「早く楽になろうなんてしないでくださいね。
苦しんで、苦しんで、カラカラになるまで苦しみぬいてから死んでもらわないと、つじつまが合いませんから」

 玲子から倉田への、この言葉は、「生き続けろ」ということ。
辛くても、苦しくても、どぶの中を這いずるように生き続けろ。
親として大きな間違いを犯してしまった倉田に、その罪の中から這い上がって生き抜け。
「どんな間違いを犯しても、必ずやり直すことができる」
それを証明することが、倉田の親としての償いであり愛情であると、玲子は思ったのではないでしょうか。

 オープニングは、過去の、ガンテツ(武田鉄矢)と倉田修二(杉本哲太)が指名手配中の強盗殺人犯山辺研一を追い詰める場面から始まりました。
実家に潜伏し、母親をも手にかけた山辺を確保した倉田は銃口を山辺の口に突っ込んでおり、ガンテツが止めなければ殺していたかもしれなかった。

「引き金を引いちまったら、そいつは一発でおだぶつだぞ」ガンテツ
「一人殺したら、原則死刑でいんじゃないですかね。
金借りたら利子つけて返すでしょ。でも、命奪ったらそうはいかない。
だったら、せめて元本は返すべきなんじゃないですかね」倉田
「人を殺した奴は、殺されてチャラっこって訳かい?」ガンテツ
「そういうことです」倉田

 倉田の顔は、正義を執行するというよりも、犯罪を犯した人間に関わりすぎたため、罪と罰をプラマイ0にすることに取り憑かれているようでした。
悪を追いすぎたために、自分自身も悪に浸かり溺れているように見えました。

 だから、私は、倉田はあの3人を殺したと思います。
彼のその衝動は警察を辞めた後も、いや、辞めたからこそ、勢いを得て、自分でも抑えられなかったでしょうかから。
その衝動に従う事が警察官としても、父親としても正しいことだと信じた。
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 現在に戻り・・・倉田は警備会社で働きながらも、抜け殻のようでした。
蘇る息子の殺人事件当時の記憶・・・・・妻を責め、息子を憎んだ。
そして、息子が殺した女子高生の父親によって、妻は殺されてしまった。
助けを求めたであろう血だらけになった妻の手・・・無力感、怒り、悲しみ・・・

 倉田は加害者の父親であり、被害者遺族となった。
彼を支えているのは、罪を犯した息子を自分の手で罰せねばならないという思いだけ。
そのために、定期的に刑務所の塀の外を歩き、息子の罪を確認し、迷いを切り捨て、決意を新たにして戻ってくる。
 玲子も言っていたように、倉田は妻を殺されたことによって被害者遺族としての思いを新たにした。
だから、遺族のためにも息子を生かしておく訳にはいかないと思ったのでしょう。

 一方、玲子(竹内結子)は服役中の倉田の息子・英樹(石黒英雄)に面会を求め続けたが拒否されていた。
依然として、倉田が3人を殺した証拠は見つからなかったが、玲子は彼がやったと確信していた。

「僕には信じられません。息子を殺す決心を鈍らせないために他の犯罪者を殺すなんて、そんな親がいるとは思えません」葉山(小出恵介)
「ノリ・・・親だって壊れる。親だから壊れる」玲子

 他人なら許せることでも、親子だからこそ許せないことがあるし、親子ゆえにその先を見つめることができず壊れてしまうこともある。
「そんな親がいるとは信じられない」とはっきり言える葉山は幸せに育ったのかもしれません。

 玲子は英樹の弁護を務めた淺川を訪ねました。
淺川によると、倉田は息子の裁判の傍聴にも現れず、一切減刑をしないよう頼んだそうな。
そして、英樹の方は交際相手の彩香から別れ話を切り出され、カッとして殺したとだけ述べ、詳しい供述はしようとしなかったらしい。
 浅川は、倉田が厳罰に処すよう求めていた事を英樹が知ったための、父親の意志に従おうとしたのではと話していました。

 倉田修二と英樹・・この2人はどんな親子だったんだろうか・・・
そして、自分の親子関係は・・・
どんな事件だって、自分に跳ね返ってきますよね。

「お父さんってさ、私のこと殺したいって思ったことあるかな・・」玲子
「えっ・・・・」瑞江(手塚理美)
「あんなことがあって・・・自慢の娘じゃなくなって」玲子
「何言ってるの・・」瑞江
「親が無償の愛って虚だよね。親だって人間だもん。どろどろした感情で子供が憎いってことあるんじゃないのかな。
お母さんもさぁ、私がいなくなったらって思ったことあるでしょ?」玲子
「そんなこと、思ったことないわよ!」瑞江

 玲子は、自分のせいで、「レイプされた娘の親」にしてしまった罪の意識を感じているんでしょうか・・・
自分のせいで「普通の親子」ではなくなり、父と母を苦しめることになってしまったと。

 今回は、石倉(宇梶剛士)の親子関係も描かれました。
三者面談で、中学生の長女が父親の後を継いで警察官になると発言したので反対したら、家出しちゃったそうな。
「父親として娘が危険な現場に出ることは許せない」
刑事としてよりも、父親としての愛情で行動する石倉・・・
矛盾してるとわかっていても、思わずそう言ってしまう・・・なんだか石倉の存在はほっとしますなぁ・・・( ´∀`)

 さて・・・・英樹の出所が早まったと知り、玲子は倉田の元へ。
「英樹君が釈放されるそうですね。決意は変わりませんか?
息子さんを殺してどうするんです?あなたも死ぬつもりですか?」
「証拠は持って来たのか?」倉田
「いえ。でも、あなたが吾妻が通っていた図書館で心神喪失を演じていたことを突き止めたのはわかりました。
他の2人も再犯の可能性があることを調べたんですね?
そして、正義に基づいて3人を殺害した」玲子

