迫られていたものである。被告〇〇は、同年6月5日に原告の後任の〇〇〇〇(以下「〇〇」という。)から、原告が未作成のケアプラン等を作成しないとの報告を受け、同月7日、原告にその釈明を求めていることから、この時点で文書作成が遅れている事情を十分了解していたものといえ、また、3か月程度で原告が未作成のケアプラン等を作成するものと思っていたとのことであるが、同年6月30日には〇〇に対し、原告に代わって未作成のケアプラン等を作成するように指示をしていることからすると、原告が未作成のケアプラン等を作成することを元々大して期待していなかったものといえる。しかしながら、原告に対して作成期限の猶予を与えておきながら、文書を作成しなかったとして、職務怠慢として解雇理由とすることは、信義に反するものであり、許されない。

〇〇被告は、平成18年7月12日までは原告を解雇する考えを有していなかったが、同日、原告と大きな声で大激論をしたことから、原告を解雇する決意を固めたものである。また、同月中旬には、新しい介護支援専門員を募集する張り紙が事務所に張り出されていた。
なお被告〇〇は、平成18年8月15日に〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇(以下「〇〇〇〇〇」という。)から「書類不備」の指導を受け、自主申告すべき旨の指導をされたものであり、原告が作成しなかったケアプラン等について自主申告しないと指定を取り消されるおそれがあった旨主張するが、同年6月30日の〇〇への業務命令により、同人が作成するのを待てばよかったのであり、被告〇〇の上記主張は、こじつけにすぎない。原告の未作成のケアプラン等は、被告〇〇の日常業務態勢に内在するものであったから、それを原告の責任に転嫁して解雇理由とすることは不当である。

(明日に続く〜明日は「被告〇〇の主張」から)

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訴訟概要・日本初のケアプラン作成義務についての判例1

昨年5月20日、那覇地方裁判所民事第1部法廷において、介護支援専門員の居宅サービス計画作成業務に関わる「解雇取り消し訴訟」判決が下り、居宅サービス計画作成義務について、日本初の司法判断が下された。そしてその判決を不服とした原告が控訴したが、同年12月福岡高裁那覇支部において控訴棄却の判決が下り、ここに地方裁判所判決における司法判断が確定した。

訴訟概要は以下の通りである。

1.被告となった居宅介護支援事業所において平成18年5月の人事異動により他事業所へ異動した前任ケアマネの担当する平成17年7月〜18年3月までの未作成書類が発覚。

2.平成18年8月に、当該担当前任ケアマネを解雇。

3.居宅介護支援事業所は平成18年11月に、ケアプラン未作成などの状況を広域連合に自主申告。報酬返還指導を受ける。

4.平成18年12月、解雇された介護支援専門員が「解雇無効」と、「セクハラ」に対する損害賠償請求裁判を起こす。

5.平成21年5月地裁判決。原告の訴えを却下。被告側全面勝訴。原告控訴。

6.同年12月、高裁判決。原告側訴えを却下。判決確定。被告側全面勝訴。

セクハラ裁判は、原告側が、そもそも解雇は当該事業所の常務理事によるセクハラ行為があり、それに従わなかった恨みからパワハラ〜解雇に繋がったものだという主張で同時に訴えられたものだが、この点も裁判所では「事実無根」として被告側が全面勝訴している。

ただ今回のテーマは、ケアマネジメントやケアプラン作成義務に関する判例という部分に注目しているので、セクハラに関する訴訟部分は省き、ケアマネジメントやケアプラン作成義務に関する部分のみ原告側の主張と、被告側の主張、裁判所判断等を判決文から抜粋して紹介したい。当初は判決文が書かれた書類をファイルにして公開してもよいのでは、と考えたが、個人や団体が特定できる情報が多いため、万が一のために、こういう形での紹介としたい。

なお転載文章などは、原文のまま手を加えず掲載する。またこの訴訟の被告は事業所と個人が対象になっており、判決文ではそれが混在して表記されているが、内容からどちらかを読み取ることは可能であり、あえてそれを区別しない。

なおこの訴訟に関連しては、被告側の立場にあった事業所の職員より、平成19年年7月8日に、表の掲示板に、「更新認定後において、介護度、サービス内容に変更がなければケアプランを作成する必要はない。よって解雇理由にはあたらない。という原告側の主張について、裁判官もその主張に傾きつつあります。」という形で相談のスレッドが立てられ、本掲示板においては更新認定時においてサービス内容に変更がなくともケアプランの再作成は必要であるとの立場から、相談者に様々な角度からアドバイスをしているところで、判決は当該スレッドからヒントを得て、弁護士とともに法令解釈にあたり、その主張が裁判官の心象に影響を与え、その主張を認めるところとなったという結果に繋がっている。

(原告に対する解雇通知)
ア、被告〇〇は、平成18年8月29日、原告に対し、同日付け解雇理由書を交付して、同月31日付けで原告を解雇する旨(本件解雇)を通知した。
(甲5.弁論の全趣旨)
平成18年8月29日付け解雇理由書において、本件解雇の解雇理由は、「業務について不正な行為(具体的には、あなたがケアマネ(注:介護支援専門員のこと)として、当然作成すべきケアプランが作成されていない。(1表〜8表・モニタリング。アセスメント)29件)ことによる解雇」とされた。(甲5の1)

イ、その後、原告が本件解雇を争う姿勢を示したところ、被告〇〇は、平成18年11月9日、原告に対し、同年8月31日付け解雇理由書を交付した。同日付け解雇理由書においては、本件解雇の解雇理由が追加され、「職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、別紙のとおりしたこと。)による解雇」「業務については不正な行為(具体的には、別紙のとおりしたこと。)による解雇」及び「勤務態度又は勤務成績が不良であること(具体的には、別紙のとおりしたこと。)による解雇」とされ、別紙として、「平成18年6月6日にケアマネジメント業務1票〜6票(ケアプラン31件・サービス担当者会議録31件・介護経過45件)7・8票(利用票・利用票別表14件)モニタリング45件、アセスメント38件を作成していないため、速やかに作成するよう指導したが作成をせず、再三に亘る指導においても作成されていないため解雇とする。」とされた。(甲6)

【争点及び争点に対する当事者の主張】
(1)本件解雇は、解雇権の濫用に当たるか。

(明日に続く〜明日は「原告の主張」から)

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居宅サービス事業所の計画担当者の悩み

今年2月に全国老施協主催の「地域ケアセミナー」が行われ、その2日目の分科会で「短期入所生活介護計画の立て方」という講演を行った。

この講演(講義という方が的を射ているかもしれない)依頼を受けたのは、昨年のことであったが、その時に考えたことは「短期入所生活介護計画」に特化した分科会など、果たして何人の受講者があるのだろう?ということである。

