2000年に介護保険制度が施行された意味は、戦後初の福祉制度大改革という意味があり、施設サービスも措置から契約への変更という中で、意識改革・機構改革など発想の大転換が求められる時期だった。

その当時、特養のソーシャルワーカー部門のトップを勤めていた僕は、その改革の流れに乗って施設サービスの大改革を行いたいと思い、例えば夕食時間を午後6時以降にするなどの見直しに着手した。

そのときに入浴についても大幅に見直し、毎日入浴ができる方法はないか、夜間入浴も実現できないかと、法人に増員を含めた様々な要求を行った。

その背景には、介護給付費は介護保険制度創設当初が一番高く設定され、措置費の頃より収益アップが見込まれていたため、人件費支出を増やすことができる事業計画を立案することができたという面がある。

その結果、正規及び非正規職員をそれぞれ増員し、プログラムを見直すことで日中の入浴支援については、ほぼ毎日実施できるようになって、毎日入浴したいという希望がある利用者や、一日おきに入浴したいという利用者の希望にも応えることができるようになって大変感謝された。

ショートを利用する人が、利用日に入浴できない日があるなどということもなくなり、1泊2日の利用をする人が、両日入浴することも可能になった。

夜間入浴については、人員配置の都合上、毎日実施はできなかったが、しかし夜間入浴を希望する人は、ごく少数ということもあって、それらの方々の希望に沿って、曜日指定で夜間入浴支援ができるようにもなった。このことも大変喜ばれたが、そんな些細なことで喜ばれるというのは、それまでがいかに良くない生活環境であったかという意味にもなる。

ご存知のように特養の入浴については、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日厚生省令第三十九号)で、「第十三条 2 指定介護老人福祉施設は、一週間に二回以上、適切な方法により、入所者を入浴させ、又は清しきしなければならない。」と定められており、週2回入浴支援できておれば法令上の違反とはならない。

しかしこの基準はあくまで、人の暮らしとして最低限保障しなければならない基準であって、サービスの質をこれ以上下げれば、「人の暮らし」とはいえない劣悪な環境であるという意味である。

つまり週2回の入浴しかできない暮らしは、人間として最低限の暮らしを担保するものでしかなく、十分なる質の暮らしとは言えないのである。

むしろ世間一般的な入浴習慣を考えると、週2回しか入浴できないことは、かなり質の悪い暮らしとさえ言える。僕の場合、毎日朝晩入浴している生活を何年も続けているので、そのような暮らしは耐えられない。

だから施設サービスを考える人は、この基準をクリアしているからよしとするのではなく、なんとか最低限の基準をクリアしているレベルでしかない自施設のサービスを、もっと利用者のために向上させないとならないと考えるべきである。

そう考えずに、現状を護ってさえいればよいとするのなら、自分自身が週2回しか風呂に入らない生活スタイルに切り替えて、自らそういう生活を続けなければならないと思う。

高齢者介護施設は、利用者にとっていろいろと頑張る場である。私たちならたいした運動量でもない活動でも、高齢で身体の様々な障害を抱えた人たちにとっては、大変な運動である。時には額に汗を流しながら、平行棒で歩行訓練をしている人もいる。

そんな人たちが、運動後も汗を流せず、入浴回数が週2回に限られているという状態を想像してほしい。それって普通といえるだろうか。

国は現在、日本の介護を海外輸出しようと考えている。しかしそうした国の基準が、週2回しか入浴できないという水準で良いのだろうか。それは恥ずべき基準といえるのではないだろうか。

そしてその基準さえ守っておれば良しとする事業者もまた、恥を知るべきではないのだろうか。

しかもこの基準が、とんでもないところに波及して、恐ろしい給付制限につながりつつある。それはかねてから僕が、「保険者の権限強化が図られている改正法案」などで懸念を示したいたことであり、その懸念が現実になりつつある。

明日の大阪府枚方市介護支援専門員連絡協議会・15周年記念講演でも、そのことは情報提供してきたいと思う。

詳しい内容については、週明けの月曜日更新の記事で紹介したうえで、そのあほらしさを糾弾してみたい。
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