いや〜今年1本目が「鬼平」とは嬉しいやね。
池波正太郎先生生誕90年記念、脚本・金子成人デスヨ。
ベテランのキャストとスタッフで丹念に創り上げられた「鬼平犯科帳」の世界を堪能させていただきました。

 さて、梅雨時の6月、盗賊の泥鰌の和助(石橋蓮司)がお盗め準備のため不破の惣七(寺島進)と鎌太郎(吉見一豊)に声をかけ、人集めを頼んでおりました。
この惣七、見るからにだらしなさそうで、こんなヤツに声をかけて大丈夫かい?って感じなんだけど和助さんはそんな贅沢言ってられない状況のようです。

 案の定、惣七め、自分の情婦のおみね(酒井美紀)に和助の連絡役である徳次郎といううぶな青年(福士誠治)を誘惑させております。
お盗めの日取りも場所も直前まで伝えないのが和助流なんだけど、今回の仕事のあがりを横取りしようとしている惣七は準備のため、おみねを使って徳次郎から聞きだそうって算段さ。

 いや〜私の中ではヤマザキパン祭りのお姉さんのイメージが強い酒井美紀さんですが、いつのまにかこんな汚れ役をさらっと演じるようになっとる・・・
小さい頃に惣七にさらわれて以来、盗賊の一味として使われてきたおみねにとっちゃ、たいした苦労もしていない徳次郎を丸め込むなんて赤子の手をひねるようなもんさ。
 お盗めの日に二人で逃げるために和助から日にちを聞きだすよう仕向けていたけど、その間、おみねも夢を見ていたのかもしれないね。
この泥沼から抜け出してまっとうに生きられる場所に行くことを。
もちろん、惣七から逃げ切れるはずもないし、身に付いた汚れの重さで動けやしないこともわかっていたけどさ。

 さて、この徳次郎、髪結いの仕事をしておりますが、実は父親は地蔵の八兵衛という盗賊の親分さ。
八兵衛が亡くなった後、世話になった和助が引き取り面倒を見たそうな。
和助という男、義理堅く恩には身を持って報いる男ですワ。
鬼平犯科帳(四): 4鬼平犯科帳〈7〉 (文春文庫)
 和助の計画、そして和助を欺いた惣七の計画が密かに進む中、おまさ(梶芽衣子)が偶然、昔馴染みのおみねと再会したことにより、その動きが発覚、平蔵(中村吉右衛門)の耳に入ることとなりました。
五郎蔵(綿引勝彦)によると惣七って奴は、今はうなぎ屋をやってるけど「役者くずれ、板前くずれ」の腰の軽い男で、あっちこっちの親分の下で働いちゃー見放されるの繰り返しだったそうな。

 平蔵の命ですぐに密偵達が動きましたぞ。
で、惣七が浪人たちに声をかけ集めている事、惣七のところにいるおみねが徳次郎という男と会っている事、徳次郎が「こまや」という玩具の店をやっている和助という爺さんの所に寄ったことがわかりました。
で、伊三次(三浦浩一)から和助が前は大工をやっていたけど、体をこわして5年前から店を始めたと聞いた平蔵さんは何か思い出したようです。

 自ら和助を尾けた平蔵は和助が昔会ったことのある盗賊の「泥鰌の和助」だと確信。
彼を中心にお盗めが始まろうとしている!
すぐに五鉄で対策が練られました。

 このね、和助たちの相談から始まり、じわりじわりと平蔵や密偵たちの地道な探りによって、そこに近づいていく過程が楽しくてしょうがない。
最も和助の方もただもんじゃないからね、平蔵が誰とはわからないけど自分をつけていることに気づいていた。
温厚そうな顔に浮かんだ一瞬の濃い〜悪の顔、さすが蓮司さん、キメてくれるわ〜

 「泥鰌の和助」は本格派の盗賊として名を馳せた男らしい。
「犯さず 殺さず 貧乏人からは取らねぇ」の三カ条を守り抜き、お盗め実行までは長い時間をかけ計画を練る。
大工として働いた現場にそっと「盗み細工」を施しておいて、何年か後に、そこから静かに侵入する。
家の図面も完璧に写してあるから、当日余裕で盗み稼業に集中できるって訳さ。
入られた商家が半月経ってやっと気づいたってこともあったらしい。

 さて、相変わらず和助のあとをつけていた平蔵さんでしたが・・・和助に待ち伏せされ「本所の銕」と名乗ったさ。
平蔵さん、若い頃は義母からいじめられ居場所を失くしていたせいかかなり荒れて放蕩三昧だった。
金に困り、遊び仲間に強盗の一味に加わるよう勧められ、堕ちるとこまで堕ちてやれと出向いた先で泥鰌の和助親分に出会ったのさ〜。

 で、和助は銕を連れてきた男を叱責したんだよね。
「こいつの目をよく見ろ。今は、はぐれて暴れてるかもしれねぇが、目がやけに澄んでる。
こんなとこ、引きずりこんじゃならねぇ!」
 そして、平蔵さんに小判を握らせて言ったよ。
「おう、金がいるんならやるから帰れ。本所の銕とやら、おめぇ、悪に染まるんじゃねぇぞ」

