夏の甲子園、地方大会中止の発表から、なんとか開催に漕ぎつけようかというところまで来れました。7月3日に組み合わせ抽選が発表されました。その展望や感想、見どころを語ってみようと思います。今年は春の大会がやってないので、現時点での戦力分析はできず、昨秋の大会や準公式戦などが参考になるということを念頭に置いておいてください。

 というわけで、大阪府高野連さんから発表されているトーナメント表です。引用、ツイートは思いっきりねったまくんですが。



今大会は秋や春のように4つのブロックに分かれてのトーナメントではなく、例年の夏と同様、北地区と南地区、球場ごとに分けられるという抽選方式。最初は3回戦までで、4回戦以降は再抽選という方式も例年通りです。それでは、各球場ごとの組み合わせの展望を語っていきましょう。

・北地区

【シティ信金スタ・南港・豊中】

昨夏の覇者・履正社は好発進見せれるか?公立の好チームの激突が多数

なんといっても昨夏の王者・履正社に注目。久々の実戦となるが、同じゾーンには全て公立と最初の組み合わせにはやや恵まれた感がある。その中で例年、公立ながら質の高い野球を展開してくる四條畷、刀根山あたりが食い下がることができるか。履正社、大阪桐蔭の二強を追うのに近い存在なのが東海大大阪仰星だ。こちらも履正社同様、組み合わせには恵まれた感があるが、SNSなどネットを活用した取り組みが段々と効果を上げてきている旭、福原監督就任3年目の大阪などは侮れない。それ以外では公立勢の激しい争いが見られそうだ。池田、春日丘、汎愛の集まったゾーンは激戦必至。池田の伊野監督は初戦で母校となる春日丘との対決となった。もし、観戦可能ならば見てみたい興味深いカードなだけに惜しい。汎愛も力のある公立校だが、ここまで好チームを作り上げてきた井上氏が異動したため、その影響があるかどうか。桜塚、交野の集まったゾーンはやや桜塚が優位か?交野はフルスイングが身上の打撃のチーム、この夏は単独出場となった門真西も松田、林の2年生バッテリーが軸で冬を越えた成長が楽しみ。牧野、門真なみはや、香里丘の同じ学区の高校が集まったゾーンは牧野の戦力が一歩抜けているか?140キロ左腕で主軸も務める長澤遼太を中心に、正捕手で主砲、主将も務める野田仁毅など能力の高い選手が揃い、秋の下飼手杯では準優勝を果たした。一方の門真なみはや、香里丘は木製バットのリーグ戦に参加するなど別のアプローチをかけて、昨秋はチーム作りに取り組んでいる。牧野としては13年間、夏に勝てていないという勝負弱さも克服できるか。他校はそこを突きたい。履正社、東海大大阪仰星が順当に上位進出への足掛かりとするか、公立勢同士のぶつかり合いがさらなる強さを生むきっかけとなるか。そんな戦いを期待したい。

【豊中】

初戦から強豪同士の激突のゾーンあり。大阪桐蔭は王者奪還へひた走るか?

このブロックには大阪桐蔭の戦いぶりも注目だが、それよりも気になるのは昨秋4強の金光大阪と関西創価の初戦、さらに隣の山には大産大付と大冠のカードが組まれており、非常に激しい戦いが予想されるゾーンだ。関西創価は上原裕樹、岩本捷生の主軸の迫力は十分、秋4強とはいえ下級生中心の戦力が予想される金光大阪よりも戦力が充実している可能性もある。大産大付もバッテリーに力があり、大冠も一冬を越えて強打のチームを作り上げてくるだろう。いずれにせよ、どの試合も好ゲームが展開されそうだ。大阪桐蔭は履正社同様、有力校が外れたゾーンに入り、こちらも快調な滑り出しとなりそう。その中で槻の木、吹田、東淀川の公立勢が奮闘を見せるか。特に東淀川は昨夏の初戦で敗退した悔しさをぶつけたい。他のゾーンはやや無風な組み合わせが見られる。昨秋はまさかの初戦敗退となった大阪学院大は箕面東、三島と公立の好チームに挟まれたが、最後の夏に巻き返しをかける。この独自大会の夏も出場の皆勤校の市岡、昨年に新入部員が大量入部の西野田工科は2年生に上がった選手たちの成長が楽しみ。派手さはないが、試合巧者の枚方津田、大型左腕の前薗渉を擁する港の対決も見応えがありそう。少人数ながら単独で出場を続ける淀商、柴島も今後に繋げるような戦いぶりを期待したいところだ。

【万博】

ばらけた有力校。その中で一矢報いて抜け出す存在は?

