
最後の皇帝と謎解きを/犬丸幸平 著
舞台は1920年の中国。北京在住で日本人絵師の一条剛は、紫禁城に住む15才の溥儀(ふぎ)に水墨画の師として雇われた。しかし実際は、城に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売却し、清朝復興のための資金を調達する目的があった──。
側近の一人が密室で不審死を遂げた事件を皮切りに、龍の絵に何者かの手で描き加えられていた眼、あるときを境に感情を失くした宦官など、一条はさまざまな謎を溥儀と解き明かすことになる。立場を超え、二人の間に友情が芽生えていくが...。
紫禁城、清朝最後の少年皇帝、日本人絵師、謎解き、友情、歴史ミステリー。中国の歴史に疎いワタシでも 興味をそそられるワードの数々。期待を胸に 長く待った予約本w
ポップなタイトルと表紙のふんわりしたイラストで さらっと楽しめるフィクションを想像してたのに 史実を絡めたこんな重量感のある内容だったとは。
貧しさ、権力争い、贋作、殺人、宦官、どれもこれも重く悲しい描写で、ラスト 溥儀に別れを告げる一条の去り際があまりにも切なく潔くて トドメを刺された気分でしたが、最後の最後、溥儀の日記で、十二支の水墨画─龍と犬─が一条の手により 寄り添うように並び替えられていたことが明らかになると 一気に心救われました。
少年廃帝と若き日本人絵師の間には、確かに友情が芽生えていたのだと。
『このミステリーがすごい!』大賞の2026年大賞受賞作。

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