介護保険制度については介護保険法附則第2条において「この法律の施行後五年を目途としてその全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直し等の措置が講ぜられるべきものとする。」 とする規定があり、これに基づいて制度改正が行われる。

つまり制度改正は5年ごとに行うのではなく、五年を目途としてその全般に関して検討が加えられて、その結果として必要な見直しを行うもので、実際のタイムスケジュールは、制度の5年目に本格的な議論を終了させ、6年目に国会に法案を提出し、審議可決したものを7年目の始めから新制度として実施している。つまり6年サイクルで改正が行われているものだ。

この途中において国会で可決したものについては、即実施するものもある。(最初の制度改正である06年4月に先駆けて、05年10月から居住費と食費の自己負担化が行われた例などが、これに該当する)

一方、介護報酬の改定時期については、介護保険のどの法令を見渡しても、それを規定したものがない。しかし実際に介護報酬は3年ごとに改定が行われている。これは介護保険法・附則において、介護保険事業計画・介護保険事業支援計画が「3年に1度」の見直し義務があることから、それと連動することを介護保険法を創る際の「医療保険福祉審議会の議論」の中で「関係者の合意」により「介護報酬の見直しを3年ごとに行うこと」とされたものである。

実際の制度改正と報酬改定の実施状況を整理すると下記の図のようになる。
制度改正と報酬改定

このように2000年にスタートした介護保険制度は、2006年4月からと、2012年4月からの2回にわたり制度改正が行われている。そしてそれぞれの6年間の真ん中の時期に報酬改定が行われているものである。

そうすると2012年4月から起算して、3年目の2015年4月からは報酬改定であり、制度改正はそれからさらに3年後の2018年4月からということになるはずである。

ところが1/21に行われた第42回社会保障審議会・介護保険部会において、厚労省は次期制度改正については2015年4月からの実施を図るため、来年度中に法案を作成し、来年の通常国会に法案提出する意向を示している。

その理由については「介護保険制度は原則3年を1期とするサイクルで財政収支を見通し、事業の運営を行っている。 したがって、この間に保険料の大きな増減が生じると、市町村の事業運営に大きな混乱が生じることから、制度改正は、2015(平成27)年度からはじまる第6期介護保険事業計画に反映させていくことを念頭に置いている。」としている。

以下が今後のスケジュールである。

今後のスケジュール
そうすると介護保険制度改正は既に方格的議論が始まっていると言って良いわけで、そこでは制度の持続可能性を損なわないように、保険料負担が国民の負担能力を上回らないように抑制されなければならないという議論が中心となり、財源論からの制度改正議論という性格はなくなることはない。

財源確保のための方策として、昨年度の改正の時に議論され実現しなかったものについては差し議論されることは必然である。その内容を整理すると

利用者負担割合を1割から引き上げる
一定以上所得者の利用者負担のみ引き上げる(年収320万、年金収入200万円以上または医療保険の現役並み所得者)
第2号保険料の算定方式を、給与水準に応じて決める「総報酬割」に変更する(現行は総人数割)
ケアプラン作成に対する利用者負担を導入する
所得だけでなく、世帯の資産まで勘案して補足給付の要否を決定する仕組みを導入する
補足給付を公費負担にする
特別養護老人ホームなどの多床室の入居者から室料を徴収する
特養の規模別報酬を現行の3段階から5段階報酬へ
軽度者の利用者負担を増やし、給付を縮小する
被保険者の範囲を40歳未満に拡大する
公費負担拡大(調整交付金の外枠化、地域支援事業の公費負担化を含めた拡大議論)

ということが挙げられる。

僕個人の予測では、次期改正では利用者1割負担見直しは避けられないものと思う。それが全利用者か、国が線引きする一定以上の所得者かは別にしても、2割〜3割の自己負担利用へという流れは止まらないだろう。

2号保険料の総報酬割りについては、日経連が強く反対し、1割負担引き上げの他、ケアプラン作成料の自己負担導入や家事援助(訪問介護の生活援助など)に対する保険給付の廃止や、予防サービスを保険給付から外して、市町村の福祉事業にするなどの提案を示しているが、各業界のそれぞれの思惑が交差しながら、財源の取り合いがされていく。

介護関係団体は、この部分で少しおとなしすぎて、現場の切実な意見が上がってこないところが大きな問題であるが、声無き声など気には拾い上げてくれないことを理解すべきである。沈黙は美徳ではなく、切り捨て対象にしかならない。

必要な人材を確保して、事業を安定的に経営するための声をきちんと上げていかなければ、介護サービス事業、特に介護保険施設は、ほかの財源への草刈り場になりかねんぞ。そういう危機意識をすべての介護施設経営者にもって欲しいものである。

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