2017年07月13日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 246 琵琶
琵琶の木を植えるに、家の南側は鬼門だと聞きます。
常緑樹故、太陽光線を遮って部屋を暗く寒くするから
だと解釈して、夏の陽の暑さ除けを選んで、風水は気
病の外に置く事にしました。
二十数年経って、所狭しと枝を広げた木は、深緑の葉
重なりの中に黄金色の実を無数に輝かせています。
明野に身を置いていると、お洒落な建物、小粋な人達
から、どんどん離れて、山、草木、雲に魅了されてい
る内に、私自身草木に変容して行きそうです。
♪琵琶の実
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折々の記 246 蛍
この地で草木に埋もれていると、都会が日常の中で、果て
しなく遠方になって行く。意識は既に、野性動物化して文
明の外の五感だけでも生きて行けそうである。
文化文明に、充分に浴して来たはずの友人は、熟し切れな
い発展の中で、これに追い縋って、引きずられ、肉体ばか
りか、頭脳までも、擦り傷だらけになっている。
文明の中で生きる彼女を置き去りに、文明は更に光を放ち
老いた目は、瞬きすらも困難になっている。
友人も私も強かに老いた。で、在ってみれば、七輪で湯を
沸かし、釣瓶とまでは言わないまでも、井戸水を汲んで、
風呂まで運ぶ重労働、固くて重い軍隊払い下げの毛布まで
洗った洗濯板、雪の日、高下駄の歯に雪が詰まって転んだ
小学校への坂道。
戦後急速に文化的生活とやらに移行していったが、僅かに
ではあっても 楽しみながら不自由を自在にした最後の年
齢なら「あれが無くては、これも必用」など返って、不自
由な贅沢から解放されて、山野で一緒に素で、戯れられた
ら幼い日に戻れるだろうに。 
蛍は、真の闇で一番美しく光る。
跳び始めてから一週間 水以外摂取する事なく、最期の日
まで、恋の炎を心に抱き、身に透明な燈を灯しながら生を
閉じるとか。
傷付きながら文明に追い縋って、不甲斐なく存えるなら、
身を燃やし尽くして、夏に終わる蛍でありたい。
♪蛍
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2017年07月09日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 245 桜ん坊
さくらん坊の響きがとても似合う宝石?です。柔らかいの
ですから石ではないですね。丸くて艶やかで愛らしく、
上品な甘さは、名前にまで拘りたくなる完璧な造形です。
使っている絵具は五色ですから、ダークレッド、パープル
マジェンダ、レモンイエロー、ウルトラマリーンディープ
をそれぞれに微細に混色、輝きに心を込めて描きました。
美味も手伝って、どんなジュエリーよりときめきます。
♪さくらんぼ
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折々の記 245 燕
我家の軒に初めて作ったツバメの巣は、五羽の雛には、狭
過ぎたようで、かなり小さな内から、身を浮かせ、巣の淵
に頭を並べて黄色い嘴で親鳥に餌をねだっていた。
翌年も、ツバメは、営巣を試みたが、有ろう事か、足の無
いはずの蛇が、垂直のモルタルの壁を這い登って私に雛を
数える暇も与えず、飲み込んでしまったようだ。
巣に近い電線の周りで、親と思しき燕が、激しく啼き、忙
しなく飛び廻るばかりで、雛の声はない。 訝しく思い、
脚立を立て、巣を覗くと、さほど大きくもない蛇が、巣一
杯にとぐろを巻いていた。
その次の年は、野鳥にでも襲われたのだろうか?二、三