しかし蓋を開けたところびっくりで、当初から受講申込者が予想外に集まり、結果的に当日100人近い方が、僕の分科会講演を受講してくれた。これは少々驚きであった。

考えてみれば、介護保険制度施行以後、居宅介護支援事業所が行うケアマネジメントや、同事業所の介護支援専門員が立案する「居宅サービス計画」に関する研修会は盛んに行われてきたが、同じケアマネでも施設のケアマネジメントや「施設サービス計画」に関する研修はやや少なく、最近やっと定期的にそれらの研修も行われるようになってきた。しかし居宅サービス事業所のケアプランについては、それがサービス提供の必須条件であるにもかかわらず、その内容やケアマネとの連携について勉強する機会はほとんどなかったと言ってよい。

しかも各サービス事業所の計画担当者は、必ずしも介護支援専門員であることを求められているわけではなく、資格のない担当者も多い。しかも居宅サービス計画や施設サービス計画と異なり、これらの各サービス事業所の計画書は、国の指定様式もなく事業所それぞれで独自の様式を使う必要がある。

これを「標準指定様式を使わなくてもよい」と考えるか、「独自の計画書様式を作らねばならない」と考えるかは、各サービス事業計画に対する担当者の理解度に左右される問題であろう。

つまり各サービス事業所においては、ケアプランというものを基本から勉強した者ではない職員が、計画書を一(いち)から作成せねばならないという状況が実際にはあり得るのである。

それなのに各サービス事業所の計画作成に関する勉強機会がほとんど与えられていない現状があり、多くの計画担当者が自分の計画の根拠や評価基準、ケアマネとの連携方法に悩みを持っていることが考えられる。だから「短期入所生活介護計画」に焦点を絞った分科会にも多くの関係者が集まったのであろう。受講ニーズはかなりあるという意味である。

居宅サービスの計画担当者が頭を悩ます問題の一つに「居宅サービス計画が立てられている場合は、その内容に沿ってサービス事業所の計画を立案しなければならない」という規定がある。この意味について明確に理解できていないため、各サービス事業所の計画目標に、居宅サービス計画の目標をそっくりそのまま転記している例も見られる。

これは大きな間違いで、居宅サービス計画の内容に沿うとは、担当ケアマネが居宅サービス計画書で示した「総合的援助の方針」を達する為に、生活課題を解決する手段として、長短期目標を掲げて、その目標を達成するために組み込んだ各サービス種類の「介護計画」が、ケアマネの示した目標を達する方向に向かい、結果的に総合的援助方針の実現に繋がる各サービス事業所計画になっているということを意味している。

つまり計画書の文言が同じになることを求めているわけではなく、向かうべき方向への支援者側の視点が同じであることが求められているわけである。逆にサービス種類とスケジュールを決める「居宅サービス計画」の中で、特定の事業種類と事後所を選定した結果、総合的援助方針を達成するための居宅介護支援における長短期目標が、その事業者が提供する具体的な個別サービスの目標と全く同じ内容であるのは不自然である。ケアマネの立案した目標を達成するために、サービス事業者は何を具体的にクリアすべきかという固有の目標がそこには書かれる必要があるからである。このあたりをしっかり理解してサービス事業所ごとの介護計画を立てる必要がある。

このことについては今年度も、各事業所のサービス計画について、担当介護支援専門員との連携や、居宅サービス計画との関連を考えながら、どのように立案すべきか、具体的な計画内容の例示も含めて講演や講義で伝える機会を設けていただいている。

現在決まっているものとしては、大阪市老人福祉連盟デイサービス連絡会が主催して7/23(金)大阪市社会福祉センターで行う研修で「通所介護の役割と求められるサービス〜ケアマネジャーとの連携によるサービス計画〜」というテーマでお話しすることになっている。その後、全国老施協在宅研修委員会主催で9/9(木)東京都(場所未定)で行う研修内で「(仮題)法令を遵守した通所介護計画の立て方」というテーマでお話しすることになっている。

大阪市の講演はいよいよ来週に迫った。当日お逢いする皆さん、そうぞよろしくお願いします。

居宅サービスについては、たまたまテーマとして通所介護が重なったが、基本的にショートステイなど、その他のサービス計画における「担当介護支援専門員と連携した支援体制の構築」や「居宅サービス計画の内容に沿ったサービス計画の具体的内容」については同様の考え方ができるものと思える。よって2月に東武ホテルレバント東京で行った全国老施協主催の地域ケアセミナーの中で講義した「短期入所生活介護計画の立て方〜居宅サービス計画との関連とケアマネジャーとの連携」という内容とかぶっている部分が多いことに気がついた。

居宅サービスの目的が、利用者の生活課題を解決するために位置づけられたもので、複数の種類のサービスを組み合わせて、総合的援助方針の実現のため、各サービス担当者がスクラムを組むんだから、この連携方法が共通しているのは当然だし、ケアプランが単に事業者のルーチンワークを利用者に結びつけるものではないことから、ケアプラン作成の考え方も共通する部分が出てくることは当然だろう。

老施協研修では、これに加えて支援記録の書き方についても触れてほしいとリクエストされている。問題は90分以内でこれらを全て網羅できるかである。

ということで今後も居宅サービス事業者の皆さんに、居宅サービスのケアプラン作成についてお話しする機会があろうと思うので、機会があれば是非「masaの講演予定」を参照しながら参加していただきたい。

その際は是非声をかけていただき、僕とあなたの「繋がり」ができることを心より期待している。

※本日新たなアンケートを右サイドバーに掲示しています。来週の情報提供に関する内容を結果により決めたいと思いますので、どうぞ投票にご協力ください。

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看取られる場所への思い

日本の65歳以上の高齢者数は2015年にピークを迎えるが、さらにその先を考えると75歳以上の後期高齢者の数については、2030年まで毎年45万人増えることになる。

そう考えると日本の高齢者介護問題は、団塊の世代が75歳に達する2025年〜後期高齢者人口の伸びが続く2030年頃までに、より大きな問題が生じてくるものと考えられる。

当然死者数も年々増加することが予測される。現在8割以上の国民が医療機関で最期の時を過ごしているが、あらためて自分の最後の場面をどこで迎えたいかということについて5/24〜6/23までの1月間インターネット上でアンケートを行った。

その結果、315人の方から回答が寄せられ、結果は以下の通りである。

質問内容:「死期が近づいたとき、あなたはどこで最期の時を過ごし看取られたいと思いますか。」

(回答)
自宅146人(46.5%)
最後に暮らしていた場所83人(26.3%)
ホスピス・緩和ケア病棟34人(10.9%)
ホスピス・緩和ケア病棟以外の医療機関7人(2.2%)
老人保健施設2人(0.6%)
特別養護老人ホーム1人(0.3%)
グループホーム又は特定施設0人(0%)
その他42人(13.1%)

これをみてあらためてわかることは、自分が最期の時を迎えたいと思っている場所と、実際に最期を迎えている場所には大きな相違があるということだ。

アンケートに答えてくれた半数近い人が「自宅で死を迎えた」と回答している。これと「最後に暮らしていた場所」を合わせると72.8%の人が自分の「暮らしの場」を最期の時を過ごす場所として選択していると結論付けてよいだろう。

