マタハラ弁護団東海

マタハラに悩む全ての女性のために、東海地方の女性弁護士が集結したのが、マタハラ弁護団東海です。 無料相談、セミナー、勉強会への講師派遣など、随時開催しています。

妊娠・出産・育休を理由にした不利益な取り扱いを「マタニティ・ハラスメント」と言い、これらは違法とされています。
マタハラ弁護団東海では、このようなマタハラのご相談を随時お受けしています。また、勉強会への講師派遣も行っております。お気軽にお問い合わせ下さい。
弁護団事務局:弁護士法人名古屋南部法律事務所
住所:名古屋市中区正木4-8-13金山フクマルビル
電話:052-682-3211
担当弁護士:岡村・田巻

 前回の続きです。

 そして、後段の発言及び周囲の反応のうちとくに私が重要だと思うのは、23日の森発言を、その場に居合わせたJOC評議員会メンバーが誰もいさめず、むしろ「笑い声もあがった」ことです。
 JOC評議員会が、「組織」の論理に合わせない発言を「長い」発言として、「規制すべき」と考えていることが明らかになりました。

 後段の発言には、会議内におけるマイノリティの立場の参加者の発言のしづらさの問題(を森発言が無視していること)も表れていますがここではその点は掘り下げません。

 

 さて、ここで森氏が想定していると考えられる「自分たちの意向」とは何なのでしょうか。

 組織の論理にしたがってうごく男性を中心に形成された意向。

 JOC理事に女性を入れるべき、という社会的要請は、意思形成・意思決定にあたって、これまでと異なる立場からの多様な意見を取り入れるべきという要請に他なりません。

 森氏の発言は、この社会的要請の意味を十分理解した上で、正面から「抵抗」を示したものです。
 ちょっとした言い間違いとか、誤解とか、軽率という言葉では表現できない、真正面からの「抵抗」に他なりません。居合わせたJOC評議員メンバーの反応は、JOCもこの森氏の「抵抗」に賛同することを示したものと言わざるを得ません。
 森氏を東京五輪・パラリンピック組織委員会会長に任命し、森発言を受けてもなお職にとどまらせている日本政府(自公政権)もまた、森氏の「抵抗」に賛同することを示しているのです。
 森氏は、自分の「抵抗」がこれらの組織から支持されることを知っていたので、安心して発言したとも言えます。

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 私は、これまでもそしてこれからもずっと組織の論理にしたがって動く男性を中心に形成された意向で物事を動かしていこうという理屈を、認めることはできません。
 その理屈を「女性」を持ち出して正当化しようとすることも認めることはできません。
 この理屈が企業に持ち込まれれば「妊娠したといって突然やすむ女性には仕事は任せられない」「企業が求める残業をこなせない女性には正社員は無理」となります。
 ハラスメントに通じる理屈です。

 森発言に、厳重に抗議します。


 

*森喜朗氏の発言についての記事の作成にあたっては、以下の報道記事を参照しました。

   https://www.asahi.com/articles/ASN3N02FYN3MULZU028.html

  https://www.asahi.com/articles/ASP235VY8P23UTQP011.html

  https://news.yahoo.co.jp/articles/de9949c39949050c0d9f85f0d02988f177fc254c

 こんにちは!マタハラ弁護団東海・田巻です。

 森喜朗・東京五輪・パラリンピック大会組織委員会会長の発言が注目されています。

 最初に注目されたのは23日のJOC臨時評議員会での発言です。
 「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」
 等と述べました。会議における女性の発言がだらだら長いという客観的証拠がなく(SNS上では各種の実証データを挙げて反証する投稿があります)、「女性」はと決めつけている点で女性蔑視発言であることは明らかです。

 

 その上で、23日の森発言のうち、

・「私どもの組織委員会にも女性は何人いたっけ?7人くらいか。7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて。みんな競技団体からのご出身であり、国際的に大きな場所を踏んでおられる方々ばかりです。ですから、お話もシュッとして、的を射た、そういう我々は非常に役立っておりますが。次は女性を選ぼうと、そういうわけであります。」

