2019年07月27日
昨年に続き、福島県の被災地の状況を見てきました。
第7回｢福島を忘れない！全国シンポジウム｣に参加して
7月13日と14日の両日上記シンポジウムが開催されました。昨年に続いての2回目の参加です。今年は参議院の選挙があったせいか,昨年より参加者の数がずいぶん減ってしまいました。新宿駅西口を7時半に出発し、宿泊施設のホテル内の会場がシンポジウム会場です。現地の4人の議員さんから現状報告を受けました。まず川俣町からです。自治体の除染物の処理は異なっている。飯館村は国直轄で4から5段積みで地元業者なので、住民の声をよく聞き、監視状況はミニレターで情報提供している。一方大手は自治体の意見を聞かず、対応できていない。3月14日に着の身着のまま避難した。犬、猫、牛はそのまま置いて出た。飯舘村は次の所に行くまでに2ヶ月あったので、準備が出来トラウマはないと思う。職員の4割は新たな職員だ。前の職員は疲弊してやめていったそうです。
飯館村には全天候型のサッカー場や屋内テニス場が建設され、その費用は約23億円。しかし中、高校にテニスクラブはなく、使用しているのは村外のスポーツ少年団の人たちです。私たちが訪問した折もモニタリングポストでは放射能の数字が表示されている中で村外の子ども達がサッカーをしていましたので、被爆するのではと心中は穏やかではありませんでした。また学校も40億円で新築し、プールも新しく作ったそうです。しかし今の村の0歳から15歳は108人です。復興という名前の下に建設業が活況を呈しているのには違和感を持たざるを得ません。一方定員130床の特養には以前は100人入所していたが、今は36人との事です。それは介護者が集まらないからとの事でした。初任給14,5万円は安すぎると言われていました。また子どもたちの通学にはジャンボタクシー1台、タクシー2台で年間費用としては6600万円から6700万円かかっているとのことでした。支援をしているようで実質の支援になっていない事柄が余りにも多いように感じました。更に昨年は原子力規制委員会が突然、福島県内3000ヶ所に設置されたリアルタイム放射線測定システム（モリタニングポスト）2400台の撤去は、母親たちの自治体への働きかけで県内18箇所で説明会が開催され、そこでの多くの反対意見と17市町村が国に出した撤去をしないで欲しいという意見書が反映され、現段階では継続設置となったが、県内では放射能や原発事故の不可視化が進められようとしているとの事でした。
次に甲状腺検査です。2019年6月3日の評価部会での取りまとめ案では「甲状腺がんと放射線被爆の間の関連は認められない。」
検査1回目で向こう30年分の甲状腺がんを見つけながら、2回目で71例見つかったことの理由が不明。といわれていました。これは通常の数倍で男女比は男1に対し女は6との事ですがここではほぼ1対1になっていました。また川俣町の菅野議員によると県議会福祉公安委員会の質疑の中で233人の小児甲状腺がん患者に対し、治療費などの支援金の支払いを認めたとの報告がありました。次に小出裕章氏による講演です。小出先生は原発に対して早くから警鐘を鳴らし続けてこられた方です。何度か講演をお聞きしたことがありますが、今回の講演は本質をズバズバと指摘されとても歯切れの良い心に残る講演でした。
まず第一声で「100年たっても福島第�技�故は収束できない」と明確に打ち出されました。どんな機械も時に故障し、事故も起こす。人間は神ではない。必ず誤りを犯す。原子力発電所も機械であり、事故から無縁ではありえない。大きな事故が起きないことを願ったとしても、事故は人間の願いと関係なく起きる。破局的事故を防ぐ方策に付いて小出先生は「原子力は使わない、既に建ててしまった原子力発電所は即刻全て廃止する。原子力推進派（小出先生とごく少数の仲間を除いた原子力専門家のほぼ全員）は慎重に運転すれば大丈夫だろう。でも、万一でも大きな事故が起きると大変なので、原子力発電所は都会に建てない。1970年には東海原発、敦賀、美浜の3基だけだったが、今は57基になっている。電力の恩恵は都会が受け、電力の危険は過疎地に押し付けられました。こんな不公平、不公正は認めてはいけないと強く言われていました。
また敷地内での苦闘は今も続いており、熔け落ちた炉心が今どこにあるかすらわからない。本体は炉心にある。国、東電にもわかっていない。なぜなら現場に行けないから。ロボットは被爆に弱い。東電が送ったロボットは被爆してみんな帰ってこない。毎日何百トンもの水をひたすら注入してきたが、放射能汚染水があふれている。汚染水はどんどん増えている。5千人くらいの労働者が東電内で8年4ヶ月ずっと働いている。チェルノブイリ原子力発電所は石棺化したが、東電は石棺化の前に、今は未だプール内に残っている使用済み燃料も取り出さなければならない。取り出さないと石棺化は出来ないそうです。今年になって3号機514のうち14を取り出したそうです。東電内で働く被爆労働者は被爆限度に達するまでの被爆を得る。被爆限度に達してしまうと仕事が出来なくなる。被爆労働に従事しているのは下請け、孫受け労働者。下請け、孫受け労働者には解雇が待っている。被爆と病気の因果関係を証明することには困難が伴う。解雇され病気になり、何の補償も受けられない。労働者は1年で50ミリシーベルト。5年で100ミリシーベルトまで売ることが出来るそうです。福島第�妓業�事故のデブリの取り出しは100年たっても出来ないと小出先生は言われていました。仮に取り出すことが出来、容器に封入したとしても今度はそれを10万年から100万年にわたって管理しなければなりません。周辺環境は「放射線管理区域」の基準を超えて汚染されているそうです。風評で汚れているのではなく、事実として汚れています。そして、100年経っても法令の基準を超えて汚れ続けると言われていました。放射能は五感で感じられない。放射腺に敏感な子どもたちを汚染地に住まわせてはならない。事実に向き合うことが肝要と言って講演を終えられました。福島でおきていることは私たちにも起き得ることです。決して他人事ではありません。本当のことを知る努力を続けなければと改めて思いました。
