これはですね〜
私は、1回目見た時はよくわからんかった・・・
2回目見終った時に、じわ〜っと泣けてきて・・・
なのに、その涙の意味が自分でもよくわからないっていうか・・・|*・ω・*)?
でも、好きな映画になりました。

 タイトルからもわかるように、大人の勉強的な場面が結構ありますんで、
R-15指定となっております。
 HPはこちら

 ファミレスで働いている中年男秀雄(板尾創路)は、空気人形(ペ・ドゥナ)と一緒に暮らしている。
ノゾミと名づけ、食事も一緒、お風呂も一緒、時には車椅子に乗せて
夜の散歩にもでかける。

 ある雨上がりの朝、空気人形は静かに動きだし・・・・
秀雄が出かけた後、窓を開けて差し出した手にしずくを受ける。
「キ・・・レ・・・イ」

 この、空気人形に少しづつ命が通い始める場面が影を使ったりして美しかったわ〜
メイド服を身につけ(いろいろ試したんだけど、コレが一番しっくりきたらしい)
部屋から出た空気人形は、いろんな人と出会いながら世界になじんでいく・・
 
 夕方になり、どこかの屋上で学校のチャイムや電車の音、人間達が生活する音に耳を澄ます空気人形・・・
まるで、生まれたばかりの赤ん坊のように、この世界を感じていく姿が丁寧に描かれます。

 そして、にぎやかさに魅かれて入ったレンタルビデオ屋で店員の純一(ARATA)に会った空気人形は、彼に恋をするのよ〜
ここからはネタバレありです。
ユリイカ2009年10月臨時増刊号 総特集=ペ・ドゥナ 『空気人形』を生きて空気人形 [DVD]
 いや〜わたしゃ、空気人形ちゃんと家に帰れるのか?って心配になったけど、
秀雄が帰ってくる前に戻っててホッとしたよ。

 空気人形は秀雄が留守の間、純一のいる「シネマ・サーカス」でアルバイトを始める。
一緒に過ごしているうちに、心を持った空気人形の恋心は高まっていく・・・
でも、それと共に悲しみや苦しみの感情も知っていくのでした。
私は空っぽの空気人形・・・性欲処理の代用品・・・

 ある日、店内を飾り付けていた空気人形は、手に傷をつけてしまう。
どんどん抜けていく空気、しぼんでいく体・・・
驚いて立ちすくむ純一・・・
「見ないで・・・」空気人形
 でも純一はすぐにセロテープで傷をふさぎ、お腹の空気穴から息を吹き込んでくれた。

 ここはね〜今まで見たことがない新鮮なラブシーンだったと思います。
徐々にしぼんでいくところも、空気が入ってくるところもすごくリアルだったんですが、
空気穴に息を吹き込むということが、2人にとっての愛の行為になってるんですよね・・

 純一の息で体を満たされ、空気人形は生き返る。
心がひとつになり、抱き合う2人・・・
愛が体中に充ちている・・・幸せを感じる空気人形。

 空気人形は、秀雄がいつも使っている空気入れのポンプをそっと捨ててしまいました。
私には、純一がいる・・
でも、空気人形は彼の部屋で女性と写っている写真を見つけてしまう。
自分はやはり、誰かの代わり・・・・空しさと寂しさを感じる空気人形。

 でも、空気人形が出会った人間たちも、それぞれ空虚さや欠落を持て余しながら生きている。

 リストラに合い、家族から見放されている孤独なレンタルビデオ店の店長鮫洲(岩松了)。

 毎日のように派出所に通い、TVで見た事件の犯人は自分だと名乗りでる未亡人の千代子(富司純子)。
そんな彼女の相手をしている警官の轟(寺島進)。

 若くてかわいい同僚に引け目を感じ、様々な美容グッズを試している受付嬢の佳子(余貴美子)。
彼女は毎晩のように友達に電話で愚痴り、『あなたの代わりはいない』という言葉を聞くまで安心できない。

 生きる目的を見失いつつある浪人生の透(柄本佑)。

 大量の食料を食べては吐く・・を繰り返している過食症のOL美希(星野真里)。

 帰って来ない母親の帰りを待っている小学生の萌(奈良木未羽)と父親の真治(丸山智己)。

 高校の代用教員だった老人・敬一(高橋昌也)は迫り来る死を恐れている。

 みんな、誰かの代わりではない唯一無二の存在になりたいと願いながら、
そうではない自分を感じ怯えている。

 自分はなぜ心を持ってしまったのか・・・なぜこの世に生まれてきたのか・・
空気人形は自分が生まれた工場にいる人形師(オダギリジョー)に会いに行った。
「おかえり・・・」
「ただいま・・」

