大賃上げ時代の到来

中央最低賃金審議会では、
2024年の最低賃金の目安を全国平均で
前年比50円アップとなる平均1,054円
と決めたとのこと。
上げ幅は前年を上回り過去最大規模
となる模様です。
あくまで最低賃金の底上げではありますが、
全体的なボトムアップが
図られることになれば、
全体で見ても相当の賃上げになることは
間違いありません。
更にいえば、政府方針として
2030年代半ばまでに
最低賃金を1,500円まで引き上げたい
意向があります。
これを実現するためには、
毎年3%~6%程度の引き上げが必要
になります。
大賃上げ時代の到来です。

高収益企業の共通点

一方、企業収益を見ていますと、
年々二極化が際立ってきているように
思います。
業績のよい企業とそうでない企業は、
業種による差もありますが、
同業界でも勝ち組と負け組が
はっきりしてきています。
勝ち組企業に共通して言えることは、
人件費の割合が相対的に低い企業です。
労働分配率(人件費÷粗利益)という
経営指標はご存じのことと思います。
企業が稼ぐ粗利益(付加価値)から、
人件費に向けられるウェイトを
見る指標ですが、
際立った業績を上げている企業の多くは、
この労働分配率が非常に低くなっています。
ただし、人件費の水準(一人当りの人件費)
が、著しく低ければ人が定着しませんので、
一定以上の水準を維持しつつ、
全体としての労働分配率を低く保てている
企業が高収益を上げているのです。

高生産性企業への転換

前述の通り、今後10年を
大賃上げ時代と位置付ければ、
そうした環境変化にどう対応するかの
方針を示さなければいけません。
一人当りの人件費を保ちつつ、
総額人件費をいかに抑えられるか
がポイントです。
ある企業では、積極的な設備投資と同時に、
仕事の標準化を進めることで
総額人件費の低減を実現しています。
一方で、ニッチな事業セグメントに
ポジショニングすることで、
高付加価値(高い粗利率)のビジネスを、
最速のスピードで展開し、
結果的に労働分配率の低減を実現
している企業もあります。
やり方は様々ありますが、
こうした企業は、
早くから人件費の相対的な低減が
高い収益力を実現することを認識し、
そのために様々な方法を試行錯誤し、
現在の高収益体質を実現している
と言えます。
今後、こうした向きが加速しそうです。
いち早く自社の収益構造を分析し、
事業戦略を構築し直す必要があります。