個別機能訓練加算に関連して、今日はその個別機能訓練の内容・具体的行為はどのようなものか、ということを考えて見たい。

機能訓練の目的の一つである機能低下を防ぐという意味は、廃用を防いで日常生活動作が維持されるということを意味する。

ではこの廃用とは何だろう。

廃用とは、実際の加齢に伴う身体機能の衰えより以上に、実際の機能低下が進行する状態であり、想定される一般的身体機能低下と実際の低下の差が大きければ大きいほど廃用は進行していると言える。

この原因に的確に対応できれば廃用の進行を遅らせることができ、それが介護予防であり機能維持である。そして廃用に的確にアプローチすることで、日常生活の中において自力でできる行為が増えることが機能改善であろう。

つまり機能維持・改善とは、筋力をいくらアップしても、それだけで目的が達せられるものではなく、生活機能と結びついた動作によって、日常生活の中で必要な機能が活用維持され、生活能力が維持・改善されることを意味する。

大事な視点は医学的リハビリで筋力をいくら維持、向上させても実際の生活においてそれが「生活行為」に結び付けなければ機能維持・改善にならない、ということである。

日常生活の中でできる機能を使う生活を考えることなく、単なる身体能力への対応プログラムに着目しても継続しないのは明白である。そうであれば通所介護における個別機能訓練は筋力アップだけに着目するのではなく、日常生活において自力でできる行為を増やすことで、ごく自然に筋力が維持向上できる方法として考えられるべきだ。

ここの部分が福祉系サービスたる通所介護の個別機能訓練の担当中心領域であり、腕の見せ所である。

生活に機能を生かすためには、その機能を使って過ごせるような「動機付け」が不可欠だ。
これは我々の筋力がどのように保たれているかを考えれば一目瞭然である。普段の生活に使わない機能は、決して維持されたり向上されたりはしないのだ。

辛いメニューや、面白くないメニューは長続きしないし、続かなければその効果は一時的でしかない。それは介護予防や機能改善のエビデンスにはならない。高齢者が継続的に実施できる方法は、実際の日常生活における生活行為に結びつける方法がもっとも適しているのである。

生活機能分類(ICF)の視点をケアプランに取り入れようとする考えも、基本的には生活に活用できる機能を、自然に、かつポジティブに取り入れられるよう介護サービス計画の目標や具体的内容を考える、というものであり、まさに「動機付け」の方法論であろう。通所介護サービスにおける個別機能訓練計画とは、このことを重視した内容とすべきであり、その具体的方法であるべきだろう。

ここにアプローチするのが通所介護における機能訓練の方法論である。

このように考えたとき、個別機能訓練とは何も歩行訓練や、関節可動域訓練を通所介護サービスの中で行うことに限るものでなく、レクリエーションやクラブ活動の中で行うメニューの中で、身体機能を活用し、それが維持・向上できるような目標と方法を考えても良いし、通所介護のサービスメニューとしての生活支援メニューの中で、利用者に個別のリハビリテーションの視点を持って関わることができるサービスであっても良いはずだ。

例えば、利用者の課題が自宅で入浴ができないということであって、その理由が片麻痺があって洗身行為が不十分である、ということであれば、入浴支援の行為の中で、自力で洗身ができるようになって自宅で入浴できる、という目標を立て、具体的な訓練として、片麻痺でも背中などの洗身ができる道具を使った洗身動作訓練を入浴支援の中に位置づけて指導するなど、自立動作への援助を行うことが考えられるのではないだろうか。

また食事摂取に援助が必要な人で、自力で食事をしたいという希望を持つ人に対して、自分で食べることが困難である理由をアセスメントすることで引きだされた課題に対して、その課題を克服すべく機能改善の具体的な目標が立てられ、食事摂取の際の道具の工夫や、それを使うことが可能になるような支援行為を、その目標を達成する為の具体的方法として計画されておれば、これも「日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を予防する訓練」に該当するであろう。

このように直接的な生活支援の行為と、機能訓練を結びつけて考えることは改正制度のルールの中で否定されていない。アセスメントの結果として、必要な訓練であるとして計画に位置づけられ、その内容が定期的に評価されておれば良いのである。むしろ、このような生活行為を機能訓練計画に結びつけることは、利用者が通所介護というサービス事業所を拠点にして、継続的・連続的な機能活用と維持の取組ができるというメリットとなる。

通所介護で指導を受け行っている「訓練内容」を日常生活行為の中で反復することによって、それは生活行為と有機的に結びつき、ごく自然な形で機能活用され、さらに拠点である通所介護事業所において、定期的にその効果や内容を評価することによって日常生活に必要な機能の維持改善を図ることができるのだ。

また通って通うサービスの大きな特徴は、それにより引きこもりを防いで身体機能、精神機能の活性化を図ることができるという特徴があり、集団的メニューであっても利用者本人がそこに参加して心身活性化に繋がるメニューであれば充分に個別の機能訓練目標と方法になるものであり、ゲームやレクリエーションが個別機能訓練に該当しないなんてことはあり得ない。

通所介護における個別機能訓練とは、こうした視点を含めてグローバルに考えられるべきものであろう。
明日も個別機能訓練に関する関連記事を続けます。)

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