しかし現実には自宅死は13%にも満たない。そして8割以上の人が医療機関で亡くなっているが、アンケートで医療機関の一般病棟を最期の場所と選択した人は、わずか7人(2.2%)である。これは予測よりはるかに少ない数字だった。僕は医師や看護師が常駐していて、医療的には信頼して任せられる医療機関は、一般病棟であってももう少し高い数字が出てくるだろうと思っていたが、結果はそうではなかった。

ホスピス・緩和ケア病棟で最期の時を過ごしたいと考えている人は34人(10.9%)いて、これは決して少ない数字ではないが、しかしホスピス・緩和ケア病棟の対象者は「末期がん」の患者さんに限られているので、これは望んでも入れない、という状況が考えられる。

特養や老健といった介護施設を選択した人が少ないのは、死期に臨んでわざわざそこに入所する選択肢はなく、たまたまそこで暮らしていた場合は、そこで看取ってもらってもうよいという数字が「最後に暮らしていた場所」に含まれているんだろうと予測される。

どちらにしても死に臨む場所として一番回答が多かった自宅で実際に終末期に過ごすことができないという状況が数字となって現われており、この差が、そのまま希望と現実の差である。つまり現在の日本人は自らが望まない場所で最期の時を迎えている人が圧倒的に多いという意味である。

我々介護施設や訪問看護を中心にした在宅サービス事業者が、介護施設や自宅での看取り介護を実践しようとする一つの意味は、こうした希望と現実の差を少しでも埋めて、できる限り自らの最期の時を過ごす場所の選択肢を広げようとするものである。

そのためには、単に死に場所を変えるのではなく、選択された場所で、充実した安心・安楽の時を過ごせる援助の在り方が問われてくるだろう。

我が施設での看取り介護の実践や、その内容に基づく僕の「看取り介護講演」もその手助けの一つになれば幸いである。

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いつまでも夢見る人でいてください。

介護サービス業界の中にも人材はキラ星のごとく存在している。若い人の中でもひときわキラリと輝いている人々がいる。

国のお偉いさんや、分かっていない有識者と呼ばれる大学教授や、日本介護支援専門員協会という国のひも付き団体のせいで、この国の介護保険制度の理念や精神がどんどん歪められてはいるが、介護サービスの底辺部分は、こうした有能な人材が現場をしっかり支えて、地域の高齢者の暮らしが守られているという側面がある。

もちろん数ある事業者やサービス従事者の中には、利益優先主義で、利用者の人権を無視したサービス提供で懐を肥やしている人はいるが、大多数の介護サービス従事者は、利用者を「金儲けの対象」なんかに見てはいない。決して高くはない労働対価の中で、本当に献身的に支援業務に関わっている人が多いのである。一握りの悪徳業者が全体の質だと思わないでほしい。

何しろ看護や介護を含めた社会福祉援助に携わろうとする人々の動機で一番多いのは「自分が世のため人のために役立ちたい」というものなのである。「人の幸せに関わりたい」というモチベーションを持つ人々なのだ。ここを歪めてしまう社会システムが存在していないのか?ということをもっと深刻に考えてほしい。

勿論頑張っている介護サービス従事者の中にも、知識や技術が不足しているために、結果を出せなかったり、日々の業務に悩み苦しんでいたりする人も多い。介護サービスは利用者と直接結び付き、即結果が求められるという点では、努力しているということは評価にならず、利用者の暮らしが良くなるという結果がすべてという面があって、いつまでも結果が出せないのでは困るが、少なくとも暮らしを良くする努力をしようとする善意の人々の方が大多数であるという現状はポジティブに捉えられるべきだ。

そして介護サービスは現状がベストではなく、常にそれ以上の、よりましなサービスを求めていかないと利用者ニーズと常にかけ離れるという特性があるという理解が必要で、理想がないサービス事業運営は考えられないし、運営理念とは理想を現実化する方法論なのであるという理解が必要だ。

そして仮にその理想が実現したとしても、その後、現状維持だけが目的になってしまうのではなく、さらなる理想を求めることが大事である。そういう意味では介護サービス経営者も、介護サービス従事者も常に「夢を追い続ける人」でなければならないと思っている。現状に満足してしまったときにすべての退廃は始まるのである。

いくつになっても夢かよ!!なんて笑いたい奴には笑わせておけ。

「忘れられない言葉」という記事の中で紹介した言葉が僕は大好きである。その言葉をもう一度ここでも紹介しよう。

「子供たちに言いたい。夢を持て。そして夢をあきらめてはいけない。大人たちに言いたい。夢は子供達だけのものじゃないぜ。」

介護の現場で日々汗を流し、利用者にまっすぐに向かいあって喜びや哀しみを共有しながら、日々の暮らしを支えている皆さんには、どうかいつまでも夢見る人でいてほしいと思う。我々が夢を追わずにあきらめてしまったときに、利用者の思いもそこで途切れてしまうかもしれないからだ・・・。

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施設系ケアマネジメントの構造

なんだかんだと慌ただしく午前中の業務に追われた。午後からは当法人の改選理事会がある。そのため今日はゆっくり記事を書いている余裕がないので、先日「施設系ケアマネジメント」について講演を行った際に、事前資料として作成したものを皆さんにもご紹介して今日の記事に替えたい。内容は、かねてよりこのブログ記事に書いているものをまとめたものである。

(テーマ)施設系ケアマネジャーの業務と役割から考えるポジティブプラン。

(施設ケアプランと居宅ケアプランの相違点)
施設のケアプランのあり方を考えるとき、介護保険制度における居宅サービスのケアプランと、施設サービスのケアプランの構造上の相違点を理解せねばならない。

つまり居宅サービスのケアプランとは、利用者の生活課題を解決するための目標を達成する手段として複数の種類の異なるサービスを利用者に結びつけることがまず必要とされ、そのため介護サービスの種類決定とスケジュール管理を主な内容とした「居宅サービス計画」(居宅介護支援事業所の介護支援専門員によるもの)と、それに位置づけられた各サービス事業所で実際に利用者にどのようなサービスを提供するかという個別支援計画としての「各事業サービス計画」(各サービス事業者の計画担当者によるもの)の二重構造である。

一方、施設サービスの場合は、単品サービスであるがゆえに施設サービス計画の主な内容は施設内で行う施設サービス計画=個別支援計画となる。これは居宅サービスにおける二重構造のケアプランと比較したとき、居宅介護支援事業所のプランよりむしろ各サービス事業者のプランに近い概念となるであろう。この構造は特定施設とグループホームのケアプランも同様である。

そう考えたとき、施設ケアプラン(特定施設計画とGH計画を含む)とは単に利用者と施設のルーチンワークを結びつける役割を担うだけではなく、利用者にとって必要なサービス内容をあらたに作り出す視点など、時には現在のサービスのあり方を変えていく役割も持つものであるといえる。

