あっと言う間の30分でした。
テレヴィジョンというおもちゃ箱の中を期待と好奇心一杯に
戸惑いながらも歩き始めたトットと、
新しい時代を創って行こうというテレビマン達の使命感と
彼らから伝わってくる強いエネルギーがぴったり重なり、
何が起こるんだろう、どんなものを見せてくれるんだろう・・・
初めてテレビと出会った子供のようにドキドキしながら見ていました。

 夢や希望に繋がっているテレビジョンという魔法の箱。
その裏側にはどんな人達がいて・・・いったいどんな思いがあったのかしら・・・
テレビジョンに住む妖怪・・・じゃなくてざしき童?
いやいや、もはや妖精のようにテレヴィジョンと共に生きて来た黒柳徹子さんの物語です。


 さて、昭和15年(1940年)4月。
トットこと黒柳徹子(満島ひかり)は小学校1年生なのに退学になってしまった。
でも母・朝(安田成美)は娘をわかってくれる学校を探すとゆったり構えている。
父・守綱(吉田栄作)も困惑しつつもこんな言葉を徹子に伝えた。
「神様はどんな人間にも飛びぬけた才能を一つ与えてくださっている。
でもたいがいの場合、人間はその才能に気づかず違った職業を選び一生を終わってしまう」

『トットちゃんはお父さんのこの話に自分の生きる道を見つけた思いがして
才能を探した。
クラシックバレエ、絵画、鉄棒、英文タイプ、犬の調教師、
プールの飛び込みの選手・・・
これは最高5mぐらいの所から飛び込んだことがあるが、プールサイドの見物人から
「アンタみたいな恰好で飛び込んで死んだ人がいるよ」と言われてやめた。
競馬の騎手、自転車の曲芸乗り、タップダンス・・・
どれひとつとして才能の片鱗さえ見せてくれるものはなかった・・』


 語りは徹子さんの大好きなパンダ。声は小泉今日子さんですぞ。
小泉さんのおおらかで、すべてを楽しんで受け入れているような雰囲気が
このドラマにぴったり。


 そんなある日、人形劇を初めて見た20歳の徹子は心を奪われた。
でも、自分で人形たちを扱うのは難しそう。
それならせめて子供に絵本を上手に読んであげられるお母さんになりたい。
そのためにはどこで勉強したらいいかしら・・・

 調べるために新聞を開いた徹子は偶然、「テレヴィジョンに備え俳優研究生を募集」というNHKの広告を見つけた。NHKなら上手に絵本を読むことを教えてくれるかもしれない・・そう思ったトットは専属俳優の試験を受けることにした。
そこには6千人以上の応募者がいたそうな。

 まだテレビ放送始まっていないからどんなもんだかもわからないだろうに、
それでもそんなに殺到するとは・・・
みなさんチャレンジャーね。(* ̄m ̄) それともNHKだから?
HPはこちら


トットチャンネル (新潮文庫 く 7-2)トットひとり
 試験は早口言葉2を読んだり、ちょっとした質問に受け答えする面接と筆記試験。
トットは緊張しつつも、その特異な個性を溢れさせ・・・
それが良かったのか採用決定。
母も大喜び。
トットはテレヴィジョンの向う側の扉を開いたのでした。

『テレヴィジョン放送は始まったばかり。
トットちゃんはNHK専属のテレビ女優第一号となった』


 テレビジョン放送が始まったのは昭和28年2月1日。
日本中にはまだテレビは866台しかなかったそうな。


 新人が最初にやるのはラジオのガヤガヤ(声のエキストラ)。
トットちゃんも「その他おおぜい」役として参加。
プロデューサーからは主役を引き立てるためにくれぐれも目立たないようにという注意がありました。
んが・・・効果音のために倒れた軍人さんを見て、トットが普通に驚き心配したもんだからリハーサルは中断。

「どうしたんですの?!どうかされたんですの?!
死んだんですか?!ねぇ、あなた、どうかされたんですか?!
死んでるの?!死んだの?!」


 慌ててプロデューサーの伊集院(濱田岳)が飛んできて「ガヤ」の役割を説明するが、トットには意味がわからない。
「目の前で男の方が倒れたら、さぞや心配になると思いまして」

