今回はフラッシュバックする映像を挟みながら、ひたすら登り続ける姿だったけど、
その奥にあるものが見たいと感じさせてくれた第一話でした。

 でも、続きを見るのは怖い。
自分の中にある蓋をしてきた何かを引きだしてしまいそうで。
それでも、もしかしたら私が欲しかった言葉がもらえるのかもしれない。
そんな期待と不安で視聴決定デス。

 原作・角田光代、監督は「まほろ駅前便利軒」「さよなら渓谷」の大森立嗣。
脚本は「人間昆虫記」「ソラニン」「凶悪」の高橋泉。
HPはこちら

 富士登山ツアーに参加した豆田日都子(坂井真紀)は、どこまでも続く道をひたすら歩いていた。
ふと見ると、すこし離れた場所に娘のなつき(岩崎未来)が立っており、走り寄り抱きしめると彼女は消えた。
倒れこんだ日都子を心配してツアーのみんなが様子を見にきた。
 一行は彼女の他に4人。
ガイドの野澤亮一(井浦新)、近藤晋太郎(鈴木晋介)、見附あい(大西礼芳)、青山ソメノ(伊佐山ひろ子)。

 いや〜私も富士山登ったことがありますが、砂走りはキツイっすョ。
一見歩きやすそうなんだけどね、距離が長いからどこまで続くぬかるみぞ〜って感じで嫌んなるのさ〜。
あまり利用者もいないから、陽が落ちると寂しくて不安になるしさ。

 みんなそれぞれの理由でツアーに参加している。
青山はこのルート(多分御殿場ルート)で山頂からご来光を迎えると宝くじに当たると聞いたらしい。
購入した宝くじもしっかり持ってきております。
でも、18年前に亡くなり納骨していない夫の葬儀代になればいいから、当たるのは2,300万でいいそうな。
「それが私の最後の役目」

 見附は縁結び祈願。
「でもね、縁切でもあるの。考えてみれば一緒よね。
縁を切ってからじゃないと新しい縁を結べないし、
新しい縁を結べば、古い方は切れるだろうし。
すごい効き目なんだって。登った友達が言ってた。
離れられなかったDV男がさ、山を下りた次の日血を吐いて死んだって。
どす黒い血を吐いて転がってさ、真っ黒な顔に穴が空いたみたいにこっちを見てる目が合ったって」

 さりげなく言っているとこが怖いぞ。
何かランニングハイじゃないけど、歩いているうちに凝縮された思いを誰かに聞いて欲しくなるのかもね。

 近藤は病気の快復祈願らしいが・・・
10年前に奥さんが事故で亡くなり、彼女を撮った使い捨てカメラを現像に出せずにいる。
みんなの集合写真を撮った後、写真の中の奥さんの笑顔を見るのが辛いと言ってカメラを日都子に託しました。
「忘れてしまうくらいなら・・・辛い方がいいと思います」日都子

 そして日都子の脳裏には、ぐったりとした娘なつきを抱きかかえて必死で走る自分の姿が・・・
なつきは亡くなってしまったのか、それとも離れて暮らしているのか・・

 それぞれが闇を抱え、登ることで答えを見出そうとしているのでしょうか・・・
かなたの子 (文春文庫)

 冷えてきた空気の中、皆、一歩一歩黙々と進んでいく。
耳を通り過ぎる風と地を踏む足音、規則的に息を吐く音しか聞こえない。
景色がいいとそれに励まされるってのもあるけど、御殿場ルートは殺風景なんで、自然と心は自分の中へ中へと入っていくんじゃないかな。

 日都子は30年前に祖母から聞いたミイラになったお上人様のことを思いだしていた。
祖母が子供の頃、村が戦争や災害で絶えてしまいそうになり、村を救うために土中に籠った御坊様がいた。
このことは他の村の者には秘密で、村人たちは「お道行」といって、夜になると順番で寺の近くの土中にいる御坊様に声をかけ生存の確認せねばならなかった。
祖母の八重子(藤村志保)も夜中にランプを手に一人でお上人様のところへ行き、そのうめき声を聞いたことがあった。

 その後、和尚様の声が聞こえなくなり土中から出される日がきた。
八重子は和尚様のミイラがある寺へ一人で向かい、陰から中を覗いた。
和尚様のミイラは苦しげに助けを求めるように差し出されていた。
村人たちは、これじゃご利益を望めないと呆れ、失望していた。
そして和尚は過去に殺人を犯し、その罪を償うために土の中に入ったたのだと噂していた。

 霧の中を歩く一行。徐々に風が強くなってきた。

 日都子は祖母に育てられた。
30年前、小学生の頃、母は自分を祖母の元に置いて去って行った。
後ろ姿を追いかけ、何度も「お母さん!」と呼びかけたのに振り返らないまま母は消えた・・・

 疲れから皆の足取りがどんどん重くなっていく。
霧は濃くなり、空気はどんどん冷え込んできている。
何を見たのか、全員が立ち止まって上の道を見上げました。
「変な話ですが、山は生きてる者だけじゃなく死者もたくさん歩いてるんです」野澤

 その後、前を歩いていて倒れた青年・岩淵啓吾(宮崎将)が一行に加わった。
彼は元恋人・朔美(満島ひかり)の幻影を見ていました。

 日都子の心は、また30年前に戻った。
祖母からミイラの話を聞いた日都子は、知り合った子供達を連れて寺に向かい、そのミイラを見つけました。
祖母が言っていた通り、今は蜘蛛の巣に覆われているそのミイラは怯えたような顔で何かを遮るように手を差し出していました。

「人を殺めたこの男は、罪から逃れるために寺に入り、修行をし、最期は土の中に逃げ込んだ。
だけど、罪からは逃げられねぇ。
伸びた腕は自分の犯した罪から逃げようとしてるんだ。
ばあちゃんはこえぇ・・・お上人様の姿が今でもこえぇ・・・
罪から逃れる姿に自分を重ねちまうだ」八重子

 お上人様が本当に人を殺したのかどうかはわからない。
でも、罪を犯したことのない人間なんていないだろう。
むしろ、罪と向き合うことが人の道なのかもしれない。

 自分の出す荒い息遣い、杖替わりのストックが地面に刺さる音を聞きながら、
日都子もまた、自分自身の罪を見つめているのでしょう。
そして、野澤も、近藤も、見附も、青山も。
 
 登山という特殊な状況が、自然と己の心と向き合うことに繋がっている。
おもしろい設定ですね。
黙々と自分に問いかけながら歩く姿は人生そのもの。
彼らが隠し持っているものをどう見せてくれるのか、どう救いに繋がっていくのか・・・楽しみです。

 第二話 道理
 第三話 同窓会
 最終話 かなたの子
 
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