今回はツアーのみなさんと同行することになった岩渕啓吾(宮崎将)の物語。
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 流産後の不妊治療の件で妻とケンカになり家を飛び出した啓吾はつい5年前に別れた朔美(満島ひかり)に電話をして会ってしまう。

 朔美とは4年付き合い、彼女は結婚も考えていたんだけど、啓吾に好きな相手ができて一方的に別れを告げたのだった。
相手を殺して自分も死ぬと包丁を手にした彼女に「ごめん。運命に出会った。『運命の人』じゃない。
『運命』そのもの。だから俺にはどうしようもない。それが『道理』だから」と説いて泣きすがる彼女から去った。

 いやはや、そんな相手によく連絡取れるよな〜って思うけど、どうやら朔美はずっと彼を待っていたようで、
昔のように楚々とした笑顔で迎えてくれた。
さらに、昔啓吾が言っていたことを憶えていて、彼好みの女になろうと努力してきたようです。

 そんなの逆に怖いよ・・( ̄▼ ̄;)
でも、冷え切った夫婦関係で優しさに飢えていた啓吾はそんな朔美に潤いを感じ会いつづけるのさ〜

 そもそも別れるきっかけとなった女性とは、ヨガサークルを主催していた戸上佐和(鶴田真由)。
佐和はヨガの時間が終わると、啓吾に波動の図を描かせ、自分の描いたものと重ねて、
「ほとんど一緒。たったこれだけの線だけど運命かもしれない。
いい?『運命の人』じゃなくて『運命』そのものよ」と告げた。
啓吾は、すっかりその気になってしまったのさ〜

 またこの佐和がうまいのよ〜
さりげなくボディタッチして、親身な雰囲気で目をじ〜っと見つめてこんな事言われたら、
そりゃ、引き込まれちゃうさね〜
何かの会に誘おうとしたのか、自分がかぶれているものを教えようとしただけなのかよくわからないんだけど、
啓吾はこの出会いをに従うのが『道理』だと思い込んでしまった。

 どこか空虚な啓吾の目・・・
同じように空っぽだった彼の心に佐和の説く『道理』の世界が心地よく入り込んだのだろう。

 でも、佐和は別の『運命』と出会い、その人と生きていくのが『道理』だと言って、啓吾から離れていった。
そもそも、付き合ってると思っていたのは啓吾だけだったらしい。
「『道理』には逆らえないから」
そう言われたら引き下がるしかなかった。

 その後、今の妻と出会い、何となく結婚したのだった。
結婚後も普通に浮気をしていたようです。

 この啓吾という男にはこぎれいな顔以外何もない。
佐和の『道理』も人から借りてきたものだったけど、それを真に受けた啓吾の『道理』思想も一時的なものであり、佐和が消えると自然に消滅した。
かなたの子 (文春文庫)

 なのにその『道理』が朔美の中ではずっと生き続けているのを知った啓吾は怯え始めるのさ〜

「あなたが間違えなくて良かったわ」
「『道理』をわかっていないと、世界は間違った方向に進んで、そのまま閉じちゃうのね。
道理をわかってさえいれば、こうして開いていく」
「岩君に教わったんだよ、『道理』のこと。今は私の方が詳しいかもしれないけど」
「でも、良かった、岩君の子供。間違ったところに産まれなくて。全員不幸になるから。
今頃、その子正しい両親の元に生まれ元気に笑ってるから。安心するといいよ。
岩君もできるだけ早く、正しいところに戻りなね。
今のままなら、奥さんずっと流産するだけだし、うちはどんどん荒れるばかりだものね」

 朔美の口から語られる『道理』の世界・・・
それはまるで亡霊のよう。

 ここに至って啓吾は朔美から離れようとするんだけど、そんな『道理』から外れたこと朔美が許すはずない。
精神世界への誘い的なメールを連続で送ってきたり、呼び出したり、
さらに、妊娠しているエコー写真を奥さんに送り付けたり(結局、『私達別れる方が道理に叶っていると思う』という言葉と離婚届置いて妻は出ていく)、MSの前で待ち伏せしたり。

 その後、啓吾の部屋に忍び込んでいた朔美は病院に入院することになり、屋上から飛び降り自殺をしてしまった。

 啓吾が方便のために使った『道理』の種は朔美の中で絡まり合うように育ち、彼女自身を食い殺してしまった。
自分を引っ張り、朔美を追い込んだ『道理』とは何だったのか・・・
朔美を殺したのは『道理』なのか、自分なのか・・・

 さらにからっぽになってしまった啓吾はチャリティバザーの会場で出会った新しい『道理(宗教?)』に吸い寄せられ、その狂乱のような世界に身を任せていく・・・

 これはある意味無間地獄なのかも・・・
からっぽな自分に耐えられず、空洞におさまるものを貪るように求めていく。
救われるはずなのに救われない。

 朦朧とした目で山を登り続ける啓吾の姿が導かれているようなのに怖かった。
自分の意志で歩いているというよりは、歩かされているような・・・
その先には何かが待っているのか。
頂上で彼は答えを見出すことができるのでしょうか。

 第一話 巡る
 第三話 同窓会
 最終話 かなたの子

温泉
いや〜満島ひかりさんが、さすがの演技力でした。
はかなげで怖い、彼女が創り上げる狂いすぎない静かな闇に引きこまれました。
名前だけでお客さん呼べる女優さんだね〜