NO3560 アベ政権を操る日本会議（2）

上州富岡駅

29日（木）雨。新潟知事選が告示された。原発推進の森民夫か、市民団体の公開質問状に「日本のエネルギー政策上原発は必要ない」と答えた米山隆一かの選択である。米山氏の和歌で氏の覚悟のほどを知った。「捨ててこそ　浮かぶ瀬もあれ　我が身をぞ　越後の川に　賽を投げ打つ」

　捨てたのは衆院選民進党5区候補の座である。環境エネルギー政策研究所長の飯田哲也氏は民進党本部にかけあったらしく、本部に干されても新潟に応援に駆けつけると言っている議員がいると。私も電力消費地東京の著名人に応援に入るようTwitterで呼びかけまくっている。

 

古賀茂明氏も民進党の対応を批判し、今後の野党統一が難しくなると、新潟支援を訴えている。電力労連出身の議員がどれほどいるか知らないが、連合は今後の野党共闘を考えたら電力労連を切る覚悟が必要ではないか。労働組合が権力に擦り寄るのは自殺行為だ。

 

早速出てきたが、アベの所信表明演説時、若手議員に起立して拍手をするよう指示していた人物がいたことが明らかになった。日報は首相周辺としか書いていないが、日本会議の萩生田光一である。この男、あの百田尚樹を講演に呼んで問題になった文化芸術懇話会を立ち上げた中心人物だ。

人がいない街

萩生田光一の表向きの肩書は内閣官房副長官だが真の顔は日本会議国会議員懇談会事務局長。平和を願い真の国益を考え、靖国神社を参拝する若手議員の会、統一教会に来賓として呼ばれる。今日も都の改革本部が提案したOP会場の見直しに早速クレームをつけた。

 

何故これほど「日本会議」が日本の政治に大きな発言権を持っているのか。アベ政権の8割を占める内閣そのものが日本会議だからである。衛藤昂一は14年、櫻井よしこが中心で立ち上げた「美しい日本の憲法をつくる国民の会」で「アベ内閣は我々みんなの力で作った」と豪語したほどだ。

　日本会議はWebサイトに6項目の「日本会議がめざすもの」とあるのを、菅野完氏は的確に次のようにまとめている。その要約は「皇室を中心と仰ぎ均質な社会を創造すべきで、（1）昭和憲法がその阻害要因となっているのでそれを改憲した上で行き過ぎた家族観や権利の主張を抑え

　（2）靖国神社参拝等で国家の名誉を最優先とする政治を遂行し（3）国家の名誉を担う人材を育成する教育を実施し（4）国防力を強めた上で自衛隊の積極的な海外活動を行い（5）もって各国との共存共栄をはかる（6）」アベ政権はこの6項目を着々と実現させている。

 

　戦後の教育を受け、それを正しいと信じて教えてきた私はこの6項目は驚愕ものでしかない。こうした主張をしている右翼や宗教団体があることは知ってはいたが、まさかこの考え方が選挙を通じて多数を占め、国政を動かすようになろうとは思いもしなかった。

NO3559 アベ政権を操る日本会議（1）

真田邸の敷地内にある松代小学校

28日（水）雨。アベ政権の下で異様な出来事が続いている。アベの所信表明演説中、「海上保安庁、警察、自衛隊の諸君が任務にあたっています。その彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を表そうではありませんか」の呼びかけに自民党議員全員が起立拍手。

 

　アベも壇上から拍手をしている写真がリテラに載っている。まるで北朝鮮の金正恩ではないか。戦後初の光景だという。リテラはアベ側近が仕組んだと疑っている。あり得る話だ。リテラが政治の裏情報に詳しいのは、自由に記事が書けない大手新聞記者からの情報もあるのではないかと推測する。

　TPP問題の推移も異様。米次期大統領候補二人がTPPに反対で米議会の批准があり得ない状況下でアベ政権が今国会の最重要課題という異常さ。他の加盟国がすべて批准したとしてもアメリカ抜きのTPPは何の価値もないだろうに、そこまでして財界の機嫌をとる？

 

　ネット上にアベが所信表明演説を読む場面が映しだされ、原稿に「ここで水を飲む」の文字までアップされている。以前から言われているが、この男は事前に提出された質問にしか答えられないので、一問一答を基本とする外国特派員協会の記者会見には出ないと。

 

　原稿読みと言い、自民党席の一斉起立も仕組まれたものだと。仕組むのは誰かそれを追及するのがこの項である。何回になるかわからないが、菅野完、青木理両氏の著書から学んだ「日本会議」を取り上げる。菅野氏は「安倍政権を支配する日本会議」とするが・・

 

校舎も周囲に溶け込んで

菅野氏の著書に「一群の人々」という章がある。つまり、「日本会議」を実質動かしている一群の人々である。安藤巌（故人）、椛島有三（日本会議事務総長）、衛藤昂一（首相補佐官）、百地章（日大教授）、高橋史郎（明星大学教授）、伊藤哲夫。このうち読者諸氏は何人ご存知か。