 この時の情のこもった言葉とお金のお蔭で平蔵は心を入れ替え、家に戻ることにしたようです。
そして、ずっと平蔵を支えてくれていた。
今の平蔵があるのは和助さんのお蔭なんだよねぇ。

 お互いの近況報告の中で和助が墓参りをしていた相手は大工仲間とその妻、息子だと判明。
「お天道様もむごいことしなさる・・・」
和助の目がギラリと光ったのを平蔵は見逃しゃーしなかったよ。

 密偵達の探りは続いていたけど、特に進展もないまま師走に入った。
浪人たちを押さえておくにも金がいるし、押し込みの日取りが決まらないと落ち着かねぇ!
切羽詰まった惣七がおみねを急かし、おみねに別れると脅された徳次郎は何とかお盗めの日取りだけでも聞きだそうと和助に迫ったけれど、そんなことに動じる和助じゃないやね。
20日が決行の日だという偽情報を徳次郎に流しましたぞ。
で、それを伝え聞いた惣七は突然店をたたみ、おみねと共に消えてしまったのさ〜

 その後伊三次が、慌てて惣七の店を探っている徳次郎を見かけたけど、和助の様子には何の変りもない。
お盗めの準備のために動き始めたかと思ったのに、どういうこっちゃ・・・?
密偵達にはまだ全貌が掴めない。お盗めをするのは惣七だけなのか?

 その頃、和助は勇み足で店を畳んだ惣七を決行の日の集合場所のために確保しておいた古寺に連れてきていました。
お盗めの日まで惣七に提供してくれるそうな。
そこで、自分が得た情報はガセでお盗めは年明けだと聞いた惣七はびっくり。
和助が帰った後、イライラを募らせておりましたぞ。

 そして、そんな裏の動きを察している和助は、徳次郎に「今の女とは切れた方がいい。災いのもとだよ」とアドバイスするんだけど、のぼせあがっちゃってる徳次郎は聞く耳もっちゃいないさね。
いなくなったおみねを捜しているようです。

 密偵達の地道な聞きまわりは続いております。
その結果、和助がお参りしていた墓の主のことがわかりました。
磯太郎、おひろ、孫吉はいずれも今年になって亡くなっていた。
 磯太郎は紙問屋の大津屋に奉公しており、その働きっぷりから大旦那にかなり気に入られていたらしい。
実子がいたにも関わらず娘と結婚させ、店を継がせるつもりだったそうな。
ところが、去年大旦那が急死すると、実子が店を継ぎ、磯太郎は目の敵とされ、横領の罪を着せられ追い出されてしまった。
 磯太郎は無念の思いで首つり自殺をし、元々病気がちだった母親も気落ちのあまり亡くなり、父親も病に倒れ死んでしまった。
ヒドイ話じゃないか・・・( -'д-)y-~

 で、その磯太郎が本当は和助の息子だったんじゃないかっていうのさ。
だとしたら、慎重な和助がこんなに慌ててお盗めに取りかかるのも頷ける。
息子が殺された復讐のために大津屋に盗みに入ろうって腹さ。

 ターゲットの目星がついたんで、平蔵の命令で火付盗賊改方の同心たちも動きだしました。
でも、和助が盗みに入るなら事前に細工をしてあるはず。
そこの繋がりの調べが、まだついていない。準備期間も短すぎる。本当に大津屋なのか?平蔵にも確信が持てない。

 さぁ、密偵・同心総動員で大津屋周辺の調べが始まりましたぞ。
いつもは奥にいる猫どのこと村松(沼田爆)も変装して出張っております。
このあたりは見張りのため借りられる部屋もなく、堀や川に囲まれているため人員もいつも以上に必要。
押し込みの日にちが決まっていないため、よそから増員を頼むこともできない
かといって、大津屋の周りにだけ配置すると目立ってバレてしまう。。
ギリギリの人員で目を光らせ、やるしかないのさ〜

 浪人たちが碑文谷の家に溜まっていることを突き止めたんで、そちらにも張り込ませなきゃならんし。
でも、この浪人たちは和助やその手下たちを始末するために惣七が雇った連中だから、見張っててもアレなんだよね〜
この浪人たちの存在が鬼の平蔵の判断をも惑わす結果になってしまった。

 その後、消えたおみねが広尾で店を出しており、時々繋ぎの鎌太郎が現れていることも突き止めたんで、そちらにも見張りを付けたんだけど、それ以上の動きはなし。

 年も押し迫り、じりじりしている惣七に呼び出された和助がやっと押し込みの日が元旦の夜であると伝えたことから、浪人たちが呼び寄せられました。
で、浪人たちが動き出したのに気づいた猫どのが後をつけたんだけど、慣れないからもんだからすぐに見失っちまった!
押し込みの日にちが迫っているのは確か。
なのに相変わらず和助には動きがない。大津屋の周りにもおかしなヤツがうろついている気配もない。

