2017年09月16日

水彩画心紀行

水彩画の楽しさ 250 白百合
育ちきった木の葉、草の葉に枯れ色が少しずつ忍び寄って
秋色に染め変えようとしている頃、夏を呼び戻すように、
初々しく伸ばした緑の茎の先に、百合の花が咲いています
何処までも白く、芳しい香りを優しく纏って、百合の花は
野に、畦の傾斜に、静かで清楚な物語を描いています。
濃紫色の雀の豌豆、細い筆先のような赤まんま、白爪草、
それらは、丈高くなった草に埋もれています。
白百合は忘れられてしまいそうな小さな花々を足元に、選
ばれた淑女ように凛と立っています。
空が碧ければ碧い程、より白くより芳しく居ます。
♪白百合
250白百合-1

折々の記 250 思いの果て
こすもすの花を、これまでに何回描いただろう。
その都度、美しさ、可憐さ、しなやかでいて逞しく、野性
的であるはずなのに、品性高く、瀟洒に見せて豪胆なこの
花に魅了されている。
細く、細く長い茎先に優しく広げた八枚の透き通るように
薄い、軽やかな花弁は、空に向いて、白、赤紫、薄紅、繊
細な命の色の限りで秋を飾る。花言葉は愛だという。
昨今、道ならぬ恋に、憂き身を窶す人の、咲き方、散り方
が喧しく、マスメディアを色付けている。
誹謗中傷のさなかにある人は皆、なべて身の潔白を言う。
声高には賛成はしかねるが、美しい、愛しいと云う思い、
手折りたい衝動は、再びは無い命、精錬でなくても 燃え
尽きればいい。
花は、何回でも初々しく、しかも豊かになって蘇る。
恋に限らず、身が老いても諸々の冷めやらない残り火を、
頑迷に固まらせ、足掻き苦しみの果てに自嘲のひや水で、
己がじし消す他はないのなら、無音の枯れ尾花にでもなり
秋の斜めの陽の中で、煌めきながら散る方が楽だろう。
伸びやかに愛らしく こすもすの花は、翳りなく揺れて
いる。強靭な意志を持った太い茎に纏わる糸のような葉の
絡み合いは、深い混沌の中で綾を成している。
♪こすもす
250こすもす-1-1


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2017年09月08日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 249 ひまわり
明野は、向日葵畑を観光の名所にしています。
種をまく時期を変え、十数か所で時を違えて二か月猶予、
花を楽しめるようにしてあります。
八月も終わる頃、九割は花びらを落とし、重たく花芯を下
げた中で、僅かに咲き残る花を、手折って来ました。
一斉に東を向いた花に見つめられると、巨大な目が並んで
此方をねめつけて居る様で、目舞いがしてくるのですが、
夏の終わりを惜しむように咲き残る花は、どうしても描き
残したくなりました。
♪晩夏の向日葵
249晩夏の向日葵-1-2

折々の記 249 老い
数字の観念、時間の観念に乏しい事が幸いしてか災いして
か、年甲斐と云う言葉は全く納得外で、身の程は計れず、
その齢にあるべき分別は頗る劣っている。
差し当たっては、老人と云う分類を充分に認識下に置いて
労られる事を 過小評価等と位置づけず、屈辱に思わない
賢明さも、謙虚さも、邪魔くさく思われない為には、必要
なのかもしれない。
初秋の沼の向こうに黄色く色付いた稲が美しい直線を描い
ている。
まだ青く居る葉は、さして時を数えない内に紅葉して、秋
の陽を散らしながら舞い落ち、そうして春に芽吹く草の芽
を庇うように、大地を様々な枯れ色で、覆うだろう。
葉を落とした梢は、痛々しさを、逞しさに見せて、希望が
春に届くようにと、空に描線で、樹齢を描く。
「何時だって、その時の命を充分に生きればいい」と、自
分に云って聞かせて、虚勢を張っていなければ、前に進め
ないのがそもそも、老いなのだろう。
一時も同じでない風景は、それだから何時の時も寂しくて
美しい。
♪初秋の沼
249初秋の沼-1


