2015年02月
2015年02月27日
2015年02月25日
2015年02月15日
中谷健太郎さん
書類を整理していたら、中谷さんからの年賀状の返事が見つかった。
とぼける才気いっぱい。
拝復賀葉
老夫茫洋
蟄居隠宅
聴旧音響
とある。「旧音響」とは、竹針を使う古い、しかし文化財的な立派な再生装置のことである。
そのあとに、「イツカ一献」ともあった。
高倉健さんの『あなたに褒められたくて』のなかに、次のようなくだりがある。
「立原正秋さんの書かれた本で読んだ話ですが、大分県の由布院に亀ノ井別荘旅館があって、東宝で稲垣浩監督、黒澤明監督の下で助監督を務められた中谷健太郎という方が、戻って跡を継がれているんですが、ここの朝ごはんが、とってもおいしいんで聞いたら、そこのお母さんが、お客さんの起床時間に合わせて炊いた炊き立てを、お茶碗温めていて、それで出していらしたんです。
お風呂には季節の花が浮かべてあって、シーツなんかも清潔なコットンで普通の肌ざわりと違うんです。
コロンビア映画の脚本書いている女の人が一人旅で九州に行くっていうんで、そこに、ぜひ一泊したらと紹介したんですよ。
もう本当に、ものすごく感動したって言ってましたね」。
とぼける才気いっぱい。
拝復賀葉
老夫茫洋
蟄居隠宅
聴旧音響
とある。「旧音響」とは、竹針を使う古い、しかし文化財的な立派な再生装置のことである。
そのあとに、「イツカ一献」ともあった。
高倉健さんの『あなたに褒められたくて』のなかに、次のようなくだりがある。
「立原正秋さんの書かれた本で読んだ話ですが、大分県の由布院に亀ノ井別荘旅館があって、東宝で稲垣浩監督、黒澤明監督の下で助監督を務められた中谷健太郎という方が、戻って跡を継がれているんですが、ここの朝ごはんが、とってもおいしいんで聞いたら、そこのお母さんが、お客さんの起床時間に合わせて炊いた炊き立てを、お茶碗温めていて、それで出していらしたんです。
お風呂には季節の花が浮かべてあって、シーツなんかも清潔なコットンで普通の肌ざわりと違うんです。
コロンビア映画の脚本書いている女の人が一人旅で九州に行くっていうんで、そこに、ぜひ一泊したらと紹介したんですよ。
もう本当に、ものすごく感動したって言ってましたね」。
2015年02月14日
pyanくん
数日前に書いた「なべさん」だが、ぼくについて彼が評価してくれるのは写真である。
その写真の、ぼくの師匠も、ゼミの卒業生であるpyan君である。
彼もまた感性のかたまりで、写真、ロック、ダンス、演劇、クルマなどいろいろ教えてもらっている。社会についての批評も鋭い。
卒業後、東上線沿線の自治体で社会教育職員として働いてきたので、地域の社会教育活動での仲間でもあり、始終会っている。
彼の連れ合いもゼミ卒業生で、社会教育の仕事をしてきた。
彼女は、地域の演劇集団の中心であり、その公演には都合がつくかぎり、ぼくも出かける。
最近は、二人で山登りにこっているらしい。
彼のブログは、「折々の備忘録」である。
一昨日だったか、二人連名で「少しはお休みください」とメールをくれた。
その写真の、ぼくの師匠も、ゼミの卒業生であるpyan君である。
彼もまた感性のかたまりで、写真、ロック、ダンス、演劇、クルマなどいろいろ教えてもらっている。社会についての批評も鋭い。
卒業後、東上線沿線の自治体で社会教育職員として働いてきたので、地域の社会教育活動での仲間でもあり、始終会っている。
彼の連れ合いもゼミ卒業生で、社会教育の仕事をしてきた。
彼女は、地域の演劇集団の中心であり、その公演には都合がつくかぎり、ぼくも出かける。
最近は、二人で山登りにこっているらしい。
彼のブログは、「折々の備忘録」である。
一昨日だったか、二人連名で「少しはお休みください」とメールをくれた。
2015年02月10日
なんとなく、クリスタル
1980年代(もう30数年も前!)、東京の私立大学の教職員関係団体の仕事をしていて、その新聞に論説を書いていた。10年くらい続けたと思うが、楽しい仕事だった。
その多分第1回目に書いたのが、田中康夫『なんとなく、クリスタル』だった。なにせ小説に登場してくる大学がほとんど東京の私立大学だったから。文体も「注」も『なんとなく、…』のスタイルを借りて書いた。
一昨年に新装版が出ていたが、先日買って、今度は「注」だけ読むという新しい試みをしている。風俗や若者文化のオンパレードだ。
帯にもあるが、高橋源一郎さんの「解説」を読んで仰天した。
「これは、ほんとうに、ほんとうにすごい小説だ。そのことを、これから初めて読む人たちにわかってもらえるとうれしい」。これは、まあいい。彼の評価だ。