有力校がぶつかるゾーンが多い中、このブロックは有力校が散らばった感がある。比較的、順当に抜けてくるか?まずは桜宮と大阪電通大と昨夏の甲子園優勝校・履正社をともに苦しめたチーム同士の対決だが、初戦では大阪電通大はご自慢のデータ野球も生かせないか?エース・北野を中心とした豊富な投手陣に捕手の松本、森、中谷の二遊間、中堅手・清武とセンターラインは攻守に強力で府内の公立では一歩抜けてるレベルの力がある。その中で箕面学園、太成学院大の私学の争いが少し読めないが、経験者が多く残る箕面学園がやや有利か?山田も近年は安定したチーム力を付けてきており、抜け出す可能性は十分。昨秋5回戦進出の北野のゾーンは早稲田摂陵と北摂つばさの対決は見応えがありそうで、この勝者と北野の対決もまた白熱した試合が展開されそうだ。関大北陽、関西大倉、寝屋川のゾーンは関大北陽が一歩リードしているか?ただ、寝屋川は2年生左腕の辻野が関大北陽との練習試合では好投。機動力で揺さぶるような戦いで一矢報いたい。98年のセンバツで準優勝の関大一は復活にかける夏にしたいが、豊中に好投手がいるとの噂。なかなか勝てない年が続いていた豊中だが、2017年秋の5回戦進出以降はコンスタントに大会で勝ち星を上げている。まずは英真学園との初戦を制して3回戦突破を狙っていきたい。他には開明、園芸の長年に渡って不振に喘ぐ両チームの対決はどちらに夏の勝利がもたらされるか。特に開明は連続5回コールド敗退という不名誉な記録を継続中だ。これを止めるどころか、一気に久しぶりの公式戦勝利といきたい。

・南地区

【くらスタ堺】

強豪私学同士の対決だけじゃない。打倒私学に燃える有力公立校の熱い戦いにも期待

今年の4月にオープンしたばかりのくら寿司スタジアム堺だが、コロナ騒動であまり使用されないまま夏を迎えた。しかし、その新球場の開場にふさわしい、熱く、ハツラツとしたプレーが展開されるような組み合わせとなった。まず、注目なのが大商大堺と東大阪大柏原の初戦での対決、さらに大体大浪商も控えている激戦ゾーン。そこに挟まれた公立3校は厳しい戦いになりそうだが、市立堺はここ数年、侮れないチームを作ってきており、一矢報いる戦いを期待したい。他には復活の気配漂う上宮と三国丘、岸和田産の質の高いチームを形成する公立校の争いになるか。大型右腕の浅利太門擁する興国は抜け出すかに思われるが、大塚は昨秋以降、各選手の成長が著しく練習試合では府外強豪校相手にも通用するような戦いぶりを見せている。昨秋は不祥事で欠場した上宮太子は約1年ぶりの実戦となる点が不安材料。エースで主軸の弓削をはじめ、下級生からの主力が多く残る花園が抜け出す可能性は十分ある。公立の伝統校・八尾も侮れない存在で一筋縄ではいかないだろう。狭山、生野、岸和田と粒揃いに公立が集まったゾーンは全く展開が読めず、どこが抜けてきてもおかしくない。その中で少人数ながら、この夏も単独出場の住吉商、昨秋は連合チームだった布施北も単独出場。布施北は前大塚の監督である室谷氏がこの春から1年間の充電期間を経て監督に就任したと聞く。その初陣をいい形で迎えたい。

