「世界観、ビジョン、仕事、挑戦――個として強く生きるには」講演録(JTPAシリコンバレー・ツアー2008年3月6日
関係性があるかどうかは分からないが、村上春樹が「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」にて以下のように述べている。
何のため情報か、何のためのお金か、何のための自由か。
意識的に、そして戦略的にそれらを考え、行動する必要があった訳で、最後の一文は[お金]の部分を情報や自由に置き換えることができるのでは、と感じた。
皆さんの時代は、結果として、全部、自己決定しながら前に進んでいかなければならない。周りの人たち、といっても、直接自分が接している人だけでなくて、その友達とか、ネットを介してつながる人たちが、毎日何をやってすごしているのかということが気になり始めたら、結局自分のなかに何も身に付かないまま、1年、2年ダラダラと過ぎてゆく。何か自分で仕事をしてみたけど、隣の人のほうが羨ましいと思っているうちに、10年たってしまうということが起きる。そういう自由、選択肢の無限性を前にして、道具もいろんなものがある。その一方で、自己責任でものごとを選んでいかないといけないという時代に、みなさんは生きています。そのときに一番大事なのは、そういう時代であるという時代認識をきちんともっていることです。
自分をふりかえってみると、今みなさんが目にしているような無限の情報にとりまかれていたら、はたして泳ぎ抜いてこられたかどうか、という自信はあまりありません。でも、自分が途中でいろいろ失敗をしながらも、最終的になんとか生き延びてきた理由というのは、「戦略性」ということに尽きると思います。「戦略性」というのは、「頭がいい」とか「悪い」とか、「一生懸命働く」とか「働かない」ということとは、若干質を異にするものです。戦略性というのは、いろいろな定義がありますが、個人が生きていく上での戦略性というのは、「自分の時間の使い方に対してどれだけセンシティブか」「いま自分がここで使っている時間というのが正しいのかどうか」を問い続ける姿勢をもっていることだと思っています。
情報を得る力を、何のために使うかと言ったら、自分の時間を正しくつかうためです。
「時間だ、時間だ、時間だ」と言っているけれども、誰かに「どうしたらいいですか」と聞くのは、自分の固有性を放棄しているということに気付いてほしい。
関係性があるかどうかは分からないが、村上春樹が「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」にて以下のように述べている。
お金で買うことのできるもっとも素晴らしいものは、時間と自由である、というのが僕の昔から変わらない信念です。
時間と自由があれば、雑事に邪魔されることなく、集中して次の小説を執筆することができます。もちろんお金がなくても、ある程度、時間と自由を手に入れることはできます。
いちばん重要なことは、お金があってもなくても、自分の魂をどこまで「飢えた状態」に置いておけるかということだと思います。
何のため情報か、何のためのお金か、何のための自由か。
意識的に、そして戦略的にそれらを考え、行動する必要があった訳で、最後の一文は[お金]の部分を情報や自由に置き換えることができるのでは、と感じた。