次期制度改正のキーワードとなっている「地域包括ケア」を巡っては「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」が注目され、制度改正の中心議論になっている感があるが、それはあくまで「地域包括ケア」の仕組みを支える基礎的なサービスの一つとして位置付けられているだけで、それだけが地域包括ケアのすべてではないという理解が一方では必要である。

特に昨年5月に公表された地域包括ケア研究会報告書では「地域包括ケアの定義」について「ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で〜」として、高齢者の新しい暮らしの場の構築を前提条件にしていることを忘れてはならない。

このことは昨年10/26の「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会 中間とりまとめの公表について」の中でも触れられており、その4ページに「過疎地等では、サービスの展開が困難な地域も想定されるが、『集合型の高齢者住宅(高齢者が住み続けるために配慮されたバリアフリーの住宅)』と本サービスを含めた『外付けサービス』の組み合わせで移動コストを低減させることにより、効率的なサービス提供が期待できるのではないか。」と指摘し、過疎地等では、要介護高齢者の積極的な「住み替え施策」が必要であることを示唆している。

過去のこのブログ記事「小さな福祉ニーズは守ることができるのか」でも指摘しているが、この住み替え施策、住み替え政策は、僕は反対ではない。限界集落の数が増大する北海道ではむしろその推進策が必要不可欠になると思う。

次期制度改正において、地域包括ケアを推進する制度のコンセプトと、暮らしの場の移動と地域再生が一体となり、その改革がセットでスムースに進めば、これは超高齢社会の地域の再生という方向に繋がって行く可能性があるものだと評価できる可能性がある。

しかしそのためには、そのことを意識した政策誘導と、そのための制度の瑕疵修正が不可欠で、何もしないで自然の流れの中で、このことが結び付くわけがない。この意味を分かっている政治家がいかに力を発揮できるのかが、一つの重要な要素である。そして瑕疵修正としては、18年改正で予防と介護を分断したことにより崩壊したワンストップサービスを復活させることが何よりも必要だ。

今のように予防と介護の区分で、介護サービス担当者がくるくる変わる状況では、30分で移動できる圏域の中に生活拠点を移しても、高齢者の生活がその狭い圏域内側でさえ、空間と時間の連続性が保障されない。介護計画担当者の交代によりそれが途絶えてしまうのである。これではケアは包括されない。

この部分の改善は是非とも必要だと思うのだが、ケアマネ不要論は議論されても、予防から介護までケアマネが連続一体的にケアマネジメントを行い、ワンストップサービスによって、利用者のニーズ把握のブレを失くしていこうという議論は皆無である。これって本当に検討課題としなくてよいのだろうか?僕は大いに不満である。

ところでこの問題と関連して注目していることがある。それは「あらたな住まい」として介護・医療と連携し、高齢者を支援する「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度の創設を盛り込んだ高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)等の一部を改正する法律案が8日、閣議決定されたことである。

「サービス付き高齢者向け住宅」は、住宅、有料ホームを横断する優良なサービス付きの住宅として、有料ホームの横断的な受け皿にし、建設費補助や税制優遇で登録を誘導し、市場の適正化を目指すのが制度の狙いで、特徴的なのは厚生労働省・国土交通省の共管を強く打ち出している点である。

入居者は高齢者本人と配偶者としており、一定のハード基準(基準面積を設けている)をクリアしバリアフリー基準に適合することが条件でとしている。契約についても「家賃などの前払い金以外に権利金その他の前払い金」の受領を禁じているほか、入居後の一定期間内の退去や死亡の場合は、全額前払い金を返還する義務を負わせている。

そして行政による報告徴収、立ち入り検査、指示などを権限として認め、名称独占とし、有料老人ホームとしての届け出は不要としている。

有料老人ホームでの多額な契約金未返還トラブルを受けての新たな住まいであるが、行政の指導監督権がある程度及び、費用面で返還トラブルのリスクが減ることなどを考えると、利用者ニーズに合致してかなりのスピードで増える可能性がある。

何より地域包括ケアをビジネスチャンスと見る事業者の立場に立てば、この「サービス付き高齢者向け住宅」を建設して、「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」を外部サービスとして提供することで、かなり高い収益を見込むことが可能になる。「24時間対応の定期巡回・随時対応サービス」を行う複合事業所が、圏域で一社独占となれば、その収益性はさらに高まる。

2つの省を横断して共管するというシステムは、ある意味歴史的な意義をそこに加えて考えるべきで、両省ともこのサービスを守ろうとする意識が働くだろうから、パブリックバックボーンを意識した運営も可能かもしれない。

どちらにしても有料老人ホームや高専賃にとって替って、今後の高齢者の介護付き住居の主流となる可能性を持った「サービス付き高齢者向け住宅」からは、今後しばらく目が離せない。

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