2009年08月12日
ぶどう膜炎
概説
また、非感染性の原因疾患では、わが国ではベーチェット病、サルコイドーシス、原田病が三大疾患ですが、ベーチェット病だけは他の非感染性ぶどう膜炎と異なり、感染性疾患によるぶどう膜炎同様、ステロイド治療が原則として 禁忌(きんき)になるので、診断とともに治療も難しい病気です。
症状
また、全身疾患に合併する場合には、目以外の身体症状も多彩に出現します。例えばベーチェット病では、 アフタ性口内炎、にきびのような皮膚の発疹、陰部 潰瘍(かいよう)が、サルコイドーシスでは、特有の皮膚の 結節、原田病では、脱毛、白髪、難聴、後頭部の痛みや硬直、関節リウマチなどでの手足の関節の変形と腫れ、こわばりなどがあります。
一般的な治療法
非感染性疾患のうち、ベーチェット病では、コルヒチン(1日0.5~1.5mg)を第1選択、選択的免疫抑制剤(サンディミュン、ネオーラル:体重1kg当たり1日約5mg)を第2選択、ステロイド(プレドニン:1日5~20mg:他剤少量と併用)、古典的な免疫抑制剤(エンドキサン:1日50~100mg)を第3選択とします。この病気では、ステロイド内服治療のほうが、ステロイドを使わなかった場合より結果的に視力が悪いということで、原則的にはステロイド内服は 禁忌といわれていましたが、全身への副作用を重いものにせずに、 炎症発作を長期にわたり抑えることが難しい病気なので、ぶどう膜炎治療の経験豊かな専門医の指導で実施する必要があります。
他の非感染性ぶどう膜炎では、 自己免疫異常に基づくものが多いので、軽ければステロイドの点眼(リンデロン:0.1%1日4~5回、1回1~2滴)、 眼底に 炎症が広がれば非ステロイド系の消炎剤(ロキソニン:1回60mg1日3回など)の内服を、視力が低下する場合はステロイドの内服(プレドニン:1日30~50mg)を用います。
原田病で強い 炎症の場合は、大量のステロイド(プレドニン1日800mg~1,200mg)の点滴 静注を 漸減またはパルス的(短期集中)に 投与をすることがあります。最近、 炎症による網膜黄斑部の 嚢胞(のうほう)状 浮腫(ふしゅ)で視力低下が著しい時、ステロイド剤のケナコルトの眼球テノン嚢下注射をすることもしています。