2016年07月

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(受賞公演関係者と記念撮影)

【演奏会場】
サントリーホール ブルーローズ

【演奏曲目】
贈賞対象となった『DUOうたほぎリサイタル2015-春夏秋冬-』で演奏された曲目の内、下記をダイジェストで繋ぎ合わせた特別バージョン
・武満徹:「ギターのための12の歌」より早春賦(ギター独奏)
・春の歌(女声無伴奏独唱)
・ハンス・ベルナー・ヘンツェ:「三つのテントス」よりトランクイラメンテ(ギター独奏)
・平野一郎:冬の歌(女声無伴奏独唱)
・ジョン・ダウランド:来たれ深き眠りよ(ソプラノとギター)

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【管理人コメント】
吉川真澄さんにご招待いただき、第47回サントリー賞及び第15回佐治敬三賞の贈賞式とそれに続く祝賀会に出席させて頂きました。

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(祝賀会でのインタビュー風景)

吉川さんは、「DUOうたほぎ」を代表して表彰状、副賞の金一封の受け取り、受賞の挨拶を行われましたが、受賞の挨拶は、今までに支援を頂いた方々の名前をひとりひとり挙げながら感謝の言葉を述べられるという、いかにも彼女らしいものでした。

吉川真澄さんは、所謂プロダクションなどの組織的なバックアップをどこから受けることもなく、たった一人で活動して来られました。私はこの業界のことは全く分かりませんが、どの世界でも同じで、一人でできることなど極めて限られたものでしかない筈です。それにも関わらずこのような大きな賞を受賞されたのは、多くの人たちの力添えを得られたからだ、というのは間違いない事実だと思います。それでは、彼女はたまたま運良く今日この贈賞式に招待された、吉川さんが感謝の言葉を述べられた方々の知遇を得て、その力添えがあって今に至ったのでしょうか?私は、吉川さんの持つ芸術的な、更には人間的な力が、たまたま人生の経路が交差し合い遭遇されたこれらの方々を呼び留め、彼女に力を貸させしめたのだ思っています。

マエストロ佐藤紀雄が吉川真澄と2003年に初めてのデュオを組んで以来、途絶えることなく二人の活動が続いているのも、鬼才平野一郎が2003年に吉川真澄の歌声を聴いてその虜となり、2011年に至ってようやくその想いが「邪宗門~南蛮憧憬の彼方へ~」として結実すると、その力線が佐藤紀雄のそれと結び合ってこの2015年の佐治敬三賞受賞公演に結晶化するのも、偶然でも幸運でもなんでもなく、吉川真澄の持つ何かの力がそれを導いたのだと私は思っています。

かくいう私も、2005年以来ずっと彼女の演奏を(所謂)追っかけしてきましたが、この受賞は私のそういう(常軌を逸した?)行動に対して明白な理由付けをしてくれたもので、とても誇らしく、また嬉しく思っています。どうだ、見たか!という気分ですね。

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(表彰状)

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(吉川真澄さん、平野一郎さん、大須賀かおりさん)

【演奏会場】
岸和田市自泉会館

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【演奏曲目】
《第一部》
浜辺の歌 (林古渓詩/成田為三作曲)
君の髪 (ヴァンサン・デ・ロイス詩/ポリーヌ・ヴィアルド作曲)
ハバネラ (作詞者不明/ポリーヌ・ヴィアルド作曲)
ハバネラ「空間に戯れて・・・」より (神本真理作曲) > ピアノソロ
ある日浜辺で (鶴見正夫詩/渡鏡子作曲)
川の瀬に (紀友則詩/松平頼則作曲)
シャボン玉-子ども版 (柏木麻里詩/夏田昌和作曲)
シャボン玉-大人版 (柏木麻里詩/夏田昌和作曲)
小さな電車 (柏木麻里詩/Momo作曲)
ひまわり (柏木麻里詩/Momo作曲)
私は家を建てたい (作詞者不明/ガエタノ・ドニゼッティ作曲)