日 雛の声を聴いただけで、巣立ちには至らなかった。
それから数年、古巣の修繕だけに、子孫なのか、ゆかりの
燕なのか、訪れるのだが、営巣には至らなかった。
色違いの土が盛り上がって重なっている小さな古い巣の中
で、幽かに雛の声がする。今年こそ愛しい雛に逢えるかも
しれない。蛇対策に巣の周りの木を伐り、巣の下の行き来
を増やし、防衛のほんの一助を心掛けた。
修理はしても増築の無い巣は、間もなく巣立つだろう推定
五羽の雛には小さ過ぎるのかもしれない。一羽は短い燕尾
を、巣の外に出している。
数時間外出して帰ってみると、遠慮勝な愛らしい囀りも、
黄色い嘴もない。これまでの別れは、此処で巣立つ雛に、
十数羽の余所者の燕が加わり、家の上空を何周かしてくれ
るので、「またね」と伝える事が出来た。
淋しい思いを託ちながら、巣の下に積もった糞を片付けて
いると、友人?親戚?を連れ立って十数羽が戻って来て私
の頭上を巡り 小さな声で・さよなら・を言っている。
そうして 本当にもう逢えない。
オスカーワイルドの「幸福な王子」を、思い出し燕の心に
触れられた幸せに酔えた。  
♪燕
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2017年06月18日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 244 薄紅の薔薇の花
ピンク?薄紅と云う方が、この花には似合います。
矢車草の蒼、紫紺、赤紫、野薔薇、山法師、難波棘、小さ
な柚子の花、カモミール等の白い花ばかりの庭に、薄紅の
大輪の薔薇が一つ咲いています。
描こうと思う間もなく、五枚の花弁を残して十数枚もの
美しい椀状の花弁は散ってしまいました。残った五弁は、
初めからそうであったかのように、瑞々しく、優しく柔ら
かい大きな花びらに陽光を集めています。
さっきまで華やいでいた形を蘇らせ、後ろに幽かに描き、
哀しく美しい 潔い終を、紙面に留める事にしました。
♪薔薇の終演
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折々の記 244 犬の孤独
幼い頃に犬に噛まれた記憶は、気分の置き所によっては、
噛むものだと、未だに油断できないものにしている。
近所の脱走癖の有る犬は、嚙千切った布の紐を、長く引き
ずって吾家の車庫の前で、三日に一度は吠えている。
飼い主は、早朝に出かけ夜遅く帰宅、長〜い一日、私を見
つけては、威嚇する。
取って置きのハムなどを、私の居場所から遠く離して、投
げ与えるのだが餌では懐柔できず、犬がハムを探している
間に車に飛び乗り犬から逃げる。
都会では飼えないと娘が置いていった我が家の犬は、一日
中、鎖を引きずる音を立てながら、所在なく鎖の作る半円
内を移動する他は、私の影を見つけては、首を伸ばして、
ただただ餌をねだる日課を送っている。
温情で高齢者拝観無料の県立美術館の絵画展に友人を誘
うと、定年退職後、老い故の不自由を託って、終日家に居
る夫の要求する所を、充分に満してからでなくては出られ
ず、早々の帰宅にも余儀は無いらしい。
犬よりも世話、面倒が掛かる等、明ら様な無礼を云えば、
友人の認可は取り下げられるだろうから黙ってはいるが、
わが身の末を思えば 他人事でも無い。
何時でも、何処かが病んでいると、嘆き癖のある友人の為
健康増進に考えた何時でも何処でも出来る、爪先立ち歩き
を、実行してみた所、私自身かなりの肉体労動後も、疲労
は残らず、持続力も増した。だから、胸に空っぽを託って
格子無き空虚(居)、鎖なき独房に沈潜して唸る老犬より、
鳴けない鳥でも 空を飛ぼうか。
♪寂しい犬
244寂しい犬-1


