差し出した手の上に、安心するように重ねられた家綱様の小さな手、その手を導きながら有功様は、この大奥で生き続けてゆくのでしょう。
それが、この大奥という場所で、悩み苦しみ命を燃やし尽くした家光様の存在を残すことであり、有功の上様への愛の証であるのだから。

 有功(堺雅人)が大奥総取締役となって1年が過ぎ、家光(多部未華子)は玉栄(田中聖)の子・徳子を出産した。
玉栄は「お腹様」になった喜びを噛みしめております。
旅の僧・隆光が言った「天下人の父になる相があらわれておるぞ」という言葉をリアルに思い出してますわ〜

 徳子様を抱き上げてはしゃぐ玉栄を複雑な思いで見つめる有功様と上様・・・
「もしも、そなたとの間に子をなしていたら・・ どうであったのであろうな。
それでも、やはり、春日はお楽やお夏を側室にしたであろうな。世継ぎが一人では心もとないなどと言うて」上様

 有功様と上様がこのような関係になったのは運命だったのかもしれない。お二人がお二人であるがために。
ならば、これで良かったのかもしれない・・・女性として愛する男性を求めることができない苦しみを上様はやっと受け入れられたのでしょうか。

 三人の姫様、千代姫(庵原涼香)、長子姫(牛島七菜子)、徳子姫(古野本二葉)は無事健やかに成長し、数年が過ぎた。
父親らしく徳子姫に愛情を注ぐ玉栄と、夫婦らしくなっていくお二人、そして徳子姫を、有功は家族のように見守り続け、他の姫さま達にも同様の愛情を持って仕えた。

 男女の会話はなくなり、業務連絡的な会話になってしまった家光様と有功様だったけれど、その分、静かに深くつながっているのが伝わってきました。
時の将軍が誰よりも信頼を置く男、それが大奥総取締役里小路有功だった。
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 家光様はこの時20代後半。
でも、3人の姫様を難産の末出産したことで、体力的な不安を感じていたようで、自分が亡くなった後のことを考え、六人衆を解き、松平伊豆守信綱(段田安則)と阿部豊後守忠秋(柴田善行)を老中に任命しました。

 その後、ついに家光は病に倒れ、世継ぎ問題の決断をせねばならない時がきてしまいました。
上様の「わしは死ぬのか?」という問いにごまかすことなく応えられたのは、やはり有功だけでした。
「以前にも尋ねたが、三人の姫のうち、誰がこの徳川を背負うべきか。そなたは徳子姫か?
そもそもお玉は、そなたの命により側室となった故そうであろう。
確かに徳子姫は、最も若い末子であるが、なかなかの器量は持っておる」家光
「畏れながら、上様、お父上の家光公も、かつて長幼の序にならって公方様となられたのではございませぬか。
もしも、お生まれになった順序をないがしろになされば、争いを避けることはできませぬ」有功
「千代姫ということだな。分かった」家光

 戦のない平和な世を、それが春日局の願いだった。
その願いのため、家光は母と引き離され、父上の代わりに将軍にさせられた。
そして、その後は自らの意志でこの徳川の人柱となることを選び、女将軍として生きてきた。
ならば、選ぶ道は決まっていましたなぁ・・・

 死の間際にいながら、将軍としてやりのこしたことがあまたあるとつぶやく上様は、有功の「上様は、よくなさいました。上様のなされたこと、きっと後世に残りましょう」という言葉にほっとした表情を浮かべました。
「ありがとう有功。しかし、わしは、もともといてはならぬ者なのだ。
わしの成したことが、父上の名前を汚さねばそれでよい」家光

 『慶安4年4月20日、この国のために命を注ぎ込むように生きた女将軍・家光公は逝去された。
公文書には、あくまで、お父上の三代将軍徳川家光公の死として記された』(没日録より)

 上様逝去後、殉死を禁じていたにも関わらず、元六人衆の阿部重次と堀田正盛が切腹した。
そして、『自分の役割を全うしたい』と言っていた稲葉正勝(平山浩行)も、後を追った。
その死に顔は穏やかに微笑んでいた。
「正勝殿・・・あなたも、また、上様に恋をした一人であったか・・・」有功

 二人の家光に仕え、影として生ききった正勝様・・・りっぱな最期でございました。
ただ、この最後の有功様のセリフはちょっと違和感だったかな・・
原作もこのセリフで締められるんだけど、今まで原作にはない正勝の家族のエピソードを描いてきちゃったからね〜ちょっとブレた感じにはなってしまったかな。
 雪に届けられた遺書の顛末もあっさりまとめちゃった感が強くて、せっかく今まで丹念に描いてきたのにもったいなかったな〜と思いました。

