2006年09月12日

ココログに引っ越しました。

予告どおり、「会社法であそぼ」は、ココログに移転しました。
http://kaishahou.cocolog-nifty.com/blog/

ねこさんから、
「ココログはすごく不安定です。移転には反対です。」
というコメントをいただきましたが、もう申し込んでお金をはらっちゃいましたので(涙)、とりあえず、移転します。ご忠告ありがとうございました。

それから774さんから、ブログ書籍化というお話がありました。
そういう話は、ぜんぜんありません・・・。
ココログにしたのは、私が、約20年間NIFTYの会員を続けているので、「会員用のサービスを使ってみるか」という軽い気持ちです。
ココログで、アクセスが増えれば、真鍋かおりさんに会えるかも、という下心もないわけではありません。

さて、移転の理由は、「ちょっとしたこと」なのですが、秘密なので言えません(シーッ)。
そのうち、「ああ、そういうことかなあ」と分かる人も出てくるかもしれませんが。

ライブドアは、わりと使いやすくて、安定していて、いい環境だったので、名残惜しい気もします。でも、男たる者、決断したら、即GOです。

ココログに、ライブドアで書いた記事を丸ごと移転しようとしているのですが、なぜか、うまくいきません。
ということで、ここは、過去ログの倉庫として残しておきます。

ただし、更新は、もっぱらココログでやりますし、しばらくしたら、見にこなくなるので、質問は、ココログでお願いします。

ライブドアさん、長い間、ありがとうございました。
  

Posted by masami_hadama at 21:20Comments(90)TrackBack(0)

2006年08月30日

夏休みの宿題に追われてます

 8月31日が近づいていて、夏休みの宿題がきついところです。
 私は,小学生の子供2人の読書感想文や自由研究を書かせる立場にあるので,子供達に問題を出して,子供達の考え方を引き出したり,文章の足りないところを指摘したり,本当に時間がかかって,涙がでます。
 子供達が,あまりにも文章を書けないと
「俺が代わりに書いてやる・・・」
と、のど元まで出そうになったり
「もういい。勝手にやれ」
と放り出したくなりますが,それをグッと我慢して,根気強く,子供達との対話を続けるのが教育です。
 法科大学院の教授も,私と同じ気持ちで,授業しているんだろうなあと思いますが,手間をかけ,学生と対話をした分だけ,学生の実力は伸びますから,どうか放り投げずに面倒をみてあげてほしいところです。

ちなみに,私も,8月31日の締め切りで2本の論文を抱えていて切羽つまっており,頑張って3日で書くか,9月1日に編集者が気持ちよく許してくれる謝罪方法を3日で考えるかを検討しているうちに,時間だけが過ぎています(笑)。
そういう状態なので、少しブログをさぼります。
ただ、放っておくと、質問が無限にたまってしまいますので、質問だけは、答えて起きたいと思います。

追伸
 今週号のT&AマスターのSummy's CAFEで、
「TOBと買収防衛策」
というのを載せています。
 論文というとおこがましいのですが、買収防衛策を考える際のヒントを書いていますので、興味のある人は読んでみてください。

(質問コーナー))
Q1
取締役会決議の省略関係で、ちょ〜実務的な質問をさせて下さい。
ー萃役が書面で同意の意思表示をする場合、その書面には、「○○の件、同意します。 取締役××」と書けば要件は満たされるのでしょうか。
決議すべき事項を提案した取締役も、同意の意思表示をする必要はあるのですよね。(自分で提案した内容を自分で同意するという流れが今一つピンとこなかったもので、ひょっとしたら考え方が間違えているかもしれませんが・・・)
Posted by dunk at 2006年08月27日 12:09
A1
  屐○の件」が特定していれば、よいと思います。
◆‐鯤絃紊蓮必要ですね。取締役会で提案した取締役が決議のときに賛成の議決権行使をするのと同じです。

Q2
1.その他利益剰余金を資本金に組み入れたい(旧・配当可能利益の資本組入)のですが、何か良い方法はないでしょうか?
2.1の方法がないとして、剰余金の配当決議を条件に募集事項(株主割当)を決定し、剰余金の配当請求権を現物出資することは可能でしょうか。
Posted by 会社法の迷子 at 2006年08月27日 15:12
A2
1 その他利益剰余金の資本金への組み入れは、あまりいい方法がありません。
2 剰余金の配当請求権の現物出資は、もちろん可能です。

Q3
新株発行無効になっても資本金は減らない。
しかし、払いもどしはします。この金額は、どこから出るのでしょうか。マイナスの資本準備金もありえません。税法の資本積立金はありえますが。
別に減資手続きをとらないと払い戻せないということなの゛しょうか。
Posted by みうら at 2006年08月27日 15:40
A3
新株発行無効時の払い戻しについては、分配可能額の規制がかかりませんので、払い戻しすることができます。

Q4
1.事業報告の付属明細書のうち、例えば、利益相反取引の明細の作成は経理部担当役員が担当し、他の部分及び事業報告(本体)の作成は総務部担当役員が担当したとします。この場合、監査報告の内容の通知を受ける者を特に定めなかったときは、会社法施行規則132条4項2号により総務部担当役員及び経理部担当役員の両者が特定取締役となり、双方に対して別々に監査報告の内容の通知をしなければならないのでしょうか。
2.「特定取締役」を定める場合について、会社法施行規則132条4項1号は、「第1項の規定による通知を受ける者を定めた場合 当該通知を受ける者と定められた者」となっておりますが「者」となっておりますので、例えば、使用人の部長等を「特定取締役」と定めても良いのでしょうか。
Posted by みひろ at 2006年08月27日 17:12
A4
,修Δい場合には,取締役会等で特定取締役を定めるのが一番確実です。
 ただ,監査報告は,一体ですし,特定取締役だけでその監査報告の内容を検討するものではないので,特定取締役の一人に,監査報告の全部の通知をすれば足ります。
◆‘団蠎萃役は,取締役に限ります。

Q5
ご多忙のなか申し訳ございませんが、ご質問させてください。
。措劼砲蓮50%株式保有のB社と同じく50%株式保有のC社が株主となっておりますが、この場合、会社方法の親会社に2社ともあたるのでしょうか?それともどちらも親会社ではないのでしょうか。
■措劼砲蓮55%くらいの親会社B社と45%くらいの株主C社が株主となっておりますが、この場合、C社も親会社になってしまうのでしょうか。親会社は常に、1社しか存在しないものなのでしょうか。
Posted by たなやん at 2006年08月27日 17:30
A5
 。毅亜鵑鯆兇┐討い覆ても,実質支配概念で親会社になる場合があります。どちらも親会社にならない場合も,どちらも親会社になる場合もあります。
◆C社に実質支配があれば,C社も親会社になる場合はあります。親会社は複数存在する場合があります。

Q6
 葉玉先生。会社計算規則の解釈について教えていただきたく,今回,初めて書き込みいたしました。早速質問です。
 会社計算規則附則第7条の経過措置により,関連当事者との取引について,3月決算会社で注記の義務が発生するのは,19年3月期からでしょうか,20年3月期からでしょうか。常識的には19年3月期の個別注記表からと思われますが,19年3月期(以降)の個別注記表のうち,この省令の施行後最初に開催する株主総会の招集の通知に併せて通知すべきものについては適用しないと解釈する余地もあるような気がします。そうだとすると,20年3月期からでしょうか。
 私には,規定の前半と後半に包含関係が生じていないような気がして,頭が混乱してしまいます。ご教示ください。
Posted by おりい at 2006年08月27日 21:05
A5
19年3月期からです。

Q6
会社法100問p317〜318の∪嫻つ謬攸幣戮妊縫纂萃役に847靴寮嫻つ謬攸幣拂鶺できるかと言う問題に関しまして「・・・できないと解する。847条1項は株主に原告適格を認めた訴訟法の規定であるから、これを類推適用すべきではない」とあります。
質問1 株主に原告適格を認めたのは3項だと思うのですが、誤植でしょうか?
質問2 第2刷以降の誤植情報はmとまってありますか?
質問3 誤植であろうと無かろうと実は引用した文の意味がさっぱり分かりません。ここで念頭に置かれている「847 1項(誤植なら3項)を類推適用す」る、という反対説はどこを類推してどういう結論を出そうとしている説なのか分からないのです。
未熟ゆえの頓珍漢な質問かもしれませんがよろしくお願いいたします。
Posted by トノ at 2006年08月27日 21:40
A6
質問1 株主の原告適格を定めたのは,847条3項・5項です。原告適格の前提として847条1項の提訴請求が必要なので,誤植ではなく,言葉が足りないと言うところでしょう。「1項」を外して,単に「847条は」でいいかな。
質問2 誤植情報は,私は持っていません。ダイヤモンド社のホームページとかないのかなあ?
質問3 反対説は,代表取締役として登記されている場合には,実際に代表取締役ではなくても,その者に対する責任追及を株主代表訴訟でできると解する見解です。

Q7
本日は(会社法109条2項)について質問させて下さい
「各株主は株式数にかかわらず1議決権を有する」旧有限会社法下で認められていたこのような定めは会社法上認められるのでしょうか?
109条2項は株主の個性に着目した属人的株式を設けることができる旨を規定しておりますが、上記定めは株式全体の定めであり
属人的な定めに当てはまらず109条2項を根拠にはできないと思うのですが?
Posted by 横山 at 2006年08月28日 01:08
A7
非公開会社であれば,109条2項の定めです。
当該定めは,株式の数に応じた取扱いではなく,株主一人一人についての定めですから,「株主ごとに異なる取扱い」をしています。

Q8
 会社法施行規則第25条に「株式係数」がありますが、このような概念が登場した問題意識がよくわかりません。また、同条第5項の「一以外の数を定める」場合の算定方法等も、適当に定めるのもどうかと思いますし。これまで議論の俎上にほとんど挙がっていないようですが、ご解説いただければ、幸いです。
Posted by 内藤卓 at 2006年08月28日 19:15
A8
例えば,普通株式A種と,配当が毎年1円の劣後株で残余財産分配請求権のないものB種の株式の価値を比べるとA種の方が高いはずです。
そこで,一株あたりの純資産額を計算する場合に,種類ごとにバイアスをつけるための計数が株式計数です。

Q9
27条4号の「設立に際して出資される財産の価額又はその最低額」の意味について教えてください。株式や資本金との関係、会社債権者保護との関係、なぜ「又は」なのか、財産は何を指すのか。基本書に書いていないので良く分かりません。
Posted by 2ちゃんねるからの使者 at 2006年08月28日 19:26
A9
「出資される財産の価額」は,「払込まれる金銭の額と出資される現物の価額を合計した額」です。
「価額」を定めるのは,出資額を一定の金額にするとき(例えば,ぴったり1000万円),「最低額」は,その最低額以上の出資も認めるとき(例えば,1000万円以上)に定めます。
 「ぴったり」と,「以上」は,異なるので,「又は」が接続詞です。

発起人は,この定款で定めた出資される財産の価額を出資させなければならないので,発発起人や引受人に対し,出資者に対して,何株を発行するかを決めます。
そして,発起人や引受人が,実際に出資した額が,資本金のベースになります。
出資される財産の価額は,定款で自由に定められるので,会社債権者保護と直接の関係はありません。

Q10
葉玉先生 会社法100問購入しました。憲法で質問をしてよろしいでしょうか。芦部先生の「憲法」を読むと、「厳格な合理性の基準」(以下、「本基準」)という基準が「憲法言う」の何箇所かにでてきます。具体的には、.廛薀ぅ丱掘叱△亡悗垢覦齋審査基準、∧薪違反の違憲審査基準、7从囘事由の消極目的規制の場合があります。これは、同じ基準でしょうか?ゝ擇哭△砲弔い討蓮⊆験界で使われる「実質的関連性の基準」(目的が重要、手段が目的と実質的な関連性があることを要する)に類似した表現が使われているのにたいし、では、規制の必要性・合理性及び規制目的を達成できるより緩やかな手段がないことを要するという表現であり、混乱しております。また、仮に-が同じ基準なら、本基準は、「実質的関連性の基準」と別物なのでしょうか?基本的なことで申し訳ありませんが、可能であればご教示いただけますと幸いです。
Posted by かつ at 2006年08月28日 23:06
A10
違憲審査基準論は,アメリカの判例理論と,日本のいつくかの判例で,判示されている内容を,微妙にアレンジしている方が多いので,あまり細かな違いを気にする必要はないです。おおざっぱにえば,
 精神的自由権=内在的制約=必要最小限度の規制=LRA
 経済的自由権の内在的制約=必要最小限度の規制=厳格な合理性の基準
 経済的自由権の政策的制約=必要限度の規制=合理性の基準
というところでしょうか。LRAと厳格な合理性の基準は,言葉尻はよく似ています。LRAの方が厳しい基準ではありますが,その基準の出自が西洋風なので,実務的には,使いにくいですね。

Q11
取締役非設置会社において、業務の執行のうち例えば「多額の借財」や「一定額以上の投資」等について、その決定機関を定款で、取締役(複数の場合は過半数)ではなく株主総会とすることは認められますでしょうか? 取締役の負担すべき第三者に対する責任や業務執行権限を取締役から奪うことが可能かという観点から気になりました。
よろしくお願いします。
Posted by ヤサオトコ at 2006年08月29日 18:53
A11
非取締役会設置会社では,株主総会は何でも決められます。その点については,定款は不要です。
取締役の業務執行決定権も,定款で別段のさだめができますので,奪うこともできます。
取締役に権限がなければ,取締役に第三者責任は生じないでしょうが,大株主が株主総会で違法な行為を決定した場合には,株主に不法行為責任が生ずる可能性はあります。

Q12
 募集株式の引受人が払込に際し、第三者に払い込ませること(いわゆる第三者弁済)について、制約はあるでしょうか。
 民法474条1項ただし書及び同条2項に当たらない限り、募集株式の引受人が払込に際し、第三者に払い込ませることについて制約はないようにも思えるのですが、いかがでしょうか。
 また、引受人(Aとします。)とは別のBがAの名前で払い込みをした場合、その払い込みが無効となるようなことはあるでしょうか。
Posted by パセリ&シン at 2006年08月29日 19:21
A12
第三者が弁済することはできます。
BがAの名前で払込をすることは,会社法上の効力は否定されないかもしれませんが,本人確認法に触れるでしょう。

Q13
合併・株式交換において、効力発生日を休日(例えば1月1日)とすることは可能でしょうか。旧商法下の株式交換については、「株式交換の日の前日」が株券提出期間の満了日となることから(旧商法359条)、民法142条の関係で、「株式交換の日の前日」が休日となるような交換日の設定はできない、ただし、12月31日は休日ではないので、1月1日を交換日とすることは可能、との議論があったようです(商事法務1546号36頁、菊地伸『株式交換・移転の実務』64頁)。会社法では、株券提出期間の満了日が、「前日」ではなく、「効力が生ずる日」となっているようですが(会社法219条)、そうすると、効力発生日を休日とすることはできないということになってしまうのでしょうか。
Posted by 組織再編実務担当者 at 2006年08月29日 20:56
A13
効力発生日を休日とすることも可能だと思います。
吸収合併や株式交換は、効力発生日に効力が生じますから(これは期間ではありません)、株券提出期間の満了日が、仮に1日延びたからといって、吸収合併等の効力発生を左右する根拠は無いものと思います。

  
Posted by masami_hadama at 01:49Comments(72)TrackBack(0)

2006年08月18日

合格者の人数

オーストラリア内部で移動していたので,ちょっとアクセスできなかったのですが,その間,ロースクールねたで,大変,盛り上がっていますね。
真剣に議論されている人に失礼かもしれませんが,私は,こういう盛り上がりは,結構好きです(笑)。

私は,法務省の役人なので,法務省がやっている仕事にあまりケチをつけるつもりはないのですが,試験制度なんて,どんなものだって一長一短。欠点だってあるわけです。
 ロースクールについての議論は,一長が見えにくくて,一短が強烈なので,批判者の方が有利な感じもしますが,私は,わりと中立派です。

 本来,合格者の人数拡大の問題とロースクールの話は,論理的関連性はないので,この2つの問題は切り離して論ずる必要があります。

ロー卒業を試験の要件にしたという点に関していえば,ロースクールが法曹を育てる機関として機能しなければ,この制度は失敗であり,それが機能すれば成功。
それは,今後,数年で輩出される若手法律家が,法曹としての「最低限」の力を皆持っているかどうかで自然と分かることです。制度論としては,それでおしまい。

 ただ,ロースクール生,つまり,育てられる側としては,自分がモルモットになったような気分がして嫌でしょう。それに,甘言を信じ,借金してロースクールに入った人が,将来に不安を持っているというのも分からないわけではありません。

 しかし,法律家は,甘言を信じ,借金して,高い買い物をさせられた人を救う仕事なので,自分が被害者になるのでは,シャレになりません。

真実はどうあれ,法曹をめざすものである以上,
「俺は,ダマされていない!相手が俺をダマしたと自白していたとしても,俺は,もともと分かって,金を出したんだ。これは詐欺ではない。」
と強がらないと恥ずかしい(笑)。
それが,できないならば,即法曹の道を撤退して,詐欺の被害者として,優秀な弁護士に被害回復を依頼するのが,一番賢いです。
 
 冗談めかして言っていますが,法曹というのは
1 真実を把握し
2 リスクを予測し
3 最適の解決をはかる。
という仕事なので,その時その時に判明した事実をもとに,常に1から3を実行することが肝要なのです。

 ロースクール生が,目の前の試験のことだけ考えれば,ロースクールの設立を沢山許し,合格率を8割にし,三振もなくすという制度にしてもらいたいというのが本音かもしれません。
しかし,それを実現するためには,毎年の司法試験合格者は,1万人くらい必要でしょう。
 毎年,1万人合格すれば,40年後には,40万人の弁護士が誕生します。
これは,これで一つの世界であり,司法試験とは比べものにならない一弁護士としての熾烈な自由競争の世界。
ただし,それが良い世界かどうかは,蓋を開けてみなければ分かりません。

現在の合格者数ですら,知人の弁護士さんからは悲鳴に近い声も聞いていますから,今後3000人時代になったらどうなるか。弁護士さんに限らず,やがて弁護士になる裁判官・検察官も不安に思っているのではないでしょうか。

ロースクール生は,自分のことをハイリスク・ローリターンでたまらないと思っているかも知れませんが,客観的にいえば,既に司法試験に合格した者の方が
「せっかくハイリスクな試験に通って,弁護士としてローリスク・ハイリターンの生活を送れるようになったと思ったのに,いきなり,ハイリスク・ローリターンの生活になっちゃったよ。」
と泣きたくなっているのではないでしょうか(笑)。

 そして,このように弁護士資格のデフレ化が進めば,いくら合格しても,
「弁護士になりたいという夢が叶えられたから,感動した」
と言ってるだけでは,干上がってしまうだけです。
 そんなときに,「弁護士資格を取れたのに稼ぎが少ないから保障してくれ」と言われても,国は困ってしまいますよね。

 私個人は,法曹を増やすかどうか,ロースクールをどうするか等については,まったく何の意見もなく,というより,ある意味どうでもよく
「どんなに司法制度が変わろうとも,自分は自分。
今の状況を前提に,未来を予測し,自分の仕事に最善を尽くすだけ」
という考えしかありません。

  司法試験のときも,実務にでてからも,いろんなレベルで常に競争はありますが,競争に勝つためだけに努力するのは,無意味です。

 オリンピックのように金メダルを採るか採らないかによって,その後の生活が大きく変わると
いう世界では,他人よりも一歩でも上に行くことに命をかける意味があると思います。

 しかし,法曹に金メダルはありません。
 あるのは,目の前にいる可哀想な人だけ。

 目の前にいる人と交流し,目の前にある事件を解決することに全力を尽くすのが仕事なのですから,「他の法律家と競争して勝つぞ」などというのは,法律家の仕事とは無縁な,名誉欲や金銭欲にほかなりません。

 きれい事を言っているわけではありません。
私は,根っこが商売人であるせいか

競合店を潰すことを目的とする商売は長続きしない。
お客さんのニーズを捉えて,満足を引き出すことが商売繁盛の秘訣

だと信じているのです。
 「競合店」を「ライバル事務所」に,「お客さん」を「クライアント」に読み替えていただいてもよろしいですし,「競合店」を「予備校」に,「お客さん」を「ロー生」に読み替えてもいいのですが,人間のやることは何事も同じようなものです。

 40万のライバル店があっても,葉玉商店しか出せない商品を店先に並べて,顧客満足度を高めていく。これが,葉玉家の家訓です(笑)。

 この時代,法律家も,法律家を目指す人も,一生,リスクや競争から逃れることはできませんが,リスクに目を奪われず,自分の能力を磨くことが最善の解決方法であるということは,実務家にも,受験生にも,法学教育に携わる者にも,すべて共通することだと思います。

(質問コーナー)
Q1
清算株式会社の監査役の任期につきお尋ねいたします。
「清算中の会社の監査役の任期は無期限」とのご説明ですが、480条第2項で336条の適用を排除しているのは「4年を回ることができない」を排除する趣旨ではなく「監査役には任期がある」ことを排除する趣旨ということでしょうか。
そうだとすると、480条第1項で公開会社又は大会社以外の会社が定款変更により監査役自体を廃止できるのとバランスが悪くありませんか。
Posted by CCC at 2006年08月15日 10:52
A1
清算株式会社には,事業年度も,事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会もないので,336条は機能しませんし,清算を目的とし,短期間のうちに法人格が消滅する清算株式会社について任期を設けた上で,監査役選任のためだけに,コストがかかる株主総会を開催させるのは清算の目的と整合しないというのが480条2項が336条を排除した趣旨です。この趣旨からすれば,定款で監査役に任期を設けていたとしても,清算結了までは,当該監査役が職務を全うし,どうしても当該監査役を退任させたければ,辞任してもらうか,監査役設置規定を廃止すべきであるという規定だと思います。


Q2
会社設立の際の登記の申請について質問があります。
法務局の方いわく、出資金がしっかり確保できているというお金の流れが通帳の写しなどからわかればそれでOKということらしいのですが(例えば、出資するための1千万の入金履歴があるなど)、そのような解釈で本当によろしいのでしょうか?
出資をするだけの余力があることが残高証明書から分かればいいものと思っていたのですが。
Posted by Y at 2006年08月15日 20:36
A2
頻出論点になっていますが,残高証明では足りず,通帳の写し等という法務局の回答が正解です。

Q3
先生は、4月22日のブログのA10で、会社法施行前に資本の額が1億円を超えた小会社の監査役の任期について「商法特例法の経過規定は、施行後は適用されません。」と書かれていますが、商事法務から出版されている「会社法施行前後の法律問題」(郡谷大輔、松本真他2名著)では、商法特例法の経過規定の適用を認めています。これはどう解釈すればいいのでしょうか?
A3
接続環境がよくなくて,4月22日の記事が見られないのですが,会社法施行前後の法律問題と矛盾することを書いたつもりはなかったので,もし矛盾しているなら,私の記事が間違いで,会社法施行前後の法律問題の記述が正しいです。

Q4
解釈論とは関係ないのですが、既存の法律の改正や、新たな法律の制定にあたり、具体的な条文はいつの時点から作成し始めるものなのでしょうか。中間試案の段階からでしょうか、
それとも要綱案の段階からなのでしょうか。はたまた、個別の法律によるのであって、いつから条文を作るということが特に決まっているわけではないということでしょうか。
Posted by Ryo at 2006年08月16日 07:42
A4
ケースバイケースでしょうね。条文なんて,最初に作ったものが原型を留めないことはよくあることなので,何をもって「最初」というかは,なかなか難しいですね。一般的には,中間試案の段階では早いと思いますが,要綱案ができた段階で条文のたたき台もできていないというのでは,遅い感じでしょうか。条文案を作る過程で,気付く問題もありますし。

Q5
株式交換の事前開示事項についての質問をさせてください。
会社法では、商法にいう株式交換の条件算定理由書(354条1項2号及び2ノ2号)とは違うものを要求しているようです。商法では、「株式の割当に関する事項につきその理由を記載したる書面」等となっていますが、会社法では、「ヽ主に対してその株式に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項(=交付するものが完全親会社の株式であるときは当該株式の数、完全親会社の資本金及び準備金の額に関する事項)∋匆饉劼粒主に対する金銭等の割当に関する事項 の相当性に関する事項」(会規184条1号イ・法768条1項2号及び3号)となっています。
会社法で要求している相当性に関する事項としては、一体何を記載すればよいのでしょうか?
A5
条文に書かれているとおりというしかないです。対価が株式ならば,商法で書いていたようなことを書けば,相当性に関する事項としては足りると思いますが。

Q6
ロースクール時代に突入して、民法では実務的な要素を加味した、いわゆる要件事実を取り入れた教科書(例えば、山本敬三著「民法講義-1」)が最近出版されています。
しかしながら、民法より実務的な色彩の濃い会社法では、まだ一昔前の教科書スタイルが大半だと思われます。なぜ葉玉氏のような斬新的で、才能にも恵まれた方が、他の誰もが書かないような要件事実を取り入れた会社法の教科書を出版されないのでしょうか?
今までの教科書の体裁で満足しているので、今更新しいスタイルの教科書を出版する意欲がないのでしょうか?
Posted by 夏バテ30代司法試験受験生 at 2006年08月17日 12:27
A6
私は,書くのは嫌いではないので,時間に余裕があれば,いろいろ書きたいとは思いますが,今のところ,半強制的に書かなければならないものが順番取りしていて,時間のやりくりがつきません。仕事柄,実務的な対応に役立つ本がどうしても優先順位が上なので。
  
Posted by masami_hadama at 08:20Comments(74)

2006年08月15日

未習生の不安

なまためさんから,司法試験制度の将来について,質問を受けました。

「私は、今年入学した未習者なのですが続けるべきか悩んでます。
単年度8割落ちる試験に後戻りできない枠を設定するというのは、疑問だし、半数は三振するのに、フォローもないとは・・。リスクゼロの方々はいいのかもしれませんが、多額の金をむしりとられてリスクを丸々背負わされる社会人受験生にはキツイ制度です。とはいえ
、続ける場合は覚悟を決めてやるつもりです。
ただ、どうしても不安が残るので、今後2〜5年くらいのこの制度の変遷についての葉玉先生の予想を聞かせて下さい。
国は何らかのフォローをすると思われますか?」

 正直いって,今後の司法試験のことは,ぜんぜん予想もできませんし,
「なんでそんなことを聞きたがるのだろう?」
と不思議でなりません。
 私は,新司法試験制度はいいところも悪いところもあると思いますが,悪いところがあれば,自分でそのリスクを回避する方策を採るべきであって,国のフォローなどを当てにするのようなことはやめた方がいいでしょう。

 確かに,冷めた目を持つ人にとっては,新司法試験は,ロースクールの授業料は高いし,不合格の割合は高いし,合格した後就職できない可能性も高い,ハイコスト,ハイリスク,ローリターンな制度に映るかも知れません。
 
 そして,なまためさんが,そうしたリスクを取れないのならば,ロースクールをさっさと辞めて,社会人に復帰した方がよいと思います。
 はっきり言って,法曹になることは,必ずしもキャリアアップにはなりませんし,法曹以外の道にもたくさん楽しい仕事はあります。
 法曹は,損得を超えて,他人を助けることが好きな人がなる仕事であり,試験のリスクが高くても,そんな仕事をしてみたいという人だけが,試験を受ければいいと思います。

 また,ロースクールは,予備校以上にお金がかかるところではありますが,私立の医学部ほどではありません。医者になりたい人が「医学部に行くのにお金がかかるし,医学部に行ったからといって医師国家試験に合格するとは限らないから,国がフォローしてくれるだろうか?」とは言いません。

 確かに,ロースクールが授業料ほどの授業をしていなければ腹が立つでしょう。予備校の果たしていた機能をロースクールが果たせないとすれば,ロースクールに行った上で,さらに予備校にいかなければならない時代も来るかもしれません。仮に,そうなったら,「新司法試験のために,ロースクールにかかったお金が捨て金になった」と怒りたくなるのも分かります。

 また,予備試験の合格率が旧司法試験よりも難しくなってしまい,三振したら、もう一度ロースクールに行かなけれならないというようなことになれば,絶望的な気持ちにもなるでしょう。

 でも,司法試験というのは,もともとハイリスクの世界です。

 なまためさんのコメントにあるような「リスクゼロ」という人は,受験生の中には,一人もいません。

 新司法試験になったら,ほとんどのロースクール卒業生が新司法試験に合格することができるという幻想が壊れた今,新司法試験にしても,旧司法試験にしても,100%合格する方法などは存在しないという現実を見つめるべきです。

 もともと10年以上試験を受け続けている人が山のようにいるのが,司法試験の世界です。
 皆,自分の「貴重な時間」「貴重な人生」を掛け金として費やしながら,試験を続けてきました。

 そして,キツイのは,「社会人受験生」だけではありません。社会人としての経験がある受験生は,「一度は獲得した自分の社会人としての地位を捨ててきた」という気持ちがある分,「司法試験で,それ以上のものが手に入らないと意味がない」という気持ちがあるのかもしれません。
 
 しかし,社会人を経験したことのない受験生だって,就職した同級生がアフター5や土日・有給を楽しんでいる間でも,予備校に授業料を払って講義を受けたり,答練を受けたり,「司法試験をあきらめて,今更,就職しようと思っても,自分のやりたい仕事なんか何もない。司法試験に合格しないと意味がない」という不安と戦いながら,勉強していたのです。

 社会人だった人も,社会人になったことのない人も,一受験生として,同じリスクを負担し,同じ不安の中で司法試験と戦っていることは,理解していただきたいと思います。

 冷たい言い方かもしれませんが,ロースクールに入れば誰でも弁護士になれるという感覚で,この世界に入ってきた人は,本当に,今すぐ辞めた方がいいのです。

 ただ,私は,受験生の多くは,そうしたリスクを知りながらも,「法律家になりたい」という一心で勉強しているのではないかと思っています。

 確かに,新司法試験は,もうすぐ単年度8割落ちる試験になります。

 しかし,私は,合格率2〜3%時代の人間のせいか,20%も司法試験に合格すると聞くと,「ああ,簡単になったもんだなあ」と思います。

 もちろん,光もあれば,闇もあり,新司法試験受験生の多くは「三振したらどうしよう」という不安を持っているでしょう。三振制度は,実力のない卒業したての人を合格しやすくするということの裏返しなので,受験生は,みなそのメリットを享受しているのですが,いざ自分が三振してみると,かえって苦しい制度になってしまうのです。

 でも,私は,なまじ合格しやすいから,そう思うのだと思うのです。

 私が予備校教師時代なんか,合格率は3%,10年勉強して合格するのが普通の時代で,「0から始めて,普通,3〜4年で合格。早ければ1年か,2年」などと言うとホラふきだと言われました。
 しかし,私のゼミ生達は,実際に,3年くらいで合格する人が最も多く,6年も勉強すれば,ほとんどの人が合格していました。
 三振というのは,要するにロー3年+試験3年の合計6年勉強するわけで,毎年の合格率が20%もあるのに,死ぬ気になって6年勉強して,合格しないことなんか,普通はありえないというのが,私の偽らざる気持ちです。

 世の中で三振する人間が全くいないといっているのではありません。

 目の前に三振の危険が迫ってこないうちは,非能率的な勉強しかせず,目の前に三振の危険が迫ってくると恐怖のため勉強できないという人間が,むしろ多数派でしょう。

 私が言っているのは,未習の1年生のときから
1 司法試験の合格に必要な勉強が何かを,それを知っている人から聞いて,一緒に,計画を立ててもらい,常に,計画の進行状況をチェックしてもらう。

2 ロースクール,予備校,基本書,予備校本など情報源について,偏見を捨てて,貪欲に収集し,いいものと悪いものを区別し,自分に最も適した情報源を確立する。

3 試験に必要な勉強を最優先し,それ以外のものは,それなりの勉強をする。

4 未習1年のときから,毎週,習った部分の択一及び論文の演習を行い,知識が身についているかどうかをチェックする。

5 どんなに厳しい勉強でも一緒にやることができる仲間を見つけ,毎週,短時間のゼミを行い,お互いの答案を採点する。
ということをやっていたら,「合格すること以外,考えられない」ということです。

 多くの人は,このように合格にとって必要なことについて
「大事だなあと思うけど,なんとなくやっていない」
「めんどうくさい」
「他人に聞くのは恥ずかしい」
「図々しい人間と思われたくない」
などという,どうでもいいような理由で実行に移していません。

 なまためさんは,上の5つを全て実行しているでしょうか?

 確実に合格するためには,形振り構わず,使える人は何でも使い倒していく図々しさと,自分を助けてくれた人への感謝の気持ちと,その手助けを無駄にしないようにするための努力が必要です。

 崖を登るとき,上方を見て,登るルートを探れば,登ることができますが,真下ばかり見ていると,登れないまま,崖下に落ちてしまいます。

 試験も同じで,リスクしか見えなければ,そのリスクの中に落ち込みます。
 合格するために何が必要かを真剣に探って,それを実行に移していると,時間はいくらあっても足りず,リスクの心配をしている暇もありません。


(質問コーナー)
Q1
一時会計監査人の問題ですが、臨時総会をひらいて再度、某業務停止監査法人を選任する予定ですが、この臨時総会を8月中に「業務停止期間満了」や「9月1日就任」を条件に選任することは可能でしょうか?会計監査人としての資格の無い者は選任すること自体できないのでしょうか?また選任できるとすると、選任と同時に一時会計監査人は任期満了となるのでしょうか?よろしくお願いいたします。
Posted by 飯島 at 2006年08月12日 23:50
A1
 条件付選任決議は,予選との関係でやや疑問のあるところですが,9月1日という期限付であればできます。
 本来,会計監査人としての資格がない者を選任することはできませんが,資格を回復することが確実である場合には,選任決議は有効です。
一時会計監査人は,会計監査人が選任された時点で,その地位を失います。

Q2
清算中に監査役の任期を決めてはならないということでしょうか。
現在、その会社の監査役の任期は、会社法施行後に選任されれば無期限となるという趣旨でしょうか。
Posted by みうら at 2006年08月13日 16:24
A2
清算中の会社の監査役の任期は無期限です。さっさと清算を終了してくださいということですね。

Q3
持分会社で業務執行社員である法人が「職務を行うべき者」を選任するとき(598条)、1つの法人が複数のものを選任し登記する(912条7号等)ことは可能なのでしょうか。
Posted by 大杉謙一@私も家族サービス中 at 2006年08月14日 11:27
A3
 法人業務執行社員が,職務執行者を複数選任し,登記することもできると思います。ただ,大変,申し訳ありませんが,旅先なので確認が取れません。
  
Posted by masami_hadama at 10:34Comments(170)TrackBack(2)

2006年08月09日

夏期休暇モードになります。

本日から,私は,夏期休暇に入りました。
オーストラリアに比較的長期間行くため,インターネット環境によっては,このブログが更新されない場合もあることを予めお断りしておきます。
また,旅先で資料がないと調べられないこともありますし,いろいろな人と調整できなくなるので,調整マターはお答えできないことが多くなります。
したがって,登記関係,計算関係,他省庁関係は,基本的に私の帰国後にしていただければ幸いです。
すでに成田空港で飛行機を待つ身なので,手早く質問をやっつけたいと思います。


(質問コーナー)

Q1
基本的なことで申し訳ありませんが教えて下さい。
募集株式の発行にあたり、払込金等給付期間を定めた場合、その変更の登記を会社法915条2項では「当該期間の末日現在により、当該末日から2週間以内にすれば足りる」と定められていますが、期間末日到来前に登記をすることはできないという意味なのでしょうか?
例えば引受人の都合等を考慮して1ヶ月の期間を定めた場合予想に反して期間初日に引受人全員の払い込みが完了してしまった場合等・・株式発行の効力が発生しているにもかかわらず登記できない期間があるというのも変な感じがします。
それに関連してですが払込期間を事後的に短縮することはできるのでしょうか?
Posted by たんたん at 2006年08月09日 12:35
A1
株式が発行されていれば,登記をすることはできると思います。
915条2項は,「・・足りる」として,1項の登記期限を延ばしているだけです。

Q2
事業報告における社外役員に関する記載事項について、ご教示ください。
会社法施行規則124条7号によって、社外役員が当該株式会社の親会社又は当該親会社の子会社から役員としての報酬等を受けているときはその総額を事業報告に記載することとされています。
子会社には、外国会社も含まれているものと認識しておりますが、その外国の子会社で取締役又は監査役的な地位についている者(米国ならExecutive Officer、中国なら董事、総経理などがあると思います。)が報酬等を受けている場合、事業報告に記載しなければならないのでしょうか。規則の役員の定義の「これらに準ずる者」の中には、外国会社の役員も含まれているのでしょうか。
Posted by 権兵衛 at 2006年08月09日 15:17
A2
含まれます。

Q3
完全子会社同士が「無対価吸収型」合併を行った場合、税制上「適格合併」となる余地はありますでしょうか。
Posted by 葉玉先生ご教示ください。 at 2006年08月09日 16:25
A3
「うーん、他省所管法律については、答えないほうがいいような。」
  
Posted by masami_hadama at 19:39Comments(54)TrackBack(0)

2006年07月31日

判決の将来効

  T&A masterの7月31日号に「取締役会の配当決定権」について解説を書きました。
この記事は、私が、港区の一角でカフェのマスターとなり、おいしいコーヒーと的確なアドバイスで、悩める法務担当者を癒しましょういう設定で、重要な会社法上の問題をできるかぎり優しく解説しようという試みです。
「なぜ、そういう設定なんですか」と尋ねられると
 「ノリだよ。ノリ。」
と答えるしかありません(笑)。
 コンセプトとしては、法務担当者が、社長から
「おい、松本君。こういうニュースを見たんだが、これは、法律上、どうなっているんだ」
と尋ねられたときに、小難しい言葉を使わずに
「社長、それは、・・・・ということです。」
と分かりやすく説明できるようにして、社長から
「なるほど、君はよく勉強しているな。ボーナスを弾むことにしよう。」
となることを目的としています(笑)。
 特に連載ということではありませんが、せっかく設定を考えて、イラストまで作ってもらったので、皆さんが「これが知りたい」ということがあれば、編集部にご要望ください。
 それをネタに、また書くかもしれません。

さて「旧司法試験でがんばる」さんから、無効の訴えの確定判決の効力について質問を受けました。

「将来効と遡及的無効との違いに関する質問です。
 設立無効、募集株式発行無効確認、合併無効などは将来効とされ、新株不存在確認、株主総会決議取消訴訟、株主総会決議無効確認訴訟は遡及的無効となっています。との説明です(一問一答Q213)。しかし、設立無効や合併無効、株主総会決議取消訴訟などは一般的に形成訴訟なので、この説明が合理的なのかが分かりません。
法が将来効と遡及的無効を分けた基準はどこにあるのでしょうか。」

 この質問は、「形成訴訟としたものと、そうでないものの区別」の話と「将来効としたものと、そうでないもの区別」の話が混じっているので、いくつか基本的な事項を確認しながら、説明します。

 まず、民法の錯誤無効と詐欺取消のことを思い出していただければ分かると思いますが、法律行為の効力を否定する方法としては
無効・・・最初から効力が生じてない。
取消・・・取消権を行使するまでは有効だが、取消権が行使されると遡及的無効となる
という2つのパターンがあります。

 そして、この無効事由と取消事由の違いについては
無効事由・・・内心的効果意思が欠けている又は強行法規(公序良俗等)に違反しているから、最初から効力が生じないこととした
取消事由・・・動機に瑕疵があるが、内心的効果意思は存在するので、とりあえず効力を有することとし、取消権が時効消滅すれば、法律関係は有効なものとして確定する。
と説明されるのが通常です。

 これに対し、会社の行為は、会社の意思決定手続きの強行法規性の度合いに着目し
無効事由・・・特に明文をおいていないものの、強行法規性の強い規定に違反した場合、無効事由になるとするのが通説
取消事由・・・株主総会の決議取消(内容の定款違反等)・持分会社の設立取消(設立の意思表示に取消事由がある場合等)のみ
という整理をしています。

 それでは、実体法上の無効事由について、仮に、会社法が「形成訴訟」という手法を採用しなかったとしたらどうなるかというと、この場合、民法と同じように、無効事由があれば、最初から効力は生じないし、そのことをいつまでも主張することができることになります。
 例えば、事業譲渡は、「無効の訴え」の対象になっていないので、株主総会の決議が欠け、相手方が悪意であるような場合には、最初から効力は生じず、無効であることを前提に、譲渡された事業の返還請求等をすることができます。

他方、会社法は、いくつかの会社の行為(設立、新株発行・資本金の減少・株主総会決議等)については、無効・取消主張について、「形成訴訟」を採用しています。

形成訴訟というのは、当該訴訟の判決の確定によって、はじめて実体法上の法律関係が形成されるという訴訟です。

この形成訴訟は、無効・取消の主張をするための特別な訴えなんだから、一見、提訴権者の保護のための制度に見えますが、実際は、その逆であり
 提訴期間を制限することにより、期間経過後の無効・取消の主張を封じて、法律関係を安定させる
ところに本質があります。その意味で、民法の取消制度(取消権が時効消滅等により行使できなくなった時点で法律関係が有効なものとして確定する)と発想はよく似ており、誤解を恐れずに言えば、「無効事由」を「取消し」のように取り扱うことを可能にするのが、形成訴訟です。

このように形成訴訟の対象となると、提訴期間内に提訴しなければならないという制限がかかる分、瑕疵を主張する者にとって不利なわけで、形成訴訟の対象とするためには、その瑕疵の主張を封じても正義に反しない程度の瑕疵であるという制度上の制約がつきます。

また、形成訴訟は、その判決が将来効とされるもの(設立無効の訴え等各種無効の訴え)と、遡及的無効とされるもの(株主総会決議取消の訴え)に分類されます。

 将来効は、遡及的無効とよって判決確定までに行われてきた会社の行為に広く瑕疵が生じ、法律関係の安定が害されることを防止するために認められるものです。
 設立無効の訴え等形成訴訟の大部分は、法律関係の安定のために形成訴訟にしているのですから、判決の効力についても、法律関係の安定のために、将来効になっています。

 ただし、株主総会決議の取消しの訴えについては、「何を」決議したのかによって、法律関係の安定の要請は変わってきます。
 また、決議取消判決を「将来効」とするのでは、判決確定前に、総会決議に従って法律行為が行われている場合に、その行為の効力を否定することができなくなり、決議の取消をした意味がなくなってしまう恐れもあります。
 そこで、決議取消の訴えについては、決議の効力を遡及的に無効とした上で、その決議に基づいて行われた会社の行為の効力は、別個に考えることにしたのです。
 たとえば、事業譲渡の承認決議に取消事由があった場合、決議取消判決が確定すれば、「決議」は遡及的に無効となり、総会決議のないまま事業譲渡が行われたことになりますが、当該「事業譲渡」の効力については、必ずしも遡及的無効と解釈する必要はなく、例えば、民法93条類推適用によって相手方が善意の場合には、事業譲渡を有効と解することができますよね。
 このように、決議取消判決に遡及効が認められているのは、取引の安全等は図るために、もうワンクッションの解釈をする余地があることも理由の一つです。

