これはバカでお調子者だけど、本物の愛情を持った父とそんな父親に愛された息子の物語。
ちょっと寅さんをも連想させるような、しょうがないねぇといいつつも見守りたい男ヤスこと市川安男(内野聖陽)とヤスを丸ごと大きな愛情で包んだ妻の美佐子(常盤貴子)、この二人の生活から始まりましたョ〜

 ヤスは天ヶ崎通運に勤めているトラックの運転手。
母親は生まれてすぐに死別、父親とは生き別れらしい。
美佐子と結婚して3年。妊娠中の美佐子はそろそろ臨月を迎えるところ。
安産祈願のために、大好きな酒と賭博を断ち、仲間からの誘いを必死に断っております。

 家庭を持ち、恋女房の美佐子は観音様のようにヤスを思ってくれている。
ヤスは間違いなく「幸せ」だった。
けど・・・・仕事を終えても、まっすぐに家には帰れない。
ヤスの幼馴染で姉のような存在のたえ子(麻生祐未)がやっている居酒屋「夕なぎ」に寄ってしまうのでした。

「はぁ〜何で まっすぐ家帰んないかな」照雲(野村宏伸)(薬師院の跡取り息子でヤスの幼なじみ)
「照れてんでしょ。ウチに帰って、美佐子ちゃんがいることにも照れてるし、結婚して、旦那になった自分にも照れてるの。こんな俺が家庭なんか持って、ウヒャーって勝手になってるのよ」たえ子

 ポストの宛名のところに、二人並んでいる名前を見ても照れてしまう。
そんな幸せに慣れないヤスだったけど、足音を聞き分け笑顔で出迎えてくれる美佐子を見るだけで泣いてしまいそうになるほど嬉しかった。

 テーブルに一杯に並べた心づくしの手料理、それを見るだけで、わたしゃ泣けちまったよ。
幼い頃両親を事故で亡くした美佐子は、家族を持って、テーブルにおかずを山ほど並べて一緒に食べるのが夢だったそうな。
いつも乱暴な口調のヤスだけど誰よりも情に厚くて優しい男だってことを美佐子はちゃんとわかっている。
ヤスは気づいていないけど、寝ている間に伸びている足の爪を切ってあげている美佐子も幸せで輝いておりました。
とんび (角川文庫)
 ヤスが働いている職場もだけど、ご近所さんも暖かくて有難いよね。
ヤスの両親のお墓詣りに行った後、急に産気づき病院に運ばれた美佐子を、みんなが心配し駆けつけてくれました。
で、手術室の隣に集合し、照運の読経で安産祈願を始めましたぞ。
「幸せな子だね、この子は」医師

 そのおかげか美佐子は早産ではあったけれど、無事元気な男の子を出産。
一同に万歳三唱で迎えられ、予定通り小林旭からとって、旭と名付けられました。

「抱っこしてやってください、お父さん。お父さん」美佐子
「おう・・・・・・ちっこいな」ヤス
「早く生まれたから小さいって」美佐子
「大丈夫。チンコはでかいぞ」ヤス
「はい」美佐子
「でかいぞ、お母さん」ヤス
「はい」美佐子
親になれた喜びを噛みしめあう二人なのでした(´;ω;`)

 その夜は「夕なぎ」で祝賀会が開かれ、ヤスも久々に思いっきり飲みました。
いつもは封印している美佐子愛爆発で朝まで過ごしましたよん。
お勘定はたえ子からのお祝い。
「生まれてすぐお母さんと死に別れて、物心つかないうちにお父さんと生き別れたやっちゃんと、
五つのときに両親を事故で亡くした美佐子ちゃんと、そんな二人が親になった日にね、
お金なんかとったら、飲み屋の女将やる資格ないよ、ねえちゃん」たえ子
「じゃあ・・・世話になるよ。ありがとな、たえ子ねえちゃん」ヤス
「あっ、やっちゃん・・・・・おめでとう」たえ子
「おう」ヤス

 本当の姉のようなたえ子の存在にほっとする。
ヤスもたえ子には甘えることができるようですな。

 病院には照雲の妻幸恵(加藤貴子)が準備を整え、世話をしにきてくれました。
そんな幸恵に美佐子は御利益のあった子宝祈願のお札を差出し、幸恵も受取ってくれました。

 さて、その後のヤスの親バカぶりは常にご近所さんの噂に上っております。
旭(五十嵐陽向)が風邪で熱を出した時は医者を3人も引っ張って来て、一番最初に熱を下げた医者に倍払うと言ったとか、お風呂場でつかまり立ちした旭に狂喜して、女湯に飛び込み「立った!立った!」と叫んだとか・・・