 そんな中、平蔵には別の葛藤も生まれております。
いつになくため息をついている平蔵を久栄(多岐川裕美)も心配しておりますョ。
「泥鰌に恨み言でもおありですか?」
「あるのはかつての恩だ。
その泥鰌が盗みを働こうとしている。俺はその恩ある泥鰌をこの手で捕えなくっちゃならねぇ・・・
だが、それが俺の務めだ」平蔵

 きっぱりと言ってくれたよ。
誰よりも情に厚いが、決して情に流されない。それが鬼の平蔵。
火付盗賊改方長官として、しっかり泥鰌の和助と向き合う決意ができたようです。

 大晦日になり、孫吉たちの墓参りをすませた和助はついに姿を消した。
元旦になり、おみねも消えた。
でも、見失っていた浪人たちが亀戸の荒れ寺近くのあばら家に終結しているという情報を掴みました。
お盗めの日は一両日中!
とにかく、浪人たちから目を離さないようにせねば!

 平蔵は大津屋と亀戸の中間地点にある本所の五鉄で、同心たちからの報告を待っております。
が、その頃、和助たちは同じ本所の堅川から船を使って移動し、大津屋へと忍び込んでいた。
和助の盗み細工のおかげで物音ひとつ立てずに侵入することに成功。
金蔵にまっしぐらの惣七に対して、和助は金には見向きもせず商人にとって命より大事と言われている顧客台帳や仕入帳などの書類関係を全て持ち去り、川に捨ててしまいました。

 その頃、粂八(蟹江敬三)が、かつて大津屋が大規模な改築を行った時、和助が現場で働いていたという情報を掴み、平蔵に報告にきました。
やっと繋がった!やはり大津屋しかない。
お盗めを終えた和助たちは亀戸に向かっているはず。
平蔵もすぐに同心たちとともに亀戸に向かったけど、すでに浪人たちによる殺戮が始まっていた!
徳次郎を逃がそうとした和助も斬られ、平蔵が着いた時には虫の息じゃった。
惣七とその手下は捕縛され、逃げた徳次郎は自分を騙したおみねを殺そうとしていたところを、おみね共々捕まりました。

 和助は役宅に運ばれ、すぐに手当てを施されました。
目を覚ました和助に、平蔵はやっと正体を明かしましたぞ。
「あんた・・?本所の銕」和助
「ほうよ」平蔵
「この屋敷は・・・?」和助
「火付盗賊改方長谷川平蔵の役宅だよお」平蔵
「・・・・・私の目に狂いはなかった。大物になんなすったんだねぇ。
あの本所の銕が鬼の平蔵とは・・・」

 和助はすべてを素直に白状しました。
15年前、いずれ使おうと思って大津屋に盗み細工を施しておいたこと、でも、その後、磯太郎が奉公することになり諦めた事、息子の死後、仇を討つために押し込むことにしたこと。

「死んだら、倅のそばで埋めてもらいてぇ」和助
「うんにゃ、死なせやしねぇよ。生かして、泥鰌の和助を、この俺が召し捕るんでえ!」平蔵
「本所の銕に捕まるんなら本望だが、そう・・・うまくいきますかねぇ」和助
「いや、死ぬには早ぇえ、死ぬにはまだ早ぇえよお」平蔵
「徳次郎はどうなりますかねぇ」和助
「そいつは案ずるな、俺がいいように」平蔵
「お前さんの手、握らしてくれ・・・」和助

 しっかりと握った和助の手の上に重ねられた平蔵の手が励ますようにいつまでも動いていました。
平蔵に見守られ、二日後に和助は息を引き取り、亡骸は望んだ通りに息子の隣に葬られました。
命を賭けて息子の仇を討った、この盗賊のことを平蔵は決して忘れることはないでしょう。

『大津屋に2千両は戻ってきたものの、2年後には身代を傾けたという。
蔵の中の書類書付を盗人に持ち出されたのが響いたと噂された。
後日、それを聞いた平蔵は和助らしく年月をかけた仇討をしたのだと思った』

 全体的に平板な印象はあるけど、正月早々「鬼平犯科帳」の世界に浸れただけでいいのです。
長谷川平蔵様、そして同心や密偵達が変わらずに(そりゃ、昔に比べたら老けたけどさ。それに相模の彦十も、またいなくなっちゃったし)いてくれるだけで、そしてラストに「インスピレイション」が流れれば、満足っス。
また、いつかお会いしたい・・・・

usagi
うーーーコレの記事を書こうと決めていたのに、昨夜は寅さんを見ながら8時頃寝ちゃうし、今朝見た後、もたもたと記事を書き始めたけど、ほぼ書き上げた段階で記事消失という大打撃をくらい、めまいが・・・
正月早々、久しぶりに気が狂いそうになったわーーー<(゚ロ゚;)>ノォオオオオオ!!
これもブログを続ける決心をした私に神から与えられた試練でしょうか・・・ならば、受けます・・( ̄∇ ̄;) ハハハー