さて、以上をまとめると、会社の行為の無効・取消事由は
1 形成訴訟の対象となっていない事由
2 形成訴訟の対象となっていて、将来効である事由
3 形成訴訟の対象となっていて、将来効でない事由
の3つに分類されることになり、これを前提に、質問に答えましょう。

「旧司法試験でがんばる」さんは
 「株式発行の不存在確認の訴えは、なぜ将来効ではないのですか」
と質問されていますが、それに対しては
 形式的な理由は、株式発行の不存在確認の訴えは、形成訴訟ではない(上記1)から、判決の将来効を論ずる余地はない
という答えになります。

そこで、もう一歩、掘り下げて、
「なぜ株式発行の不存在確認の訴えは、形成訴訟になっていないのですか」
という質問があれば、それに対しては
 株式発行の不存在は、瑕疵の程度が重大なので、提訴期間による主張制限をすべきではないから
という政策的理由をお答えすることになります。
 株主総会決議無効・不存在確認の訴えや、自己株式処分不存在確認の訴え、新株予約権の不存在確認の訴えが、形成訴訟とされていないのも同じ理由です。

いいかえれば、
1 形成訴訟の対象となっていない事由・・・瑕疵が重大なので、提訴期間の制限をしない。
2 形成訴訟の対象となっていて、将来効である事由・・・瑕疵がそれほど重大ではないので、提訴期間の制限をするし、判決が確定しても法律関係の安定を優先して将来効
3 形成訴訟の対象となっていて、将来効でない事由・・・瑕疵がそれほど重大ではないので、提訴期間の制限はするが、判決が確定した場合には、判決の実効性を確保するために遡及的に無効とする。
という分類がされているのです。

(質問コーナー)
Q1
100問249頁では、取締役会決議を経ていない代表行為の効力について、民§93を類推して、相手方が「決議がないこと」につき悪意又は有過失の場合に、会社は無効主張できるとされています(最判S44・9・22)。ところで、相手方が『多額の借財』に当たることにつき悪意or有過失であることまでは不要でしょうか(いわば二重の悪意)。というのは、最判H6・1・20の調査官解説によれば、 崕斗廚丙盪困僚菠」にあたること、¬魏餬莎弔ないこと、を要するとしているからです。これは、利益相反取引の相対的無効について、最大判S46・10・13が悪意=承認決議がなかったことのほか、利益相反取引にあたることを含めていることとも整合するように思います。どのように考えればよいのでしょうか。
Posted by ロー生 at 2006年07月31日 11:47
A1
‖審曚亮攤發任△襪海箸分からなかったため、役会決議のことにも考えが及ばなかった場合と、多額の借財であることは知っていたが、役会決議があると誤信した場合の双方とも、保護されるべきだと思います。
 多額の借財であることについて善意が必要であるということになれば、△亙欷遒気譴覆い海箸砲覆蠅泙垢、代表取締役が役会議事録を偽造して相手方に示しているような場合もあるのですから、相手方を一切保護しないというわけにはいかないでしょう。
 ,鉢△陵論構成を変えるということも難しいので、´△箸癲■坑馨鯲狄篥用にして、取締役会の決議の不存在を知らなかったことについての過失を考える上で、「多額の借財」についての認識可能性なども判断すれば十分であるように思います。

Q2
事後設立に関し、質問があります。
 平成15年に、価額が資本金の20分の1を超える(ただし、純資産額の5分の1は越えない)財産を取得した場合、当時は、事後設立として、検査役の検査および株主総会の特別決議が必要です。
 それに対し、会社法では、純資産額の5分の1を越えていないことから、かかる場合には、事後設立(会社法467条1項5号)にあたらないことになるはずです。
 それでは、平成15年当時、検査役の検査および株主総会の特別決議を得なかった会社が、その瑕疵を治癒するためには、現時点で何かする必要があるのでしょうか?必要ないように思えるのですが、どうなんでしょうか。
 また、5分の1を超える場合には、会社法の下でも、事後設立にあたりますが、その場合に、検査役の検査が不要になるのでしょうか?
Posted by aki at 2006年07月31日 12:51
A2
467条は、効力発生日の前日までに、株主総会の承認を得ることを要求しています。
したがって、事後設立の効力発生日として平成15年を定めた場合、これを会社法上、有効にする手段はありません。
瑕疵を治癒することはできませんが、改めて、当該財産を取得し直すことは可能でしょう。もう事後設立の規制にもひっかからないのではないでしょうか。
 ちなみに、事後設立についての検査役の調査は、一切ありません。

Q3
質問させてください。会社法156条の自己株式取得をする際に、総株主に通知を出しますが、これは発送期日が指定されていませんで、このような指定の無い規定は常に、株主に不利益は無という理由で「いつでも」もしくは「相当な期間」と考えてよろしいのでしょうか。また、この通知に伴って譲渡しの申し込みがあった場合は、取締役会で定めた申し込み期日に売買契約が成立し、その日より、譲渡した株主は株主ではなくなると考えてよろしいでしょうか。最後に、買取価格が相当な価格よりかなり低い場合でも問題ないのでしょうか。よろしくお願いいたします。
Posted by 千佳子 at 2006年07月31日 13:12
A3
157条1項4号で申込期日を定めなければならないので、その日よりも前でなければいけませんが、期間は特に決められていません。
申込みに対し、会社が承諾すれば売買契約は成立します。ただし、株券発行会社の場合には、株券の交付がなければ、株式は移転しません。
買取価格が低くても、特に問題ありません。安いと思ったら、株主が売らなければよいだけなので。

Q4
 新設分割計画の記載事項に分割会社から承継する分割会社株式に関する事項がないのはなぜですか。一部にこれは,新設分割の場合,分割会社株式の承継を認めない趣旨だと記述する文献があるのですが,もしそうだとすればその理由は何でしょうか。
A4
新設分割では、分割会社株式の承継は認められません。
理由はいくつかありますが、…名錣寮瀘手続を行う場合に、自己株式を現物出資して設立することができないこととの平仄、単独で新株分割をすると、本来、禁止されている子会社による親会社株式の取得を直接に作り出すことになり、濫用のおそれが高い(なお、親会社が自己の親会社株式を新設会社に承継させることは、省令で認められています)というのが主たる理由です。

Q5
消滅会社・分割会社の新株予約権者は事前備置書類の閲覧をすることができますか。債権者に入ると解釈するかどうかです。株式交換は(取得+交付の対象以外の新株予約権者も)閲覧権があり,また事前備置書類の内容からしても当然閲覧できるように思いますが,「債権者」と解してよいか若干疑義がありましたので照会いたします(登記相談調)。
Posted by ik at 2006年07月31日 16:49
A5
新株予約権者は、債権者ですので、閲覧することができます。
債権者保護手続の「債権者」ですが、新株予約権者も形式的には該当すると思います。
債権者保護手続の債権者は、必ずしも金銭債権の債権者に限られないので。
ただ、無記名新株予約権ですと「知れたる債権者」に該当しませんし、新株予約権者が異議を申し述べたとしても、資本金の減少等が新株予約権者を害するおそれはないので、会社は何もする必要はないのが普通です。
ですから、新株予約権者の保護は、新株予約権買取請求権で図られることになるでしょう。

Q6
今年の1月に有限会社を株式会社に組織変更にした会社が、会社法施行後に吸収合併を行い存続会社となる場合に、債権者保護手続を行う際に示すべき「最終の事業年度に係る貸借対照表」に関する事項は、会社計算規則第199条第5号又は第7号のいずれに該当するのでしょうか。
Posted by 司法書士補助者 at 2006年07月31日 19:54
A6
7号です。

Q7
合併や株式交換において、株主総会の承認決議よりも前に、株券提出公告・通知(会社法219条)を行う(例えば、10月1日が効力発生日の場合に、8月25日に株券提出公告・通知を行い、9月30日に株主総会を開催する)ことは可能でしょうか。株主総会の承認決議がなされていない段階で、株主に対して株券の提出を求めるのは違和感がありますが、会社法上は、このような扱いも可能という理解でよろしいでしょうか。
Posted by 組織再編実務担当者 at 2006年07月31日 20:19
A7
できます。
なお、株券は、合併の効力発生により、無効となりますが、それと同時に、合併対価の交付請求権を表彰する有価証券になるので、株券提出の期限までに株券を提出しなくても、株主が害されることはほとんど考えられません。


  
Posted by masami_hadama at 23:54Comments(68)TrackBack(0)

2006年07月23日

会社法の不備

「会社法ですか?」さんから,禁断の質問(笑)を受けました。

「今までの本文とQ&Aを拝見した限りでは、ここは、会社法を立案した方が、その不備を、ここで自分なりの解釈で補正していると考えてよろしいのでしょうか。そして、それが実務にも影響していると・・・。実務者として、改正後まだ数ヶ月もたっていないのに、会社法のあちこちの条文がぼろぼろと崩れているのを実感しています。先生の解釈が実務(法務省内でも。何度も法務省に問い合わせをしています)でも影響が大なことは、御自分でもご存知でしょうね。」

 個人的には,「禁断の愛」とか言われれば,「萌え〜」と答えますが,このブログは,公序良俗に違反しない限り,禁断の質問というものはありませんので,どんな質問でもバッチコイ(古ッ)です。
 それどころか,「会社法ですか」さんのご質問は,このブログの位置づけを皆さんに理解していただく上で,貴重な質問だと思います。

 まず,「会社法に不備があるか」という質問に答えるためには,「不備」とは何かを整理する必要があります。一般的には,「不備」とは
1 誤記・条文の引用間違いなど条文上の間違い
2 本来,当然に設けられるべき制度の欠如や同趣旨の制度間の平仄上の不整合
3 立法論として整備した方が望ましい事項の存在
を言うのではないかと思います。

 1は形式チョンボで,会社法には形式チョンボはないはずです。
 2は実質チョンボで,会社法には,若干の実質チョンボがあります。これは,解釈によって補うことはできず,省令でフォローできなければ,会社法の改正によって修正するしかありません。この実質チョンボも,本来あってはいけないものではありますが,会社法に限らず,大きな法律には,しばしば存在し,次の改正の機会に修正されます。会社法も,次の機会に若干の実質チョンボ直しを行う予定です。
 3は,立法論ですから,間違いではなく,正確に言うと「不備」というのは適当ではありません。また,解釈で解決することができない事項を立法的に解決しようという話ですから,これも「不備を解釈で補う」というわけではありません。

 以上のように,「会社法の不備を解釈で補正している」というのは,命題そのものが間違っていますので,答えは「NO」ということになります。

 ただし,
「ブログという読者が書き込みやすいメディアで会社法を語ることにより,会社法の不備が少しでも多く見つかれば,それだけ会社法の完成度が高まる」
と思っているのは事実であり,実際,ここで指摘していただいたコメントから実質チョンボが見つかったこともあります。
 人間が作るものは,ミスを避けることはできません。特に複雑になればなるほど,法律も,契約書も,プログラムも,バグが必ず出てきます。
 大事なのは,会社法の不備を押し隠すことではなく,不備を早く見つけ出し,それを修正することですので,その意味でこのブログは大変役に立っています。

 それから,会社法の条文は,一般的抽象的規範ですから,具体的な事実を当てはめる上で条文解釈は必要不可欠であり,条文を解釈すること自体は,不備を補正することにはなりません。
 限定解釈や拡張解釈をすることが「不備の補正」であるとすると,憲法も民法も刑法も,不備だらけということになります(笑)。
 確かに,私は,このブログで,いろいろな会社法の解釈を披露しておりますが,それは,知的好奇心と親切心からやっているだけであり,会社法の不備を補正するような壮大な意図はありません。

 実際,私の答えを見ていただければ分かるとおり,ほとんどは
「条文に書いてあるとおりです」
「条文が制限していない以上,制限はされません」
「条文で手続きが要求されている以上,それを省略することはできません。」
という条文至上主義的な回答であり,なぜ条文がそのように規定しているのか,その趣旨を解説していることが多いと思います。

 もちろん,私は,会社法の立案担当者の一人なので,私の解釈が一定の社会的影響力を与えていることは認識していますが,所詮,局付の一人が趣味でやっているブログの解釈ですから,別に,「この解釈を採らないとダメ」などというつもりはありませんし,むしろ色々な反論を受けて議論する方が楽しいです。
 実際,ikさんや内藤さん等会社法の論客が多数このブログにコメントしてくださるので,私自身,コメントに対する反論を通じて,自分の解釈の本質が明確になったり,修正した方がいいと考えて,仲間内で議論して解釈を変更したこともありました。

 もともと,私は,単なる局付ですから,民事局としての回答を決定する権限はありませんし,私の解釈が民事局としての回答に採用されないことがあるのも,言うまでもないことです。
 特に,ブログの質問に対する回答は,スピードを最優先にして,脊髄反射的に回答しているのがほとんどなので,局内でとことん議論して違う結論になったとしても,不思議なことは何もありません。
 もし
「質問に対し,関係部署と調整の上,局として正式に決まってから,きとんした回答をよこせ」
ということになれば,回答スピードは100倍遅くなりますし,いい加減な言い回しもできなくなってて,書くのも読むのも面白くなくなってしまうでしょう。

 このブログでやろうとしていることは,「お上」が一方的に解釈を押しつけるということではなく,読者の皆さんが,勉強や実務でぶつかった疑問点を提示してもらい,私は,私の考えを率直に述べ,それを見ておかしいと思う人は「こういう点がおかしい」と反論するという自由な議論の場の創造です。
 会社法の書物では,難しいところは,玉虫色の答えになっていることが多いのですが,このブログでは,玉虫色をできるだけ廃して,何が解釈として妥当かを議論の中で明確にするように努力しています。

 また,民事局への電話相談や法務局での登記相談では,なかなか実現することができない「不特定人が会社法の解釈を巡る議論に参加すること」を実現できれば,行政プロセスの民主化の実験としても,とても面白いのではないかと思っています。

 もちろん,私も,かれこれ5年以上会社法の担当をしており,あまり的ハズレなことは言わなくなっていますので,
「議論をしたいわけではないが,とりあえず「早い。安い。旨い。」という吉野屋又はキン肉マン的な回答が欲しい」
という方もいらっしゃるでしょう。
 そういう方は,そういう趣旨で,このブログを使っていただいても結構であり,その代わり
「念入りに準備されたロオジェのフレンチや吉兆の懐石の味を期待しないでくださいね」
と注意書きを添えて,回答をお出しすることにしています。

 それから,「会社法ですか?」さんの「条文がぼろぼろ崩れている」というのが,どの条文のことを言っているのか,すごく興味がありますが,私自身は,全然,崩れている感覚がありません。
 私が,様々な質問に答えてきた経験からいえば,会社法は非常に論理的で緻密に作られていて,旧商法の解釈に内在していた矛盾を大部分解決しているように思います(もちろん課題もありますが)。

 むしろ,私は,実務について調べてみて,「ぞっ」とすることの方が多いのです。
 というのも,Aという実務慣行は,本来,Bという制度があることが前提となっていたのに,既にBという制度がなくなり,むしろBとは反対の制度が採用されているにもかかわらず,ずっとAという実務慣行が変わらずに続いているというようなことが,まま,あるのです。
 それどころか,もともと法律違反と言われても仕方がないようなことなのに,誰かが一回やって,特に文句がでなかったので,慣行となってしまったようなものもあり,そういう実務慣行について「この実務慣行は会社法で認められるか」と聞かれると,「もともと旧法でも認められなかったはずですが・・・」としか答えようがないのです。

 こうした根拠のないドグマは,別に実務慣行だけではなく,会社法の学説の中にもありますから,誰が悪いというわけではありませんが,実務慣行にしても学説にしても,会社法の明文に反するようなものは,「会社法に反する」と答えざるを得ないし,解釈の前提自体が,これまでの商法改正や会社法によって変更されてしまったのならば,
「その解釈を維持するのは,難しくなりました」
と率直に説明すべきだと思います。

 ところが,たまに「実務が変わること自体」「解釈が変わること自体」に怒り出す人がいます。そういう人は,こちらから,
「なぜ,解釈が変わるとまずいんですか?」
と理由を尋ねても
「これが実務だから」「これが通説だから」
としか答えてくれません。

 私も,効率性の観点から,合理的な実務慣行を変更するような解釈を採るのはよくないと思いますが,会社法のもとで不合理な解釈・不合理な実務慣行がないかを見直し,不合理ならば変えるしかないと思うのです。
 ところが,「変わること自体」が嫌な人は,解釈の変更には,全てネガティブになってしまいます。

 会社法の解釈は,最終的には,最高裁判所が決定するので,その決定がでるまでは,それぞれオウンリスクで「私の会社法」で実務をやるしかないのですが,会社法の内容を知らないため,うっかり損害賠償責任等を負うことになるのは,悲惨なので,私は,このブログで,たびたび
「その部分は,今までどおりの取扱いじゃ,まずいんじゃないかなあ」
というアラートを出しているのです。
 もちろん,そのアラートが気に障る人は無視すればよいですし,不合理ならば反論すれば良いし,なるほどと思えば,実務を見直すきっかけにすればよいのですが,
「アラートを出すこと自体がけしからん」
というアホな批判されたときは
「アラートを出さなかったために,失敗した人が出たら,お前が責任を取るのか。」
という大人げない反論をすることにしています。

 一番怖いのは,リスク自体を知らないこと。

 大切なのは,漫然とドグマに従わず,その一つ一つの意味と根拠を見つめ直すこと。

 このブログが,何の疑問も抱いていなかった実務慣行の見直しのきっかけになるならば,休みを削って,書いてきただけの甲斐があるというものです。


(質問コーナー)
Q1
指定買取人との売買契約の成立時期について,相澤=岩崎商事1739号39頁を見ると「通知を行っただけでは,売買対象である株式の価格は決まっておらず,その時点で株式の売買契約が成立したものと一義的にはいえない」とされてます。この解説を変更する趣旨になるのでしょうか(それとも一致していることになるんでしょうか)。また,145条2号括弧書等の通知は到達主義になり,指定買取人がする限り相手が株主でも126条の類推はない,ということでよろしいでしょうか。
Posted by ik at 2006年07月21日 02:55
A1
当該解説は,請求者が譲渡承認等請求を撤回することを制限した規定の趣旨を説明するためのものです。「代金の具体的金額が定まっていない段階では,売買契約の全部の要素が確定していないので,撤回は自由にできる」という考え方もありうることから,「一義的にはいえない」と表現しているものであって「代金の具体的金額が定まらなくても,売買契約としては成立している」ということを否定しているわけではありません。
 145条2号カッコ書の通知というのは,第142条1項の規定による通知のことでしょうか?承諾の意思表示だから発信主義ということでいいのではないかと思いますが?
発信の宛先については,126条の類推もありうると思います。

Q2
事業譲渡や組織再編において,誰も反対しないときに反対株主買取請求権の機会付与のための通知・公告を省略できませんか。事業譲渡で総会決議をやって,翌日効力発生にしようと思ったら,通知・公告を忘れてたという事例は,後を絶たないような気がいたしまして,そのとき総会は100%賛成だったりすると,これがないことで問題が生じるのか,という気もいたします。100%子会社の吸収合併なんかでも,反対されたら決議が通りませんから,この公告・通知の意味は最初からありませんが,特に除外されているようには読めません。また,仮に必要なのに忘れた場合,効果としてはどうなるのでしょうか。
Posted by ik at 2006年07月21日 03:03
A2
現在の解釈では,通知・公告を省略することはできないと解されます。
100%賛成のような特殊な場合に,本来,要求されている手続きを省略することができるようにするかどうかは,政策的な問題であり,招集手続の省略等いくつかの手続きについては,それが明文化されています。明文がない場合に手続きの省略を認めるような解釈をすれば,思いもよらぬ不都合が生ずる可能性があることもあり,また,登記の現場が混乱することもあるので,具体的な場面では「こんな手続き不要だろう」ということがあっても,ある程度画一的な取扱いをせざるをえません。個人的には,いくつかの手続きについては,株主全員の承諾によって省略していいと思うものがありますが,それを解釈で認めるためには,登記を含め様々な調整が必要になるでしょう。次期改正の課題の一つにあがるといいんですが。

Q3
自己株式の取得に関する手続きついて、教えて下さい。
・160条の特定の株主からの取得を行おうとするときに、同条4項によれば、その特定の株主は「156条1項の株主総会において議決権を行使できない」とありますが、これは株主総会において他の議案がある場合、当該156条1項の議案にのみ議決権を行使できない、ということでよろしいのでしょうか。
・また、譲渡制限会社における自己株式の取得については、譲渡承認手続きは不要(136条)ということでよろしいでしょうか。
Posted by 法務ヒラ社員 at 2006年07月21日 13:33
A3
最初の質問は,そのとおりです。他の議案については議決権を行使することができます。
二番目の質問は,136条のカッコ書きで,当該譲渡制限株式を発行した株式会社が除かれていますので,会社に譲渡する場合には,承認を取る必要はありません。

Q4
一時会計監査人を2名以上選任することは可能なのでしょうか?可能だと思いますが、すでに1名選任してある場合でも「会計監査人が欠ている」と、いえるのでしょうか。宜しくおねがいします
A4
一時会計監査人を2名以上選任することは可能であり,その例もあります。
一時会計監査人は,「会計監査人」ではないので,一時会計監査人を選任しても「会計監査人が欠けている」状態に変わりありません。

Q5
法363⊆萃役会への報告義務を負う「業務執行取締役」ですが,常務取締役等の「役付取締役」として選定され,○○部担当を指名された者は法的な報告義務を負うと考えますが,平取締役で,○○部長,○○工場長等の使用人兼務を委嘱された使用人兼務取締役者は,「取締役会の構成員」ではあるが,原則として取締役としての業務執行権限は有しないので,法的報告義務を負う「業務執行取締役」ではないと,理解してよろしいでしょうか?
それとも,使用人兼務は重要な使用人の選任として取締役会で決議しており,使用人としてではあるが業務執行をしているので,「業務執行取締役」として法的報告義務があると考えるのでしょうか?ご教授ください。
Posted by 新任取締役 at 2006年07月21日 18:01
A5
報告義務を負うのは,「取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの」ですから,その要件を充たすかどうかにかかっています。
使用人兼務というのは,代表取締役や業務担当取締役の手足として業務執行を補助する使用人としての地位を併有しているということですから,取締役会の決議で業務執行権を付与しなくても,業務執行を行うことができますし,その取締役も「業務執行取締役」(2条15号)には該当します。
 しかし,報告義務を負うのは,客観的に業務を執行したかどうかで判断される「業務執行取締役」ではなく,「取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの」(業務担当取締役)ですから,使用人兼務取締役が,取締役会の決議で業務を執行する取締役として選定されていなければ,業務を執行したとしても,報告義務を負いません。その業務についての報告は,その業務について責任を負っている代表取締役又は業務担当取締役が行います。
 もっとも,取締役会の決議で「○○部長とする」と選定された場合,その決議の解釈によっては,業務担当取締役に選定したものとされる場合もありえます。

Q6
100問のP.84「見せ金」について質問があります。
見せ金を無効としても会社債権者の保護がはかれないとの批判に対しての反論のうち,,砲弔い董ぁ峺せ金は〜〜〜会社債権者の保護とは無関係であり,〜〜〜」とありますが,なぜ「無関係」と言い切ることができるのでしょうか。
http://blog.livedoor.jp/masami_hadama/archives/50388172.html
こちらの,「「見せ金」は,代表取締役が自己の借金の返済のために使い込んでしまう(横領する)ので,会社は,その払込金を事業のために用いることができない」という説明にあるように,代表取締役によって会社の財産的基礎を危うくされれば,債権者の信頼を害することになるのではないでしょうか。
Posted by ヨボヨボ at 2006年07月22日 05:01
A6
 ヨボヨボさんのいう債権者の信頼とは,何でしょうか。それが,分からないので,大変答えにくい質問になっています。
 ヨボヨボさんご自身でそれを明確にした上で,次の3つの帰結を見比べてください。
1 会社法で見せ金を有効とすれば,その払込価額は,資本金に計上される代わりに,代表取締役に対する金銭返還請求権が資産に計上されます。
2 会社法で見せ金が無効であれば,資本金に組み入れられることも,会社の資産として計上されることもありません。
3 旧商法で見せ金を無効とすれば,発行価額が資本金に組み入れられる代わりに,発起人等に払込担保責任が生じます。
 さて,どの見解が,「債権者の信頼」を害し,どの見解が「債権者の信頼」を害しないのでしょうか?それを教えていただければ,詳しく説明いたします。
 なお,会社法で見せ金を無効とする見解にたつと,仮に代表取締役が見せ金を有効なものとして資本金に組み入れて計算書類を作成すれば,虚偽の計算書類を作成したことになりますから,その計算書類を信頼した第三者は,取締役等に対して損害賠償責任を追及することができますし(429条2項),その資本金を登記すれば,公正証書原本等不実記載罪になります。これは見せ金の問題ではなく,虚偽計算書類の作成や虚偽登記の問題です。

Q6
整備法106条で旧法の例によってされた減資における債権者保護手続でも、最終の貸借対照表に係る事項を公告する必要がありますが、その会社が有価証券報告書提出会社であり、最終事業年度に関する有価証券報告書を提出しているため、最終の貸借対照表について会社法による公告していないる場合には、公告事項はどうなるのでしょうか?
旧法に基づく債権者保護手続でも、有価証券報告書提出会社である旨を公告すればよいのでしょうか?
最終の貸借対照表を改めて公告しなければならないというのでは、会社法440条4項の意味がないように思うのですが。
Posted by たつきち at 2006年07月20日 21:35
A6
これは以前回答したような気がしますが,その場合,貸借対照表も,有価証券報告書提出会社である旨も,公告する必要はありません。

Q7
株式分割の基準日と効力発生日について質問させてもらった者です。早速のご回答ありがとうございます。何故このような細かいことにこだわるかと申しますと、基準日=効力発生日に臨時株主総会を開催し、分割後の発行済株式総数の4倍に発行可能株式総数を拡大する定款変更決議をしたいと考えています(同日非公開会社から公開会社に移行する予定です)。この場合、基準日を午後5時現在の株主名簿記載の株主と定めると、株式分割の効力発生は午後5時と考えてよいのでしょうか。同日午後5時以前に株主総会を開催して分割後の発行済株式総数の4倍に発行可能株式総数を拡大する決議をするには株式分割効力発生を条件とする決議でないと無効のよう思いますし、5時以後に総会を開いたら無条件で決議できるとするのもおかしい気がします。株式分割の効力発生は効力発生日の経過であってそれ故、基準日(時間指定)=効力発生日が可能ということでしょうか。
Posted by ジタン at 2006年07月20日 23:44
A7
すいません。質問の意味が,いまいちつかめません。効力発生は,通常,効力発生日の「到来時」(午前零時)に生じますが,効力発生日も,時間指定をすることはできると解されるので,基準時の後に効力発生時を設定すれば,それが同じ日であってもよいということです。
  
Posted by masami_hadama at 17:36Comments(86)TrackBack(0)

2006年07月09日

生の事実

 先週は,少し仕事が楽だったため,毎日のように飲み会が入り,しかも,任天堂DSの「逆転裁判」にはまってしまったため,深夜に「異議あり!」と独り言をつぶやく不気味な酔っ払いオヤジと化していました。
 そのため、ブログを書く時間がなくなり、「まずい・・」と思っては朝に更新という悪循環。学校の近くに住んでいる子供ほど遅刻率が高いのと同じで,「余裕がある」と思うと,あっという間にその余裕を食いつぶしてしまうのが人の常であることを痛感した一週間でした。

 さて、週末になっても、いまいち緊張感がないので、今日は会社法の話はやめて,AHEさんの
「先日、キムタクの「HERO」を見ていて思ったのですが、検察官が実際に街に出て司法巡査とともに現場検証を行うことなんて実際にあるのでしょうか???」
という質問に答えながら、検察官の仕事について、ちょっとエッセーしてみます。

 検事を長くやっていると、私みたいに民事局に島流しになったり(笑)、刑事局や矯正局などでバリバリ仕事をしたり、証券取引監視委員会・公正取引委員会・外国の日本大使館等に出向したり、刑事以外の仕事に携わることも多いのですが、任官15年目くらいまでは、全国の地方検察庁で刑事事件の捜査・公判をするのがメインの仕事です。
 かくいう私も、約10年間は、刑事事件ばかりやっていました。

 検察官が、どの程度の事件を平行してやるのかは、事件の種類によって全然違います。独自捜査で贈収賄や経済事件をやる場合には一つの事件に10人以上の検事が数ヶ月もかかりきりになることもありますし、覚せい剤担当の若い検事だと、一人で自己使用ばかり20件以上身柄事件を抱えていることもあると思います。

 とはいえ、大雑把にいえば、同時並行で、身柄事件5―10件と、在宅事件10−20件というのが相場でしょうか。

 皆さんもご承知のように、身柄事件は、検察庁に送致されて10日又は20日で勾留が切れるので、通常その時点で起訴するかどうかを決めなければいけませんし、在宅事件も油断して処理を先延ばしにすると、在庫が増えすぎて、だんだん気が遠くなってしまいますから、限られた時間で、確実に事件処理をしていく必要があります。「時間が先、内容が後」という記事を書いたことがありましたが、身柄事件は、勾留期間を1秒過ぎても、違法勾留になりますから、まさに「時間が先」の極地です。

 また、参考人が、仕事等の都合で、夜や休日しか検察庁に来ることができないのならば、夜や休日に事情聴取をするのは当たり前ですし、参考人が検察庁に来るのが難しいのならば、時間をやりくりして、出張するのも、日常茶飯事。検察官は、
「参考人が勾留21日目まで海外出張で帰ってこないので、勾留期間を21日間にしてください」
というワガママを言うことができないので、自分の仕事時間を証人の都合に合わせざるをえません(裁判所も、裁判員制度が開始されれば、短期間で集中証拠調べをしなければならないので、きっと、証人のために、夜間開廷や休日開廷をしてくれるのではないかと思っているのですが(笑))。

 このように、検察官は、複数の事件を、切迫した時間制限の中で、次々と処理していかなければならないものの、どんなに忙しくても、否認事件などでは、「現場」の確認をします。

 警察官と一緒に現場に赴いて実況見分に立会い、時には、自分一人で現場付近を歩いてみたりして、被疑者、被害者、証人の視野に何が入っていたのかを自分の目で確認するのは、捜査の鉄則です。

 なぜ、検事が現場を大事にするかというと、事実認定は「生(なま)の事実」の把握から出発するからです。

 さて、この「生」という言葉には
1 法的評価・社会的評価を含まない事実
2 今まさに目の前にあるかのような血の通った事実
という2つの意味を込めています。

1 法的評価・社会的評価を含まない事実
 ロースクール生や司法修習生は、下手に法律をかじっているので、よく
 「法的評価を加味しながら、事実認定をする」
という間違いを犯します。

 例えば、葉玉が、息子と一緒にコンビニに言ったところ、息子から「これ買って」と言われて、ウーロン茶のペットボトルを受け取り、そのウーロン茶と現金150円をカウンターに置いたところ、店員さんが、「ありがとうございます」と言って150円をレジに入れたとしましょう。

 この場合、生の事実は、今言ったとおりなのに、いきなり
 「葉玉とコンビニとの間にウーロン茶の売買契約が成立した」
という法的評価が加わった事実を証拠から直接認定しようするのです。
 
 でも,これはダメ。なぜかというと,事実の認定と事実の法的評価を混同すると,法的評価をするだけで思考が停止してしまい、重要な間接事実や証拠を集めようとしなくなる可能性があるからダメなのです。

 例えば、先の事例で、葉玉と店員さんに事情聴取を行い、「ウーロン茶を売り買いしましたか?」と聞いたら、二人とも「はい。」と答えるでしょう。
 ここで「売買は成立した」と思い込んでしまうと、大間違い。

 例えば、店内の防犯カメラを調べたところ、実は、葉玉の息子は、見知らぬオジさんから、その店の商品ではない「毒入り。飲んだら危険。死ぬで。」と書かれたウーロン茶のペットボトルを渡されていて、それを何も知らずに、葉玉に渡していたということが分かり、しかも、そのウーロン茶をPOSに通した結果、未登録の商品だったためエラーが出ていたという証拠が出てきたら、どうでしょう。
 本当に、葉玉とコンビニの間に、そのウーロン茶について「売買契約が成立した」ということができるのでしょうか?

 生の事実を前提にすれば,(1)契約が成立した上で錯誤があるという人もいれば、(2)店員には、店内にある物以外の物を売る代理権がないという人もいれば、(3)葉玉たちには、毒入りウーロン茶の売り買いをする意思はないし、他のウーロン茶を売買する意思を見出そうとしても、サントリーなのかアサヒなのかそれ以外なのか、売買の対象となる物が特定していないから、契約が成立していないという人もいるのではないでしょうか。
 いずれにせよ、「当事者が売買したと証言すれば、売買契約の成立が認められる」という勘違いをして、思考停止をすると、生の事実が判明したときに、大慌てすることになります。

 だからこそ、検察官は、捜査をする際に、法的に意味があるかどうかということをとりあえず度外視して、「生の事実として何があったか」を調べなければならず、一番「生」に近い現場の確認を重視するのです。
 例えば、被疑者が被害者を包丁で刺したという事件で、現場に行って、被疑者の足跡と血痕が50センチしか離れていないのか、2メートル離れているのかによって犯行態様は違いますし,殺意の有無にも影響するかも知れません。もちろん,50センチなのか,51センチなのかというレベルでは,大した違いはないのかもしれませんが,「大した違いはない」という,評価を含んだ事実認定の危険性を知る検察官は,「大した違いがあるのかないのかはともかく,まず生の事実としてどんな事実があるのか」を確認するはずです。
 このように事実認定とは,評価を含まない生の事実を認定することなのです。
 ロースクール生の中には,「新司法試験の問題は,事実認定の問題が多くて難しいです」と言う人もいますが,新司法試験では,このような事実認定の問題は出ておらず,単に
\犬了実の中から,法的に意味のある事実をピックアップしてくる
▲團奪アップした事実について法的評価を加える
ということが要求されているだけであり,そこらへんの違いが分からないうちは,マダマダ修行が足りない感じです。

2 今まさに目の前に見えているかのような血の通った事実
 事実認定は,現在,目の前にある証拠を出発点として,時を遡り,過去に存在していた事実にたどり着く時間旅行です。
 しかも,時間は,すべての事象を風化しますから,ハリーポッターの秘密の部屋を一緒に見にいったのが,妻だったのか,昔の彼女だったのかが分からなくなったりするのと同じように,過去の事実は,時間の経過によって,血の通った現実から血の通わない物語へと変化していきます。

 他方,事件と捜査,捜査と審理,審理と判決の間には,必ず時間が流れており,長い裁判となれば,事件から十年以上経過して,証拠調べが行われることさえあるのです。

 ですから,検察官は,仝什澆△訃攀鬚ら確実に認定できる事実を積み上げていき,過去に向かって一歩一歩遡り,犯行時に存在した事実を,フィクションではなく,目の前に見えているかのような血の通った事実として捉えることができるようにする,⊆分の目の前に現れた事実が,長い裁判を経ても,血の気を失わないようにするために,適切な形で証拠化する必要があるのです。
 すなわち,検察官の仕事は
 時間との戦い,風化との戦い
であり,この戦いを制するするために
 「現場」
という武器を大事にするのです。

 被疑者の供述であれ,証人の供述であれ,供述証拠は,人の行動や客観的証拠の「意味」を明らかにするために必要な証拠であり,また,裁判官に分かりやすいという利点もあります。
 しかし,供述証拠は,内容自体の正確性は客観的証拠に劣り,また,風化が早く,時には,故意に真実が歪められているときさえあります。
 そのため,供述証拠だけで組み立てられた事件は,安定した基礎がなく,一つの供述が崩れることにより,全体が壊れる危険をはらんだ脆さがあります。

 そこで,検察官は,現場を見て,写真やビデオや実況見分調書により,動くことのない基礎を作った上で,被疑者や証人に現場のことを語らせ,供述者しか気付かなかった現場の状況をさらに写真等で証拠化する・・・。
 こうした作業を通じて,現場という客観的証拠に「事件との関連性」という意味を与えていくともに,供述証拠の中に「風化しない部分」を作り上げていくのです。

 凶器のみつからない事件はありますが,現場がない事件はありません。現場は,どんな事件にも共通して存在する客観的証拠であり,だからこそ,検察官は,立証の確実な拠り所として,現場を大事にし,現場に赴くわけです。

 以上のように,検察庁には,キムタクのように現場に出る検察官はたくさんいます。
 HEROの中の検事は,若干,ドラマ化されているものの,リアルさも兼ね備えているように思いますし,逆に,全国の検察庁では,日々,HERO並のドラマが起こっています。
 ただし,そのドラマを演じている検事が,キムタクや阿部寛並のルックスかどうかについては,黙秘するしかありません。

(質問コーナー)
Q1
会社法の計算規則、財務諸表規則、企業会計基準委員会が出す企業会計基準の関係がよく判りません。会計の勉強をし始めたばかりですので良く分かりません。
Posted by ふるたち at 2006年07月06日 22:36

A1
 以前記事にしたので,そちらにも目を通してもらいたいのですが,一頃に,会計と言っても,何を目的とする会計かによっていろいろな会計があり,誤解をおそれず言えば,メジャーな俗称として,会社法会計,証券取引法会計,税務会計があります。
 会社法会計は,会社法により作成が義務づけられている貸借対照表等や会計帳簿を作成するための会計です。株主に交付したり,公告をする貸借対照表等の作成や分配可能額を明らかにすることを重要な目的としています。
 そして,会社法では,会計帳簿は,一般に公正妥当と認められる会計慣行に従って作成されることとされています。
 この会計慣行がどのようなものかについては,会社法・会社計算規則は,特に規定しておらず,会社計算規則は,そういう会計慣行に従って,会計帳簿を作成する場合の作成方法について規定を置いています。
 証券取引法会計は,有価証券届出書等を提出する場合に提出する財務諸表を作成するための会計です。
 その財務諸表で用いられる会計基準がバラバラだと,投資家が各会社の財務状況を正確に把握することができないので,財務諸表規則1条1項は,「財務諸表」の用語、様式及び作成方法は、財務諸表規則で定められていない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとしています。
 そして,同条2項は,企業会計審議会により公表された企業会計の基準は、1項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとしています。
 以前は,2項に基づき企業会計審議会により会計基準が公表されていましたが,現在は,民間団体である企業会計基準委員会が開発した会計基準を,金融庁が,財務諸表等規則等に係る事務ガイドラインにおいて,一般に公正妥当と認められる企業会計の基準であると確認することによって,証券取引法会計の基準として使えるようにしています。
 翻って,会社法会計を見ると,会社法は,証券取引法・財務諸表規則・ガイドラインのように企業会計基準委員会が開発した会計基準に法的根拠を与えるようなプロセスを採っていません。それどころか,かつては,商法は商法,証取法は証取法ということで,バラバラの会計基準を用いていました。
 ただ,それでは,会社が似たようなものを沢山作らなくてはいけなくなり,大変なので,企業会計基準委員会が開発した会計基準が正当な会計慣行として認められる限り,会社法会計としても許容できるように,それと矛盾した会計基準を会社計算規則で定めることはしていないのです。

Q2
取締役会書面決議についてお尋ねいたします。
取締役の全員が「書面または電磁的記録により」同意の意思表示をしたとき、とは「書面又は電子メールにより」と解説される場合が多いですが、社内の電子稟議システム等を用いて取締役の全員が同意の意思表示を行い、同一電子稟議内において監査役が異議がない旨の意思表示をなした場合、会社法上の要件をみたすでしょうか。
稟議なので、ある取締役が他の取締役の意思表示をみた後に自らの意思表示を行うこともありえます。各取締役が電子稟議上で同意の意思表示を行った日は確定しますが時刻は記録されません。全員が同意の意思表示を行った後に、その記録を印刷して保存することはできます。
Posted by CCC at 2006年07月06日 15:12
A2
電子稟議システムでも,電磁的記録が残るものであれば,結構です。
電磁的記録ではなく,印刷した書面しか残らないとすると,その書面による同意の意思表示ということになるでしょう。
なお,時刻の記録は,不要です。

Q3
役員の任期の起算日についての質問です。千問のQ380p286には,「なお,株主総会の決議で,選任決議の効力発生時期を遅らせたとしても,任期の起算点については,選任決議の日と解すべきである」旨の記載がありますが,これは,補欠役員の任期の起算日を選任決議の日から起算することにしたことに伴い,通常の役員の選任局面においても選任決議に条件・期限を付したか否かを問わず,起算日を選任決議の日からとする趣旨であり,法制審議会で出されていた条件・期限付選任決議では,条件成就・期限到来の日から起算するという見解を修正したものと理解してよいのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年07月06日 15:47
A3
 旧商法は,起算日は就任時でしのたで,条件成就・期限到来して就任しないと起算することができませんでしたが,会社法は,起算日が選任日なので,選任決議の日から起算します。

Q4
代表取締役と第三者との取引の相手方保護についてお教えください。
内規違反の取引行為における第三者保護において、「一定の取引をなすには取締役会の承認が必要である」という内規の存在について悪意でも、取締役会の承認があったと誤信していた場合には、民法110条類推によって相手方は保護され(p248(三)以下)、
重要な財産の処分など、法令上取締役会の承認が必要な取引において、代表取締役が取締役会の承認をえずに取引をおこなった場合でも、相手方が取締役会の承認があった誤信していた場合には、民法93条類推によって保護される(p249(二)以下)、
とのことですが、両者とも取締役会の意思と代表者の意思表示の不一致なので、前者の方も110条類推ではなくて93条類推とした方がすっきりするように思えるのですが、前者については93条類推とすることができない理論上の問題のようなものがあるのでしょうか?
Posted by てんかお at 2006年07月06日 21:31
A4
その問題は,株式会社における意思決定機関が誰かという問題ではなく,代表取締役の代表権に加えられた制限がされている場合に,その制限を解除するための要件として取締役会の承認が要求されているのだと思います。
 会社の意思決定自体が欠けている場合には,93条類推でいいと思いますが,代表権の制限の解除要件が充たされていないのに,代表取締役が代表権を行使した場合には,民法110条類推の方が正しいと思います。

Q5
会社法施行前から存在する株式会社の株式譲渡制限承認機関について素朴な質問をさせて下さい。
整備法76条3項では、旧株式会社の定款に「新株式会社の承認を要する旨の定め」があるものと擬制しています。旧株式会社の定款にたとえ「取締役会」と規定されていても、同条項により「新株式会社」と擬制されると解されます。であれば、当該会社が取締役会を廃止する場合でも、承認機関については定款変更を行う必要はないと思えるのですが、如何でしょうか?
Posted by chigmog at 2006年07月07日 10:57
A5
定款変更手続をとる必要はありません。
ただし,登記は,みなし規定がないので,取締役会を廃止した場合には,「取締役会の承認」という登記を「株式会社の承認」に変更する必要があります。

