「はらちゃん!」
「はい」
「ずっと、一緒に いましょうね」
「はい!」

 はらちゃんの涙・・・
それは越前さんが自分の世界にきてくれた喜びと、越前さんのいた世界が幸せなものではなかったことへの悲しみ。
越前さんの世界では、全員が幸せにはなれない。
あの世界での絶望が、越前さんをこちらの世界に来させてしまった。

 はらちゃんの涙は複雑になった。
漫画の世界から飛び出し、神様の世界に行き、たくさんの喜びと幸せ、そして悲しみと怒りも知った。
はらちゃんは涙を流さずにはいられない。越前さんのために、そしてあの世界のために。

 さて、はらちゃんと仲間たちの越前家での暮らしは続いております。
この、素朴な疑問を突き付け続ける奴らはなんなのか・・ひろし(菅田将暉)は宇宙人ってことにしたようです。
秀子(白石加代子)は・・・・・
「何、言ってんの。はらちゃん達は あれでしょう?漫画から出て来たんでしょ?ねぇ?」
普通に受け入れちゃってますo( ̄ー ̄;) このお母さんも不思議だ・・・

 パートの長沼さんたちが戻ってきたので、もうはらちゃんたちの仕事はなくなり・・・
越前さんから、「本日は自由行動」という決定がなされましたが、みんなふなまる水産のそばで遊んでおります。
なんか、神様と言うよりも越前さんはお母さんって感じなのかね。
「不安」や「恐怖」の存在を知ってしまった彼らは、お母さんのそばにいたい幼児のよう。

 で、男子達は、ユキ姉に「この世界」の怖さを教えるのでした。
「この世界、怖い所だぞ」笑いおじさん(甲本雅裕)
「怖いっスよ、この世界は。だってですよ、大きな車みたいな空を飛ぶものが大勢の人を殺したり・・・戦争というものらしいです」マキヒロ(賀来賢人)
「それに、この世界の人達は、かわいい犬くんや動物を閉じ込めてしまったりもするんです」あっくん(清水優)
「この世界には、おいしいものをたくさん食べられる人と全然食べられない人がいるんだ。おかしくないか?」笑いおじさん
「この世界の人は、食べないと死んでしまうのに、みんなで分けないんだよ。何でだよ?」たまちゃん(光石研)
「どう思いますか? ユキ姉」はらちゃん(長瀬智)
「はらちゃんは?」ユキ姉(奥貫薫)
泣くな、はらちゃん シナリオBOOK「泣くな、はらちゃん」オリジナル・サウンドトラックリリック(初回限定盤)(DVD付)

「分かりません。でも、黙ってようって男達で話し合って決めたんです。
だって、せっかく私達の神様、越前さんだって、ああいうふうに言ってくれてるわけだし、神様だって自分の世界を悪く言われたら嫌じゃないですか」はらちゃん
「まぁね・・・」ユキ姉
「僕は何だか 自分の世界に帰りたくなりました」あっくん
「そんな・・・やめましょうよ。私達は、この世界のこと知らないことだらけじゃないですか」は
「だって・・・」あっくん
「確かに この世界には私達には分からないことがたくさんあるけど・・・・。
でも、素晴らしい所です。私は、この世界の人間になりたいです」はらちゃん

 はらちゃん達が感じる疑問や不安、憤りは世界を知った子供が持つ当たり前の感情・・・
でも、時とともに、いつしか人はその思いを封じ込めて生きていく。
ある者は見なかったことにして、またある者は都合のいい解釈をすることによって、この世界を直視する苦痛から逃れようとする。
そうしなければ、苦しすぎるから。

 子供のように純真なはらちゃん達の存在は人を不安にさせる。
その純真でまっしろな世界は長く続かないとわかっているから。その痛みが訪れる瞬間が怖いのかもしれない。
田中君も心配しております。