※なお特定施設は本体施設が別にあって、その本体施設のサービスには入っていない個別の介護サービス部分を特定施設として外付けしているので、ここのみ居宅サービスとしているもので、グループホームに至っては暮らしの場としての施設そのものであるが、介護保険制度上で施設サービスとしてしまえば民間営利企業等の多様な事業主体が経営参入できないため、便宜上、この法律においてのみ「居宅サービス」として区分しているに過ぎない。診療報酬の算定ルール上は、特定施設もグループホームも、特養と同様「居住系施設」と区分されている。生活形態を考えると「在宅サービス」ではなく「施設サービス」と考えても良いもので、ケアプラン作成の方法自体は施設ケアプランと同様である。

(介護支援専門員の位置づけ〜ソーシャルワーカーとして)
介護支援専門員は、利用者が抱える生活課題を解決するための具体的支援方法を立案するチームの中心である。

例えば施設におけるサービスのスタンダードを変えなくとも個別の方法を組み込む必要も出てくる。つまりケアプランは、何をする、ということだけでなく、個別の利用者に対する施設のサービス内容が利用者ニーズに照らして「これで良いのか」という部分まで踏み込まざるを得ない。

そうなるとサービス担当者会議で議論される内容も、こういう課題に対し、こういう対応を行なうことにより目標を達成することができる、という視点をベースに、ケアの展開過程を精査することになる。このとき必然的にその視点はケアサービスの品質向上に繋がる業務の見直しにまで及ぶ場合があり「これしかできない」という前提でのケアカンファレンスは、ケアプランを施設の都合に合わせて文言化する形骸化したものにしてしまう恐れがある。

つまり介護支援専門員とはケアマネジャーと言う以前に、ケアマネジメント技術をしっかり持つソーシャルワーカーであり、ケアプランは使いこなす道具の一つであり、その役割は施設サービス全体のコーディネート役と言うことができ、単にケアプランを作る人に終わらない。時には施設サービスそのものの見直しを行う必要があり、ケアプラン作成責任者には、それだけの責任とともに新たなサービスを提言できる権限が必要とされる。

(施設ケアマネジメントとは何か)
わが国では介護保険制度とケアマネジメントの導入が同時に提唱された結果、両者が一心同体のように捉えられがちである。

しかし本来それは別なものである。その誤解による混乱がどう影響したかを考えたとき、介護保険制度上、居宅サービスはケアプランによって現物給付化でき、給付管理によって各サービス事業所はサービス費を算定できることで、その役割を担う介護支援専門員の業務や役割を、ケアプラン作成と給付管理の一連の介護保険制度ルールに特化して考え、それがケアマネジメントであると誤解してしまう結果に繋がっているのではないかと思える。そしてその概念を施設の介護支援専門員の役割に求めたとき様々なミスマッチによる混乱が生じてしまうのである。

しかし本来のケアマネジメントは、こうした介護保険制度における居宅サービスのルールとは別に存在し、それは生活障害を持つ人々に対する支援において、要援護者の人権や尊厳を尊重し、自立や生活の質を高める志向や援助技術を持ったソーシャルワーカーが、生活障害のファクター相互の関連性を捉え、そこからニーズを抽出して利用者を側面から支援するという意味があり、これは介護保険制度以前から施設の相談員が担っていた役割と替わるものではないはずである。

施設の介護支援専門員の業務や位置づけは、居宅介護支援のルールから考えるのではなく、こうしたケアマネジメントの基本原則に立って考えられるべきで、そこから初めてソーシャルワーカーとしての介護支援専門員の役割や位置づけが見えてくるのではないだろうか。

今日の講演では、こうした施設ケアマネジメントの構造を明らかにしたうえで、ケアプラン作成の要点を考察し(講演1)、さらに踏み込んで講演2では、その向こうにあるはずの、利用者の「豊かな暮らし」を支援する方法や視点を明らかにします。

↑ここまでが今回の事前資料の内容である。なんだか自分の講演資料を転記しただけの記事で申し訳ないが、明日からは通常の記事更新に戻るつもりである。

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masaの十勝紀行&女装疑惑に答える

先週の土・日は講演のため帯広と新得に招かれ十勝の大平原の空気を堪能してきた。あらためて北海道って広くて、空が青くて高いなあ、と実感する2日間でもあった。

土曜は帯広市において13:30〜17:00まで、施設系介護支援専門員(介護保険施設、特定施設、グループホーム等)向けの講演を行った。内容は施設ケアマネジメントと、その延長線上にある、目指すべき「暮らしづくり」についてお話しさせていただいた。なお、このテーマの簡単な内容は明日の記事で紹介したい。

また翌日曜は、新得町において10:30〜12:30までの120分講演を行った。内容はケアマネに限らず我々介護支援者が目指すべき「高齢者の支援のあり方、暮らしづくり」というテーマに絞って(帯広講演の後半のテーマとほぼ同様)お話しさせていただいた。

帯広では約110名、新得では約70名、地元以外からも釧路や北見、苫小牧等からの参加者もあり、熱心に話を聞いていただき感謝している。

土曜は登別から自家用車で帯広に向かった。

13:30〜の講演開始ということで、お昼は帯広市内で食べようと思った。であるなら帯広名物「豚丼」しかないだろうと思い、前回お邪魔した際は観光客に人気の「ぱんちょう」の豚丼を食べたので、今回は地元の人に人気の「とん田」(とんでんではなく、とんた、と読むそうだ。僕は間違えていて笑われた。)に行こうと思ったが、昼頃に行けば1時間の行列はザラであるというふうに聞いていたので、それでは講演に間に合わなくなる恐れがあるため、開店の11:00を目指して、朝6:30に自宅を出発。あいにくの雨模様であったが、運転に支障になるほどではない。

順調に走行し、日勝峠も順調に走行、と思った途端、頂上付近から天候が急変。雨が強くなったと同時に、乳色の濃い霧に覆われ、前がほとんど見えなくなった。センターラインしか見えない。怖い!!スピードを落として何とか日勝峠を下り、帯広が近づいた途端、一瞬の豪雨。それでも11:30には「とん田」に到着。なんと雨の中、既に7名ほどが開店前の店の前に並んで待っている。仕方ないので、僕も車を止め行列に並び、軒下で雨を避けながら11:00の開店まで待つ。

行列はどんどん伸びているが、幸い僕は開店第1陣で入店でき、カウンターで豚丼が出てくるのを待つ。吉野屋とは違って、ここでは出てくるのも遅い。注文を受けてから焼き始めるからだ。ということで、11:20くらいにやっと注文の「バラ肉豚丼」(ここは他にロースとヒレがあるが、お勧めがこれだそうである)登場。680円に+150円の肉大盛り、計830円で出てきたのが、この画像である。

