「ハアーーーイ!!
呼ばれてないのに、ジャジャジャジャーーン!」


 解散寸前の沼田家に舞い戻ってきた吉本荒野・・
したたかで、ずる賢そうで、強靭な精神力を感じさせるその笑顔。
そこには、自分の保身のために真田宗多を突き放した田子雄大の姿はない。
彼は自分自身を破壊して・・・・生まれかわったのだ。

 吉本(櫻井翔)が去った後、崩壊した沼田家の人々は・・・家の中にいる他の人間を意識しながら、自分の世界に籠っていた。
そして、慎一(神木隆之介)以外は「吉本」の「不在」を感じ、無意識のうちに彼の意志を感じようとしていた。

 佳代子(鈴木保奈美)は無言で家を去り、一茂(板尾創路)は就職活動を開始。
茂之(浦上晟周)も学校に通い始めた。
だが、一茂は相変わらず現在の自分の状況を直視しようとせず高望みの仕事を求め、ハローワークの職員に呆れられていることにも気づかない。
茂之は友人達の山尾へのいじめが続いていたことを目の当たりにするが、何もできない。
慎一は・・・・人生が狂ったのはすべて吉本のせいだと、彼への憎しみを募らせていた。

『幼い頃から優等生を演じていた。
すべては親の期待に応えるためだった。
文武両道。
仲間に信頼され、かわいい彼女もいて、いつのまにか俺自身も本当の自分を見失っていた。

そんな時だった。吉本荒野に出会ったのは・・・・
吉本は最初から俺の本性を見抜いていた。
とにかくあいつの存在が鬱陶しかった。
俺は吉本を辞めさせるために人殺しの過去を暴いたが、家族は俺より吉本を選んだ。
唯一信じていた立花真紀も吉本とグルだった。
吉本はさんざん弄んだあげく、まるで遊びあきたおもちゃのように、俺たち家族を捨てて姿を消した。

残された俺たちは互いの責任をなすりつけて、文字通り、崩壊していった。
俺は高校を辞めて、怠惰な日々を過ごしていた。
こんなはずじゃなかった。あいつがいなければ俺は東大目指して頑張ってたんだ。
あいつがすべてを奪ったんだ。すべてを。あいつが』

 慎一の中には自分の生き方への疑問と苦痛があって、終わらせてしまいたいという欲望もあったと思うんだけど、いざ失って見ると現実を直視できない・・・
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  飛鳥(北原里英)の訪問を受けた慎一は、彼女から「吉本には吉本の考えがある。それを認めたくないだけでしょ」と言われ逆上して襲いかかってしまう。
堕ちるとこまで堕ちてしまった自分への嫌悪感と挫折感・・・
すべては吉本のせいだ。

 そんな慎一のために吉本は自分への道筋を残していきました。
ナイフを手に吉本のアパートに向かった慎一は、彼のいなくなった部屋で劇団のチラシを発見。
そこには真希(忽那汐里)が「水上沙良」という名前で載っていました。

 真希の本当の名前は水上沙良で劇団員だった。
その劇団には、DVDで田子雄大の証言をした教師たちの姿もありましたぞ。
「立花真希」も「浅海舞香」も吉本に頼まれて演じた架空のキャラでした。

 沙良は「吉本荒野」の真実を話してくれました。
自殺した真田宗多は沙良の幼馴染だった。
慎一の前に現れた「吉本荒野」は本当は「田子雄大」で、沙良達が通っていた学校の教師でした。

 8年前、本物の吉本荒野(忍成修吾)は中学校に新任したばかりの教師で、教頭の甥っ子ということもあり、人当りの良さで教師達から好意的に迎えられており、そのカッコよさで女子生徒達からも人気だった。
沙良も吉本にラブレターを送るほどだったのよね〜。

 一方、田子雄大(櫻井翔)は熱意がありながらも職員室では地味な存在だったが、沙良と宗多は彼を慕っていた。
(吉本が持っていた血のついたお守りは頼まれたものを真似て作り、宗多に贈ったものだった)