Q6
複数の株主が存在する会社で、その内の1名のみに無償で募集株式の発行は可能なのでしょうか?
Posted by ike at 2006年07月07日 19:24
A6
できません。
株式無償割当ては,株主の保有株式数に応じて割当てを行う場合のみ利用できますし,通常の募集株式の募集は,「無償」を認めていません。

Q7
1 会社法151条1項は「質権は・・・金銭等について存在する」と規定し,その他条項においても「質権は・・・〇〇について存在する」と規定していますが,どのような意味を持つのですか。
2 民法では、
(1)366条3項は「質権は、その供託金について存在る」とし、同条4項は「質権者は・・・物について質権を有する」と規定し、
(2) 物上代位に関する304条の「先取特権(質権)は、・・・物に対しても、行使することができる」とし、
(3) 上記(1)と(2)を区別し、(1)の場合は、質権自体が当該財産のうえに存続し、かつ、(元々の質権が対抗要件を具備していれば)対抗要件も維持される趣旨のように思うのですが・・・。
Posted by 田舎の弁護士 at 2006年07月07日 19:52
A7
1 金銭等(金銭の支払い前だと,正確には,金銭交付請求権だと思いますが)に質権の効力が及ぶということです。
2 会社法151条は,旧商法208条の文言を現代語化したものですが,物上代位と解するものと思います。物上代位の場合でも,元の質権が第三者対抗要件を備えていれば,金銭等も対抗要件を備えるものと思いますが,特定性維持のために,差押えは必要です。

Q8
このブログの内容を本にして出版していただくということはやはり無理なのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年07月06日 12:24
A8
そうですね。このブログに手を入れるのは大変なので,このまま出版というのは望み薄です。
このブログの質問が貯まったところで,千問の道標を補充することは可能だと思いますが,当分は,無理です。

  
Posted by masami_hadama at 20:56Comments(66)TrackBack(2)

2006年07月06日

ゆとり教育

昨日、ふと、次の文章を目にしました。

「我々はこれからの子供たちに必要となるのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力であり、また、自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性であると考えた。たくましく生きるための健康や体力が不可欠であることは言うまでもない。我々は、こうした資質や能力を、変化の激しいこれからの社会を[生きる力]と称することとし、これらをバランスよくはぐくんでいくことが重要であると考えた。」

これは、1996年に中教審が「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」という諮問に対する第1次答申の中で掲げた、いわゆる「ゆとり教育」の出発点となった文章です。

どこかで見たような文章だなあと思って、調べたところ、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律2条は、法曹養成の基本理念の理念として、次のように規定されていました。
「法曹の養成は、国の規制の撤廃又は緩和の一層の進展その他の内外の社会経済情勢の変化に伴い、より自由かつ公正な社会の形成を図る上で法及び司法の果たすべき役割がより重要なものとなり、多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる高度の専門的な法律知識、幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた多数の法曹が求められていることにかんがみ、国の機関、大学その他の法曹の養成に関係する機関の密接な連携の下に、次に掲げる事項を基本として行われるものとする」

2つの文章は、ともに教育に関する理念を述べた文章だけあって、言おうとしていることは、よく似ています。

私も、これらの理念にはどちらも大賛成ですが・・・。

ただ、「ゆとり教育」の実現方法として採られた学習内容の削減や教育時間の削減等の政策については、正直「こいつら、本当の意味の生きる力を分かってるのか?」という気持ちを10年間抱き続けており、「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」を養うためには
1 知識習得の楽しさ
2 基本的な知識の反復練習
3 応用的な問題について、教師による丁寧なフォローの中でのトライ
4 問題を解いた生徒に与える客観的評価(良かったか悪かったかを明確にし、良かったら褒め、駄目なときは、なぜ駄目だったかその原因を教師がともに考え、励ますこと)
5 1から4を実現するための教育時間の増加
が必要不可欠だと考えています。
ところが、実際の「ゆとり教育」は、そのような教育ではありませんでした。

 ゆとり教育の理念で目指していたものは、ジーコが目指していたブラジルのサッカーによく似ています。
 しかし、ブラジル人が、自分で考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決するサッカーができるのは、子供のころからサッカーボールを蹴り続け、数限りないリフティング・ドリブル・パス・シュートの練習をし、先生や先輩が、驚くようなプレイで難しい局面を打開する姿を直接見て、それを自分の具体的イメージとして捉えて、自分のものにするために更に練習を繰り返すからです。
 川渕キャプテンが、「サッカーの練習内容を削減し、練習時間を減らせば、ブラジル人のようなサッカーができるようになるはずだ。」と高らかに宣言したら、即座に辞任を迫られるでしょう。

 「ゆとり教育」に欠けているもの、例えば、「基本の反復練習」の大切さをきちんと分かっていた陰山先生は、「100マス計算」で名をあげました。
 100マス計算で実現しようとしたことは、すごく当たり前のことですが、基本の反復練習を一種のゲームとして成立させたところに鋭い視点があります。

 陰山先生は
 生きる力を身につけるためには、「基本の反復練習」を楽しくやること
と考えていたのではないでしょうか。

 法曹として生きる力を身につける場合も同じです。
 法科大学院が、その理念を実現するためには、「基本の反復練習」をはじめ上記のような色々な訓練を楽しくやらせることが必要であることを認識する必要があると思います。
 
 条文がどこにあるかを探せない生徒に、分厚い最高裁判決を読ませるのは、憲法の禁止する残虐な刑罰にあたります(笑)。
 条文の文言を見たことがない生徒に、難しい要件事実を流れるように語っても、その流れの中で、生徒の目が泳ぐだけです。
 条文の趣旨も知らない生徒に、自分の意見を語らせても、青年の主張以上の意味はなく、法律家としての表現力は身につきません。

 ロースクールの生徒に限らず、旧司法試験、司法書士試験、公認会計士試験の受験生等法律を勉強する者は、何よりもまず、‐鯤犬鮹気昂盈、⊂鯤犬諒幻世鮖実に形式的にあてはめる訓練、条文の趣旨を言えるようにする訓練をするのが出発点です。
 そして、その反復練習によって身につけた知識をベースに、先生の丁寧なフォローのもとでいろいろな応用問題をこなし、ときには先生の驚くべき能力で見事な解決を示してもらい、それを真似る。

 そうした訓練の延長線上にしか
「多様かつ広範な国民の要請にこたえることができる高度の専門的な法律知識、幅広い教養、国際的な素養、豊かな人間性及び職業倫理を備えた」専門家
は誕生しません。

 ゆとり教育が犯した間違いを、法科大学院が後追いする必要はないので、法曹を目指す若者のために、理想を実現する素晴らしい教育を行って欲しいと切に思っています。
 それができなければ、課題によって、生徒のゆとりすら奪ってしまうというのは避けるべきなんでしょうね。

(質問コーナー)
Q1
早速ですが、実際に株券を発行している会社が譲渡制限と株券不発行を同時にする場合の手続きについてご教示ください。
全株主が株券不所持申し出をし、当該会社の株主名簿にその旨に記載し、または記録されたときに、株券は無効となります。
そうすれば、株式の譲渡制限の設定及び株券廃止の通知等の省略が可能と思われますが、いかがでしょうか?
もちろん株式買取請求権の20日期間はあけてのことです。
法219条但書により、譲渡制限は通知も不要と解せますが、株券廃止の通知に関しては、条文根拠をうまく探せず、少々不安です。よろしくお願いいたします。
Posted by 法務部員1 at 2006年07月05日 11:54
A1
全株主が株券不所持申し出をしている場合が前提ですね。
譲渡制限の設置の通知については、219条1項1号の株券提出公告及び通知は不要ですが(219条ただし書)、116条3項の株式買取請求権の告知のための通知は省略することができません。
株券廃止の通知というのは、218条1項の公告及び通知のことだと思いますが、これは、株券が全くでていない場合でも、省略することはできません。219ただし書のような規定がありませんから。

Q2
私が現物出資財産等填補責任(52条1項)の趣旨を株式引受人間の公平の確保に絞りきれない理由は、不足の現物出資等を行った発起人以外の発起人は、いわば「被害者」のように思えて、そのような「被害者」に同責任を負わせる「必要性」が、発起設立の場合にはよくわからないからです。すなわち極端な例では、発起人が2人で発起設立を行う場合に、一人が不足の現物出資を行い、もう一人が金銭出資を行った場合に、金銭出資を行った方の発起人が同責任を負うことの「許容性」があるのはわかるのですが、「必要性」があるのかよくわからないのです。また何か誤解があるものと存じますが、ご教示頂けますと幸いです。
Posted by kiji at 2006年07月05日 13:44
A2
発起人の間でも、実際には、設立事務を行う上での役割分担はあり、金銭出資しかしていないけれども、発起人代表として設立事務の中心を担っている人もいれば、ほとんど設立事務は行わず、単なる引受人と変わらないように人もいます。単なる引受人のような人は、現物出資の客観的価額が不足しているような場合には、発起人代表の人に「お前が責任をもって設立事務をやっていたんだから、ちゃんと補填しろ」と言いたくなるでしょう
だから、現物出資をしたかどうかにかかわらず、発起人であることを根拠に填補責任を認める必要があります。
もちろん、単なる引受人的な発起人も、その責任を負うことになりますが、法律上、その発起人と設立の中心人物との間を区別する指標がありませんし、その発起人が填補責任を履行した場合には、現物出資発起人に対して求償することができますから、最終的には、引受人間の公平を図ることができます。

Q3
6月30日に質問させて頂きました、旧試ナブルな人です。自分本位な書き方をしてしまい、すみませんでした。
要件1・2・3とは、会社法100問の論点<687>「事業」の意義で出てくる、
1・一定の事業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または一部の譲渡行為であって、
2・その財産によって営んでいた活動の全部または一部を譲受人に受け継がせ、
3・譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に21条に定める競業避止義務を負う場合、のことです。
そして、質問を一言でまとめますと、
事例問題で出題された時に、この要件3をどのような言い回しであてはめればよいのか。
ということになります。
Posted by 旧試ナブルな人 at 2006年07月05日 15:02
A3
3の要件は、21条の義務を負わない特約をした場合に、467条1項が適用されないというためにあると考えればよいと思います。

Q4
 商法時代から存続している株式会社(譲渡制限なし)が、会社法施行後になってから譲渡制限をつけた場合、みなし規定などの関係で何か留意すべき事項というのはあるでしょうか?大会社以外に限定してということで結構なのですが。
Posted by 濱田 at 2006年07月05日 15:58
A4
話が抽象的なので、なんとも言いようがありませんが、譲渡制限をつけること自体については、会社法の普通の手続きを取ればよいと思います。

Q5
法第319条320条及び同370条371条の株主総会、取締役会の決議・報告の省略についてお教え下さい。
会社法施行規則72条、101条のそれぞれ4項でこの場合にも「議事録」を作成すると定められており、議事録に記載すべき事項も定められています。商法時には株主総会の決議の省略について議事録を作成するのではなく、代表取締役が株主の同意した書面を添付して決議内容を証明した書面を作成し、登記等の際にはそれを添付していたと思います。
会社法施行規則には議事録の記載内容としては全員が同意の意思表示をしたことを明確に記載する必要は必ずしもなく、また、取締役会については出席ということもないので、この議事録には法369条3項の署名捺印義務は無いと理解して良いのでしょうか。
例えば施行規則101条3項5号の記載も不要ですか。
記載事項は実質議事録の用途、必要性により異なるとは思いますが、規則の3項と4項の関係について教えてください。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年07月06日 00:30
A5
「議事録の記載内容としては全員が同意の意思表示をしたことを明確に記載する必要は必ずしもなく」というところがどういう意味で書かれているのかが気になるところですが、役会決議の省略が行われた場合には、取締役会に出席した取締役はいないので、議事録の署名義務はありません。
また、役会決議の省略の場合には、101条3項は適用されません。

Q6
「千問の道標」Q41の回答で、払込みを証する書面に関して、預金通帳の写しについて、「残高証明を求めなければならないものではなく、また具体的な入金の事実が明らかとならない残高証明では、預金通帳の写し等に代えることはできない。」との回答ですが、これは「残高証明では足りない」という意味だけでなく、「預金通帳の残高は関係ない」と解釈してよろしいでしょうか。
Posted by みかえる at 2006年07月06日 01:31
A6
登記申請時の残高は関係ありません。残高証明は不要です。

Q7
 私、とある自治体の法務担当職員なのですが、公益法人行政で
関係部局の意見が割れているため、ご意見を聞かせていただければ幸いです。
 事案は、とある施設の指定管理者が、今回の会社法施行で特例有限会社化した法人なのですが、株式会社に組織変更しようとしています。
 当県では「指定管理者は、その名称、主たる事務所の所在地又は代表者に変更があったときは、指定管理者変更事項届出書(第二号様式)により、速やかにその旨を知事に届け出なければならない。」という規則を置いているのですが、今回の特例有限会社の株式会社への移行は、「名称の変更」で捉えることができるのかどうか、ご教示頂けると幸いです。
(私個人は見出しの「移行」の言葉からも実態に着目して名称変更で捉えられると思うのですが、、)
A7
その規則の解釈は、その県で決めるべきことなので、私は口出しすることはできません。
ただ、特例有限会社は、株式会社であり、「株式会社に組織変更」するのではなく、単に商号を「有限会社」から「株式会社」に変更するだけです。

  
Posted by masami_hadama at 07:33Comments(88)TrackBack(0)

2006年06月30日

改革者の責任

 今週は、仕事が立て込んでいてブログを書く時間がなかなか取れません。

 それでも、最近、いくつかのロースクールの学生さんと話しをしたり、大量合格時代に対する不安を抱える弁護士さん達と話しをしたりする機会があり、新司法試験制度の良い点と矛盾点について生の声を聞くことができました。

 ここで、司法試験制度について何か語ると角が立つので、具体的な話はしませんが、そうした話の中で、受験生からベテラン弁護士に至るまで、急激な変化への戸惑いがあるのがよく分かりました。
 
 私は、丸5年間、商法・会社法の改正等に携わり、どんな些細な制度変更でも、人々の生活に大きな影響をもたらすことや、制度が良くなるか悪くなるかにかかわらず、制度が変わること自体に大きな抵抗があることを痛感しています。

 ぶっちゃけて言えば、大きな改正を担当すれば、膨大な仕事と徹夜の嵐に押しつぶされそうになるわけですから、何か要望をされても、表面だけ「検討します」と言って何もしないのが一番楽です。仕事が少ないからって、給料が減るわけじゃありませんしね。もろ、公務員根性です(笑)。

 でも、既存の制度が完全であるはずもなく、沢山の矛盾を抱えて、その矛盾が時代の変化によって、もはや無視できないところまで来ているのならば
「大変だけど、改正しないと仕方ないよね。」
と思って働いてしまうのも、また真実。

 公務員の仕事の中には、
「予算を取ったから、あまり必要ないけど、予算消化のために働く」とか、
「仕事が減ると、自分の組織の人員が減らされるから、表面的な仕事を作って働くとか、
「上から改革しろと言われたから、何でもいいから制度を変えなくてはいけなくなったので、働く」とか
マイナス方向を向いた仕事もあるのではないかと予想するのですが、公務員になってからの14年間、幸いにしてそのような仕事にはあたりませんでした。
 
 そういう意味で、私の公務員生活は、現在のところ、大変充実したものであり、同期の弁護士と比べて、給料が半分以下ということだけ我慢しておけば、何の不満もありません。

 ただ、あるニーズを満たすために良い制度を作ったとしても、制度を変えることは、必然的に、誰かに負担をかけることになります。
 ですから、
 制度を変えた人間は、責任もって、その制度がうまく動き出すようにフォローする責任がある
と思うのです。
むしろ、改革というのは
 「変えて半分仕事が終わり、変えた部分の問題点を修正して残り半分の仕事が終わる」
というようなものではないでしょうか。

 これは、会社法であっても、司法試験制度改革であっても、裁判員制度であっても、同じことであり、改革に携わった人は、改革をフォローし、まずい点があれば、随時修正をしていく責任を負っているのではないでしょうか。
 公務員としての責任というより、誇りをもって仕事をした者の責任として。

 改革をした人も歳を取り、また、公務員には転勤という限界もありますが、何歳になろうと、どんなに立場が変わろうとも、自分たちが作った制度については、当初予想してなかった矛盾が生じていないかを検証し続け、何らかの形で誤りを正すよう努力するのが、職業人としての使命だと思います。そして、その際、
「あいつが、俺が想定していたのと違うことをしたのだから、あいつが修正すべきだ」
と言って、他の共同作業者のせいにせずに、制度の矛盾をすべて自分の問題として捉えていかないと、責任の押し付け合いに終始することになります。

 ですから、私は、私が担当した部分かどうか、法務省かそれ以外の官庁の問題か等そういうことはおかまないなく、会社法の矛盾・誤りを指摘いただくのを歓迎していますし、このブログや色々なところから飛んでくる質問を答えながら、会社法や省令の修正が必要かどうかを常に仲間達と検証し、問題があれば、随時、修正しています。
 どのようにしたら不都合に関する情報が取得できるか、どのようにしたら、こちらの情報を会社法を利用する人たちに効果的に伝えることができるか。
 手探りの中で、このブログを含め、いろいろな方法をトライしてきました。
 本当は、Windows XP の修正パッチのように、修正すべき点が生じたら、自動的にウィンドウが開いて「法務省にこの問題点を報告しますか?」とか、「法務省にアクセスして、最新の会社法をダウンロードしますか?」なんて聞いてくれるような仕組みがあれば便利なのですが(笑)。

 司法試験制度改革についても、大きな改革ですから、いろいろな矛盾が出てきています。
 でも、人が作った制度なのだから、矛盾が生ずるのは当然です。
 大事なのは、その矛盾をどう解消していくかであり、私は、司法試験制度改革を推し進めてきた人たちが、きっと矛盾を見過ごさず、随時、よりよい制度へと改変していくものと信じています。

 ただ、そうは言っても、目の前にいる受験生が、一人でも、改革の犠牲になっては困りますから、そのような事態が生じないように、司法試験制度改革をした人だけではなく、改革とは何の関係もない私も、日夜、「何か受験生のお役に立てるようなことができないか」と、頭をひねっています。
 私ができるような、何か良いアイデアがあれば、教えてくださいね。


(質問コーナー)
Q1
459条1項に従い剰余金の配当等を取締役会で決定できるとする定款規定による自己株式の市場取得については、株懇モデルと法務省の解説が一致していないように見えるのですが?
 千問のQ207では、「剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがある場合における株主全員から譲渡しの申込みを受ける手続きによる取得」とあり、「立案担当者による新会社法の解説」P.38の図も同じです。この記載ですと、公開買付は可能でも市場買付けはできないように読めます。
 一方、株懇モデルや商事法務における解説によりますと、459条1項の定款規定により、市場買付けは当然に可能としており、実際にこれに従った決議もあります。
 法務省の解説は、剰余金の配当等であるから、株主平等が掛かっているという理解でしょうか?よろしくお願いします。
Posted by 蓑虫 at 2006年06月29日 07:31
A1
会社法459条1項1号は、160条1項の規定による決定をする場合以外の場合における156条1項の決定を役会が行うことができることになっています。
市場取得は、156条1項の決定により行いますから、459条1項の定款の定めによっても、取締役会で決することができます。
 千問Q207の表は、459条1項(会計監査人設置会社で一定の場合に限られる)より要件が軽い165条2項の定めで役会決議にすることができるので、そちらのみ書いていますが、459条1項の定めでも役会決議にすることは可能です。

Q2
取締役をABCとする非取締役会設置会社(各自代表会社)が取締役会を設置する旨の定款変更決議をした場合において,その後の取締役会決議でAのみが代表取締役として選定されたときは,BCは,明示的な辞職又は解職がなくとも,代表権を失うことになると理解しています(民事局HP会社法の施行に伴う商業登記記録例について(依命通知)70頁)。
この理解が正しいものとして,BCが代表権を失うのは,…蟯省儿校でしょうか,それとも代表取締役Aの就任時と考えるべきでしょうか。
私としては,,了点,すなわちABCが会社代表機関から取締役会の一構成員に過ぎない存在に成り下がった時点と考えていますが,これだとAについて退任登記が不要であるとする前掲登記記録例と整合しないように思われます。
実際にはあまり問題は生じないかもしれませんが,登記上はBCの退任日付を明示しなければならず,,鉢△箸覇付があいたケースで結論が出せないでいます。どうかご教示ください。
Posted by sara at 2006年06月29日 09:42
A2
非取締役会設置会社が、役会を置く旨の定めをした場合、定款にその定めを置いた時点で代表取締役を退任しますが(定款変更日が退任日付になります)、代表取締役が欠けた状態になりますので、それらの者は、代表取締役としての権利義務を有します。
 その後、取締役会で代表取締役を選定すると、代表取締役として選定された者以外の取締役は、代表取締役としての権利義務がなくなります。
 そうすると、代表取締役として選定された者も、重任の登記が必要だと考えることもできますが、通常は、代表取締役としての権利義務を一貫して有していることから、登記については特に変更しなくてよいこととされています。
 
Q3
第三者割当の方式による新株発行の意義とはどのようなものでしょうか?
Posted by クセルクセス at 2006年06月29日 19:18
A3
株式を発行する場合に、株主がお金を沢山持っているときは、株主割り当てをしてもいいですが、株主以外の人(又は株主のうちの一部だけ)がお金を持っていて、その会社の株主になりたいと思っているならば、その人に株式を割り当ててもよい、これが第三者割当ですね。

Q4
実は、5月決算会社の株主総会が迫り、議事を作成しようと思っているのですが、
「剰余金の処分」議案の必要性について困っていることがあります。
「剰余金について何もしない会社」は上記処分議案を付議しなくてもいいのでしょ
うか?
このような場合において、旧商法下の利益処分案(損失処理案)では、
当期未処分利益 100,000円
次期繰越利益  100,000円
(損失の場合も同様)
と書いていましたが、このように議案をつけることで
「会社は剰余金には手をつけませんよ」
ということを株主に訴えておいたほうが良いのでしょうか。
Posted by ミスター920 at 2006年06月29日 22:05
A4
剰余金の処分をしないならば、剰余金の処分議案は出せません。

  
Posted by masami_hadama at 00:14Comments(86)TrackBack(0)

2006年06月24日

千問 図表目次

今日は抜け殻で頭がうまく働かないので、機械的作業をしたくなりました。
それで、千問の道標 図表目次を作ってみました。
適当な大きさで印刷して、千問に張ると便利だと思います。

1.図表1−1 設立手続 3
2.図表1−2 定款と登記の記載事項 9
3.図表1−3 商号の保護手段 14
4.図表1−4 設立時代表取締役の選定方法 40
5.図表2−1 株式に関する定款の記載事項・登記事項 51
6.図表2−2 種類株式の追加・内容の変更に関する決議 57
7.図表2−3 株主の投下資本回収に関する権利 109
8.図表2−4 株主の株主総会に関する権利 111
9.図表2−5 取締役の不正行為に対応するための株主の権利 112
10.図表2−6 株主の会社の有する情報を取得するための権利 114
11.図表2−7 株式等の譲渡制限 137
12.図表2−8 株式の移転要件 138
13.図表2−9 自己株式の合意取得 155
14.図表2−10 募集事項の決定・割当て 196
15.図表2−11 自己株式の処分手続 211
16.図表3−1 払込期日までに払込みが行われない場合の処理 235
17.図表4−1 株主総会の決議事項・決議要件 362
18.図表4−2 機関の設置が義務づけられる場合 268
19.図表4−3 株式会社の機関構成 269
20.図表4−4 機関変更と任期の関係 272
21.図表4−5 機関に関する定款と登記との関係 274
22.図表4−6 公開会社と非公開会社の規律の違い 276
23.図表4−7 代表者と使用人の権限等 321
24.図表4−8 代表者と使用人の義務と責任 322
25.図表4−9 取締役の責任 344
26.図表4−10 取締役の責任免除制度 345
27.図表4−11 取締役会手続の省略 367
28.図表4−12 会計参与等の責任 393
29.図表4−13 役員等の兼任禁止規定 398
30.図表5−1 定時株主総会において株主へ提供される書面 433
31.図表5−2 総会招集手続の省略 487
32.図表8−1 資本金等の額の増減 537
33.図表8−2 株式数と資本 538
34.図表11−1 株式会社・合同会社・有限責任事業組合の差異 562
35.図表11−2 持分会社の資本金・資本剰余金・利益剰余金の概要 592
36.図表12−1 社債管理者と私募 641
37.図表14−1 吸収型組織再編の流れ 665
38.図表14−2 組織再編行為と会計処理 726
39.図表16−1 株式会社関係の訴訟事件 746
40.図表16−2 持分会社関係の訴訟事件 748
41.図表16−3 組織変更・組織再編行為の訴訟要件 751
42.図表16−4 許可申立事件 752
43.図表16−5 その他の商事非訟事件 754
  
Posted by masami_hadama at 00:37Comments(69)TrackBack(0)

2006年06月22日

会社法の本

 会社法について、学者・実務家の色々な本が出回ってきたので、なるべく読んでいるのですが、それぞれ読者層の設定が違うので、いくら読んでも飽きません。

 本を書く上で読者層をどこに設定するかは、ロースクールで、どんな学生に教えるのかと同じくらい重要です。

 幼稚園の年長さんに「小学1年生」を読ませると、背伸びをしながらも興味をもって読みますが、「ダビンチ・コード」なんかには目もくれません。
 逆も真なりで、ロースクール生に「テレビくん」を与えても、普通はあまり喜ばれません。幼稚園児の少女モデルに「萌え〜」という危ない人は若干いるかもしれませんが(笑)。

 ですから、知り合いから「会社法の勉強をしたいんだけど、何か良い本ないかな」と聞かれたときには、本の内容より先に、その人の会社法の理解の程度・興味のある領域の方が気になります。

 特に、会社法の知識が全くない人については、「この人は、会社法をどの程度までマスターする気があるのか」というところが一番の関心事。また、その人が会社法の勉強にどの程度の時間をかけることができるかも大事です。

 ちなみに、私は、普通、初学者には、会社法100問や千問の道標は薦めません。

 会社法100問は、「受験生の合格に役立つ本」であると同時に、「実務家が会社法の解釈について調べる本」を作るという、欲張った想定をしていたので、会社法を何も知らない初学者には歯ごたえがありすぎるでしょう。厚いから読むのに時間がかかるし(ただし、新司法試験の問題を見る限り、「自分で考えさせる」問題が多く、会社法100問が、徹底的に考えて、その長い長い思考過程を論証にしていくというスタイルを採ったのは、結果的には、正解だったなあと思います)。
 千問は、実務サイドのニーズを満たしつつ、ロースクール生などが会社法の知識を整理し、分からないところをすぐに調べられるミニ辞典としての機能を持たせようとして企画した本で、これまた初学者が興味本位でおもしろく読む本ではありません。

 それで、私が、初学者に何を薦めるかというと、やっぱり
 会社法入門(岩波新書) 神田先生
が定番です。
 ただし、会社法入門は、一般人向けなので、会社法を本気で勉強するならば、もうちょっと違う切り口の本が必要です。
 それで、最近、初学者用に最適だと思っているのは
 ビジュアル 株式会社の基本  柴田和史先生
です。

 柴田先生の本は、見開き2頁の左が解説・右が図表という形式で統一されていて、薄いのによくまとまっています。
 解釈論等は少ないし、これだけで足りるというほど、司法試験は甘くないですが、初学者にとって重要なことは、「手を広げすぎず、基本的なところを確実にマスターすること」なので、その目的には十分だと思います。
 「薄い」というと、ネガティブな印象かもしれませんが、情報の取捨選択能力がない時期に読む本としては、情報が適切に絞り込まれているということが最大のポイントなんです。
 私なら、この本の図表をもとにノートを作り、それに、いろいろな解釈論を付け足していきますね。

 柴田先生の本から一歩進んだ勉強をしていくと、神田先生、宮島先生、弥永先生、近藤先生などなど、きら星のような基本書が沢山あります。
 どれが、お勧めかは、その人の求めるものによって違うので、なんとも言いようがありませんが、神田先生の簡にして要を得た解説は、誰にでも勧められますし、宮島先生のわかりやすい解説・民法とのリンクも好きです。近藤先生の本は、会社法の本の中にビジネスの臨場感があり面白いし、私は、個人的に何かを調べるときには、リサーチ能力に定評のある弥永先生の本をよく使います。

 前田先生と江頭先生の基本書が出てくれば、私は、多分、お二方の基本書を一番よく読むことになると思いますが、いかんせん、まだ出版されておらず、この場でお薦めできないのが残念です。

 それから、各種予備校の本も一通り目を通しましたが、ここで何かをおすすめすると角が立つので、それはやめておきましょう。
 読んでいる最中、思わぬ予備校本で、「おっ、これは俺が18年前に開発した図表だ。」という驚きがあったのですが(その図表は、むちゃくちゃオリジナリティーが高いので、私以外の人が同じことを考えたとは考えがたいんです。)、別に著作権を主張するつもりはないのでご安心を。

 実務家の書いたものでは、西村ときわの武井先生の著書は、それぞれマニアックで好きなんです。ただ、読んでいると「武井先生が、そういう手でくるなら、僕ならこういくかなあ」なんて考え始めてしまい、あまり早く読み進めないのが難点です。注も多いし(笑)。

(質問コーナー)
Q1
 登記簿上、譲渡制限のない会社で小会社の監査役は会社法施行に伴い任期満了退任となりますが(会336.4.3、会389.1、整備53)、新たに株式譲渡制限規定の設定の登記をすることにより、監査役の重任登記を省略することはできないでしょうか?
A1
登記は、中間省略はできません。

Q2
会社法施行規則72条3項6号には、株主総会議事録の記載事項として「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」が規定されています。
たとえば、総会で取締役が全員退任し、新たに別の取締役が新任された会社において、この「議事録の作成に係る職務を行った取締役」とは、退任した取締役でしょうか。それとも、新任された取締役でしょうか。
A2
総会の後に議事録を作成するのですから、新取締役しか作成できないと思います。

Q3
T&Aマスターでは「非公開会社のように公正価値が算定困難な場合には」361条1項2号を利用することも可能であるとされていますが、これは2号の使用を公正価値の算定ができない場合に限定する趣旨ではないということでしょうか。商事法務1744号102頁では、ストックオプションは報酬のうち額が確定しているもので、かつ、金銭で無いものと整理することとしているとされ、株主総会において具体的な額及び内容を決議しなければならないとされていることとの関係をどのように理解すればよろしいのでしょうか。
ストックオプションの付与の議案については1号と2号のいずれを利用しても構わず、どちらを選択するかは取締役の経営判断であり、最終的には株主総会で株主が判断することになる(かかる決議の無効の訴えが認められるかは取締役がどの程度情報提供をきちんとしたかということに帰結する)、2号は公正価値の算定ができず、1号が利用できない場合に限定される、という2つの考え方(1号と2号を並存的に考えるか、2号は1号の予備的なものとして考えるか)が可能であると思います。1号と2号のどちらを選択するかということが経営判断であるとしても、両者の関係が並存的なものであるか予備的なものであるかによって経営判断が法律上許容できるものであったかということを判断する際に影響を与える可能性を否定することはできないと考えます。
なお、△陵夙的な関係であると整理した場合、千問の方では、公正価値が0円の場合は上限を0円として決議する旨の記載がありますので、公認会計士等から公正価値は算定できない旨の確認書等を取得することになるのでしょうか。
Posted by S at 2006年06月21日 11:11
A3
,任后でも、無効の訴えというより、取消の訴えかなあ。
公正価値の証明をどの程度やるかは、オウンリスクです。
別に公認会計士じゃなくても、公正価値を算定することはできるでしょう。

Q4
A,Bという2種類の株式を発行している場合に、A株だけ募集株式の発行を行う場合ですが。
。繊ぃ続両方とも譲渡制限が付いている場合:非公開会社
(ア)A,B株主による株主総会(200条1項)
(イ)A株主による種類株主総会(200条4項)
(ウ)取締役会による募集事項の決定
■舛肋渡制限つきだが、Bは譲渡制限なしの場合:公開会社
(ア)A株主による種類株主総会(199条4項)
(イ)取締役会による募集事項の決定(201条1項、199条2項)
条文だと,両豺腓亙臀源項の決定を取締役会に委任できるが△両豺腓楼冉い任ないと読め(201条1項による200条の不適用)同じ譲渡制限付株式を発行するのに△諒が要件が厳しいような気がするのですが。また、,世硲映間は株主総会の承認の範囲内で何度も発行できるのに、△世犯行の度に株主総会を開催しないといけないのでしょうか。
Posted by ポケット at 2006年06月21日 11:34
A4
誤解があるようです。
1 ,離Δ楼貘里覆鵑任靴腓Α 割当ての決定? もしそうなら、△任睇要。
2 △蓮株主総会を開催する必要はないし、実際に△砲蓮株主総会って書いてないですよね。

Q5
葉玉先生こんにちは。基準日について質問致します。
1.株式分割においては基準日を定めなければならないとされているのに対し,株式の無償割当や株主割当による募集株式の発行においては,基準日を定めても定めなくてもよいとされています。なぜ,このような違いがでるのですか?
2.基準日を定めずに株式の無償割当や株主割当による募集株式の発行をした場合,株式又は株式の割当てを受ける権利はいつの時点の株主に与えられるのですか(株主を確定する日はいつですか)?
Posted by 小太郎 at 2006年06月21日 14:16
A5
そもそも割当てには、理論的には、基準日を定める必要はないんです(普通は、定めますが)。それで、基準日は任意になっています。
同じように株式分割にも、理論的には、基準日を定める必要はないんですが、基準日なしにいきなり株式分割をされると、上場株式についての保振制度や株券の電子化のもとでは、対応が難しいんです(効力発生日までに、証券会社に株式分割の内容を通知して、効力発生日に一斉に分割した結果を記録する必要があるので)。それで、実務に配慮して基準日を設けています。

Q6
千問の道標Q196で「株主名簿記載事項証明書の記名押印」について確認をお願いします。
株主名簿管理人を置いている場合、会社で発行しなければならないことになると思います。
これまで、株式に関する事務は、名義書換代理人が行い、当社は行わないこととしてます。
株主名簿管理人が株主名簿記載事項を証明出来ないのなら、何をやってもらっているか、わかりません。
特則は、設けられないのでしょうか。
Posted by ひろし at 2006年06月21日 16:07
A6
ひろしさんの会社は、株券を発行するときに、代表取締役ではなく、株主名簿管理人が署名していますか? 違いますよね。
株主名簿記載事項証明書は、株券不発行の会社において、株主であることを証明する極めて重要な書面で、株券発行会社でいえば、株券と同じほど重要なものです。代表取締役が全責任をもって、その者が株主であることを証明してください。
特則が設けられることはありません。仮に特則を設けるとすれば、株主名簿管理人がミスって虚偽の記載をしたら、代表取締役が個人で任務懈怠責任を負うという制度設計にでもしないといけないんだろうなあ。

Q7
「代表取締役の氏名及び住所」は設立登記事項とされています(911条3項14号)。この「住所」なのですが、代表取締役社長が転居したことにより現住所が変更となった場合には、変更登記の手続をとらなければならないのだと認識しています(915条1項)。ところが世の中には困った人がおり、代表取締役社長の新住所を登記簿を閲覧・謄写することによって調べた上で実際に訪ねていく、さらには付きまとう可能性があり、セキュリティの関係上、真正面から変更登記をすることが果たしてよいのだろうかと考える事案に直面しています。このようなリスクを回避するために変更登記をしないということは認められるでしょうか。もし認められないということであれば、このような事案の場合は、つきまとわれないような強面の人に代表取締役社長を変更する又は代表取締役を置かない(取締役社長にする)等によるしかないでしょうか。
Posted by SMOKY at 2006年06月21日 17:34
A7
代表取締役の住所が変更したら、変更登記をしなければいけません。
また、代表取締役のない株式会社はありません。
代表者の住所を公示することは、現在の法人法制の基本的な枠組みであり、訴訟における送達場所の確保という点からも、過料を課すためにも、必要であるとされています。

Q8
【一般的な監査役会設置会社を前提として】
1) 社外監査役候補者≠社外監査役
2) 社外監査役候補者=規2条3項8号イ+ロの両方を充足することが必要
なお、ロでは、「法335条3項の社外監査役であるものとする予定があるもの」が要件の1つとなっている。
3) 法335条3項の規定:監査役会設置会社の監査役は「半数以上は社外監査役でなければならない」とされる
=この規定中「社外監査役」の定義は法2条16号にて捉えるとの理解でOKですか?そうすると、
ア)甲社では新任監査役としてA、B、C、Dの4名を選任することを予定
イ)4名全員が 法2条16号(←昨日はここを規則と間違って書込してしまいました)に定める社外監査役の要件に該当するが
ウ)Dについては、事業報告等にこれを表示する予定もなく、責任限定契約を締結する予定もない
=この場合に、法335条3項の社外監査役とする予定がないものとして、Dを社外監査役候補者としなくてもOKですか? あくまでも法2条16号の要件該当=社外監査役とすることになるのでしょうか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 21:01
A8
Dは、施行規則2条3項8号ロの要件を欠くので、社外監査役候補者ではありません。

Q9
個人的には、 社外監査役候補者・社外取締役候補者−株主の承認でランクアップ→社外監査役・社外取締役 と捉えていたのですが、規則で規定される候補者の定義のほうが、法で定める社外役員の定義より広く見えるんです。
千問の道標 Q409に「社外候補者として選任されなかった者も客観的に社外取締役に該当する者は社外取締役の登記が必要」とありますが、規則に基づき、社外候補者としなかったものであっても、会社法上は、社外取締役・社外監査役となるものが存在するとの理解でよいのでしょうか?
また、「責任限定契約を締結するのならば、その対象者を社外監査役として登記してください。」とご回答頂いていますが、会社法911条3項18号によると、監査役会設置会社では契約有無に関わらず社外監査役全員登記することになるとの理解でよいのでしょうか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 21:02
A9
社外候補者にするかどうかにかかわらず、客観的に法2条15号16号に該当すれば、社外取締役・社外監査役になります。
911条3項18号は、契約を締結したかどうかにかかわらず、最低限の員数の社外監査役については登記義務が生じるという趣旨の規定であり、必ずしも社外監査役全員を登記する必要はありません。

Q10
会社法による、機関設計の自由化なのですが、定款に定めることによって、会社の規模に関わらないで色んな機関を設置できるので
1)機関設計を変更する定款議案が総会で承認
(EX:会計監査人非設置→設置会社に変更)
2)期限・条件を付さない場合、決議時点で定款変更の効力発生
3)定款変更を行うのと同一の総会にて新しい機関設計に見合う承認を行うことが必須(EXでは、定款変更承認→会計監査人設置を上程)
という理解でよいでしょうか? そうなるんだろうなと思いつつ、期中に会社の機関設計が変わることに違和感があったりしています。
Posted by greenlemondrop at 2006年06月21日 22:18
A10
3の「新しい機関設計に見合う承認」というのは、なんでしょうか?
会計監査人を置く旨の定款の変更の決議と、会計監査人の選任の決議をすればいいと思うのですが?
ちなみに、定款変更は、「承認」するのではなく、総会で定めるものです。
  
Posted by masami_hadama at 01:16Comments(77)TrackBack(0)

2006年06月20日

電子債権

 本日は、法制審議会電子債権部会において、午後1時から午後7時まで、6時間にわたり審議があったため、心身ともに消耗しました。普通、審議会って2〜3時間ですが、この部会は別格。

 体力的にもきついのですが、内容も、債権総論と手形法を足して2倍複雑にしたような話しで、頭がウニになります。

 でも、知的好奇心は大満足です。
 電子債権は、柔軟性と法的安定性を両立させる工夫満載。
 使い方を知らなければ、せいぜい手形の代替物ですが、使いこなせれば、低コストで有利な資金調達手段をいろいろと開発できます。
 
 どこかの新聞社が「電子商取引によって生じた債権を管理する」みたいな記事を書いてましたが、実際は、全然違います。

 民間の管理機関のコンピューターで、原因関係から切り離された無因の債権の発生・移転などを管理させ、流通の管理や善意者保護について、当事者の意思で様々なオプションを付与することを認める。

電子債権とは、一言で言えば、そんな感じのものです。

 世界に例のない画期的な法律の立案に携わり、あれこれ知恵を絞るのは、本当に面白い。部会に参加されている先生方も、各界のエースばかりで、本当に勉強になります。

 夏ころには、中間試案が出せるといいなあと思っていますが、金融関係法に興味ある方は、ぜひ中間試案を読んでみてください。

 というわけで、今日は、頭が電子化しているので、会社法は、質問やっつけモードでいきます。

(質問コーナー)
Q1
昨日のA6-質問3(監査役設置会社の定義について)
Posted by df at 2006年06月20日 01:18
A1
要するに、「会計監査限定の定めがある会社でも、取締役会設置会社だと、監査役を置かなければならない会社として監査役設置会社になるから、おかしい」という質問でしょうか?
仮にそういう質問であれば、監査役を置かなければならない会社というのは、置かなければならないのに、置いていない会社のことだと読んでください。監査役を置いた上で、会計監査限定の定めを置いたら、取締役会設置会社でも、監査役設置会社にはなりません。
質問の意味を取り違えていたら、もう一度質問してください。

Q2
会社法370条の「同意の意思表示」については、371条1項に基づき、10年間本店に備え置く必要がありますが、「同意の意思表示」が、電子メールによりなされた場合、その電磁的記録を紙に印刷して10年間本店に備え置けば、その電磁的記録を消去しても許される(371条1項に違反しない)のでしょうか?
Posted by みひろ at 2006年06月20日 07:07
A2
電磁的記録で同意したものを、書面で備え置くのは、難しいですね。
でも、メールを印刷した書面で同意したということであれば、その書面を備え置けばいいです(笑)。分かりますでしょうか?