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2017年08月18日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 248 夏水仙
幅広の、丈高い単子葉の葉を根元から株にして繁茂させ
ると、時も待たずに総てを枯らした後、蕾を頭に乗せた
太い空洞の茎が、再び、束を作って伸びあがります。
百合の合弁部分を裂いた様な花びらを波打たせて開かせ
雄蕊は白く、品やかに伸び、優美さを演出しています。
何時の年も、繁茂する夏草を分けて唐突に出没し、忘れ
ている庭の隅を華やがせるのですが、又 深い草々の中
に消えて行きます。
♪夏水仙
248夏水仙-1

折々の記 248 色の無い七陽花
墓参に行く。墓地は、茨城、埼玉、栃木、群馬県の県境の
古河に在り、山梨までの帰路は群馬県経由を選んだ。
県の魅力の無さは、ワースト1を茨城が堅持し、群馬と栃
木がワースト2,3を行き来しているそうだ。
採り立てゝ心惹かれる建造物も見当たらないまま、関東
大平野の緑を縫って、信州方面に車を向ける。
目くるめく速さで、建物も道路も激変して行く昨今は、古
い物に、殊更名所と銘打っているが、此処は、新旧取り混
ぜた雑多な有り様の中に、唐突に、途轍もなく歴史を語る
逸物に出合ったりする。
案内地図に在る、明治役場、明治小学校、に誘われて向
かってみると、明治と云う町の今様の建物であった。
縄文時代の石積の墳墓が、粗末な垣根で区切られ、役場の
庭続きにある。
役場筋向いの駐車場に車を停め、墳墓の方へ道路を渡ると
十一、二歳にはなるかしら?の少女が役場前のバス停から
じっと此方を見つめている。
道路を渡り切ると、控えめに寄って来て、警報音の鳴る、
小さな器具を差し出した。言葉は無く、ただ様子から「止
めて欲しい」と伝えている事を察し、こういう護身用警報
器の有る事は知っていたが、縁も関心も無かったので、
あれや、これやして止めた。
「バスを待っているの?」と愛想を言い、墳墓の方に歩を
向けながら、少女を心の中で振り返ってみた。
言葉の定かでないのは、成長に遅れがあるのだろうか?
そうではない。
きっと難聴で、幽かな振動は感じても警報音は 定かには
聞こえず、私の耳を借りて誤作動を確認したのかもしれな
い。不自由のない身は、けたたましい音を聞いていても、
他人事だったのだ。
アラームで助けを呼ぶように、器具を与えた親の心を思い
警報音にも少女にも全く無関心であった自分を責めた。
駐車場の七陽花は花弁が皆 緑色になってもまだしっかり
と美しい花でいる。駐車場を出る時、軽く手を振ってみる
と、小さな赤い警報機を胸元に持ち、頷くように頭を下げ
た少女に笑顔はなかった。バスはまだ来ない。
旧跡も、名所も、記憶の鈍った頭には、定かには残って
いないが、色の無い七陽花と、言葉の無い少女は、鮮やか
なまま 心にある。
♪色の無い七陽花(紫陽花)
248色の無い七陽花(紫陽花)-1-



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2017年08月08日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 247 豊穣
晩春から初夏、盛夏、この季節は、草木の命が燃え立って
います。
野に山に畑に枝、弦を伸ばし、花を咲かせ、実を結ばせ、
活きとし生ける生物の命を繋ぎ続けています。
殆ど菜食に生成を拠っている私も、何かしら花を咲かせた
いと思うのですが、草木の勢い、豊かさに気圧されるばか
りで、赤、黒、白、緑、黄と僅かな画面一杯に色を落とし
思いを胸に残す他 何ひとつ、生産できません。
♪百合の花とブラックベリーと
247百合の花とブラックベリーと-1