 ある日、宗多は吉本の裏の顔を目撃してしまい、それ以来彼から脅迫と暴力を受けるようになった。
同僚教師二人を従えた吉本は連日、執拗に宗多を痛めつけた。
宗多には母親がおらず、父親は連日仕事で異変にも気づかないと踏んでのことだった。
「万が一、誰かにこの傷を指摘されたら、父親に暴力振るわれてるって言え。いいな」吉本

 でも、体調の悪そうな宗多に気づいた田子が問い詰め、いじめが発覚。
「心配するな。俺が守ってやるから」田子

 田子は吉本にいじめの事実を知っている事を伝え、すぐやめるよう要求したんだけど、予想外の反応が・・・
「嫌だなぁ・・コワイ顔をして。ただのストレス解消じゃないですかぁ〜」
「もう真田には近付かないでください!」田子
「僕ばっかり悪者にしないでくださいよ。アイツだって結構楽しそうでしたよ」吉本
「あなたには真田の痛みがわからないんですか?」
「先生、僕は生まれてこのかた、挫折を知らないんです。
親の期待に応えてヒエラルキーのトップに君臨してきた。
だから、弱者の気持ちなんてわかる訳がない」吉本
「・・・・それが教育者の言うことですか・・?」

 想像力の欠落。他人は自分のために存在する。
吉本はいびつに発達した自我を持つモンスターだった。

「僕は人間を支配したいんです。
僕にとって教育とは実験なんです。
意のままに操れる人間を育てるにはどうしたらいいか。
つまり、生徒はモルモットって訳です」吉本
「本気で言ってるんですか?」田子
「冗談ですよお。わかりました。もうやりません。
丸川先生や西口先生にも言っておきますねーー!
(田子のいなくなった後)新しいモルモットが増えたって」

 田子は甘かった。
吉本荒野の恐ろしさに気づかず、これでいじめは収まると思っていた世間知らずの熱血教師きどりだった。
「何でも一人でしょいこむな。俺で良かったら、いつでも力になるから」
宗多は心からほっとしたようだった。

 だが、翌日から吉本の反撃が始まった。
校内に『田子雄大は女子生徒と性行為に及んだ』というチラシがばら撒かれた。
否定しても、ばら撒いた吉本を責めても、言葉巧みに別の嘘をばら撒かれ状況は悪くなるばかり。
「どっちの方が信頼されてるか考えてみろよ、熱血教師。
今度俺に楯ついてみろ。オマエの人生台無しにしてやるからな」吉本

 田子はすっかりビビってしまった・・・
生徒達からは今まで以上に距離を置かれ、職員室では白い目で見られ、保護者たちからも追及され責任を問われた。
田子は精神的に追い詰められ、仕事にも支障が出てくるようになった。
そんな田子を写真で撮って嬉しそうにつぶやく吉本・・・
「いいねぇ」

 そして、吉本の宗多への暴力はさらにエスカレートしていった。
耐えきれなくなった宗多が再び田子に救いを求めてきた。
「また・・・吉本先生が・・・」
「そんな訳ないだろ。きっとお前の思いすごしだよ」田子
「違います。お願いです。助けて下さい」
「問題は解決したんだよ」
「本当です。信じてください」
「・・・・少しはさ、俺の立場もわかってくれよ」
「ですよね・・迷惑かけてすいませんでした・・・ごめんなさい・・・」

 宗多から逃げるように去って行った田子を見て吉本はつぶやくのでした。
「いいねぇ・・・」

 学校という密室での吉本の悪魔ぶりは留まることがなかった。
沙良のはだかの写真を撮って、田子が女生徒と関係した証拠にしようと画策。
呼び出された沙良は、宗多を傷つけ脅迫されたため吉本に従うしかなかった。
「田子先生は社会的に抹殺されたのも当然。
教職はおろか、みじめな人生を送ることになる。ふっふっふ・・・」吉本

 事件が起こったのは翌日だった。
沙良と田子を守るため宗多が吉本からカメラを奪おうとして階段から転落させてしまった。
吉本は救急車で病院に搬送されたが意識不明の重体。
学校で緊急会議が開かれ、田子は宗多のことは言わず、吉本が足を踏み外したと伝えたんだけど
田子が突き落とした疑いをかけられてしまった。