 トットは「その他おおぜい」から一人離れた場所に置かれたんだけど、リハが再開し同じように軍人が倒れる場面になると、また心配し叫んでしまう。
「ガヤ」のせいでスケジュールが進まない。
「一人だけ変なんだよ」「とにかく変」「ぜんぶ変」と伊集院に追い出されてしまった。

 その様子を興味深げに覗いていた大岡先生(武田鉄矢)はトットに話しかけました。
彼はNHK文芸部のプロデューサーで徹子がNHKを受験したときの試験官。
大岡は徹子に彼女が採用された理由を話しました。

「あなたが採用されたのは、あなたがあまりに何もできなかったから」大岡
「・・・・_| ̄|●」徹子
「試験の点数ねぇ、すごく悪かったんです。
でもね、このテレヴィジョンという新しい世界の俳優にはあなたのように何もできない、何も知らない、言い換えると無色透明の人が向いているのではないか、一人ぐらいそういう合格者がいてもいいのではないかということで、あなた受かった」
「・・・・・無色透明・・・il|li _| ̄|● il|li」

 落ち込んでいたら、さっきの伊集院がテレビのエキストラをするよう言ってきた。
にゃんとあのブギの女王・笠置シヅ子さん(中納良恵)の番組らしい。

 笠置シヅ子さん役の人誰だろ・・と思ったら、EGO-WRAPPIN'の人だったのか〜!
ナイスキャスティング!! 


 依頼は『目立たないようにスッと歩くだけ』だったんだけど・・・
ここでもトットはやっちまいました。
セットも機材もそばで演奏してる楽団も、出演者も何もかもが珍しくてきょろきょろ・・・
歌っている笠置さんをも興味深々に見つめてしまい、またストップかかっちゃった。

「わからないお人だな〜
あのさ、テレヴィジョンっていうのは普通に、ふつ〜うにさ」伊集院
「花屋の前で女の人がこんなふうに歌ってたら、誰でも立ち止まって見てしまうでしょ?」
「ホラ!ブラウン管見て!いい?こっから端まで時間をかけてゆっくり!」
「自然な感じでね?」
「わかってるじゃない!OK!」


 で、やりなおすと挙動不審度があがっている・・・( ̄∇ ̄;)

「今日帰ろうか・・・帰ろう、帰ろう!」伊集院
またしても追い出されちゃった・・・

 さすがにショックですワ・・・
小学校を追い出された時のように、自分はやっぱり変なんだろうか・・・
でも「全部変」ってどうすりゃいいのよ・・・
帰り道、犬に話しかけている徹子を駄菓子屋のおばちゃん(黒柳徹子)が
掃除しながら見つめております。

 徹子さん、湯婆婆ふうのビジュアルに創り上げております。
未来的でもあり、おとぎ話から抜け出てきたようでもあり・・・


「私の時給が56円。テレヴィジョンは一台25万。
私の時給が56円。ラーメン一杯が60円」

 いつのまにか中華飯店の前に・・・
「そう。ラーメン1杯60円。食べてく?」王さん(松重豊)

 NHKの近くの徹子行きつけの場所になる中華飯店の主人・王さん役は松重さん。
とぼけた味わいがいい感じ。
店内にはまだ徹子とは出会っていない向田邦子さん(ミムラ)が執筆中。

 若き日の向田邦子さん、ちょっぴり気の強さが顔に出ていて、おしゃれで
ただものじゃない雰囲気を漂わせている。ミムラさんで良かった〜


 60円のラーメン、食べる気は無かったのに美味しそうに完食。
気持ちは晴れたようです。

 その後、ラジオ放送劇『ヤン坊ニン坊トン坊』の声優オーディションが行われ、
もちろん徹子も応募しました。
これはウォルター・デ・ラ・メアの『サル王子の冒険』が原作でインドの王様に贈られた三匹の猿の物語だそうな。オーディションは猿のおめんを付け参加者の顔を衝立で隠して行われました。