折々の記 247 清流
わが家は、何十キロも繋がる、水田を眼下にして、青蛙
の鳴き声で、季節、時刻を謀って、盛夏も心地良く過ごし
ている。
総てを文明の利器に拠っている、都会からの友人達には、
際限の無い保護要求が、身に付いているものと、標高を変
え更なる涼を得るべく、清流豊かな、通仙峡へ出向く。
水は、鬱蒼と繁る緑を割って まだ砕かれずに屹立する大
小の岩を大急ぎで縫いながら、白く流れている。
雨は、木々を潤し、木々は、山に命を根付かせ 当たり前
のように 生き物が繁殖し、そして私もいる。
何処までも続く 流れの上は、生命の造形を欲しい侭にし
て、枝々が伸びやかに空間を刻んでいる。
自らをも忘れた寝たきりの妻を置いて友人は山に
消えた。
仲間達は、心の中に山中の彼を偲ばせたとしても 果てし
ない寂しさを飲み込んで 誰も、何も、語らない。
静かな山に良く似合う小さな花が、可憐に咲いている。今
は、川辺に横溢する落葉樹の緑も、小さな花々も、そんな
に時を待たず、晩秋の風に舞い散り、凍て付く流れの上に
裸樹が新しい造形を表すのだろう。流れは四季を織り込ん
でいる。
♪白い川
247白い川-1


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2017年07月13日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 246 琵琶
琵琶の木を植えるに、家の南側は鬼門だと聞きます。
常緑樹故、太陽光線を遮って部屋を暗く寒くするから
だと解釈して、夏の陽の暑さ除けを選んで、風水は気
病の外に置く事にしました。
二十数年経って、所狭しと枝を広げた木は、深緑の葉
重なりの中に黄金色の実を無数に輝かせています。
明野に身を置いていると、お洒落な建物、小粋な人達
から、どんどん離れて、山、草木、雲に魅了されてい
る内に、私自身草木に変容して行きそうです。
♪琵琶の実
BlogPaint

折々の記 246 蛍
この地で草木に埋もれていると、都会が日常の中で、果て
しなく遠方になって行く。意識は既に、野性動物化して文
明の外の五感だけでも生きて行けそうである。
文化文明に、充分に浴して来たはずの友人は、熟し切れな
い発展の中で、これに追い縋って、引きずられ、肉体ばか
りか、頭脳までも、擦り傷だらけになっている。
文明の中で生きる彼女を置き去りに、文明は更に光を放ち
老いた目は、瞬きすらも困難になっている。
友人も私も強かに老いた。で、在ってみれば、七輪で湯を
沸かし、釣瓶とまでは言わないまでも、井戸水を汲んで、
風呂まで運ぶ重労働、固くて重い軍隊払い下げの毛布まで
洗った洗濯板、雪の日、高下駄の歯に雪が詰まって転んだ
小学校への坂道。
戦後急速に文化的生活とやらに移行していったが、僅かに
ではあっても 楽しみながら不自由を自在にした最後の年
齢なら「あれが無くては、これも必用」など返って、不自
由な贅沢から解放されて、山野で一緒に素で、戯れられた
ら幼い日に戻れるだろうに。 
蛍は、真の闇で一番美しく光る。
跳び始めてから一週間 水以外摂取する事なく、最期の日
まで、恋の炎を心に抱き、身に透明な燈を灯しながら生を
閉じるとか。
傷付きながら文明に追い縋って、不甲斐なく存えるなら、
身を燃やし尽くして、夏に終わる蛍でありたい。
♪蛍
BlogPaint


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2017年07月09日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 245 桜ん坊
さくらん坊の響きがとても似合う宝石?です。柔らかいの
ですから石ではないですね。丸くて艶やかで愛らしく、
上品な甘さは、名前にまで拘りたくなる完璧な造形です。
使っている絵具は五色ですから、ダークレッド、パープル
マジェンダ、レモンイエロー、ウルトラマリーンディープ
をそれぞれに微細に混色、輝きに心を込めて描きました。
美味も手伝って、どんなジュエリーよりときめきます。
♪さくらんぼ
BlogPaint