「このような小説は、過去にもなく、これからもないだろう。これほど深く、徹底的に、資本主義社会と対峙した小説を、ぼくは知らない。マルクスが生き延びていたら、彼が『資本論』の次に書いたのは、『なんとなく、クリスタル』のような小説ではなかったろうか」。
高橋源一郎さんって、なんて突飛な発想をする人だろう。
『なんとなく、…』流の若者言葉で言えば、「ウッソ−!」という感じである。
その多分第1回目に書いたのが、田中康夫『なんとなく、クリスタル』だった。なにせ小説に登場してくる大学がほとんど東京の私立大学だったから。文体も「注」も『なんとなく、…』のスタイルを借りて書いた。
一昨年に新装版が出ていたが、先日買って、今度は「注」だけ読むという新しい試みをしている。風俗や若者文化のオンパレードだ。
帯にもあるが、高橋源一郎さんの「解説」を読んで仰天した。
「これは、ほんとうに、ほんとうにすごい小説だ。そのことを、これから初めて読む人たちにわかってもらえるとうれしい」。これは、まあいい。彼の評価だ。
「このような小説は、過去にもなく、これからもないだろう。これほど深く、徹底的に、資本主義社会と対峙した小説を、ぼくは知らない。マルクスが生き延びていたら、彼が『資本論』の次に書いたのは、『なんとなく、クリスタル』のような小説ではなかったろうか」。
高橋源一郎さんって、なんて突飛な発想をする人だろう。
『なんとなく、…』流の若者言葉で言えば、「ウッソ−!」という感じである。
2015年02月08日
文字文化
東松山校舎と板橋校舎のそれぞれで、「義務教育文字文化推進事業」に参加した学生たちの修了証授与式があった。しばらく前のこと。
そのときの挨拶。
学生のみなさん、義務教育文字文化推進事業へのご参加、ご苦労様でした。
これは、ふじみ野市、東松山市の教育委員会との共同の事業であり、本学の書道を学ぶ学生の皆さんが、小中学校の書写教育の授業に講師として参加し、子どもたちに教えるというものです。第4期を迎える今年は、ふじみ野市の15の小中学校、東松山市の5つの小中学校で行われました。全部で30人の学生が参加しました。
いま大学では、アクティブ・ラーニングやPBL(問題解決学習)など学生の主体的・能動的な学びを奨励していますが、この事業もそれに類する参加型の学びです。
みなさんは、書作での上達に大きな関心があると思いますが、教えるということを通して、自分自身の書作を振り返ったり、至らなさに気づいたり、書の初心に帰ることもあると思います。決して書作の上達と無関係ではないと思います。
また、教えるという体験はきっとみなさんには新鮮だったと思います。教えるというのには、独特の技術も必要です。生徒さんたちの心によりそうことも大事です。
みなさんのなかには書道の教師になることをめざしておられる方もいると思います。今回の経験を活かして、いっそう教育についても学んでいただきたいと思います。
修了証を渡した後、学生のSさんが、参加した感想を話してくれた。
Sさんの感想は、大学HP・学長コラムでアップする予定。
花は、先日、大宮に行ったとき、道端に植えられていたもの。
そのときの挨拶。
学生のみなさん、義務教育文字文化推進事業へのご参加、ご苦労様でした。
これは、ふじみ野市、東松山市の教育委員会との共同の事業であり、本学の書道を学ぶ学生の皆さんが、小中学校の書写教育の授業に講師として参加し、子どもたちに教えるというものです。第4期を迎える今年は、ふじみ野市の15の小中学校、東松山市の5つの小中学校で行われました。全部で30人の学生が参加しました。
いま大学では、アクティブ・ラーニングやPBL(問題解決学習)など学生の主体的・能動的な学びを奨励していますが、この事業もそれに類する参加型の学びです。
みなさんは、書作での上達に大きな関心があると思いますが、教えるということを通して、自分自身の書作を振り返ったり、至らなさに気づいたり、書の初心に帰ることもあると思います。決して書作の上達と無関係ではないと思います。
また、教えるという体験はきっとみなさんには新鮮だったと思います。教えるというのには、独特の技術も必要です。生徒さんたちの心によりそうことも大事です。
みなさんのなかには書道の教師になることをめざしておられる方もいると思います。今回の経験を活かして、いっそう教育についても学んでいただきたいと思います。
修了証を渡した後、学生のSさんが、参加した感想を話してくれた。
Sさんの感想は、大学HP・学長コラムでアップする予定。
花は、先日、大宮に行ったとき、道端に植えられていたもの。
2015年02月06日
なべさん
なべさんは、ぼくのゼミの卒業生で、小学校の先生をしている。
数年前には、朝日新聞の全国版で、大きな写真入りでその実践が紹介されたりした。たしか、ことばの学習に関するものだった。
彼の卒業以来よく会うが、それは大学のラグビーの応援の時である。