「僕ね、子供の頃こういう話好きだったんですよ。
ホラ、夜人間が寝た後、人形とか、おもちゃが動いたり話したりとかしてあるじゃないですか?
で、実は生きてました、みたいな。
僕、本気で信じてて、夜寝たふりしてじっと見てたりとかして・・・
あの・・・・・何か、嫌な気持にさせたら、アレなんですけど、そういう話の終わりは大抵元に戻るんです。
僕らに大切なことを教えてくれたりとかして、彼らは去って行く。
大抵、そういう終わりなんですよ。
ずっと幸せに暮らしましたっていうのは、あんまりないっていうか、無理っていうか・・・・」田中君
「何で無理なの?」清美(忽那汐里)
「いや、何でって僕に聞かれても分からないですけど・・・・
多分、僕らにとっての世界がここであるように、彼らにとっての世界は別にあって、彼らにとっての幸せは・・・
すいません、余計なこと・・・」田中君
「いえ・・・」越前さん

 でも、田中君が心配していたのは、はらちゃんたちよりも、こちらの世界の清美や越前さんのことでした。
素朴な彼の思いは、またしても清美の心を揺らしておりますョ〜
「何なのよ、バカ・・・何で、また、こんな気持にさせるのよ! バ〜カ!」清美

 そして百合子さんは、この町を出ていく決心をして、高台から別れを惜しんでおりました。
「いい町だよね、小さくて平和で」百合子(薬師丸ひろ子)
「まぁ、小さいから平和でいられるのかもしれないけどね。世界は大きくなり過ぎなんだよ、きっと」警官(小松和重)
「へぇ〜、何、ちょっといいこと言ってんの」百合子
「たまにはね。ふふっ」警官
「よろしく頼むよ この町を」百合子

 それを知った越前さんは、百合子を呼び戻そうと工場を飛び出しました。
ちょうど、子供たちから徒競走を教えてもらっていたはらちゃん達も一緒に走りだしましたぞ〜

 岡田さんって、こういう緩急のつけかたがすごくうまい。
視聴者が根をつめすぎないように、ちゃんとほっとできる部分を自然に作って、コントロールしてくれる。

 競争の途中で、越前さんから走っている理由の説明がありましたぞ。
「百合子さんが、どこかへ行ってしまうかもしれないの」
「それは大変です。捜さないと!」はらちゃん
「ほっときな。アイツはさ、私達を殺したんだよ」ユキ姉
「いや、それは・・・」越前さん
「ユキ姉、それは違います」はらちゃん
「何が?」
「百合子さんは越前さんの神様。つまり、神様の神様なんです。
百合子さんは私達のお母さんなんです。
百合子さんが私達を生んでくれたんです。母、またの名をお母さんです。ねっ 越前さん」はらちゃん
「えっ? はい、そうです」越前さん

「はぁ・・・しょうがないなぁ。すぐ逃げるんだよ、あの人は。
ダメな神様なんだ。世話が焼けるよ、ホントに・・・で、どこにいるの?」ユキ姉
「あっ、あっちです」越前さん
「行きましょう!」はらちゃん

 その後、多少追いかけっこはありましたが、百合子と再会。
全力疾走の疲労感で何も言えない越前さんの代わりに、ユキ姉が言ってくれましたョ〜
「あなたには私達をつくり出した責任があるのよ。神様の神様なんだから。
逃げないでよ。ちゃんと見届けなさいよ!私達のこと」

 まさか自分の創ったキャラクターに叱咤激励されるとは・・・
「許してくれるわけないって思ったからさ・・・私、あなた達を一度 殺したんだし・・・」百合子
「誰が許さないって言ったのよ。覚えてるのは私だけだけど・・・
私は、あなたが神様で幸せだったわよ。居酒屋だけじゃなくて、いろんな場所を描いてくれたし・・・」ユキ姉
「ん?」みなさん
「漫画の絵だって、ずっと上手だったし・・・」ユキ姉
「ん?」みなさん
「同じことばっかりじゃなくて、いろんなこと喋れたし・・・いろんな服だって着れたしさ」
「そ・・・そうだったんですね・・・(´∀`;)」あっくん