 3人で海に行きお弁当を食べていると、旭がきちんと箸を使っているのを発見!
美佐子共々大喜びで写真を撮っておりました。
ヤスの「こっち見なくていい。自然な感じで撮るから食っとけ」って言葉が、なんか懐かしかったなぁ。
そして車を買おうと言い出したヤスに対する美佐子の「贅沢ですよ。身の丈、身の丈」という言葉。
いい言葉だと思います。

 靴ひもの結び方を教える美佐子と一生懸命結ぼうとする息子、それを見守る父親としての自分・・・
ヤスったら、幸せすぎて泣けてきてやがる。
「おとしゃん、寒いのぉ?」旭
「・・・・ポカポカじゃっ!! ボケ!」ヤス
「アハハッ」旭
カメラを持つ手が震えて・・・ボケボケになっちゃったよう・・・(ノ∀;`)

 さて、幸せな日々の中にも、たまにはケンカがあります。
休みの日に家族で動物園に行こうとしたけれど、雨で中止。旭が朝からぐずっております。
ヤスが一生懸命なだめても収まらない。
さらに、美佐子が炊飯器の電源を入れ忘れた事から夫婦喧嘩勃発。
ヤスは会社に行ってしまいました。

 でも、その後、お弁当を作った美佐子が旭とやって来て仲直り。
謝らない美佐子にびっくりしながらも「ヤスさんなら 謝らなくても許してくれるって思ってるんです。安心しきってるんです。私、いつの間に こんな幸せな女になったんでしょう」という言葉にドキューン!とやられるヤスなのでした。

 ホント、美佐子はいい女房だよ。
ヤスは会社から人手不足で長距離トラック運転手の仕事に戻ってくれって頼まれていたんだけど、留守番をする美佐子たちの事が心配で保留にしていた。
でも、美佐子は実はヤスが長距離の仕事が好きなことがわかっているし、世話になった長距離のみんなへの恩返しがしたくて受け入れていた。
さらに、トラックを買って独立して家族で日本全国を回ろうというとんでもないヤスの提案にも大賛成。
そんな美佐子に力を得たヤスはますますがんばろう!って燃えてきたさ。

 ところが・・・・・旭がお父しゃんにタオルを届けようとしたら・・・積荷に引っ掛かりズサンに積んであったせいで崩れ、旭をかばって下敷きになった美佐子が亡くなってしまった・・・・
突然のできごとに、ヤスも呆然とするばかり。

 葬儀の後、「夕なぎ」にいるヤスの元に弟分の葛原(音尾琢真)荷を積んだ山崎を連れてきました。
土下座して謝る山崎に、ヤスは言ったさ。
「元はといえば・・・・休みの日に会社行った俺が悪かったんだよ。
なーんで行っちゃったかっていうとよ、あいつとケンカしたからだ。
何でケンカしたかっていうとよ、朝ご飯、パンでいいって言わなかったからだ。
何でいいって言わなかったかっていうと、機嫌が悪かったからだ。
何で機嫌が悪かったかってぇと・・・・・雨が降ってたからだ。
雨…雨…雨・・・雨が悪いんだよ!あいつは雨に殺されたんだ!
あいつが死んだのはお前のせいじゃねぇ!雨のせいだ!」
「うううううっ・・・ぐぐぐ・・・」山崎
「山崎 飲もう!あいつは、人が物食ってんの見んの大好きだったんだ。これ全部飲もう!」
「ありがとう・・・ございます」山崎

「いいのかなあ、これで」照雲
「よかないわよ。やっちゃん、ちゃんと悲しめないようになっちゃった」たえ子

 その頃、旭は薬師院に預けられておりました。
まだ「死」を理解できない旭に和尚の海雲(柄本明)は話しました。
「死ぬっていうのは、別のおウチに行くことだって、偉い人は言うとるけどな」
「どこにあるの? そのおウチ」旭
「どこかにはあるんだけど、どこにあるか分からないんだ」海雲
「見つけた人、いないの?」旭
「もちろんいるさ。だけどな、人によって住んでるところが違うのがややこしいところでな、ホラ、旭の住んでるおウチと和尚のウチは違うだろ?この辺にいる人もいれば、空の向こうにいる人も、お墓に住んでる人もいるんだ。海や山に住んでる人もいる」海雲
「じゃあ、僕探す。おかしゃんのおウチ!」旭
「うん、見つけたら教えてくれよ」海雲
「うん!」旭

 一人アパートに戻ったヤスは、美佐子が居ないことに耐えられず、美佐子の持ち物すべてを処分しはじめたよ・・・
遺影すら残さず、ごみ袋に入れてしまいました。
泣いたって美佐子は戻ってこない。寂しくて生きていられないけど、それでも生きていかなきゃならない。
あの思い出のカメラも処分して新しいものに買い替えました。

