事業承継を上手く進めるためには、
譲る側にも、
譲られる側にも、
相応の心構えが必要です。
ここでは、後継者が持つべき心構え
を考えてみたいと思います。

そもそも事業承継とは、
何を継ぐのでしょうか。
多くの後継者達は、
あまり深く考えもせず、
それは事業を継ぐことでしょう
とお答えになります。
この場合の事業とは、
現在のビジネスモデル(やり方)
を指していることが大半で、
親父のやってきた商売(のやり方)
を継ぐというように
漠然と考えているケースが多く、
その本質を理解している後継者は
やはり少ないように思います。
では、何を承継するのでしょうか。
もちろん換金性のある財産
を継ぐという側面もありますが、
経営を継ぐという観点から考えれば、
承継するものの本質とは、
経営の中にある理念であり、
これまで積み重ねられた信用であり、
代々の人脈であります。
それに気付かず、
理念を馬鹿にし、
信用を裏切り、
人脈を軽んじるようなことにでもなれば、
当然、これまでの蓄積は
台無しとなるでしょう。
いくら十分な蓄財があったとしても、
場合によっては、
経営の根幹を揺るがす事態
になることさえあり得るでしょう。
それがいくら優れたビジネスモデル
であったとしても、
この本質に気付くことができなければ、
やはりその繁栄は一時的なもの
に留まらざるを得ないでしょう。
事業を承継するものは、
まずはその点の認識を
改めることが肝心です。

また、経営を永続させるために
必要な経営者像とは
いかなるものでしょう。
もちろん、これは様々な要件
がありますが、
その一つに“会社を私物と考えない”
という姿勢があります。
中小企業の多くは、
同族株主による家族経営
ですので、会社は自分(達)のもの
という考えが根付きやすいものです。
そうした背景にも関わらず、
老舗企業の経営者は、
自分(達)の会社でありながら、
「会社は預かり物である」
という考えを持った方が多い
と聞きます。
永続を前提としており、
その一期間を自分が(一時)預かり、
次世代によりよい形で
引き継いでいかなければならない
という使命感を強く持っておられるのです。
そうした考えゆえ、
一時の成功に奢ることなく、
謙虚な気持ちで、
会社をより大事にしよう
と考えることができるのでしょう。

最後に、永続すべき企業を
預かる経営者としての使命感
をゆるぎないものとするために、
いま自分がここに存在すること
に対する強い感謝心が必要です。
そもそも、後継者の多くは、
自分の努力とは関係なしに、
そういう状況が与えられるわけです。
その状況をどのように解釈するかは、
本人次第でありますが、
継ぐことを決めたなら、
その状況を有り難く受け止めること
が肝心です。
そこから多くの気付きが生まれ、
深く大きな感謝心へと育まれれば、
それが強固な使命感となって、
自らの支えになることでしょう。