ラグビー好きの彼は、自宅からほど遠い熊谷であれ、立教大グランドであれ、帝京大グランドであれ(これは近いか)、母校の応援に来てくれる。
弱かった時でも、よく頑張ってますね、強くなりますよ、と温かい言葉をかけてくれた。
そのなべさんがブログを始めた。「つぶやきコラム なべさんのひとりごと」。
紹介される本や映画(DVD)は、よくもこんなにと思うほど多彩で、でもだいたいぼくの関心や好みに合う。読み取りも面白い。
すごいと思うのは、音楽と童話の分野である。
音楽は、彼自身演奏者でもあるが、鑑賞者としても優れているのだと思う。教えられることが多い。
ぼくは、なべさんのたぐいまれな感性にあこがれ、あくなき探求心を尊敬する。
彼に導かれるように、ブログに登場する童話やCDを求めている。
ちなみに、このブログに、コメントを一番多く寄せてくれるのは彼である。
数年前には、朝日新聞の全国版で、大きな写真入りでその実践が紹介されたりした。たしか、ことばの学習に関するものだった。
彼の卒業以来よく会うが、それは大学のラグビーの応援の時である。
ラグビー好きの彼は、自宅からほど遠い熊谷であれ、立教大グランドであれ、帝京大グランドであれ(これは近いか)、母校の応援に来てくれる。
弱かった時でも、よく頑張ってますね、強くなりますよ、と温かい言葉をかけてくれた。
そのなべさんがブログを始めた。「つぶやきコラム なべさんのひとりごと」。
紹介される本や映画(DVD)は、よくもこんなにと思うほど多彩で、でもだいたいぼくの関心や好みに合う。読み取りも面白い。
すごいと思うのは、音楽と童話の分野である。
音楽は、彼自身演奏者でもあるが、鑑賞者としても優れているのだと思う。教えられることが多い。
ぼくは、なべさんのたぐいまれな感性にあこがれ、あくなき探求心を尊敬する。
彼に導かれるように、ブログに登場する童話やCDを求めている。
ちなみに、このブログに、コメントを一番多く寄せてくれるのは彼である。
2015年02月03日
art
今日は、学生の面接トレーニングの行事。
企業から人事関係の人を講師に招いて、面接の訓練をしてもらう。
会場では、初めて就職活動に望む3年生の緊張感がびんびんと伝わってくる。
挨拶を求められてとっさにこんな話をした。
面接では技術が大切です。
技術は、英語では technic を充てることもできますが、art と言ってもよい。
芸術の art です。これは、エーリッヒ・フロムの『愛について』の用語法に倣って言うのですが。
心や思いを表現するには、技術、ワザが必要です。
それは身体を通して現れます。
表情、目の動き、手の挙措、声、その大きさや明瞭さ。声は必ずしも大きくなくてもいい。学校の先生を見ていると、そんなに大きな声でなくても声を届かせ、心を揺り動かすことが出来る。
自分の心や思いを表現することです。
逆に、技術やワザを磨くことで、心や思いを育て、確かめることができる。
自分とはどういう自分なのか、なにをしたいのか。
そういうことを発見できる一日にしてください。
そのあと、学生への講師の自己紹介があったが、20社くらいから来ていて、興味ある自己紹介をしてくれた。
自分の会社は自由な社風で、「挑戦は義務、失敗は権利です」というのもあった。
なかには、本学の卒業生もいて、ぼくの講義を受けたと言う人もいた。
夕方、みんなで記念の集合写真を撮っていたので、飛び入りで混ぜてもらった。
企業から人事関係の人を講師に招いて、面接の訓練をしてもらう。
会場では、初めて就職活動に望む3年生の緊張感がびんびんと伝わってくる。
挨拶を求められてとっさにこんな話をした。
面接では技術が大切です。
技術は、英語では technic を充てることもできますが、art と言ってもよい。
芸術の art です。これは、エーリッヒ・フロムの『愛について』の用語法に倣って言うのですが。
心や思いを表現するには、技術、ワザが必要です。
それは身体を通して現れます。
表情、目の動き、手の挙措、声、その大きさや明瞭さ。声は必ずしも大きくなくてもいい。学校の先生を見ていると、そんなに大きな声でなくても声を届かせ、心を揺り動かすことが出来る。
自分の心や思いを表現することです。
逆に、技術やワザを磨くことで、心や思いを育て、確かめることができる。
自分とはどういう自分なのか、なにをしたいのか。
そういうことを発見できる一日にしてください。
そのあと、学生への講師の自己紹介があったが、20社くらいから来ていて、興味ある自己紹介をしてくれた。
自分の会社は自由な社風で、「挑戦は義務、失敗は権利です」というのもあった。
なかには、本学の卒業生もいて、ぼくの講義を受けたと言う人もいた。
夕方、みんなで記念の集合写真を撮っていたので、飛び入りで混ぜてもらった。