仕事とは

新入社員の入社からわずか一月、
TVのニュース番組では早期退職者が
増加しているといった報道を
よく見かけるようになりました。
新卒者の街頭インタビューでは、
そうした現状に対して、
様々な意見が飛び交っています。
その内容は、自分自身の成長に
最大の目的が置かれ、
仕事や職場はその手段であるという認識
が多くを占めているようです。
そういう傾向が強まれば強まるほど、
(国の思惑通り)雇用の流動性は
高まるかもしれませんが、
働く側の当人達が本当の働きがいを
感じられるのだろうかという点では、
はなはだ疑問が残るところです。
働くとは、本来、世のため、人のため
であるという常識は、
もはや常識ではないのかもしれません。
彼らにとっての仕事とは、
いったい何なのでしょう。

働きがいとは

働く人のモチベーションの源泉として、
「働きがい」というものがあります。
この「働きがい」とは、
いったい何なのでしょう。
「給料は下がったけど、働きがいのある仕事です」
といった発言を耳にしますが、
これを聞く限り「給料が多いこと」が、
すなわち「働きがいが大きいこと」
とは違うようです。
給料などの待遇とは別のことろにある、
仕事そのものによって得られるベネフィット
(働くことから得られる心の満足、価値)
なのでしょう。
その意味では、お金を得ることが
最大の心の満足である人にとっては
給料が増えることが、働きがいに直結する
と言えますが、そういう人はむしろ
減ってきているのではないでしょうか。
「真の働きがい」はどこにあるのか。
そこに向き合うことが、
仕事のもう一つの醍醐味のように思います。

働きがいを持ち続けるには

「真の働きがい」はどこにあるのか。
多様性が容認される今の時代において、
そこに正解を求めること自体、
ナンセンスなのかもしれません。
しかし、ビジネスの世界で長らく恩恵を被った
我々には、後輩たちに我々が感じたそれを
伝えていく義務があるのではないでしょうか。
ビジネスとは、そもそも「他人の困った」を
少しでも減らそうと、
あるいは「他人のベネフィット」を
少しでも大きくしようと、
様々な工夫と努力によって
発展してきたと言えます。
目的は外(他人、社会)にあり、
その目的に向けて様々な困難に立ち向かい、
克服することで自らが成長し、
その成長を心の底から喜べたように思います。
このように仕事とは、
まずは他を利することであり、
その結果として自利(自分の利益)がある
という認識が必要だと思います。
そうした認識を持つことこそ、
仕事のやりがいを感じるための
最も大きなポイントではないかと思います。
自利(自分の利益)が第一に来てしまうと、
どうしても独りよがりになります。
自分基準で仕事を選り好みし、
結果的に成長を遅らせてしまう
ということがよく起こります。
いずれ面白くなくなり、
退職を繰り返すというケースも
少なくありません。
こういうケースは、
ベースの考え方が良くないため、
なかなか転職がキャリアップにつながりません。
「仕事とは何か・・・」
その本質をしっかり理解できれば、
無用な転職が減るばかりか、
日本全体の生産性にもよい影響を
及ぼすのではないでしょうか。