さぁ、ついに始まりましたよ。
三谷幸喜版「オリエント急行殺人事件」
原作も読んでますし、映画も見ています。
だからもちろん犯人は知っているけど、日本の昭和8年を舞台にしたらどうなるのか・・・
これは第一夜と第二夜がセットなので、これはまだ終わりの始まり。
とりあえず第一夜は楽しませてもらいましたョ〜。
HPはこちら


 昭和8年2月、下関港に事件を解決したばかりの探偵・勝呂武尊(すぐろたける)(野村萬斎)がいた。
彼は「特別急行東洋」で東京に帰るため下関駅に向かうところだった。
『特急東洋は、下関と東京を結ぶ日本初の寝台付き列車。皇室関係者や政府の高官も利用する最新鋭の超豪華列車』なんですってョ〜


 寝台車っていつからあったのかしら・・・
こちらの記事によると明治33年にはもうあったんだって〜
そしてこのドラマのように「富士」「さくら」という下関〜東京間を走っている豪華な寝台特急もあったんだね〜
日本ってスゴイじゃん。もちろん乗客は選ばれた人たちだったんだろうけどさ。


 さて、勝呂は下関港で、ある男女が意味ありげに話合っているのを小耳にはさんだ。
「今は駄目。今は駄目よ。全て終わってから。ちゃんと片付いたら。そしたら」女

 実は勝呂は乗車券は持っていたけど、オフシーズンにも関わらず寝台車が満席で困っていた。
そこに旧知の鉄道省役人・莫(ばく)(高橋克実)が現れ、おかげで一等車両に部屋を取ることができた。
乗車口では車掌の三木(西田敏行がお客様を迎えておりますョ〜


 以下は客室と乗客名です。緑色になっているのは原作の乗客名です。

  一等客室 

 6号室 勝呂武尊(すぐろたける)(エルキュール・ポアロ)(野村萬斎)自他ともに認める名探偵。

 なぜ「勝呂武尊」って名前になったんだろ?
「エルキュール」はギリシャ神話のヘラクレスのフランス語読みだからそのイメージ?
てか、なぜあのような喋り方なのであろう・・・( ̄∇ ̄;)
ポアロについては小柄で卵型の頭、口髭をたくわえ、もったいぶった尊大なもの言いや大げさな態度が特徴。
ベルギー出身のためフランス訛りの英語を話すが、「外国人」であることをアピールし周りを油断させているというアレもあるらしい。

 野村萬斎さんのポアロは奇妙な雰囲気と誇張された滑稽さが感じられるユニークなものだったと思う。狂言まわし的な独特のキャラを創り上げることで閉じられた空間を飽きさせず、ぐいぐい引っ張っていたんじゃないかな。


5号室 能登巌陸軍大佐(アーバスノット大佐)(沢村一樹)

7号室 藤堂修(サミュエル・エドワード・ラチェット)(佐藤浩市)実業家

8号室 羽鳥(名前は典子)夫人(ハリエット・ベリンダ・ハッバード夫人)(富司純子)

9号室  安藤伯爵(アンドレニイ伯爵)(玉木宏)外交官
 
10号室 安藤伯爵夫人・安藤良子(エレナ・アンドレニイ)

11号室 轟(名前はなつ)侯爵夫人 (ナタリア・ドラゴミロフ侯爵夫人)(草笛光子)

