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 こんばんは。またもやそこはかとない話です。






 どちらもアダルトの作品なので、一般性はないかもしれませんが、上段の方は本の売れ行き以上に読み放題で大きな収益を上げています。下段の方は、ケタ違いに大きな収益を上げたものの、いまになって一部作品が販売できないとなって、今後はマルチストア配信へ移行しようという話です。

 上段の人は、それほどの売り上げでもないのに1位を取り続けたのは不思議だと言っていますが、毎日1万ページ以上も読み放題で読まれていれば、売れなくても上位に来るのではないかと思います。

 とにかく、KDPがスタートしてから、「なかなかKDPで稼ぐのは難しいよね」という話を繰り返しているわけですけども……。少なくとも、きっちり稼いでいる事例は出ています。とはいえ、私がKDPで理想とする「毎月15万円」は簡単ではなさそうだな、というのもわかってきましたけど。

 えーと、毎日1万ページ読まれたら、月30万ページ、1ページ0.5円換算とすれば、15万円。不可能じゃなさそうだけど、1位をずっと取り続けるぐらいじゃないとムリかあ……。

 ところで。

 以前、上位に入りやすいジャンルを選んだ方がいいんじゃないか、という話を書きました。

 電子書籍 セルフパブリッシング 売るものか、読まれるものか?(追記あり)両方だろうけども

 上記の人たちのジャンルを見て見ると……。Kindle 本 アダルト 小説 サブカルチャーというカテゴリーで、今日のところで5,692タイトルもあります。これは、ニッチじゃないですね。むしろメジャー。
ミステリー・サスペンス・ハードボイルド (2,927)
SF・ホラー・ファンタジー (1,383)
 というのが同じ日のタイトル数(Kindle本のみ)。

 つまり、アダルトで勝負するよりも、SFやホラーの方が上位に行きやすいはずです。狙うならこっちかな。

 いま見たら、SF・ホラー・ファンタジーのトップ10に、読み放題対応の本は3作品入っています。あれ、なんか印象的に少ないな。トップ20まで広げると10作品。なかなかですよね。

 で、さきほどのアダルト 小説 サブカルチャーでは、トップ10がすべて読み放題対象。20位までいっても同様。ええ、どこまで? 40位までいってもだ。100位まで表示されますが、読み放題に対応していない作品は数えるほどしかないのです。

 おっと、ここで話が変わってきちゃったぞ。

 1、本が売れていなくても、読み放題で読まれると収益になるよね!
 2、ジャンルの上位にいった方が、よりたくさん読まれる可能性があるよね!
 3、読み放題の読者が多いジャンルなら、なおチャンスがあるよね!

 って、ことになっちゃうのかな?
 SF・ホラー・ファンタジーの上位にいるKDP作家さんの売り上げがわからないので、なんとも言えませんけども。

 仮説としては、タイトル数が少なくて上位に行きやすいであろうジャンルであっても、そのジャンルの読者数が多くない、または読み放題で読む読者数が多くないジャンルでは、KDPでセレクトにして読み放題に参加しても、あんまり楽しい結果にならないかもしれないですね。

 一方、上位に読み放題がいっぱい入っているジャンルであれば、あまり売れなくても、読み放題読者によって、ある程度の収益が見込めるかもしれません。だったら、マルチストアではなく、セレクトにして読み放題で稼ぐこともありなのか?

 


 という鷹野さんの見方が、なかなか考えさせられます。
 読み放題の読者は、熟読するわけではなく、パーッと飛ばして必要なところだけ読むのかもしれませんね。

 そうなると、本当に著者のファンになるのかどうか。アダルトは特殊なカテゴリーすぎて応用がきかない気もしますけど、そこにはたくさんの読者がいるというよりも、1人でより多くの本を試す人がいるのかもしれません。また、紙の本では手に入らない(手に入れにくい)から読み放題の価値があるのかも。

 私がいくらミステリー好きだからといって、読み放題に参加したとしても、1位から10位までざーっと数日で読んで、それから好きな作品をゆっくり読む、といった読み方は、たぶんできません。ミステリーなので、ざーっと読んでしまったらネタバレしちゃうから、というのもあるけれども、ゆっくり読みたい、楽しみたい。
 だったら、読み放題じゃなくて、買っても同じだし。コスト的にどっちが得か、と。

 そこへ行くと、アダルト分野は、ザーッと見てまわって、気に入ったものを読む、という読者がいる可能性があるのではないか。
 マイクロコンテンツという点では、おそらくページ数であるとか本の構成(写真やイラストが多いなど)にもよるのかもしれませんね。