《第二部》
Etude for Etude (渡辺裕紀子作曲)
夏の木 (柏木麻里詩/大場陽子作曲)
どっちかな (白井うた&明大詩/鶴見幸代作曲)
うみをわたって (白井明大詩/鶴見幸代作曲)
銀貨海月 (川上統作曲) > ピアノソロ
海の幸 「蒲原有明の詩に拠る、ソプラノとピアノの為の二連画」より (蒲原有明詩/平野一郎作曲)

《アンコール》
りゅうのこもりうた (平野一郎詩/作曲)
鳥と花とせみのうた (柏木麻里詩/大場陽子作曲)

【管理人コメント】
吉川真澄さんの故郷岸和田の自泉会館で毎年開催されているリサイタル。今年はKOHAKUでトリオを組んでいた大須賀かおりさんを迎えての開催でした。私が前回お邪魔したのは2008年の佐藤紀雄さんとのデュオ・コンサートでしたがそれから8年経ちました。この日に合わせて佐藤紀雄さんとの新しいCDの先行発売日が設定され、レーベルのジパングプロダクツからCDの出張販売のデスクが設けられたリ、ここ数年輝かしい成果を生み出している協同パートナーの平野一郎さんが自作品の再演に立ち会うために来られたリ、東京で活動される音楽評論家の谷戸基岩さんが、フアンとして吉川さんの地元での活動(ホームゲーム)をぜひ見てみたいと駆けつけられたリ…、その8年の間に吉川真澄さんの演奏活動が音楽界の中で着実に存在感を増していることを感じさせるリサイタルでした。

オープニングは「浜辺の歌」。最初の数小節を聴いただけで、「あぁ、この声を聴くために岸和田まで来たんだ」と、しみじみ思ってしまいました。朝日に、あるいは夕日にキラキラ輝く、浜辺から見た海の水面。まさにそんな輝きに満ちた吉川真澄さんの歌声でした。

「『浜辺の歌』は唯一皆さんになじみのある曲」との紹介がありましたが、プログラムはKOHAKUの活動から生まれた新作童謡や、小林緑さんの企画で取り組んできた女性作曲家の作品など、私にはなじみの深い曲が中心となっていました。この小林緑さんの企画には谷戸基岩さんも関係されているそうで、先月の演奏会を聴いた旨の話をさせて頂いたら大層喜んで頂け嬉しかったです。

その際ピアノは河野紘子さんが弾かれましたが、大須賀かおりさんのピアノは素人の感覚で語るのは失礼かもしれませんがかなり違った印象があって興味深く拝聴しました。これはお二人が専門とするジャンルの違いかどうか分かりませんが、平野一郎さんが音楽家の目を通して触れておられますのでご参考に。私には、「音が立っている」という極めて俗っぽい表現しか思いつきませんでした(^^;)

ピアノソロの「ハバネラ」や、第二部の冒頭に演奏された「Etude for Etude」など、極めて前衛的でかつ楽しい作品もあり、非常にバラエティに富んだ充実したコンサートでしたが、中でも圧巻は最後の平野一郎作品、「海の幸」です。これは、2013年11月の日本現代作曲本選会で演奏された「海の幸・天平の面影~蒲原有明の詩に拠る、ソプラノとピアノの為の二連画~」の第一曲で、どうしてももう一度聴きたいと思っていた曲のひとつでした。あの有名な青木繁の絵画「海の幸」へのオマージュとして書かれた蒲原有明の詩に平野一郎さんが作曲されたものであり、大須賀かおりさんのピアノが奏でる美しい海、鱗(いろこ)の宮(所謂竜宮城のことだそうです)、そして吉川真澄さんの輝かしく力強い歌声で歌い上げられる、その海を支配する神々と神々により齎される海の幸、古より続く荒々しい海の男達の生業。圧倒的でありながらきらびやか。素晴らしい曲であり演奏でした。

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