 でも、人形師も答えを教えることはできなかった。
「人間を作った神様にもわからないと思うよ」
人形師によって化粧しなおされた空気人形は、それでも純一の元に戻ることにする。

「ひとつ教えてくれるかな・・
君が見た世界は、悲しいものだけだった?
美しい、きれいなものも少しはあったかな・・?」人形師

 うなずく空気人形。
「なら、良かった」人形師
「生んでくれてありがとう・・」空気人形
「こちらこそ、ありがとう。いってらっしゃい」人形師
「いってきます」

 いや〜やっぱりオダジョーが出ると締まるわ。
空気人形工場のたった一人の職人。
こういう不思議な空間で静かに存在しているって役がぴったり・・・
彼の後ろに無限の世界が広がっている。

「私、誰かの代わりでもいいの」空気人形
「君が誰かの代わりなんてことはない」純一

 あなたのために何でもしてあげたいという空気人形に、純一は「空気を抜きたいんだ」と頼みました。
空気人形の空気穴を開け、しぼんでいく彼女に空気を満たすことを繰り返す純一。

 純一も、自分は誰かの唯一無二の存在だと確認したかったのでしょうか・・
自分を信頼して体を預ける空気人形・・・彼女にとっての特別な存在だと。

 何度も純一の息で体を満たされた空気人形は、自分も彼を満たしてあげたいと思うのでした。
でも、その行為は彼の体を傷つけ、血を流させ、命を失わせてしまう・・
(わたしゃ、最初、純一が自殺したのな〜とか思っちゃったョ・・
後で、そういえば何かチョキン!って切ってたよな〜って思って分かったけどさ・・)
空気人形が何度も口から息で満たそうとしても、彼は戻ってこなかった。

 空気人形は純一を燃えるゴミの袋に入れて置いた後、自分も、燃やせないゴミとして横たわり、純一が張ってくれた手のテープをはがしました。
その回りには彼女が好きだったガラス瓶が並べられていた。

『生命(いのち)は、自分自身だけでは完結できないように作られてるらしい
花も めしべとおしべがそろっているだけでは不十分で
虫が 風が 訪れて めしべとおしべを仲立ちする

生命はその中に欠如を抱き それを他社から満たしてもらうのだ
世界は多分他者の総和
しかし 互いに欠如を満たすなどとは知りもせず 知らされもせず 
ばらまかれてるもの同士 無関心でいられる間柄
時に疎ましく思うことさえ許される間柄
そのように 世界がゆるやかに構成されているのはなぜ?

花が咲いているすぐ近くまで 虻の姿をした他者が 光をまとって飛んできている
私もあるとき 誰かのための虻だっただろう
あなたもあるとき 私のための風だったかもしれない』

 敬一が空気人形に教えたこの詩は、吉野弘さんの『生命は』という詩なのですが、
この映画のテーマにもなっています。

 薄れていく意識の中で、彼女のはいた息がそばにあったタンポポの種を飛ばしていく。
風に乗って飛んで、運ばれていく命・・・
純一によって満たされた命は、彼に返すことはできなかったけど、この世界に向けて放たれました。
空気人形の命は『誰かのための虻』となって受け継がれていく・・

 孤独と空虚さを抱えながら生きている人間たちも、互いに気づかずにいつのまにか影響を与え合って他人を生かしているし、生かされてもいるのかもしれない・・

 ゴミステーションに横たわるノゾミを見た美希は「キレイ・・」とつぶやいていました。
空気人形が初めて、この世界を知った時つぶやいた「キレイ」という言葉、
それは命の輝き、その美しさへの愛の言葉・・・
短い間だったけど、空気人形は「生きて」いたんだよね・・

 なんだか切なくて、悲しくて、美しい物語でした。
主演のペ・ドゥナさんの無垢な目を通して、世界を見せてもらったような・・・
空気人形になり切ったテクニックもすばらしいけど、本当に空気人形の心を感じました。
スゴイ女優さんです。別の作品も見てみたくなりました。

 ARATAさんも、板尾さんもさすがの存在感でした。
オープニングの、電車の中から外を見ている空ろな表情から、すぐに映画の世界に引きこまれました。
しかし、こういう変態っぽい役がとっても自然な板尾って、つくづくおもしろい役者だよなぁ・・

もぐら
 


何だか是枝監督の作品はスルメのような・・・(´゚ε゚`)
噛めば噛むほどおもしろくなってくる・・・でも、噛まなきゃわかんない・・(´∀`;)