 そして、こうして俯瞰してみると、「稼ぐ人は稼ぎ、稼げない人は稼げない」。これは、電子書籍市場の大きさもさることながら、そもそも書籍はそうだなあ、という気がしています。
 私が主に関わっているビジネス書、実用書でも、ほとんど同じテーマ、同じジャンルなのに、ある本はベストセラーとなり、ある本はまったく売れない。
 著者の責任ではないし、内容にそれほどの差もない。「勝てば官軍」なので、ベストセラーをいくら分析しても、それを次に応用することは難しい。
 10万部と0.5万部ぐらいの差が簡単に出てしまうので、怖ろしいですよね。印税で100倍の差がけっこう簡単についちゃいます。努力は報われないかもしれないのです。同じ努力をして書き上げても、なぜか収益で100倍もの差がつくとしたら、このチャンレンジはけっこう厳しいですよね。

 よく著者に相談されて「これぐらいはいくのでは?」みたいな皮算用をされますが、さっぱり予測できません。というのも、同じジャンルの本が10万部いったとしても、だからってその著者の本が1万部いくかどうか、さっぱりわからないのです。

 勝者の総取り、という感じになりやすいのが書籍の世界です。一度弾みのついた著者は、次々出す本も、しばらくはある程度は売れます。
 その一方、売れない著者の本が突然火がついて売れるケースはホントに奇跡。滅多にありません。それに、売れない著者の本は、火がつくまで店頭にあるのか、倉庫にあるのか。断裁されて廃棄されちゃう。

 この点、電子書籍は在庫なしで売り続けられるから、火がつく可能性はゼロではないけど。それは、よくない喩えでいえば、宝くじを、10枚買うか100枚買うか、ぐらいの差でしかないのではないか、なんて思うのですが……。

 書籍で起きていたことは、電子書籍でも普通に起こるなあ、ということを再確認したような気がします。

 このとき、大切なことは、「みんなで同じように稼ぐことはできない」を前提に考えること。ある人は電子書籍で儲ける。だけど、それは私にも起こるとは限らない。だったら、どうするか。どこで、なにで稼ぐか。収益を上げるのか。売れる人は売れ、売れない人は売れない。売れない人は、どうやって食べていくのか。そこを考えていくしかないかなと思います。

 1つのマルチ展開としては、本の売れ行きはそこそこでも、その本に関わるビジネスを展開するとか、情報を提供してアフィリエイトで稼ぐとか、物販をするとか、さまざまなユニットを組み合わせてみることです。

 単純な例として、本を書く、売りたいのでSNSで拡散する仕組みをつくる、フォロワーを増やす、だったら、そのフォロワーに本以外のものも売れるのではないか?

 みたいなことです。私がちょっと気になるのは、DJという存在です。音楽関係ですけど。DJは必ずしもミュージシャンではない。楽器はやれないかもしれない。ラッパーでもないかもしれない。それでも、DJは作詞、作曲、イベント、プロデュース、タレント、コンサルタント、先生などいろいろな収益源に絡む可能性があります。ナンバーワンでなくても、オンリーワン路線で稼ぐ道は、あるのではないか。自分だけのブルーオーシャンがあるのではないか。

 少なくとも、書籍をつくることができるぐらいの能力があるのなら。みんなで同じように稼ぐことはできないことを前提として、自分だけでそこそこ稼ぐ道を見つける必要があると思います。
 目的として、少ない読者であっても、その人たちに自分の作品を届け続けたいと思っているのなら、続けるための仕組みが必要なのです。それをつくることが大事ですよね。

 あと、読み放題で読者層が広がると期待している私ですけれども、まだまだ時間がかかりそうだな、と感じています。
 とはいえ、アダルトの活況はこれまでも新しいメディアには不可欠な突破口だったので(ビデオ、DVD、ネット)、その点でも電子書籍はまだそこの段階なのだ、と自分に言い聞かせているところです。「まだ、これはレンタルビデオ店が登場した頃なのだ」と。1988年頃ですか? だとすれば、これからが成長期ですね(いや、それがわからないのであって……)。これから、いろんなことが起きるんだろうな、という期待もありますよね。あるなあ、たぶん。あるでしょう。そのときに、みなさまの著書が売れていることを、切にお祈りする次第なのです。

 ちなみに、このような発言もありました。追記します。






 売れないのも困るけど、売れすぎて目立つのもダメというのは、不条理なシステムに見えますけども。なんとなく、「勝ち逃げかよ、お兄さん」とヤクザ映画で賭場で揉めるきっかけのシーンを思い出してしまうなあ。