「流れに掉(さお)さす」

「流れに掉さす」という慣用句があります。
本来の意味は、流れに沿って
棹をさして船を進めるように、
物事が順調に運ぶようにすることを
意味する慣用句ですが、
現代では本来の意味とは真逆の意味
(流れを変える)でつかわれる
ことが多いようです。
企業経営にも「流れ」というもの
があります。
いつもよい流れに乗れていればよいですが、
組織は生き物ですので、
よい状況がずっと続くことはありません。
優れたリーダーは、
こうした経営における「流れ」を
敏感に把握し、その流れに掉さし、
組織を上手くリードすることで
よりよい状態を長く継続させること
ができるのです。

流れを生み出す空気

組織全体によい空気が形成されると、
その空気感により動きが活発化し、
効率的に成果が上がり続けるような
状況(流れ)が生まれます。
これは“よい流れ”と言えます。
半面、空気がよどみ、
その空気が組織に停滞感をもたらすと、
とたんに動きが悪くなる。
すると思うような成果も、
なかなか上がらなくなること
がよくあります。
誰しもそんな経験があるのでは
ないでしょうか。
このように、
人が集まって活動をしている組織には、
常に空気があり、
その空気により流れが生まれます。
では、こうした流れを、
リーダーはどのようにつかみ、
どう扱えばよいのでしょう。

状況によって変化させる
  リーダーシップスタイル

リーダーが組織を上手くリードするためには、
その状況にあったリーダーシップスタイル
を取ることが鉄則です。
状況が変化しているにも関わらず、
一辺倒なリーダーシップを
取っているようでは、
組織を上手くリードすることはできません。
経営戦略と同様、
環境変化に適応するということ
が重要なのです。
流れがよい時のリーダーシップ
はどうでしょう。
放任というスタイルのリーダーシップ
があります。平たく言えば「放っておく」
ということですが、
これも立派なリーダーシップスタイル
と言えます。
メンバーが能力も意欲も高い状態で、
よい結果を生み出し続けている状況であるなら、
思い切って「放っておく」のがよいでしょう。
よい流れの時に、
悪い意味で掉さすリーダーも存在します。
メンバーがモチベーション高く、
成果を上げ続けている状況で、
余計な介入をして流れを悪くするケースです。
一方で流れが悪い時はどうでしょう。
こういう時は流れを変えなければいけません。
意見を聞いたり、アドバイスすることで
流れを変えられれば良いですが、
それでも悪い流れが続くようなら、
思い切って独裁スタイルのリーダーシップ
が効果的です。
具体的な指示・命令によって、
組織を一気に動かすことで、
悪い流れを乗り切ることが大事です。
逆に、悪い流れなのに、
(メンバーがベテランだから等の理由で)
放任してしまうリーダーも問題です。
悪い流れにダラダラと
引きずられるのは最悪です。
相手が誰であれ、
そういう状態を黙認してはいけないのです。