2005年07月13日

20年ぶりの再会(3)

b149dce9.jpgいつしか、夕暮れとなり、二人は咲き子の家へと向かった。

夕陽がほんとうにきれいだった。

男友達からも羨ましがられる咲子とのおつき合い。

そして、ついに ほのかなキス・・・・


   ・・・・・ これが恋愛? ・・・・・


もちろん咲子のことは好きだ。

なのに、自分の心の中には何か満たされないものの存在があった。

2度とは来ない高校生活。

青春時代の甘酸っぱい恋愛を経験すること、、、、、

ただそれだけに興味があったのか?

”女性 ”という異性への憧れなのか?

『 いや、そういうことでじゃなく、

   咲子が本当に好きなんだ!!』

そう思えば思うほど、自分の心が空回りするように思えた。

そのとき、自分は忘れていた。


  ・・・・・ ひとつ上の美しい先輩のことを ・・・・・


  今思えば、自分の思いを封じ込めていたに過ぎなかったことに、
  その20年後 気づくことになろうとは。。。。
 

彼女は、もちろん進学組みで東京の大学が希望だ。

英語も話せる彼女は上智の英文科を希望していた。

今風に言うと「セレブのお嬢様」に値する彼女は外国へも短期留学

していたこともあって、英語は抜群だった。

彼女とは、華やかな東京で同じように大学生活を送れるのかもしれない。

私は、、、?というと、

まだ どこの大学へ進学するか、決まっていなかった。

ただ漠然と東京がいいなあ、、とだけ考えていた。

私の父は、父独特の先見の明に基づき、私に医者になるか、コンピューター

の仕事をやれとは言っていたが。。。。。


そして、公園から帰ってきた二人を待っていたのは、

誰もまだ帰ってきていない彼女の家だった。


    ・・・・・ 二人だけの空間 ・・・・・


二人は、二階にある彼女の部屋まで、やっとたどりついた。

やっと、、、、、という言葉が的確だったと思う。

そして・・・・








masateru55 at 08:48|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2005年06月23日

 〜20年ぶりの再会〜(2)

49459e90.JPG  ・・・・・時間よ止まれ・・・・・

そう願った。

しかし、現実は甘くない。

「次は、沖縄高校前 沖縄高校前です。」

アナウンスがバスの中で響き渡り、多くの学生たちが

遅刻するのを嫌がって一斉に降りだした。

愛しい彼女は、いつのまにか下車していた。

私にとっては、忘れることのできない夏の朝だった。


教室では友人たちが必死になって期末テストの勉強をしていた。

進学校の部類に入る高校だから、当たり前の風景。

しかし、私だけは、机の上に肘をつき、バスの中での

永遠の20分間のことばかり回想していた。

「ふっ。。。よっぽど惚れているんだな。

だったら告白すればいいじゃん。」

一人で笑った。

確かにそうだ。

でも、なぜ告白ぐらいできないんだろう?

それはそうだ。。。

「今 俺、つき合っている彼女がいるんだから。」

ほんと、俺って

   ・・・・・サイテイ・・・・・



咲子は、クラスメイト。

2年生のとき、同じクラスになった。

それが初めての出会いだった。

彼女は、頭も良く、笑顔のすてきな、快活な女の子。

まるで天使のようだった、彼女。

すぐに、私から付き合ってほしいと告白した。


 17歳の彼女を、「女の子」という表現をするのは、
 あの頃から20年という歳月が、
 そういう言葉を選択させているのだろうか。。。


とにかく、彼女は女子生徒からも男子生徒からも人気があった。

明るい彼女のまわりは、いつも友人たちでいっぱいだ。

そんな彼女とお互いの家でよく勉強もしたし、映画にも行った。

お互いの両親「公認の中」でもあった。

彼女のお父さんは、ある有名な会社のエリートサラリーマンで、

私の方はといえば、お店を経営していた。。。。つまり雑貨屋だ。

でも、私の父は先見の明があって、かなりの不動産をもっており、

マンションをいくつも所有していた。

いわゆる実業家。

彼女の両親も、ひそかに財産家の息子との結婚を望んでいたようだ。

今になって思えば、、、、。


ある日、咲子に「公園に行こうよ!」と誘われた。

学校が終わり、二人とも制服のままではあったが、、。

彼女の自宅近くの丘にある、とても大きな公園だ。

彼女と私は公園のベンチにこしかけ、公園から見下ろせる

街並みを見ながら、学校のことや、友人のことをおしゃべりした。


   ・・・・・緊張しながら・・・・・


そう、二人はお互いの手さえ握ったこともなかった。

会話が途切れ、そして彼女は言った。

「 目をつぶって・・・・ 」

彼女の柔らかい唇が私の頬にふれた。

そして、当然のように二人は熱く抱擁し・・・・・

と言いたいところだが、二人とも照れ笑いするのが

やっとだった。


  ・・・・・夏の日の天使のキス・・・・・









masateru55 at 17:46|PermalinkComments(1)TrackBack(0) こころ 

2005年06月19日

〜20年ぶりの再会〜(1)

e40d04e8.jpg20年ぶりの再会(1)

彼女は一つ上の先輩だった。

高校生のころのあこがれの女性。

テニス部で活躍する彼女は美しくまぶしかった。

明るく優しい彼女の笑顔は、、本当に美しかった。

ただ、遠くから眺めているだけだった自分。

眺めているだけで、、よかった。

憧れは憧れ。。。。

そう 割り切るしかないと、言い聞かせていた。

手が届くはずのない *** 憧れ ***

今でも、あのころの彼女の美しさは忘れてはいない。


ある日、高校へは自転車通学だった私は、たまたま

自転車の調子が悪く、バスを利用した。

そのバス停までは、徒歩20分。

「しかたないな〜」

そう思いながらバス停まで歩いていくと、

すぐに気づいた。

あの愛しの先輩が、、、、、、

バスを待つ人たちの中に光り輝いて立っていた。


  ・・・・・・自転車に感謝した・・・・・・


彼女と一緒のバスに乗れる。

ただ、それだけで嬉しかった。

バスは、ほぼ満員状態。

たまたま乗り込んだ際、彼女が私のそばに立ち、

そしてお互いの肌が触れあった。


  ・・・・・・長かった・・・・・・


一人の青年にとって、この経験は一生の宝箱に入れておく

ほどの価値があった。

その宝箱は絶対に他人には見つからない心の奥底に

 
  ・・・・・・そっと沈めた・・・・・・


青春のひとコマに過ぎない、、、それは百も承知だ。

その頃のバスはクーラーがあるのが珍しく、このバスも

屋外扇風機?というのか、窓からの風が入ってくるだけの

バスだった。 しかし、、、


  ・・・・・・幸いだった・・・・・・


風になびかれた彼女の髪はシャンプーのほのかな香りとともに、、、、

私の口元にふれた。

私は感謝した。

髪に、、、、、

いや 神に感謝した。(笑)


                  





















masateru55 at 10:22|PermalinkComments(0)TrackBack(5) こころ 
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