との部分、それに加えて23日のJOC臨時評議員会はオンラインで記者にも公開されていたところ

「女性っていうのは競争意識が強い。誰か1人が手をあげていうと、自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。それでみんな発言されるんです」「女性の理事を増やしていく場合は、発言時間をある程度、規制をしないとなかなか終わらないので困ると言っておられた。だれが言ったとは言わないが」との発言に対して、その場にいたJOC評議員会メンバーから笑い声もあがった

ことを、とくに取り上げたいと思います。

 

 前段の発言は、森発言が女性蔑視発言である上、その「女性」を森氏を含む「自分たち」にとって都合のよいように二分化し、「自分たちにとって都合の良くないことを言う女性」をより一層おとしめる発言であることを明らかにしています。
 森氏からみて「お話が的を射ている」ならば女性の発言も歓迎するし、女性の役員も歓迎すると述べているのが前段の発言です。
 森氏からみて歓迎される女性は「競技団体からのご出身」という、組織の論理で動く方であることも示唆されています。

 この森発言を聞いて私が思い出したのは、20203月段階でJOC理事の山口香氏が東京五輪は延期すべきと発言していたことです。

 日本国内と全世界的なコロナ禍の広がりに照らし、納得できる発言だと私は受け止めました。森氏は、こういう発言は競技団体の組織の論理をふまえない発言であり、的を射ていないと思っておられるのではないでしょうか。
 その考えを、「女性」の発言は長い、規制しなければならないとして表したのが23日の森発言です。
 森氏は「自分たちの意向に異を唱える」女性の発言を問題とし、規制する必要があるとして封じ込めようとしているのです。

 さらに、森氏は24日、釈明会見を開きました。
 会見に先立ち、報道機関の取材に応じた森氏は女房、娘、孫娘に怒られた、女性を敵に回したといわれたが私にはそのような意図はない、と述べました。
 この発言は、森氏が自分の真意を巧妙にごまかし、取り繕おうとしたものです。森氏は、「自分たちの意向に異を唱える」女性の発言を問題としているのですが、身内(フォーマルな場ではなく家庭という、森氏が、自分の意向に最終的に反することは起こらないと確信できる環境にいる)の女性から叱られたポーズを示すことで、真意(「自分たちの意向」に異を唱える発言を封じたい)を覆い隠そうとしています。
 このごまかしにのってはいけないと思います。
 次回に続きます。

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こんにちは。マタハラ弁護団東海・岡村です。

 11月4日、娘に対する準強制性交を行っていた父親の事件で、最高裁が父親側の上告を棄却して、逆転有罪が確定しました。
 ホッとする一方、報道によれば、被害者の方は、詳細なメッセージを出せるような精神状態ではないといいます。

 

 この事件の第一審、名古屋地方裁判所岡崎支部で無罪判決が出た時、マタハラ弁護団でも驚愕して、皆で心を痛めていました。
 この判決に抗議する声は大きく、フラワーデモにつながりましたが、何人かの弁護士が「疑わしきは被告人の利益に」などと言って無罪判決を当然視していました。
 今、何を思っているでしょうか。

 

  女性に対する暴力は、殴る蹴るだけでなく、「支配する」という方法で行われることが多々あります。
 生活費や学費を出してくれなくなるんじゃないか、反抗すれば身体的暴力を振るわれるんじゃないか、馬鹿にされて相手にされないんじゃないかという上下関係の下で性的関係が強いられることは性暴力に他なりません。
 女性に対する「暴力」の意味や内容を捉え直す必要があります。 

 

 DV・虐待は家庭で起こる暴力ですが、職場でのハラスメントもまた暴力です。

 DV加害者がよく言う「俺と同じだけ稼いでみろよ」という言葉の背景にも、セクハラ・マタハラが横行して、男女の賃金格差があるような社会的な要因があります。

 上下関係を背景に、尊厳が傷つけられることがない関係が築かれる世の中になりますように。

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