あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。<(_ _*)>

 北海道は気温もそれほど下がらず、穏やかでいい正月です。
昨日雪がちらっと降ったけど、すぐにやみました。
一緒に年越しをした娘も今日の夜からバイトだってんで先ほど戻りました。
私は仕事始めは5日からなんで、あと2日のんびりを満喫しますわ〜

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 さて、今年最初の記事が大好きな木皿泉さん脚本のもので嬉しいわ〜。
お正月らしいさわやかでほのぼのとした気持ちになれる佳作でした。
HPはこちら


 富士山がよーく見える麓にあるコンビニ(ということになっているが商店と言った方がしっくりくる)「富士ファミリー(小国家)」が舞台です。店の看板の文字も消えかかっていて歴史を感じさせます。
人気商品は手作りおはぎ。毎日出しているけど売れ残ることはありません。

 その店にはかつて美人三姉妹の看板娘がいた。
長女の鷹子(薬師丸ひろ子)、次女のナスミ(小泉今日子)、三女の月美(ミムラ)。
早くに亡くなった両親の代わりに一家を支えてきた鷹子は家具屋で働きながら、コンビニ経営も引き継いできた。
奔放な性格のナスミは東京で働いていたが、結婚後、夫の日出男(吉岡秀隆)と実家に戻ったのち病気で亡くなった。三女の月実は店の経営から逃れるためにさっさと結婚し、夫の和己(深水元基)と幼稚園児の息子・大地(鴇田蒼太郎)と別に暮らしている。

 三姉妹のキャラクターを表すように近所の神社に奉納されていた絵馬が映される。
鷹子は『商売繁盛』、ナスミは『不死身』、月美は『好きな人と結婚できますように💛』


 「富士ファミリー」の店番をしているのは妻が亡くなって7年も経つのに一緒に住んでいる日出夫と三姉妹の父親の妹で身寄りのない笑子バアさん(片桐はいり)・・・なんだけどぉ〜最近、笑子バアさんがボケて来た疑惑があり(誰もいないのにしゃべってたり、不審な行動多発)バイトさんを雇うことになった。
今時珍しい住み込みの仕事を求めてやって来たのが若くて美人なカスミ(中村ゆりか)。

 ドラマは神社の事務員・万助(マキタスポーツ)がカスミを案内しながら「富士ファミリー」の事情を説明するところから始まります。

 いや〜でっかい富士山がきれいに拝める『富士ファミリー』、
いい感じにすすけて壮大な風景に溶け込んでおります。
富士山って登ったことはあるけど若い頃は全く興味がなかったよ。
この4,5年かなぁ・・・富士山が好きになり、グッズとかも買うようになっちゃった。
PCの壁紙も富士山だしよ。

 なんだろうねぇ・・富士山愛って日本人のDNAに組み込まれているのかしら・・・
見ているだけでほっとするというか、不思議と、よし!頑張るで〜!って思えるもんがあるんだよねぇ・・
てか、いつもとは違って邪気一杯の片桐はいりさんのお顔が新鮮。
あえて片桐さんがおばあちゃんを演じるという趣向も楽しいやね〜


昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)木皿泉〜しあわせのカタチ〜DVDブック木皿食堂2 6粒と半分のお米
 さて、鷹子たちは笑子バアさんの言動を悲しい気持ちで見守っておりましたが・・・
実はバアさんだけにナスミの幽霊が見えていたためボケた体なっていたのだった。

 なんかナスミの元ヤンふうなキャラが春子を彷彿とさせたんだけど、そのまなざしが我を感じさせず家族のためだけに注がれているのが確かに温かく伝わってきて、やっぱりコレは小泉さんの役だよなぁ・・と思ったわ。

 バアさんはナスミの指示で箪笥にしまってあった彼女の服のポッケに入れてあったメモを発掘。
そこには『ストロー、光太郎、四葉のクローバー、懐中電灯、ケーキ、コーヒー、枕』と書かれていた。
ナスミの思い出が欲しくて奪い合いになったメモを鷹子は項目ごとにカットして裏返し家族に選ばせた。
月美が選んだのは『四葉のクローバー』、日出男は『光太郎』、鷹子は『懐中電灯』、笑子バアさんは『ストロー』、カスミは『ケーキ』。
ちなみに『コーヒー』は万助、『枕』は神社の宮司の稙道の手に渡りました。
この言葉がそれぞれを幸せの確認へと導いて行く。

