自分が神様に選ばれない存在だと知るのは辛いことだ。
でも、本当は選ばれなかった訳じゃない。
自分が選んでいなかった。

 いつか描こう・・・
いつか勝負をしよう・・・
いつかわかってくれる人が現れる・・
「いつか」は自分が一歩踏み出さないと永遠に来ない。
「いつか」と言っている時点で自分の本気を捨ててしまっている。

 20年・・・十分すぎる準備期間を終える決意をさせたのは中田(永山絢斗)。
それは彼が、沼田が見ないことにしてきた嫉妬や闘争心を掻き立てたから。
無防備なほど「自分」であり続ける中田の姿を見て、
「自分」から逃げることにうまくなっていた自身に気づかせられた。

『ずっと漫画のことだけを考えていた。
子供の頃から。365日。24時間。
幸せだった。現実なんていらなかった。
ただ漫画の中だけで生きていたかった』


 これは挫折ではない。
沼田は長い夢から覚めたのかもしれない。長くて楽しい夢・・・
そして今、現実を生きている。地に足をつけて。
描くことを楽しんでいるような絵と『今年も続々 新酒出来!』の文字が
これからの沼田の人生を現していると思った。
HPはこちら


 さて、『バイブル』編集部ではインターネットユーザーの取り込みを図るために全員でSNSを始めたのよね。
その内容は・・・

 壬生(荒川良々)は主に食べたもの報告。

 五百旗頭(オダギリジョー)は業務連絡的な内容(ex. 「『ドラゴン急流』4巻本日発売となりました」「今日は天気がいいです」「亀を見ました」でそうで・・・
「つまらねぇ・・・ひたすらつまらねぇ!」壬生

 安井(安田顕)はさすがに慣れてる。主に娘の成長記録なのかしら・・・
なにげに同僚に「いいね」強要・・・
でも一番人気でじわじわとフォロワー数を増やしているんだって〜。

 阪神の応援ツイートをしていた和田編集長(松重豊)は巨人ファンに絡まれてケンカになり炎上。
まとめサイトまで作られたそうな。ストレスだね〜( ̄∇ ̄;)
 
 そして心(黒木華)は「@小熊」で担当の高畑先生(滝藤賢一)や中田のことをつぶやいている。
以外なことに中田への応援コメントが結構来るんだと。

 その中田は三蔵山先生(小日向文世)の所でお世話になっているのだが、
奥さんの時枝さん(千葉雅子)にどう接していいかわからず失礼な態度を取っていた。しかも失礼だという自覚もない。

 場の空気を常に読み雰囲気が悪くなるとさりげなくフォロー、
険悪になった後は時枝をいたわるだけでなく、
中田にもしっかり指導をいれる沼田(ムロツヨシ)。

 中田は祖父に育てられたんだけど、母親と暮らしていた時は
犬のように首輪で繋がれ一日1食だったそうな。
壮絶な体験を淡々と話す中田にギョッとする沼田。

「お前・・よくこれまで・・・」沼田
「漫画がありましたから」中田

 中田にとっての漫画は命綱。
彼にとって描くことは生きることなのだと沼田は改めて知った。
回りへの気遣い中心に生きている自分とは正反対に常に自分の世界に没頭し
自分中心に生きている中田の存在は新鮮でありながら脅威だったはず。

 仕事場に来た心にネームノートを見せたくて座っている沼田にぶつかったのにも気づかない中田。
長嶋も打順が来ると、頭の中はホームランのことだけになるから他の選手の足踏んづけたことにも気づかないって一茂も言ってたもんね〜
天才って頭の中の優先順位がないっていうか、だからこそすごい集中力を発揮することができるんだろうけど、知らないうちにもめ事作っちゃいそうだよね。


重版出来! 1 (ビッグコミックス)エコー
 ネームノートは10冊近くあった。

「続きも描いてます。まだいくらでも描けます。
早く連載やらせてください」
中田
「心して読ませていただきます」
「・・・・・・・」沼田

 沼田は1年前、編集者にネームを見てもらった時のことを思い出していた。
沼田の意図は伝わらず「誰にでもわかるように描きなおしてよ」と言われた。
結局直すことなくデスクの引き出しの中にしまったままだったネームノートを
久々に出してみるが、どこを直せばいいんだか・・・

 そんな時、机の上から中田が渡し忘れたネームノートを発見。
開くとすぐに中田の世界に引き込まれた。
リアルに目に迫り、心をぐいぐいと揺さぶる圧倒的な迫力。
中田の漫画には天才だけが持つ恐ろしいほどのパワーと不思議な説得力があった。


