僕が鹿児島県周辺で講演を行う際に、必ずといってよいほど受講してくださる方で、フェイスブックでも友達にもなっている大平怜也さんという方が居られる。彼は鹿児島県長島町の特別養護老人ホーム・あかね園で介護支援専門員をしておられる方だ。

個人的にもお付き合いをさせていただいているが、彼は大変勉強熱心な方で、プライベートの時間を使って、「鹿児島笑福会」や「鹿児島もんじゅ」の活動等も積極的に行われている。僕から見ても勤勉な方で、よい感性を持っておられる方であると思う。

そのため彼はいろいろな知識を持っておられる。だから彼の言葉から気づかされるもの、学ぶものは多い。多分、彼はいろいろな分野の本を読んでいるとお見受けする。書物から得る知識は非常に重要である。様々な視点を持つ他者の視点を取り込むことで、自分の視野が広がるからである。

そんな彼のモットーの一つがフェイスブックで紹介されている。転載させていただくと
『僕は、たとえすぐに捨てるようなメモ書きでも、利用者の名前を呼び捨てに書かない。「さん」「様」をつける。そうでもして意識しとかないと、また昔みたいに人権を踏みにじってしまいそうだから・・・。だから、敬称なしで書かれた利用者の名前を見ると、なんか、大丈夫かな?って思ってしまう。』

というものである。とても素晴らしい考え方だと思う。

そしてこのことに関連して、彼は過去に聞いた覚えがあるとして、「行動が習慣に、習慣が人格に」という言葉を紹介している。

僕はこの言葉が書いてあるフェイスブックのコメントを読んで、はたと思い出した言葉がある。それはマザーテレサの言葉である。

思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。


(原文)
Be careful of your thoughts, for your thoughts become your words.
Be careful of your words, for your words become your deeds.
Be careful of your deeds, for your deeds become your habits.
Be careful of your habits; for your habits become your character.
Be careful of your character, for your character becomes your destiny
.

この言葉は、むかし何かの本で読んだとき非常に感銘を受けた言葉であったが、いつの間にか忘れていた。

しかし僕が提唱している「介護サービスの割れ窓理論」も、この言葉を紹介しながら解説するとよりわかりやすくなると感じた。その時には「性格」という部分は、大平さんが書いているように「人格」としたほうがよりインパクトが強くなる。それに原文のこの部分は character だから、人格って訳してもよいし、むしろそのほうがマザーテレサが言わんとしている意味に近いのではないかと思う。

ぞんざいな言葉遣いでしか利用者とコミュニケーションを交わすことができない人は、その程度の人格になってしまうのである。そしてそれは自らの運命にもつながっていくのだ。

丁寧な言葉で利用者に接する人格と、言葉を汚くして接することしかできない人格と、どちらを求める人になるのだろうか。どちらになりたいのだろうか。

利用者が「おはようございます」と挨拶してくれているのに、それに対して「おはよう」としか返せない言葉は、それなりの行動にしかならず、それがやがて丁寧な挨拶をしないという習慣になり、その習慣が自身の人格を形成してしまうということを考えると、何が正しいのかは明瞭である。

友達言葉で利用者に接することが「親しみやすさ」だと感じる人間や、丁寧な言葉遣いが「形式的で、格式張る」と感じる人間は、人格を低めて利用者と接することが正しいと思っているということになる。自らの運命をそれによって規定してしまうという意味にもなる。

逆に言えば、自分が目指したい人になるためには、その方向に向けた行動をとることに努めて、それを習慣化することが大事だということにもなる。

感覚を麻痺させて、虐待を正当化するような人格でありたくはない。そういう人格が自分の運命を決定づけるのは嫌だ。だから自らの感覚を麻痺させず、世間の常識を、そのまま介護サービスの現場でも常識と考える人でありたい。そのためには少しでも感覚を麻痺させることにつながりかねないように自らの行動を戒め、人を人として敬い、利用者のみなさんに対しては、我々が関わることで幸せな暮らしを作ることが可能となるような行動を習慣化したい。

当然そうであるなら、プロフェッショナルとして持つべき理念を守るための規範を自らの心に持つべきであり、それに基づいた行動をとるべきであろう。

鹿児島の大平さんは、利用者の人権を徹底的に守ろうという思考に基づいて、メモ書きでさえ必ず敬称をつけるという行動を習慣化させている。彼の人格はそれに基づいて形成されていると思われ、事実彼は、とても好感の持てる素敵な方である。彼の運命はきっと「見えないもの」によって、良い方向へ導かれることだろう。若い人々に学ぶことは実に多い。

言葉は行動になり、行動は習慣になり、習慣は人格になる。そして人格は自らの運命になる。このことを肝に銘じて自らの思考・言葉・行動を律せねばと思う。

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