 

　衛藤はアベの側近中の側近。大臣経験もないのに日本会議のひな壇では大臣より上席に座る人物だという。「百地と高橋は新しい歴史教科書をつくる会」の副会長などを務めたから私は知っていた。特に百地は菅官房長官が安保法制に賛成の学者を聞かれて真っ先に挙げた男だ。

 

　ところが、アベ政権に絶大な影響力を持っているのは我々が殆ど知らない安藤、椛島、伊藤哲夫だというから驚く。この6人に共通しているのは70年安保の全共闘に対峙する民族派の学生運動経験者だということと、宗教団体・生長の家に籍をおいていたということ。

 

　83年に政治から全面撤退した生長の家こそ迷惑だろうが、この6人は生長の家初代総裁谷口雅春氏の信奉者で自分達こそ真の継承者だと主張し今の憲法を占領憲法だとし、「明治憲法復元」を主張している。今後、この人たちの出自や行動様式を紹介することとする。

NO3558 安倍政権にひれ伏すメデイア（17）

真田屋敷剣道場

27日（火）曇。テニスを休み年金者組合の定例会。昨日は鹿児島県沖永良部島で震度5弱の地震、佐渡でも弱い地震があった。今や全国どこで起こっても不思議はない。未知の断層の存在も気になる。東日本大震災以来新潟は揺れが来ないが、それが逆に不気味だ。

 

　知事選を巡る新潟日報の記事の怪しさがいろんなところで疑惑をもたれているようだ。今朝の孫崎氏のブロマガは朝日新聞の記事を取り上げ、批判している。26日、朝日は「新潟知事選、原発争点に」と題する大々的な記事を掲載したらしい。東京新聞との比較も。

 

　「“先ずは知事を変えてからだろう”麻生財務相は陳情に来る新潟県の首長や県議に対して、こう告げることがあったという。麻生氏は電力会社との関係が深く、原発停止による経済的打撃を強調する国会答弁もしている。再稼働を進める政権にとり、泉田氏はやっかいな存在だった」

　ただ、記事の締めくくりに「ただ、そもそも知事に原発を止める法的権限はない。三反園知事は九電に対して即時停止し安全性を再点検するよう要請したが、いずれも拒否された」孫崎氏は「この記事を読めば『知事に権限がない』ような印象を受ける」と批判。

 

　東京新聞の記事は有料部分なのでここで紹介しておく。「再稼動可否 知事に主導権　川内原発、秋以降検査で停止」8月23日付。「10月以降、定期検査の為1号機、2号機の順に停止していく。定検後の再稼動には地元同意が必要で、知事は主導権を握ることになる」

 

真田屋敷弓道場

現実に柏崎刈羽原発が仮に規制委の審査に合格したとしても「地元同意」で動かす見込みがないから泉田知事が邪魔だったということだ。記事としては東京新聞の方が正確で朝日の記事は「知事選挙は原発と関係ないという方向に誘導しており、悪質だ」と孫崎氏。

 

　確かに、知事には稼働中の原発を止める法的権限がないことは事実である。知事どころか首相にもない。これはむしろ法の不備だ。先日、我が家に来たドイツ人で弁護士のＬ子は「どうして日本は原発の設置を許可するのは政府なのに停止を命じられないのですか」

 

　福島原発事故があっても、それができず、当時の菅首相の意向で海江田経産相が中部電力に「要請」して止まったのだった。今法的に原発の停止を命じることができるのは原子炉等規制法によって「原子力規制委員会」にしかない。もんじゅの運転禁止を命じた例だ。だが、規制委は御用機関化しつつある。

 

　マスコミはこうした法制度の不備こそ指摘し、改善を求めるのが使命ではないのか。鹿児島の伊藤前知事は市町村からの「地元」の拡大要請を無視し続けた。知事の交代でこれだけ環境が変わるのだ。だからこそ新潟でも米山知事を絶対当選させなくてはならない。

NO3557 原発ゼロ・再処理工場を閉鎖せよ（31）

ドイツからようこそ

25日（日）昨日は突然ドイツからのお客様。北京での学会に参加した後、東大で研修中の娘を訪ね、その足で2人で我が家にやってきた。昨年までマルチンルター大学の副学長だったが、昨年解放され、再び海外に出られるようになったと。それでも2年ぶりである。

 

　このGさんはドイツ統一後、東ドイツの青年に夢を与えたいと、単身ハレのルター大学に日本語学科を立ち上げたのである。日本、特に新潟に強い関心を持ち、水俣病、巻原発、柏崎刈羽原発、教科書問題の行く末を非常に心配されている。今回の中国滞在中南京も訪れたと。

 

　南京虐殺記念館を見学して、日本人の中に（東中野修道の名をあげ、＝南京虐殺捏造論者＝文科省はこの男の論を根拠に国連人権委員会で立論している）あの事件を否定する人がいると聞いて、信じられないと。今回は私の質問よりGさんからの質問が多かった。