Q3.
利益相反取引について教えてください。
Q取締役兼務の場合、利益相反取引(直接取引)を行なうにあたり、取締役下記の承認を要する場合を図示すればどのようになりますか。
     甲会社          乙会社
C1.○代取A 取B 取C  ○代取A 取B 取C
…………………………………………
上記のうち、「取締役下記の承認を要する場合」とあるのは、「取締役会の承認……」の間違いです。また、表は、Qに対する回答(A)です(「A」の記載が抜けておりました)。
もしこれで意味が通じましたら、ご回答よろしくお願い申し上げます。お手数をかけて大変申し訳ありません。
Posted by パパ at 2006年06月20日 08:53
A3
すいません。他人の書いた表って、よく分からないので答えようがありません。

Q4
会社法200条1項と4項についてですが、例えば”當務式■措鏗式(優先配当・累積型)B種株式(優先配当・非累積型)という3種類の株式を発行していて( 銑のすべてが譲渡制限株式です)、自己株式として会社が所有している普通株式及びA種株式を処分(第三者に売却)する場合には、
(ア)株主全員(普通株主+A種株主+B種株主)による株主総会
(イ)普通株主のみによる普通株主種類株主総会
(ウ)A種株主のみによるA種株主種類株主総会
の3つの株主総会を開催しないといけないということなのでしょうか?
それで(ア)(イ)の総会では無事承認されたが、(ウ)の総会では否決された場合、普通株式は処分(売却)できるがA種株式は処分(売却)できない、という理解でよろしいのでしょうか?
Posted by ポケット at 2006年06月20日 16:10
A4
そのとおりです。

Q5
葉玉先生こんばんは、先日「社外監査役の選任」について質問された方がいたようなので、おそがけな上,かなり重複しますが、便乗させて下さい。 よろしくお願いします。
1)甲会社は監査役会設置会社
→法335条3項により半数以上は社外監査役であることが要求
2)監査役はA、B、C、Dの4名
3)4名中4名全員が 規2条3項8号(ロ)の要件に該当
の場合、
A)半数以上を社外とすればよいのでA,B,Cのみを社外監査役とすることでよいのでしょうか?
B)それとも、法335条3項に記載されている社外監査役は法2条16号の規定に該当するものとして考え、4名全員を社外とするのでしょうか?
また、根本的な話ですが、規則と法で要件に違いがあるのはなぜですか?
Posted by greenlemondrop at 2006年06月20日 21:27
A6
4名とも2条3項8号ロだけではなく、イの要件も充たしていることが前提ですよね。
その4名は、全員、社外監査役候補者に該当します。したがって、選任については、全員を社外監査役候補者として、開示・選任してください。また、4名とも責任限定契約を締結するのならば、4名とも登記してください。
 規則と法で社外監査役の要件は同じです。社外監査役と、社外監査役候補者・社外役員を混同されているのだと思います。

Q7
自己名義株式とはなんでしょうか。
A7
自己株式のことでしょうか? 自己株式ならば、株式会社が、自らの株式を保有している場合における当該株式のことです。

Q8
剰余金配当の請求期間を除斥期間3年と定款で規定することは、民法167債権の消滅時効10年との関係をどのように整理して考えればいいのでしょうか。
A8
そうですねえ。定款で定める除斥期間は、世界の七不思議なので(笑)、よく分かりません。

Q9
 多くの上場企業で、有価証券報告書を提出しているにもかかわらず、株主総会後の貸借対照表・損益計算書を日刊紙に公告しておりますが、これはなぜでしょうか?
Posted by ぺーぺー社員 at 2006年06月20日 22:38
A9
5月以降に日経新聞に貸借対照表等を載せたとすれば、それは、株主向けのサービスで、会社法上の意味はありません。
 ところで、ふと思い出したのですが、公告方法についての東証の規則は、今どうなっているんでしょう?

  
Posted by masami_hadama at 23:50Comments(79)TrackBack(0)

2006年06月17日

快復しました。

 昨日は、体調不良でご心配かけましたが、本日は、それなりに元気になりました。
 私の体調不良は、前日に会社法グループでタイ料理の店に行き、トムヤムクン・スープを気管に入れてしまい、涙が止まらず、死ぬほど苦しかったことが原因ではないかと推測していますが(笑)、睡眠をよく取った結果、快復したので、単なる寝不足であったという虞もあります。
 みなさん(特に論文試験を控えている受験生さん)も、食事と睡眠には気をつけましょう。

 追伸 ココペリさんがご推奨のミルミルは、高校時代から愛飲しているものです。ただし、私がミルミルが好きだと子供に言ったら、笑われたので、こっそり飲んでいます。
 

(質問コーナー)
Q1
来年の事業報告書で開示すべき役員報酬は、総会終了後から期末までの間に在任している役員に対する報酬ということで、総会終了時に退任した役員に支払った報酬については開示義務がなくなったとのことでした。
そうすると、退任役員に支払われる退職慰労金は、事業報告書では開示されないことになりますが、それでよろしいのでしょうか。会社法上作成義務のある他の書類で開示義務が課せられているのでしょうか?
総会の想定問答を考えていて、ふと疑問に思いましたので(これまでは、退職慰労金については来年の営業報告書で開示されます、といった回答だったため)ご教示願います。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年06月15日 16:04
A1

Q2
新株予約権の取締役への報酬としての付与に関して1点教えていただけませんでしょうか。T&Aマスターの161号6頁では、非公開会社のように信頼できる方法により価格を算定できない場合に限り361条1項2号、3号を利用できるとされています。これに対して千問の314頁では確定額の上限を設けない場合には361条1項2号、3号の決議が必要となるとされております。これは、T&Aの方は2号を利用することができるのが新株予約権の価値を算定できない場合に限定され、非公開会社でも公正価値の算定が可能であれば1号を利用しなければならないとされているのに対し、千問の方では会社において確定額の上限を定めないと判断した場合には2号を利用でき、公正価値の算定が可能である場合でも、会社の判断によって2号を利用できるようと読めます。両者で2号が利用できる場合について見解の相違があるように読めるのですが、いかがでしょうか。宜しくお願いいたします。
Posted by S at 2006年06月15日 17:52
A2
T&Aを確認しましたが、「非公開会社のように信頼できる方法により価格を算定できない場合に限り、361条1項2号、3号を利用できる」という表現は用いていませんでした。非公開会社のように公正価値が算定困難な場合には、2号3号でやることができるという趣旨の記載のはずです。1号3号でやるのか、2号3号でやるのかは、会社の判断次第です。

Q3
先生、ありがとうございます。
すみません、A3について、少々混乱しておりまして、追加で教えてください。
小会社特例を受ける会社が会社法施行前に資本が一億を越えていた場合には、整備法53条による定款の変更はなく、整備法76条やらによる定款の変更がある。従前の監査役に関しては小会社特例により権限が会計監査に限定されていた訳で会計監査に限定する旨の定款に定めがあった訳ではないと思いますが、その場合にも会社法施行日の整備法76条やらによる定款の変更が、会社法336条4項3号の”監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更”に該当する・・・ということなのでしょうか。
Posted by df at 2006年06月16日 01:44
A3
76条2項は、委員会設置会社以外はみな適用されます。
施行時において小会社特例規定の適用を受ける中会社は、中会社なので53条の適用はありません。
その結果、施行までは会計監査限定のみの監査役が業務監査権限のある監査役になります。
 dfさんのおっしゃるように、施行前には、会計監査限定の定めがあったわけではありませんが、小会社特例規定の適用により会計監査限定の定めがある場合と同様の状態で施行日を迎え、76条2項のみが適用されることにより、会計監査限定の定めのない監査役を置く旨の定款変更がされている(監査役の責任の加重が生じている)ことから、336条4項3号に該当すると考えています。

Q4
例えば、会社法施行後に株主総会決議に基づき定款を変更したが、整備法でみなされている部分について変更するのを失念していたとします。
(例えば名義書換代理人⇒株主名簿管理人への用語変更を失念していた等)
?その会社の定款は違法状態になるのでしょうか。
?それともみなされている部分は適法に存続するのでしょうか。
Posted by df at 2006年06月16日 01:44
A4
定款は、定款変更手続することなく、整備法により、変更されているので、違法状態はありません。当然、その定めは効力を有しています。
整備法によってみなされた定款の定めについて、書面としての定款を整備法のとおりに書き直すことは、定款変更ではないので、その手続きも不要です。

Q5
質問事項
私からの質問は、「取締役の報酬」についてです。
端的に質問させていただくと、
取締役の報酬について、本人の同意なく、株主総会の決議をもって、任期途中の職掌変更により著しく減額することは可能なのか?
Posted by ニート三郎 at 2006年06月16日 01:46
A5
できません。100問論点<575>を見てください。

Q6
代表取締役の選定決議に関し、下記のような決議が可能か否か等につき質問させて下さい。
1)甲社は取締役会設置会社である。
2)甲社では、今般代表取締役を改選を予定している。
3)改選されるの代表取締役はA・Bの2名
4)但し、Aの選定に付帯して、その任期を就任承諾の日〜本年9月末日までと限定する決議を行うことを考えている

→4)のような付帯決議の可否
→4)のような付帯決議が可能であるとすれば、その際の代表取締役の退任事由(登記原因)
A6
個人的には、当該附則は、代表取締役の停止期限付解職決議をしているように見えますが、登記原因と言われると、調整マターですね。

Q7
100のNo.34(会試昭和60年改)の解答例では、「株式会社は株主名簿に記載または記録された者を株主として取り扱えば免責される」効力(手形40条3項類推適用)を『確定的』効力と記述していますね。
旧商法の教科書を見ると、この効力は一般的に免責的効力と定義され、確定的効力とは、「株主名簿上に記載されているものだけを株主として固定する効力(権利創設効)」という別の効力として論じられていると思います。
そして、株主名簿が会社の事務処理の便宜を図ったものという従来の通説からすれば、かかる確定的効力は認められないとするのが一般的であったようです。
今回の会社法制定にあたり、この『名義書換えの確定的効力』は定義が変わったのでしょうか。
Posted by 葉山マリーナ漁業組合 at 2006年06月16日 16:02
A7
 確定的効力というのは、講学上の概念であり、条文をどのように説明するかというだけの話なので、定義が変わったという話ではありません。
 権利創設効を認めるかどうかは、古くから争いのある話で、株主名簿は対抗要件にすぎないので、そんなものはないというのが通説です。
 34は、免責的効力という意味で、確定的効力を使っていますが、気になるのであれば、免責的効力という言葉をお使いください。大事なのは、確定的効力の前に書かれている説明部分です。

Q8
「百問」P317の(3)で代表者の職務執行停止及び職務代行者選任の仮処分(民事保全法23条2項)とあります。
会社法352条では民事保全法56条に規定する仮処分により・・・とあるのですが、同条は仮処分等の登記の嘱託とあるので、「百問」に載ってる条文の方が正しいと思うのですが、法律が間違っているわけもないと思うので困っています。会社法352条はなぜ民事保全法23条2項に規定する仮処分により・・・となっていないのでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月16日 16:23
A8
民事保全法23条2項は、仮の地位を定める仮処分を行う一般的根拠となる規定なのですが、会社法ができる前から様々な調整が行われた結果、職務代行者の選任の仮処分を引くときは、「民事保全法56条に規定する」と表現することになっているのです。詳しくは、民事保全法の本を見てください。

Q9
「百問」P365の2(二)の4行目、株主が、配当により受領した金銭等の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負うことが規定されている。(461条1項)とありますが、462条ではないでしょうか?
Posted by 地方ロー生 at 2006年06月16日 18:23
Q10
そうですね。461条1項に加えて、462条1項を書く方が直接的だと思います。

Q10
葉玉先生、千問の道標Q396に社外取締役の選任に関するQ&Aがありますが社外監査役の選任について質問いたします。
施2条3項8号(イ)の要件に該当した上で(ロ)法335条3項(監査役会設置会社の監査役)に該当すれば社外監査役候補者になります。(施2条3項8号)
ここで、「監査役候補者が社外監査役の要件を満たす場合であっても、会社の側で特に社外監査役として何らかの効果を生じさせる意思がなければ、必ずしも当該者を社外監査役候補者とする選任議案を提出する必要はない。」という解釈は正しいでしょうか。
司法書士で「監査役候補者が社外監査役の要件を満たす場合は必ず社外監査役候補者としなければならない。(会社の意思がはたらく余地はない。)」と指導される方がいらっしゃるので質問する次第です。
Posted by 悩める法務部員 at 2006年06月16日 18:35
A10
その司法書士の指導は間違いです。
ロの要件を満たさなければ、社外監査役候補者とする必要がありませんし、社外監査役として登記する必要もありません。

Q11
『千問の道標』ようやく、今朝入手いたしました。
(1)図表リストを、目次のあとに入れてください。使い勝手が、今以上によくなります。
(2)P.163のQ218のA部分の「157条1項の規定よる」は「157条1項の規定による」の校正ミスではないですか。
(3)Q23のAの,髻崢蟯召稜Ь擇亮蠖料」とすべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、Q35のAについても、同様と考えますが。
A11
(1) 実は、私も、欲しいなと思っていたところです。でも、ちょっと無理かも。
(2) ご指摘ありがとうございます。
(3) 確かに、,蓮印紙税だけでなく、定款の認証手数料を加えるべきですね。法律に例示している方をあげるのを忘れていました。

Q12
Q100のA1について確認させてください。
3行目の「次の数の合計数を超えてはならないこととしている。」は「超えていなけければならない」の誤りでしょうか。
Posted by 会社法好き at 2006年06月15日 12:08
A12
おしゃるとおりです。114条2項の条文と主語を入れ替えたのに、述語をそのままにしたミスです。下の算式が、正解です。

Q13
来年の事業報告書で開示すべき役員報酬は、総会終了後から期末までの間に在任している役員に対する報酬ということで、総会終了時に退任した役員に支払った報酬については開示義務がなくなったとのことでした。
そうすると、退任役員に支払われる退職慰労金は、事業報告書では開示されないことになりますが、それでよろしいのでしょうか。会社法上作成義務のある他の書類で開示義務が課せられているのでしょうか?
総会の想定問答を考えていて、ふと疑問に思いましたので(これまでは、退職慰労金については来年の営業報告書で開示されます、といった回答だったため)ご教示願います。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年06月15日 16:04
A13
 この時期に、その質問に答えるのは、大きな影響がありそうなので、今の段階では答えられませんが、何らかの形で事業報告に書くべきです。

  
Posted by masami_hadama at 00:55Comments(81)TrackBack(0)

2006年06月16日

やや調子悪いです。

 今日は、最近の疲れが出たのか、体調不良で一日寝てました。
 しかし、夜やるべきことがあり、それはやり遂げたんですが、精魂尽き果ててしまいました。ですから、今日は質問をやっつけるだけにします。
 千問についての質問もいくつか頂いたのですが、手元に千問がないので、明日確認の上、お答えします。

(質問コーナー)
Q1
旧商法時代からの小会社の監査役に業務監査権を付与することを考えています。
この場合,会社法336条4項3号の適用があり,定款変更の効力発生時に現監査役は退任するため,監査役の選任議案を総会に出す必要があると思われます。
定款変更は,その議案が総会で承認された時に効力が生しますから,定款変更決議から監査役選任決議までのタイムラグが生じることを避けるためには,定款変更のうち,業務監査権限付与に関する規定だけは,効力発生を総会終了後とすべきかと思いますが,この理解でよろしいでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年06月15日 09:14
A1
そうですね。厳密にタイムラグを作りたくなければ、それでよいと思います。

Q2
新株予約権の取得−消却と消滅の関係につきお伺いします。
旧商法下で発行した新株予約権の消却の条件として「新株予約権者が権利行使の条件を満たさず新株予約権の全部または一部を行使できなくなった場合には、取締役会の決議をもって当該新株予約権者の有する新株予約権を無償で消却する。」と定めております。これは経過措置政令第13条により、新株予約権の取得条項とみなされており、会社法第236条第1項第7号イに該当するものと考えます。
会社法第275条第1項により、会社法第236条第1項第7号イの事由が生じた日に、当該新株予約権を取得します。
一方で、会社法第287条には、「新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅する。」とされております。
同じ引き金で適用され得るどちらの条文を優先させることになるのか悩んでおります。
会社法第275条第1項が優先されるのであれば、「条件成立により取得してしまうのだから、当該新株予約権者が有する消滅すべき新株予約権は存在しない。」でしょうし、
会社法第287条が優先されるのであれば、「条件成立により当然に消滅してしまうのだから、なくなったものを取得することはできない。」と読むのでしょう。
また、蛇足ですが、会社法第280条第6項で「株式会社は、自己新株予約権を行使することができない。」とされていますが、自己新株予約権を有する株式会社は、会社法第287条の「新株予約権者」にはあたらないのですね。
似たようなQ&Aはありましたが(5月26日ご回答、6月8日ご回答)、もう一度ご教示いただけないでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by Junior Comptroller at 2006年06月15日 13:25
A2
あらゆる人が行使条件を満たさない状況になったら、消却をすることなく、消滅します。
Aさんは、行使条件を満たすことはできなくなったが、Bさんが取得したら行使条件を満たす場合があるという場合には、消滅はしません。
消滅したものは取得することはできませんから、あえて言えば、287条で消滅するかどうかが優先するのですが、「行使できなくなったとき」ということの意味を正確に判断するのが大事です。
A3
Q.整備法76条や、53条の定款のみなし規定は、336条4項の”定款の変更”に該当するのでしょうか。

<質問の理由>
4/12のQA12や4/22のQA3及び、「会社法施行前後の法律問題」でいう監査役の任期の満了が
・会社法336条に基づくものか、
・その立法趣旨を踏まえた解釈によるものなのか
を伺いたくご質問させていただいた次第です。
Posted by df at 2006年06月15日 13:58
A3
みなし定款変更規定による定款の変更も336条4項の「定款の変更」に該当します。

Q4
整備法98条1項の「発行の決議」は、譲渡制限会社の旧商法280の5の2及び同280の27の決議を含まないのでしょうか。(有利発行のための株主総会決議が含まれることは「会社法施行前後の法律問題」に明記されているのですが)
Posted by sk at 2006年06月15日 18:39
A4
旧商法280条の5の2等が行われた場合も整備法98条1項の適用があると思います。

Q5
当社の会計監査人は中央青山なのですが、今年6月の総会において、中央青山を会計監査人として自動的に再任し、(7月1日からの資格喪失を経て)9月1日に中央青山を正式な会計監査人として予め選任しておく予定です。そして7月1日以降、一時会計監査人を選任するのですが、9月1日に中央青山が復活したときの一時会計監査人の扱いはどうなるのでしょうか。
旧商法では、一会計監査人を選任した次の株主総会の時に正式の会計監査人が選任されると、一時会計監査人は自動的に退任となる内容となっていました。
このようにみると、株主総会で、一定の時期になったときに中央青山を再選することを予め決議した場合、その時期がきたら一時会計監査人は自動的に退任となるように思われます。
ですが、登記においては、一時会計監査人を選任した場合も登記する必要があるとのことです。
さて、その場合、一時会計監査人が退任することとなってもやはり退任の登記が必要になるのでしょうか。
A5
問題意識がつかめませんが、一時会計監査人が選任されたとき、及び退任したとは、どちらも登記が必要です。

Q6
A社は株主のB社の製品を仕入れ、卸売り、販売業務をする会社。A社は株主のB社の所有する土地で営業を行っています。当該土地を使用するにあたり、土地賃貸借契約をB社と結んだが、賃貸料に係る条項がない。B社は土地賃貸料について、値上げを希望。また、新たにB社で代表取締役を務めているXさんがA社の取締役として選任される予定。
そこで、
。悗気鵑A社の平取締役となった場合、利益相反取引が成立するか?
△修両豺隋
a)その根拠となる条文は、会社法の条文は何条か。
b)取締役会に賃料値上げに係る議案を設け、承認を得る必要性は発生するか。根拠条文は。また、決議方法は会社法や取締役会規則の決議方法に従うのか。
c)承認の場合、賃貸借契約は新たに結ぶ必要はあるか。
A6
 問題の中の、主語が省かれている部分が多く、やや意味が取りにくいです。
 ,蓮■悗A社の平取締役になること自体は、取引じゃないですよね。取締役就任前に締結された契約が、事後的に利益相反取引になったりもしません。
 とすると、XがA社の平取締役になった後に、A社とB社代表取締役Xが締結する契約が利益相反取引になるかという問題でしょうか。A社の平取締役であるXは、B社という第三者のために代表取締役として、A社と契約をするのですから、A社との関係で利益相反取引になりますね(365、356)。
 A社も、B社も、業務執行の決定ですから、契約について取締役会の決議を得るのが原則です。A社は、利益相反取引ですから、A社は取締役会の専決事項、B社は、取締役に委任することもできるのが通常でしょう。
 決議方法についての質問は、意味が分かりません。
 承認の場合、賃貸借契約は新たに結ぶ必要があるかというのも、意味が分かりません。取締役会の決議は内部の意思決定の問題、賃貸借契約は、A社とB社の契約問題ですから、契約内容を変更する以上、新たな契約が必要でしょう。

Q7 
 改訂版を早く出したいといわれると、自分が勉強しているこの部分がまさにその改定をしたい部分なのではないかという恐れを抱くことがあります。具体的に、なくなる箇所があるのであれば、先に教えていただきたいです。
 また、勉強の姿勢に関しての質問なのですが、いわゆる予備校本にはウソが紛れ込んでいるという話をよく聞きます。どのように見分けて勉強をしていけばいいのでしょうか。
Posted by さとじゅん at 2006年06月15日 21:05
A7
 法律の世界で、完全主義は、よくありません。
 会社法100問の中で、理解して無駄になることはありませんから、心配せずに、まず目の前のものを理解しましょう。
 予備校本に限らず、どんな本にもウソ・間違いはあります。
 ある程度信頼できる教科書を見つけたら、ウソかどうか気にせず、全面的に信じて理解に努めましょう。
実力もないのに、自分でウソを見分けるようとするのは、無駄な努力です。しかも、疑いながら本を読むと、吸収スピードが落ちますので、よくありません。
 そして、その本をもとに、択一や論文で自分の知識をアウトプットすること。それにより、本の中のウソが分かってきます。そのとき修正すれば十分です。
 どうせ試験で100点取れるわけではないし、全部が全部完璧に覚えることができるわけでもないので、信頼性の高いという評判の本であれば、全面的に信頼して勉強しましょう。


  
Posted by masami_hadama at 01:04Comments(69)TrackBack(0)

2006年06月14日

観戦する気力が・・・

通りすがりさんから
>観戦か、不合格かのどちらかを選んでください(笑)。
>では、当然「観戦」を選びますよね
>おそらく「観戦か、合格か」の間違いだと思いますが・・・
というコメントを頂きましたが、まさに、そのとおり。謹んで訂正します。
 ただし、もう観戦をする気力のある受験生は、減ってしまったかも・・・。
 会社法グループも、本日は、意気消沈のあまり、仕事の効率が90%ほど低下していました(笑)。
 本日は、記事を書く気力もオーストラリアに持って行かれましたので、質問コーナーだけにさせていただきます。

(質問コーナー)
Q1
そもそも、「業務」および「職務」はそれぞれ何を指すのでしょうか。
当社の取締役が、他社の社外取締役に選任された場合、その者が業務執行取締役である場合は来期の事業報告に記載しなければなりませんが、「業務執行取締役」とは?「というところでつまずいております。
A1
業務と職務の違いについては、千問のQ398を参照してください。
業務執行取締役については、千問のQ397を参照してください。

Q2
特例有限会社から株式会社への商号変更について5月19日付Q10の回答で代取の予選について、商号変更後も、非取締役会設置会社のままであればできると解しますが取締役会設置会社になる場合は、できません。取締役会で選定する必要があるので。とのご回答でしたが、代取の選任に付取締役の互選による旨の規定を置いていた特例有限会社が、引き続き互選による規定を置いた場合に商号変更と同時に全員任期が満了し、全員改選した場合には商号変更総会後の取締役(再任新任取締役)の互選によっては、やはりできませんか? 登記が効力要件だから仕方ないのでしょうか。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年06月13日 01:39
A2
すいません。ちょっと事例設定が分かりにくいのですが、「互選で代取を選定する旨の定めがある会社で、商号変更の登記前に、取締役の互選によって、代取を選任することができるか?」という問題でしょうか?

Q3
仮会計監査人は監査役(会)が選任します(会社法346条4項・6項)が、会社と仮会計監査人との(準)委任契約は、代表取締役が業務執行として締結するという理解でよろしいでしょうか。監査役(会)が、仮会計監査人の報酬等について、同意権しか有していない(会社法399条1項・2項)ことを考えると、そのように理解するしかないように思いますが。
Posted by FK at 2006年06月13日 05:42
A3
 委任契約の締結は、代表機関が行います。

Q4
会社法第204条は、第202条5項で除外されてないこと、第204条4項は株主割当の場合の失権についての規定であることから、株主割当方式の場合にも適用があると思っておりました。要は1人株主のため、会社からの申込通知、株主からの引受申込、会社の割当決定、割当て通知(最後の2つは適用無いわけですね?)を、募集株式の総数引受契約で一括処理しようとしているだけなのです。
あまり意味のない手続方法をとろうとしているのかもしれませんが、203条の手続に代えて総数引受契約によることはできるということでよろしいですね。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月13日 10:42
A4
多分、その総数引受契約は、会社法上の総数引受契約ではありませんが、203条の要件を充たすならば、形式はどんな形式を取っても可能です。

Q5
1000問のQ180(基準日株主を害する場合)に関してご教授下さい。
1の読み方が良く分からないのですが、これは例えば、基準日株主がA・Bと2名存在したとして、基準日後にAが保有する株式をCに譲渡したとします。この場合、基準日後の株主(C)の議決権行使に同意を与えるのはAのみで良いという意味なのでしょうか?それともA・Bの両方の同意が必要という意味ですか?
A・B両方の同意が必要とした場合、手続きに関しての規定が無い(?)ので、会社がA・Bに確認を取るとかで可能なのでしょうか?それとも総会決議みたいなものが必要となるのでしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年06月13日 10:55
A5
Aの同意のみで足ります。

Q6
100問(23)のp129において、「株式の内容自体について株主平等の原則は直接適用されるものではない。」という記述があります。この内容を見ると、「株主平等というのは絵に描いた餅なのだろうか」というような漠然とした疑問が出てしまったのです。感覚的でしかないのですが、憲法の法の下の平等で出てきた立法者非拘束説のような考え方のような気がしているのです。しかし、株主平等原則は会社法上の制度であり、108条が内容の異なる種類の株式が存在するい制度を設けているわけですから何から何まで平等に取り扱うことを定めるものではなく、制度の構造からする限界?がるのは当然であると理解しておけばよろしいのでしょうか)。
Posted by SMOKY at 2006年06月13日 14:40
A6
質問が漠然としているので、答えにくいのですが、何でも109条1項だけで株主を保護しようとするのは無理であり、109条2項やその他の規定で株主平等の原則を図ればよいということだと思います。

Q7
決算公告についてご教授ください。
3月決算の会社が昨年の10月に減資を行い、大会社から小会社となりました。この会社の計算書類は旧商法特例法に基づき大会社として作成していますが、今年6月の株主総会で計算書類の承認を受け、計算書類が確定すると、この会社は小会社に該当することになると考えます。そうすると会社法440条1項により株主総会後に決算公告しなければならないものは、小会社に該当するのでB/Sだけとなるのでしょうか?それとも、P/Lについても公告しなければならないのでしょうか?
よろしくお願いします。
Posted by 法務課員 at 2006年06月13日 14:43
A7
会社法では、小会社はなく、非大会社ですが、公告の時点で非大会社になっている場合には、貸借対照表のみ公告すれば足りると思います。

Q8
新株予約権の行使に際して増加すべき資本金等増加限度額の算出方法(会社計算規則第40条)について質問させてください。
 々垰隼における当該新株予約権の帳簿価額
   +
◆(Гすみ又は給付を受けた金銭又は財産の価額の
  合計額
の部分の,砲弔い討
(A)自己株を発行した場合についてだけ該当するのでしょうか。
 それとも、
(B)新株予約権の発行価額がある(無償でない)場合に該当するのでしょうか。その場合、資本金等増加額なので、資本金と資本準備金が増加するということでしょうか。
予約権行使にあたって、会社が自己株を発行することもなく、予約権は無償で発行していた場合は、,砲弔い討錬阿箸いΔ海箸任茲蹐靴い任靴腓Δ。
会計基準がよくわからない法務関係者ですので、ご教示ください。
Posted by 法務関係者 at 2006年06月13日 15:44
A8
すいません。(A)(B)の意味がよく分かりません。
,猟∧躄然曚蓮発行時の払込価額ではありません。無償発行をした場合でも、価値がある場合には、帳簿価格は0にはなりません。千問Q357

Q9
「目的の営利性」については,2月以降の民事局商事課関連の説明では,営利性も審査の対象になるといった説明がされているように思われます(その後,変更があれば別ですが)。2月に商事課長が講師をされた説明会では,「目的の適法性,明確性,営利性については,施行後も考慮要素として維持する」と記載されたレジュメが配布されています。また,先日行われた商業登記実務セミナーでも,商事課局付検事の方が同様のことをおっしゃっていたように記憶しております。
「考慮要素」というのと「審査の対象」とでは異なるのかもしれませんが,上記の商事課の説明がまだ生きているのだとすると,登記官もそれにしたがって審査を行うので,目的についてドグマティックな解釈は事前規制として維持されてしまうように思われます。
商事課も現在では同様の見解に立っているのでしょうか?それとも商事課は法務省に属さないようになってしまったのでしょうか?
なお,公証人連合会のサイトでも「目的の記載については,従前どおり適法性,営利性及び明確性が必要とされる」とされております。http://www.koshonin.gr.jp/tei.html#17
これでは,少なくとも株式会社の設立では,事前規制が強く働くことになってしまうと思われます。
実務上,公証人・登記所と依頼者の間にあって「困ってしまうなー」,というのが今の感じなのです。
管轄外のことかもしれない点ですが,よろしくお願いいたします。
Posted by たつきち at 2006年06月13日 18:06
A9
 寄付しか目的としないような場合は、株主に対する利益分配すら不可能であるという意味で営利性は考慮要素になるかもしれません。
 しかし、複数の事業目的の中に、寄付という目的が含まれている場合には、その目的を否定する理由は何もないはずです。
 登記の審査は、具体的なケースごとに判断されるものですから、ここで一般論を述べることは避けますが、法務省内の意思の不統一ということはないはずです。
 個別に「この目的はどうだろうか」ということは、法務局に相談してください。もっとも、法務局の人も人間なので、すべてに精通しているとは限らないので、仮に、けんもほろろな態度を取られたら、また相談してください。
 公証人の認証で、もめた場合も同様です。

Q10
葉玉先生は以前の任務懈怠責任(3)の記事で、『個々の取締役の主観的事情である「故意・過失」は、取締役が立証責任を負うという整理をするのが、健全な実務であるように思います』とおっしゃられているのですが、任務懈怠と過失を二元的に考える立場からすれば、任務懈怠の立証責任が会社と取締役のいずれにあるのかとは関係なく(つまり、423条3項による任務懈怠の推定とは無関係に)、常に取締役側に無過失の立証責任があると考えてよろしいのでしょうか?
私見は上のように理解していたのですが、神田先生の『会社法[第8版]』213頁には、「利益相反の場合には、決議に参加した取締役は、任務懈怠が推定される(423鍬。過失の立証責任の転換)。」との記述があります。
神田先生が一元説の立場を採用されているのであれば理解は可能なのですが、その他の叙述を読む限りそうとは読めないので、任務懈怠の推定と過失の立証責任の関係がわからなくなってしまった次第です。
また、上とは別の質問ですが、二元説からすると、経営判断の原則が適用されるのは、任務懈怠と過失と、いずれの判断においてなのでしょうか?取締役の主観を問題とする以上、過失の判断になじむと思いますが・・・。
Posted by Gus at 2006年06月13日 18:18
A10
「過失」という言葉の問題に過ぎないと思いますが、二元説に立つと、「過失」には、客観的過失(任務懈怠)と主観的過失があり、前者は、原則として会社が主張責任を負うが、後者は取締役が無過失の立証責任を負うと考えればよろしいのではないでしょうか。
いわゆる経営判断の原則は、任務懈怠の問題だと思います。

Q11
100問394頁に、「公正な価格とは合併による企業価値の増加を反映した…」とあります。
ブログでいえば、無欲さん、強欲さん、闘争欲さんの3人にとって、公正な価格は、合併自体に反対の場合と、そうでない場合(合併することについてはどうでもいいけど、価格が不満だから)で異なるのでしょうか?
つまり前者の場合(お金の問題ではないのよ!合併するのが嫌なの)は、合併による価値の増加は考慮されないところの「公正な価格」になりますか?
また、3人の立場が同じとして(3人とも前者又は後者のいずれか一方に属する)、価格が10万円50万円30万円と異なる場合、「公正な価格」は、どれになりますか。よろしくお願いします。
Posted by 江崎一恵 at 2006年06月13日 18:37
A11
公正な価格は、反対したかどうかとは関係なく、客観的に定められます。ただ、価格というのは、評価が難しいので、協議で価格が決まれば、それが公正な価格ということになるということでしょう。

Q12
A社(親会社)がB社(子会社)の計算でした利益供与(120条1項)についてお尋ねします。旧商法では、A社において不当な財産の流出はないから、A社の取締役は、A社に対し旧商法266条1項2号の責任は負わないが、同5号の一般的な責任は負うと理解されていたと思います。しかし、新・会社法100問と千問のいずれにおいても、A社の取締役は、A社に対し、旧商法266条1項2号に相当する会社法120条4項の支払義務を負うとされています。会社法においては、旧商法のような理解(会社法に焼き直すと、会社法120条4項の責任は負わないが、会社法423条1項の一般的な責任は負う)は、成り立ちえないものでしょうか。
Posted by 旧商法から来た男 at 2006年06月13日 18:49
A12
成り立ちえない解釈というのは、存在しないでしょう。
120条4項は、子会社の計算でした利益供与を除外していませんが、制限解釈をすることも可能かも知れません。私は、そのような理解はしていませんが。

Q13
取締役の報酬は、なぜ上限枠を一度株主総会で決議すれば、以後、総会のあらためての承認は不要という実務になるのでしょうか?
承認をした時の株主と、それ以後の株主は、必ずしも同じ構成というわけではなく、不当に高い額だと思う後の株主もいるだろうと思うのです。
総会に変更議案を出せる株主なんて限られてくると思いますし、枠取りさえしてしまえばいいという実務に若干疑問を抱きます。
Posted by ぺーぺー法務員 at 2006年06月13日 21:16
A13
おっしゃることは正論です。昔、どこかの偉い人がそういうもんだと言って、実務に定着しているから、今となっては、仕方がないということでしょうね。

Q14
中間配当は定款に記載されていれば、取締役決議で行えるのに対し、期末配当は、利益処分案(会社法:株主資本等変動計算書)で株主総会の承認が必要とされているのですが、同じ剰余金処分でも、時期によって承認の要否が異なるのはなぜでしょうか?
私見では、上限枠は法定されており、あとは総額が低い場合に、株主が総会で異議を唱えることが可能なような設計にされているのか、と考えましたが、いかがでしょうか。
Posted by ぺーぺー法務員 at 2006年06月13日 21:17
A14
原則は、総会で決めるのですが、総会を開くのは大変なので、取締役の欠損てん補責任を負わせることで、取締役会の決議で中間配当をしてもいいことにしたという旧法を引きずっているものです。
 なお、株主資本等変動計算書の承認は、剰余金の配当の決議は別です。また、上限額の法定という話は、ちょっと違うような気がします。

Q15
募集社債の発行に関する取締役会決議についてご教示ください。必ず表面利率のある普通社債のみの発行を認める場合において、応募者利回りの上限を定め、取締役に委任するときには、その「応募者利回りの上限」は、利率に関する事項の要綱であると同時に、払込金額に関する事項の要綱でもあるという理解でよろしいでしょうか。それとも、「利率の上限」のみを定めたものということでしょうか。
*千問の道標(625頁)では、「利率の要綱と払込金額の要綱を関連付けて規定し」とありますが、これは「割引発行とするかどうかを取締役に委ねる」ことが前提になっているところ、「割引発行」は利率がゼロの債券の発行をいうのが通常であり、利率がゼロでない債券の発行の場合にも、同じ考え方でよいのが疑義が生じたため、確認をさせていただきます。
Posted by TO at 2006年06月13日 23:36
A15
 応募者利回りの上限だけですと、利率に関する事項の要綱と解釈するのが素直であるように思います。

Q16
6月1日のご回答では、「利率を付する場合も想定されるならば、利率に関する事項及び払込金額に関する事項を渾然一体として、要綱を定めることも可能です。」とありますが、この「利率を付する場合も想定されるならば」というのは、千問の道標の「割引発行とするかどうかを取締役に委ねるときは」ということと同じ意味でしょうか。
 「利率を付する場合」しかないのであれば、割引発行とはいえず、「利率に関する事項及び払込金額に関する事項を渾然一体として、要綱を定めること」はできないのでしょうか。
Posted by TO at 2006年06月13日 23:37
A15
 会社法は、利率に関する事項と払込金額に関する事項を定めろと言っているだけなので、どんな場合でも、渾然一体として、要綱を定めても構いません。

Q16
「株式の胎児」の譲渡について,質問させていただいてよろしいでしょうか?
ブログには,「株式の胎児」の譲渡として,
ヽ篥後,出資の履行前の譲渡と,
⊇仍颪陵行後の譲渡
が挙げられています。
ところが,条文を見ると,設立時募集株式引受人の⊇仍駘行後の譲渡に対応する規定(50条2項に該当する規定)が,102条付近に見当たりません。これは,50条2項が,設立時募集株式引受人の出資履行後の譲渡にも適用されるということでしょうか?
また,従来「権利株」といわれていたものは,上記´△里い困譴睚餞泙垢襪塙佑┐討茲い里任靴腓Δ?
A16
すいません。50条2項に相当する規定が、引受人について、存在しないのは、問題であることは認識しております。実際の事例ではほとんど考えられないと思いますが、解釈上、譲渡しても会社に対抗できないものとしておく方が無難です。

Q17
 『100問』の133頁(25 株式譲渡自由の原則)に,株券発行前の譲渡に対する制限は,会社との関係では効力が生じないと書かれています。この説明を読んで,「なるほど!」と思った(条文上も,あえて「効力を生じない」と規定されている以上,「対抗できない」と解するのは不自然)のですが,株券発行会社においては,「株式の胎児」の譲渡については,当事者間の意思表示のみで譲渡の効力が生じるのでしょうか?
 設立段階で何ら書き分けられていない以上,「株式の胎児」については,株券発行会社でも等しく意思表示のみで譲渡可能とも考えられるのですが,そうすると,会社が成立した瞬間に意思表示による譲渡が認められなくなるということになりそうですが,それでよいのでしょうか?
Posted by ボン at 2006年06月11日 22:11
A17
 株式の胎児は、いまだ株式ではなく、意思表示のみで譲渡の効力を生ずるが、対抗要件を備えるすべがないというところでしょう。

Q18
 さて,本日は,株主の間接責任についてお尋ねしたいことがあります。
 従来,株主の間接責任については,「会社債務について,出資者個人が何ら関わり合いを持たずにすむようにしたい」という出資者の利益からの説明がなされてきたように思います。
 しかし,出資者個人が,会社債務についての関わり合いを断ちたいというのであれば,設立時に自ら全額の履行さえすれば,以後,会社債権者から直接請求されることはないのでは?とふと思いました。
 私には,間接責任は,一々直接多数の株主に対して支払請求をするのは効率的でなく,また,株主の無資力を会社債権者が負担することにもなるため,会社債権者の利益から制度化されたものだという理解がしっくりきます。そのように理解すると,小規模な会社形態を予定する合同会社についても,設立時の全額払込み→間接責任を要求した制度の説明がつくのではないでしょうか?
 以上の理解を前提にすると,合資会社の有限責任社員が設立時の全額払込みを要求されない(つまり間接責任ではなく,直接責任である)のは,事業の遂行に応じて適宜出資を履行すればよい無限責任社員との均衡からだと理解できると思います。
Posted by ボン at 2006年06月12日 21:30
A18
 なんとも答えにくい質問ですが、大事なことは、会社法では、株式は打ち切り発行しかないため、払込をしていない引受人は、株主になれないということです。
 つまり、間接有限責任とは、名ばかりで、実は、株主無責任を定めているにすぎません。
 それを前提にすると、ボンさんの説明は、ちょっと違うような感じがします。

Q19
電子公告制度についてお教え下さい。
電子公告期間中にやむを得ない事由により公告の中断が生じた場合、中断時間が全体の10分の1を超えなければ追加公告で対応可能ですが、10分の1を超えてしまった場合はどうなりますか?公告期間を、中断が全体の10分の1を超えないレベルになるように延長すれば良いでしょうか?
公告期間と公告事項の効力発生日の間に余裕が無い場合は、公告期間の延長=効力発生日の変更=公告内容の変更となってしまうので、新たな公告としてやり直しが必要になると思います。一方、余裕もって公告を開始しており、公告期間を延長しても効力発生日等の公告内容が変更にならない場合、いかがでしょうか。
Posted by 法務ヘルパー at 2006年06月09日 18:46
A19
公告内容を変更した場合はやり直しですね。
公告内容が変更されていない場合には、公告期間の延長してもよさそうな感じもしますが、調査機関の関係があって、うまく行くかどうか疑念のあるところです。

Q20
効力発生日を変更して公告し直す場合ですが、効力発生日が取締役会で決議する内容に含まれているものの、この変更のためだけに臨時取締役会を開催するのは避けたいと思っています。そこで当初の取締役会決議の段階で、このような事態による効力発生日の変更については代取に一任するとして決議しておいて、代取に変更の判断をしてもらうことは可能でしょうか?
Posted by 法務ヘルパー at 2006年06月09日 19:29
A20
それは、公告の問題ではなく、委任一般の問題であり、法律上、効力発生日を委任することができない場合はダメで、効力発生日を委任できる場合は可能ということでしょう。

追伸
内藤卓さん
 こちらこそ、記事を引用させていただきありがとうございました。
私も、むやみやたらに従来の解釈を変えようという気持ちはありませんが、会社法は、あまりにも変化が大きいため、従来の解釈のよりどころになっていた規定が変容していることがほとんどで、なかなか従来どおりにといかないところです。
 決して内藤さんをドグマチックな人であると申し上げたわけではなかったのですが、お気を悪くされたら、申し訳ございませんでした。

  
Posted by masami_hadama at 01:48Comments(67)TrackBack(1)

2006年06月10日

問いを見つける試験

 択一合格者の皆さんは、まさかワールドカップなんか見てないでしょうね。
 これからの約1か月半は、1日の体のリズムを整えるため、論文試験当日と同じように寝起きするのが大事。
 特に、毎晩、午前2時〜3時と遅い時間まで起きていると、本番前日で緊張が増したときは、確実に寝付けなくなりますから要注意です。
 今年は、ドイツ開催のため、受験生が見てはいけない時間帯にしか試合がありませんので
 観戦か、不合格か
のどちらかを選んでください(笑)。

 毎日、睡眠前にガーッと暗記ものをやって、頭が疲れて眠くなったところで、すぐ寝るというパターンを繰り返していると、同じパターンで本番前も眠れますので、試してみてください。経験上、知識は寝る前に勉強した方が頭に残るような気がします。

 さて、今日は、択一合格者のために、論文試験合格のための戦術を指南いたします。

 論文までの時間は、長いようで短く、短いようで長いものです。

 まず、自分の目の前にスケジュール表を広げて、朝6時起床、夜12時就寝とし、さらに、答練の日・模試の日等既に埋まっている予定を書き込んでください。
 そうした上で、空き時間を数えて、6科目で割ると、多くても1科目40時間〜60時間程度ではないでしょうか。
 60時間というのは、3時間1コマの講義を10回分、答案練習を30問解けば終わりという程度の時間に過ぎません。

 ですから、すべての科目を一から嘗めるように勉強する時間はないことを前提に
「自分の力を信ずることができる分野については、勉強時間を削り、自分の力を信ずることができない分野に勉強時間を割り振る」
ことができなければ、すべての分野で中途半端な状態で、本試験を迎えることになdります。

 「自分の力を信ずることができる」状態というのは、
 「俺って天才だから、ノー勉で論文合格できる。」
という根拠のない自信を持っている状態ではなく、
 「この論点だったら、本試験でスムーズに書ける」
ということが、答練やノートのチェック等を通じて検証されているという意味です。

 もし、自分が、これまでノート等にまとめてきた論点について、この検証をしていないのであれば、とりあえず6日間で6科目全部について、「書けるか、書けないか」の検証をしてください。
 実際に書いて検証しようとする、とても時間がかかってしまうので、論点名だけを見て、口頭で論証の流れとキーワードを言うことができるかどうかだけチェックしても結構です。

 このようなチェックを通じて「自分の力を信じることができる」部分が分かったら、その部分は、最低限の記憶喚起のためのチェック以外はやらないと決めます。これは、勇気のいることですが、どこかを削らなければ、時間は生まれてきませんから、勇気を振り絞りましょう。

 では、こうやって作り出した時間を、何に使うのか?