折々の記 245 燕
我家の軒に初めて作ったツバメの巣は、五羽の雛には、狭
過ぎたようで、かなり小さな内から、身を浮かせ、巣の淵
に頭を並べて黄色い嘴で親鳥に餌をねだっていた。
翌年も、ツバメは、営巣を試みたが、有ろう事か、足の無
いはずの蛇が、垂直のモルタルの壁を這い登って私に雛を
数える暇も与えず、飲み込んでしまったようだ。
巣に近い電線の周りで、親と思しき燕が、激しく啼き、忙
しなく飛び廻るばかりで、雛の声はない。 訝しく思い、
脚立を立て、巣を覗くと、さほど大きくもない蛇が、巣一
杯にとぐろを巻いていた。
その次の年は、野鳥にでも襲われたのだろうか?二、三
日 雛の声を聴いただけで、巣立ちには至らなかった。
それから数年、古巣の修繕だけに、子孫なのか、ゆかりの
燕なのか、訪れるのだが、営巣には至らなかった。
色違いの土が盛り上がって重なっている小さな古い巣の中
で、幽かに雛の声がする。今年こそ愛しい雛に逢えるかも
しれない。蛇対策に巣の周りの木を伐り、巣の下の行き来
を増やし、防衛のほんの一助を心掛けた。
修理はしても増築の無い巣は、間もなく巣立つだろう推定
五羽の雛には小さ過ぎるのかもしれない。一羽は短い燕尾
を、巣の外に出している。
数時間外出して帰ってみると、遠慮勝な愛らしい囀りも、
黄色い嘴もない。これまでの別れは、此処で巣立つ雛に、
十数羽の余所者の燕が加わり、家の上空を何周かしてくれ
るので、「またね」と伝える事が出来た。
淋しい思いを託ちながら、巣の下に積もった糞を片付けて
いると、友人?親戚?を連れ立って十数羽が戻って来て私
の頭上を巡り 小さな声で・さよなら・を言っている。
そうして 本当にもう逢えない。
オスカーワイルドの「幸福な王子」を、思い出し燕の心に
触れられた幸せに酔えた。  
♪燕
BlogPaint


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2017年06月18日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 244 薄紅の薔薇の花
ピンク?薄紅と云う方が、この花には似合います。
矢車草の蒼、紫紺、赤紫、野薔薇、山法師、難波棘、小さ
な柚子の花、カモミール等の白い花ばかりの庭に、薄紅の
大輪の薔薇が一つ咲いています。
描こうと思う間もなく、五枚の花弁を残して十数枚もの
美しい椀状の花弁は散ってしまいました。残った五弁は、
初めからそうであったかのように、瑞々しく、優しく柔ら
かい大きな花びらに陽光を集めています。
さっきまで華やいでいた形を蘇らせ、後ろに幽かに描き、
哀しく美しい 潔い終を、紙面に留める事にしました。
♪薔薇の終演
BlogPaint