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2017年06月11日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 243 水田
吾家の窓から見える限りでも水田は、1キロは続いていま
す。
山裾ですから、田圃はゆったりと大きな棚を繋いで、上へ
下へ、くねり乍ら視野から消えます。
茅が岳南斜面の山麓はほとんど水田なのでしょう。
夕陽が沈むと、紅に染まった水田も夕映えを飲み込んで、
蛍の赤ちゃんを温めています。
♪夕日
243夕日-1

折々の記 243 結婚式
友人の娘さんの結婚式に参列させて頂いた。
父親には、明野へ来て30年もの間、米選機から零れた企
画外品の米を、犬鶏の餌として、人間用も添えて、毎年無
償で、お優しさの丸ごとを頂いて来た。
幼いお子さんを美しく賢く、独りで育て上げて、嫁がせる
日の父親は、めいっぱい幸せそうに、軽やかに微笑む娘さ
んとは対照的に、バージンロードが、濡れはしないかと案
ずる程に泣いておられた。
何年たっても新参の身、深々の介入はタブーと、問わず語
りの来し方は、詳細に聞く事も憚られ、出来るだけ耳を小
さくしてきた。
空き地に巡らせた柵の中に、大きなロバが居て、何時もは
笑顔の無い彼も、ドンキーに接している時だけは、幽かに
微笑んでいる。
認知認識が 朧になられた老母を施設に送り、それから娘
を嫁がせて、ドンキーもいなくなった田舎家は、彼の独が
似合い過ぎて、改めて訊ねようの足は重くなっている。
友人の遺作展へ、感嘆のメールも夫君に送りかねている。
老いた日々は、喜ばしい事ですら、寂しい。
庭の白薔薇は、背を高くして今年も沢山の花を咲かせた。
何事の新生、再生の出来ないでいる私は、新しい今日に昨
日を、持ち込まないよう、萎れる明日を知ってか知らずか
惜しげもなく美しく居る花々を描き、独りの静寂に少しだ
け色を着けてみる。
♪花嫁のブーケ
BlogPaint


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2017年05月23日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 242 矢車草
春は矢車草、秋は、秋桜の花の咲く庭のある所に住む事が
夢でした。やっと探した田舎家に、何処から種は舞い込ん
だのか、名前の知らない草々を割って矢車草が五月の庭を
飾るようになりました。
藍、薄紫、ピンクの濃淡、白、紫紺、小豆粒より小さな無
数の蕾を、天使が風船を膨らましたかのように、大きな丸
い花に変えて、花は、夢色に揺れています。
思い切り天に向けて伸ばした茎の先で、薄い花びらは、陽
を透かし 空に舞っているのですから、私の夢を、夢の儘
に描きました。
♪夢色の矢車草
242夢色の矢車草-1

折々の記 242 亡き友人の展覧会
遺作展から少し間をおいての思い出展、お連れ合いに誘わ
れ、青梅線河辺駅近くの瀟洒な喫茶画廊を訪ねる。以前私
の住んで居た所の入間市の友人達も誘い、彼女の遺作との
再会は、より鮮やかに美しく彼女の足跡を蘇らせていた。
飾られた絵からは彼女の想いが、充分すぎる程伝わり、懐
かしさが目に心に満ちて来る。寂しくならないように、雑
談で時を埋めようと焦っても、共通の話題も見つからず、 
自虐的に自分を語って時を埋めた。
四囲の壁にあまりにもリアルに残る彼女の想い、思いは、
私の業に重なって、筆を持ち得る限り絵を描き続けるだろ
う 自分の残り火への位相になって行く。
燃え立つ若葉を縫いながら、秩父の山を越えて帰る道中が
美しければ美しい程、見つからない確かな造形への終りの
ない不安から逃れられない脅迫感で、胃痛に苛まれる。
柳沢峠辺り、バイクの故障で立ち往生している若者を拾い
最寄りの駅まで彼を運ぶと、胃の痛みは消えていた。
絵の世界に埋没する、恐らくはそれしかない私の終わるま
での時間の重さへの鬱屈は、解決なく繰り返されるのだろ
うけれど、現実の出来事に一時的にではあっても、容易く
解放される程度の浅薄なものなのかもしれない。
甲府の喧騒の街は暮れて、疲労も手伝ってか「休もう」は
生を休もうに近い楽観になって、彼女の少し早いお終いも
静かに胸に落ちて行く。
♪壁面での再開
242壁面での再開-2


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2017年05月15日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 241 きびたき
明野は、東西南北、山に囲まれ、どの方向を向いても自然
が残っていて美しいです。
欲を張って家の中からも風景を楽しもうと、大きめの窓を
透ガラスにしましたら、ガラスに映る空からきびたきが、
天国まで飛び立ってしまいました。
白い藤の花の芳香が少し開いたガラス窓から、家の中まで
満ちています。花の中で何時までも楽しんでいてほしいと
花を枯れない雲にしてきびたきを描き込んでみました。
♪きびたき
241きびたき-1