 旭と二人の生活が始まりました。
ヤスがカラ元気で頑張ってるのを周りはわかっていたけど、見守るしかないやね・・
仕事の間、旭はたえ子の元や薬師院で預かってもらいました。
旭は事故の後、目覚めたら美佐子がいなくなっていたんで、和尚の話どおり、お母しゃんはどこか別のところで暮らしていると思っていますぞ。

 美佐子がにぎやかにしてくれていた食卓も、今は2皿だけ。
自分のせいで母が出て行ったのではと心を痛める旭に「自分に愛想を尽かした」としか言えやしない・・
お母さんと手を繋いでいるよその子を寂しそうに見ている旭のことが切ないけど・・・ヤスだって美佐子のいない日々を未だに受け入れられずにいる。

 そんなある日、古いカメラを売ったカメラ屋からフィルムに残っていた美佐子の写真が届きました。
カメラの調子が悪くなり、直そうといじっているうちに撮れた写真に普段着の美佐子の笑顔がありました。
押さえてたもんがあふれちゃったョ・・・
煙草を買いに夜中に外に出たヤスはつぶやくのでした。

「もう・・・いないんだよな・・・お前。
お前いなくなってから大変だよ。飯も作んなきゃなんねぇしよ。
家のことも、旭の送り迎えもしなきゃなんねえしよ。
爪もよ、自分で切んなきゃなんねえし。じじいも適当なこと言いやがるからよ、旭、お前のこと探しちまって、いいかげんごまかしきんねぇよ。戻ってきてくれよ、美佐子。
俺、頭悪いからよ・・・分かんねぇよ・・・父親とか・・・これから、どうしてやってったらいいか全然分かんねえよ・・・」

 その頃、目を覚ました旭はお父しゃんを捜して泣いているよーーー!
それでも、旭の待つ家に戻ったヤスを、旭が美佐子のように扉を開けて迎えてくれました。
「どこ行ってたの!どこ行ってたんだよ〜!」旭
「おかしゃん、探しに行ってたんだ。ごめんな。ごめんな。
旭、おとしゃんも悪かったけどよ、鍵かけてあっただろ、変なヤツが来るかもしんねえんだから、勝手に開けちゃダメだろ」ヤス
「分かるよ『ダン! どん、ダン!どん、ダーン! は、おとしゃんだよ」旭
「・・・・・・(美佐子の言葉を思いだしとります)」ヤス
「おとしゃん?寒いの?」旭
「ポカポカしとるんじゃ!
見つけたぞ!旭、見つけたぞ、おかしゃんの家。おかしゃんは、ここにいる。お前の中にいる。おかしゃん、ここにいんだ!」ヤス
 
 いや〜もう、旭役の五十嵐陽向君の素朴な子供らしさにやられましたよ。
そして、エピソードのつなぎ方と見せ方がすばらしい。
爪が伸びないと病気を心配していたヤスが、旭が生まれて爪を切っている美佐子の姿を見て、初めて彼女が切っていてくれたこと、その愛情を再確認する場面。
そして、爪が伸びている足を見て、彼女の不在と悲しみを感じる場面。

 足音で玄関から出てきた旭を見て、美佐子の思いがしっかり残っている事、その愛が消えることはないことを知るヤス・・・
「ぽっかぽかじゃ!」という涙まじりの喜びのセリフ。

 そして、美佐子の内職で使われていた色とりどりの玉。
ヤスによって吹き上げられた美しい玉が飛んでいく様は、ヤスの父親としてのいろいろな愛情の形のように見えました。
大人になった旭(佐藤健)が、それを思いだし、付録の企画を出したら大成功。
旭と父親の繋がりを鮮やかに魅せてくれたと思います。

 原作もすばらしいんでしょうが、ドラマとして気持ちよく浸れるように作ってくれましたよね。
スタッフとキャストのみなさんのこのドラマに対する熱い思いが伝わってきました。
この親子がどんなふうに生きてきたのか、見守らずにはいられません。
もちろん視聴決定さぁ・・・(T┏_┓T)

 さて、出版社の小学生向け雑誌の付録の企画を考えている旭ですが・・・
保育所に迎えに行く姿に、ヤスと同じように奥さん亡くなっちゃったのかしら?妻が短命の一族?って思っちゃったけど、職場の先輩のお子さんのようです。
ヤスの父親としての思いはどんなふうに旭に受け継がれているのか・・・次回の展開が楽しみですぞ。

 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第7話 第8話
 第9話 最終話

こたつ
何度も泣かされちまったよぉ・・・
てか、やっぱりNHK版も見たかったなぁ・・・
でも、NHK版を見ていたら、つい比較してここまで浸れなかったかもなぁ・・