「好きだったわよ、あなたが創る世界。もう、そこに戻れないのは分かってるから。
今の神様は・・・越前さんだからね」ユキ姉
「・・・・・・(ノ∀`;)」越前さん
「まぁ、アレだよ。神様の神様。今の神様を、よろしく頼むよ」笑いおじさん
「頼りないんすよね。雑なんスよ、いろいろ」マキヒロ
「そうなんですよ。広がりがないっていうか・・・」あっくん
「まぁ、力不足だな・・・」笑いおじさん
「俺は、まぁ、いろいろあるけど、今日はいいや」たまちゃん

 みんな!神様を思いっきり傷つけてるぞ・・ヾ( ̄o ̄;)
「どうも すみませんでした」越前さん
「私は越前さんが大好きなので」はらちゃん
「うるさいです、もう遅い!」
「ねぇ・・・・いなくならないでよ」ユキ姉
「優しいんだね、ユキ姉は・・・」百合子

 百合子さんは、留まることにしたようです。
「ありがとね、越前さん。私の漫画をあなたが好きでいてくれてホントによかった。いい神様だよ、あなたは」百合子
「えっ? 何か不満だらけみたいですけど・・・」越前さん
「それくらいがいいんだよ。私のはさクオリティーが高過ぎてたから、こっちが追い詰められてしまった。
緩いくらいで、ちょうどいいんだよ、世界は。不満があるぐらいのほうがさ」百合子
「はあ・・・」 
百合子さんも微妙に越前さんを傷つけてるぞ。

「大丈夫? 越前さん。不安なんでしょ?このまま、はらちゃん達をこの世界に とどめておくの。
あんなに真っすぐで汚れてないのに変わってしまうかもしれないもんね。この世界の現実に染まって・・・
ホラ、映画やアニメだったら『幸せに暮らしました。ハイ、 ハッピーエンド』・・・って終われるけどさ、
人は、ハッピーエンドの後も生き続けて行かなきゃならないから。大変なのはハッピーエンドの後なのにね」百合子

 そうなんだよね・・・幸せのままで時間を止めておけたらいいけど、そうはいかない。
それが、はらちゃん達に通じるかどうか・・・

 翌日、はらちゃん達が捨てられていたボールでサッカーを楽しんでいると、ボールが良からぬ雰囲気のおにいちゃんを直撃してしまい・・・
怒りと悪意を露わに近づいてきたあんちゃん達にはらちゃんらはボコボコにされてしまいました。

 騒ぎを聞きつけ、助けに入った田中君や越前さんの声も聞かず、暴力をふるいつづける男たち・・・
その力は、はらちゃん達を守るため立ち向かって行った越前さんにも容赦なく向けられ・・・
そこには、ニュース映像で見たのと同じような、理不尽で残酷な世界が広がっていました。

 はらちゃんの心に、男たちに対するどすぐろい怒りと憎しみが湧き上がり・・・
気が付くと、はらちゃんは、さらに強い暴力で男たちをぶちのめしていました。
「何でですか?これが、この世界ですか?!」
はらちゃんは殴り続けました。田中君と越前さんが止めなければ、なぐり殺していたかもしれません。

「ごめんなさい。ごめんなさい、はらちゃん・・・
はらちゃん・・・ごめんなさい。こんな世界で、ごめんなさい・・・
ごめんなさい・・・みんな、ごめんなさい・・・」越前さん

 自分には理解できないと思っていた、この世界の闇黒面、それが自分の中にも生まれ、人に向けてしまったことを、誰よりはらちゃん自身がショックを受けていました。
はらちゃんは、この世界で、そんな恐ろしい出来事が繰り返されてしまうことも理解したでしょう。
他のみんなも、このできごとにすっかりうちのめされ、そして、はらちゃんを変えてしまったこの世界に底知れぬ恐怖を抱きました。