 一番良くないのは、「見たこともないような問題が出たら困る」という恐怖感から、勉強したことのない領域を新たに勉強しはじめることです。

 本試験は、あなたが知らない問題が最低3割は出ます。これは、あなたが、どれだけ勉強しても同じです。
 また、直前になって全く新たに勉強した知識は、自分で分かったつもりになっても、本番では書けません。
 択一合格者が、この1か月半で目指すべき目標は
(1)自分がこれまでに得た知識を自由自在に使えるようにすること
(2)分からない問題を、条文とその趣旨から考えて書く能力を身につけること
だけです。

 この目標を達成するためには
(1)「自分の力を信じることができるか」チェックで、×がついた論点については、繰り返し、チェックをし、×がなくなるようにする(特に「条文の趣旨」は確実に言えるようにする)
(2)沢山の問題を答案構成する(何条の、どの文言が、問題文のどの事実との関係で問題となるか、を書き出す)
ことが極めて重要です。

 答案も1日1問は書いて欲しいと思いますが、答案構成については、1問10分〜15分で、毎日最低15問はやるべきだと思います。
 7月になれば、もっと増やした方がいいでしょう。

 なぜ答案構成が、そんなに重要かというと
(1)問題の分析ができずに、条文や論点を見つけられなければ、個別の条文や論点をどれだけ知っていても何の役にも立たない

(2)逆に、問題になる条文や文言さえ見つけられれば、条文と趣旨を書いた上で、もっともらしい考えを述べることができる
からです。

 論文試験は、択一試験と違って、これという正解はありません。しかし、問題文の中に秘められた沢山の問を発見し、その問に自分の考えを述べることは要求されます。

 言い換えれば、択一試験が「答え」を見つける試験だとすれば、論文試験は、「問い」を見つける試験なのです。

そして、その問いは、問題文に対し条文を適用するプロセスから発見されるものであり、この発見の能力は、反復練習により身につける以外に習得の方法がありません。

 予備校講師時代の経験に照らして言えば、直前期になって、重判とか百選の事例にヤマを張る人も多いのですが、たまたま、それが本試験にでても、そういうヤマ張り人の点数は、案外低いんです。
 それは、ヤマ張り人は、「出た!やった!」という気持ちが先に立ち、「百選等で論じられている論点のみを思い出しながら書く」という傾向が強いからです。これは、百選等に限らず、答練で出題された問題と似た問題が出たからといって、記憶に基づいて書こうとすると軒並み転びます。

 私は、何度も過去問の講義をしたことがありますが、判例を題材にした問題でも、判例の事例そのままのものはほとんどなく、ひねりを加え、しかも、いくつかの論点をつけ足しています。
 ですから、それを「百選の記憶に基づき」書いてしまうと、問題文に隠れている「問い」を発見することができず、結果として、点数はそれほど高く伸びません。

 逆に、判例の存在を知らなくても、問題に条文を当てはめていくプロセスで「○○は、××条の「△△」に該当するか。」ということを書いていけば、自然と論点に触れることになります。

 そして、その一つ一つについて、条文の趣旨から自分の考えを述べていくことで、「落ちない答案」ができあがるのです。
 なぜ「落ちない答案」になるのかといえば、このような思考方法こそ法律家として身につけるべき思考方法=リーガルマインドだからです。

この思考方法さえ持っていれば、もはや
「こんな問題は見たこともない」
という問題でも、それなりの答案構成をすることができるようになり、
「こっ、この論点は聞いたこともない。」
と思っても、それなりの考え方を述べることができるようになる。

そして、結果的に、全科目とも、安定した点数をとることができるようになります。

 以上のように
「問い」を見つける訓練=問題文に適用される条文を発見し、あてはめる訓練
こそ、直前期にもっとも相応しい勉強です。
 また、個別の論点を勉強する際に、表面的な学説の対立よりも、「条文の趣旨」を把握することに力を入れることが、どんなものにでも対応できる真の実力を要請することにつながると思います。

 試験までの限られた時間であっても、1時間4問の答案構成を30時間やれば、合計120問の答案構成をすることができます。
 各科目100問も潰せば、主要な論点は網羅することができますし、それを6科目やるということであれば、600問以上を分析することになりますから、リーガル・マインドがかなり醸成されることになります。
 答案練習や不正確な知識の是正も重要ではありますが、各科目相互や勉強方法のバランスを取りながら、答案構成を重視するのが、葉玉式論文攻略術です。


(質問コーナー)
Q1
205条を株主割当に適用できないかというご質問は、203条、204条の手続をとることなく、202条4項の通知のみで、処理できないかなという単純な理由からなのですが、その方法が株主割当で否定されるというわけではないと考えてよろしいのですね?
Posted by 万年補助者 at 2006年06月09日 09:22
A1
株主割当の際には、203条は適用されます。株主割当といっても、当然に株主が引受人になるのではなく、株主が、割当を受ける権利を行使して初めて引受人になるので、申込みなどについて定めた203条はどうしても必要です。
しかし、204条の割当手続きは不要です。千問Q280。

Q2
内閣府令に基づく委任状勧誘制度と会社法施行規則63条7号の関係について教えてください。
63条7号は「3号に規定する場合以外の場合」は一部議案についてはその概要を招集通知に記載するよう要求しています。そして同条3号は書面投票・電子投票採用会社についての規定になります。とすると、議決権行使ができるが株主1000名以上の会社が内閣府令に基づく委任状勧誘をしている場合は、同条3号に該当しないと思われます。とすると、かかる会社は、招集通知に議案の概要を記載しなければならないのでしょうか?
Posted by 法務課員 at 2006年06月09日 10:51
A2
施行規則63条7号に掲げる議案の概要については、招集通知に記載する必要があります。

Q3
「使用人の執行役からの独立性に関する事項として、執行役から独立していないとの内容を定めてもいいのか?」ということです。例えば、「監査委員会の職務を補助すべき使用人の採用、異動、懲戒については執行役会がこれを決定する。」なんて規程を取締役会で決議しちゃってもいいの?ということです。
Posted by 委員会設置会社の使用人 at 2006年06月09日 11:41
A3
補助使用人が執行役から独立しなければならないというところまで、要求しているものではありませんが、独立させないことにより善管注意義務違反になるかどうかは、個々の会社の実情によって異なるので、一概に言うことはできません。ある執行役が任務懈怠責任を負う場合に取締役が責任を負うリスクを軽減させたければ、独立性を確保した方がベターだとは思いますが・・千問Q459

Q3
親会社・子会社について質問させてください。A社がB社の議決権総数の100%を保有しております。しかし、A・BともX社との取引が総売上の95%以上を占め、XがA・B双方に役員を派遣しています。かかる場合、BはA・Xどちらを親会社と扱えば良いのでしょうか?それとも両方親会社となるのでしょうか?
専門家からAがBの議決権総数の100%を保有していても、実質的にBを支配しているのはXなので、Xの事業報告でXがBの親会社である旨を記載すれば、Xが親会社であり、Bの親会社はXなので、BがAの株式を保有しても子会社による親会社株式の保有禁止には当たらないとのアドバイスを受けておりますが、法の趣旨を没却する解釈に感じられ、釈然としません。
Posted by hi at 2006年06月09日 15:52
A4
Aは明らかにBの親会社です。ですから、BがAの株式を取得することは原則できません。
Xも、実質支配しているようですので、Bの親会社です。
したがって、AもXもどちらも親会社ですね。

Q5
会社法427条の責任限定契約は、社外取締役等に関して当分の間選任する予定がなくても、定款にその旨を定めることにより、あらかじめ登記しておくことができると考えて、よろしいのでしょうか。
よろしくお願い致します。
Posted by rk at 2006年06月09日 16:11
A5
社外取締役がいない会社であっても、責任限定契約の定めを設けて、登記することはできます。

Q6
株式登録質権について教えてください。
1 登録質であっても,法151条10〜14号によって株式が交付される場合,自動的には株主名簿の書換(記載,登録)がされないとのことですが,質権者としては,どうするのですか。
2 法154条1項は,当然のことながら,被担保債権の弁済期が到来していることが前提ですよね。
3 法154条2項は,被担保債権の弁済期が到来していないことを要件としていますが,同弁済期が到来していて,かつ「金銭等」が金銭でないときは,質権者としては,どうするのですか。
4 質権は剰余金の配当に及び,登録質の場合は,質権者に配当金が支払われることになりますが,質権契約における特約で,配当金には質権を及ぼさないとして,その旨の会社に届けがあると,会社は,質権設定者に支払わないといけないのでしょうか。
Posted by 田舎の弁護士 at 2006年06月09日 21:46
A6
1 質権の弁済期が到来している場合には、差押えをし、担保権の実行を開始することができるものと解されています。千問Q244
2 そのとおりです。
3 差押えをし、担保権実行を開始することになります。
4 あまり考えたことはありませんが、当該特約は、債権的には有効であると思われます。

Q7
会社法では、
「公開会社」=少なくとも一種の譲渡制限なし株式を
発行する会社
「閉鎖会社」=全ての株式に譲渡制限がついている
会社
という規律になっていると思います。
しかし、法改正以前は「公開会社」=上場会社あるいは店頭登録会社だということになっていたと思います。
新法下では、「公開会社」は条文で示されている用語として用いられるべきだと思うのですが、旧法下における「公開会社」のことは、新法下ではなんと呼べば良いのでしょうか。
Posted by 質問マン at 2006年06月09日 22:53
A7
会社法以前は「公開会社」という法律用語はありませんでした。
なお、現在の日本の会社の株式に店頭登録はないはずなので、「上場会社」と呼べばいいのではないかと思います。

追伸1
>ミカリンさん、針路西北西さん、虎次郎さん、お父ちゃん。
 皆さん、それぞれの苦労はあるでしょうし、楽な戦いではありませんが、適切な勉強を必死でやれば、必ず合格します。
 これから1年間、どのような勉強をすればよいのか、できれば一人一人とお会いして、相談に乗ってあげたいところでありますが、なかなか難しそうなので、身近な合格者に相談される等して、しっかりとしたスケジュールを立てることをおすすめします。
 そして、この1年間、いつでも、「あと1週間で本番だ。」という気持ちで勉強を続けてください。

追伸2
 kumapoohさんありがとうございました。
  
Posted by masami_hadama at 23:31Comments(18)TrackBack(0)

2006年06月09日

天使と堕天使

 今日は,択一試験の発表でした。
 合格者数が昨年の半分に減ったことに伴い,合格点は、昨年よりグンとあがって46点以上となっています。試験の難易度は毎年変わるし,相対評価なので,合格点を基準に有意的な分析はできませんが,私の合格したころ(いわゆる500人時代)と同じくらいの難度になっているような印象を受けます。

 択一に合格した人に向けた話は明日にして,今日は,択一に落ちた人にお話をしたいと思います。

 択一に落ちた人は、今頃、どんよりとした重い気持ちで、思考する気力もないかもしれませんが、気力があろうとなかろうと、未来は必然的に訪れるので、とりあえず今後の進路の参考にでもしてください。

ミカリンさんから,次のような質問を受け,ここ2,3日,どんな答えを書けばいいのか,悩んでいました。

「始めまして、いつも楽しく読ませていただいています。
今年の択一が30点台でしたので、来年の現行試験に向けての勉強をはじめています。
ところで、私の周りでは現行をあきらめ、ロースクールや他の資格への転向をする人が多く、来年は今年以上に大変になるのだ、という不安でいっぱいですが、いままでに比べ、どれほど大変になるのか、という想像がつきません。
来年に向けての覚悟を決めたいと思うので、葉玉先生のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
ちなみに私のいまの状況は,勉強をはじめて3年目、理系出身で試験に関係する知り合いがあまりいません。また、現行しか選択肢がありません。」

 おそらく質問の趣旨は,来年の現行試験の合格者数は,今年の合格者数より減少するので,どうしたらよいかということなのでしょう。

 一般に択一不合格者の選ぶ道は
 1 ロースクールにいくかどうか
 2 司法試験をあきらめるかどうか
の2つのポイントで別れます。

 ロースクールにいくかどうかについては,さらに
 (1)ロースクールに行って,来年は旧試験は受けない。
 (2)ロースクールに行って,来年も旧試験は受ける。
 (3)ロースクールに行かずに,来年も旧試験を受ける。
の3つの選択肢があります。

 まず,あなたが、今日,(1)を選んだとしたら
「今年,旧試験を合格するつもりで受験したんじゃないの?
 なんで,1年後の旧試験を受けないの?
 2年・3年後の新試験の難易度が,来年の旧試験よりも簡単であるという保障なんか,何もないよ。自分が1年間必死に勉強して,実力を伸ばす自信がないのならば,2年やったって同じ。旧試験を受けるかどうかは,願書出すときに決めればいいのだから,択一の模試や論文答練の結果を見て,そのときに考えればいい。
 今の段階から,来年を見送るなんて弱気な考えならロースクールもやめちまえ」
と叱咤することでしょう。

 (2)の選択肢は,おそらく一番合理的な選択であり,特にコメントはありません。

 (3)の選択肢を選ぶ人には,.蹇璽好ールに行くお金と時間がもったいない,という人と,▲蹇璽好ールに行こうと思っても行くお金・時間がないという人がいるのでしょう。

 客観的に見れば,現在の司法試験に関する政策は,ロースクール誘導型の政策であり,(3)の選択は,その誘導に反逆している(笑)のですから,一番不利な選択であるということは言うまでもありません。

 私は,本来ならば,独学・ロースクール・受験予備校が制度間競争をするのが,日本国憲法が保証する自由主義に則しているのではないかと思いますが,憲法的観点から、公共の福祉を実現するための職業選択の自由等に対する政策的制約として,ロースクールの卒業資格を新司法試験の受験資格とする法制度が採用されてしまったので、司法試験をめざす人にとっては、(3)の選択はどうしても不利になってしまいます。

 ところが,ミカリンさんは,(3)の選択しかないということを追記されていますので,私としては,この点に関するアドバイスをする余地はありません。不利であろうとなかろうと、時間的金銭的余裕がなければ、(3)しかないということかもしれません。

 とすると,ミカリンさんが,私に聞きたいのは
「私は,来年,旧試験しか受けることができませんが,司法試験をあきらめるべきでしょうか?」
ということなのでしょうか。

それに対する答えを一言で言えば・・・・

「それは,あなたが決めることであり,私が決めることではありません」

ということです。

 来年の旧試験は、合格者が減少するから,今年よりも更に合格が難しくなるという一見もっともらしい話をする人がいるので、悩む気持ちは分かります。
 
 しかし、厳しい言い方ですが
「合格率1.5%が1%になったくらいで司法試験をあきらめるのならば、あなたは、法律家になって貰わなくて結構です。」

 法律家は、他人の権利を守ることによって、お金をもらう仕事です。
 法律家が無能・無気力である場合、迷惑を被るのは、法律家ではなく、依頼者・被害者・当事者です。
 法律家になれば、毎年のように、難しい事件にぶち当たり、自分のお腹にグッと力をいれて、ぎりぎりのところで踏ん張りながら、他人の権利を守ってあげなければならない場面に出くわします。
 合格率という数字のマジックごときにビビって、あきらめるような人は、法律家に向いていません。

 そもそも、合格者数が減っても,それと同じくらい受験者数が減れば,合格率は同じです。今年は,合格者の減少率が受験者数の減少率を上回ったので,合格率も減少しましたが,来年は,受験者数の減少率もかなり大きいかもしれません。特に普段は仕事のため勉強できず,試験だけ受けている人も多いので,1年間必死に受験勉強をして受験する層がどのくらい減少するかが問題です。

 また,私が外から眺めている限り,若い人の多くは「ロースクールに行くけど,旧試験は受けない」という選択肢を選んでいるようです。
 この傾向,すなわち,頭の良く成長が早い新規受験生が旧試験に流れ込んでこないというのは,旧試験の受験生にとっては朗報です。
 はっきり言って,司法試験は,勉強した年数が長ければ長いほど試験に有利ということは全くありません。
 私の経験によれば,頭のいい人なら1年,並の人でも2年間,能率的で意欲的な勉強をすれば,10年間,勉強し続けたベテラン受験生に簡単に勝てます。
 言い換えれば,後ろから追っかけてくる頭のいい、やる気に満ちた受験生が入ってこないのならば,旧試験は,「今年の受験生から合格者が抜けた余り者同士の戦い」つまり「ドングリの背比べ」状態の中で競争すればよいということになります。
 
 さらに、合格率も合格者数も,数字の遊びという側面があり,私がゼミをしていた頃は,世間の合格率は2%でも,ゼミ生の合格率は20%〜40%くらいでしたら、結局は,どれだけ法律家としての素養を身につけることができるかということの方が、表面的な合格率の動向よりも,ずっと大事なことなのです。

 旧試験が終了しても、予備試験制度がはじまりますから、ロースクールに行くことだけが唯一絶対の道ではありません。働きながら勉強する道も残されています。

 不安があるのは、誰でも一緒。ロースクールに行ったって、三振の不安は消しきれません。旧試験の受験生も、旧試験が終わるまでに合格しないと自分の行き場がなくなると思いこみ、ロースクール生と同じ、三振恐怖症にかかっています。

しかし、三振の心配ばかりしているバッターは、ヒットも打てません。
試験委員という剛球投手を相手に、三振にならないようにバントばかりねらっていては、3バント失敗で、いずれにせよアウトです。
どんなに速い球でも、しっかり球筋を見極めて、シャープに振り抜くことにより、はじめてヒットになるのです。

 ミカリンさんに限らず、択一試験の成績が良くなかった人は、不安と悩みで一杯でしょう。
 でも、その悩みの中で、自分の力で人生を「選ぶ」ことができなければ、どんな道に行っても、他人に流される人生になるだけです。

才能豊かな人のことを「選ばれた人」と表現することがありますが、私は、法律の世界で「選ばれた人」など見たことがありません。
何の勉強もせずに、自然と
「9×1が9、9×2じゅうはち、9×3心裡留保、9×4虚偽表示」
などと法律知識が出てくるはずはなく、どんな頭のいい人でも、苦しみながら先人の知恵を身につける努力をしています。

このように、神様から選ばれることがない以上、残る選択肢は、自分の意思で、自分の道を「選ぶ」のか、それとも、「選ばずに、流されるか」のどちらかです。

みんながローに行くから・・・
みんなが他の資格に転向するから・・・
だから、あなたは、みんなと同じ道を歩くのですか?
ところで、「みんな」って、誰ですか。

 人はそれぞれ、歳も違う、能力も違う、環境も違う。
「みんな」なんて人はいないのに、「みんな」と同じ道に流されれば、それが、あなたにとってのBest Wayになるなんてことは、ほとんどありえません。
 自分で考え、自分で選ぶからこそ、自分に最も相応しい道を進むこと、自分に最も相応しい道を切り開くことができます。

 もちろん、人間は、未来を見通すことはできないから、選ぶときには不安があります。特に、現在の生活が苦しければ苦しいほど、歳を取れば取るほど、「一生、司法試験に合格しなかったらどうしよう」という気持ちになるものです。

 でも、その不安は、世の中の法律家全員が、受験生時代に持っていた共通の不安感です。
 「合格しないかもしれないという不安感」と「それでも、司法試験に合格するんだという決意」は、合格のための必要条件です。

 選ぶことを恐れるのをやめましょう。
 人生の分かれ道に立ったときには、天使と堕天使が目の前に現れます。
 天使と堕天使は、同じ顔をしていますが、世俗的な私には、
天使は清楚だが、魅力に乏しいように見え、
堕天使は、華やかで、魅力にあふれて輝いて見えます(笑)。

 そのため、堕天使を天使だと勘違いして選び、波乱と苦悩に満ちた道に迷い込んだことも、一度や二度ではありません。後から思えば、「あの時、天使を選んでいれば、清らかで落ち着いた暮らしができていたかもしれないのに」と思うこともしばしば。

 でも、波乱と苦悩を経験したからこそ、努力して得た幸せは、天国で安楽に暮らす喜び以上の感動をもたらしてくれます。疲れながらも、充実した日々を送ることができます。

 分かれ道で、どちらも選ばなければ、立ちすくんだまま、老いていくのみです。
 決意が全ての出発点です。

 私は、ミカリンさんに必要なのは、
 (1)悩み抜いて、自分の道を選ぶこと。
 (2)道を選んだら、選んだ道に潜む困難を克服するための技を、同じ道を行く先人から教えてもらうこと
 (3)教えてもらったら、迷わず、その道を進んでいくこと
の3つだと思います。
 特に3年間も勉強していながら、「試験に関係する知り合いがあまりいません」という状態は危険です。どうも、勉強が消極的な勉強になっているのではないかと心配してしまいます。
 
まず、法律家になるのか、ならないのか、はっきり決めてください。
試験の難易度なんて、どうでもいい。
あなたが行く道を選んでください。

ミカリンさんが、悩み抜いて、どんな苦労をしても法律家になると決意したときに、また次のアドバイスをしたいと思います。

(質問コーナー)
Q1
前提決議を欠く代取の行為の論点と前提決議の瑕疵における判決効果の範囲の論点との関係がよく分かりません。そして、前提決議を欠く代取りの効果のところで93条の類推適用をするのが判例ですが、事例ごとに判断するという一文を基本書で目にします。しかし、93条後段類推適用をすると画一的な判断になってしまうような気がします。
取締役会の決議で目的の範囲外の行為をなした場合に、前提決議を欠く代表取締役の行為として構成することは出来ないのでしょうか。
Posted by 法学部生 at 2006年06月08日 09:31
A1
質問内容がよく分からないところがあります。「前提決議」というのは、取締役会ということでしょうか。
その前提で法学部生さんの質問の内容を推察すると、取締役会が目的の範囲外の行為を決議し、その決議に基づいて代表取締役が法律行為をした場合の行為の効力のことを質問しているような気がします。
 とすると、取締役会の決議は無効ですから、当該代表取締役の行為については、民法93条類推で原則有効、ただし、93条ただし類推で相手方が悪意また過失のときには無効ということになります。
 93条ただし書が「画一的判断」というのは、意味不明です。過失の有無を判断するので、実質的な判断が可能だと思います。

Q2
 商事法務1786号の「会社法の施行に伴う商業登記事務の取扱いの解説」P5の表にある設立時代表取締役について質問させて下さい。
ー萃役会設置会社での設立時代表取締役選定は設立時取締役による互選しかありえないと考えていたのですが、定款で定めれば発起人や創立総会で選定することも可能なのですか?
△海良修虜故鵑砲△襦崢蟯召冒定方法の定め〜」とは、代表取締役の選定方法とは別の、設立時代表取締役の選定方法のことなのでしょうか?
取締役会設置会社でありながら設立時代表取締役の選定がなされない場合があるのでしょうか?
Posted by chigmog at 2006年06月08日 11:55
A2
\虧Q58に詳しく載っています。発起人や創立総会も可能です。
△垢い泙擦鵝今、1786号が手元にありません。
取締役会設置会社では、設立時取締役の互選で設立時代表取締役を選定しなければならないので、選定されないことはありません。


Q3
28条に違反する財産引受等の効果について質問させてください。
「会社法100」の第16問(司試平成7年)では、反対説をふまえて、「28条が『その効力を生じない』と規定しているのは同条2号に違反する財産引受については、設立中の会社の実質的権利能力も発起人の権限も及ばず、会社に効果帰属する余地を与えないという趣旨であり、…」と書かれています。
とすると、旧商法と異なり、もはや設立中の会社の実質的権利能力の範囲や同一性説の議論は、会社法では実益がなくなった(28条の趣旨を論じれば足りる)ということなのでしょうか?
Posted by くろむつ at 2006年06月08日 13:34
A3
実質的権利能力や同一性説は、説明の仕方の問題であり、会社法でも、その説明を前提にしていると思います。
ただし、その点についてどの説に立つにしても、要件を充たさない財産引受には効力を認めないことは共通なので(明文上明らか)、その場面においては、まわりくどい説明をする必要はなく、28条の趣旨から論ずれば足りると思います。

Q4
取締役の責任限定について、一旦、426条による取締役会決議の方法を取ろうとしたところ、3%以上の株主の反対があったために取締役会決議による責任免除はできない場合に、その後、同一事象について425条の株主総会特別決議によって責任免除を得ることも制度上は可能と考えてよろしいでしょうか。もっとも監査役全員が同意するかどうかという問題はあるのですが。
Posted by SMOKY at 2006年06月08日 14:19
A4
問題ありません。何度でも免除をチャレンジしてください。

Q5
会社法第205条の規定は第三者割当による募集株式発行手続の場合の規定だと聞いたのですが、株主割当の方法による募集株式の発行手続においてはこの総数引受契約の締結はできないのでしょうか?
株主割当では使えないとする理由がわからないので、ご教授下さい。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月08日 17:20
A5
 株主割当というのは、株主に募集株式の割当を受ける権利を与える場合のことをいい、株主が、その権利を行使すれば(単独行為)、総数引受契約を締結するまでもなく、引受の効力が生じます。
 したがって、単独行為と契約を比べれば、単独行為の方が要件が軽いので、総数引受契約をする意味がありません。

Q6
「論点解説 新・会社法」出版おめでとうございます。
早速買い求めたいと思うのですが、100問同様、すぐに誤植の修正版が出るということはないでしょうか?(笑)
Posted by it at 2006年06月08日 17:58
A6
商事法務は、それをおそれて、目を皿のように誤植チェックしていたので、大規模な誤植の修正版はでないと思います。
もちろん、人間なので誤植があるかもしれませんし、その際は、皆様のご指摘を受けて修正するつもりではありますが、それは当分先のことでしょう。

Q7
社外取締役の登記についてご回答ありがとうございました。
度々の質問で誠に恐縮ですが、社外取締役の登記につき重ねてお尋ねしたいことがあります。
法911条3号25号は
 崟嫻じ堕蠏戚鵑砲弔い討猟蟯召猟蠅瓠廚あるとき
◆崋匈絢萃役であるものについて」
社外取締役である旨の登記をしなければならないと定めており、△痢崋匈絢萃役」とは法第2条15号に該当する者を全てと理解するのは誤りでしょうか?
なお、千問297ページQ409のA2中の「客観的に社外取締役に該当する者」も「法2条15号に該当する者」でしょうか?
さらに、A2の回答「また」以下の説明は、複数の社外取締役であって、責任限定契約を締結する社外取締役と締結しない社外取締役の両方がある場合のみのことでしょうか?それとも、締結していない社外取締役のみ(1名または複数)の場合も含まれるのでしょうか?
Posted by 悩む担当者 at 2006年06月08日 20:07
A7
Q409の最後の方に記載のあるとおり、法的効果を受けない社外取締役については登記義務はないと解釈しています。
法益効果を受けない社外取締役は、その者又はその者らだけしか社外取締役がいない場合でも、登記義務はありません。

Q8
既出かもしれませんが、基準日について質問をさせて下さい。
基準日は、株主の変動を見越して「一定の日の株主名簿記載の株主に権利行使してもらうための制度」だと理解しています。
従って、基準日を定めることなく、その日現在の株主に権利を付与するのであれば、特段これを定める必要はない。と理解しているのですが間違いないでしょうか?
Posted by greenlemon at 2006年06月08日 21:03
A9
そのとおりです。会社法100問論点<314>です。

Q10
葉玉先生、「千問の道標」さっそく読ませていただいております。
その中で、疑問に思ったのは、Q426で、非取締役会設置会社における代取死亡における平取の代表権につき、いわゆる「非回復説」(会社法349,燭世圭颪療用存続説)がとられていることです。もし、このケースで、この説をとられるなら、取締役会設置会社の定めを廃止した場合にも、会社法349,燭世圭颪療用存続が認められても良いと思うのですが? 
Posted by 駿佑 at 2006年06月08日 22:48
A10
取締役会設置会社と非取締役会設置会社は、代表取締役の選定方法が異なるので、取締役会を廃止した時点において、非取締役会設置会社の選定方法により選定した代表取締役はいないことになります。そのため、定款に別段の定めがない限り、各自代表の規定が適用されると考えています。

Q11
社債について質問です。
商法300条(割増償還について)が廃止されました。
今後は、割増償還ができなくなったという理解でよいですか?
商事法務1751号の葉玉先生の解説は「券面額=償還額でないといけない」とあり、割増償還禁止のように読めます。
Posted by じゃふ at 2006年06月08日 14:01
A11
割増償還は、できなくなりました。

Q12
旧商法下で「新株予約権証券は、新株予約権者の請求がある場合に限り発行する」と決議されて発行された新株予約権について、現実に請求がなく新株予約権証券が発行されていない場合でも、会社法下では、249条3号ニに定義する「証券発行新株予約権」ではないとして取り扱うのでしょうか。当該新株予約権を取得条項に基いて取得する際には、一度新株予約権証券を発行する等の手続きは不要であると解してよいですか。
Posted by パラリーガール at 2006年06月07日 23:42
A12
ご質問の新株予約権は、「証券発行新株予約権」です。
当該新株予約権は、288条2項と同じ規律に従っているものにすぎません。
  
Posted by masami_hadama at 02:08Comments(21)TrackBack(1)

2006年06月08日

千問の道標

 おかげさまで
 「論点解説 新・会社法 千問の道標」
が、本日、東京都内の大手書店に並び始めました。
 今年の前半は、この本が、私のプライベート・タイムの半分くらいを食いつぶしましたので(残り半分は、このブログ)、感慨ひとしおです。

 私達が、本を書くときは最初に「まとめ役」を決めて、その人が内容の統一性や構成に責任を持つことになっていますが、私は
  「法律書は、データベースたるべし」
という信念を持っているので、自分が「まとめ役」になった本については、検索性を重視した編集を行ってきました。

 千問の道標も、読み物として1頁から読んでも、それなりに面白いと思いますが、読者が「自分の知りたいこと」に迅速にアクセスできるようにするため、次のような工夫をしています。

1 各問いに質問の内容を簡潔に表す表題をつけ、目次を見れば、質問の内容が、ある程度想像できるようにする。

2 条文索引、事項索引を充実させる(条文索引は、本文に出てくる条文をすべて抜き出し、事項索引は本文に出てくるキーワード・キーフレーズは軒並みすべてピックアップしているので、それぞれ20ページあります)。

3 インデックスをつける

4 各問ごとに、「関連問題」の問い番号を明記して、目的とする情報の周辺にどんな問題があるかを調べやすくする。

5 ヘッダに、問題番号を記載して、検索しやすくする。

 特に、事項索引は、「支配プレミアム」とか、「リーフレット」とか、「相当の時期」とか、「中間法人である親会社」とか、マニアックな用語を含めて、徹底的にピックアップしているので、事項索引を眺めながら
 「このワードについては、どんなことが書かれているのかなあ」
などと想像するのも一興です。

法律家・実務家を中心に、学生からマニアまで、それぞれに役立つ本という欲張りなコンセプトで作っているので、どんな人でも
 「ここは、常識」
 「へえ〜。こんなことができるんだ。」
 「なんだ、これは?。書かれていることが全然分からない・・・」
とう複雑な感想を持つことになるのではないかと想像していますが

 会社法の面白さ、便利さ、難しさを詰め込んだツールボックスである

という自負をもって、世に送り出しておりますので、ご愛読していただければ幸いです。

(質問コーナー)
Q1
取締役ABC,代表取締役Aの非公開、取締役会設置会社が定款を変更して取締役会、監査役を廃止し、取締役1名(例えばA)のみとするには、監査役は廃止の定款変更決議により退任するが、取締役についてはA以外の取締役の辞任等の退任事由が別途必要となりますか。具体的に取締役をAのみとする決議をすればBCは退任しますか(事実上は解任?)。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年06月07日 02:17
A1
監査役を廃止すれば、監査役は任期満了ですが、取締役会を廃止しても取締役は任期満了になりません。「取締役をAのみとする」という株主総会決議は、意味不明であり、「取締役B及びCを解任する」という決議をするか、B・Cに辞任してもらう必要があります。

Q2
株式譲渡制限の効力発生日(総会可決時)と官報掲載日の間に一箇月の期間がないことわかる株主総会議事録と官報を添付しても株式譲渡制限の規定の設定登記は出来るということでよろしいのでしょうか。
Posted by ケン at 2006年06月07日 06:20

Q1&Q2について
 商業登記における添付書面は、効力発生に係るものです。効力発生に関係のない通知等の書面は、添付書面とされていません。
 そして、譲渡制限規定の設定に関して、株券を現実に発行している会社においては、公告をしたことを証する書面が添付書面です(商業登記法第62条、第59条第1項第2号)。
 また、公告をする方法として電子公告を採用している会社については、上記公告をしたことを証する書面としては、電子公告調査機関の発行する証明書が該当しますが、この証明書は公告期間が満了して初めて発行されるものです。すなわち、葉玉さんのおっしゃる解釈では、効力が発生したのに、公告期間が満了しておらず、証明書が添付できないため、登記申請できない事態が生ずることになります。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月08日 00:29

A2
効力が発生する場合でも、適正な手続きを経ていなければ登記はできません。これは、商業登記法の添付書面による制約です。
なお、内藤さんは、効力が生じたのに登記できないのがまずいことだという意味でコメントされていると思いますが、それが特に不都合というわけではなく、会社が公告を事前にしておくか、総会で効力発生日を定めれば、簡単に回避することができたのに、それをしなかっただけの話だと思います。
こうした感覚の違いがどこに起因するかを推察すると、「大前提として、商業登記における添付書面が、効力発生に係るものに限られる」と考えるかどうかにあるのではないかと思います。
確かに、おおむね、そのように考えて良いとは思いますが、実は、それには例外もあるのです。
商業登記法がからむ問題は調整マターなので、深入りは避けますが、その例外を一切認めないで解釈しようとすると、逆に、登記の申請ができないために、効力を発生させることができないという場面がでてきてしまいます。

Q3
当社は有価証券報告書提出会社でありますので、会社法の規定により決算公告が不要になったわけですが、今まで電子公告を利用していましたので、過去5年分の決算公告が現在HPに掲載されています。今回の会社法規定に伴い、過去の決算公告5年分を削除しても良いのでしょうか?
Posted by 法務課1年目 at 2006年06月07日 11:44
A3
有価証券報告書提出会社であるうちは、削除してもいいですが、友報を提出しなくなったらどうするのでしょう。

Q4
発起設立の登記申請の際に添付する「払込があったことを証する書面」についての質問です。
3月26日付の質問コーナーQ6によると、発起人代表名義口座の残高証明でよいとの事ですが、「登記研究」17年9月号691号に掲載されている民事局付松井信憲さんの解説には、株式発行価額相当の金額が入金されたことを確認できるものとあり、取引記録のない単なる残高証明ではダメなように読めます。
設立時代表取締役の払込があった旨の証明を合綴するのだから、残高証明でも良いと思うのですが、如何でしょうか?
また、入金の記録がある通帳等でないとダメだという場合、1人発起人の会社設立で、払込金以上の残高がある既存の通帳を利用する場合、一旦、払込金相当額を引出して、入金するという事をしなければならないのでしょうか?
Posted by ののちん at 2006年06月07日 13:01
A4
3月26日のQAを読んでいただければ分かるのですが、私は、残高証明でよいということは言っていません。昨年、早い時期では残高証明でもよいのではないかという話をしていたのですが、引受人が払込みをした事実を確認することができるようにするため、残高証明では足りないということになりました。預金通帳の写しなど、払込の事実が確認できる書類が必要です。
ちなみに、合同会社のように、払込取扱機関がない場合には、領収書などでもよいということになっています。

Q5
会社計算規則第37条第1項第2号に関して教えてください。
ここで言う「募集株式の交付に係る費用の額のうち、株式会社が資本金等増加限度額から減ずるべき額」と言うのは、具体的にどういうものを想定されているのでしょうか?換言すると、何処まで許されると考えられるのでしょうか?
Posted by ネットくん at 2006年06月07日 17:16
A5
現在の会計基準では、資本控除することができるものはありません。
つまり、37条1項2号に該当するものは、何もないということです。

Q6
会社法百問285頁14行目の「自己のために手形行為を振り出したものではないから」
という文章の意味がいまひとつつかめませんでした。「自己のために手形を振り出したものではないから」という意味でよいのでしょうか
Posted by 一新司受験生 at 2006年06月07日 18:12
A6
おっしゃるとおり、誤植です。

Q7
社外取締役の登記について教えてください。
1)取締役につき責任限定契約(法第427条第1項)に関する定めを定款に規定している会社において、法第2条第15号の要件に該当する社外取締役であって会社法施行規則第2条第3項第5号ロに該当しない者は、法911条3項25号により社外取締役である旨の登記は必要なのでしょうか?
2)1)により、社外取締役の登記が必要であるとした場合、「社外取締役である旨の登記」は、会社法施行規則第2条第3項第5号ロ(3)の表示に該当するのでしょうか?
Posted by 悩む担当者 at 2006年06月07日 18:34
A7
責任限定契約を締結していないし、その他社外取締役を前提として効果を何も享受していないという意味でしょうか?
もし、そうなら、登記は不要です。

Q8
株券発行の職権登記について
平成18年4月24日に法務民事局商事課が日本司法書士連合会に宛てた確認事項に関する回答のなかで、変更登記が必要であるとの見解を示していると言う話を聞いたことがあるのですが、その話は誤報なのか、若しくはその後変更になったのでしょうか。
Posted by 薫 at 2006年06月07日 18:39
A8
すいません。経緯は知りませんが、昨日の記事は本当です。

Q9
「のれん」って何ですか?
Posted by 司法受験者 at 2006年06月07日 00:02
A9
合併等により事業の承継を受けたときに、支払った対価から受け取った財産の簿価を引いた差額です。

Q10
新株予約権について質問させていただきます。
行使の条件;「権利行使時においても、…、従業員の地位にあることを要する」、消却事由;「新株予約権者が、新株予約権の行使の条件を満たさず、新株予約権を行使できなくなった場合…は、新株予約権を無償で消却することができる」と定めた場合、従業員が退職すると、取締役会の決議を要することなく、新株予約権が当然に消滅するのですよね。ということは、
,發箸發半探兒由として登記されていた内容を、そのまま取得事由として『新株予約権者が、…新株予約権の行使の条件を満たさず、新株予約権を行使できなくなった場合…は、新株予約権を無償で取得(←消却から変更)することができる。』という登記をすることは、矛盾になりますか。
△泙拭⊃軍予約権の消滅の登記の際、添付書面は不要とのことですが、新株予約権を行使することができなくなったことによって新株予約権が消滅したという事実を証明できなくても登記できるということなのでしょうか?
E然に消滅するということは、会社が取得し、その自己新株予約権を再度ストックオプションの新たな付与に利用することは不可能ですよね?
Posted by サポ at 2006年06月07日 16:47
A10
登記は、権限外なので、コメントを差し控えます。
  
Posted by masami_hadama at 01:57Comments(78)TrackBack(1)

2006年06月05日

サーバー不調

2日間ほど、ライブドアのブログがアクセス不能になっていたので、更新できませんでした。

 最初は、「なぜ、アクセスできん??」と自分のパソコンを疑い、かなり焦りました。

 しかし、ライブドアのサーバー不調だとわかり、ホッとすると、一転、
「しばらく不調だと、楽だけどなあ・・・(ニヤッ)。
 電子債権の中間試案の案も考えなければいけないし・・・。
 がんばるな、ライブドア。」
という悪魔のささやきが、私の頭に・・・・。
 幸か不幸か、悪魔の力がいまいち弱かったため、2日間ですぐに復旧してしまい(笑)、悪魔に心を乗っ取られるほどのことはなかったのですが、この2日間でやり始めた仕事が終わらないので、とりあえず今日は、質問コーナーだけで勘弁してください。



Q1
商法494条の不正の請託が、あまり意味をなさない(S44年最高裁決定により、適用範囲を狭め適用を難しくした)ため、S56年に利益供与罪が導入された。と判例百選「総会屋に対する贈収賄罪」で読みました。
ということは、刑罰に利益供与罪がある限り不正の請託は意味をなさない、とも考えられるのですが、請託と供与の違いで法律的には、残っているのでしょうか?
A1
不正の請託が「意味をなさない」のではなく、立証するのが大変だということでしょう。株主の権利は、取締役の職権と異なり、職務として行うものではなく、個人の権利として自由に行使するので、不正=違法な権利行使を観念するのが難しいという気持ちは分かります。
それで、不正の請託を要件としない、いわば、単純収賄罪みたいなものとして、利益供与罪ができただけです。
もっとも、不正の請託が立証できれば、贈収賄罪が成立する可能性はあるので、法律上は区別されています。

Q2
6月総会において株券不発行会社となるために、定款変更を予定している会社からの問い合わせです。
5月1日から株券発行会社である旨の定款のみなし規定を削除する定款変更決議ではなく、「株券を発行しない」旨の定款規定を置く変更決議としたいというのです。この法律上当然のことを規定する変更決議で、「株券を発行する旨の定款の定めの廃止の登記」の申請が可能でしょうか。実質は同じ事だと思うので却下はされないとは考えるのですが、そういう決議でよいのか疑問を感じまして…。
また議案の定款変更案を現行定款との対照表形式をとる場合は、現行定款の欄に「株券発行会社である旨の定款のみなし規定」が記載されている必要があると思いますが、いかがでしょうか。
既出の質問でしたら御容赦下さい。
Posted by 万年補助者 at 2006年06月01日 09:30
A2
「株券を発行しない」胸の定款変更決議って、法律的にはおかしいです。趣旨は分かるので、登記で受理してくれればよいですが、どうでしょうか?
 対照表形式に限らず、株券を発行する旨の定めを、旧規定とした上で、定款変更してください。

Q3
 取締役ABC,代表取締役Aの会社が,定時総会で,取締役会設置会社の廃止及び互選で代表取締役を定める旨の定款変更の決議を行った場合、定款変更の効力発生と同時に代表取締役Aは退任し、取締役BCの代表権も回復されない。その後、定款規定に基づいて代表取締役にAを互選すれば、Aのみが代表取締役に就任するということでよろしいのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年06月01日 15:33
A3
今までの答えで、何が不足しているのか、問題意識がよく分かりません?

