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当シナリオの利用にあたって

対象レベル:3~5
必要人数:4人以上
プレイ時間:30分程度
内容:異種族間のトラブル解決
製作環境:WirthBuilder Ver1.1.38
対応:CardWirth ver1.50以降


 その森は古くからそこに在った。

 ときに優しく、ときに無慈悲に、森に生きるものを育んでいた。

 自然は美しく、そして恐ろしい。

 だが森は、ただそこに在るだけだ。

 我々はその姿を通して、己の心の内を曝け出しているのかもしれない。



【 解説 】

 とある森で起こった人間とエルフのトラブルを解決することになります。

 パーティメンバが4人以上でなければシナリオは開始されません。

 戦闘で全滅するとGAMEOVERが発生します。

 「交易都市リューン」で購入できる適正レベルのスキルを所持したレベル3の6人パーティが苦戦する戦闘バランスです。(カード運がないと全滅)
 またパーティの平均レベルが5以上の場合、ボスの強さが変化します。

 本シナリオは「_エルフ」「エルフ」クーポンに対応していません。

 作中におけるエルフ語は「エルフ語変換」コンバータを利用させていただきました。


【 履歴 】

2015/07/28
 Ver.1.02
  「ロープ」が消費されない不具合
  PCの口調差分が正しく機能していない不具合を修整しました。
2015/07/26
 Ver.1.01
  特定状況下でイベントが中断される不具合を修整しました。
2015/07/25
 Ver.1.0として公開
2015/07/23
 Ver.β 完成



【 制作話 】(ネタバレ含)
 このBlogを立ち上げたときのコンセプトは、「シナリオ案も素材にしてみてはどうか」でした。
 なにしろシナリオの原案はある、だけどそれを作り上げる時間も気力もない。というのが当時の状況だったので、じゃあ公開してみようという試みです。

 しかし今にして思えば、そもそもCardWirthでシナリオを作る人はまず「こういうシナリオが作りたい」から入っていくわけで、「何か作りたいけどシナリオ案がない」人は稀なんですよね。
 そんなわけで公開から1年後にこの試みは終了しました。

 そのときは全部で3つの原案を掲載していましたが、この「森に生きるものとして」だけはなぜか拍手をいくつか頂きまして。シナリオ案だけで評価を頂けるなら、ちゃんと完成させればそれ相応に需要はあるのかな、と今回作り上げてみました。

 しかし一番のネックは多量のエルフ画像。妙なところで統一感にこだわる私は、一画面に画風の違うキャラを複数並べることに抵抗がありまして、この問題をいかにクリアすればいいものか悩みました。
 悩んだ結果、「もう自分で描けばいいじゃん」と開き直ることにしました。
 創作全般に言えますが、気分が乗らないとなにもできない性分ですので、普段はそもそも描き上げることすらできません。今回はモチベーションが上がっていたので、一気にエルフと村人、おまけにモンスターまで描いてしまいました。ただ可愛い女の子を描くのだけはどうしても苦手なので、少女はイマイチです。あとこうもりと蛇だけは無理でした。こっちはどうしたって可愛くなってしまうので。ままならないものです。

 私のエルフ感はほぼ、「ロードス島戦記」に準拠します。
 初めてエルフの耳を笹のように細長く描いた出渕裕氏は「さすが」としか言えません。
 一方エルフ語はどうしたものかなーと悩み、いっそ自分で考えるかと無謀なことまで頭に浮かびましたが、英語を「指輪物語」に登場するエルフ語に変換するコンバータを公開していた方がいらっしゃったので、そちらを利用させていただきました。元になる英語については作者の英語力が乏しいので、ほとんど直訳です。

 登場したエルフにはそれぞれ背景も考えており、カードの裏面にそのあたりを書こうかなと思ってもいたのですが、そういう「裏」の文章で遊びたがる癖があるのでやめることにしました。
 その代わりと言うべきか、コードのほうはちょいちょい酷い名前のスタートコンテント名があります。こんなことやってるからあとで確認するのが面倒なんですね。

 せっかくなのでエルフ設定も垂れ流します。

 族長は集落から絶大な支持を得ています。そのためほとんどの物事は族長の判断で決定します。ところがこの族長は平和的ではあっても見識の広さが足りないため、集落外の出来事に対しては過敏に反応してしまうところがあるようです。

 族長の側近は集落で唯一の訓練を積んだ戦士です。彼は普段から森に侵入する外敵に対して目を光らせています。争いごとを嫌う集落のエルフたちに代わり、ゴブリンなどを追い払う「汚れ仕事」も一手に引き受けています。彼はかつて森を出たことがあり、そのときに人間の冒険者と出会い短い期間ながら冒険をした経験があります。そのため人間に対してもっとも客観的な評価を下すことができます。「共感の首飾り」はそのときの冒険で手に入れたものを、仲間たちから受け取りました。