折々の記 241 湯西川
独りでは形にならない諸々をお終にしたら、心が空っぽに
なって、重心が取れない。前進したいと思っても人生の路
も重度の方向音痴、30年前第二の人生の出発点になった
東北へ、再び出向いてみれば、又行く末への標識に出会え
るかもしれないと、北へ、足を向けてみる事にした。
アニメ「千と千尋」の中で耳にした湯西川沿い、道路脇の
切り立つ岩の前に 大きな看板を見つけた。
辺りを見渡すと、さらに巨大な岩が川筋に屹立し岩上に
地蔵尊が川下に向いて鎮座して居られる。正面から手を合
わせられたらと、川に降りたが足場はなく 拝顔は叶わな
かった。
地震の災害で、男鹿川、湯西川の合流点が堰き止められ、
ダムになって水没した村落、暴風雨による五十里湖の決壊
幾度もの不運に見舞われ 多くの命が飲み込まれた悲しい
現実や、名前を無くした湯西川伯龍の神秘的叢話とが、潺
の音と、美しい芽吹きの横溢する護岸に潜められている。
車を進めると日立中三依の神社の祭礼の儀式に遭遇できた。
全身黒装束を赤い帯で整え、小太鼓を腹に絞め、束ねた黒
く長い羽を金色の獅子頭に配した勇壮華麗な獅子踊りは、
私を含め、疎らな村人の見物衆では心痛む程に、確かで凄
みを孕んでいた。
地蔵尊にも獅子の舞にも、遭遇しなかったら、私の生命の
時間の中では存在していない事になる。
私自身、誰の記憶の中にも残らなかったら居なかった事に
等しい。幾度もの再出発の道標は、今、を重ねる日々の残
映を私自身が認識し続ける事でしか見つからないのだろう。
♪岩上の地蔵尊
241岩上の地蔵尊-1


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2017年04月28日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 240 御来廊感謝
帰国展御来廊感謝申し上げます。
春も麗かにお終の展覧会に花を添えてくれました。
美に溺れる認識認知のある限り、窒息しない限界まで絵画
する事に埋没して日々を片付けて?形付けて行けることを
望んでいます。有難うございました。
★小高い丘の上の新府城跡を見上げる一帯は、広大な桃源
郷になっています。
沢山の起伏を、其々に段を作って平らにし桃畑に設え、南
に富士山、西に赤石連峰、北に八ヶ岳、そうして東に私の
住む茅ケ岳が、桃色に染まった木々で織られた絨毯の遥か
向こうに望めます。大地には、白や紫、黄色の小さな春の
草花の上に、降るように落下したピンク色の桃の花びらが
混ざり合い、樹下を染めています。
僅かな期間の眩い美しさだと思うと、散り行く明日が来る
のが惜しまれます。
♪桃の花
240桃の花-1

折々の記 240 名古屋城
所用で名古屋に行くという車に、最後の春を摘みに、便乗
した。山梨北杜市から名古屋までの道中は、原村、諏訪を
春真っ盛りにし、残雪の美しい山々の裾を桜の花で飾って
いる。名古屋に近付くに連れ、芽吹きは明らかな若緑の葉
に育ち、三時間強の旅は、一か月以上の季節の違いを、演
出していた。
運転手の用事が済むまでの四、五時間の間を、名古屋城
に足を向けた。降ろされた場所から、三、四十分の道のり
は迷いながらの私には遠路であった。
東門からの城までの道中には白、紫、薄紅の花が香る長い
藤棚が幾筋もあり、咲き揃う大輪の牡丹は、雅な色を欲し
い侭に、広い庭園の柵内に饗宴を広げている。
城の建物内は焼失の後、真新しい白木で、総てが再建され
階ごとに飾られた武具類は重みなく、古を演出するはずの
調度品類も、古物商からの借り物の様に鎮座している。
凱旋からほど遠い細民の過剰な僻みだろう。広大な城内
の散策は、城主の権勢を振いたい極まりのない欲望ばかり
が散らばっている。
幾重もの堀、堅牢な石積みに守られた豪奢な庭園に集う
観光客の半数以上が恐らく異国の人の様である。
古への誘いの期待は、心身の疲労に重さを移した。
歴史を重ねた勇壮な木々、絢爛と咲き誇る美しい花々より
名もない人達を見届けて来た 路辺に咲く明野の大根草に
早々に想いは戻っていた。
♪諸葛菜(大根草)
240諸葛菜-1