Q4
新設分割を行う場合に会社法806条3項および4項に基づいて行う新設分割公告の趣旨は、条文の体裁から株式買取請求権を有する株主に新設分割の実施を周知することであると推測していまが、株式買取請求権を行使するためには株主総会で反対していなければならず、公告で新設分割について知ってももう遅いですし、そもそも公告には株式買取請求ができることを記載する必要すらないので、趣旨が内容に反映されていないようにも思います。新設分割の承認決議があったことを知らせるだけなら総会決議通知で十分だと思いますが、決議通知単体では(招集通知をあわせて読まないと)公告の記載事項を満たさないので、別途公告せざるを得ませんが、いまいち実益がない気がしております。商法374条の7との記載事項の違いも踏まえ、新設分割公告の趣旨を教えていただければ幸いです。
Posted by マリーンズ at 2006年06月01日 16:48
A4
806条3項の通知は、株式買取請求権行使の機会を与えるためのものです。
たとえば、議決権のない株主には、総会招集通知はされませんから、806条3項の通知以外に新設合併等の事実を知ることができません。

Q5
107条1項と108条1項の適用関係について教えて下さい。
全部取得条項付種類株式を用いた買収防衛策があろうかと思います。普通株式だけを発行している会社が全部取得条項付種類株式を用いて防衛策を講ずるにあたり、
〜管取得条項を付すための定款変更
普通株式に全部取得条項を付すための定款変更
を行った場合において、その会社の株式が全部取得条項付株式の1種類となることは認められないのでしょうか。
もし、そうであれば、全部取得条項を付す際も従来の「普通株式」に加えて全部取得条項付種類株式を発行することになるのでしょうか。不勉強でスミマセン。(それとも全部取得条項付種類株を実際に発行する必要はなく、発行できるように定款変更等をしておけば足り、実際に買収者が登場した際、全部取得の総会特別決議を行い、一般株主には議決権付株式を、買収者には対価を払って無議決権株式を振り分ければよいということなのでしょうか。
Posted by テン at 2006年06月01日 17:31
A5
全部取得条項付種類株式は、1種類だけになることはありえません。
一問一答新・会社法の100%減資の答えをみてください。
なお、全部取得条項付種類株式は、防衛策には不向きです。

Q6
会社法第27条に定款の絶対的記載事項が列挙されていますが、そのうち、5号「発起人の氏名又は名称及び住所」は、会社設立時のみならず、設立後も絶対的記載事項でしょうか(旧商法第166条1項10号でも同様に定められています。)。設立後に当該規定が削除されている定款を多く見ますが、削除してよい根拠はどこにあるのでしょうか。この絶対的記載事項が記載されていない定款は無効となってしまいますか?教えてください。
Posted by ぱらりーがーる at 2006年06月01日 17:39
A6
発起人の氏名等については、設立時の定款について記載しなければ無効になるというものであり、設立後は、法的な意味を失う(仮に削除したとしても、ある者が発起人でなくなるわけではない)ので、削除することもできると思います。従来もそのような考えのもとで削除されていたようです。

Q7
ただ今、新司法試験の択一民事系の勉強をしているのですが、「甲株式会社を存続会社,乙株式会社を消滅会社とする吸収合併をする場合においては,甲株式会社は,その有する乙株式会社の株式についても自社の株式を割り当てることができる。(○か×か?)」という肢がよく分からず困っています。ネットで検索したところ、合併会社が保有する被合併会社の株式のことを「抱合せ株式」といい、どうやらそれが一般に認められているようだというあたりまでは分かりました。しかし、現行会社法のもとで抱合せ株式がどのように取り扱われているかについては、弥永先生の教科書等を読んでもよく分かりませんでした(見落としていたらすみません)。上記選択肢について会社法がどのような取扱いをしているのか、教えていただけないでしょうか?
Posted by 一受験生 at 2006年06月02日 19:42
A7
施行規則27条3号ロのことでしょうか?

Q8
譲渡制限の規定について教えてください。
まずは、取締役1名で非公開会社を設立したい発起人が、将来の会社機関の変更を見込んで、譲渡制限の規定を「株式を譲渡するには、取締役の承認を要する。ただし、取締役会を設置した場合には代表取締役の承認を受けなければならない。」とする旨定款へ定めることは可能でしょうか?
Posted by サル頭 at 2006年06月02日 22:23
A8
但書は、変な定めですね。変な定めをどう解釈するのかは、その場の雰囲気で決まるので(笑)、私には答えようがありません。
普通は、取締役会を置く旨の定款変更をするときに、同時に承認機関の変更も行えばよいだけの話です。

Q9
100問のQ33について質問です。
失念株について、譲渡人、譲受人のどちらが株主かという問題について、100問の立場では、判例どおり譲渡当事者間でも譲渡人が株主との立場をとっているということでしょうか。
学説では、譲渡当事者間では譲受人が株主であるというのが多数説のようですが、本書での結論については、「はじめに」にもあるとおり、判例がある場合には原則それに従うというルールに従ったということでしょうか。
Posted by 去年商法G at 2006年06月02日 23:48
A9
譲渡当事者間では、譲受人が株主です。
でも、それを会社に対抗することはできません。
それは、判例であっても、学説であっても、同じです。
しかし、当事者間であっても、株式の帰属の問題と、株式に付随する権利の帰属の問題は、別です。

Q10
「見せ金」についての質問です。設立後の新株発行について、最判H9・1・28は、最判S30・4・19を引用して、見せ金が新株発行の無効原因にならないとしています。
担当調査官によると、「見せ金」による払込みであっても、取締役の引受担保責任の問題とすれば足りる、とのことです。
しかし、会社法では、取締役の引受担保責任が廃止されたので、この論理は使えません。そこで、引受の一部が「見せ金」の場合には、残りの真正な部分で、有効に新株発行が成立し、無効原因にはなりません。他方、引受の全部が「見せ金」だった場合には、新株発行を有効にする実益がないと思うので、新株発行の無効原因になる。この理解でよろしいのでしょうか。この限りで、最判H9・1・28は死んでいるとの理解でよろしいのでしょうか。
Posted by 会社法初心者ロー生 at 2006年06月03日 17:17
A10
設立時か募集株式の募集時か、さらには、引受の一部か全部かは、区別すべき合理的理由はないと思います。

Q11
 2006年3月4日付「補欠取締役の選任決議の取消し」のA1に「補欠の社外監査役は、社外監査役以外の監査役が欠員になっても、監査役に就任することはできません。」とありますが、社外監査役であるか否かによって、監査役の職務に違いはないはずであり、このような取扱いは不可解ですが、いかなる理由でしょうか。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月04日 22:42
A11
 株主総会の意思で、社外の補欠と決めたのならば、その意思と異なる取扱いをする必要はないと思います。

Q12
 監査役会設置会社において、監査役総数4名(うち社外監査役2名)である場合で、社外監査役1名の辞任によって、社外監査役は半数以上(会社法第335条第3項)という法律が定める員数を欠くこととなったとき、監査役が3人以上という要件を充たすため、第329条第2項により選任された補欠の社外監査役は就任できない旨、相澤参事官が京都のセミナーでお話になっていたそうです。
 理屈としてはそうかもしれませんが、そうすると、この場合に会社法第346条第1項の適用はなく、辞任した当該社外監査役は権利義務を承継することはないと解され、また、同条第2項により仮社外監査役を選任することもできないので、臨時株主総会を開催して新たに選任することを余儀なくされます。
 社外監査役であるか否かによって区別するのであれば、社外監査役が法律の定める員数を欠くこととなったときにも、第329条第2項及び第346条第1項の規定の適用があるようにすべきだったと思います。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月04日 22:46
A12
会社法では、監査役会設置会社は、監査役会を置く旨の定めを置いているので、員数の半数以上の社外監査役を置く旨の定めがあるのと同視できます。
 したがって、社外監査役が、半数を割ったときには、「定款で定める」員数を割ったことになるので、329条2項等が適用されます。
 個人的には「法律で定める」でもよいと思いますが、関係者と議論の上、そのような結論になっています。千問にもその旨の記載がありますので参考にしてください。

Q13
昨日のQ7&A7について
 通達では、純さんご指摘のとおり、別区分で計6万円とされており、実際そのような取扱いがなされているはずです。もう一度確認していただいた方がよいかと思います。
Posted by 内藤卓 at 2006年06月04日 22:51
A13
分かりました。月曜日にでも、再度、確認しておきましょう。

  
Posted by masami_hadama at 01:15Comments(12)TrackBack(0)

2006年05月30日

時間が先。内容が後。

 金曜日に某ロースクールの3年コースの3年生と飲み会をしたのですが、学生さんから、「ロースクールの2年間でやってきた勉強」の話を聞いて、気が遠くなりました。

 正直言って、法律の勉強をしたことがない人を相手に、法律の勉強のノウハウも教えず、しかも、ああいうカリキュラムを、ああいうスケジュールで、しかも、ああいう授業でやれば、2年どころか、5年やっても、ほとんど何も得られないだろうと思いました。

 しかも、そういう危機的な状況であるにもかかわらず、学生さん達は、司法試験を受けたことも、模試を受けたことも、答案練習をしたことも、予備校に行ったこともないためか、漠然とした不安があるだけで
 「あと1年で、○○をやらなければならない」
という具体的な目標が全く定まっていないのです。

 あまりにも、かわいそうなので、一緒に飲んだ学生さんには、とりあえず今から来年にかけてやるべきことを指導してきましたが。

 このブログを読んでいるロースクールの3年生の皆さん。
 悪いことは言わないので、明日からの4日間で、今年の新司法試験の問題を解いてみましょう。
 今の時点で、択一試験で半分くらいの点が取れ、論文も(論点落としがあるにせよ)ある程度のことを書くことができるという能力がないとすれば、
「あなたが、このままのペースで勉強して、来年新司法試験に合格する」という確率は、「日本がワールドカップで予選から、全勝で優勝する。しかも、サッカーとバレーの両方で。」という確率と、ほぼ同等でしょう。

 また、あなたが、自分の実力の無さを痛感したら、現行司法試験の過去問でもいいので、毎日1時間、択一を20問解き、さらに、1時間、論文を1問、解いてみましょう。
 そうすると、1か月後には、「自分が、これから何を身につけなければならないか」が分かってきます。

 私も、実質、1年間の勉強で司法試験に合格したので、能率的な勉強をすれば、1年で合格することは十分できると思いますが、自分がやらなければならないことを認識していないと、5年かかっても、ダメなのです。
 まずは、「自分に必要な能力が何かを実感すること」に時間を割くべきです。

 また、やることが分かっていても、時間のやりくりを上手にできなければ、バランスの取れた実力は養えません。
 以前、「ロースクールの宿題をやる時間が1時間しかなければ、1時間のやっつけ仕事でやるしかない」と書いたところ、さいはてのロー生さんが
「1時間のやっつけ仕事で出せる分量なら困らないんですよねぇ・・」
というコメントをくれました。

 しかし、さいはてのロー生さんの発想は、間違っています。
 「時間が先。内容は後。」
これは、どんな仕事、どんな勉強にも共通する大原則です。

 ロー生さんだって、択一試験の現場で
「あと1分なのに、10問残っている」
という状況に置かれたら、「残りは、全部、4にマークしておこう」という行動を取るでしょう。これは、時間が強制的に限られているので、その時間内において、内容を少しでも充実させる努力をしているわけです。

 宿題も、自分の勉強も、皆同じ。どんな量の宿題であろうとも、1時間あれば1時間の成果を、10時間あるならば10時間の成果を出すのがプロの仕事です。

 たとえば、「江頭先生の教科書を全部読んで、その内容をまとめて、レポートを提出しなさい」という宿題が出されたとしましょう。1週間の余裕があれば、それなりに教科書を読んで、章ごとにまとめのレポートを書くでしょう。
 では、それを「10分でやりなさい」と言われたら、どうしますか。
 私ならば、「江頭教授の教科書の内容は、次のとおりである。」と一言書いて、目次を書き写します(笑)。
 
 判例評釈も同じです。例えば、長大な判例の原文を最初から最後まで読み通し、そのポイントを自力でまとめようとすれば、事例の把握だけでも、長時間を要します。
 私なら、判例検索ソフトで、その判例を検索します。そうすると、判例の要旨が出てくるので、「この判例の要旨は次のとおりである。」と書いて、その判例の要旨を書き写します。
 そして、江頭先生、神田先生、弥永先生等の教科書を前に置きながら、その要旨の論点ごとに、該当箇所を調べ、「要旨1については、○○説と○○説がある。・・私は、○○ということから、○○説が妥当であると考える」「要旨2については・・・」などと書いていきます。それで、おしまい。
 
 人間が物書きをするときに、一番時間を取るのは「何を書くか、考えている時間」です。
 やっつけ仕事は、「内容にオリジナリティーを求めず、何を書くかについて迷わず、定型的なことを定型的に書く」ということで実現できるはずです。

 ロースクールの勉強に限らず、司法試験の勉強も、「時間が先、内容は後」なのです。
 私は、「内容のないものを作れ」とか、「内容の理解をおろそかにしろ」とか言っているのではありません。
 時間を限れば、決断を迫られるので、集中力が高まり、また、「自分は、ここが分かっていない」というダメ出しを迅速に行うことができます。それが、いい内容の勉強につながるし、自分の欠けていることがわかれば、次の日に先生や友達に聞くこともできます。

「内容が分かるまで、何時間でもやる」などという発想では、いつまでも、自分にダメ出しができず、調べているつもり、考えているつもりになるだけで、実際には、同じ所をグルグル回っているのがほとんどです。
 
 「時間が先、内容は後。」は、勉強の内容を充実させるための方策でもあるのです。

(質問コーナー)
Q1
会社法施行規則63条3号のロ、ハの「株主総会の日時以前の時であって、法299条1項の規定により通知を発した時から2週間を経過した時以後の時に限る」ですが、ここでいう2週間の計算については、民法140条が適用になり初日不算入となるのでしょうか.
それとも、即時より起算するのでしょうか。
Posted by こ at 2006年05月27日 11:03
A1
規定の仕方からすると、両方の解釈がありうると思います。
ここは、解釈に委ねられているところです。

Q2
特別取締役による決議ができる旨の定めは、「取締役会決議」によらなければならないという理解でよろしいでしょうか。373条1項に「決議」という言葉がでてこなかったため、念のためお聞きするものです。
A2
取締役会が定める場合には、決議が必要です。

Q3
「会計監査人選任の件
○○監査法人は任期満了により退任するので、新しく▲▲監査法人を選任したい」との議案では、不再任の議案としては不充分との趣旨のご回答でした。
しかし、上記議案は従来の上場企業の議案としては広く採用されていると思います。これでは不再任にならないとして登記が不受理になりますと、大きな影響があると思います。
従来より存在していた機関を、会社法により新たに登記義務を課したわけですから、従来の実務を否定するような扱いがされると混乱を招くのではないでしょうか。
Posted by TK at 2006年05月27日 17:27
A3
 会計監査人を追加で選任することができることからすると、新会計監査人の選任議案が、既存の会計監査人の不再任の議案を含むとは必ずしもいえないように思います。
 実際、某監査法人の問題で、追加で会計監査人を選任した会社もありますから、まず、議題として会計監査人の選任の件というだけで、不再任も議題になっているといえるのかは、自信ありません。
 仮に議題に不再任が含まれているとすれば、「○○監査法人は任期満了により退任するので」という部分を不再任議案と考えるのでしょうね。ただ、そうだとすれば、議決権行使書面に不再任の部分と、選任の部分と別々に○×をつけられるようにしているのか?
 登記が受理するかどうかは、私には分からないところであり、会社法・省令に反しないと言えるのならば、従来の実務(本当に実務慣行と言えるほどの不再任があったのかというのは別として)を否定するつもりはありませんが、なるべく形式要件に疑義を挟むような議題・議案は、避けた方がいいように思います。

Q4
葉玉先生、株券喪失登録の請求について質問です。
定款において単元未満株式の権利について
「次に掲げる権利以外の権利を行使することができない。」
として株券喪失登録の請求についての権利を「次に掲げる権利」に含めず規定した場合、会社法第189条第2項各号にはこの当該請求をする権利が含まれないため、単元未満株式に係る株券の喪失登録の請求はできなくなるのでしょうか?
それとも会社法第223条における「株券」には、単元未満株式に係る株券も含まれるので、上記のような規定を行ったとしても、単元未満株式に係る株券の喪失登録の請求はできると解するのでしょうか?
Posted by 悩む担当者 at 2006年05月27日 19:24
A4
株券喪失登録の請求権は、株主の権利ではなく、株券を喪失した者の権利なので、単元未満株式の制限には服さないものと思います。したがって、単元未満株式の株券を喪失しても、株券喪失登録の請求はできると思います。

Q5
商法上の小会社については、監査役の取締役会への出席義務が適用されていなかった(特例法25条)筈ですが、これに該当する会社法の規定はなく、すなわち、大会社以外の監査役でも、出席義務は有りという解釈で良いでしょか?
もし、取締役会に監査役が一人も出席しなかった場合、そこで決議された事項の法的効力はどうなりますか?
Posted by dunk at 2006年05月27日 22:21
A5
会計監査権限限定監査役には、出席義務はありませんが、それ以外の監査役には出席義務があります。
監査役への招集通知は、決議の適法性の要件ですが、出席は、要件ではありません。
監査役が一人も出席しなくても、決議は有効です。

Q6
取締役会設置会社でない会社を設立する際、設立時代表取締役を選定したい場合に、定款に何も記載がなければ各自代表と仰っていましたが、発起人による選定はできないのでしょうか。
Posted by 司法書士受験生 at 2006年05月27日 23:30
A6
発起人は、設立事務を行う権限を有しており、設立時代表取締役の選定を発起人で行うことも可能です。

Q7
〔榲は、定款の絶対的記載事項となっています。そこで、目的の範囲外の行為をした場合というのは定款違反ということになるのでしょうか。その際、360条や423条において、「目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為」とされているのには意味があるのでしょうか。
¬榲の範囲について、民法43条を適用しないとする見解にたつと、かかる範囲は内部的な責任の有無を判断するための基準になるように思うのですが、とすると、判例や学説のように広く解するより、ある程度厳格な基準にする方が株主の保護となるように思うのですが、いかがでしょうか。
ご多忙のところ、大変恐縮ですが、ご教授の程宜しくお願いします。
Posted by 法2年 at 2006年05月28日 01:55
A7
〔榲の範囲外の行為を行えば、民法43条に違反するので、法令違反だと思います。「目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為」の「目的の範囲外の行為」は例示です。
∈9餡颪埜益法人改革が通れば、民法43条が直接適用されることになりますので、それを否定する見解に立つことはできなくなると思います。

Q8
現在、取締役会規則の改定をしているところであり、
取締役会にかけるべき議題として、「役員の関係会社兼務」という項目を設けようと思っているのですが、そもそも、この中には監査役は含めて考えてもいいのでしょうか。
取締役会で、当社監査役の兼任を決議をするのはおかしいような気がします。項目を設けるのなら監査役会規則でしょうか。ご指導願います。
Posted by 会社法初級 at 2006年05月28日 11:49
A8
すいません。質問の意味がよく分かりません。
監査役が、関係会社の役員を兼務することについて、取締役会の承認を要求するということでしょうか?
また、取締役会規則は、定款の委任に基づき作成するものですか?委任されているとすると、どんな事項について委任をしているのでしょうか?
もう少し詳しく教えていただければ、答えられると思いますが、前提が不明で答えられません。

Q9
 株主総会と非取締役会設置会社における取締役との関係について教えてください。
 例えば、支配人の選任・解任について、取締役会設置会社においては(定款の定めがなければ)取締役会が決定し、それに対しては、事後、株主総会で否決することはできない。一方、非取締役会設置会社においては、支配人の選任・解任は(取締役が一人の会社の場合)取締役が決定しても、事後、株主総会がその選任を否決することができるのでしょうか。
 さらに、第三者と非取締役会設置会社(取締役一人)が取引をした場合、取締役の決定と、事後に開催された株主総会での決議が異なった場合、両者(取締役の決定と株主総会での決議)はどのような関係になるのでしょうか?
Posted by 初心者 at 2006年05月28日 17:04
Q9
 非取締役会設置会社においては、支配人の選任解任は、取締役と株主総会の権限がかぶります。総会が決議すれば、取締役は忠実義務(355条。決議を遵守する義務)があるので、取締役と総会の決議が異なるときは、総会決議が勝ちます。
 通常の取引も同じですが、取引の時点で有効な業務執行の決定がされている以上、事後にそれに反対する決議をしても、当該取引は有効です。おそらく、その事後の決議には、法定効力は何もありません。

Q10
合併について取締役のに任期についてご教示ください。
「吸収合併において,合併前から存続会社の取締役であった者が合併成立後も取締役に就任する場合には,合併契約で別段の定めをしない限り,その任期は,合併後最初に到来する決算期に関する定時総会の終結時までとなる」という旨の規定が改正前商法414条の3にあったと思いますが,会社法では規定があるのでしょうか。
Posted by 短答式が終わって夜ぐっすり眠れそうな47歳 at 2006年05月28日 17:59
A10
役員の任期については、合併を行っても、何の特則もありません。

Q11
総会後に発行する「事業報告書」は、3月決算会社の6月総会(旧法対応)では、従来どおりの「事業報告書」という名前でよいのでしょうか。
来年からは「営業報告書」が「事業報告」となり、似たタイトルになり非常にややこしいのですが。
Posted by 小森 at 2006年05月29日 02:53
A11
タイトルは何でも結構です。

Q12
株式の譲渡制限について、お伺いしたいのですが、定款の規定を
「当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認をうけなければならない。但し、当会社の従業員間での譲渡、取得に関しては、承認があったものとみなす」
というように出来るものでしょうか?
Posted by 法務課1年目 at 2006年05月29日 17:31
A12
そのような趣旨の規定を定めることはできます。

Q13
旧法のもとで既に譲渡制限のある株式会社が、取締役会設置会社の定めを廃止する際、ついでに「当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する。」との定款変更及び登記をしたい場合、変更日は、つい最近まで決議日と思っていましたが、整備法76条3項をよく読むと、決議をしなくても、定款変更のみなし規定があるように思えるので、5月1日に変更になるのでは?という疑問がわいています。決議日と、5月1日と、変更日はどちらが正しいのでしょうか?
Posted by ken1911 at 2006年05月29日 21:00
A13
5月1日に「当該株式会社の承認を要する旨」の定めがあるものとみなされています。  
Posted by masami_hadama at 01:06Comments(97)TrackBack(1)

2006年05月24日

各法のバランス

 第一回の新司法試験が終了しました。
 新司法試験を受けた人は、今日あたり、どこかで一杯やっているかもしれませんが、合格するまで、未合格者ですので、ゆめゆめ「一足早い夏が来た〜」などとバカンスに行かないように。
 私の経験から言いますと、試験後も勉強を続けた人は合格し、試験後勉強を忘れた人は、かなり危ない。神様は、あなたを見ています。
 遊びに行ける人を妬んで、脅しているわけではありません(笑)。
 今後3か月のスケジュールを立て、ノルマを決め、毎日、ノルマをこなすこと。
 その努力の先に合格があるんです。本当に。

 さて、受験生向けシリーズの最終回は、各法のバランスです。

 このブログは、「会社法であそぼ」ですが、会社法ばかり勉強していても、司法試験には合格しないし、実務家としても役に立ちません。
 憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法など様々な法律をバランスよく身につけることが、受験の上でも、実務の上でも、極めて重要です。

 ところが、受験の世界では、教える方も、教わる方も、この各法のバランスということに無頓着なことが多いというのが現実。

 バランスというと抽象的ですが、簡単に言えば
(1)科目(憲法、民法・・)というX軸
(2)技術(勉強法(INPUT,OUTPUT)、事例解析法、解釈法)というY軸
(3)時間(時期)というZ軸
を三次元的に把握して、法律家としての能力を高めるスケジュールを立てるということです。

(1)科目というX軸
 先日、「司法試験と関係のない科目の予習ばかりで時間がない」という受験生さんの血の叫びがありましたが、似たようなことは、どこの法科大学院・予備校でも多かれ少なかれあります。
 教える側は、「自分の教える科目」しか見ていませんから、「この程度のことは、予習・復習してもらわないと・・」と思いがちなのですが、各科目の先生が、同じ考えで自己満足的な宿題を出すと、学生はたまりません。
 また、私の経験上、学生は、時間管理が下手で、しかも、試験科目について十分な知識がないためをもっていないために、どのような時間配分で、どのような勉強をしたらよいかが分からず、授業や答案練習のスケジュールに併せて、漫然とスケジュールを組んでいる人が多いと思います。
 本来ならば、全科目を見渡せる能力があり、かつ、学生の発達段階を熟知した人が、各科目の配分と、勉強内容を決めて、スケジュールを組んであげると、学生の学習効率はグンとあがるはずです。
 私が、ゼミをやっているときは、全科目(刑訴以外)を教え、ゼミ生の答案を毎週採点していたので、要望があれば、ゼミ生のスケジュール設計に知恵を貸したり、遅れ気味のゼミ生には、無理矢理、特別の宿題を出したりしていましたが、こうした「担任の先生」みたいな人が、司法試験界には不足しているような気がします。
 ただ、無いものねだりをしても仕方がないので、学生の自己防衛策としては
(1)初期の段階から、3か月(長くても6か月)を1クールとし、その1クールで司法試験の科目を一通りやる。
(2)少なくとも1週間に1回は、演習の時間を取り、各科目及び分野ごとに、点数を一覧表にして、自分の実力の偏りを見る。
ということにより、自分の苦手の科目・分野、出題形式を把握し、次のクールでは、弱いところを重点的に勉強するというのベストでしょう。

2 技術というY軸
 Y軸の最初は、学習方法のバランス。
 例えば、憲法は判例百選の研究、民法は内田先生の教科書をノートにまとめ、刑法は、予備校テキストをベースに論証集を作るとかいう風に、科目ごとに学習方法が違うと、いつまでも、学習方法が確立しません。
 学習方法は、法律の知識を身につけるための技術であり、一つのきちんとしたパターンを身につければ、どんな科目でも、同じ学習方法で能率的に学習することができます。
 例えば、INPUTした情報は、自分で加工しなければ、右から左に流れていくだけで身につくことはありません。
 ですから、短時間で作成することができ、後で見直しをしやすい形式を決め、どんな科目でも、同じ形式でノート化をすることが重要です。
 そして、学習が進むにつれ、未熟なときに作った部分は、随時入れ替えをしていく(知識が定着した部分については、記載を簡略化し、又は、その部分を廃棄するということも大切です)。そして、最後に
「2時間で1科目を見通せる自分のオリジナルノート」
ができれば、そのノートは、試験における最大の武器になります。
 実は、ノートでなくてもいいんです。教科書やテキストに書き込みをしたり、色分けをしたりするのでも結構。
 大事なことは、
(1)どの科目も同じ形式であること
(2)2時間で一科目全体を見直せることと
(3)それを見れば、すぐに、自分がOUTPUTすべき文章が見えてくるようになること。
です。
 また、OUTPUTについては、択一や論文の問題を解くのが一般的であり、こうしたINPUT,OUTPUTの勉強法を、各科目ごとに、同じように実行していくこと。
 これが勉強法のバランスです。

 次に、事例解析法のバランス。
 どんな科目の解答でも、問題文を読んで、適用される余地のある条文を抽出し、法の要件に該当する事実を抽出し、条文の要件に解釈を加え、事実をあてはめるというプロセスをたどります(いわゆるキリンの力)。この事例解析法も、科目ごとにバラバラに考えずに、どんな問題に対しても対応できる基本的な手法を確立していくことです。例えば、憲法の事例問題を民法や刑法の問題として解くことができるようになると、憲法自身の理解も深まっている証拠です。
 
 最後に、解釈法のバランス。
 受験生の論文を読んでいると、憲法は違憲、刑法は無罪、刑事訴訟法は違法と書かないと不合格と思いこんでいる人が多いような気がします(笑)。本人に思想的なバイアスはなくても、勉強している本に思想が入っていると、民法で自由主義的な受験生が、憲法では社会民主主義的だったりして、なかなかにアンビバレント。
 こういう状態でも、それなりの実力は身につくんですが、やはり各科目ごとによって立つポジションが違うと、見知らぬ問題に当たったときに、決断力に欠けた足腰の弱い部分が露呈して、失敗することがあります。やはり、どんな法律の解釈を考えるときも、自分の中で統一的な考え方を確立することが重要です。
 思想的なものだけではありません。
 論証の流れや用語法も、各科目の先生の個性が強くでるため、学生側は、意識的に自分の言葉、自分の論理で表現するくせをつけないと、いつまで立っても、自分の定番の解釈法が確立しません。
 こうした解釈法のバランスが気になるのは、中級者以上ではありますが、初心者のときから、一定の解釈法を確立しようと心がけると、OUTPUTのみならず、INPUTの能力も高まります。

3 時間というZ軸
 一昨日お話ししたように、発達段階に応じた勉強をすることが重要なので、まずは自分の実力を図る演習を1週間に1回は行うこと。
 もう一つの重要な時間的要素としては、試験日で、試験日から遡って、今を把握すること。
 まず試験日に何をやるかを考え、次に試験前日に何をやるかを考える。そして試験日の1週間前、1か月前、3か月前、6か月前、1年前と徐々に遡っていき、これから1か月先までのスケジュールを綿密に決める。
 このような思考回路でスケジュールを立てることにより、勉強のための勉強ではなく、実戦に役立つ勉強ができます。

(質問コーナー)
Q1
昨日のQ2について不適法な場合を含めとのお答え、当初は都合よく、そのように解釈していたのですが
以前、商事課に電話したところ「適法に」と回答されました。
従って、登記実務上は株式の全部について株券を発行していないことを証する書面として「株主名簿」を添付する場合には、株券番号が入っていて不所持申出の記載があるか、平成16年改正後に設立された非公開会社で株券発行請求がない旨の記載がないものでなければ登記は受理されないとあきらめていました。
違法不発行の会社は山ほどあるのですが、いかがでしょうか。
Posted by 中小企業の味方 at 2006年05月23日 02:10
A1
不適法であっても株券を出していないのに、その回収を公告するのは無意味です。
不適法なものでもよいということは、仲間内で話し合って決めたことなので、千問にも書いたと思います。正式な相談があったときには、調整が必要かもしれませんね。
ちなみに、16年改正前に設立された非公開会社であっても、株主の請求がない限り、株券を発行する必要はありません。


Q2
一時会計監査人の選任は監査役(会)が行いますが、取締役(会)は、この会社の重要な意思決定に対し、何もしないことが善管注意義務・忠実義務の点から問題にならないでしょうか。
例えば、監査役会の意思決定前に取締役会として、自社の会計監査人についての基本的な方針を決定し、一時会計監査人を選任するのであればそれを監査役会に対して一任するといった決議が必要ではないかと
Posted by やっと防衛策承認されたよ at 2006年05月23日 04:09
A2
取締役会は、一時会計監査人については権限がありません。むしろ、できるのならば、臨時総会を開いて、会計監査人の選任議案を提出することを考えるべきです。

Q3
今度の株主総会に会計監査人の選任議案の提出を考えていますが、会社法の344条1項3号の「会計監査人の再任しないことを株主総会の目的にする」場合とはどんなケースでしょうか?今回のように総会時の任期満了に伴う新たな監査人の選任時にはこの「再任しない」は当てはまらないと考えますが。この3号はたとえば2名いる監査人を1名に絞る場合や、大会社ではなくなるので会計監査人の監査が不要になるようなケースを想定してのことでしょうか?宜しくお願いいたします。
Posted by たかお父 at 2006年05月23日 18:43
A3
会計監査人は、1年の任期が到来しても、不再任の決議をしない限り、当然に再任されます。したがって、「任期満了に伴う新たな会計監査人の選任」のためには、「旧会計監査人の不再任議案」と「新会計監査人の選任議案」が必要です。

Q4
株式譲渡制限に関する定款変更について教えてください。
現在当社の定款には、株式の譲渡制限に関する条項が存在しますが、今回の株主総会で、譲渡の承認機関を取締役会から株主総会へ変更する予定です。
,海両豺隋⊃靴燭乏式譲渡制限を設ける場合と異なり、株券提出公告は不要と解しておりますが、いかがでしょうか?
△泙拭⊂渡承認機関を取締役会から株主総会に変更する旨の変更登記も必要でしょうか?
3式譲渡制限に関する規定を定款に設ける場合、通常は株券提出公告を行うことになりますが、この場合、定款変更の効力発生日はいつになるのでしょうか?
旧商法では、350条に従えば、会社が株券提出公告の期間を自由に設定することで、自由に定款変更の効力発生日を設定できるように読めるのですが、新会社法のもとでも、定款変更の効力発生日を設定できると考えてよいのでしょうか?
こ式譲渡制限制限を設ける定款変更を行う場合、会社法では株主に対し、効力発生の2週間前までに株主に対して当該行為をする旨を通知しなければならない(116条3項)のですが、株券を発行していなくて株券提出公告の必要がない会社の場合、定款変更の効力発生は株主総会決議の時点と解し、株主総会の2週間前に当該通知が必要となると考えるべきなのでしょうか?
Posted by カワグチ at 2006年05月23日 20:47
A4
 ‐鞠Уヾ悗諒儿垢砲弔い討砲蓮株券提供公告は不要です。
◆‥亠されている内容によります。「株式会社の承認」と登記されていれば、変更は不要ですが、「取締役会の承認」と登記されていれば、変更が必要です。
 定款変更決議において効力発生日を定めることができます。
ぁ。化鬼屬任呂覆て、20日前です。既出ですが、20日前に全株主に通知を要します。

Q5
_饉卷,里發箸任竜杣分割でも,完全親子会社間で,分割会社(親)に承継会社(子)の株式を交付しない,いわゆる無増資分割は認められると思いますが,この場合,承継会社は純資産の増分をどのように取り扱うべきでしょうか。
計算規則(63条〜)に,組織再編時の規定がありますが,これらは株式の交付が前提になっているようですので,該当しないようにも思えます。
資本金or資本準備金の増はなく,その他資本剰余金の増という取扱いということになるのでしょうか?
∋前開示事項の計算書類については,今年の場合,旧法で作成したものしかないのですが,株主持分変動計算書,注記は,別途作成して備置する必要があるのでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月21日 06:28
A5
,海譴蓮会計基準で決めることです。ちなみに、計算規則では、対価無償の場合に資本金に関する規定は適用ありませんが、のれんの規定は適用されます。
旧法で作成したもので結構です。

Q6
葉玉先生のブログをもう一度よく読み直してみて、以下のように考えを整理しました。
取締役会設置会社では、
(ア)「業務執行の決定」は取締役会の職務であり(362条2項1号)、取締役は、委任を受けない限り、当該決定をすることができない。
(イ)362条4項各号に掲げる業務執行の決定については、取締役会は、取締役に委任することができない。
(ウ)「取締役会の決議によらなければならない」という規定がある事項(178条2項等)についての業務執行の決定については、取締役会は、取締役に委任することができない。
ということになりますでしょうか。
A6
そうですね(委員会設置会社を除けば。)。なお、「取締役会の決議によれなければならない」という規定の中には、「業務執行の決定」でない事項もあります。

Q7
「論点解説 新・会社法 千問の道標」と「立案担当者による 新・会社法の解説」どちらがお薦めですか?
あと新司法試験の短答試験で「会社法」が出題されたそうですが、もしご覧になられたら、コメントほしいです。
Posted by るう at 2006年05月23日 15:57
A7
私達は書いた本は、それぞれ目的が違います。るうさんが、受験生であるということを前提にお話しすると
「論点解説 新・会社法 千問の道標」は、教科書に書いてあることで、疑問に思ったこと調べたり、会社法にどんな論点があるのかを調べたりするときの参考書・辞書的な位置づけの本だと思います。初心者には難しいし、この本だけで会社法を勉強するような本ではありません。ただ、ある程度会社法の知識のある人や、実際に会社法を使おうとする人は、必ず新たな発見があり、また、大変役に立つ本だと思います(宣伝モード)。

「立案担当者による新・会社法の解説」は、商事法務の連載をまとめたもので、旧法からどのような点が変更されたのかを調べる場合には、一番詳しい本です。ただし、省令制定前に書いたもので、修正をしていない点は注意する必要があります。

新司法試験の短答試験の「会社法」は、見たことがありませんので、コメントできません。

Q8
私は、現在独学でロースクール(既習)を目指している大学3年生です。
先生の地元?の福岡に住んでいます。
予備校選びはどのような事に気をつけてするべきか、教えてください。
Posted by ワンワン at 2006年05月23日 17:25
A8
「予備校」選びというより、「先生」選びなんでしょうね。
大学は先生を選べませんが、予備校は先生が選べるのが最大のメリットです。
松法会の先輩に聞いたり、インターネットで評判を見たりして、定評のある先生の授業をビデオで見せてもらい、「面白い」と感じる先生を選ぶことです。

Q9
葉玉先生の「葉玉レジュメ」とは、どのような内容のものだったのでしょうか。論証パターン集のようなものでしょうか。それとも100問の中で書かれてあるオウム、キリン、サイの内容が散りばめられたものなのでしょうか。非常に興味
があるので教えて下さい。
Posted by テン at 2006年05月23日 18:22
A9
葉玉レジュメには、〔隶レジュメ、一問一答レジュメ、2甬醋箍鯏レジュメがあります。いずれも非売品です。
,蓮∋例分析のチャートや、重要論点の論証のポイントを矢印でつないだもの。LEC時代に作りました。各法ありましたが、自分でも民訴が一番よかったと思います。なぜなら、当時の民訴のテキストは、あまり出来がよいものがなく、レジュメに気合いをいれないと、まともな授業ができなかったから。今の予備校のテキストを見ていると「これは、私が考えたのと、そっくり」と感じることがあります(別に著作権を主張するつもりはございません(笑))。
一問一答は、一ページの真ん中に縦線が引いてあり、右側が質問、左側が答えという形式で、1頁に10問くらいずつ問答が書いてあるもの。修習生&検事時代にボランティアでゼミをやったときに作ったもの。たまたま近くにある刑法を見てみると、総論各論併せて2700問くらいです。憲民刑があります。
は、会社法100問みたいなものです。これもボランティアゼミで書いたもの。憲民刑ありますが、平成の最初の方までの問題までしか書いてません。ちなみに刑法を見たところ280頁くらいあります。各法そんなものかな。うーん、見ていると昔を思い出します。何もかも、皆なつかしい・・・。
  
Posted by masami_hadama at 02:32Comments(23)TrackBack(1)

2006年05月23日

判例・通説

 先週は、択一試験・新司法試験と続いたので、受験生用の記事を連発しましたが、明日の火曜日までは、新司法試験なので、明日までは受験生向け記事を書きたいと思います。
 実務家の皆さんは、質問コーナーでお楽しみください。

さて、frdさんから
「旧司法試験受験生ですが、ひとつ質問させてください。
先生はしきりに判例通説で学ぶようにおっしゃており、私自身そうありたいと思っているのですが、刑訴のように判例と通説が乖離している場合は、どうすべきでしょうか?実務に付いたら刑訴の学説なんて振り回してもしようがない、なんてことを耳にすれば、今から判例乗りの方がいいのかなと思うのです。判例に即したテキストがなかなか無いのが難点ですが。先生のご意見をお聞かせください。
Posted by frd at 2006年05月22日 13:30」

 刑訴というのは、判例・実務と学説の乖離が激しい不幸な科目です。
 しかし、この刑訴ですら、判例・実務の立場で論文を書いても、絶対に落ちることはないはずです。
 なぜなら、司法試験は、実務法曹になるための試験ですから、判例・実務を書いて落ちるのならば、それは、「司法試験」として失格だからです(実際、私は、判例・実務説で書いて合格した人を沢山知っています。)
 受験生の世界は、「見てきたような嘘」がまかり通る世界(笑)であり、試験委員の入れ替えの度に、「辞めた、あの先生の説で書くとアウト」「新委員の先生は、こういう説。これならホームラン」等という噂が飛び交います。
 私に言わせれば
 「下手の考え休むに似たり。
 試験委員のご機嫌取りを考える暇があるなら、一問でも多く書いて、基本を身につけろ。」
ということに尽きており、
 学説の選択ではなく、基本的な知識を使いこなす力の有無だけが、合格を決めている
というのが、長年、合格者を見てきた確信に近い実感です。

 なお、frdさんのいうとおり、刑訴の実務的なテキストが少ないというのは残念なことですが、「検察講義案」はよくできていますので、これをベースに、百選や刑事訴訟の実務等でフォローすればいいのではないかと思います。

 ところで、昨日の記事のトラックバックで、「Gakによる若干のコメント」というブログを見て見たところ、昨日の記事について
「気になるところもある。それは、「必ず判例・通説で書かせる」との部分。
これを読むと、「判例=通説」との前提があるように思える。
昔はこれでよかったと思う。なぜなら、判例・通説が一致していたのだから。」
とのコメントを頂きました。

 ただ、「判例=通説」という図式が常に成り立つわけではないのは、今も昔も変わりません(通説も、学会通説と実務通説が分かれている場合もあります)。

 私の考える優先順位は
 最高裁の違憲判決 > 判例を変えた立法 > 判例 > 行政解釈 >通説
です。根拠は、憲法(笑)。

 なお、ここでいう、「判例」というのは、実務家が重要だと思う判例(=最高裁・東京高裁・大阪高裁の判例(たまに、その他の高裁判例))のことであり、地裁判例は基本的に含まれません(また、実務家の多くは、判決裁判官の名前を確認の上、「信頼できない」と思われる裁判官の判例は、無視します。嘘のような本当の話。)

 私が、このように判例を重視するのは、判例が、事件の解決のために考え抜かれた規範であり、実務の指針として受け入れられているからです。
 また、受験生の立場にたった場合、判例に基づく知識の整理をしておけば、択一で「判例の趣旨に従うと、正しいものはどれか」という問題を見ても、自説で肢を選べばいいので、迷わずに済みますし、論文でも、試験委員の先生に「こんな説は見たことがない」などと言われたりしないので、安心です。何より、ずっと判例で書いていると、知らない論点でも、なんとなく判例の考えそうな方向が見えてきます。
 いわば、「実務法曹としての常識的な解釈」が見えてくるのです。