【久宝寺・花園・シティ信金スタ】

ここでも初戦から強豪同士の激突!上位進出を虎視眈々と狙う実力校が勝ち進めるか

このブロックの注目カードは大阪偕星学園と近大泉州の対決だ。府内での実績は大阪偕星に分があり、豪放な校風のイメージに対し野球は緻密だ。ただ、近大泉州は秋以降は投打にそれを凌駕するような成長を見せており、変則左腕の中尾純一朗が健在なのはもちろん、右腕の斎藤佳紳も中尾を差し置いてエースになれそうなレベルの本格派に成長しているとの噂だ。このゾーンを抜けるどころか、今大会の台風の目となりそうな予感すらある。他には元阪神の遠山奬志氏が監督に就任した浪速、阪南大のゾーンあたりが見応えがありそう。遠山氏の手腕に期待と言いたいが、大鉄からの伝統校としての意地と経験に勝る阪南大が有利か?他には清教学園、大阪学芸の私学が一歩抜け出しそうだが、近年は元気がないが実績のある城東工科、今宮工科の工業2校、昨秋16強で破壊力のある打線の信太、粘り強いチームの布施あたりが待ったをかけたい。公立ばかりと侮るなかれ、今宮、鳳、泉陽のゾーンは熾烈な争いだ。今宮は鋭いスイングの打撃のチーム、鳳はバッテリーを中心とした粘り強い野球のチームカラー、その中で唯一の私学となる金光八尾は練習環境は下手な公立よりもいいわけではないが、意地を見せたい。それぞれの持ち味を発揮したところがこのブロックを抜けていくことだろう。

【シティ・南港】

着実に勝ち進みたい私立の強豪校。公立、新鋭校はステップアップの足掛かりに…

他のブロックと比べ、ややおとなしい印象のある組み合わせとなった。昨秋の近畿大会に出場の初芝立命館、2年前の南大阪代表で昨夏4強の近大付、昨春優勝校の大商大あたりは着実にこのブロックを抜けていきたい。しかし、初芝立命館の前には今年汎愛から異動してきた井上大輔氏擁する泉尾工が立ちはだかる。前任の汎愛では公立ながら私立顔負けの充実の戦力を持つチームを形成してきた手腕の持ち主で、その井上イズムの浸透と現有戦力の底上げがハマれば金星も夢ではない。さらに、久米田、天王寺といった公立の実力校も侮れない存在だが、昨秋の近畿出場校としてここで立ち止まるわけにはいかない。近大付、大商大は組み合わせには恵まれた感があり、順当に抜けていきそうだが油断は禁物。特に阪南は昨秋は2年前の北大阪準優勝の大阪学院大に初戦で勝利しており、足元を掬われないように要注意。他には初戦でぶつかる精華と羽衣学園の新鋭の私立校同士の対決に注目。羽衣学園は昨秋に創部初の公式戦での勝利をあげており、勢いに乗っている。男女共学化に伴って創部された精華は立派なグラウンドを擁し、伝統と実績に勝るだけに簡単に負けるわけにはいかない。公立が集まったゾーンは堺西、懐風館、東住吉あたりの争いになりそう。古豪・明星のゾーンはパンチ力のある打者と豊富な投手陣を揃える富田林が対抗馬。明星は去年の馬原のような絶対的エースはいないが強打の捕手・西林が健在。打ち勝つ野球で今年も3回戦の壁を破り、古豪復活を示す。



以上、勝手な私見で今大会の3回戦までの組み合わせの感想を語らせてもらいました。

ここで名前が挙がってない高校や選手もありますが、もちろん、彼らの活躍にも大いに期待します。とにかく、今大会を開催してくれる決断をしていただいた大阪府高野連の皆様に多大なる感謝を申し上げます。今大会、原則、無観客開催ということもあり、僕は彼らの最後の夏を見ることは叶いませんが、選手たち、それを見守ってきた指導者、保護者の皆様にとって、高校野球っていいな、野球は楽しいな、仲間と過ごせる日々がどれだけ価値があるのか、と甲子園がかからない大会だからこそ原点回帰になるような最高の夏となる大会になることを願っています。