賃上げと業績向上の好循環

少し前の日本経済新聞にて、
中小企業で業績の改善が伴わないのに
人手を確保するための
「防衛的な賃上げ」が目立っている
という記事がありました。
日本商工会議所の調べということですが、
その比率は実に6割にも上るとか。
「卵が先か、鶏が先か」の議論と同じく、
正解を見つけ出すのが難しい問い
ではありますが、
いずれにしても経営者自身に、
企業の業績、ひいては経営そのもの
を持続的に改善していくという
強い意志がなければ、
せっかくの賃上げも単なるコスト増
にしかなりません。
どうせ上げるのであれば、
社員にとっても会社にとっても
プラスになる、持続的な好循環
が生まれる機会としたいものです。

業績向上ではなく収益構造の改善

実際、私どもとお取引のある企業様
の中にも、なかなか業績の改善が
進まない中で、昨今の賃上げブームに
対応せざるを得ない企業は存在します。
こうした状況も1~2年程度なら
対応できるとしても、
更に複数年続くとなると、
さすがに厳しいものがあります。
「いつかよくなる・・・」では、
取返しのつかないことになる
かもしれません。
いましばらく続くであろう、
賃金上昇トレンドに対応していくには、
それに見合うだけの業績の向上・・・、
より本質的には「収益構造の改善」
を実現するほかありません。
そのための短期的な課題が、
持続的な値上げの実施と
少人数で大きな付加価値をあげるための
生産性の改善です。

両輪で実現する持続的好循環

多くの企業において、
値上げ交渉は最重要の課題と言えます。
もちろん競争力を維持しながら
値上げを実現しようとすれば、
改めて自社の付加価値は何かを明らかにし、
顧客に対して十分に
訴求する必要があります。
「何も変えないが、値段だけは上げてくれ」
では、いずれ競合に仕事を
奪われてしまうことでしょう。
改めて自社が勝負する付加価値は何なのか
を明確にし、その点をより強化
していくことが肝心です。
もう一つの課題は生産性の向上ですが、
持続的な賃上げを目指す以上、
会社の努力もさることながら、
社員にも相応の努力を求める必要があります。
会社同様「何も変えないが、
賃金だけは上げてくれ」は虫のいい話です。
社員全員が自らの意思を持って、
一人ひとりの稼ぐ力を高め、
同時に会社がそうした改善が進むような、
あらゆる後押しを行うことで、
一人当りの付加価値(=生産性)の
持続的な向上を実現しなければいけません。
これら両輪がうまく機能すれば、
持続的に賃上げを実施しながらも、
組織の収益構造は持続的に
改善できるでしょう。
これらを実現できる企業と
そうでない企業の格差は、
今後ますます広がり、一定の水準まで
業界の再編が進むでしょう。