 木皿泉さんらしい、いたずら心とユーモア、小さな驚きに満ちた世界。
全体に注がれるふんわりと優しい、そして決して現実から目をそむけない視線。
クールさと温かさのほどよい配合はやはり好みです。


 カスミは何やら事情があってネットで見たバイト募集に応募してきたらしい。
面接の時、何を聞いても「大丈夫です」と笑顔で応えたカスミに鷹子はこの家のルールを伝えましたぞ。

「大丈夫じゃない時は大丈夫じゃないって正直に言う」

 コレってけっこう難しい。家族だとよけいね。
鷹子自身も今まで「大丈夫大丈夫」と言いながらいろんなことを引き受け乗り切ってきたはず。
だからこそ「大丈夫じゃない時は大丈夫じゃないって正直に言う」という言葉はカスミにしっかり届いた。
口に出された言葉はいつでも、ちょっとだけでも背中を押してくれる。
カスミはもちろん、鷹子自身をも。


 でも言葉の持つ力は残酷な面もある。
日出男と笑子バアさんがずっと独身で家を守って来た鷹子のことを『かわいそうな子だねぇ』と言っているのを聞いた鷹子は、私ってかわいそうな子だったんだ・・・と急激な疲れとともに認識。


 ご近所さんがみんな知っていることだけど鷹子には20年間プロポーズされ続けているけど断ってきた相手がいた。
春田雅男(高橋克実)は毎年自分の誕生日に鷹子に結婚を申し込んではフラれるというのを繰り返していた。
一人になり10年日記の同じ日にちの同じ内容を見直していた鷹子の目から涙がポロリ。

「え?涙・・?!なんで・・・更年期障害?!やだ〜〜〜!
えっと・・えとえとえと・・・・大豆食品がいいのよね?・・・明日豆乳飲もう!

 翌日、その雅男の誕生日。例によって鷹子は誘われていたので、いつものようにプロポーズを断ろうと思っていた。ところが雅男の口から、まさかの別の女性との結婚宣言!
しかも彼女へのサプライズとして新居のインテリアを鷹子のセンスですべてそろえて欲しいと鍵を渡された!

 キッツイわあ〜
たとえ受ける気なくても、こういう人にはずっと自分信者でいて欲しいものよ。
笑顔を作るエネルギー倉庫の燃料があっと言う間に尽きちゃった。
でも「春田雅男、21回目の最後のお願いです」と頭を下げられちゃね〜
引き受けるのが鷹子だからさ。


 雅男と一緒に新居を下見に行くと、窓を開けたら真正面に富士山が見えるマンションだった。

「そっか・・ここに住むのか・・・いいなぁ・・」とつぶやいてしまった鷹子に「まだ間に合うよ」と雅男は言ったけど、そこは受けられないさね。

「よく言うわ。幸せ一杯の人が」
「えっ、俺、幸せ一杯なの?」雅男
「そうよ。ここで幸せになるんじゃない」
「そっか・・・俺、幸せになんのか・・・」
「うん、そうよ」

 胸がチリチリと痛い。でも、どうしたら治るのかわからない。

 んが、鷹子が家で新居のための家具のカタログを見ているのを見た笑子バアさんはショックを受ける。
実は昼間に万助から日出男が若い女(仲里依紗)といちゃいちゃしているのを見たと聞き、二人ともこの家から出て行くつもりだ!自分は一人ぼっちになる!と察知したのさ〜

 それをカスミに訴えたら、軽く自分も出て行こうかな〜って応えたもんだからショックはさらに倍に。
んが、そんな時にカスミのバッグの中から大金(2百万)を発見し大騒ぎとなる。

 鷹子と日出夫が話を聞いて通帳を確認すると、ヤバイ金ではなくカスミ自身の口座から引き出したものだった。なんでも兄がギャンブルで借金を作り親に泣きついたんだけど、親のお金は定期に入っているからおろせなくてカスミのお金を貸してくれと頼まれたんだって。で、しょうがないかなと思っておろしてきたんだけど現金を見たら何か納得できない思いがふつふつと・・・