 『次期将軍は、千代姫改め家綱様に決まり、他二人の姫様は同じ石高を得、お城を出ることとなった』

 玉栄は出家して、僧侶に戻りましたぞ。
徳子を次の将軍に推薦してくれなかったと知った時は憤った玉栄でしたが、今では納得し受け入れたようです。
「有功様も出家なさるものやとばかり思うていました」玉栄
「不思議やな。ここへ連れてこられたときは、あないに僧侶に戻りたいと思うてたというのに」有功
「ずっと有功様のおそばにいて離れまいと思うていました。こないな日が来るとは・・・
しかし、綱吉様(徳子)を一人にするわけにはまいりませぬゆえ。お許しくださいませ」玉栄
「私こそ許せ、玉栄。そなたを亡き上様のおそばに侍らせた上、結局、長幼の序をもって家綱様を推した私を」有功
「ええのです。有功様のなさることは、私は全て・・・もう、ええのです。
それに、将軍の父となるという途方もない、ええ夢を見ました。お別れにございます。
有功様。お体をご自愛くださいませ」玉栄
「そなたも、綱吉様も・・・
玉栄!・・・・ありがとう、玉栄。そなたがいたからこそ、私は大奥で今日まで・・・ありがとう」有功様

 不思議な縁で結ばれていた二人にも、別れの時がきたようです。
玉栄の無償の信頼があったればこそ、有功はこの大奥で自分を見失わず生きてこられた。
僧の姿になっても、玉栄の人間らしい匂いに満ちた生きるエネルギーは伝わってきました。
そして、この大奥にありながら、どこまでも清らかに麗しく存在する有功様。
二人は対局にあるようでありながら、だからこそお互いの分身たりえた。
 って、この玉栄がたぬきじいさんとなって戻ってくるのは、それはまた別のお話・・・( ̄ b ̄)

 玉栄が去った後、有功様は上様との最期を思い出していました。
ついに共に死ねる時が来て、その覚悟を告げた有功でしたが・・・
「やはり駄目だ。そなたは生きよ。千代が四代将軍となった時、そなた以外、父親代わりの後見は思いつかぬ。
千代のために。いや・・・わしのために生きよ。亡き後もわしのためだけに・・・」家光
「はい」有功
「有功、好きだったぞ。たとえ 体のつながりがなくとも、だからこそ、そなたは他の誰とも違う、わしにとっての特別であった。これで、よかったのだな・・・わしと そなたとは…」家光
「はい」有功
「有功・・・有功」家光

 最期まで、愛する有功の名を呼びながら、上様が有功に示したのは女性としてよりも将軍としての道でした。
それが、有功の選んだ道に準ずることになるとわかっていたのでしょう。
そして、愛のために、死よりも生きる道を選んだ有功。
この大奥で愛した人の忘れ形見と共に静かに生きることが、彼の幸せなんでしょうね。

 悲しくも切ないラブストーリーを久々に堪能させていただきました。
心に沁みる最終回だったと思います。
最終回、三分の二ぐらいまでは、ずいぶん淡々と進むなぁ〜やっぱり自分的にMAXは第八話の上様の口上かな〜と思っていたんだけど、ホントの最後になって、涙腺決壊。
この物語らしい美しいラストだったと思います。

 この原作は神と言ってもいいぐらいの完成度だから、映像化されると聞いて、ちょっと心配だったんだけど杞憂でした。
第一回目から、その原作をベースにして作られた新しい世界にぐっと引きこまれました。
とにかくキャストのみなさんがすばらしかった。

 毎回、家光の女性として人間としての成長を見せてくれて、短い一生を激しく駆け抜けた女将軍を見事に演じきった多部ちゃん・・・・惚れ直したわ〜
強くて、凛々しくて、美しい、ヒロインにゾッコンよ。
堂々と見せてくれたラブシーンもホントしゅてきだった。多部ちゃんにだったら・・・堺様譲るよ・・・

 そして、今まで色っぽいシーンを拝見したことがなかったから、いろんな意味でドキドキしながら見てたけど、やっぱり堺様は期待を裏切らない男。
原作の世界観をベースにオリジナルの万里小路有功を創り上げ、その生きざまを魅せてくれましたぞ。
のちの大奥の絢爛豪華な世界の基礎をつくった男、その優雅さを感じさせる佇まいが忘れられません。

 さらに、鬼であり続けた人間としての哀しさをみせてくれた春日局を演じた麻生祐未さん、
影として生きる悲哀を静かな存在感で見せてくれた平山浩行さん、そのほかの脇の役者さんたちが常にぴりっと画面を引き締めてくれていました。

 音楽もドラマにぴったりだったし、毎回ベストタイミングで流れるMISIAさんの「DEEPNESS」には心を鷲掴みにされましたョ〜
この世界にもっと浸っていたかった・・・
寂しいけど、キャストとスタッフの皆様に心から感謝を伝え、お別れしたいと思います〜(ノω;`)

 第1話 将軍は少女!?全ての男女逆転はここから始まった
 第2話 ここは嫉妬が渦巻く男の園
 第3話 あなただけ救うために私は生まれた・・・
 第4話 実らない果実、忍び寄る毒蛇
 第5話 愛する女が他の男に抱かれる夜
 第6話 あなたは母になり、強くなり美しくなった
 第7話 私の分身私の献身
 第8話 春日局死す、初の女将軍誕生
 第9話 あなたの身も心も私のものに 

こたつ
あぁ・・・今年の堺様が終わってしまった・・・
次の堺様はいったいどんなかな〜
いつでもおいかけたい男、ミステリアスな堺雅人よ、どこへいく〜