 自称・森の番人であるエルフ(青髪)の青年は、エルフの戦士に憧れを抱いており、勝手に森をパトロールしています。しかし経験不足、人間への偏見が文字通り足を引っ張り、今回の事件の発端となりました。

 見た目は少女のエルフは、実際に集落のなかでは若いほうです。もちろん人間と比べればかなりの差があります。彼女は森の動物と意思を通わせることができますが、ある日仲の良かった雌鹿が人間の狩人に仕留められるところを見てしまいます。それ以来彼女は人間を強く嫌っています。

 どこか日和見がちなエルフ(茶髪)は一見すると柔軟な発想の持ち主ですが、一度も森から出たことがないため、すべて聞きかじりの知識です。もちろん森の外の話を聞いたのはエルフの戦士からになります。このエルフは人間に対して強い興味を抱いていますが、無意識に「すぐに死んでしまうのになぜ?」と下に見ています。しかし好奇心があるため、いずれ森を出て見識を広めることになるかもしれません。

 敵対するダークエルフの青年ふたり。
 髪をくくっているほうは、昔から血の気が多いと集落では鼻つまみ者でした。ダークエルフは種として優れていると信じているため、人間もエルフもその他の妖魔も見下しています。ところが百年前の襲撃に当然自分も連れて行ってもらえると信じていたのに、協調性のなさから相手にされませんでした。こうして彼は森から追われたという事実と、仲間からも拒絶されたという二重の屈辱を胸に抱いたまま百年も過ごすことになりました。今回の計画に成功すれば、森を手に入れたうえに集落の同胞たちの鼻をあかせると思っています。

 もうひとりのダークエルフはもともと理知的な性格で、鼻つまみ者のダークエルフに対しても普通に接していました。また静かながらに内面は暗くたぎるものを秘め、その片鱗を感じ取ったのか鼻つまみ者でさえ彼に心を許しました。激情家と冷静な相棒は相性が良く、本質的には似たもの同士だったのでしょう。ダークエルフとしての誇りを自負しているため、なすすべなく森から追われたことに強い屈辱感を持ち、鼻つまみ者とふたりで復讐の機会を待っていました。しかし集落の同胞たちは新天地での生活を重視したため、誰も彼らの相手をしません。そこで一計を案じてエルフと人間を仲たがいさせるべくゴブリンと一体のオーガを引き連れて森へ舞い戻ってきたのです。


 今回は4作目にしてやっとクーポンによるギミック処理を盛り込みました。
 場合によってはボスが相当厳しいことになりかねませんが、親切すぎる展開もあまり面白みがないかなと感じたので、そのあたりは度外視しています。
 ほんの少しプログラミングをかじったことはありますが、CardWirthの場合はプログラムではなくパズルを組み立てるように作り上げる感覚があります。パズルはめっぽう苦手なので、かなりてこずりました。

 そしてシナリオを作るうえで一番大変なのがPCのセリフ。
 シナリオを作るときは舞台の台本のようにセリフとト書き、それから舞台装置となるフラグ処理などをすべて文章におこしてからビルダーで組んでいます(複雑な分岐はトライ&エラーのくり返しです)。
 そのためセリフの差分についてはすべてが終わってから最後につけることになりますが、これが大きな声では言えませんが非常に面倒です。同じような内容のセリフでちょっとずつ口調を変えるように書いていると、だんだん日本語がわからなくなってきます。細やかに口調の差分を用意している作者さんには頭が下がります。
 個人的に一番好きな口調は荒っぽい言葉使いです。とくに蓮っ葉な姉さんキャラが好きです。世間的な需要はどうなんでしょうね。

 お気づきの方も多いでしょうが、オープニングの宝箱を開ける演出と情報屋に騙されたというくだりは#3と共通です。もともとこっちのシナリオで使う案だったのを、#3にも使っただけなので特に関連はありません。
 そして誰もが気づくことでしょうが、純正シナリオ「ゴブリンの洞窟」もパクって入っています。そのつもりもなく作っていたのですが、洞窟の入口に見張りのゴブリンがひとり、というシチュエーションの時点で「もうそのままじゃん」と思ってしまったので、いっそのことと利用させていただきました。改めて見ると、差分を細やかに用意していて驚きます。物音を立てておびき寄せるなんてやったことありませんでした。

 今回のシナリオもなかなか説教くさい。
 別に私は自然に回帰しろとか、特定の動物を殺すな食べるなと声高に叫ぶ人間ではありません。むしろ人間らしく生きた結果が現在の在りようで、特定の動物を食べる文化もまた同じものと思っています。特に他者の文化を否定し根絶させようというのは、そちらのほうがよほど野蛮だと感じるくらいです。
 というようなことを書き出したら本気で説教くさいうえに主旨からずれるので、これくらいにします。