「子供の時から欲しいもの買わずに貯めてきたお金なのに・・って。
なんか私、利用されてるのかなって思えてきて・・・
そう思ったら・・・何もかも嫌になって・・・」

 まぁ、家出みたいな感じでここに来てしまったそうな。

 家族に対する不信感・・・コレって、突然生まれた訳ではなく、小さなアレが長い年月で溜まってきたんだろうね。それが貯金解約という現実で一気に溢れちゃったというか。
鷹子たちに言われて家に電話を入れたカスミは母親に泣きながら「生きているだけでいい」と言われ素直に謝っていました。その姿を近くでナスミが笑顔で見守っている。


 カスミのエピソードだけがいまいちピンとこなかったな〜
不信感も生きていれば、いつかは修復できるってことかしら・・・
でも家族の中で生まれた不信感って家族故にいつまでも引きずると思われ・・・
ま、新しい家族に出会えたからいいのか?


 そして蕎麦屋に居た月美は『四つ葉のクローバー』の刺繍がついたシャツを着ている若い男性がカードしか持っていなくて支払ができずにいたので代わりに払ってあげた。夜、眠っている息子にそのできごとを話しておりました。

「今日ね、四つ葉のクローバー見つけたんだよ。
その人ね、ちぃ姉ちゃんの好きな天ぷら蕎麦食べてて、おつゆも残さず全部飲んで、
海老のしっぽが丼に張り付いているの見たら、何かたまんなくなっちゃって・・・
この人とか私は生きてんのに、ちぃ姉ちゃんは死んだんだな〜って・・・」

 時間がどれだけ過ぎていても亡くなってしまったという事実はなかなか信じられない。
その不思議な感覚が時々風が吹くようにチクリと胸を痛ませる。
自分が感じたその痛みはいずれ息子も感じるもののはず。


 日出夫は付き合っている愛子(仲里依紗)から妊娠を告げられ、動転。
訳もわからないまま子供に名前をつけてくれと頼まれナスミのメモにあった『光太郎』と言ってしまう。
帰宅し、仏壇のナスミに報告しております。

「ナスミ〜俺、子供ができちゃったよ〜どうしたらいい?
愛ちゃんのお父さんって建設会社の社長でさ、そこ継がないかって言うんだよね〜
まぁ、そっちの方が給料もいいし、ここだけの話、事務所行くとさ、俺、若社長って呼ばれたりしてんだよね〜
そんな事、ここの家の人に言えなくてさ〜」
「み、店はどうすんのよ?!」笑子
「バ、バアちゃん?!」

 すぐにバアちゃんは神社の宮司・稙道(小倉一郎)と万助を呼び出して相談したんだけど稙道の答えは至極全うなものだった。

「私は、店のことが心配で心配で」笑子
「店のことじゃなくて自分のことじゃないの?
老いていくのに頼れる人がどんどんいなくなる。
私はどうなっちゃうのかしら?でしょ?
不安は自分の中にあるものなの。
ここは受け入れて耐え忍ぶしかないんじゃないの?」
「・・・・・・・・」笑子

 万助の方はちょいと気分を変えてくれましたぞ。
ストローの袋で作った男と女の人型を絡ませて、上から水をかけると・・・
あーら不思議、激しくもつれあっているじゃあーりませんか。
思わずエキサイトし凝視してしまう笑子なのでした。


 という訳で、もともとそのつもりだったんだけど、お荷物小荷物を持って家出。
バス停で待っていたら日出夫とバッタリ。
日出夫も逃走気分だったらしい。
でも二人ともどこにも行くあてなんてありゃしない。

「な〜んか俺、このままずるずる流れていっていいのかな〜って。
ナスミに付いていって、今の店手伝うようになって・・・
ナスミが死んで、でもずるずるそのまま家に居て、で、今度は子供ができたからって、
また人に言われるまま、ずるずる生きていく訳でしょ?
はぁ〜これでいいのか?俺は・・・」日出夫
「いいじゃないか。居場所があるってことだろ」笑子
「まぁ、そうだけど・・」
「私なんてこのまま生きていても、みんなに迷惑かけるだけなんだよ」
「・・・・・(ぼ〜っ)」
「何でそんなことないって言わないんだよっ!!」
「いや・・ナスミに初めて会った時のこと思い出して。
ナスミも居場所が無かったのかなって」