12号室 羽佐間才助(サイラス・ハードマン)(池松壮亮)万年筆の販売員

  一般客室

1号室
保土田民雄 (アントニオ・フォスカレリ) (藤本隆宏)博多の輸入自動車セールスマン
益田悦夫 (エドワード・ヘンリー・マスターマン)(小林隆)執事

2号室
幕内平太(ヘクター・マックイーン)(二宮和也)藤堂の秘書

3号室
昼出川澄子(ヒルデガルド・シュミット)(青木さやか)轟侯爵夫人のメイド

4号室
馬場舞子(メアリー・デブナム)(松嶋菜々子)家庭教師
呉田その子(グレタ・オルソン)(八木亜希子)下関の教会で働いている。どこかおどおどした雰囲気

  2等客室

三木武一(ピエール・ミシェル)(西田敏行)車掌
莫(ばく)(ブック)(高橋克実)鉄道省の役人
須田 (コンスタンチン博士)(笹野高史)医師

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 客室はりっぱで食堂車もゆったりしていて、食事も美味しそうだったな〜
寝台特急の旅は夢だよ。「北斗星」とか乗ってみたいな〜+.゚ ゜*。(*´Д`)。*° 。*:゜


 それぞれのキャラを紹介しつつ列車は進みます。
勝呂が下関港で見た男女は馬場と能登陸軍大佐だったんだけど、車内で二人は他人のふりをしている。
食堂車でフレンドリーな保土田と羽佐間と同席になった益田はプライベートなことに突っ込まれ困惑気味。
ぺらぺらと止まらないおしゃべりで馬場と呉田を辟易させている羽鳥夫人。
人を寄せ付けない雰囲気の能登大佐。
料理に手厳しくクレームをつける昼出川。
優雅で品格溢れる安藤伯爵夫妻。夫人の美しさには莫もうっとり。
部下を人間扱いしない藤堂。莫によると「 悪い顔ですな。まるで野生のヒヒです。品性のかけらもない」

 食事の後、勝呂がラウンジでくつろいでいると藤堂が命を狙われていると言って護衛を依頼してきた。
藤堂は報酬を徐々に引き上げ、受ける迫ったが勝呂はあっさり拒否。

「私は興味のある事件しか受けないのです」勝呂
「2,500円」藤堂
「・・・・・・・」
「3,050円。これ以上出せない。何が気にくわん?」
「気を悪くされたら申し訳ありません。あなたの顔が気に入らないのです」

 翌日、列車が雪に閉じ込められ停車している中、藤堂は客室内で刺殺体で発見された。
この事件の指揮をとることになった莫は勝呂に解決を依頼。
乗車していた外科医の須田が協力することに。

 発見したのは執事の益田。
ドアには内側からチェーンがかかっており、窓は開いていた。
犯人が窓から逃げたように見えたが勝呂の見立てによるとそれは犯人の偽装。
犯行後、列車が止まるというアクシデントがあったため逃亡したように見せたらしい。
だが窓枠には雪がほとんど積もっていなかったし、積もっている雪には足痕もついていない。

「犯人は 我々のそばにいます。今も この列車の中に」勝呂

 さて須田が確認したところによると刺し傷は12ヶ所。
だがその刺し方には一貫性がなかった。
右利きであったり、左利きであったり、力強かったり、か弱かったり。
ベッドに銃を隠し持っていた藤堂が抵抗しなかったのは睡眠薬を飲まされていたせいらしい。
室内からは女性もののハンカチ、パイプクリーナーが見つかり、
藤堂のものである懐中時計は1時15分で止まっていた。

 秘書の幕内によって藤堂には脅迫状が送られていたいたことが確認できた。
『組織から逃げられはしない』『裏切者に 今こそ 神の鐵槌を』

 様々な証拠の中から勝呂が唯一信用したのは室内にあった手紙の燃えカスのようなもの。
勝呂は帽子保存用のネットにそれを挟み、アルコールランプであぶりましたぞ。
そこに見えたのは『汝 剛力聖子』という文字。

「なるほど・・・そうでしたか。
全てがつながりました。
この男の正体も、彼が殺されなければならなかった理由も」勝呂

 5年前、剛力大佐(石丸幹二)の娘で7歳の聖子(小林星蘭)が誘拐され
身代金を払ったにもかかわらず殺害された事件があった。
大佐の妻曽根子(吉瀬美智子)はショックで流産し亡くなり、悲嘆した大佐も自殺。
犯人と疑われた剛力家の小間使い・小百合(黒木華)も留置所で自殺していた。


