いや〜朗読ってなぁ・・・( ´_ゝ`) と思い、芝野様(柴田恭兵)と竹野内様に会える
ぐらいにしか思ってなかったのですが・・・おもしろかったです。
穂波(竹野内豊)の心の中を現す「ぽっかりおばけ」もかわいいし〜
なによりこのカチコチに凝り固まっておる穂波がどんなふうに
変わっていくのかを見たい。
そして朗読教室で紹介される作品も楽しみでございます。
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 さて、竹野内様が演じるのは大学の数学科の准教授・穂波 孝。46歳。
ずっと心の中にあった空間・『ぽっかり』を9歳の時「メビウスの輪」で充たされて以来
数学道をただひたすら地味に真面目〜に歩んできた。

 31歳の時、学生だった奈緒(ミムラ)と出会い、数学と同じような
ときめきを感じ交際を開始。35歳で結婚した。

 一男一女に恵まれ幸せな家庭生活を送れていると思った。
しかし46歳の時、妻は突然子供達を連れて家を出て行った。
代理人の弁護士から離婚の意志を告げられ戸惑うばかりなのでした。

 穂波が大学で行っているのは『結び目理論』という講義。
受講している生徒は少なく、出席していてもゲームしているか寝ているか。
真剣に聞いている生徒なんていやしない。

 こんなに受講生徒少なくて、よくクビになんないな〜
数学者としては優秀だから見込まれてるのかしら・・

 でも教師としては魅力ゼロ。
声もモゴモゴ言ってて聞きずらいし、何より聞く側のことを
なんも考えてないから授業に工夫も驚きもない。
パッションゼロ・・・
興味を引かれる要素が全くない感じのようです( ̄∇ ̄;)


 オープンキャンパスの講義でも頑張ってはみたものの
誰にも数学のおもしろさをアピールできず惨敗。
呆れた学部長から「話し方教室」に行くよう命じられてしまうのさ〜

生きる (日本傑作絵本シリーズ)くじらぐも 中川李枝子 (文芸研・教材研究ハンドブック)寺山修司少女詩集 (角川文庫)
 でも、そんな教室ハナっからバカにしているからやる気ももちろんないし
態度も悪い。
ピンチヒッターの講師として来た江崎 京子(麻生久美子)に
再三注意されるも聞く耳持たず。
結局、やんわり追い出される体で退出。

 帰り道で、その京子と一緒になり「つまらない男・・!」
「今日は存在自体が邪魔でした」言われケンカになってしまう。

「たいした人生でもないくせにプライドばかり高くて
自分を変えようともしない人の方がよっぽどみっともない人生です!」
京子
「・・・・・・・」穂波
「かわいそうな人!
あなたはそうやって一生ヒネた目で他人を見ながらひとりきりの世界を
楽しめばいいのよ!」


 朗読教室に通っている人って穏やかなイメージだったけど
京子にしてみたら穂波の態度は腹に据えかねたんでしょうね。
普段は生徒さんに対して声を荒げることなんてないらしい。
講師の佐久良(柴田恭兵)にたしなめられると素直に謝っていた。
実は穂波は憶えていないけど過去に二人は教会の結婚講座で同席して
いたことがあったのでした。

 どう見ても世間知らずで偏屈な穂波。
同僚で友人の東原(松岡充)は付き合い方を心得ているようですが
そもそもコミュニケーション能力が劣っているというか・・・
磨く努力もしてこなかったというか・・
相手側の思いやりと忍耐で許されてきたのでしょうか〜
ラブラブの頃は一生懸命穂波を理解しようとしてくれていた妻の奈緒(ミムラ)も
気持ちが冷めたら一緒にいても疲れるばかりになったのかもね〜


 でも穂波にはなぜ突然奈緒が離れていき離婚まで考えるようになったのか
さっぱりわからない。
真面目に仕事もしてきたし、浮気もしていない。
仕事が終われば最短経路でまっすぐ家に帰って来た。
子供にヒステリーを起こす妻を責めたこともない。

 代理人の弁護士からは「理由がわからないことが一番の問題なのでは?」
と言われたがその意味すらわからない。

 暖簾に腕押しっつーかねぇ・・・
きっと何を言っても相手にしてもらえていないっつーか・・
会話が成立しなかったんだろうねぇ・・・
一緒に生活しているのに自分の存在はなんじゃろ・・って疲れちゃったのかなぁ・・


 妊娠を機に仕事を辞めて以来奈緒は外で働いていない。
再就職はかなり難しいと思われるが、仕事を持って自立しようとしている。

 奈緒は意地になっているような感じもあるけど本気なのかしら・・
あるいは別居を機に穂波が変わってくれたら・・って思っているのかなぁ。
でも、人って変わらないんですよ。
本人が心から変わりたいと願わない限り。


 どんな時にも同じ生活リズムを繰り返してきた穂波だが、さすがに精神的ダメージが大きかったのか電車を乗り違え自宅とは関係ない駅で降りるハメになってしまう。
が、そのおかげで佐久良と再会し朗読教室に立ち会うことに。

 『朗読教室』の描写・・・なんかアングラ劇みたいだったらヤダな〜
怖いな〜ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイと思っていたのですが
海辺に場所を移動した演出と合間に挟まれた、この世界に生きているそれぞれの
ほとばしるような瞬間は清々しく心地よいものでした。


 詠まれた詩は谷川俊太郎の「生きる」。
言葉のひとつひとつが柔らかく光輝き心の中にサクッと入ってくる。
朴念仁の穂波の心が開かれ言葉の贈り物を受け取り、心が動かされる。
その心が揺らぎ温まって行くのが納得できました。

 黙読とは違った口に出されることによって生まれる言葉の力・・・輝き。
その力を得た穂波は素直に思いを口にした。


「(ずっと埋まらなかったぽっかり)が一瞬充たされた。あなたの声で・・・
だから・・その・・・何ていうか・・・ありがとう

『正直、朗読なんてバカにしていた。
それがなぜだかあの一瞬・・・ほんの一瞬・・充たされた!
こう・・熱い血が心拍から全身に駆け巡って。
物理的に熱くなった。
メビウスの輪やクラインの壺以来の感覚だ』


 家族で過ごした息子の誕生日の思い出がしゅ〜っと消えていったのは
切なかったけど、穂波にとってはそれなりに幸せな生活だったんだよね。
そして家族もそうだと思いこんでいた。
でも表面には出なかったようだけど繊細で感受性の強い人なのかもしれない。

 国語の教科書の『くじらぐも』を朗読しながら涙してしまった穂波・・・
自分の声というものを初めて聞いたのかもしれない。
独りぼっちで寂しい男の声。
京子のおかげで心が開いたんだね。
これから穂波は変わって行く。


 朗読教室のメンバーのみなさんも興味深い。
杉本哲太さんに片桐はいりさん、堀内敬子さんに、隠れていた大原櫻子さん、
一見悩みがなさそうな戸塚祥太さん、そして「リバース」で個性的な存在感を見せてくれた趣里さん。
それぞれどんな思いを抱えて朗読教室にやってきたのか・・・
次回が待ち遠しい。


 第2回 友だちはカエルくん
 第3回 雨にも負けぬ男
 第4回 飛べ!くじらぐも
 第5回 キスはどうですか?
 第6回 もつれる二人
 第7回 ヒーローになる時

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