2010年06月08日
小林BT《眠り》の余韻〜
隊長からも終演後の怒濤の打ち上げ写真が届いておりますが(こちら・こちら・こちら)、小林紀子バレエ・シアター《眠れる森の美女》マクミラン版全幕、3日間の公演が無事に終了しております!
当ブログ恒例・全キャスト一覧も今回ははやめに出してみましたが(笑)、masamiFC会長からの投稿(こちら)をはじめ、各公演日にごく簡単な速報メモを打ちました(初日・2日目・3日目)のに続きまして、書いてなかったあたりもメモメモ。
★奇をてらわず、しかし独特の
マクミラン版《眠り》は、隊長も公演直前インタビュー(こちら)で教えてくださっていますように、大筋ではオーソドックスで、決して奇をてらわない演出なんですけど、観おわると独特の印象を残す《眠り》なんですよね。
あまり作品の長大さを感じさせないスピーディな展開もさすがの巧さ。音楽を不自然なくカットしてつなげておりますし、第1幕があいて、編み物ガールズが捕まってからお慈悲で放免になるまでの速いことったら(笑)。
第2幕後半でも、王子が眠れるオーロラ姫のもとへたどりつくまでの〈パノラマ〉とか、普通の演出だとこっくりタイムなんですけど、マクミラン版は、なんというか回転がいいです。たどりつくまでのシーンにある、リラの精とカラボスのマイム対決も面白いですよね。
ちなみにこのヴァージョンだと、王子のキスで姫が目覚めると「魔法が解かれ、カラボスとその従者たちは消滅」するそうで、あわれ‥‥。
★演技もぐっと魅せます
カラボスといえば、隊長インタビューで「〈ゴールデン・ヴァインの精〉は妖精の司令塔」なんてお話が出てましたけど、観てなるほどと思ったこと。
プロローグでカラボスと妖精たちがやりあう場面、「ぬおっ!」と妖精をひとりずつビビらせ、〈ソング・バードの精〉をつかまえては「お前なんかこーんなぴよぴよいいくさってからに!」的に(←推測)真似っこまでしてイジり倒すのに、隊長にはあんまし強く出られないのね、カラボス(笑)。最後でようやく「おぬしもじゃ!」的に追っ払うあたりに、司令塔の威力を感じた次第。
★ラツィックさん日本初主演
今回のデジレ王子には、ウィーン国立歌劇場バレエからロマン・ラツィックさんが日本での主役デビュー(同バレエ団のHPにある略歴←ドイツ語)。スロヴァキア出身、各地のカンパニーを経て2007年からウィーンのプリンシパル・ダンサーとして踊っていらっしゃるそうですが、いやー素敵でした。
3日間とも違う印象を残した(だんだん舞台にはまって見えてきた)のは、わたしの目の問題かと思いますけれど、その長身の存在感が、品のよい丁寧さと、ダイナミックな柔らかさ(ぶちかますだけじゃなくて、という意味で)とバランスよくて、気持ちのよい王子だと思いました!
ただ一人の外来ゲスト・ダンサーで、しかも大きいかたなのに、舞台の雰囲気に溶けてよかったですね。
★オーロラ&リラの輝き
リラの精もダブルキャスト、今回が初リラとなりましたのびゆく俊英、カラボスとの対話マイムもとても丁寧にみせてくださった喜入依里さん(1・2日目)と、打ち上げではじけていらっしゃる写真でもご登場いただきました(笑)ベテラン・大森結城さん(3日目)の気品薫る存在感と、さまざまな世界を観られるのも続けて拝見する面白さ(大森さんは1・2日目は隊長たちと並んで〈クリスタル・ファウンテンの精〉でも名技を披露されてました‥‥てか皆さん忙しいですね‥‥)
★演劇性と陰翳も堪能‥‥
これもマクミラン版独特の演出かと思いますが、第2幕で伯爵夫人たちと王子のやりとりにあれこれ人間模様というかドラマが仕掛けられているあたり(隊長インタビューをご参照ください)、なんでもないような狩り遊びの場面に演劇性を薫らせてみせるマクミランな魅力は、隊長はじめイギリス・バレエに経験を積みまくるこのカンパニーの得意なところ‥‥(左は今年のチラシ中面左。よくみると下のほうに隊長はじめ公爵夫人たちが)。
その伯爵夫人も萱嶋みゆきさん(打ち上げ写真にもご登場)がしっとりじっくり演じ込まれて、皆が去ったあとに王子がみせる、孤独でもの柔らかいソロの踊り(これも美しかったですね!)との対照というか、陰翳をつくる大事な場面なんだなぁということをあらためて感じました。
ま、この場面はいつも「隊長のデカい帽子、重くないかなぁ」と思いながら(笑)皆さんの優雅なダンスを観ているわけですが。
★ゴージャス!第3幕
シルバー軍団もまけじと華やかに‥‥と第3幕については既報の通りですが、この幕に限らず、作品世界の手触り柔らかくて豊かな空気感を醸し出していたのは、素敵な美術衣裳の美麗重厚だけなく、コール・ド・バレエの丁寧に響き合うアンサンブルにあり、とあらためて思いました次第。素敵でした!
★ピット奮闘
ピットは、昨年に比べて健闘でしたね。去年は、公演が始まってもまだ譜読みが終わらないかという悲愴感もございましたが、今年はベテラン指揮者アラン・バーカーさんを招聘した効果絶大、これでオーケストラが違ったら名演になってたんじゃないでしょうか。
とはいえ今年も最後まで木管陣の音程がさっぱり合わなかったり、あってはならない演奏事故があったりと(巧いパートはがっちり巧いんですが)悪戦苦闘しておられまして‥‥非常に心配になりましたけれど、それでも指揮の求心力というのは凄いもので。揺るぎなく容赦ない指揮ぶりでまとめておられました。
演奏をはじめる前に必ず、左右の楽員さんたちに丁寧にお辞儀をしてから振りはじめるバーカーさん、カーテンコールで登場するそのお姿は、なんか西洋の骨董品屋にある陶器の人形のようにお茶目で(失礼)いいなぁ。
初日、第2幕が終わるとバーカーさん、すかさず指揮台を降りようとして「あ、第3幕も続けるんだっけ」と戻り楽員さんたちの笑いを誘っていた件も好感度アップ(笑)。
というわけで、バーカーさんの再来を楽しみにお待ちしたいなーと思う次第であります。ピットの皆さまもおつかれさまでした〜
★おつかれさまでした!
あれこれ書いておりますが、書ききれないくらい、いろんな愉しい思いをさせていただいた公演でした。あらためて、上演に感謝を。カンパニーの皆さま、おつかれさまでした!次の8月公演も楽しみにしております〜
そして、たいへんなスケジュールで見事な舞台を創られた隊長に拍手を。えーと、あと3週間もすると新国立劇場バレエ団《椿姫》なんですよね?(笑)
というわけで、当ブログでは、まだ新国《DANCE to the Future》の関連エントリも出し切っていないままの状況ですが(笑)、ひきつづき隊長ファンの皆さまからの《眠り》トークもゆるゆるとお待ちしております!
大和雅美





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