「痛いです。心が・・・とても痛いです。
越前さん・・・・どうか・・・私を嫌いにならないでください。嫌いにならないでください」はらちゃん
「なるわけないです。なるわけないです!」越前さん

「僕は・・・・僕は・・帰りたいです」あっくん
「あっくん・・・・」マキヒロ
「帰りたい!・・・・自分の世界に帰りたいです!帰りたい・・・」あっくん
「それもいいかもな」たまちゃん
「ああ。別の世界ってのは、あるんだろうな〜って考えてるぐらいが楽しいのかもな・・」笑いおじさん
「ああ。不満はどこにいても あるんだろうしな」たまちゃん
「ああ・・」笑いおじさん
「マキヒロは、どうなんですか?」あっくん

 一瞬、清美のことを見たけど、マキヒロにとって、清美はこの世界に留まる理由にはなりえなかったようです。
「あっくんとは、ずっと仲間っスよ」マキヒロ
「それが・・・・いいのかもね・・・」ユキ姉
越前さんは、まっすぐにはらちゃんを見つめていました。
「私は・・・・私は・・・越前さん・・・・」はらちゃん

 苦しむはらちゃんを見た越前さんは、ロッカーからノートを取りだし、封印を剥しました。
これ以上はらちゃんを苦しめたくない。
なにより、はらちゃんには今のままでいて欲しい。これ以上、この世界のみにくさを知って欲しくない。
はらちゃんの事が大切だから、漫画の世界に帰って欲しい。

 越前さんは笑顔でした。
「はらちゃん。私達は両思いです」
「・・・・・・・(涙)・・・・」はらちゃん
「ほら! 泣くな、はらちゃん」越前さん
越前さんがノートを開くと・・・みんなは笑顔になって・・・・帰っていきました
漫画の世界では、はらちゃん達が幸せそうに、乾杯をしていました。

 越前家は、すぐに前の生活に戻りました。
でも、越前さんには、はらちゃん達のいないこの世界、彼らを留めておけなかったこの世界が遠く感じる。
現実感がない。

 越前さんは漫画ノートを広げると、はらちゃん達を描いた後、自分自身を描きこみ・・・その世界へと入っていきました。
百合子さんが駆け付けた時、越前さんの姿は消えていました。
「あれ〜ねえちゃん?」ひろし
漫画ノートの中で、越前さんは幸せそうに笑っていました。
「いい笑顔だわ〜あの子!」秀子
「・・・・・・・・」百合子

 はらちゃん達と一緒にいたい思いもあったけれど、越前さんは純粋なはらちゃん達を失望させた、
そして、はらちゃん達を留めておけなかった、この世界に絶望したんだと思います。
でも、越前さんは帰らなければなりません。
越前さんが本当に「生きる」ために。
むこうの世界で越前さんが苦しみながら、そして喜びも感じながら、自分と戦いながら生き続けることが、はらちゃん達を守ることに繋がる。
そして越前さんを待っている人たちのためにも。
そのことを、あの世界で生きることが許されなかった存在であるはらちゃんは知っていると思うのです。

 第1話 あなたが笑えば、世界は輝くんです!
 第2話 恋したけど片思い
 第3話 両思いになる方法
 第4話 涙のバレンタイン
 第5話 もう会えないの?
 第6話 家族になりましょ
 第7話 ずっと一緒
 第8話 神様のナゾの真相
 最終話 私の世界

こたつ
はらちゃんと越前さんが一緒になるには2次元の壁が立ちはだかると思ったけど、あっさり超えてしまった。
さすが岡田恵和さんです。
こんな展開は想像していませんでした。
でも、別々の世界に生きる二人が納得して生きていくには、この道しかないでしょう。
最終回、どんな残酷な結末でも、わたしゃ、受け入れるよ。