改定報酬の骨格が公になり、あとは解釈通知やQ&Aで詳細を確認するだけであるが、とりあえず今回の新たに示された単価で今後3年間は介護サービス事業が運営されることになる。

今回の報酬改定はあくまで報酬の変更だけで、新しい加算報酬が作られ制度はますます複雑化したとはいっても、制度改正が行われたわけではなく介護報酬体系とその算定ルールをいじくっただけである。

そういう意味では新加算報酬と制度上のミスマッチも出てくるだろうし、今後、時間の経過とともに制度上の様々なひずみが表面化することになるかもしれない。

しかしこれから3年後の制度改正(2012年4月)のことを考えると、今回の改定など粟粒のような小さな変化でしかないといえるであろう。3年後の改正とは、それに先駆ける形でその年の3月末までに介護療養型医療施設が廃止されるんだから、非常に大きな変革を含んだ改正にならざるを得ない。

さらにいえばそのときには診療報酬の改定も重なっている。ダブル改定というわけである。

そのときには日本のトップは今の人ではないことは間違いないだろうが、主権を取っている政党がどこになるかは不確実極まりない。社会情勢も不透明であり景気が確実に回復している保障もない。むしろ時間の流れ方が早まっているんだから、景気動向は上昇したり下降したり、いくつかのサイクルを経て、どの時期に当たっているのかという問題になるだろう。

それが介護報酬と診療報酬の改定にどう影響するのか?例えば今回の介護報酬の全体での3%アップという方針は、アメリカ発の世界同時不況が始まる前に決定された方針だった。この不況の発生が3月早まっていたら、介護報酬はどうなっていたんだろうか?何か影響が出ただろうか?

しかし確実に変わっていないだろうと思われるものがある。それは官僚組織であり、官僚主導の予算編成である。厚生労働省老健局の介護保険制度に対してのビジュン(といえる高尚なものでもないが)自体も変わっていないだろう。それは改正の目的が「制度の持続可能性」に主眼を置いたものであるということである。

今回の介護報酬はとりあえずの対症的処方でとりあえず3%報酬をアップさせたが、改革の本丸は3年後のダブル改定であると考えている官僚は多いだろう。

わずかにアップさせた報酬を盾に、職員の待遇改善が行われていないなら(実際に行うことができても限定的、少額にとどまらざるを得ない状況なのに)、そのことを理由に報酬アップは無駄だったと結論付けられる恐れさえある。介護サービスの経営者は悪徳経営者のごとく非難されるかもしれない。特定のサービスは必要のないものとして烙印を押されるかもしれない。

そのとき、介護報酬と診療報酬は両者喧嘩せずにお互いを守りあって必要な額を確保できるのか?削りあい奪い合いの力関係の結果となるのか?

介護報酬と政治とは無関係と言う人がいるし、介護の業界団体は政治的な動きをすべきではないと考えている人も多い。国への圧力は政治力がなくても可能と考えている人もたくさんいるだろう。

おそらく今の情勢を鑑みると、劇的な変化がない限り、改革本丸の3年後のダブル改定時に、老施協から国会議員は選出されていないだろう。それとは対照的に医師会と看護協会からの議員は出続けるだろう。

その影響が制度改正や報酬改定にまったくないと考える人は朴念仁である。

どちらにしても、本番は3年後。ここでまた大きな戦いをせねばならない。

戦いは正面突破だけでは勝利は得られないのである。側面支援がいかに効率的に多様に行われるかが勝利の要素なのだ。そして戦いとは決してきれいごとだけではなく、時には泥をかぶらねば前に進めない場面があるのだ。正論だけで動いている世の中ではないのである。

我々の本来の役割は、介護サービスの品質を高水準に維持して国民の期待に応えることである。しかしそれのみで我々の業界に必要な介護報酬を次の制度改正でも確保できて、社会福祉の理念が実現できる事業経営を守っていけるなんていう甘い情勢ではないと思う。政治力を否定しているところが、それにしっぺ返しを食らうようなことにならないことを祈っている。

どちらにしても3年などすぐである。新報酬の解釈に費やせる時間などごくわずかしかないのである。その後に我々は国や様々な団体に物言えるだけのサービス提供体制を強化しつつ、様々な分野での理論武装に努めていかねばならない。

時間は無限にあるわけではないのである。新たな形に早く順応しないと、時代から取り残されてしまう。

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