折々の記 244 犬の孤独
幼い頃に犬に噛まれた記憶は、気分の置き所によっては、
噛むものだと、未だに油断できないものにしている。
近所の脱走癖の有る犬は、嚙千切った布の紐を、長く引き
ずって吾家の車庫の前で、三日に一度は吠えている。
飼い主は、早朝に出かけ夜遅く帰宅、長〜い一日、私を見
つけては、威嚇する。
取って置きのハムなどを、私の居場所から遠く離して、投
げ与えるのだが餌では懐柔できず、犬がハムを探している
間に車に飛び乗り犬から逃げる。
都会では飼えないと娘が置いていった我が家の犬は、一日
中、鎖を引きずる音を立てながら、所在なく鎖の作る半円
内を移動する他は、私の影を見つけては、首を伸ばして、
ただただ餌をねだる日課を送っている。
温情で高齢者拝観無料の県立美術館の絵画展に友人を誘
うと、定年退職後、老い故の不自由を託って、終日家に居
る夫の要求する所を、充分に満してからでなくては出られ
ず、早々の帰宅にも余儀は無いらしい。
犬よりも世話、面倒が掛かる等、明ら様な無礼を云えば、
友人の認可は取り下げられるだろうから黙ってはいるが、
わが身の末を思えば 他人事でも無い。
何時でも、何処かが病んでいると、嘆き癖のある友人の為
健康増進に考えた何時でも何処でも出来る、爪先立ち歩き
を、実行してみた所、私自身かなりの肉体労動後も、疲労
は残らず、持続力も増した。だから、胸に空っぽを託って
格子無き空虚(居)、鎖なき独房に沈潜して唸る老犬より、
鳴けない鳥でも 空を飛ぼうか。
♪寂しい犬
244寂しい犬-1


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2017年06月11日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 243 水田
吾家の窓から見える限りでも水田は、1キロは続いていま
す。
山裾ですから、田圃はゆったりと大きな棚を繋いで、上へ
下へ、くねり乍ら視野から消えます。
茅が岳南斜面の山麓はほとんど水田なのでしょう。
夕陽が沈むと、紅に染まった水田も夕映えを飲み込んで、
蛍の赤ちゃんを温めています。
♪夕日
243夕日-1

折々の記 243 結婚式
友人の娘さんの結婚式に参列させて頂いた。
父親には、明野へ来て30年もの間、米選機から零れた企
画外品の米を、犬鶏の餌として、人間用も添えて、毎年無
償で、お優しさの丸ごとを頂いて来た。
幼いお子さんを美しく賢く、独りで育て上げて、嫁がせる
日の父親は、めいっぱい幸せそうに、軽やかに微笑む娘さ
んとは対照的に、バージンロードが、濡れはしないかと案
ずる程に泣いておられた。
何年たっても新参の身、深々の介入はタブーと、問わず語
りの来し方は、詳細に聞く事も憚られ、出来るだけ耳を小
さくしてきた。
空き地に巡らせた柵の中に、大きなロバが居て、何時もは
笑顔の無い彼も、ドンキーに接している時だけは、幽かに
微笑んでいる。
認知認識が 朧になられた老母を施設に送り、それから娘
を嫁がせて、ドンキーもいなくなった田舎家は、彼の独が
似合い過ぎて、改めて訊ねようの足は重くなっている。
友人の遺作展へ、感嘆のメールも夫君に送りかねている。
老いた日々は、喜ばしい事ですら、寂しい。
庭の白薔薇は、背を高くして今年も沢山の花を咲かせた。
何事の新生、再生の出来ないでいる私は、新しい今日に昨
日を、持ち込まないよう、萎れる明日を知ってか知らずか
惜しげもなく美しく居る花々を描き、独りの静寂に少しだ
け色を着けてみる。
♪花嫁のブーケ
BlogPaint


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2017年05月23日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 242 矢車草
春は矢車草、秋は、秋桜の花の咲く庭のある所に住む事が
夢でした。やっと探した田舎家に、何処から種は舞い込ん
だのか、名前の知らない草々を割って矢車草が五月の庭を
飾るようになりました。
藍、薄紫、ピンクの濃淡、白、紫紺、小豆粒より小さな無
数の蕾を、天使が風船を膨らましたかのように、大きな丸
い花に変えて、花は、夢色に揺れています。
思い切り天に向けて伸ばした茎の先で、薄い花びらは、陽
を透かし 空に舞っているのですから、私の夢を、夢の儘
に描きました。
♪夢色の矢車草
242夢色の矢車草-1