 原作では笠原の名前はカセッティ。
剛力家はアームストロング家。聖子はデイジーという名前。

 何か剛力ってのがうまいね(* ̄m ̄)

 事件後笠原健三を首謀者とする犯人グループは逮捕されたが、証拠不十分で無罪となった。
勝呂はこの笠原が身代金を元に事業を起こした藤堂だと推理。
これは藤堂家に関わる者の復讐であると考えた。
藤堂が誘拐犯・笠原であることは羽鳥夫人によって乗客たちに伝えられた。

 その後、乗客たちへの事情聴取が行われた。
事件の夜のそれぞれの行動を整理するとこんな感じ。


9時半 食事をすませた藤堂が部屋へ

11時頃   
益田が睡眠薬と寝酒を持って藤堂の部屋へ。
その後は部屋で読書。夜は同室の保土田の歯ぎしりがうるさくて眠れなかった。

       
11時過ぎ  
幕内が翌日の予定確認のため藤堂の部屋へ。

11時25分頃  
呉田が間違って藤堂の部屋をノックし、その後羽鳥夫人に睡眠薬をもらいに行った。

11時45分 米原到着

0時30分 列車が雪で止まる。

0時37分 
藤堂の部屋からうめき声が聞こえ三木が行ってみると中から「夢ば見とった」と答えた。

       
0時45分 轟侯爵夫人がベルでメイドを呼び出した。

1時15分 
藤堂の海中時計が止まる。犯行時刻の可能性。

1時17分
羽鳥夫人が自分の部屋に誰かが入って来たと騒ぎだした。
夫人によると犯人で部屋に車掌の制服のボタンが落ちていた(確認したら三木のものではなかった)

1時半頃 三木が車両の洗面所に向かう赤いガウンの女性を目撃(目撃者多数あり)


 乗客たちに話を聞いてわかったこと

・三木の娘は5年前にしょう紅熱で亡くなっている。
・益田は藤堂の部屋から戻ってからは部屋で読書をしたいた。夜は同室の保土田の歯ぎしりがうるさくて眠れなかった
・幕内は慈善団体で働いていた時に理事長だった剛力夫人に会っていた。
・幕内は大津駅で気分転換のため能登大佐と外に出た。戻る際かかっていた扉の鍵をかけ忘れた。
・犯行時刻の頃、幕内は自分の部屋で能登大佐と国際情勢についておしゃべりしていた。
・羽鳥夫人の部屋の鍵はかかってなかった。
・最後に藤堂に会ったのは呉田。
・呉田は羽鳥夫人に睡眠薬をもらいに行った際に間違って隣に通じる部屋のかかっていた鍵を開けてしまった。
・呉田は同室の馬場は部屋を出なかったと証言。
・轟侯爵夫人は剛力曽根子の母で女優の淡島八千代と親しく、曽根子の名付け親だった。
・安藤伯爵夫人の旅券の名前の『良子』のところに油しみがついていた。
・幕内の部屋から帰る時、能登大佐は12号室から羽佐間が覗いているのが見えた。
・パイプクリーナーは自分のものだと能登大佐は認めた。
・羽佐間は実は藤堂に雇われた探偵だった。
・藤堂は羽佐間に自分を狙っている人物のことを『小柄で浅黒くて声が女のように甲高い』と言っていた。
・保土田は同室の益田の歯ぎしりがうるさくて一晩中眠れなかった(のちに訂正)。
・昼出川は轟伯爵夫人のために本を取りに行った際、廊下で車掌とすれ違った。
 それは小柄で色浅黒く細い口ひげを生やし女のような声の男だった。
・馬場が下関港で言っていた『全てが終わってから』は能登大佐の離婚問題のことだった。

 その後、羽鳥夫人の化粧ポーチからは凶器と思われる血の付いたナイフが見つかり、
昼出川がすれ違った車掌が着ていたと思われる制服と制帽は彼女の鞄からみつかり、
赤いガウンは勝呂の鞄から発見された。

