少子高齢化の進展に伴い、
組織における優秀な技術者の高齢化
も間違いなく進んでいます。
多くの中小製造業
(製造業だけに限る話ではありませんが、)では、
こうした技術者の高齢化に
なかなか上手く対応できていないようです。
ある製造業A社では、
後継者不在で事業を継続できなくなる恐れのあった
B社を買収することになりました。
そこでA社から責任者を派遣し、
生産技術の承継を試みたのです。
ところが、これがなかなかうまくいきません。
B社の技術責任者は、
典型的な職人気質の人物であり、
人に教えたことがありません。
A社の責任者の不慣れにより、
なかなか要領を得ない様子に、
B社の技術責任者は
徐々にイライラ感を募らせました。
その挙句、とうとう人間関係までも、
おかしなことになってしまいました。
どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。
こうした熟練の技術者は、
生産技術に関して、長年ノウハウを積み上げた
プロフェッショナルでありますが、
人に教えることは全くの素人なのです。
恐らく、自分も人から教わった経験もなく、
技術は盗むもの、自身の知恵と工夫で見出すもの
という考え方が、潜在意識に深く
刷り込まれているのでしょう。
ただ単に、承継者を熟練技術者の傍に配置するだけでは、
技術の承継は進まないでしょう。

こうした背景において、
大企業では、AI(人工知能)等で熟練技術者の
カン・コツをデータ化するというような取り組みが
積極的に行われているようですが、
中小企業にはそこまでの資金力は期待できません。
もう少し現実的な路線で、
技術の継承を進めていく必要があります。
ではどうすれば技術承継は進むのでしょうか。
アプローチは様々あると思いますが、
ひとつの方法として、
対象となる技術やノウハウを可視化する
という手があります。
要するに、職人技をビデオで撮影し、
カン・コツのポイントを
そこから見出すというアプローチです。
このように客観化した映像であれば、
そこでどこにポイントがあるのか、
熟練技術者も教えやすくなるでしょうし、
教えられる側もより分かりやすくなるはずです。
分かりあえれば、イライラ感の緩和も期待できます。
こうして収集したデータは、技能別に整理・整頓し、
誰が見ても、同等の品質が確保できるレベルまで
ブラッシュアップされれば、
属人化した技術やノウハウを
組織で共有することが可能です。
それにより、技術・ノウハウの再現性が高まれば、
企業の永続性は担保されることになります。
成長しない時代であればこそ、
企業の本質的な強みを見極め、
それを確実に継承していくということは、
企業が永続する上で欠かせない重要課題であります。
とりわけ、製造業(メーカー)における技術というものは、
その企業の本質そのものであることも少なくありません。
確実に承継できる仕組みを、
組織の中に構築していきたいものです。