 

　リテラは9月21日付の朝日新聞デジタル版を引用し「政府が高速増殖炉『もんじゅ』について廃炉を含め抜本的に見直すことを前提に、新たな高速炉開発の司令塔機能を担う『高速炉開発会議（仮称）』を設置する方針であることが分かった」これを一般紙は報じない？

 

ベジタリアン用の料理で

もんじゅを廃炉にしても、核燃リサイクルは放棄しないという意味は経産省が14年5月に日仏間で合意した「安全性の高い新型高速炉ASTRIDを含む技術開発協力に関する取り決めが署名されました」（外務省が発表した概要）もんじゅ廃炉の原因究明も責任論もない。

 

　これは国民を二重に騙すものだ。産経新聞は「シンもんじゅをめざせ。核燃サイクルは日本の生命線だ」（9月18日）、読売新聞も「もんじゅ廃炉、核燃サイクルを揺るがすな」（9月22日付社説）などと、御用メデイアらしく、アベ政権の愚策を煽るだけである。

 

　従って、アベ政権は六ケ所村の再処理工場を断念する気は全くないのだ。この施設は建設開始の93年当初は7600億円だったのに3年後の96年には1兆8000億円に膨れ上がり、99年には2兆1400億円と2倍、3倍と高騰した。まるで東京築地市場の先取りだった。

 

　それだけではなかった。03年電気事業連合会（9電力会社で組織）は突然、六ケ所再処理工場の総費用は約11兆円と公表。その内訳は建設費3兆3700億円、運転・保守費約6兆800億円、工場の解体・廃棄物処理費約2兆2000億円。この試算は40年間フル稼働、無事故の例だと！？

 

　再処理工場はバックエンド費用を含めれば約19兆円にもなるとも。国民は騙されてはならない。この費用はすべて国民の電気料金に上乗せされる、つまり私たちが払うことになるという事実だ。原子力情報資料室の試算では、今直ちに計画を中止すれば19兆円のうち7割は削減できると。

NO3556 閑話・新潟県知事選に想う

真田家庭園

24日（土）晴。世界最大の出力を誇る柏崎刈羽原発を抱える本県の知事選の行方は日本の原発政策を左右すると考えるので、県外の読者を念頭に拙文を綴る。当然、地元紙の一面は「米山氏知事選出馬を表明」再稼動「泉田路線継承」野党3党支援と報じている。

 

　私は今でも政府筋と原子力村が仕組んで新潟日報に泉田おろしの記事を書かせた陰謀と見ている。以来、新聞の記事を従来以上に批判的に読むようになった。例えばすぐ横に「生前退位の政府有識者会議」の記事も政府発表の解説に終始し、新聞社としての意志が見えない。

 

　孫崎氏は今朝のブロマガで「生前退位問題、有識者会議発足意向。政府の言いなりになる人を集めて、有識者会議と称して権威づけをする制度に信頼を置くのはもうやめるべきだ」と書いている。新聞の役割というのは、こうした疑問を抱けるような記事であるべきでは？

 

　野党3党（共産、生活、社民）は古賀茂明氏の担ぎ出しに動いたが失敗。民進党新潟5区の総支部長を務める米山隆一氏（49）に狙いを定めた。ところが、肝心の民進党新潟県連は早々に候補擁立を断念し自主投票を決めてしまった。野党第一党が門を閉ざしては話にならない。米山氏は離党して立候補。

　背景には原発推進の電力労連を抱えた連合の存在がある。選挙になれば人手も資金も連合に頼る民進党の正体を露呈した。そもそも労働組合というのは平和や労働者の生活を守るのが第一義的な使命であろうに、再稼働に前向きな森長岡市長知事候補推薦を早々に決めた。

 

12代真田家当主

連合が御用組合の寄せ集めだとしても、なぜ原発問題で電力労連に引きずられるのか。教職員組合（新教組）や自治労など他の組合が執行部の決定に異議を挟まないのか。今まで総がかり行動で脱原発を訴え、参院選で森ゆうこ候補を当選させた運動は何だったのか。

 

　原発に未来がないことは様々な面から明らかになっているが、電力会社の労働組合はそのことを見据えれば、会社に対して自然エネルギーへの転換を迫ることが、最終的には会社の利益に繋がり、組合員の利益にもなり、何より世間から拍手喝さいを受けるだろうに。

 

　政党と労働組合の関係にも意見がある。労働者がどの政党を支持すか否かは個人の思想信条にかかわる問題であって、連合系組合が「機関決定」と称して特定政党を支持し、闘争資金を集め、政党に献金するのは憲法違反である。私は現職時代一貫してそのことを執行部に迫り、資金拠出は拒否してきた。

 

　米山氏のブログを読んで理解を深めようとしている。、今回の野党統一候補として原発再稼働について「泉田知事の路線継承」を明言したわけで当選のために汗をかかねばならない。新聞は又県政の課題は原発だけではないとの理屈で争点外しの恐れもある。監視が必要だ。