とん田・バラ豚丼肉大盛り

ボリュームも満点だが、この値段、前回の「ぱんちょう」よりかなり安いぞ。しかも画像に移っている壺は、味が物足りない人用の「タレ」であり、こういう心づかいも嬉しい。しかも味噌汁付きである。「おお、なかなか旨い」味も満足である。僕は「ぱんちょう」より、こちらの豚丼が好みである。

その後研修会場で皆様にお逢いし、100分の講演を2題行った。講演の感想については、受講された方は是非、下のアンケートに回答していただきたい。

夜は帯広の地ビールとピツッアなどで懇親会。帯広の大地の恵みを満喫した後、2次会で盛り上がった。ただ翌日の講演のため午前様にならないように、日付が変わる前に打ち上げして就寝。

翌日はホテルを9:00に出発して、新得に向かう。天気は昨日と打って変って快晴である。帯広から新得に延びる国道は、カーブがないどこまでも真直ぐな道である。そしてその両側に十勝平野の広々とした大地が広がる田園風景だ。まさに北海道の大地そのものを感じる道である。

予定通り新得町公民館に10:00に到着。公民館は参議院議員選挙の投票所にもなっているため、この時間から町民の方々が続々と訪れていた。予定通り無事に講演も行い12:30分を少しオーバーして終了(受講された方は是非下のアンケートに回答をお寄せください)。何人かの方々に声をかけていただいた。日曜日の貴重な時間に足を運んでくださって本当にありがたかった。

さてお昼ごはんである。新得に来て、有名な「新得そば」を食べない馬鹿はいない。ということで主催者の方のご案内で会場から6キロほど富良野寄りの「そばの館」へご案内いただき、打ち立ての「手打ちそば」を味わう。僕は朝ごはんをほとんど食べていなかったので(クロワッサン1個と牛乳飲みしか受け付けなかった:もちろんお酒がやや残っていた為だと思う)、さすがにこの時間はいつもよりお腹がへっていた。そこで、ざるそばとミニ天丼のセットをいただいた。うーん。なるほどさすが香り高い旨いそばだ。美味しくいただく。

この時主催事務局の方と、受講者の方々、計10名ほどで談笑しながらお蕎麦をいただいたのであるが、その際に、ご一緒した方から、先週金曜日に書いたブログ記事の中の画像に、僕の女装写真があるといううわさが広がって、それを探したが見つからなかった、と言われた。

事の真相は、このブログ記事のヅカちゃんのコメントである。(色が変わっているところをクリックしてご覧ください。)

ほらヅカちゃん、本当に信じる人がいるって(笑)!!これはヅカ氏のジョークです。それともヅカちゃん、本当に写っている誰かを女装の僕と間違ってるわけではないよね?それなら間違えられた人に怒られるぞ〜!!

ということで、今日の記事は最後に、いわれのない疑惑を晴らして終わりたいと思う。

土日にお逢いした方々。言葉を交わす機会がなかった方々を含め、一つの会場で時間を共有したすべての人々との繋がりに感謝します。またお会いできる日を楽しみにしています。本当にありがとうございました。

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ローソク出せ2010

このブログを始めてから、毎年七夕の時期にはこの話題の記事を書いている。

そのため過去に書いた内容と重複するが、はじめてこの記事を読まれる方がいると思うので、北海道の七夕の風習についてあらためて紹介しておきたい。

北海道の七夕の特徴は、七夕を行う時期が7/7である地域と、8/7である地域の両方が存在し、後者の地域の方が多く、登別市などのように7/7に七夕が行われる地域の方が少数派であるという点が一つ。

もう一つは、七夕の日には地域で子供たちが「ローソク出せ、出せよ〜、だーさないとかっちゃくぞ、おまけにひっかくぞ」という掛け声をかけながら各家庭を回り、お菓子などをもらうという風習がある点である。(昔はお菓子ではなく、本当にローソクを集めていた。掛け声は地域によって多少の違いがある)

そのような独特の風習があるので、七夕の夜は、緑風園でも「七夕祭り」が行われ、職員や地域の子供たちが、各居室を「ローソク出せ」と回って歩き、その後お年寄りの皆さんと一緒に、様々なイベントや花火を楽しむ行事を夕食後に行っている。毎年七夕の夜に緑風園を訪れる子供さんの中には、乳飲み子だった赤ん坊から小学生になって、成長を感じさせてくれる子供たちも多い。

それらについて過去の記事では

2006年「ローソク出せ〜に見る日本の文化の寂しき変換」
2007年「七夕前夜に思うこと」
2008年「七夕は少子化を実感する日?」
2009年「七夕の夜2009」
という形で紹介している。

登別市でも地域の子供の数は年々減ってはいるが、七夕の夜に緑風園にやってくる子供の数だけは増えている。今年は特にいつもより多くの子供たちが地域から集まって、非常ににぎやかであった。ということで、本日は堅い記事なしで、画像を中心にして当日の様子を紹介しよう。


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※画像をクリックすると拡大表示します。



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公表制度手数料廃止方針・利権を残すな

7/6長妻厚生労働大臣が閣議後の記者会見で、介護サービス情報の公表制度の公表手数料と調査手数料の事業主負担を廃止する方向で全面見直しを行う方針を明らかにした。

しかし一方では「民間主体か、公的機関主体かは別として、必要性は感じている」として、公表制度そのものは存続させる方針を示した。このことは既に多くの関係者の方はご存じだろうし、ネット掲示板などでは至るところで、このことに関する議論が行われている。

僕は昨日からこの問題でアンケートフォーム(右サイドバーから投票できます)を作って意見募集しているが、僕自身が「長妻大臣の考え方をどう思うか?」と質問されたとしたら、こう答えるしかない。

全くこの大臣は当初の期待を大幅に裏切る「分かっていない輩」でしかない。化けの皮は当に剥がれて関係者は誰も期待していないが、これほどまでひどいと大臣としての存在自体が迷惑である。・・・・と。

この制度がいかに無意味で、撤廃するしか道はないことは「介護サービス情報公表制度を撤廃せよ」で詳しく書いているので繰り返さないが、存在していること自体が国民の不利益であるということを多くの関係者が指摘しているのに大臣が分からないというのは、情報不足なのか、単に頭が悪いのか?謎である。

繰り返すが、事業者が迷惑しているだけではなく、国民の不利益を助長する制度になってしまっているんだぞ。

そもそも制度を残して、事業者の手数料負担だけを廃止すれば、その費用は税金か介護保険料か、どちらにしても国民の懐から出ることに変わりはなく、そうであればこの国民にとっても無意味な制度で懐を肥やす奴らの利権は相変わらず残るということになる?大臣ともあろう者がこんなことも分からないのだろうか?