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2017年04月09日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 239 
イタリア、スイス帰国展
桜も、咲き始めました。帰国展12日頃は温かくベストな
心地よさと存じます。
ご高覧頂けますようお待ち申し上げます。
♪赤い舟(サン・ジュリオ)
239赤い舟-1

折々の記 239 良かった探し
手早い事と、粗忽がしっかり手を結んでいるので一度粗忽
が優位を決めると、自慢の手早さは始末に負えない程の
不手際の付け、時間の無駄に脅かされる。
「落ち着け、待て、考えて、慎重に、大切に、丁寧に、心
して等々」に加えて、幼児期「粗相早流」「組成乱造」を
日常的に父に言われ続けた。
言葉の確かな意味は分からなかったが、感覚では理解でき
た。それでも父の言葉は今も実践から遠くにある。
来客中、あれもこれもを一挙に熟そうと、四本の手足を
6本分に働かせたが、昔取った杵柄の早流は粗忽が優位を
占め、火に架けたやかんを倒し熱湯は足の甲を直撃した。
厚手の靴下は、ガードにはならず、熱湯の耐久時間を伸ば
し、火脹れは肥大化した。
子供達が何かを嘆く時「さあ良かった探しをしましょう」
が、慰めの言葉代わりだったので、何を得るべきかと探し
たが、これしきの事、粗忽を反省するに止めた。
火傷を庇い片足を挙げて、風呂に浸かった。入る時は、火
傷の軽い方が軸足だったから工夫は要らなかった。
湯から上がる時は、片方の足を高々と宙に浮かせたままの
格好で出なければならず、湯の中で立ち上がる事から技術
が要った。まず風呂桶の淵に両手を掛け、片足で跳んだ。
良かった探しの決定版は、結構深い風呂桶から片足で出ら
れる技量があった事かもしれない。
多少は動かなければと庭に降りると、昨日まで蕾だった
草花が、若緑の美しい葉を従えて、色とりどりに開いてい
る。水仙、クロッカス、天人唐草、菫、藤袴、今春も逢え
た。  「良かった」
♪小さな春の花
238天人唐草-2


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2017年03月19日

水彩画の心紀行

北イタリア・スイスの旅展    
楽しい水彩画 238 北イタリア・スイスの旅展
昨年の秋、北イタリアのオルタ湖と湖畔を取り巻く家々を
描き、スイスのソーリオへ移動しました。
オルタからソーリオへは、バスで一時間余りでしたが、そ
の僅かな道中の家々の有り様、景色の変化は、風土、お国
柄、生活様式などの違いが目に見えて、短い日程の旅を分
厚い物にしました。
★会場 ぎゃらりーび〜た 中央区京橋2-8-5京橋富士ビル
 筺03-3561-5050 
★4月12日〜18日(16日休廊)AM11:00〜18:00
 初日(11:00〜18:00)最終日(11:00〜16:00)
★ ご高覧賜りたく存じます。 
♪サン・ジュリオ島(オルタ湖)
238サン・ジュリオ島(オルタ湖)-1

折々の記 238 記憶
数字、方向、固有名詞等、分析力・認識力・記憶力の足り
なさは実際的欠陥なので羅列できる。
その他 精神や性格に及ぶと、まず身贔屓したいと思う最
大の欠陥から、自己認識や評価は、不可能に近い。
数字や記憶の必要のない、気持ちだけで遊べる絵画は、幼
少の時から時間を無制限に費やせた。
四人姉妹の末の私まで、財政においても、精神に至っても
充分に保護干渉できる余裕のなかった親のお蔭もあって、
自然児は出来上がり、無から有を生み出す事が不可欠な戦
後、拙く、幼く、貧素ではあるが、自ら生み出した物に、
夢を広げていられた。
今、その積み重ね?後遺症?で、それ以外考えられない空
間で日夜を遣っている。
私の絵は、創造、想像力と云う才能に由るものではない。
神秘的なまでに美しい自然の有り様、人や動物の心が醸す
仕草、面差し、時間が作りだしたものに、魅せられて、
再燃できたらの思いの遊びを遊び続けている。
偶に、自作への共鳴者に出会える時「生きて居ても良のか
もしれない」と、辛うじての 存在認可証にしている。
♪カラフルなバレンナ
238カラフルなバレンナ-1