 深夜の休憩タイム、働いていた店の外で二人は出会った。
日出夫は板前さんふう、ナスミは清掃員ふうユニフォームを着ており、二人とも早朝まで働くシフトだった。
で、しけた感じで煙草を吸っていた日出夫にナスミは火を借りたのだった。

「俺、いつまで続けんだろ・・こんな生活」日出夫
「ふふふ・・・あ〜〜!富士山見てえーー!!」ナスミ
「ふじさん?」
「いいよ、富士山は。私が産まれる前からずっとあって、
私が死んでもずっとあるんだよ。
私の人生なんかさ、その長い時間の中のほんの一瞬なんだよね。
私ね、家出る時に富士山の声聞いたの。
『私が代わりにここに居てあげる。
だからお前はどんどん転がるように変わっていけ!』って」


「本当に転がるように生きてたよなぁ・・」日出夫
「ナスミは何で戻ってきたんだろうね」笑子
「多分、病気のこと知って戻ってきたんだと思う。転がるの諦めたんだろうな」

 その頃、月美も蕎麦屋で会った洋平(細田善彦)と再会していた。
お金を返すからと彼の部屋に行きおしゃべりをしていたら、エベレストの見えるホテルに誘われ、吸血鬼だと告白された。
「欲しくないですか?永遠の命」

 洋平の話がよく呑み込めずにいるのに、すぐに首に噛みつかれそうになったもんだから、逃げてるうちに彼を突き飛ばしちゃった。

「いらないの?永遠の命だよ」
「もし、あなたが本当に吸血鬼だったとしても、そんなもん・・・いらないわよ!」
「何もいらない人なんだね・・」
「そんなことないわよ。手放したくないもの一杯あるわよ」
「なに?」
「た、例えば・・・
子供がお風呂から上がったのを逃げるのを捕まえてバスタオルでくるむとか・・・
パパの中指、昔バスケットやって突き指して、まっすぐにならなくなっちゃった指。
パパの定期入れにずっと入っていた小さく小さく折りたたんだ・・レシート・・・
私と初めて行ったファミレスのレシートだった」
「・・・・・・・」
「私の実家、富士山の目の前にあるの。
そこに住んでても昨日のことくよくよ考えたり、
明日のこと考えてめんどくさいなんて思ったりした・・(涙
エベレストの見える場所に行っても・・・多分、同じなんじゃないかな・・」
「・・・・・・・・・・」
「あ・・ぁ・・・私帰るね」

「嘘じゃないよ。永遠の命がもらえるんだよ。後悔するよ」
「そうかもね・・・でも、私は・・・・みんなと限られた時間の中を生きていくわ

 子供も夫も大切で幸せだけど、生活を続けていくうちに、いつしか疲れと閉塞感を感じるようになっていた月美でしたが、即答でした。
人は違う場所に行けば変われるかもしれないと思う。
こことは違うどこかへ行けば、昔感じたときめきを取り戻せるかもしれないと夢を見る。
でも違う。すべては自分の中にある。それに気づくか気づかないか。
それに気づいたからナスミも戻って来たんだと思う。

 抱きしめた子の柔らかくて暖かい感触・匂い・空気・・・それは今一瞬の命。
常に今という時間は過ぎていく。変わらないものなんてない。
それは悲しいことだけど、だからこそ美しいし輝いている。
吸血鬼さんのおかげで月美はそのことを思い出したんだね。


  そして肉まんを食べながらどこへ行くでもなく歩いていた日出夫と笑子は、にゃんとマツコロイドに出会った。
マツコが言うにゃ、配送中のトラックの荷台から落ちちゃったんだって。
そもそもマツコロイドとは世界初の介護してもらうロボットらしい。

