今回も設定はおなじみなのに、このドラマらしい展開で
新鮮に、そして重く心に響く内容でした。
決してブレないミコト(石原さとみ)の言葉が真実に縛られる者、
そして真実から目をそらす者たちの目を開かせた。
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「ここまでが法医学的見解。
ここからは法医学者ではなく私個人の見解として話をします。

これまで多くのご遺体を見て来た。
ご老人から小さな子供まで。
いつも思う。
なぜ、この人は死ななきゃならなかったのか。

Y君の背中にはたくさんの痣があった。
日常的に暴力を受けていた痕。
執拗に繰り返され、治るより前に次の痣がつけられた。
そんな暴力が見過ごされた。
追い詰められた彼は最悪の選択をしてしまった。

法医学的には自殺。
でも私は、殺されたんだと思う。
法律では裁けないいじめという名の殺人。
あなたはそれを大勢の人に伝えたかった」

 サイコパスによる殺人実況に思われた事態は
いじめた奴らを裁くため、
そして助けられなかった自分を裁くためのものだった。

 教師、クラスメイト、誰もがいじめに気づいていた。
でも無視して関わろうとしなかった。
横山君の痛みと苦しみを黙殺した。
やつらを殺人者にしたてるための計画を立てる時間だけが
救いになるほどに追い詰めた。

 そしてそんな横山の思いに気づきながら保身せずにはいられず
救えなかった無念さと後悔に苛まれた白井君は
自分を殺す罰を与えずにはいられなくなっていた。

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 彼の言葉を受け止めながらも必死で居場所を探る
六郎(窪田正孝)・東海林(市川実日子)・中堂(井浦新)・・・

「あなたが死んで何になるの?!
あなたを苦しめた人の名前を遺書に残して・・・
それがなに?

彼らはきっと転校して、名前を変えて、
新しい人生を生きていくの。
あなたの人生を奪ったことなんて
すっかり忘れて生きていくの!
あなたが命を差し出しても、
あなたの痛みは決して彼らに届かない。
それでも死ぬの?
あなたの人生はあなたのものだよ」

 それが現実だ。
彼らは、つらっとして生きていく。
痛みを知らないからこそ簡単に忘れられる。
そして勝ったと思っている。

 ミコトの言葉は生きていくための言葉だ。
誰かを責めるためでも、いじめた者たちを貶めることで
白井を浮かび上がらせるためのものでもない。
ただ目の前の自分自身の存在を否定し抹殺しようとしている人間の
終わらない問いから自由になるための。
そして生きる力を与えるための。

 それでも刃を自分に向けようとした白井を
最後に救ったのは中堂の言葉だった。

「・・・横山は死んだ・・・・
僕だけが生きてていいのかな・・・」
「・・・・死んだやつは答えてくれない。
この先も。
許されるように・・・生きろ!

 それが中堂が出した答え。
同じように生き残ったことで自分を責め苦しみ続けてきた中堂の。
それは、もしかしたら白井との出会いによって見出せた光なのかもしれない。
自分の口からこの言葉を伝えられたことは中堂にとっても
救いに繋がったのではないだろうか。

 こういうめぐり合わせというか展開にシビれるよ。
闇と闇が交差することで光が生まれることもある。
ご遺体に自分のコートを着せてあげる東海林の姿にも泣けた。
いいチームだよ。

 どこにも行けない六郎の戸惑いも伝わってきた。
ひとつの場面にそれぞれの確かな思いが交錯している。
いいドラマだねぇ・・・見て良かった。

 そして中堂の婚約者のご遺体に付けられた『金魚』とは
口内炎のように大きく赤くただれた痕だとわかった。
中堂は麹谷雪子さんの死後、同じような痕があるご遺体を
2体見つけることができていた。

 殺しの手口はバラバラで三人に接点はなかった。
共通点は若い女性であることと口の中の金魚。
そして今また、金魚のある女性の遺体が殺人と
気づかれずに火葬されようとしていた。

 殺人者は生きている。
何の痛みも感じず生活を続けている。

 第1話 名前のない毒 
 第2話 死にたがりの手紙 
 第5話 死の報復 
 最終話 旅の終わり 
 
usagi