 勝呂は0時37分の藤堂の声は犯人の声(博多弁)だと判断、
死亡時刻と思われる1時15分にアリバイのある者が逆に怪しいと考えるが、
その時間にアリバイがあったのは全員だった。
必ず誰かが誰かのアリバイを証言していた。

 ハンカチは安藤伯爵夫人のものだと思われる。(本人は否定。その後轟伯爵夫人が自分のものだと名乗りでた)
夫人の名前は良子ではなく浪子。
勝呂は彼女を曽根子の妹だと推理した。

 その推理は夫人の証言で認められ、殺人の動機として大きなものとなったが彼女は否定。
安藤伯爵も断言した。
「私も誓う。 妻はこの殺人事件に一切関わっていない。私の名誉に懸けて」


 徐々に事件に関わる人間たちの輪郭がはっきりしてきました。
その後、呉田は殺された聖子の乳母であり、馬場は家庭教師だったことを認め、
保土田は剛力家のお抱え運転手だったことが判明。
昼出川は剛力家の料理人と思われ、益田はかつて剛力家の執事だった。
さらに車掌の三木は自殺した小百合の父親で、羽佐間は恋人だった。


 にゃんと全員が剛力家の関係者だった!
さぁ、乗客全員を集めて勝呂の推理の結果が発表されますぞ。


 ひとつの推理は藤堂はつけ狙われていた男に殺されたというもの。
その男は幕内が締め忘れた車両の扉から米原で忍び込み、
用意していた車掌の制服を着て、合鍵を使って侵入し、藤堂を殺害。
その後羽鳥夫人の部屋に通じるドアから隣の部屋に侵入し夫人のポーチにナイフを隠した。
そして脱いだ制服を昼出川の鞄に隠し、いずこともなく消えていった。

 乗客たちはその推理にうなづきましたが、勝呂はもうひとつの推理も披露。
それは乗客全員が犯人というもの。

「私とあなたと須田先生を除く、ここにいる全員が共謀して藤堂修を殺害したのです」勝呂
「まさか?!」
「驚くべきチームプレーだ」須田

「藤堂は裁判で無罪になりました。
しかし有罪であったことに疑問の余地はない。
私は思い浮かべました。
12人の人々が自ら陪審員となって
藤堂に死刑の判決を下し、自らの手で刑を執行した様子を!
一人一人が与えられた役を演じる。
誰か一人に 疑いが掛かっても他の人間の証言によって疑いが晴れるように
さらに事件が混乱するように仕組まれていたのです。
列車が 雪で立ち往生したために計画の一部が崩れてしまい
犯人たちがどうしたのか正確なことは、私には分かりません。
おそらく慌てて皆で相談し計画どおり進めることに決めたのではないでしょうか」勝呂

 首謀者は羽鳥夫人役を演じた曽根子の母・大女優の淡島八千代。
妹の浪子が関わっていないのは本当だった。代わりに安藤伯爵が手を下したようです。

「計画は私が練りました」馬場
「私も力を貸した」能登大佐
「皆さん、勝呂さんに 全てをお話しします。よろしいですね?」羽鳥夫人
「いいわよ、お母さま」安藤伯爵夫人
「全ては5年前のあの日から始まりました。
あの日を境に私たちは悲しみの谷に 突き落とされ・・・
そして、それ故に団結したのです」羽鳥夫人


 さて、5年前何が起こったのか。
事件後、剛力家ではどんな話し合いが行われたのでしょう。
第二夜は原作にはなかった事件の裏側が描かれます。
予告を見た感じじゃ、コメディっぽかったぞ。

 多分三谷幸喜が本当に書きたかったのはこれから。
アガサ・クリスティーの偉大な原作をフリに使うとは怖い子・・・
今晩、本当の三谷幸喜の世界を見せてもらいましょう。

 
 「オリエント急行殺人事件」 第二夜

 映画『オリエント急行殺人事件』の記事

usagi