「アンタ、介護してもらうだけのロボットなの?」笑子
「そうよ」マツコ
「それじゃあ、人に迷惑かけるだけじゃないの」
「私は人に迷惑をかける事だけのために作られたロボットです。
意味は作った人に聞いてください」
「じゃあ、私が年取って人に迷惑かけるのも、
そんなふうに誰かが作ったってことかい?」
「そうね。神様がそんなふうに作ったんじゃないかしら。きっと意味があるのよ」
「何もできなくなって人に迷惑かけるのに意味なんてあるのかい?!」
「意味があろうがなかろうが、すでに私たちはここにいる。
その事の方が重要なんじゃないかしら」
「・・・・・・・・・・・・・・・私・・ここに居ていいのかね?」
「・・・っていうか、もう居るし」

「・・・・・・・」

 マツコは迎えに来たトラックに乗って去っていきました。
人は自分の存在に疑問を抱いた時、納得できるような答えを探し求め苦しむ。
でも本当は『今のあんたでいいんだよ』と言ってもらえるだけで解決するのかもしれない。
理屈じゃない。あんたの居場所はここなんだから別にいいじゃん・・と。

 吸血鬼と同じくロボットも永遠の命を持っている。
変わらずにそこにいる(メンテナンスは必要だけどぉ〜( ̄∇ ̄;))。
そんな存在であるマツコが笑子バアさんに答えをくれた。


「バアちゃん・・俺達も帰ろうか」日出夫
「・・・・・(うなづく)」笑子

 それでもまだ寄り道。

「店、閉めようか。みんなの重荷になるばっかりだしさ。
みんな恨んでいると思うよ。店やっているからご飯だってバラバラだし、
みんなで温泉だって行けなかったし、家族らしいこと何一つやれなかったからね」笑子
「そんな事ないよ。
みんな、店潰したくなくて一生懸命だったんじゃないの?
ナスミが東京から戻って来たのも、鷹ちゃんが結婚しないのも、
月美ちゃんが家出ても手伝いに来てくれるのも、あの店が無くなってしまうのが嫌だからだよ。俺だって困るよ。
あの店が無くなったら、全部ウソになっちゃうじゃない。
泣いたり笑ったりしたこと、ナスミに会ったこと、
そんなこといずれ忘れてしまって、全部ウソになっちゃうんじゃないかな」

 人間は忘れてしまう生き物だもんね。
どんなに大切なことでも忘れてしまう。忘れて、そして生きていく。
だからこそ変わらずにいてくれるものを守ろうとする。
残された命が短いのを知ったナスミは自分が生きていた印を残したくて
忘れて欲しくなくて『富士ファミリー』に戻って来た。
そして残されたみんなのためにも、その場所が在り続けて欲しいと願ったんじゃないかな。


 日出夫は愛子と生まれてくる子供と一緒に今の家に住むことを決めた。
笑子の面倒も見ると言ってくれた。今まで通り店番も頼むと。

「一緒に転がり続けよう」日出夫
「うん」笑子

 一方、雅男の新居に家具を配置し終わった鷹子は、動線を確認するようにシュミレーションしていたら隣の部屋の住人の賑やかな声が聞こえてきて、しんとしてしまう。なぜここが私の場所じゃないんだろう・・・
それはこの部屋への思いなのか、雅男への思いなのかはっきりしなかった。

 で、それを確認したかったのか、雅男の結婚に横やりを入れたかったのか、もやもやしたまま、一度拾った自分のイヤリングをベッドの下に戻した。
そして逃げるようにマンションを後にした。走る鷹子を富士山は見ていました。


 いつもと様子の違う鷹子にカスミはすぐに気づきましたぞ。

「鷹子さん、この家にはルールがあるんですよ。
『大丈夫じゃない時は大丈夫じゃないって言う』」カスミ
「そうだったわね・・・・」

 自分の部屋でプチプチをやって落ち着こうとしている鷹子にナスミは話しかけました。

「♪ Broken heart 最後のジェラシー ♪ 
そっとベッドの下に片方捨てた♪ Ah〜真珠のピアス ♪
私の知っているお姉ちゃんは富士山みたいに堂々としてた。
お母さんが死んだ時はお母さんになって、お父さんが死んだ時はお父さんになって、
私が死んだ後もずっと一人で頑張ってきた。
私が東京に行くって言った時も、私がここに居てあげるから
ナスミはどんどん転がって行けって・・・そう言ったよね?」ナスミ
「・・・・(うんうん)」鷹子
「今度は私が言う番だね。
私がここに居てあげるから、だから・・・お姉ちゃん、どんどん転がって行け!