昨日から実施しているアンケートでも、大多数の人が撤廃を支持している。あいかわらず「公表制度はあったほうが良い」と考えている一部の少数意見もあるが、それは多分、利権で甘い汁を吸っている人か、前段で紹介したブログに書いている指摘を理解していない知識不足の輩でしかない。

この制度は議論の余地なく撤廃すべきなのである。

公表制度がなくなったからと言って、国民に対する情報提供がされなくなるわけではないのだ。この制度のこの方法をなくすだけで、お金をかけないで現在の公表制度より、よっぽど国民にとって必要な情報提供方法があることも前述の記事で指摘しているところである。各施設や事業所が行う自己評価より、実態を現わさない意見も情報価値もない公開情報に何かメリットを求めようとする幻想を国民すべてが捨て去るべきだ。

そのためには政治家たる大臣や政務官が、この問題の本質を見極めて、仕分けするくらいの能力があってしかるべきである。しかしそれはどうも期待できない。

右サードバーのアンケートは来週まで投票を受け付け、集計結果は山井政務官にメールで送るつもりである。それを無視するか、見もしないかは、彼の勝手であるが、それによって我々も政治家としての彼の評価をする権利は持っている。

現場の関係者の声に耳を傾けるか、傾けることができないかも、じっくり見守ってみよう。

だって山井さん、以前僕が送ったメールに対し「これを何とかなくせないか、何とか工夫できないかを検討している最中です」って返信してきたじゃないか。その結果が事業者の手数料負担廃止で終わっちゃ意味ないよ。

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通所介護の機能訓練指導員配置問題

通所介護事業所の職員配置基準では、必ず1名以上の「機能訓練指導員」を置かねばならないことになっている。

そしてその職種については解釈通知において「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者」(老企第25号)と限定されている。

ただし同解釈通知では「利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。」とも謳っているところであるが、これはそれらの訓練を行う際に相談員や介護職員を機能訓練指導員として発令配置して機能訓練指導員の配置基準が満たされるという意味ではなく、あくまでそうした行為については「機能訓練として相談員と介護職員も携ってもよいですよ」という意味にしか過ぎない。配置基準を満たすものではなく行為を容認しているという意味である。

つまり通所介護事業所では、個別機能訓練加算を算定しようと、算定しまいと理学療法士や看護職員等の有資格者が任命されるべき「機能訓練指導員」の配置義務自体はあるわけで、この場合120分以上、機能訓練指導員を配置し個別の計画に基づく「機能訓練」が実施されている場合は、同加算を算定できるものである。

逆に言えば、同加算を算定しない事業所においては120分以上の機能訓練指導員配置は必要ないということになる。

ここで問題になるのは、それでは加算算定しない事業所においては、一体何分以上、機能訓練指導員を配置しておればよいのか?そもそも配置しない日があり週数回数分程度の配置でも良いのか?ということがよく論議される。

基準省令においてこの配置基準は、単に1名以上であって、常勤専従規定でもなければ、常勤換算1.0以上という規定でもない。よって配置基準上では機能訓練指導員は雇用されておれば週何時間の勤務でも可、つまり機能訓練指導員が配置されない日があってもよいもので、勤務実態も週1回でも、月1回でも可であると読める。(グループホームの介護支援専門員の配置基準と全く同じ配置基準である)

しかし実際には、毎日の機能訓練指導員配置を求めている県が存在している。その指導根拠は

平成18年4月改定関係Q&A Vol.6であり、内容は以下のようなっている。

Q.機能訓練指導を行わない日についても機能訓練指導員を1名以上配置しなくてはならないのか。

A.通所介護事業は、必要な機能訓練を行うこととしており、機能訓練指導員を1名以上配置する必要がある。
ただし、機能訓練指導員は提供時間を通じて専従する必要はなく、機能訓練指導を行う時間帯において、機能訓練指導のサービスの提供に当たる機能訓練指導員を1名以上配置する必要がある。なお、機能訓練指導員は当該指定通所介護事業所の他の職務に従事することができることとしているほか、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、生活相談員又は介護職員の兼務を認めているところである。

これを読めば機能訓練を必ず行うんだから毎日配置は必要とも読めなくもないが、後半部分を読めば、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、生活相談員又は介護職員の兼務を認めているところでこれを行う日は機能訓練指導員がいなくてよいという意味にもとれる。

何とも曖昧だが、もう一度このQ&Aの文書をよく読むと「通所介護事業は、必要な機能訓練を行うこととしており、機能訓練指導員を1名以上配置する必要がある。」と書いているが、サービス提供日すべての日に配置が必要とは書いていないし、「機能訓練指導を行う時間帯において、機能訓練指導のサービスの提供に当たる機能訓練指導員を1名以上配置する必要がある。」と言っているだけで、あくまで「機能訓練指導を行う時間帯において」配置を求めているだけで、毎日配置が必要だとは書いていないと解釈できるのだ。

基準省令で毎日配置義務のない機能訓練指導員を、このQ&Aのみを根拠にして毎日が配置を求めるのは乱暴だ。だってこのQ&Aで求めているのは「機能訓練は最低限必要なサービスだから、それが行われない日があるのは駄目だ」と言っているもので、そうであれば機能訓練指導員配置は必要でしょ、という意味にしかならないわけがなく、「利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、生活相談員又は介護職員の兼務を認めているところである」とわざわざ断っているんだから、そういう訓練が必要とされている利用者しかいない日は機能訓練指導員がいなくても問題ないよね、と読めるからだ。

そうであればルーティンの中に、相談員や介護職員が行うレクリエーションを通じた機能訓練を位置づけておれば、機能訓練を提供するという運営基準はクリアしているし、配置基準上毎日配置せよとされていない機能訓練指導員がいない日があってもよいことになる。

そもそも通所介護の機能訓練とは、医学的・治療的リハビリテーションエクササイズとしての個別リハビリテーションではない。

老企25号でも「日常生活上を通じて行う訓練は介護職員にも可能」と明記されているもので、例えば食事自立のための食事の際の指導とか、入浴時の洗身自立のための入浴介助を通じての機能訓練が明確に認められており、これを行っている限り「機能訓練も行われており」と認定でき、運営基準違反も問えない。

よって機能訓練を行わない日があってはならないが、日常生活や行事やレクを通じて行う訓練を必要とする利用者しか利用していない日は、機能訓練指導員が配置されていなくても機能訓練を行うことができるので問題ない、という解釈にしかならないと考えるものである。

どちらにしても基準省令で規定されている「機能訓練」を、機能訓練指導員しか行えない行為と限定して考えるのは間違った考え方であることは明白である。

リハビリテーションがメインサービスである通所リハビリでさえ、セラピストの配置は毎日は求められておらず(毎日配置は努力規定となっている)週0.2以上の配置を満たしておれば認められているところなのに、治療的リハビリテーションを提供を求められていない通所介護だけ、機能訓練指導員の毎日配置を求めるならば、介護報酬はその分アップさせねば通所リハビリとの整合性が取れない。大きな矛盾である。

※なお本記事の内容とは関係しませんが、昨日長妻厚生労働大臣が「介護サービス情報の公表制度」の事業者手数料廃止の方針を打ち出した件について緊急アンケートを実施しています。右サイドバーのアンケート投稿フォームからご意見をお寄せください。この結果は来週の集計後に、山井厚生労働政務官にメールで送ろうと思います。見てくれるかどうかは別の話だけど・・。

