2017年02月13日

水彩画の心紀行

楽しい水彩画 234 蝋梅
もっとも寒い冬の中で、霜の朝も、雪を被っても凍みることも無く、薄い蝋細工のような花弁を重ねた黄の花は、昼の薄日を透かして強風に立ち向かい、凍て付く大地を宥めています。
辺りに優しく甘い香りを漂わせて、未だ地中で春を待つ草々に目覚めを呼びかけているようです。
♪蝋梅
243蝋梅-1

折々の記 234 残映
山梨の明野村へ、古家を購入し転居、近所の大工さんに縁を繋いで頂き、増築改築してほぼ30年になる。解体せず残した部分の築年齢を加えると60年を超えている階段と、急な坂道を毎日のように 上り下りして来た。
80歳になろうとする近くの友人は「来世が有ったら、坂道のない所で、生活したい」と言われるが、遠くで彼女を見かける限り、堅固な四肢、40・50代もこれまでだろうの能力でしっかりと働いている。
三階をアトリエにした私は、彼女のように果てしない農作業の労動は無いにしても、三階への階段の上り下りには、相当鍛えられたのだろう、未だ年齢を意識した肉体的苦労、疲労は無い。
70歳、80歳を超える友人は何処かしら支障を来している。大勢を歓迎したく、風呂桶を深く大きい物に造ったので、段々浸かることも上がることも困難になった向きもおられ、息子の代になった馴染みの大工さんに入浴の際の補助手すりの装着を頼んだ。
八ヶ岳から吹き降ろす風が賢治の風の又三郎の物語を創らせたと隣村保坂の伝記に有る。
聞きしに勝る猛烈な風の夜明け時、仕事途中の屋根の上に残された資材が心配になり二階の窓から覗いてみると、棟梁が、坂上からゆっくり下って見回っていた。独りでいる心細さと、薄闇でもあって、その頼もしい容姿は此処へ転居して来た事が正解であったと確信までさせた。
照明具の付いた電動式のねじ廻しで、手際よくタイルの壁にステンレスの手すりを取り付ける二世の息子は、父親の総てを心に付け、腕に付け、我が子と同年齢と言う事もあってだろう、笑顔は大きな信頼さえも遥かに超えて幸せな気分にしてくれる。何度も風呂桶から、出入りして使い勝手を試してみながら、こんな青年が、今を担っているのなら、もう 老いを受け入れても?否!!
棟梁親子での最後の仕事になった我が家の三階のアトリエの隅に、去年の秋に採取したマロニエの黒い実やとっくに枯れた紫陽花が何の手入れも手立ても必要とせず、美しいままに在る。
♪残映
234残映-1


masuyama_noriko at 22:22│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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