社会情勢が複雑で不安定になればなるほど、
企業経営の舵取りも複雑で、
不安定なものになりがちです。
時代の先が見えないことを理由に、
経営ビジョン不要論なる意見を発する
経営者も少なくありません。
企業経営にビジョンは、
本当に必要なのでしょうか。
ここでは、様々な切り口から
経営ビジョンの必要性について
考えてみたいと思います。
社員の立場から見たビジョンとは
いかなるものでしょう。
社員にとって会社とは、
生活の糧(給料)を得る場
であると同時に、
自身のビジネスパーソンとしての
成長を実現し、働くことそのものへの
意欲を高めることで
遣り甲斐や働きがいを得る場
でもあるのです。
そうした観点から、本来、社員は
会社がどのように成長していくのか、
それによって自身には
どんな成長機会があるのか、
大きな期待を持っているはずです。
そうした期待のベースになるものが、
社員の共感を得ることができる
経営のビジョンであり、
具体的に目指すべき姿なのです。
一方で、こうしたビジョンがない
からといって、
直ちに経営が立ち行かなくなる
ということはないかもしれません。
それでも、社員が共感できるビジョン
がない会社では、
優秀な社員を雇用することが
難しくなるため、
中長期的には競争力を失い、
いずれ存在価値も失われていく
可能性が高いといえます。

続いて、取引先(仕入先)から見た場合
はどうでしょう。
仕入先にとっての自社はお得意先です。
このお得意先が将来的に
どうなっていこうとしているのか、
興味を持たない会社は
いい会社ではありません。
いい会社は、自社の顧客に強い関心を持ち、
顧客がどうなろうとしているのか、
そのために何を必要と考えているのか
を常に注意深く観察し、
自社が入り込める余地を探し、
提案してくるものです。
よって、自社の将来像を
端的に表した経営ビジョンは、
自社を支援したいと考えている仕入先や
得意先にとって、
非常に分かりやすいメッセージになります。
この先どうなるか分からない
と考える会社より、
(実現できるかどうかは二の次として、)
まずは大きなビジョンを掲げて、
まい進している会社と
取引をしたいと思うのは
当然のことでしょう。

最後に企業経営者自身の立場から見た
ビジョンを考えてみましょう。
企業の推進力の源は、
何と言っても経営者自身のモチベーション
に他なりません。
よい経営をしたいと
強く願う経営者の気持ちが、
企業変革の源泉となり、
組織のイノベーションを
実現していくことになります。
こうした経営者自身のモチベーション
の源泉のひとつが、
「将来こんな会社にしたい」
という経営ビジョンといえます。
より良いもの、
より難しいことにチャレンジしよう
という気持ちがあるから、
モチベーションが上がるというのは、
誰でも経験的に知っていることです。
企業の経営もまったく同様であり、
明確なビジョンを掲げることで、
経営者のモチベーションは上がり、
それが社員のモチベーションへと
繋がっていくのです。
いかがでしょうか。
今回は様々な立場から、
経営ビジョンの必要性を
考えてみましたが、
どの角度から見ても、
よりよい経営、持続的な経営を
実現する上で、
経営ビジョンが必要であることが
認識できたのではないでしょうか。