 伊集院は徹子を見ると「君か・・」と顔を曇らせましたが、徹子の声は作者の飯沢(大森南朋)をすぐに惹きつけたようです。
子供の純真さが伝わってくる素直でかわいらしい徹子の声が役にぴったりだったのです。
徹子はトン坊の役に決定。・・・したんだけど伝えられてないから今回もダメだったと帰ろうとした。

「ダメだよ!帰っちゃ」飯沢
「・・・・・」徹子
「かわいいチビ助。あなたがトン坊」
飯沢は猿のお面を再び徹子にかぶせました。

「あーはっは・・・ようやく見つかりましたね。型破りが」
オーディションを楽しそうに見守っていた大岡が笑顔で言いましたぞ。
「この脚本を理解しその感情を演ずるのは子供では無理だと、
作者はそうおっしゃいます。ですからね、このオーディションは大人で子供の声を
出せる人を探す、未だかつてない大がかりな試みだったんです」
「・・・・・・」ほっとして徹子にやっと笑顔が出たワ〜
「さ、ご紹介しましょう。作者の飯沢先生です」大岡
「・・・あ・・・どうも・・・・あの・・私、日本語の喋り方も歌い方も
みんなから変だって言われています・・・
直します!個性も引っ込めます!勉強してちゃんと頑張りますから、だから

「直しちゃいけません。あなたの喋り方がいいんですから。
あなたのそのまんまが欲しいんです。
あなたの個性が欲しいんですから」飯沢
「・・・・・・・」徹子
「いいですか。どこも変じゃありません。
あなたのそのまんまがいいんです。直すんじゃありませんよ」
「・・・・直しません・・・」
「おめでとう」
「ありがとうございます・・・( ;∀;)・・・トン坊・・・よろしくね・・トン坊」

 最後の言葉でやっと笑顔を見せてくれた飯沢・・・
徹子との出会いは飯沢にとっても作品世界を広げてくれるものだったでしょうが
あるがままの徹子を認めてくれた飯沢との出会いがなければ現在の徹子さんは
いなかったかもしれない。まさに運命の出会いですな。
徹子の人生の扉が開いた瞬間でもありました。


 ラストはEGO-WRAPPIN'・笠置シヅ子の「買い物ブギ」と共に踊るみなさん。
戸惑いつつも徹子もその中に加わりました。

 圧倒的な強いエネルギーと土俗的祭りの喜びを醸し出すような笠置シズ子の歌声は時代を引っ張って行く強さがあった。
体の奥底にある命を呼び覚ますような不思議なパワー・・・
何か楽しいことが起こりそうでワクワクドキドキしてしまう。
まさにテレビ創世記にぴったり。
もっと聴いていたかったわ〜


 さて、買ったばかりのテレヴィジョンをリヤカーで運ぶ渥美清(中村獅童)と
友達の永六輔(新井浩文)が森繁久彌(吉田鋼太郎)の車にぶつかりそうになり
ケンカおっぱじめる場面がありましたな。
意外なキャスティングが楽しみだったらありゃしない。
でも、森繁って、スケベおやじでちょいちょい共演女優さんのお尻触っていたらしいから鋼太郎ちゃんぴったりなのか?(* ̄m ̄)プッ

 豪華なキャストに期待が高まります。
そして、やっぱり満島ひかりさんはスゴイ。
このスケールがデカい人物を演じられるのは彼女だけでしょう。
大岡先生が言っていた「無色透明」、それは限りない可能性に繋がっている。
徹子が扉を開いた時、テレヴィジョンも徹子に出会えたのですな。
土曜日が楽しみな日が戻ってきましたョ〜


 第2話 上を向いて歩こう! 
 第3話 生放送は波乱の連続!
 第4話 徹子、変身!玉ねぎヘア誕生
 第5話 向田邦子と徹子・友情の物語
 第6話 私の兄ちゃん・渥美清 
 第7話(最終話) 徹子、森繁を叱る 

ねこちゃん