 混乱し怯えた沼田は思わずインク瓶を投げつけた。
ノートを汚してしまったことに気づいた沼田は自分の引き出しに隠してしまったさ〜

 同じ頃、編集部で中田のネームを読んでいた心も衝撃を受けていた。

「五百旗頭さん・・・このネームすごいです!絶対に連載取りたいです!」

 さて、心は絶版コミックスを電子書籍で公開する『名作アーカイブ』という企画の
担当になった。
第一段は20年前に一世を風靡した牛露田 獏(康すおん)の『タイムマシンにお願い』に決定。
牛露田はいわゆる『消えた漫画家』で、今は描いていないらしい。

「牛露田獏は天才だった。
天才ゆえのバランスの悪さ、そういう作家もいる」
和田

 和田は心と共に許諾をもらうために牛露田の家に向かった。
んが・・・そこは何億も稼ぎ、全盛期にはバーで札をバラまいていた者が住んでいるとは思えない狭いアパート・・・
株やら何やらで失敗し、次のヒットもないまま資産を食いつぶしたらしい。

 仕事はしておらずアパートの部屋で酒浸りの日々を送っているようだった。
布団の上で安酒を飲む手は震えていた。
和田たちが契約書を差し出すと「一億持って来たら考えてやるよ!魂込めて描いた漫画だ」と言い放った。

 それでも生活の足しになるからと和田がサインを頼むと、お水ぶっかけられちゃった。
「てめえらに俺の魂売るかあ!!」

「この人、未だに自分のこと有名な漫画家だと思ってんの。みじめだね」
中学生の娘・アユ(蒔田彩珠)は父親のせいで学校ではいじめられている模様。
働かなくなった父の代わりに仕事をしていた母は過労の末亡くなり、
アユは『父に殺された』と思っていた。
生きる気力のない父との生活にアユは絶望していた。

 って、赤江珠緒さんがゲスト出演!とな?とドキドキしておりましたが、
にゃんとアユの母親の遺影役でした(* ̄m ̄)プッ
まぁ、最初は死体役からスタートとかいいますが、遺影とは。
たまむすび』ではこの話題でにぎわったことでしょう・・


 今を生きる天才と、天才にはなれなかった者、
そしてかつて天才だった者の今が描かれた今回・・・ややこしや・・
いわゆる一発屋として終わってしまい、もはや天才の輝きを失ってしまった牛露田・・・
栄光の日々を味わっているだけに現在の自分を受け入れられずにいるのでしょうか。
夢に溺れている・・・そんな印象でした。

 
 さて、中田の「消えたネームノート」の犯人が誰か三蔵山先生はすぐに気づきました。
残業している沼田に穏やかにノートを返すよう伝えましたぞ。

「私の方から何か理由をつけて返しておきます」三蔵山
「自分でも何でこんなことをしたのかわからない・・・」沼田
「一つ言っておく。
作品を作るということは自分の心の中を覗き続けるということだ。
どんなに醜くても、情けなくても。向き合わなくてはならない」


 少しだけわかるような気がする。
表現するということは自分の中にあるものを見つめて探求して磨いていくこと。
嘘の自分からじゃ真実は紡ぎだせない。
美しい嘘が人の目を惹きつけることはあるかもしれないけど
長くは続かない。いずれみんな目を覚ます。


 三蔵山先生がノートを差し出し謝ると中田は笑顔で受け取った。
沼田はいたたまれない。

 その後、心がアパートを訪ねてきたもんだから内心ドキドキ・・
実は中田は本当の犯人は奥さんだと思っていた。
心はそんな事はありえないってわかっていたんだけど
なぜ中田がそう思いこんだのか知りたくて沼田の所に来たのさ〜


 沼田は中田から聞いた話を心に伝えたけど、
妙な失望が湧き上がってきていた。

『アイツには俺が見えてすらいない』

 わかるわ〜
私も若い頃『自分は相手にされていない』とか『眼中にないんだ』とか
勝手にショックうけて相手を呪っていたよ。
って、今回はいつも以上に刺さってくる内容だわ〜( ̄∇ ̄;)
違うんだよね。
誰がどうとかじゃなくて、今の自分には今見えるものしか見えないんだよね。
相手もそう。みんなそれぞれ必死なんだよ。


