経営の要諦

事業をうまく成長させるための要件は、
「優れたビジネスモデルを構築」することと、
「強い組織を編成」することです。
ビジネスモデルとは、
企業が存続するために必要な
独自の要件を価値連鎖(バリューチェーン)
としてまとめたものです。
その中でどのように
持続的に利益を生み出すのかが、
仕組みとして明示されます。
いわゆる経営戦略を具体的なモデルとして
発展させたものと言ってよいでしょう。
経営戦略だけでは、実行に向けた
具体性が乏しくなりがちですが、
経営戦略をベースに
ビジネスモデルによって
具体的な方法に落とし込むことで、
実効性を高めることが可能になります。
一方で、いくら優れたビジネスモデルが
構築できたとしても、
それを実行するのは組織です。
そのため、ビジネスモデルによって
成果を上げるためには、
その実行者である組織が強力である
必要があるのです。

「理」と「情」

優れたビジネスモデルは、
極端な話、一人の優秀な頭脳があれば
(場合によってはAIでも)作り出せる
かもしれません。
それはその多くが理論の世界であり、
様々な事実を積み上げて構築することで
生み出せるものだからです。
一方で強い組織づくりは、
そう簡単には行きません。
何故なら、組織は生身の人間の集まりであり、
一人ひとりが感情を持つ生き物だからです。
気分が乗った時と、
そうでない時のパフォーマンスは
圧倒的に異なります。
加えて、個と個が作用しあいます。
集団が良くも悪くも作用しあいますので、
個々の感情が複雑に絡み合いながら、
全体としてのパフォーマンスにも
影響を及ぼしていくのです。

経営者のイノベーション

経営者はこうした理性と感情の双方を、
上手くマネジメントする必要があります。
いくら優れたビジネスモデルを
構築できたとしても、
人を上手く動かせなければ、
十分な成果は得られないでしょう。
同様に、せっかく有能な組織づくりに
成功したとしても、
ビジネスモデルが凡庸なものであれば、
やはり十分な成果は得られません。
意欲も能力も旺盛な大手企業であれば、
得意分野を分業することもできますが、
多くの中小企業では、
優れた経営者が一人で
すべてを担わなければいけないケース
が大半です。
それゆえ、苦手などと言っている場合
ではありません。
厳しい経営環境の中で生き抜くためにも、
経営者が覚悟を持って、
これら2つの要諦を実現すべく
自らイノベーション(革新)を
図っていかなければいけないのです。