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椅子が足りなくなってきた

昔々の話である。措置費時代の特養では廊下やデイルームにソファを置くことが必要か、という議論があった。

自分で歩けるような元気な人を特養に入所措置しちゃいけない。車椅子が必要な人が入る施設にソファなんか必要はない。そんなものを置いている施設は、入所の必要がない元気な老人を入れている施設だ、という議論である。

今考えれば馬鹿馬鹿しいにもほどがある議論であるが、当時は老施協の全国大会などで講演する「お偉い先生方」が声高らかに唱えていた意見である。そいつらは壇上からこう言っていた「特養の廊下やホールにソファが必要っておかしくないですか?誰のためのものですか?」

こうした意見が的を射たものではないことは明白だが、それは2つの点から「違う」と言えるものである。

まず第1に、介護を要する状態を「移動能力」「下肢機能」に特化して考えてもしょうがないという問題で、歩けるけれど日常生活支援が必要な方々への視点に欠けているという点である。

そしてそれよりも大事なことは、車椅子という「移動ツール」を利用している人に、椅子が必要ではないという考え方そのものが間違っているという点である。

車椅子はあくまで移動ツールなのである。だから安楽に長時間座位がとれるような「しつらえ」にはなっていない。座面は座り心地に配慮した素材ではなく折りたためるための素材でできているし、高さも操作性を優先して考えられている。だから車椅子を使っている人だからと言って、ある程度の時間、座位をとる場所で車椅子以外の「椅子」が必要とされないということではない。

車椅子の座位姿勢や座り心地に配慮して座布団などでいくら工夫しても、そこには自ずと限界というものがあるので、車椅子から椅子に移乗する支援が必要な場合があるのだ。

例えばゆっくりテレビを見る際にはソファに移る必要もあるし、食事の場合は、テーブルとあった座位姿勢をとることができる椅子に乗り換える必要だってあるのだ。そういうことに日常的に気が配られ、そのような支援が実践されている施設と、そうではない施設には自ずとサービスの品質差というものが生まれるだろう。

普段からそんなことを職員にも言っているのであるが、その影響は予期せぬところに現われ、椅子が足りない!!という訴えになってきている。

当施設のように大きな器になると、いくらグループケアでサービス提供単位を施設内で小さくしても、利用者自身の生活空間は施設全体で考えねばならないため、それぞれの好みや生活習慣に応じて、様々な場所で過ごすことになり、居室とホールだけにそうした椅子を備え置けばよいということにはならず、色々な場所で車椅子から椅子へ移乗する人が増えてきたことで、その数が足りなくなってきた。足りないから現在では、椅子を抱えてA地点からB地点へ介護職員が走るという姿が見られる。

これではなんぼなんでもハードワーク過ぎる。

そこで10脚ほど新しい椅子を購入せねばならないことになった。しかし座位安定性が良くて、それなりに見た目もよく、安定性があり丈夫な椅子というものは結構値段が張るものなのである。まあこれは仕方ないか。

その程度の経費をケチってケアの品質を下げるというわけにもいかないのである・・。

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笑顔が求められるとき

介護支援者に向く性格はあるのか?という問題について「介護職に向く性格って何?」の中で書いているように、普通の人であれば、冷酷な心を持つ人でなければ、様々な性格の人がいてよいし、社交的ではない人が介護サービスに向かないなんてことはないと思っている。

そのことは「介護の常識を変えよう」というテーマで全国の様々な場所で講演する際にも話している。

物静かで社交的ではない人を好む利用者もおられる。

少なくとも、社交的で明るい、という意味は「おしゃべりで、うるさい」ということとイコールではない。

そのことを間違えてはいけない。

人は落ち込んでいるとき、必要以上に元気に声をかけられることさえ「うっとおしい」と思うことがある。親切で明るく元気に声をかけても、そのことを嫌味にしか感じない精神状態の場合もある。

大事なことは、そういう状況に思いをはせ、そのことさえもしっかり受け入れて、その時々で最もふさわしい対応をしようという気持ちを持てるかということで、それが相手の「思いに寄り添う」という意味である。これができてこそのプロフッショナルである。

ただどんな場合も我々自身の心の中のゆとりは必要だ。そして我々自身には笑顔が必要だ。

介護に関わるものであっても性格を明るく変える必要はないが、プロとして介護に携わる人は援助技術として、人に不快を与える態度や言葉や表情に注意する必要は当然あるということだ。

そこを取り違えてはいけない。

ただできれば、プロとしての意識なんか持たなくても、高齢者の方々も介護者も、ともに自然に笑顔になる、そういう介護の現場であれば、これは理想的である。しかしそのことは我々が目指さねばならないし、そうしなければならない。

職員も利用者も、お互いが心から豊かな笑顔になることができる場所が、介護サービスの現場でなければならないと思う。

誰かの不幸の上に、誰かの幸福がのっかる現場であってはならない。よい介護をするために、知識や技術を高めることが、利用者の笑顔に結びつき、そのことが職員の笑顔に結びつく職場でなければならない。

本来、学ぶことは喜びである。勉強したくともその時間も余裕もなく、ただ日々の暮らしを営み生きることに精いっぱいだった時代を生きた先人たちのことを考えれば、今、我々はヤル気さえあれば勉強できる環境にいることを幸せに感じるべきである。そしてその勉強は明日の我々の笑顔に結びつく喜びであり、やがてそれは我々が向かいあう利用者の方々の笑顔に繋がっていくはずだ。だから勉強は決して苦しいものではないのである。

暮らしの場とは、幸せを営む場である。我々はその暮らしを作るために、そこにいることを許されている者なのである。介護を必要とする人々の傍らにいることを許された者なのである。

そのことを忘れてはいけないと思う。

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哀しい国やね

今年2月、岡山県で全盲の女性が盲導犬と一緒に路線バスに乗車中、運転手から「車内が犬の毛で汚される」と言われた。女性の相談を受けた関西盲導犬協会が改善を県バス協会に要請。その後バス協会は加盟各社に盲導犬への理解を求めた。しかしこの問題はここで終わらなかった。

女性が5月にバス乗車した際にも、同じ運転手が「犬を乗せるのは嫌だ」と発言。そのため再び相談を受けた関西盲導犬協会が、県バス協会とバス会社に改善するよう口頭で申し入れたが、それに対してバス会社は「事実関係が確認できていないのでコメントは控える」としている。

スポーツ紙の片隅に載せられていたこの記事を読むと僕はとても哀しくなる。

その時の女性の気持ちを思う哀しみだけではなく、街の片隅でこうした差別や虐待が日常的に起こっているという事実に対する哀しみであり、周囲の人々がそうした状況にものを言わない社会に対する哀しみであり、この国の民度の低さを思い知る哀しみである。

視覚障害のある方にとっての盲導犬は体の一部だろう。単にペットと一緒にバス乗車するという問題とはまったく違う状況だということは「常識ある人間」ならば誰でもわかることだ。

このことは障がいのある人々を同情的に見るとか、周囲の人が人一倍優しくなければならないということではなく、ハンデキャップを持った人の不便に対して、周囲の人々がその解消のために協力するというのは当たり前のことであるということに過ぎず、それは人間として普通の感覚ではないのか?