 会議中に宗多から連絡をもらった田子は、すぐに彼のいる山奥の小屋へ向かったんだけど、なかなか場所がわからない。
その間に自分を責める宗多は生きる気力を失っていった。

「先生・・もういいよ・・僕が死ねば全部解決する・・・
僕が生きてたら、洗いざらい話さなきゃならなくなる。
そしたら・・先生や沙良ちゃんに迷惑がかかる。
嬉しかったんだ・・・先生が力になるって言ってくれた時・・すごく・・嬉しかったんだ・・」宗多
「やめてくれ・・・そんな事言わないでくれ・・・
俺はお前を・・・自分の立場を守るために・・・お前を裏切ったんだ・・・」田子

「先生は悪くないよ・・」宗多
「違うんだよ・・俺は・・お前の気持ちを踏みにじったんだ・・・
なぁ、真田、俺に謝らせてくれ。お前の前で謝らせてくれ!
だから頼む!死なないでくれ!」田子
「ありがとう。それだけで十分だよ」宗多
「やめろ・・・!やめてくれ・・・」
「今・・先生にもらったお守りを握りしめてるんだ。
このお守りにお願いしてもいいかな・・
もう二度と・・僕みたいな弱い人間が生まれませんように。
もう二度と吉本みたいな怪物が生まれませんように・・・
先生・・・僕、強くなりたかったよ・・・」
「どこにいるんだよう?!」
「先生・・・ありがとう・・さようなら・・・」
「ダメだ!だめだ!死ぬな!真田、真田!頼む、返事してくれ!返事してくれよ・・・」

 田子が宗多のいる小屋を探し当てた時には、宗多は手首を切り絶命したあとだった。
「うああああああああーーーーーーー!!」
宗多の血を浴びたおまもりを握りしめ、田子は叫び続けた。

 宗多が弱いんじゃない。
全ては吉本という怪物がしたこと。宗多は何も悪くない。
吉本の本質に気づかず、成長の過程でますます彼を増長させてしまった吉本の家族、
保身から現実を見つめず怪物に従ってしまった者たち、危険信号を感じたはずなのに気づかないフリをした者達、全員に責任がある。

 恐ろしい犯罪が発覚する度に起きる議論。
なぜ、こんな悪魔のような人間が生まれたのか。
誰が悪いのか。こんなふうになるまで誰も気づけなかったのか・・・

 もちろん生まれつきな性格異常もあるだろうけど、それ以外なら恐ろしい悪魔になるまでに何度も分岐点があったはず。
でも、彼(彼女)を人間に戻す機会を自分の都合から目をつぶってしまった大人達がいたんだと思う。
自分には関係ない。今さら遅い。社会が悪いから変えようがない。自分一人じゃどうしようもない。勇気もない。

 田子雄大もその一人だった。
でも、宗多に死を選ばせてしまった深い後悔と苦しみ、贖罪の思いが彼を変えた。
彼は田子雄大という名を捨て、「吉本荒野」になった。
自分自身の中にいる「吉本荒野」が宗多を殺してしまったことを忘れないために。
この世の中から吉本のような悪魔はいなくならない、いじめはなくならない、その事を教えるために。
こんな世界で生きていく方法を教えるために。
「吉本」の芽を見つけたら、命を賭けて気づかせ同じ過ちに向かわせない。
たとえその家族が崩壊し分解してしまったとしても。

 崩壊に向かわせた沼田家に戻ってきた田子雄大。
彼は、まだ人間を信じているんだろうか・・・
再生を信じているんだろうか・・・
「吉本荒野」として生きることにした彼の、その先を知りたいと思う。
最終回が楽しみです。

 第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話
 第7話 第8話 第10話(最終話)

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忍成君の悪魔っぷりが例によってハマりすぎていてすさまじくて、憎くてたまらないわ・・・(-_-)
もともと悪魔顔だからな〜このドラマが尾を引きそう・・・