折々の記 242 亡き友人の展覧会
遺作展から少し間をおいての思い出展、お連れ合いに誘わ
れ、青梅線河辺駅近くの瀟洒な喫茶画廊を訪ねる。以前私
の住んで居た所の入間市の友人達も誘い、彼女の遺作との
再会は、より鮮やかに美しく彼女の足跡を蘇らせていた。
飾られた絵からは彼女の想いが、充分すぎる程伝わり、懐
かしさが目に心に満ちて来る。寂しくならないように、雑
談で時を埋めようと焦っても、共通の話題も見つからず、 
自虐的に自分を語って時を埋めた。
四囲の壁にあまりにもリアルに残る彼女の想い、思いは、
私の業に重なって、筆を持ち得る限り絵を描き続けるだろ
う 自分の残り火への位相になって行く。
燃え立つ若葉を縫いながら、秩父の山を越えて帰る道中が
美しければ美しい程、見つからない確かな造形への終りの
ない不安から逃れられない脅迫感で、胃痛に苛まれる。
柳沢峠辺り、バイクの故障で立ち往生している若者を拾い
最寄りの駅まで彼を運ぶと、胃の痛みは消えていた。
絵の世界に埋没する、恐らくはそれしかない私の終わるま
での時間の重さへの鬱屈は、解決なく繰り返されるのだろ
うけれど、現実の出来事に一時的にではあっても、容易く
解放される程度の浅薄なものなのかもしれない。
甲府の喧騒の街は暮れて、疲労も手伝ってか「休もう」は
生を休もうに近い楽観になって、彼女の少し早いお終いも
静かに胸に落ちて行く。
♪壁面での再開
242壁面での再開-2


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2017年05月15日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 241 きびたき
明野は、東西南北、山に囲まれ、どの方向を向いても自然
が残っていて美しいです。
欲を張って家の中からも風景を楽しもうと、大きめの窓を
透ガラスにしましたら、ガラスに映る空からきびたきが、
天国まで飛び立ってしまいました。
白い藤の花の芳香が少し開いたガラス窓から、家の中まで
満ちています。花の中で何時までも楽しんでいてほしいと
花を枯れない雲にしてきびたきを描き込んでみました。
♪きびたき
241きびたき-1

折々の記 241 湯西川
独りでは形にならない諸々をお終にしたら、心が空っぽに
なって、重心が取れない。前進したいと思っても人生の路
も重度の方向音痴、30年前第二の人生の出発点になった
東北へ、再び出向いてみれば、又行く末への標識に出会え
るかもしれないと、北へ、足を向けてみる事にした。
アニメ「千と千尋」の中で耳にした湯西川沿い、道路脇の
切り立つ岩の前に 大きな看板を見つけた。
辺りを見渡すと、さらに巨大な岩が川筋に屹立し岩上に
地蔵尊が川下に向いて鎮座して居られる。正面から手を合
わせられたらと、川に降りたが足場はなく 拝顔は叶わな
かった。
地震の災害で、男鹿川、湯西川の合流点が堰き止められ、
ダムになって水没した村落、暴風雨による五十里湖の決壊
幾度もの不運に見舞われ 多くの命が飲み込まれた悲しい
現実や、名前を無くした湯西川伯龍の神秘的叢話とが、潺
の音と、美しい芽吹きの横溢する護岸に潜められている。
車を進めると日立中三依の神社の祭礼の儀式に遭遇できた。
全身黒装束を赤い帯で整え、小太鼓を腹に絞め、束ねた黒
く長い羽を金色の獅子頭に配した勇壮華麗な獅子踊りは、
私を含め、疎らな村人の見物衆では心痛む程に、確かで凄
みを孕んでいた。
地蔵尊にも獅子の舞にも、遭遇しなかったら、私の生命の
時間の中では存在していない事になる。
私自身、誰の記憶の中にも残らなかったら居なかった事に
等しい。幾度もの再出発の道標は、今、を重ねる日々の残
映を私自身が認識し続ける事でしか見つからないのだろう。
♪岩上の地蔵尊
241岩上の地蔵尊-1


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