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2017年03月09日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 237 赤石山脈
赤石山脈(南アルプス連峰)は、明野から見ると西に在りますから、土地の人は西山と云います。連山が夕陽を背負う時は、神の存在を疑う事は難しいです。三月の雨は、山々を雪にします。
ひと時全山を雪化粧にしても 山頂付近の光を跳ね返す白だけを残して午後の麓は化粧を直し春の気配を漂わせています。
芽吹き前の沈黙の山を描いてみました。もうすぐ、木々は芽吹き、桃の花が咲くのでしょう。
♪残り雪
237残り雪
折々の記 237 湯たんぽ
電気毛布は身体を乾燥させると聞く。健康に考慮しての事ではないが、節電と優しい暖かさを良として標高の有る山里の寝具に湯たんぽを忍ばせている。
子供の頃使った、陶器の湯たんぽは、重たくて親がいったん決めた位置からは動かし難く、湯たんぽを足で探って、そこに添わなければならない。それから間もなく、重たい陶製の湯たんぽは、上下に波を打たせた平たいアルミ製の湯たんぽに役目を譲り、好きな位置に潜り込ませる事が出来るようになったが、四角い布で包み、紐で縛った湯たんぽは、よく被いから逃げ出して、一冬に少なくても二、三か所は、火脹れを作ることになる。
今は、加熱し過ぎても、火傷の心配のないプラスチック製を使っている。目に、暖かそうに見えるからなのか 大抵は味わいの無い安っぽい朱赤で、あの懐かしい品の良い色、形の陶器の湯たんぽは、古物屋にも見かけない。
友人は、手間の掛かる湯たんぽなど、大時代的に思うのだろう。 
全部屋をエヤコンで快適温度にし、湿度も加湿器で調節、加えて床暖房、電気毛布も電気行火も要としない。トイレは、ドアーを開けると同時に電光に晒され、便器の蓋が開く。こうまでされると、気恥ずかしくてゆっくり用も足し難い。
そんな保護の多い日常からは、明野の寒さは恐怖になるらしく寒い時は、我が家への足は遠のく。
 3月11日東北の震災の時、広い範囲が停電で、電車は動かず、偶々折悪しく居合わせた友人は、文明からさらに遠くなった我が家に居留まる外無かった。
何事にしても、工夫を美徳と思い、無駄に思える事態から、出来るだけ遠くに居たい私は、我が家の石油ストーブも無論電気不使用で、ダイレクトに炎の上で、湯が沸く。
 ランプが好きで、実家に有った金属の傘がひしゃげたクラッシックなガラスのランプや、旅先で見つけた陶器の古いランプを手に入れては、絵に描いていた。これ等の幾つかに油を注ぎ、テーブルの上に灯すと、暖かで穏やかな光に不安は和らぎ、災害地の阿鼻叫喚の最中に、いかにも不謹慎だが、静かに揺れる光は豊かに抒情的でさえあった。
ストーブで湧いた湯を、友人の為に朱赤色の湯たんぽに入れ、私用には空になった酒の紙パックで急ごしらえの湯たんぽを作った。有りあわせの具で作った雑炊に飢えを満たした友人は、この不便の中で、敗戦後の物の無さを懐かしんでいたので、少しほっとしたが、私自身は、財政的にも、自然の美しさ保護のためにも、コンピューターの操作に苦慮しなくて済む多少不便でも野性に近い所で生活が出来るならその方が良いとも思っている。        被災地から遠かった幸いに安堵したり、被害の大きさを案じたりしながら、「心に不断の備えあれば、憂いなし」と、貧を幸いに友人に豪語してみたが、ラジオから流れて来る、逃れようのない大きな自然災害には、供える準備の持ちようの無い事に人の非力を悲しむ他無かった。
あの災害の晩の事は、湯たんぽの袋の中に、何時までも悲話になって残っている。
♪湯たんぽ
237湯たんぽ-1


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