 鷹子はいつも『富士ファミリー』の真ん中に居た。
だから自分は転がる訳にいかなかったんだね。


 鷹子は財布からナスミのメモの切れ端を出し『懐中電灯』という文字を確認し、
店の『懐中電灯』を探し始めたさ。すぐにカスミが渡してくれたさ。

「カスミちゃん、私、大丈夫じゃないんだ。よどんでんの。
無理してずーっと同じところに居すぎてよどんじゃったみたい」

 もちろん行き先は雅男のマンションさ。
で、暗がりの中、入ってベッドの下を探したが見つからない。
うろうろしていると雅男出現。手にはイヤリングを持っていた。

「もしかしてそれ・・・わざと落とした・・・?」雅男
「・・・・・・」鷹子
「って事はないよな!いくらなんでもいやいや、忘れて!俺の勝手な妄想だから」
「・・・・・ごめん・・わざと落とした・・・」
「そうなの?!」
「そうなの!」

「ええぇ・・・なんで??本当に俺が思っているようなことなの?!」
「そう!雅男さんが考えているようなこと!」身を隠すようにする鷹子
「わはは!うっそお!そんなことあるの?ヽ(〃∀〃)ノ」
「・・・・・・」
「え・・・それって嫉妬ってこと?こんなむさい男に嫉妬した?」

「そう。嫉妬した。私、ここに来る度に何で私じゃないんだろうって思い続けた。
雅男さんと暮らす人がものすごーく羨ましかった」
「結婚しよう!結婚してここで暮らそう!」

 実は結婚宣言は雅男の最後の賭けだった。
これでダメだったら鷹子が選んでくれた家具に囲まれ一人で暮らしていこうと決意していたそうな。

 わたしゃ、おっさんの一途な思いに泣けちゃったよ(ノ∀;`)
気持ち悪くなんかないぞ。そこまで鷹子のことを思っていたなんて・・・
そして素直になれた鷹子も素敵だったぞ。


「鷹子さん、ここに来て」雅男
「私・・・ここで幸せになりたい!」
「うん、なろう!幸せになろう!」

雅男の顔が懐中電灯に照らされてホラーに光っております。
「・・・・・・・」
「・・・俺も・・・ここに居ていいんだよね?」
「いなきゃ意味ないじゃない・・・(涙」
「そうか・・・そうだよね・・・良かった!」

 その夜、それぞれが見いだせた幸せと共に居ました。
そしてそんな家族を笑顔で見守っている幸せそうなナスミの姿も。

 笑子バアちゃんは自分で作った『ストーロー』の袋製人型にお水をかけて小さな幸せを感じていたし、
カスミも誕生日に小国家が用意してくれた本物の『ケーキ』と母からの画像ケーキ付きメールに幸せをもらっていた。宮司の稙道も『枕』に神様からのメッセージをもらい大喜び(ほんとは万助が『コーヒー』こぼしただけなんだけど)。
みんながナスミのメッセージを受け取り、生かすことができたようです。

 大晦日、家族総出でおはぎを作り販売。これが深夜まで続きます。
もちろん月美の夫も雅男も愛子も一緒に働いておりますよ〜。
で、家事全般が不得意な愛子は店のこともできるか笑子バアさんに今後の不安を伝えております。

「そんなものできなくたっていいよ!
機嫌よく暮らしてくれたら、それでいい」笑子
「ホントにそれだけでいいんですか?」愛子
「それが75年生きてきた私の結論だね」

 ( ̄ー ̄)b グッジョブ! ふっきっれたバアさんは強い!

 元旦はみんなで揃って寝正月。
一緒に働いて、眠って、だらだらした元旦を過ごせば家族の一員。
朝、寝ぼけて自分のカップを割ってしまったカスミに笑子が「ナスミ」と書いてあるカップを差し出しました。
ナにちょいと足せばカ。

「私、ここに居てもいいんですか?」カスミ
「っていうか、もう居るし」
笑子

 こうやって減ったり増えたりしながら家族は続いていく。
形に拘らずに、自由に、でも、いつも心の中にある。
帰ってこられる場所があるから、人は飛び立てるんだよなぁ・・・
このドラマのおかげで、いい正月になりました。


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