路線バスというのは「公共の交通機関」とされているんだ。公共性があるということは社会的責任も普通以上に求められているんだぞ!そのことを分かっているのか。目と杖の役割を持つ盲導犬の乗車を拒否するバス運転手など社会悪以外のなにものでもない。

バスの路線も、乗車時間も分かっているんだから、会社は運転手を特定して、事実確認をしたうえで厳正なる処分をすべきである。

当事者である、この全盲の女性は、そのときどんな思いでバスに揺られていたんだろう?

その気持ちは察して余りある。こんなことが許される社会であってはならない。同じバスに乗車している人は何も言わなかったのだろうか?それも寂しいことだ。

バリアフリーという言葉が日常的に使われるようになった現在でも、人々の心のバリアフリーはこんなにも遅れている。しかし超高齢社会である現在の我が国の一面は、ほとんどの人間が人生のある時期を迎えた時に、人の世話にならずには生きていけないことをも意味しているのだ。

その時に目と杖である盲導犬を拒否する人は、どのような気持ちで人に頼るのだろうか?ハンデキャップを持ち日常生活に不便のある人を周囲の人々が当たり前に支える社会でない限り、自分もその社会でずっと幸福には暮らせないのである。

少なくとも僕は、そんな差別的発言を平気で行う運転手を許せないと思うし、同時に自分や自分の子供たちに対しては、こういう状況に出くわしたら、決して「聞こえないふり」をしてはいけない、「物言わぬ市民」であってはいけない、ハンデを持つ人をきちんと当たり前に守るために、不当な差別発言をする人には正当な抗議をすべきであると伝えたい。

沈黙も時には虐待や差別と同じ意味を持つということを忘れてはいけない。

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慌ただしさは活力

今日から暦が7月に替った。1年の半分が過ぎ去ったわけである。

今年の7月は僕にとって公私に渡って多忙極まりない月になりそうだ。今週末の最初の土日は、とある社会奉仕活動を支援するために出かけなければならない。支援すると言っても自分がその活動を一緒に行うだけではあるが、とにかく丸2日間はその活動で消化されてしまう。

それ以降の土日は、10,11日と北海道の十勝講演(帯広・新得)があり、翌週の17日(土)は北海道社会福祉士会・日胆地区支部が主催する「権利擁護セミナー」を行う予定があり、この主催者事務局としての仕事もある。そういえばその日午前中は、社会福祉士基礎研修もあるので、倫理綱領についての講師役も務めねばならない。夜は当然(何が当然かは?であるが)なおらいとしての懇親会で、おそらく二日酔いの状態で翌日曜〜祝日の月曜まで札幌で会議と打ち合わせが入っている。

その翌週の23日(金)からは大阪講演があり、24日に帰道するが、そのまま25日(日)は出身大学の在校生のサークル活動でちょっとした指導を行う予定になっている。31日の土曜だけは予定が入っていないな、と思ったら日直で出勤である。そういうわけで7月はすべての土日が埋まって「休養」をとれる日がない。
(数回予定されている夜の懇親会が休養といえないこともない。よって仕方なく、あくまで仕方なく・・・大いに騒いで飲もう。)

そうであれば平日に有給休暇でも取れるのかと問われれば、それも不可能な業務の状況だ。

まず何より選挙である。参議院議員選挙が7/11投票日なので、月初めに不在者投票を行わねばならない。これも結構大変である。自分自身も11日は帯広から新得に向かって講演後地元に帰ってくる日であり、遅くなってもしっかり投票に行かなくちゃな。

それから当社会福祉法人の理事の任期が7/20までであるため、改選理事会を7/13に開催する予定であり、この対応も必要である。月末の29日には、道による社会福祉法人の監査と、介護保険施設としての実地指導がある。このための準備も多少は必要となろう。実施指導当日は、恒例のネット掲示板での指導状況の実況中継も期待されているだろうから、期待に沿うよう頑張るつもりだ。でも指導担当の皆さんお手柔らかに〜!!

それと7月からは、介護福祉士養成校の授業が週1回入ってくる。木曜の午前中はこれでつぶれてしまう。毎週180分の授業を受け持つんだから準備にもそれなりに時間がとられるだろうなあ。そのために時間を割かれる分を、どこかで穴埋めしなけりゃならないので、とても休みをとっている暇などない。でもマンパワー育成は、この業界関係者の責務だし、やがてそれらの人々が我が職場の貴重な戦力になってくれる可能性もあるわけで、ここは協力が惜しめないところである。

認定審査会もサボるわけにもいかないが、何と7月は審査会が2回も入っているではないか。(ちなみに僕は合議体の副長なので、審査会では議長役の為、通常は月1回のことが多い。)そのうちの1回目は今日夕方であるからまあいいか。

いまあせっているのは予定されている講演や講義のすべてのファイルが完成しているわけではなく、これから手を入れたり、考えたりする部分もかなり残っているのである。1時間の話の事前準備は、その何倍もかかることになることを考えると、プライベートの時間もかなり削って時間を作っていかねばならず、冊子の連載記事も書かねばならない。頑張るぞ!!

今のところ体力だけは自信があるし、ベッドに潜り込めばすぐ眠れて、短い時間でも熟睡できるので身体上は問題ないだろう。おかげで、もう少し体を絞り込みたいのに、体重が一向に落ちないのは、それだけ元気で食欲もあるという証拠だろう。ここはあくまでポジティブに考えよう。

精神衛生上の問題としては、我がファイターズが交流戦終了後10勝1敗という本領発揮で、一挙に借金返済が見えてきたので、テンションも上がり、実に気分の良い状態である。サッカーワールドカップは残念な思いをしたが、ファイターズの快進撃で気分直しじゃい!!

なにより休養は取れなくても、全国の色々な場所から講演を依頼される今の状況は、僕にとって幸福である。僕の話を聞きたいと思ってくれる人がいて、声をかけてくださり、それによって今まで行ったことがない土地に行く機会ができ、その土地の様々な物や風景を楽しみ、食を楽しみ、そして何よりも、それらの土地で新たに出会う人々と「繋がり」ができる。(参照:講演予定など

このことが僕にとっての最高の財産である。そのことが一番の楽しみでもあり、明日の仕事に繋がるモチベーションでもある。

だから僕に声をかけて、講演する場所を作ってくださる主催者や事務局の方々には心から感謝しているし、そういう場所に貴重なプライベートタイムを割いてきてくださる受講者の皆様にも、同じように感謝している。

それでは皆さん、どこかでお逢いしましょう。そして人が繋がる幸せに感謝しましょう。

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