 三蔵山アシ部屋では、デビューしてすぐに連載を持った大塚シュートのことを羨む声があがっていたんだけど中田は彼のことを評価していないらしい。
まぁ、健康的でまっすぐな作風は彼のコンプレックスを刺激するのでしょう。

「ちっともすごくないですよ。そんなクソゆるい漫画。
設定は平凡。主人公も平凡。何がいいんだか」中田
「・・・・・・・」沼田
「普通の設定でおもしろくできるってことは力があるってことだろ?」棚橋
「そいつ、きっと挫折したことないですよ。
いい家でいい親でいい大学行って、漫画描かなくたって生きていけるような奴ですよ」
「・・・・・・・・」沼田
「それの何が不満?」
「別に!漫画でうまくいかなくても帰れるところがあっていいですねって話です」
「お前、帰るとこないの?」
「ないです。せいせいします」
「・・・・・・・・」沼田

 知れば知るほど中田は天才の条件に当てはまり、
自分はそうじゃないと確認させられる。
いつもみんなが嫌がることを率先してやって、
作業場が快適になるように気をくばってきた。
アシスタントのチーフとしてできるかぎり頑張ってきた。
でも、自分は何をやってきたんだろう・・・


『小さい頃から漫画が好きだった。
描いた漫画を友達に褒められて、大学の漫研でも一番うまかった。
二十歳で賞だって取った。
でも・・・それからずっとネームはボツで・・・何年経ってもボツばかりで・・・
いつまでもアシスタントで、みんなどんどんプロになって、売れっ子になって、
冗談言って悔しさをごまかして・・・
まだやれる!まだ諦めない!俺は漫画を描く!
まだ描ける!まだ・・描ける!

圧倒的な才能。
小さな・・・小さな自分・・・
アイツは自分に正直で、他のことなどお構いなしで、自由で、残酷で・・・
漫画の神様に愛されるのは、きっとああいう男だ』


 (ノω・、)・・・・・わかっちゃったんだよね・・・

 探し物をしていた中田が沼田のネームノートを見つけ勝手に読んでいた。
天才にしてみれば自分のネームなんて取るにたらないものだろう。
屈辱的だ・・・・
慌てて奪い取ろうとしたんだけど、なんと中田は感動し泣いていた。

「すごいです、これ・・・すごい・・・」中田
「・・・・・・( ̄ロ ̄)・・・・」沼田
「・・・・泣くような話だっけ・・?」栗山
「アンドロイドの恋愛ものだよな。自己犠牲で終わる」棚橋
「違います。これは自分自身の存在を問う物語です」中田
「・・・・・」沼田

「なかっちょ、すげぇ」栗山
「わからんかったわ〜てか、わかんないよ、普通・・・」棚橋
「なら、どうやってわからせたんですか?」
「わからせられなかった。だからボツなんだよ」棚橋

『この編集さんは感性が鈍いのかもしれない。
一人一人好みも違えば教養だって違う。
自分の描きたいものと、この人の興味が一致しないなら仕方ない』


『いつか自分の自由に描ける時が来たら、世に出そう。
いつか、いつか、いつか、いつか、いつか、いつか、いつか・・・・』


 沼田は実家の親が誕生日に贈ってくれた高いお酒を手に三蔵山先生の元へ行った。
先生はすぐに沼田の決意を察したさ。
もしかしてこうやって飲むの初めてなのかもね。

「40になりました。二十歳から倍も経ってしまいました。
倍もの時間、戦わずに来てしまいました。
いつか理解してもらえる。いつか、いい編集者に巡り合える。
いつか認めてもらえる。いつか・・・・
そうやって本気で戦わないまま・・・・ここまで・・・」沼田
「・・・・・・・・」
「そのくせ、同級生のサラリーマンには言ってたんですよ。偉そうに。
ものずくりはこうじゃなきゃいけない、
クリエーターたるものこうあらねば。
夢を追いかけてる自分は他の人とは違う、そう思いたかったんです。
漫画家を目指している間は特別でいられた。
特別な人間でいたかったんです