「正義?バカなことを言うな。殺しに正義もクソもあるか。あるのは選択だ。
殺すという方法をとるか、とらないのか、それだけだ。
人が人を殺す理由と、殺そうとする気持は全く別のところにあるということだ。
人を殺すに値する理由などこの世にひとつもない。
逆に言えば、どんなささいな理由でも、人は人を殺すということだ。
そこにあるのは、たった一つ、選択の機会にすぎない。
息子にしたってそうだ。
別れ話なんていうものは、世の中に掃いて捨てるほど転がっている。だが、ヤツは殺すことを選んだ。
そして、人の死は死をもってしか贖えない。
俺は親として、それぐらいのことは教えて育てたつもりだった」倉田

「だから、息子さんに死をもって贖えと?
どうしてもご自分の手で英樹君えを罰するおつもりですか?」玲子
「人はな、一度殺してしまったら、もうだめなんだ。
再犯の可能性が高いかどうかは断言できん。
だが、殺意は膨らんだまま心に残る。
ひとつの大きな選択肢として魂の中に居座り続ける。
そんな心に爆弾を抱えた息子を俺は世に放つことはできん。
これが俺の、元刑事としての最後の理性だ」倉田

「殺人があえて選らぶものだということは、わかる気がします。
でも、殺意が危険なのは、それを犯してしまった人間に限ったことじゃない。
でも、大半の人間が殺意を抑え込んで生きている。
少なくとも、私はそうです。
だから、私は、あえて刑事として、あなたと違った結論を見つけたい。
英樹君は私がどんなことをしても守ります。必ず」玲子

 玲子は、英樹の出所日に倉田を拘束するため、今泉(高嶋政宏)に殺された3人と倉田との関係を事件として正式に捜査したいと訴えました。
今泉は今日一日だけという約束で受け入れましたぞ。

 いや〜玲子が自分のデスクに戻る時に、もう立ち上がっている姫川班のみなさん
(* ̄∇ ̄)
今回は葉山も自ら加わりたいと申し出ました。
女性が危ない現場にいることを認めた訳ではないけど、玲子のことを最初とは違った目で見られるようになったという葉山。
もしかしたら、玲子の存在を認めることが、彼のこころの傷の癒しに繋がっていくのかもしれません。

 その後、今泉から英樹の母親が殺される直前まで、息子が殺人を犯すとは信じられない、事件をちゃんと調べて欲しいと訴えていたことを聞いた玲子は、面会してその事を伝えたんだけど、英樹の反応は冷たかった。
「お父さんを助けたいんです!」という言葉にも。

 そして、ついに英樹が出所したとの連絡を受けた玲子は彼の元へ。
そして、倉田も。
倉田はいつも引き返す場所で迷った末、刑務所に向かって歩き始めていた。

「迎えに来た」倉田
「英樹君は私が連れて帰ります」玲子
「・・・・・・・・・」倉田
「父と帰ります」英樹
「・・・・・」玲子
「僕たちのことは放っておいて下さい」英樹
「いつも曲がらず折り返すあの角を、あなたは始めて曲がった。
英樹君を迎えに来たんですよねぇ?信じていいんですよね?!」

 その後、調べにより、殺された彩香は、当時、父親の会社の息子から交際を迫られており、殺される直前、暴行を受けていたことが判明した。
絶望した彩香は英樹に自分を殺すよう頼み、彼もそれを受け入れた。
彼女が無抵抗のまま殺されていたのは、自分が望んだからだった。
そして、英樹が事件について語らなかったのは、その秘密を隠し通したかったから。

 自らの手で愛する人を殺してしまった英樹に生きる希望などなかった。
父の思いを知っていた英樹は、父の手で罰せられ死ぬために出所してきたのでしょう。
でも、この殺人の秘密を父が解き明かしてくれたなら、そして、受けいれ許しててくれたなら、そして共に罪を背負って生きて行こうと言ってくれたなら、別の道が開けていたはず。
これは息子としての英樹の賭けだったのかもしれません。

 玲子が倉田達がかつて住んでいた家にたどり着いた時、英樹は首を吊って亡くなっていました。
倉田は息子を殺すことはできなかった。
でも、死ぬ意志があるのを知りながら放置した。
父親を裏切った息子にできることは、父の望んだ通りの罰を受け入れること。
英樹君は、死ぬことによって、倉田の息子であることを全うしたのかもしれない。

 重すぎるラストでした。
過ちを許さない父親の息子は、過ちを超えた先にも道があることに気付かずに死んでいった。
自分で作ったルールにがんじがらめになった倉田、そして最期までそんな父親の息子として生きた英樹。
でも、親子って常識で割り切れないものがあるからこそ成立するようにも思う。
もちろん、殺人は許されないことだけど、倉田がルールを捨てて親としての情で事件を洗い直していたら、真実にたどりつけていたかもしれないのに。

 玲子が、「痛みも間違いも背負って生きていくその先」を見つめようとしているのが救いでした。 
ガンテツの罵りが玲子に気力を奮い立たせる。
ガンテツは、多分そのことを知っているのでしょう。

 第一話 シンメトリー
 第二話 右では殴らない その1
 第三話 右では殴らない その2
 第四話 過ぎた正義 その1
 第六話 感染遊戯
 第七話 悪しき実 その1
 第八話 悪しき実 その2
 第九話 ソウルケイジ その1
 第十話 ソウルケイジ その2
 第十一話 (最終話) ソウルケイジ その3 こんなにも人を愛した殺人者がいただろうか

こたつ
スパッと終る、感傷的じゃないラストが好き。そして、玲子の背後にはいつも菊田がぁ〜(* ̄∇ ̄*).