 もっとも、判例にもいくつかの限界があります。具体的には
(1)個別事案の解決のために規範を定立するために、その事案以外の事実関係で適切に処理できないような規範が示されている場合もある。
(2)法律の解釈は裁判所の専権とはいいながら、当事者が全く主張していない法解釈を取ることが事実上難しい場合もあるし、当事者の主張に引きずられて筆が滑っている部分もあるので、判例が示した規範が、必ずしもベストの解釈論と言えない場合もある。
(3)裁判官が、全ての法律についてエキスパートであるというのは幻想であり、特別法などについて土地勘のない裁判官が非常識な結論を出す場合も散見される。
ということです。

 そのため、判例を形式的に解釈しすぎると、通常の実務的取扱いと齟齬が生じそうな論点もあるので、そういうところは、判例の適用範囲を限定しながら、実務上の取扱い(実務上の通説)を正当化すべき場面もあります。
 ただし、ここら辺のさじ加減は、正直言って、受験生がやろうと思っても、無理なので、優秀な指導者に教えてもらうか、開き直って何でも判例で書くかしかないでしょう。

 また、判例を書き換えるつもりで立法されたような場合も、受験生がそれを判断するのは難しく、これは、法制審議会の議事録や立案担当者の解説等を見ないと分からないでしょう(新・会社法100問は、そこら辺のさじ加減を実務家や受験生の皆さんに一刻も、早く伝えたいがために、かなり早いタイミングで出版した本です。)

 このように「判例・通説で勉強しろ」と言っても、独学では難しいところがあるのは否めませんが、優秀な指導者がいれば、既存の教科書・テキストを用いて判例・通説を学ぶことは十分可能ですし、現にこれまでの合格者の多くは、そのような勉強をしてきたのですから、教える側と教わる側の心構えとして「最初は、判例・通説で勉強する」ことの重要さを分かっていただこうと思い、昨日の記事を書いた次第です。

 

(質問コーナー)
Q1
5月20日のQ11に関連し、公開会社が譲渡制限の定款変更をする際の買取請求に関し、新株予約権の買取請求に関して教えてください。
/軍予約権者に対しても、全ての予約権者に対して通知、または公告を行う(118条3項、4項)。この通知は株主総会の招集通知と兼ねることが出来る。
株式の場合と同様、財源規制には掛からない(461条には「株式」の買取に関してしか記載がない)。
464条の業務執行者が超過額について支払い義務を負うことに関しても、新株予約権に関しては記載がないため、適用がない。
と言う風に理解しても宜しいのでしょうか?
つまり、公開会社が譲渡制限の定款変更をする際には、適法に通知・公告を行えば、後は反対予約権者の請求に応じて代金を支払うだけ、逆に言うと支払わなければならない義務がある(119条6項)と言うことですか?
Posted by ネットくん at 2006年05月21日 10:50
A1
〜瓦討凌軍予約権詐hに対して通知又は公告を行います。ただ、招集通知は株主に対して行うもので、新株予約権者に対してなすものではありませんから、通知を「兼ねる」というのは、新株予約権者が全て株主の場合のみです。公告なら一緒にやることができます。
⊃軍予約権の買取はどんな場合であれ財源規制がかかることはありません。
464条は適用ありません。

Q2
会社法219条の「当該株式の全部について株券を発行していない場合」には、株券を発行する旨の定めがあるが漫然と株券を発行していない場合(公開会社です)も含まれるのでしょうか。
旧商法からの考え方も含めて解説頂ければ幸いです。
Posted by 日産マーチ at 2006年05月21日 17:20
A2
旧商法は、株券を発行しているかどうかにかかわらず、株券提供公告は必要でした。
これに対して、219条は、不適法な場合を含めて、株式の全部について株券を発行していない場合には、公告を不要としたものです。

Q3
葉玉先生、取締役会非設置会社に関連してお教えください。
1、募集社債について
(1)取締役会を設置していない株式会社でも社債の発行ができると思いますが、この理解で正しいでしょうか?
(2)発行可能として、取締役会のない会社では、676条1項の決定は誰が決定するのですか?取締役(取締役の過半数)でしょうか、また特定の取締役に委任することも可能でしょうか?
2、取締役会設置会社では取締役会がその決定を取締役に委任できない事項とされる多額の借財、重要な財産の処分及び譲受け(362条4項)は誰が決定するのでしょうか?取締役(取締役の過半数)でしょうか、また特定の取締役に委任することも可能でしょうか?
Posted by かさぶらんか at 2006年05月21日 21:31
A3
(1)非取締役会設置会社でも、社債を発行することができます。
(2)社債発行は、業務執行の決定の一つですから、取締役の過半数が原則ですが、各取締役に委任することができます(348条2項3項)
2 取締役の過半数ですが、特定の取締役に委任することができます。348条2項3項のとおりです。

Q4
監査役会は「常勤の監査役を選定しなければならない」こととなっていますが、監査役設置会社での常勤監査役設置は可能なのでしょうか?
Posted by 空海 at 2006年05月22日 18:12
A4
会社に自治で常勤にすることは、何の問題もありません。

Q5
取得条項付新株予約権についてお教えください。
改正前商法下の消却事由が会社法下では取得事由に置き換えられましたが、この取得事由は従前の消却事由同様、会社のオプション(該当する事由が生じたときに、会社が取得するかしないかを決められる)と考えてよろしいでしょうか?会社法275条1項1号を見ると、236条1項7号の取得事由が生じた場合は自動的に取得することになるようにも取れます。としますと、自動的に取得したくない場合は、236条1項7号の取得事由を定めるところで、「○○の事由が生じた場合であって会社が取得することを決定した場合は取得することができる」というように定めることを検討しております。
または、取得事由を細かく規定せず、従前の消却事由にあったように「会社はいつでも、会社が別に定める日が到来したときに、無償で取得できる」という規定をもって対応することも可能と考えてよろしいでしょうか?
Posted by 法務ヘルパー at 2006年05月22日 18:59
A5
取得事由が生じたら、当然に会社が取得します。
ただし、取得事由そのものを株主総会・取締役会の定める日とすることができます(273条1項)から、会社のオプションとすることはできます。

Q6
小会社に会社法施行前から定款に取締役等責任限定規定がおかれている場合、整備法66条2項により『施行日後は会社法に基づく責任の一部免除に関する定款の定めとして効力を有する』と定められているいっぽう、取締役会決議をもって行う責任の一部免除に関する定款規定は業務監査権限を有している監査役を置くことが条件になっています(会社法426条)。小会社の場合でも施行日前の行為については整備法78条により損害賠償責任が発生しても一部免除の適用があると思いますが施行日後の行為については、あらためて業務監査権限を有する監査役を選任(再選含む)するまでは、会社法による責任免除規定の適用が受けられないという理解でよろしいでしょうか?(施行後、商法でも会社法でも責任免除の適用を受けられない空白期間が生じる?)
Posted by ヤサオトコ at 2006年05月22日 19:31
A6
業務監査権限を有する監査役を置くまでは、一部免除に関する議案を取締役会に提出することはできません。任務懈怠行為が、業務監査権限を有する監査役がいない時点で生じたものであっても、その監査役を置いた後には、免除議案を提出することはできるので、「空白期間」は実質的にはないでしょう。

Q7
会計上新株予約権の発行価額は会社の資本金に計上されるにも関わらず、246条3項において新株予約権に関わる債務の履行について代物弁済や相殺を認め、当該対価について284条の検査役の調査の対象とはなっていません。これは、207条9項5号の規定によって検査役の調査が免除されているという理解でよろしいでしょうか?
A7
 「会計上新株予約権の発行価額は会社の資本金に計上される」というところは、やや誤解を生む表現でありますが、それは、脇に置いて、質問に答えましょう。
まず、207条9項5号は、新株予約権の発行とは、何の関係もありません。
新株予約権の発行については、検査役の調査が義務づける規定がないから、検査役の調査はないということです。
 なお、新株予約権の行使における現物出資については、284条で検査役の調査が要求されていますが、284条9項1号は、1新株予約権について新株予約権者が交付を受ける株式が発行済株式の総数の10分の1を超えない場合には、検査役の調査が免除されるので、検査役の調査が要求されるのは、極めて限定的な場合のみです。

Q8
「30秒KISS」の女性が、先生の今の女王様なんでしょうか?
Posted by みひろ at 2006年05月21日 23:06
A8
もちろん、違います(笑)。
  
Posted by masami_hadama at 01:23Comments(12)TrackBack(2)

2006年05月21日

法学教育

受験生さんから、次のようなコメントをいただきました。

 「もし葉玉先生が予備校の先生で、ロースクール生に指導する立場だったらという仮定で教えてください。
 私はロースクール生(今年の春既習で入学)。大学では新試験とは全く関係の無い論文や判例評釈をやらされる日々で、1日自分の勉強に当てられる時間は1時間あるかないか。
 膨大に量の判例全文をただ読まされる生活で、多くの人は復習する時間もなく、ただ予習するだけの毎日です。
 新司法試験に向けては、どのようなメンタリティで、またどのような方法論で勉強を進めていけば良いのでしょうか。」

 私は、受験生さんのロースクールの指導の具体的内容を知らないので、それを批判することはできませんし、本当に「自分の勉強に当てられる時間が1時間しかない」という状態なのかも分からないので、直接のコメントを差し控えさせていただきます。

 時間は有限であり、自分の時間の優先順位をつけるのは、ロースクールではなく、自分ですから、私なら
 第1順位 大事な人との関係が壊れないように最低限の営み(笑)をする
 第2順位 自分が新司法試験で合格するために必要な勉強をする
 第3順位 ロースクールの宿題をする
 第4順位 大事な人との関係が改善されるように、少しサービスをする。
 第5順位 自分の好きなことをする。
というスケジュールを立てます。

 ですから、「ローの宿題のため自分の勉強時間が1時間しかない」という発想自体がやや間違っており、「司法試験の勉強を1日5時間やっているので、ロースクールの宿題をやる時間が1時間しかない」という悩みに変えて、宿題を出す先生に相談しましょう(笑)。それでも、司法試験に役に立たないレポート提出が義務づけられたら、1時間でやっつけ仕事をやるしかないですね。

 私は、ロースクール制度が生きるのも死ぬのも、そこで、どのような法学教育が行われるかにかかっていると思います。

 ロースクールを卒業すれば、実務法曹に必要な力を身につけることができるという前提で、その卒業を新司法試験の受験資格にしているのですから、ロースクールに2年通って卒業しても、受験予備校に2年通ったほどの法律の力が身につかないということが統計上明らかになったならば、新司法試験の受験資格を「受験予備校に2年以上通ったこと」に変更せざるをえないでしょう(笑)。
 
 きつい冗談のようですが、日本にとって重要なのは、教育機関が法科大学院か、予備校か、個人のボランティアかということではなく、「どのような法学教育を行えば、短期間で能率的にバランスよく実務法曹としての能力を身につけさせることができるか」ということだと思います。

 法学教育は、「法学」と「教育」によってなりたっています。

 「法学」の視点からは、「法律、判例の知識を身につけ、具体的事実について法律・判例等を当てはめて解決することができる力を身につけさせる」ということが要請されます。

 「教育」の視点からは、「学生の発達段階に応じて、適切な学習目標を設定し、かつ、効果的なメソッドを用いて、定められた時間内で学習目標を達成させる」ことが要請されます。

 例えば、私の経験からいえば、学生の発達段階は次の段階に分かれます。

1 幼稚園期 何の法律知識もない時代。手を離せば、あっという間に変な方向に行く頃(1科目約1週間程度)。

INPUT 簡単で分かりやすい具体例をもとに、法律の基本的な適用の仕方を説明する。論点についての解説は、ほとんど不要。予習は害悪。復習のみ
OUTPUT 1+1=2みたいな演習を行う。

2 小学生期 なんとなく法律の世界のイメージをつかみはじめた頃。先生の言うことを素直に聞く頃(1科目1か月程度)

INPUT 事例の解析手法を教える。基本的な論点について対立点及び判例・通説を教える(この時期に変わった説を教えると、次の中学生期にグレてしまう)

OUTPUT 典型的な論点ごとにマトメのノートを造らせる。
一問一答的な問題集をやらせる。
基本的な判例をさらに骨のようにした事例をもとに、論点のはっきりした論文を書かせる。
基本的な択一試験の過去問をやらせる。

3 中学生期 法律の使い方が未熟なくせに、その知識を振り回したくなる頃。理由もなく判例・通説を批判したくなる時期でもある。反抗期(1科目1か月程度)

INPUT 複雑な事例の解説手法を教える。典型論点については、総ナメする。少数説を唱えるような場合には、「そんなことは、大人になって考えればいいんだ」と叱りつける。

OUTPUT 司法試験の過去問など骨のある論文を書かせる。その際、必ず判例・通説で書かせる。
択一試験の過去問をやらせる。

4 高校生期 教師に向かって大人顔負けの探求心を見せるグループと、教師に対する無関心(自己流勉強に傾斜する)グループに別れる時期

INPUT 基本的には中学生期と同様。難しい論点について、掘り下げた解説を行う。さらに、探求心を見せる者には、判例の原文を読ませたり、本格的な論文を読ませて、研究させるのもいいが、教師が時間管理をして、基本的な勉強をさせないと、必ずバランスを崩す時期。
 無関心グループについては、まだ放任にするのは早すぎるので、必ず、指導を受けるように説得する。

OUTPUT
中学生期と同様。同じ問題を繰り返し書かせることが重要。
事例分析の手法を、本人に身につけさせるため、チャートを書かせるのも効果的。

 本当は、この次の「大学生期」まで法科大学院でできるといいのですが、きっと2年間・3年間では、多くの生徒がそこまでたどり着けないだろうと思います。
 私は、様々な年代の受験生を数え切れないほど教えてきましたが、法学部を卒業した者の多くは、幼児期、良くて、小学校低学年です。
 教育の出発点は、まず学生の能力を見抜くことです。
 学生の能力を見ようともせず、発達段階とかけ離れた授業を行い、課題を出す先生がいるとすれば、その先生は、教育者ではありません。
 もちろん「大学院生なんだから、手取り足取り教えるようなまねはしない」という思想の先生もいらっしゃると思います。
 その思想が自立心旺盛な優秀な学生の育成につながった場合には、その方は教育者としても優れた人だということになるでしょうし、学生が大学院の試験ですらまともな点を取れないとすれば、教育方法を間違っているということでしょう。
 教育者としての能力は、どんな学生が巣立っていったかによって決まります。

 古来から、弟子が優秀な人こそ、真に偉大な学者です。アリストテレスも、孔子も、吉田松陰も。仏陀やキリストだって、その一人と言えるかもしれません(学者じゃありませんが)。
 「教授」というのは、教え授けるのが仕事ですから、是非、一人一人の学生の発達段階にあわせた教育をしてあげて欲しいと思いますし、私の知っている先生には、実際にそのような教育をされている方が沢山いらっしゃいます。
 私自身は、法学教育については、現在、外野の身ですから、大きなことはいえないのかもしれませんが、司法試験に先に合格した先輩として、「勉強したい人がきちんと勉強できる環境作り」にはできるだけ協力していきたいと思っています。


(質問コーナー)
Q1
株券提供手続きに係る219条の規定において、株券提供期間の最終日を株式交換等の効力発生日としていますが(1項)、効力発生日の午前0時には株券は無効となるので(3項)、当該日にはただの紙切れとなった券面を提出することとなりそうなのですが。株式交換で言うと、交換の日の前日を提供期間の最終日としていた旧商法の規定を変更したのはどのような意図なのでしょうか?
また、これを気にするヒトが、旧商法のときのように効力発生日の前日を提供期間最終日とすることを想定した場合において、1項の規定ぶりが効力発生日以外の日を当該最終日とすることを認めないかのようにも読めるのですが、いかがでしょうか?
Posted by 以外と周辺にいる人 at 2006年05月20日 02:53
A1
 実は、株券提供公告というのは、株券が無効になることを告知する以外にそれほど大きな意味のない制度です。
 公告された期日までに、失念株主が株券を提供しない場合には、株式交換等の対価の交付を受けられないというのならば、意味があるのですが、無効になった株券は、対価の交付請求権を行使する有価証券となると解されているので、旧法のように株式交換の効力発生日の前日までに株券を提出せよという公告を出したとしても、株主は、効力発生日以降に、その無効になった株券を提示することにより、対価の交付を請求することができます。
 そういう点を考えると、会社の行為ごとに、微妙に提出期限の日を変えるより、効力発生日を提出期限とする方が、株主等にとっても分かりやすいという考えによったものだと思います。
 個人的には、効力発生日の前日を提出期限として揃えた方がきれいだと思いますが、大人の事情で、効力発生日を提出期限とし、効力発生日までは、完全子会社となる会社への株券の提出を認めようということになりました。
 このように決まった以上、効力発生日の前日を公告とすることは、法定の要件を欠いた公告になるので、株式交換の手続きに瑕疵が生ずることになりますので、ご注意ください。

Q2
 買取請求権の行使については、原則として株主総会における反対の議決権行使が必要であり、効力発生日の前日までにしなければならない(第116条第5項)とされていることから、株式会社は、株主総会を行使期間満了前に開催する必要があります。従って、株主総会の開催日を効力発生日とすることは難しいように思われます。
Posted by 内藤卓 at 2006年05月20日 04:02
A2
 総会で反対することを予定している株主は、総会で反対することを停止条件として株主総会の日の前に買取請求権を行使することができます。つまり、会社法は、買取請求権の行使時点で反対株主の要件を満たしていることを要件としていません。したがって、効力発生日を株主総会の開催日としても、買取請求権の行使の期限が株主総会の開催日の前日になるだけであり、特に支障はないように思います。

Q3
会社法施行に伴い発生する変更登記の登録免許税の話です。
当社の場合、5月中にストックオプションの変更登記がある為、併せて
 ー匈絢萃役
 監査役会設置
 2餬彜萄鎖誉瀉
という3つの変更登記を行わなければなりません。
それぞれ登録免許税が30,000円→合計90,000円発生すると司法書士から説明をうけておりますが(違っていたらスミマセン)、実態として会社は特に何もしていないのに、法律が改正されたから登記申請が必要となり、なお且つこれに税金を課している。また、この他にを登記するには会計監査人の管轄が会社と違う場合には登記簿謄本が必要となり登記印紙代が発生する、更に現在問題になっている(『官』の判断による)監査法人の処分問題についても、今後少なからぬ会社で複数回の変更登記申請が必要になるかもしれず、(財務省、法務省、金融庁で連携して)会社法施行に照準をあわせて処分を決定したのか?と穿った見方もしたくもなります。
こういった形での課税は如何なものでしょうか。ご意見を伺いたいとともに免許税免除の可能性(法改正?)は無いのでしょうか。
恐らく多くの会社では「何だか釈然としないが、この程度の金額ならまあいっか。とにかく今重要なのは会社法やガバナンスの各種対応だ!」程度で済まされるような気がしますが、こういった形での課税は単純にヘン(不当)だと思います。第一、この臨時収入の使途はどうするのでしょうか。
Posted by キャン タマボーイズ at 2006年05月20日 06:13
A3
 会社法立案時には、改正に伴う登録免許税の負担ができる限り生じないようにするため、職権で登記できるように、みなし規定を沢山置いたわけですが(中小会社は、基本的には登記は不要のはずです)、会計監査人の氏名等については、職権で登記することができませんので、申請による登記をしていただくしかありませんでした。
 この会計監査人の登記については、今後も、会計監査人が再任される度に行うものですから、初回だけ登録免許税について特別の措置を講ずる理由はなく、また、経過措置により施行後6か月以内にすればよいことになっているので、ほとんどの会社は、定時総会後に取締役等の再任の登記等と同時に、会計監査人・監査役会等に関する申請をすればよいこととしていますので、実質の負担増はあまりないのではないかと思います。
 また、金融庁の監査法人に対する処分が、この時期に行われた理由を知る立場にはありません。しかし、会社法の理屈で考えると、会社法施行前に処分がされれば、欠格事由が業務停止期間の開始日ではなく、「処分を受けた日」に突然生じることになり、定時総会に向けた会計監査をしなければならない時期に、いきなり会計監査人が不在となる上場会社が多数発生し、かえって大混乱になったものと思います。
 また、会計監査人の選任、退任(又は資格喪失、不再任等)、仮会計監査人の選任の登記は、同時に申請すれば、登録免許税のコストは増加しないはずです。
 会計監査人の登記は、会計監査人に対する代表訴訟や損害賠償責任追及のために有用なものですので、ご理解いただければ幸いです。

Q4
7月1日以降に今回の業務停止を受けた会計監査人との監査契約を解約する場合、監査役会設置会社であれば、監査役会の決議で会社法340条1項1号ないし2号の事由に該当することをもって解約する必要があるのでしょうか。ただ、7月1日をもって会計監査人は会社の会計監査人ではなくなるので、業務停止後にそれを「解任」するというのも変な感じがします。今回の場合は、業務停止で会計監査人ではなくなるが、監査契約だけは残るという極めてイレギュラーな事態だと思います。実体のない抜け殻となった監査契約を、業務執行機関たる代表取締役が解除できると考えても不都合はないように思うのですが。また、会計監査人の方から監査契約の解除の申し入れを受けて解消することも可能でしょうか(民法651条)。いずれにしても監査契約だけを維持しておくというのはおかしいと思うのですが。
Posted by もも at 2006年05月20日 11:59
A4

 まず、会計監査人は、欠格事由が生ずることにより、当然にその地位を失いますから、その後に解任をすることはありません。
 次に、監査契約は、欠格事由が生じた場合に関する特約があればそれによりますが、それがなければ、監査法人の義務は、社会通念上、履行不能になるものと思われます。
 このような履行不能状態になった監査契約の解除については、会計監査人の解任とは関係がないので、取締役会の決議(又はその委任に基づく代表取締役の決定)によって可能だと思います。

Q5
会計の専門家の方の記述を読むと、計算規則に規定がないから・・・という理由で明確に記述されていません。弥永先生の本にも、「452条に基づいてその他資本剰余金を欠損金額を減少させることができるようにも思うが、計算規則50条2項及び52条1項の文言や、54条1項4号ととのバランスからその他資本剰余金を欠損填補に充当することはできないと考える方が自然かもしれない」とあります。
その性質から考えれば、配当原資になるその他資本剰余金なのですから欠損填補もその性質から可能だと思うのですが、「規定がないから」という理由でその性質を問わず明確な解答が出来なくなって・・・。法律って難しいですね。
資本の計数の変動より、さらに気になることが発生したのですが、結局、「30秒KISS」という偉大なる目的は達成されたのでしょうか?
Posted by 会計士受験生 at 2006年05月20日 12:08
A5
 計算規則は、会計基準でできることは、全部できるように作られています。
 「欠損金額」がその他利益剰余金のマイナスという意味であれば、その他資本剰余金をマイナスし(計算規則50条2項3号)、その他利益剰余金をプラスする(計算規則52条1項3号)ことにより、それを埋めることができます。
  
Posted by masami_hadama at 02:06Comments(107)TrackBack(1)

2006年05月19日

新司法試験

 玉屋さんから、検索機能をつけて欲しいとリクエストを頂いたので、とりあえずつけてみました。ただ、最近の記事は検索できますが、昔の記事にはヒットしないようです。
 やはり、一番確実なのは、mさんのサイトから、検索用のテキストファイルをダウンロードして、WORDか、一太郎で検索という方法ですね。
 mさんのサイトは、私も愛用しております。
 私自身、このブログのバックアップを全く取っていないので、mさんには感謝感謝です。

 さて、今日から、新司法試験ですね。
 旧試験も、新試験も、試験時の心がまえは同じです。しっかりと「愛の告白」をしてきてください。

 新司法試験の鍵を握るのは、時間と決断だと思います。

 試験時間は、長丁場ですが、試験中はあっという間に時間は過ぎ去っていくもの。
 特に、論文は、書き始める前に悩みすぎると答案構成だけで時間の多くを費やして、結果的に時間不足で失敗します。
 「思い切り」も技術のうち。一定時間考えたら、勇気をもって決断し、答えを書きましょう。勇気をもって決断し、首尾一貫した答えを書くことができるならば、どんな結論をとっても、きちんと点数はつくはずです。
 また、長丁場であるだけに
「失敗した」「全然分からない」
という後ろ向きの気持ちに支配されても、大きく深呼吸を三回して


私の知らないところは、みんなも知らない。
私は、私の分かっていことを書こう。
採点者に分かってもらえるように丁寧に書こう」

と気持ちを切り替え、当たり前の条文を当たり前の解釈で書いてきましょう。
短時間で気持ちの切り替えができるか、どうかで、大きく点数が分かれます。


 それから、高い合格率に惑わされず、目の前に出された問題を、素直に、そして全力で解いてきてください。
 確かに、今年の新試験の受験生は2000人程度で、司法試験史上、最高の確率で合格者が生まれます。
 しかし、一般的な確率論は、個別の受験生にとっては無意味な議論です。
 新試験は、サイコロ勝負ではないので、能力のある人は合格し、能力のない人は落ちるという点は、どんな試験でも同じです。合格率が高いといって、勉強してない人や現場でニヤニヤしながら「今年は半分は合格するはずだから、俺も確率50%で合格するはず」等と妄想している人が、合格するほど新試験は甘くはありません。
 合格率の高さを頭の中からきれいに消し去り、全力を出した人にだけ、合格率が高いというプレゼントが待っています。
 悲観することなく、慢心することなく、平常心で問題に臨みましょう。
 至宝私見さんをはじめ新司法試験を受験する皆さん、がんばってください。

(質問コーナー)
Q1
業務停止処分を受けた監査法人について、熟慮の末変更しないとの結論をとった場合ですがゞ般劃篁濬菠中については、別法人を一時会計監査人として選任し業務停止処分期間終了後に、元の監査法人を一時会計監査人として追加選任することは可能ですか?
ダメなら最初の方に辞任していただくことになりますが・・。
また、,琉貉会計監査人を選ぶ実質的理由は欠員を避けるという理由のためなので、規模や人員などにおいて監査能力にやや問題がある会計監査人を選任したとしても監査役の善管注意義務に反しないと考えてもいいでしょうか(贅沢は言っていられない状況です)。
それとも、無理に別法人を選任しなくとも、結果的に一時会計監査人すら探せない状況として、2ヶ月の空白期間があってもよい、という判断もありうるのでしょうか。
Posted by 参事官室によく電話する人 at 2006年05月18日 16:58
A1
 どの程度のことを行えば、選任の手続きを怠ったと言われないのかは、事実認定の問題なので、お答えすることができません。
 一般論としては、一時会計監査人を複数選任することは可能ですし、最初の一時会計監査人だけでは適正な監査が困難な場合に、追加して一時会計監査人を選任することもできます。

Q2
 会計監査人が7月以降いなくなる場合の会社について、一時会計監査人で翌年の定時総会までひっぱろうとする動きがありますが、その間取締役会が会計監査人を選任する努力をしなければならないのは当然として、一般的にみて「一時」とはどのあたりのことをいうのでしょうか。このような場合も「一時」といえるのでしょうか。
Posted by R at 2006年05月18日 17:18
A2
一時会計監査人は、会計監査人が選任されるまで、任期があるので、「一時」がどのあたりまでかという質問はややミスリーディングです。
むしろ会計監査人の選任を、どの程度遅らせることができるかという話だと思います。
仮取締役等を裁判所で選任してもらうときには、俗に6か月ルールというのがあって、6か月を超えるような場合には、臨時総会で選任してくれという運用が多いです。
 しかし、仮会計監査人は、監査役会で選ぶので、そこらへんは、6か月にこだわる必要はありません。確か、実務相談には、次の定時総会まで大丈夫と書いてありました。かつての法務省の担当者がそう言っているのならば、そういう見解も有力なのだろうと思います。

Q3
会社法218条、219条などでたびたび出てくる「効力を生ずる日」は、決議事項と考えてよろしいですか?
A4
218条は、定款の変更の効力発生日なので、定款の変更決議で決めます。
219条1校各号の行為の効力が生ずる日(219条3項)は、それぞれの行為を定める規定で効力発生日の定め方が決められています。

Q4
取締役会設置会社において、株式譲渡制限設定に関する定款変更を行う場合、定款変更にかかる総会の前(約1か月前)に公告、通知手続を行うことは可能でしょうか?
例えば、定款変更にかかる総会を7月10日に設定し、取締役会開催日を5月31日とし、決定翌日(6月1日)に公告、通知手続きを先行させる。可能でしょうか?
公告通知について、旧商法では決議後でしたが、会社法では効力発生日を基準とし、総会の前後を問わないとの理解でよろしいでしょうか?
Posted by 123 at 2006年05月18日 21:02
A4
調整マターではありますが、総会決議前であることが分かるならば、総会前でも、公告・通知は可能であると思います。

Q5
会計士受験の予備校の教材で374条の解説で『会計参与設置会社においては、取締役(執行役)と会計参与の意見が一致しない限り、計算書類は法律上作成されない』とされています。とすると、377条に規定されているような『会計参与が取締役と意見を異にするとき』という状況は成り得ないのではないかと思うのですが、その点について一つ解説をお願いします。
Posted by カリフォルニア at 2006年05月18日 22:23
A5
計算書類が作成されないと定時株主総会も開催できませんが、臨時株主総会を開催して、事態を打開すること(取締役か、会計参与を解任する等)が考えられます。377条は、その臨時株主総会等において、会計参与に意見陳述権を認めたものです。


Q6
_饉卷252条4項「株式会社の親会社社員は」同5項「前項の親会社社員について」の「社員」ってなんですか?
株主よりも広い概念なんでしょうか?
有限会社法の亡霊を見るようで眠れません。
A6
31条3項で、親会社社員とは、親会社の株主その他の社員をいうと定義されています。例えば、親会社が持分会社であれば、持分会社の社員が親会社社員になります。

Q7
委員会設置会社の執行役は「役員」に入るのですか?ちがいますよね?では「使用人」なんでしょうか?
Posted by 葉玉クラスの講義を受けたかった at 2006年05月18日 22:25
A7
執行役は、役員でも、使用人でもありません。執行役という機関です。


Q8
持分会社から取締役会設置会社とする株式会社への組織変更はできるのでしょうか?
それとも、一度非取締役会設置会社として組織変更してから、取締役会設置会社とする変更をしなければならないのでしょうか?
組織変更の効力発生日前には、取締役会は存在しないので、代表取締役を選定できないのではないかと疑問に思います。
あと、新設系の組織再編では、設立時取締役が設立時代表取締役を選定できるという根拠条文は、会社法47条で良いのでしょうか?
Posted by パラリーギャル at 2006年05月18日 09:25
A8
 持分会社から取締役会設置会社に直接組織変更をすることはできます。

 新設型再編の設立時取締役等については、例えば、新設分割設立会社の設立時取締役は、新設分割計画の定め(763条3号)に従って選任され、新設分割設立会社の代表取締役は、当該設立時取締役の過半数をもって選定されます(47条3項)。
 会社法では、新設型再編は、会社の設立の一態様として整理をすることとしているため、新設型再編を行う場合であっても、原則として、設立に関する規定が適用されることとなっているからです。
 なお、設立時代表取締役を、あらかじめ定款により選定することは差支えないことから、新設合併計画の作成時に、新設分割設立会社の定款において代表取締役の選定に関する事項を定めることにより(763条2号)、代表取締役を選定することもできます。

Q9
株券不発行会社の場合、株式質の設定を第三者に対抗するためには登録が必要となりますが、この場合、後順位の株式質の設定及び対抗要件の具備は可能なのでしょうか。株券が発行されている場合は、これを動産質に引きつけて考え、第1順位の質権者を占有者として指図による占有移転を行うことで第2順位の質権を設定し、さらに対抗要件を具備するということも行われてきたように思いますが(民法355条参照)、会社法には株式について後順位の質権について言及している箇所はないように思います。民法の権利質の規定が適用になると考えると、民法362条2項の規定により民法355条が適用され、後順位の株式質も設定できるようにも思えますが、いかがでしょうか。会社法は、例えば民法364条については明文の規定で排除しているので、それ以外は民法の規定を排除するものではないと考えてよいのでしょうか、
Posted by さくらんぼは佐藤錦 at 2006年05月17日 01:35
A10
質権の対抗要件を具備することが可能であれば、第二順位の質権も設定可能でしょう。たとえば、株券発行会社は、株券の継続占有が対抗要件なので、指図による占有移転の方法が採れれば、それで一応大丈夫ではないかと思います。ただ、株券不発行会社は、なかなか難しいところです。社振法を作っているときに、かなり研究したのですが、民法の後順位質権がどんな効力を持つかということ自体、なかなかきちんと論じられていないため、旧商法の規律をあえて変えるようなことはしませんでした。

Q11
会社法の大家の葉玉先生にこういう質問は申し訳ないのですが・・・
初学者が訴訟法を学ぶ(実体法はある程度知識があるとして)のに、お奨めの教科書はございますか?
Posted by ネットくん at 2006年05月18日 19:45
A11
私は、会社法の大家さんではなく、LEC時代は、民訴で一世を風靡した男です(笑)。葉玉の民訴レジュメといえば、45期から数年間は、民訴選択者(昔は刑訴と選択制でした)に広く愛用された名品でしたが(自画自賛)、いかんせん、改正前の民訴ですので、そのままお配りすることもできません。
 最近は、民訴の教科書や予備校のテキストをめっきり読まなくなったので、お勧めするものはないのですが、最近の裁判所の書記官研修用のテキストは、よく出来ていると思います。これと、過去問なんかをやれば十分じゃないでしょうか。

Q12
このHPの笛吹きの人形?は、一体何物なのでしょうか?
実はプレゼントでいただいたガラスのペーパーウェイトの中に
この笛吹きの人形がサボテンと共に描かれているのです…
正体はご存知でしょうか…?
Posted by 人形とサボテン at 2006年05月17日 00:57
A12
 彼は、ココペリです。アメリカ南西部の岩絵に描かれたので、西暦200年から16世紀まで長きにわたって描かれてきたものです。ココペリのココは、神という意味で、ココペリは豊作をもたらし、幸運を呼び込む収穫の神だそうです。
 会社法であそぼを読んで、沢山の収穫を得て幸運を呼び込んでもらおうと思い、ブログの顔として笛を吹いていただいております。


  
Posted by masami_hadama at 01:41Comments(19)TrackBack(0)

2006年05月18日

初心者用論文勉強法

 先週・今週で、上場企業の総会の議案決定のための取締役会がひととおり終わったようなので、法務担当者は、頭を使う作業から、肉体労働に切り替わっているようです。
 今週に入って、わが職場にやって来る質問の量と質が、かなり変化しているのは、総会招集の準備のピークを超えたからなのでしょう。

 実務にちょっとだけ一服感が出たところですし、最近は極めてマニアックな実務的質問が多かったので、今週は、司法試験受験生を念頭においたブログを書いています。

今日は、トンペイさんから
「現在法律の勉強を始めて2年目で、そろそろ論文の勉強を始めようと思っています。しかし、具体的な論文の勉強の仕方がよくつかめません。実際に書くのは時間がかかるから、答案構成にとどめる、など言われているようなのですが、答案構成の仕方もよくわからないので、それについて教えてください。」
という質問をもらったので、論文作成能力をどのように身につけるかという点についてお話ししたいと思います。

 中学・高校時代、「日本人なんだから、国語なんて勉強しなくてもなんとかなる。だから、数学や英語に時間をかけろ。」という都市伝説を聴いたことはありませんか?

 勉強をサボる理由は伝染病のように広まりやすく、治癒しにくいため、一旦、その都市伝説を信じると、社会人になるまで国語を勉強しようという気にならなくなるのですが、そういう人は、いざ、社会に出て「葉玉君。○○さんへのお礼状を起案してね」「今度の企画のリーフレットを作って!」などと命じられたとたん、
「きちんとした文章を書くのって、こんなに難しいんだ。」
と愕然とすることになります。

 試しに、片思いのあの人にラブレターを書いてみましょう。メールはダメです。便せんに手書きです。
 この際、相手は、エビちゃんでも、ゆうこりんでも、もこみち君でも、マツケンでもいいから、少し高めの理想の人に、熱い思いを文章にしてみてください。

 1 どのような書き出しをすれば、相手にこの手紙への関心をもってもらえるか。
 2 どんな言葉で自己紹介すれば、自分に好印象をもってもらえるか。
 3 どんな流れで、「好きです」という文章につなげるのか。
 4 どんな修辞をすれば、「好きです」という真剣な気持ちが伝わるか。
 5 「相手に何をしてもらいたいのか」という結論を、きちんと相手に理解してもらえるか。

 以上の5点に注意してラブレターを書こうとすると、なかなか言葉が出てこないことを痛感できます。
 また、自分に文章力があるかどうかを試したければ、書いた後、声に出して読んでみましょう。

 「ぐわっ、これは、恥ずかしくて、とても相手には出せない」

と、これまでの人生で味わったことのない恥辱感にまみれた人は、書くスキルが不足しているのでしょうし

 「これを読めば、エビちゃんは、俺にメロメロだ。」

と思った人は、読むスキルが不足していると考えられます(笑)。

 別にラブレター教室をはじめるわけではないのですが、司法試験の論文も、ラブレターも、要点は同じであり
1 相手の関心を的確に捉え
2 自分の考えた筋道を、わかりやすい(=論理的で平易な)言葉で表現し
3 相手の関心に対して、端的に答えて、相手を満足させる。
というのが「書くスキル」の本質であると思います(ここらへんは、新司法試験や論文試験を控えている皆さんも、もう一度、かみしめて欲しいところです。)

では、そうした「書くスキル」を身につけるための勉強法は、何か?