「自分に向き合ったんだね」三蔵山
「時間がかかりましたが」沼田

 切ない・・・(ノДT)アゥゥ
『いつか』を『今』にできる者だけが特別な人間になれる可能性がある。
今、踏み出した沼田はその可能性を得たと思うよ。


 沼田はいつも通りにアシスタントの仕事を終わらせて、
笑顔で去っていった。
家業の酒屋さんを継ぐそうな。

 なんとなく見送りに来てくれた中田に沼田は愛用のiPodを渡した。

「落語が数百入っている。勉強になるぞ落語は。
あと・・・これももらってくれるか?
新人賞取った時の原稿。これだけは自分じゃ捨てられなかったわ・・」沼田
「何で帰るんですか?
あのネーム、原稿にしないんですか?」中田
「描くなら、とっくに描いてた。あーー描くべきだった・・か」
「辞めるんですか?漫画」
「お前が泣いてくれたから、もういいや」
「・・・・・・」
「お前のネーム、インクぶちまけたの・・・俺だよ」
「・・・・・・」
「なんでかわかるか?」
「・・・・・・絵が・・・ヘタでムカついた?」
「・・・・アッハッハッハッハ!!・・・・お前は・・・すごいな!」
「・・・・・・・(・ε・)・・・」
「ホントにすごい!・・・頑張ってくれ。俺の分も」
「無理です。僕は僕で他人にはなれませんから」
「そうだな。その通りだ。・・・・元気で」


 沼田が差し出した手を、中田は迷いながらゆる〜く掴んだ。

『ずっと漫画のことだけを考えていた。
子供の頃から。365日。24時間。
幸せだった!現実なんていらなかった。
ただ漫画の中だけで生きていたかった』


 自分の嫉妬心を掻き立て、心から認めた天才に自分の世界が理解してもらえた。
そしてその天才の心をゆさぶった。
ずっと誰かに認められた時に自分の漫画家としての人生が始まると思っていたけど
認められたことで、やっと諦めることができた。
今日ほどユニコーンの歌が沁みたことはないよ・・・


 沼田のことを聞いた心が中田の元に駆けつけました。
中田はネームノートにインクをつけたのは沼田だったと伝えましたぞ。

「ナニにムカついたんだろう・・・」中田
「羨ましかったんだと思います。
中田さんの人生がどんなだったとしても、沼田さんは中田さんになりたかったんです」
「???・・・」

 中田は無自覚の天才。
天才のあるがままの存在感はまわりの人間達を傷つけるが、
無自覚さゆえに人の目を開かせ、人を救いもする。
中田が己の天才を意識した時、彼の人生はどう変わっていくんだろう。
より大きな天才になれるのか、あるいは潰れるのか・・・
天才の凄さと危うさに気づいているのは、天才ではない人達なんだよなぁ・・・


「天才はみんなに夢を見せることができる。
だからこそ、近くに影を作ってしまうのかもしれません」


 まだまだ天才たちの話は続きますョ〜

「うまくいく人といかない人との分かれ目って何なんでしょう
沼田さんが今まで出会ったどの編集者とも合わなかったとしたら・・
悲しすぎます」心
「たとえ合わない相手だとしても、作家が自分で
乗り越えなきゃならない壁がある」五百旗頭
「・・・・・そこが・・分かれ目?」
「まぁ、編集者が手を出せない部分だなぁ・・
俺達ができることは手助けすることだけ。
あんまり過保護にしても、伸びしろ失くすしな」
「・・・・・子育てみたいですね。育てたことないですけど」
「俺もだ」

「五百旗頭さんは、担当した新人さんにどんな作家になって欲しいですか?」
「担当を変わっても、雑誌を移っても、一人でどこまでも泳いでいける作家・・?」
「一人で・・・泳いでいける・・・」

 親にできるのは、海の広さを教えて、どんな所でも泳げる力がつくよう訓練させること。一緒に泳いであげることじゃない。
一人の作家として、そして一人の編集者として、切磋琢磨し合いながら遠くを目指せたらいいよね。

 はぁ〜〜(´ ▽`).。o なんて充実した時間でしょ。
ずっと続いて欲しいわぁ〜


 第1話 夢を描いて感動を売れ! 涙と勇気がわきだす新人編集者奮闘記!
 第2話 これが僕の仕事だ! 幽霊社員の本気の営業 !
 第3話 天才 VS ド新人編集!先生の信頼を守りたい
 第4話 目指せ金の卵発掘! 新人ツブシに宣戦布告
 第5話 運を使いこなせ! なるかド下手新人デビュー
 第6話 勝ち続ける仕事術・・・新人ツブシの秘密とは?
 第8話 鬼編集長男泣き! 14歳の笑顔を取り戻せ!
 第9話 好きです 突然、愛の告白…成るか!?初連載!
 最終話 私は忘れない!心が震える瞬間を…
 
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