・・・それは、新会社法100問の末尾に載っている「本書を使った勉強法」を見てください。

と宣伝した上で、勉強2年目であるというトンペイさんのために若干カスタマイズすると

1 これから半年間は、毎日1時間、「簡単な問題」について論文を書く時間を作ろう。
2 最初は、論点を落としたかどうかを気にするよりも、必要な条文が、ちゃんとした順番で出てきているかどうかをチェックしよう。
3 個別の論点については、長々と書くのはやめ、言葉足らずでもいいので、せいぜい200字くらいの短い文章で書いてみよう。

ということになるでしょう。

 トンペイさんが、この1年間、論文を書いていないとすれば、はっきり言って、この1年の勉強の成果は、「何も身についていない状態」だと思います。下手でもいいから、限られた時間で論文をOUTPUTする。これをやらないと、何をINPUTして良いかも分からず、漫然と法律を勉強したつもりになっているだけです。

 「論文を実際に書くのは時間がかかるから、答案構成を・・」というのは、大間違い。
 答案構成は、論文を書くための骨格ですから、論文の仕上がりについて具体的なイメージを持てない人が、骨格だけ勉強しても、大腿骨を腕につけるようなことになるのは、目に見えています。

 そもそも「実際に書くのは時間がかかる」というところに、私はスゴーくひっかかりがあって、「1時間以内に1問書くのだから、時間はかからない。」というのが持論です。
 新司法試験の問題の最終形は、プレテストなどを見る限り読むだけで非常に時間がかかるので、1時間では無理でしょうが、初心者のトレーニングで、あの問題をやるのはナンセンス。
 演習書等に載っている基本的な問題について、1時間と決めて、その時間内に書けるものを書く。1時間で終わらなくても、そこで打ち切るというのが、初心者の論文勉強法の定番でしょう。
 論文の勉強で重要なのは
 1 書くこと自体に対する心理的障壁が取り除く
 2 自分なりの分析・論証パターンを確立する
ということであり、これらは、実際に書くこと以外に身につける方法はありません。
 この基本的な1時間の勉強をやった上で、オウムの力、キリンの力、サイの力(新会社法100問参照)で触れた勉強をすれば、半年後には、まず間違いなく基本的な論文作成能力は身についていることでしょう。私が保証します。

(質問コーナー)
Q1
 反対株主の株式買取請求権に応じて株式会社が株式を取得する場合は、自己株式の取得にはあたらないのでしょうか。
 155条各号において、自己株式の取得を限定列挙していますが、その中に、株主総会決議に反対した反対株主の株式買取請求に応じて株式を買い取る場合の116条や469条があげられていません。
Posted by T at 2006年05月17日 13:45
A1
施行規則27条5号・会社法155条13号に買取請求権に応じたときが掲げられています
Q2
□単元未満株式の買取請求に会社側が応じなければならない義務はあるのでしょうか。
116条に規定する反対株主が株式買取請求をした場合には、その代金を支払わなければならない(117条1項)とされ、代金の支払いの時に効力が生じるので(117条5項)、株式買取請求に応じ株式を買取る義務があるかと思います。また、譲渡制限付き株式の場合に、取得することの承認について承認をしない旨の決定をしたときは、買い取らなければならない(140条1項)とされ、ここでも買取る義務が明示されています。しかし、単元未満株式の買取請求に関しては同様の規定が無いようにも思えます。この場合、単元未満株式の買取請求に会社側が応じなければならない義務はあるのでしょうか。また、それに関しての明文上の根拠は存在するのでしょうか。
Posted by T at 2006年05月17日 13:45
A2
 条文の読み方に誤解があります。
 買取を請求することができるという規定は、当然、請求があったときには、会社は買取をしなければならない義務を生じさせるということを意味しています。
117条1項は、買取義務を生じさせる規定ではなく、代金の支払時期を定めた規定です。
140条1項は、買取請求ではなく、譲渡承認請求があった場合の規定であり、譲渡承認請求からは買取義務は発生しないので、承認拒否を要件として、買取義務をかけているのです。

Q3
募集株式の割り当てにおいて、株主の有する株式の数に応じて株式を割り当てる必要があるか。募集株式の発行をする場合において、株主に株式の割り当てを受ける権利を与える場合には「株主は、その有する株式の数に応じて募集株式の割り当てを受ける権利を有する」(202条2項)とされ、割当を受ける権利に関しては有する株式数に応じた権利が付与されているかと思います。しかし、割り当ての段階になると、同様の規定はありません。すると、株式会社は申し込み数に応じた株式を割り当てることなく、取締役会決議のみで、恣意的に特定の株主に株式を取得させることが可能になってしまうのでしょうか。これを避けるために、申し込み数に応じてという制約を課す必要があるかと思うのですが、これは204条からダイレクトに読み込むことが出来るのでしょうか。それとも、株主平等原則(109条1項)などの条文を根拠に204条に読み込むのでしょうか。
Posted by T at 2006年05月17日 13:46
A3
 株主が株式の割当てを受ける権利を行使した場合には、当該株主は、当然に募集株式の引受人になるので、204条1項等の割当の手続に関する規定の適用はありません。

Q4
/軍予約権無償割当て(277条以下)で、行使期間について、例えば「無償割当ての効力発生日から2年間」と定めた場合、無償割当てを受ける株主に対する通知(279条2項、126条)が行使期間の初日の2週間前までに要求されていることとの関係上、無償割当ての効力発生日に当然に通知義務の懈怠に陥ることとなってしまう(976条2号)のではないでしょうか。
基準日を設定して、当該基準日を無償割当ての効力発生日と定めると、これに先立って株主に対し個別の通知を行うことは実務上困難とも思われ、実際のところ上記のような行使期間の定めはすべきでないと考えられますが、いかがでしょうか。
Posted by KT at 2006年05月17日 15:45
A4
「無償割当ての効力発生日に当然に通知義務の懈怠に陥ることとなってしまう」というところが、意味が分かりません。行使期間の初日が効力発生日であるとすれば、その効力発生日の2週間前までに通知をすればいいのではないでしょうか?
 質問後段についてですが、「基準日=効力発生日」とすると、おっしゃるように、上場企業では、基準日の2週間前に割当ての通知をすることは事実上無理ですから、効力発生日を遅らせる必要があると思います。

Q5
商法第280条ノ5ノ2第1項但書による授権決議の会社法施行後の効力について、結論は出ましたでしょうか?
Posted by イカ at 2006年05月16日 10:48
A5
遅れてすいません。授権決議は、株式の発行の決議の一種ですから、施行前に授権決議があった場合には、整備法98条により、その授権決議に基づく新株発行については、旧法の例によります。

Q6
会社が剰余金の配当や新株発行を株主に対して行う場合、「業務執行」に当たるのでしょうか。また、その際、代表取締役が会社を「代表」してかかる行為を行うのでしょうか。
Posted by たけし at 2006年05月15日 22:35

A6
・剰余金の配当も新株発行も、業務執行(その決定は別)にあたるでしょう。
・剰余金の配当は、契約ではないので、代表権は不要です。
・新株発行においては、申込み及び割当により新株発行契約を締結するので、会社側は代表取締役が行為を行う必要があると思いいます。

Q7
旧商法における新株予約権原簿は、会社法の新株予約権原簿とみなされないと考えることは正しいでしょうか。
正しいとすると、旧商法下における新株予約権原簿は作り直さないといけないのでしょうか。
Posted by 法務部猛虎課今岡担当 at 2006年05月15日 13:39
A7
みなし規定はありませんが、新株予約権原簿は、旧法の規定に従った記載内容であれば、一部、新法に特有の部分を書き込むことにより、新法の規定に従った新株予約権原簿になります。

  
Posted by masami_hadama at 06:13Comments(85)TrackBack(1)

2006年05月17日

千問書名 当選者発表

 書名を公募しながら、出版時期が延び延びになること幾星霜。
 オオカミ少年と罵られながらも、我々が渾身の力を込めて書き下ろした「千問」の出版予定が、ついに決まりました。
 その名も

   論点解説 新・会社法
     千問の道標 

 商事法務から出版されます。
 6月14日あたりには全国の有名書店に並ぶ予定ですが、一部の書店では、6月7日ころには、店頭でお買い求めいただけると思います。
 編著は、相澤哲・葉玉匡美・郡谷大輔という強面の三人衆。
 著者は、立案担当の局付・元局付・調査委員すべてという豪華キャスト。
 約1000ページの上製本でありながら、価格は、なんと
 税込4410円(税抜4200円)。
 専門書の常識であれば、1万円を軽く超える1000頁本であるにもかかわらず、こんな値段を設定できるのは、人件費の安い編著者を使うことにより、大幅にコストダウンした結果でございます(笑)。
 
 この「千問」のウリは、次のとおり。
1 会社法・最新の会社法施行規則・会社計算規則に完全対応した唯一の実務Q&A集(補欠役員、総会の手続、防衛策、計算、合同会社など類書ではあまり触れられていない分野も、徹底解説)。

2 企業法務・証券発行・計算・登記その他、実務上解決しなければならない典型的な問題や難問について、会社法立案担当者が明快に答える。

3 会社法の知識がいまだ整理できていない方のために、多種多様な図表により、会社法の全体構造の理解を助ける。

4 会社法を使いこなそうという意欲のある方に、「この条文には、こんな使い方もあるんだ」という秘伝を伝える。

5 会社法辞典・コンメンタールとしても使えるようにするために、充実させた索引・条文索引

6 「会社法であそぼ」によるアフターサービス付(笑)

「旧法についてごく基本的な知識のある人が、会社法の実務をやるときの手引きとなり、読み込めば、会社法の達人にもなれる定番の本」を作りたくて、練りに練った意欲作。
それが、「論点解説 新・会社法 千問の道標」です。

 商事法務の連載と重なる記述も若干ありますが、どの部分も大幅にパワーアップしていますし、連載後に寄せられた数々の質問にも、もれなく答えています(ただし、一時的な経過措置は、経過措置本にお任せしています。端株や特例有限会社に関する重要論点は載せています)

 また、このブログで聞かれた質問のうち汎用性のあるものを、かなり取り込みました。これで引用元として「葉玉ブログ」ではなく、「相澤他編著 論点解説」と書くことができるようになります(笑)。

 さらに、これまで論じられたことが無かった新しい会社法上の論点についても、真剣に考えて回答していますので、この本でしか読めない記述が多数。

 私が言うと、ただの宣伝になりますが、会社法に携わる弁護士さん、公認会計士さん、司法書士さん、税理士さん、法務部の方は、買う買わないは別として、一読されることを強くお勧めします。

 なお、この千問は、一から会社法を勉強するための本ではないので、初心者にはお勧めできませんが、ロースクールで会社法を勉強されている学生の皆さんは、事例に則して、会社法を活用していくためには必要不可欠な問題が沢山載っていますので、是非、参考にしてください。教科書で勉強して分からなかったところ、もっと具体的に知りたいところを調べるのに役に立つと思いますし、載っている図表を理解するだけでも、高い学習効果が得られます。

 旧司法試験組の皆さんにとって、この本が必要かというのは、会社法をどの程度マスターしたいかということによります。
 「会社法は12分の1だから、平均点のちょっと上が取れればよい」という方は、この本を読む必要はないでしょう。
 逆に「どんな問題がでても、それなりに対処できるように会社法を理解しておきたい」「将来、弁護士として企業法務もやってみたい」という人にとっては、必携の本だと思います。発売後には、新会社法100問と千問の道標の相互参照をこのブログで発表する予定です。

 以上、今日は、徹頭徹尾、宣伝モードでございましたが、ここ半年、私の貴重なオフタイムを削り続けた千問からやっと解放される喜びが爆発しておりますので、ご容赦ください。

 最後に、「本の名前をつけてください」キャンペーンの当選者の発表です。
「論点解説」は、残念ながら応募作品の中にはありませんでしたが、副題である「千問の道標」につきましては、
 『会社法 1000の道標』という題名で応募していただいた「まやま」さん
を当選者といたします。
 「千問の道標」は、法律書っぽくないところと、「私達は、道標をつけるだけ。実際に、会社法の道を歩き、さらに道を切り開いていくのは、読者の皆さんだ。」というイメージがすごく気にいったので、副題とさせていただきました。

 また、千問の帯の中で「ツールボックス」という言葉を使わせていただきました。
 「この本は、お上が規制内容を説明するような本ではない。皆さんが会社法を使いこなす上で必要な道具箱に過ぎない。」という趣旨のことを伝えたかったからです。
 そこで、審査員特別賞を
「会社法ツールボックス」という題名で応募していただいた「みいな」さん
に授与いたしたいと思います。
 
「まやま」さんと「みいな」さんには、副賞として
「葉玉を適当に使ってよい券」
が贈呈されますので、「shomeitousen@yahoo.co.jp」に、メールをいただけたら幸いです。
 詳しいことは、そのメールでやりとりしたいと思います。

 残念ながら、今回、選にもれた応募者の方も本当にありがとうございました。
 また、何か企画をしますので、そのときも多数のご応募をお待ちしております。


(質問コーナー)
Q1
監査役会設置会社において、会社法第2条16号に定める社外監査役要件を形式的に満たす者については、例外なく(強制的 に)社外監査役としての登記が必要であると理解しています(会社法第911条18号)が、宜しいでしょうか。
 その一方、会社法施行規則第2条3項8号ロ(1)には「会社法第335条第3項(監査役会設置会社)・・・の社外監査役であるものとする予定があること」と書かれており、第335条第3項の社外監査役として取り扱うか否かは任意的なもの、とも読めます。同旨のことが、商事法務No.1762の法務省令解説(4)10頁中段以降にも書かれていますことから、形式的に社外監査役要件を満たすものであっても、監査役会設置会社において「(社外監査役」や「社外役員」として扱わなくてもよい場面があるのかどうか・・・、混乱してしまっています。
A1
監査役会設置会社について、法律上必要な社外監査役の数については登記が必要ですが、それ以上は、責任限定契約など社外監査役としての効果を生じさせない限り、その監査役について社外監査役としての登記は不要です。詳しくは、千問に書いてます。

Q2
「取締役〜〜なったことがないもの」と規定しておりますが、この「取締役」は
社外取締役を含むのでしょうか?
A2
文言どおり、社外取締役であれ、一旦、取締役になった以上、社外監査役になることはできません。そこは、社外取締役の社外性と異なるところです。

Q3
ストック・オプションの付与の流れとして、(臀源項の決定(238条1項)→∧臀源項等の通知(242条1項)→0受けの申込み(242条2項)→こ篥個数等の決定(243条1項、2項)→コ篥個数の通知(243条3項)→Τ篥て、という流れはできると思いますが、実務上,鉢い箸2回の取締役会を開催することは困難なこともあります。
そこで、(臀源項の決定+こ篥個数等の決定→∧臀源項等の通知→0受けの申込み→コ篥個数の通知→Τ篥て、という流れとしたいと思っています。この場合、こ篥個数等の決定は、付与対象者から●個の新株予約権の申込みがあることを条件として、当該付与対象者に●個割り当てる、という条件付決議となると思っています。このような条件付のこ篥個数等の決定の取締役会決議が会社法上できない理由はないと思うのですが、いかがでしょうか?なお、244条を利用することは考えていません。
Posted by てぃ at 2006年05月16日 02:36
A3
まあ、条件付決議の内容次第ではありますが、そういうこともできると思います。

Q4
会社法施行規則2条3項18号の「特定関係事業者」の定義に「主要な取引先」という言葉が出てきますが、これはどのように考えればよいのでしょうか。
例えば、会社の売上高に占める割合が10%以上の顧客(企業)の場合、通常は、その顧客は主要な取引先に該当すると考えるべきでしょうか。
Posted by ダ・ピンチ at 2006年05月16日 07:09
A4
主要な取引先とは、会社の行う仕入れ,販売,資金調達等に関する取引の中心となっている相手方のことをいい,メインバンクや売上高の大きな部分を占める販売先等がこれに当たります。会社の規模等によっても異なるので、売上高10%という数字だけでは何ともいいようがありませんが、主要だと思えば、書いた方がいいでしょう。

Q5
昨日のQ4についてですが、会社法第427条の「定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額」のあらかじめ株式会社が定めた額というのは、具体的契約をする際に決定された金額を指すのだと思っていましたので、それはもともと取締役会等で決定するのだと考えていましたが…。
HOMEさんの質問は「定款で定めた額」を「金○○円以上」という表現ではなく、「最低責任限度額以上」で置き換える事が可能か、ということだと思うのですが、それは無理ということですね?
Posted by 万年補助者 at 2006年05月16日 09:19
A5
そういう意味だとすれば、最低責任限度額は客観的に定まるので、そのような定めは可能です(これは、以前どこかで答えような記憶があるのですが・・)

Q6
種類株主総会と書面投票制度についてご教授ください。
種類株主が1名の会社が、書面投票制度を採用して種類株主総会を開催する場合において、その唯一の種類株主が書面投票で議決権を行使し、総会には出席しない場合、種類株主総会は成立したといえるのでしょうか?総会には株主の出席がなく、会議体として成立したとはいえないのでしょうか?
325条が準用する298条1項3号は「株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使できることとする…」と規定されており、書面投票により議決権を行使した場合は、総会に出席したとはいえないと思われます。
Posted by 法務課員 at 2006年05月16日 13:55
A6
書面投票分は、325条において準用する311条2項で、出生した株主の議決権の数に算入します。

Q7
取締役会非設置会社における取締役の利益相反取引については、356条により「取締役は株主総会の承認を受けなければならない」とあります。この「承認」とは、普通決議要件で承認があれば足りるという意味でしょうか?
Posted by ヤサオトコ at 2006年05月16日 18:32
普通決議です。

Q8
> 定款で、任期を10年と定めた場合に、それを株主総会の決議で短縮するのは、332条の問題ではなく、その定款の解釈によります。定款が、短縮を認めているのならば、可能ですし、認めていないならば、不可です。
 定款に、株主総会の決議で短縮を認める旨記載されていたら、取締役の短縮は可能。それでは、監査役についても、定款に短縮を認める旨の記載がされていたとしたら、短縮は可能ですか?
監査役については、「短縮することを妨げない」但し書きは存在していません。なぜ、監査役には、但し書きが存在していないのでしょうか。
Posted by ノンノン at 2006年05月16日 19:42
A8
若干、誤解があるようですので、詳しく説明すると
監査役の法定の任期4年は、定款をもってしても短縮することができないのが原則です。
例外は、補欠監査役のときのみ。
ノンノンさんのご質問は、10年に延長する場合に、6年とか4年とかに「短縮」することができるかという話だと思います。
これは、「短縮」というより「法定の任期4年を、10年延長するか、2年延長するか、延長しないか」という延長の度合いの問題ですから、定款で定めることができます。

Q9
〜躋主の半数以上であって、∩躋主の議決権の4分の3以上という株主総会の特殊決議(309条4項)について質問させていただきます。廃止された有限会社法48条1項と同じ規定ですが、廃止された有限会社法48条2項では、「議決権を行使できない社員」は、上記の,鉢△里い困譴砲盪仔しないと規定されていました。会社法には、有限会社法48条2項に相当する規定がありません。としますと、会社法309条4項は、「議決権を行使することができない株主」も、当該定款の変更については議決権を行使でき、上記の 疇数要件と◆甬跳荼⇒弖錣痢屬い困譴砲いても算入する」ということになるのでしょうか。お忙しいところ、宜しくお願い致します。
Posted by help at 2006年05月16日 20:33
A9
母数としての総株主には、議決権を行使できない株主も算入するが、議決権を行使することができない株主は、やはり議決権を行使することはできないという解釈だったと思います。

Q10
会計監査人に関する質問です。7、8月の金融庁の行政処分が終わるまで一時会計監査人を選任せず、9月1日に中央青山をを一時会計監査人に選任し、来年の総会で正式に選任することとした場合、2ヶ月間も一時会計監査人を選任しないでおいてよいのか、当局から行政処分を受けるような監査法人を会計監査人に選任することは義務違反にならないのか、という問題は当然生じるかと思います。実際に、急に他の監査法人に依頼して引き受けてもらえるものか、という懸念があり、このような現状を説明したとして会計監査人の不在がどの程度許容されるものであるか不明であり実に悩ましいところです。先生はどうお考えになりますか。
Posted by 山茶花 at 2006年05月16日 21:26
A11
個別の問題は、私は答えられません。一般論をいえば、会計監査人・仮会計監査人の選任手続を「怠った」と評価されるかどうかが問題なのですが、積極的に一時会計監査人を選任しないという態度は、故意に「怠った」ことになりそうですが、会計監査人を捜したけれども、見つからなかったら、「頑張ったのだから、怠っていない。」という感じになりますね。


  
Posted by masami_hadama at 01:15Comments(70)TrackBack(0)

2006年05月15日

もうダメだ〜

 私は、長年受験生の指導をしていたので、択一直後に、受験生が発する
「もう、ダメです〜」
という声を、腐るほど聞いてきました。
 私は、その度に
「で、何がダメなんだ? 法律家になるのを辞めたのか?
 辞めると決めてないなら、勉強しろ。」
と叱咤してきました。

 択一の問題の持ち帰りが可能になり、予備校が答えを配ったりするので、今頃は、「安全」、「微妙」、「ダメ」というのを、つい自分で判断しがちになるんですね。

 しかし、私に言わせれば、そんな自己採点や自己判断は、2つの点で、無意味です。

1 まず、まだ正式な合格点すら決まっていないのに、なぜ勝手に「合格推定点」を決めて、自分で落ちたと判断するのか、不思議でたまりません。
 あなたに、ちょっとマゾが入っていて
「ああ、私は落ちたみたいだぞ。ああっ。なんという絶望感!、なんという快感!」
というのならともかく、
 「不合格が決まるまでは、合格可能性はある」
という大原則を忘れてはいけません。
 受験指導者時代、毎年、必ず「落ちたから旅行してきます」と言って、択一の合格発表まで遊んできて、択一合格を知って青ざめてた奴がいました。
 落ちて青ざめるのならともかく、合格して青ざめるのは、ただのバカです(笑)。

2 次に、一旦、法律家になることを志した以上、法律家をやめるとき以外は、法律の勉強を続けなければならないのです。
 よく「択一に落ちた可能性が高いので、しばらく自分を見つめ直したいと思います」という奴がいます。
 これも、バカ者、大バカ者です。
 「自分を見るくらいなら、教科書を見ろ。
 自分を見つめ直して、うっとりするのは、ナルシストだ!
 勉強しながらだって、十分、自分を見つめ直す時間はある!。」
 私が、あなたの先生ならば、叱りとばします。
 自分が試験でいい点がとれなかったことを、
「勉強せずに遊ぶための言い訳」にしてはいけません。
 あなたが、択一に合格するのか、不合格になるかは、神のみぞ知るわけですが、客観的に、合格発表後に、あなたがやるべきことを列挙すると
 ・合格→法律の勉強をする
 ・不合格+来年も旧試験→法律の勉強をする
 ・不合格+ロースクールに行く→法律の勉強をする
 ・不合格+法務関係の仕事に就く→法律の勉強をする
 ・不合格+法律と全く縁のない世界にいく→その世界の勉強をする。
ということで、どんな選択肢を取ろうとも勉強しなければならないのです。
 「来年、受験するかどうかわからないから、しばらく休む」という甘えた考えは、不合理かつ非論理的な思考であり、
 「来年、受験する『可能性がある』から、今、法律の勉強をする」
というのが正解です。
 この時期は、論文試験というゴールに向かって短期間で全科目を集中的に勉強できる環境が整っていて、一番実力を伸ばすことができる時期です。
 全くの記念受験の人は、基礎から勉強するのもよいですが、ある程度、本気で勉強した択一不合格者は、来年の択一後のシミュレーションとして、論文試験を受けるつもりで、この2か月を勉強することが重要です。択一合格者は、この時期ぐーんと実力を伸ばすのですから、択一不合格者がここで差を広げられれば、来年はもっと苦しくなります。
 択一合格者と一緒に論文の模試を受け、自分と大して実力が違わない人が合格していくのを見ることにより、自分の立ち位置を確認することもできます。

 以前、「ピンチこそ、最大のチャンス」であるという話をしました。
 択一で点数を取れなかった人は、まさに、今、その言葉を実践するときです。
 苦しいときに、チャンスをつかめる力を身につけることが、人生の成功を導きます。
 神様は、あなたに、今、すごく良い機会を与えているのです。
 どんなに苦しくても、今こそ、泣きながら勉強しましょう。

(質問コーナー)
Q1
(昨日のQ2関係)計算書類が取締役会決議により,確定している場合,合併の公告で要求されるのは18年3月期のBSということになりますが,この公告内容は,会社法施行規則199条1項7号に該当するもので,決算役員会で承認されたBSの要旨ということでしょうか。
また,この場合,公告内容は,計算書類規則6編2章によるとなっていますが,18/3は旧法ベースの計算書類ですので,旧法ベースの要旨の公告でよろしいのでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月13日 13:11
A1
旧法ベースの計算書類も、会社法相当規定に基づいて作成したものとみなされるので、旧法ベースの要旨の公告でいいと思います。

Q2
処分を受けた監査法人関連で質問させてください。
3月決算の会社で、期中資本金増加により6月の株主総会以降大会社扱いとなることから、会計監査人を初めて選任するのですが、候補者が例の法人です。
6月集中日の定時株主総会において、「同法人の選任をお願いするが効力発生日を処分明けの9月1日とする、尚、総会日〜8/31日の間は、監査役会が仮会計監査人を選任する予定である」とする議案を出すことは問題ないでしょうか?
Posted by 平法務部長 at 2006年05月13日 23:51
A2
期限付きの選任決議は可能です。
一度も会計監査人を置かないまま、仮会計監査人を選任するのは、問題が多いように思います。

Q3
公開会社がストックオプションとして新株予約権を割り当てる場合には、新株予約権について譲渡制限を付すことが多いと思います。この場合、条文をそのまま読むと募集事項の決定(会社法240条・238条)と、従業員等への割当の決定(243条)と、2回の取締役会決議が必要になるように思えます。
 これにつき、割当の決定を募集に対する申込みがあったことを条件するものとして、募集事項の決定と割当の決定を1回の取締役会決議で行うことも考えられると思いますが、かかる決議の方法は認められるでしょうか?特にそれを禁止する根拠もないように思うのですが、いかがでしょうか?
Posted by しげさn at 2006年05月14日 22:20
上記しげさnの質問に関連しまして、
記載されているケースでは、244条の総額引受により1回で済ませるのが実務に近いと思うのですが、
この総額引受について法務局に聞くと、
1名が引き受ける場合のみ可、という見解と、複数名でも募集株数と引受契約の株数の合計が一致していれば可、
という見解があるようです。
 旧商法からある規定ですが、複数名でも可であり、引受人と引受株数がはじめから決まっている場合は、総額引受により1回の取締役会で済む、という認識で間違いないでしょうか。
Posted by kohikia at 2006年05月14日 23:24
A3
 しげさnの質問については、募集事項の決定の前から、従業員から具体的な申し込みがあり、それに割り当てることが可能ならば、総数引受契約を締結しているように思います。
 総数引受契約とするのが困難であるという事情があるときは、要件さえみたせば、同一機会に決定することも可能であると思われますが、要件を充たすために一工夫が必要でしょう。
 kohikiaさんの質問については、複数名と総数引受契約を締結することができるかという点については、複数名との契約も可能です。ただし、その複数名との契約が全体として一つの契約であると認められなければ、それは、単なる個々の引き受け契約の
集合体にすぎず、総数引受契約にならないので、注意は必要です。

Q4
役員の責任限定規定について教えてください。
4月6日Q8によれば、会社法第427条にもとづく定款の定めについて、「・・・当該契約に基づく責任の限度額は、法令が規定する額とする。」とする規定が可能、とのことでしたが、以下のような規定とすることも認められますでしょうか?
「・・・当該契約に基づく賠償責任の限度額は、同法第427条第1項の最低責任限度額以上であらかじめ定めた額とする。」
Posted by HOME at 2006年05月14日 23:48
A4
「あらかじめ定めた額」というのは、定款では定めず、取締役会等に委任するという趣旨でしょうか。それは、定款で定めるべき事項について委任することになるので、難しそうですね。

Q5
332条の取締役の任期の但し書きに、「任期を短縮することを妨げない」とあります。
たとえば、非公開会社で定款に取締役の任期を10年としている、うり株式会社があったとします。取締役にAとノンノンがいます。新たに葉玉さんを選任するとき、葉玉さんの選任議事のなかに「葉玉さんの任期は2年に短縮します」、と書かれていたら、葉玉さんだけ2年の任期でOKということになりますか?
それとも、そもそも取締役や監査役などの任期は、定款に「10年以内とする」と記載したら、選任する人それぞれに任期を設定することができるのでしょうか。
Posted by ノンノン at 2006年05月15日 11:48
A5
定款で、任期を10年と定めた場合に、それを株主総会の決議で短縮するのは、332条の問題ではなく、その定款の解釈によります。定款が、短縮を認めているのならば、可能ですし、認めていないならば、不可です。

Q6
株式譲渡制限の定めを設定し,公開会社から非公開会社となる手続の質問です。
株券不発行会社が,6月22日の定時総会で効力発生日を同日とする株式譲渡制限の定め設定の決議を行う場合,反対株主の株式買取請求権に関する会社法116条3項の通知を兼ねた招集通知を全部の株式の株主を対象として6月1日に発送していれば問題はないのでしょうか。
また,当該通知を怠った場合でも,議決権を行使できない株主が存在しない場合であれば,株主全員の賛成により決議がなされているか,株主全員が通知の省略に同意していれば,手続の瑕疵は問題とならないのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年05月15日 13:30
A6
前半は、それでよいと思います。
後半は、招集通知は省略できますが、株式買取請求権の通知の省略は難しいと思います。

Q7
株券発行会社の定め廃止の手続の質問です。株式の全部について株券を発行しておらず、登録株式質権者が存在しない会社が6月22日の定時総会で効力発生を同日とする株券発行会社の定め廃止の決議を行う場合,会社法218条3項の通知を兼ねた招集通知を株主に6月7日に発送していれば問題はないのでしょうか。
また,当該通知を怠った場合でも,株主全員の賛成により決議がなされているか,株主全員が通知の省略に同意していれば,手続の瑕疵は問題とならないのでしょうか。
Posted by 猫太郎 at 2006年05月15日 13:34
A7
前半は、それでよいと思いますが、後半は、難しいと思います。

Q8
好物は「美女と下ネタ」って本当ですか(笑)?
Posted by ふぁん at 2006年05月13日 06:59
A8
公知の事実です。

  
Posted by masami_hadama at 22:24Comments(74)TrackBack(1)

2006年05月13日

愛の告白

 母の日は、択一試験の日。

 旧司法試験受験生の皆さんは、ドキドキ感が高まっていることでしょう。
 ドキドキしても、ジタバタしても、オロオロしても、試験というのは、その時の実力が、そのまま出るものであり、普段30点の人が45点を取ることもない代わりに、普段45点の人が30点になることもありません。

 しかし、本番中の心構え次第で、プラス・マイナス3点の幅は出ます。そして、中間層の皆さんにとっては、その3点が、上に行くか、下に行くかの分かれ道になるのが、試験の難しいところ。

 10日前に、葉玉流直前勉強法をマスターして実践した人は
「平常心」
という武器をもって明日の試験に臨めるはずですが、本日は、それに加え、本試験で、一番大事なことについて語らせていただきます。

それは
    「解答は、愛の告白」
ということです。

皆さんも、いい大人なんですから、これまでの人生で、好きな人のひとりや二人、いや、10人、20人はいたと思います。

 そういうとき、自分がエスパーで相手の心が読めるか、もしくは、相手がサトラレである場合は別でしょうが、普通は、

 〜蠎蠅慮斉阿ら相手の求めているものを理解し
◆〜蠎蠅凌瓦剖舛ように自分の気持ちを告白し
 相手から「うん。付き合おう。」という承諾の返事をいただく

というプロセスを辿らなければ、愛は成就いたしません。

 愛の告白をするまでは
「あの人は、私のことをどう思っているかしら」
「コクって、断られたらどうしよう・・」
などとドキドキ、ハラハラするものですが、大好きなあの人と付き合うためには、
 まず、あなたが告白しなければ、何も始まりません。

 司法試験も同じ。
 受験生の皆さんは、ロイヤーさんという人に一目惚れし、
「この人と一生一緒に生きていきたい」
と思い、明日、その思いを打ち明けます。

 試験場で、目の前に差し出された解答用紙は、ロイヤーさんへのラブレター。
 あなたが、そのラブレターを書かなければ、ロイヤーさんは、あなたに振り向くことすらありません。

 では、効果的な告白は、どうやってやるのか?

 まずは、ロイヤーさんの態度を探りましょう。
 問題用紙を開ければ、ロイヤーさんが
「あなた、本当に私のことを分かってるの?」
と問いかけてきます。
 気まぐれで、そこがまた可愛い、ロイヤーさんは、優しい(易しい)問題で、あなたを誘ったり、時には、かぐや姫並に無理難題をふっかけてきたりします。

 でも、大事なことは、ロイヤーさんは、どこかで、あなたを求めているということ。
 あなたが、ロイヤーさんの気持ちを分かって、それに応えることができたら、ロイヤーさんは、いつでも、あなたの胸に飛び込んでいきたいと思っているのです。

 現実社会ですと、原始的不能の告白もございますが(涙)、ロイヤーさんは、どの問題にも必ず一つの正解を用意してくれています。

だから・・・

1 問題文をよーく読んで、ロイヤーさんが、何を語りかけているのか、注意深く、考えましょう。
 相手の態度に注意も払わず、自分勝手な思いこみで、「好きです。好きです。」と追いかけ回すのは、ただのストーカー。
 ストーカー的解答は、決して実を結ぶことはありません。

2 相手の気持ちが分かったら、一つ一つの問題について、誠実に素直に答えを考えましょう。
 「げっ、竜の涙を持ってこいなんて、とんでもない。この問題は捨て問だ。鉛筆を転がそう。」などと手抜きの告白をすると、ロイヤーさんの気持ちは一気に冷めてしまいます。
 どんなに分からない問題でも、誠実さと素直さをもって答えれば、ライバル達よりも、ロイヤーさんの心に響く答えになります。

3 そして、一つ一つの言葉に、勇気と信念をもって、告白しましょう。
 どんな選択肢を選ぶときも、迷いはつきもの。
 でも、「私は、ドジでのろまな亀だから、あなたには釣り合わないかもしれない・・。」等とウジウジした気持ちで告白しても、告白された方が引いてしまいます。
 また、相手の気持ちがよく分からないからといって、あまり考え込みすぎると、時間に几帳面なロイヤーさんの気持ちは離れていくばかり。

 あなたは、この日のために、ロイヤーさんに相応しい人間になれるよう一生懸命自分を磨いてきたはずです。
 その努力が真剣なものであったと思うのならば、あなたは、ロイヤーさんに
「私は、あなたのことが少しでも理解できるように努力してきました。
 あなたが求めているものは、これです。
 ぜひ付き合ってください。」
と自信をもって答えましょう。
 その自信に満ちた態度が、ロイヤーさんの心を打つはずです。

 解答は、愛の告白。
 注意深く、誠実に、自信をもって、告白する。
 そうすれば、相手は、必ず、微笑んでくれます。
 あなたの愛が本物ならば
 相手は、きっと、あなたに惹かれます。

(質問コーナー)
Q1
昨日、Q2についてですが、整備法第61条第3項により、6ヶ月以内に登記すればよいのでは?
その前に他の登記事項の登記の必要が生じた場合には、同時にしなければならないと同条第4項に定めているのではないのですか?
Posted by 万年補助者 at 2006年05月12日 15:27
A1
すいません。職権で登記されるわけではなく、申請が必要であるという頭で、脊髄反射的に答えてしまいました。質問中「2週間内」というところは違っていて、整備法61条3項により、原則、6か月以内ですが、他の登記をするときは、その時に同時に申請することになります。

Q2
会社法施行規則199条1項で,最終事業年度にかかるBSにつき,440条1項又は2項の規定により公告をしている場合」とあります。決算期が3月で,公告を出すのが5月の場合,今年度の決算公告はしていないことになります。この場合,昨年度の決算公告をもって,「最終事業年度につき公告をしている場合」にあたるのでしょうか?
また,規則220条柱書に書いてあることは,登記済みのHPアドレスのことと理解してよろしいでしょうか?
Posted by 実務者はつらいよ at 2006年05月12日 20:57
A2
1 「最終事業年度」は、法2条24号に定義があります。5月の公告の時点で、計算書類が確定していない場合には、平成17年3月期が最終事業年度です。逆に、計算書類が確定している場合には、平成18年3月期が最終事業年度になります。
2 そのとおりです。


  
Posted by masami_hadama at 02:48Comments(80)TrackBack(1)

2006年05月09日

後輩いろいろ

 私の高校の後輩から
「仕事柄よくこのブログにお世話になっていましたが葉玉先生が高校の先輩とは・・。先輩の代は法律作ったりドラマ作ったりとすごい方が多いですね。負けてはいられません。捕まらない程度に頑張ります(笑)。確か今ぐらい男く祭の時期でしたよね?共学になったらしいですが名前そのままなんですかね。」
というコメントをいただきました。
 私は、久留米大学付設中学・高校の卒業生ですが、この学校は、福岡県の久留米市という人口20万くらいの小都市の山中にあります。悶悶とした思春期の男子学生のみを山中に閉じこめるため、学生のリビドーと妄想は最高度に高まり、パワフルな変わり者をよく排出、もとい、輩出します。
 このブログの大家さんだった方も後輩ですし、携帯電話の会社を買った方は先輩です。ドラマを作っている人は、多分、フジテレビの某君でしょうし、鳥越俊太郎さんは、大先輩。
 そして、私と一緒に会社法の立案担当者だった山本憲光さんも一つ下の後輩です。

 山本さんは、今年検事を辞めて、西村ときわ法律事務所に入って弁護士として活躍中なのですが、たまたま、今日は、山本 & Partners & 美女軍団 と久しぶりに飲んできました。
 山本さんは、未だ金持ちオーラは出ていないものの(笑)、新しい仕事に意欲的に取り組んでいて輝いて見え、商法・会社法をやっていたころのヤツレ気味の山本さんとは、大違いでした。

 そういえば、山本さんから、
 「葉玉さんは、某事務所に就職が決まったそうですね」
という貴重な情報も教えてもらいました。
 私の知らない間に、就職まで決めてくれるとは、いい後輩ではあるのですが、「家庭が仕事、検事は趣味」というモットーの私としては、仕事が面白いうちは検事を続ける予定でございますので、しばらくお待ちください(笑)。

 与太話は、この程度で、質問コーナーに移りましょう。
 
Q1 
現行商法では、既発行の普通株式を種類株式に変更する場合(転換予約権に基づく転換ではなく、あくまでも変更です)、全株主の同意を得れば可能と、実務相談株式会社法では解説されていました。新会社法の施行後も同様の手続きで、普通株式を種類株式に変更することが可能なのでしょうか?
A1
 既出だと思いますが、110条、111条の特則に該当しない場合は、通常の定款変更の手続きで普通株式を種類株式に変更することができます。

Q2
5月5日掲載のQ4に関しまして、「権利を行使する条件に該当しなくなった場合」は、会社法第287条の「新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったとき」に該当するので当該新株予約権は「消滅」し、「取得」または「消却」という行為は要しない(ただし同法第909条にもとづく消滅の登記は要する)と考えておりましたが、間違っていますでしょうか。ご指導お願い申しあげます。
Posted by 勉強不足なサラリーマン at 2006年05月05日 11:15
A2
5月5日のQ4というのは、「新株予約権の消却登記時、行使資格を失った者からの「権利を放棄する旨の書面」と代取からの登記委任状のみを添付し、消却登記申請をしています・・・」というものですが、まず、答え残していた質問をお答えします。
 本日、担当部署に確認したところ、会社法施行後は、新株予約権の消却の登記については、添付書面不要であると教えてもらいました(法令上も要求されていません)。
 つまり、「会社法施行により、このラクチンな手が使えなくなる」という心配は杞憂であり、「余計、ラクチンになった」というのが正解です。
 消却事由として「...権利を行使する条件に該当しなくなった場合は、その新株予約権を無償で消却することが出来る」という言葉が、「一時的に、権利を行使する条件に該当しなくなった」場合を含まず、「一切、行使できなくなった」という意味であるならば、ご質問にあるように、新株予約権は、当然に消滅しますので、取得は不要です。

Q3
会社法356条1項2号の取締役の自己取引について御教示下さい。取締役会の承認を要する自己取引に該当するか否かの判断の方法なのですが、組織の大きな会社では代表取締役が各取締役や組織の長に対して権限を委譲していることが多いと思われます。この場合に、取締役の自己取引とは当該取締役が自分の名義で取引行為をする場合だけでなく、当該取引行為を行うにあたっての社内の決裁手続に関与していた場合も含むことになると理解すればよいのでしょうか。
Posted by Ryo at 2006年05月05日 18:54
A3
ご質問の例が、「自己のために」の話か、「第三者のために」の話か、よく分からないので、事例を分けて説明します。
1 X社の取締役Aが、X社の代理人である部長と取引し、その決裁にAが関与していた。
356条1項2号は、X社の取引の相手方が、取締役Aである場合ですから、X社側の行為者が代表者であれ、代理人であれ(Aが決裁に関与していたかどうかに関わらず)、相手方である取締役Aには、356条1項2号が適用されます。

2 AがX社とY社の取締役を兼任している場合において、X社の代理人BとY社の代表取締役Cが取引をしたが、X社のBを代理人とする取引については、Aが決裁をしていた。
 代理人が文字通り代理人であれば、何の問題もありません。
 しかし、Aの決裁の性質に注意する必要があり、Aが、取引の内容を実質的に決定しているとすると、Bは、X社の代理人ではなく、使者となることがあります。Bが使者となった場合、意思表示をしている者がAだと認定されれば、Aが、X社の代理人として取引をしているので、名義説でも、「第三者のために株式会社と取引をした」ことになり、356条1項2号が適用されるでしょう。

Q4
四半期配当をする場合、その四半期に上げた収益を配当する場合は、臨時決算をする必要がある場合、その臨時計算書に無限定適正意見であれば、総会の承認は省略できると理解しいますが、総会の報告はする必要はあるのでしょうか。
Posted by すねお at 2006年05月05日 21:29
A4
総会への報告は不要です。

Q5
株式の分割と株式の無償割当ては,従来は株式分割と整理されていたものだと思いますが,会社法では効果や手続に微妙な差があります。これはどういう理由からでしょうか。例えば,決定機関について,無償割当ての場合についてだけは定款で別段の定めが出来るとなっていますが,これはどういうポリシーからきたものでしょうか。
Posted by HI at 2006年05月06日 13:28
A6
 株式の無償割当は、新規の制度なので、募集株式の割当てと類似させて作られ、株式分割は現行法の規律をできるだけ残したということでしょう。

Q6
 会社法第167条第1項が、「請求日」=「取得日」と定めており、しかも「株式の取得と引換えに金銭を交付する」(整備法第87条)とあったので、請求日=取得日に、直ちに支払わなければならないことが要求されているように思えました。
 しかし、今は、「引換えに」とは、「対価として」というような意味に捉えればよいのではないかと思っております。従って、株主が、取得の請求によって金銭債権を取得する場合も当然に含むと考えられる。
このような理解で、宜しいでしょうか。
Posted by moremi at 2006年05月06日 19:07
A6
 よろしいと思います。

Q7
 合併契約(書)において、「会社計算規則第59条の規定に従い、(効力発生日の前日までに、)甲が定め計算した金額とする。」と定めることの可否
Posted by moremi at 2006年05月06日 20:23
A7
 今日、調整してきた結果を申しますと、そのような定めも有効であろうということになりました。
 会社法は、合併契約で、資本金の額について確定額で定めなければならないこととしておらず、計算規則もそれを前提に規定していること、新株発行でも取締役会ないし委任を受けた取締役が資本金の額を決定するので、合併時の存続会社でも、同じにしても不都合はないという理由によるものです。
 なお、「甲が定め」というのは、甲の業務執行の意思決定機関である取締役会(ないし委任を受けた取締役)のことをいいます。

Q8
非公開会社において
‖茖骸坡篥は、商法でも新会社法でも総会決議。
株主割当は、商法では取締役会決議、新会社法では総会決議(但し、定款による役会授権可能)と理解していますが、
正しいでしょうか。
特に,砲弔い討肋λ ⊃群饉卷,任睫魏饉権はできないと理解しておりますがよろしいでしょうか。
Posted by 新庄 at 2006年05月07日 12:08
A8
 _饉卷,任蓮■横娃鮎鬚砲茲覦冉い浪椎修任后
◆_饉卷,任蓮■横娃仮鬘街爍温罎両豺腓あります。
募集手続は、以前、記事にしたので、詳しくは、それを読んでください。

Q9
自己株式の取得について、ご教示下さい。
会社法156条1項では、株式を取得することができる期間について1年以内と定めることとなっております。
この場合、例えば18年6月末総会において自己株式の取得を決議し、取得期間を18年8月1日から19年7月31日までとする決議は可能でしょうか?条文どおりに読みますと、株主の信を得た以上、このような定めも可能なのだというようにも読めるのですが、商法上取得期間は決議から次期総会終結のときまででしたので、会社法でも同様に、取得期間については決議をした日から1年以内すなわち総会前日までとの趣旨のように思えます。
Posted by 空海 at 2006年05月07日 12:35
A9
調整マターですが、設問の定めは可能であると思われます。

Q10
今回、「総額の上限で定めた場合には、監査役の協議で内訳を決定します。」との回答いただきましたが、243条2項で非公開会社では割当先を取締役会又は株主総会で決定しなければならないとされていることとの整合性についてどのように処理すれば宜しいのでしょうか。監査役の独立性を担保するため、取締役会が監査役の報酬に関与しないという建前からすれば、取締役会が監査役の報酬に関与しないようにするためには、243条第2項但書に則り、定款に定める必要があるのでしょうか。
Posted by S at 2006年05月07日 17:44
A10
 監査役の現金報酬のことを考えてみてください。監査役の協議がまとまっても、当然に、会社に対する債権が生ずるのではなく、代表取締役が、その監査役の協議に従って、報酬特約を締結するという法律行為を行い、さらにその報酬特約に従って、代表取締役等が金銭の支払いをして、金銭という対価が交付されます。
 新株予約権も同じです。監査役が協議で、個々の監査役が交付を受けることができる新株予約権の価額等を定めれば、代表取締役は、その内容で報酬特約を締結しなければならず、その報酬特約に基づく債務の履行として、取締役会は、監査役の協議に従った新株予約権の発行及び割当を行わなければならないということです。
 したがって、定款に定める必要はありません。

Q11
 会社法第425条の取締役の責任の一部免除の件ですが、株式移転により持株会社を設立する際の最初の定款にその規定を盛り込む場合、監査役候補者の同意は必要でしょうか?そして、その旨を株式移転計画承認議案に記載する必要はあるのでしょうか?
Posted by S&F at 2006年05月07日 20:14

A11
 監査役候補者であって監査役ではないので、その同意は不要です。
 株式移転計画には、株式移転設立完全親会社の定款で定める事項を定めなければなりません(773条2号)。そして、招集通知には議案の概要、株主総会参考書類には移転計画の内容の概要を記載する必要があるので、概要として、425条の定款の定めを記載するかどうかは、それが「概要」として書くべきかという難しい問題に帰着します。まあ、書いた方が安心ですねえという話でしょう。

Q12
内部統制の基本方針に関する取締役会決議について教えてください。
会社法施行時点では大会社でなかった取締役会設置会社が、施行後に増資等を実施した結果大会社となった場合、大会社となってから最初に開催される取締役会で内部統制の基本方針を決議する義務が生じるという理解でよろしいでしょうか?
また、何らかの事情により、当該決議が2回目以降の取締役会にずれこんだ場合、どのような法的問題が発生しうるでしょうか?
Posted by 内部統制難民 at 2006年05月08日 18:22
A12
 会社法では、増資をしてもすぐに大会社になることはなく、次の定時総会時に大会社になります。そして、大会社になったとたんに、内部統制の決定義務が生じていますから、その時点で決めていないということは、すでに違法状態にあるということになります。
 したがって、違法状態を完全に避けたいのならば、大会社になる前の取締役会で内部統制を定めるべきです。
 その義務に違反した場合は、何か不祥事が起こって会社に損害が生じたときに、内部統制の決定義務違反に基づく損害賠償責任を追及されるおそれはあるでしょう。
  
Posted by masami_hadama at 02:08Comments(15)TrackBack(0)