October 2008

October 30, 2008

論理性のある答案

久しぶりの更新で、申し訳ありません。


さて、近年は公的機関などでは情報開示が進んでおり、大学入試においても様々な情報が出てきています。
最近では、大学の入試作成担当者が出題意図などを説明する機会も増えてきています。大抵は、入試が終わり、新入生が入って一段落した5月や6月頃にこのような会合が開かれます。

数学の入試に関するこれらの会合などにおける、大学の担当の方々の発言で目立つのが、

「論理的な説明がおろそかである」

というものです。
やはり、ただ単に解き方を丸暗記して、似たような問題にただ適応させてみる(そして、失敗している)という答案が多いのでしょう。

私も模試の採点基準などを作る際などに、多数の答案を見る機会がありますが、やはり同じような感想を持ちます。


某大学の担当の人は、その大学の入試の採点基準について

「答えが出ていても論理的な説明がなければ0点、逆に、答えが違っていても論理的な説明が十分であれば満点もあり得る」

という発言をしているようです。
さらにその大学で採点基準において重視しているものは、

1・計算力
2・論理の展開がしっかりしていること(論証力)
3・論理を数学として正確に表現できていること(表現力)

であるとのことです。


しかし、このような点を高く評価される答案を目指すためには、普段から
「なぜそうなるのか」
ということを中心に、数学の問題を見ていく必要があるのだと思われます。
そして、普段から「しっかりとした答案を書く」ということをしていかなければならないのだと思われます。

一日や二日で達成できる話ではないにしても、そこであきらめずに、これらのことをしっかりとしていくことが大切なのだと思われます。

math_palace at 15:50|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 大学受験数学 

October 05, 2008

なんでもかんでも「帰納法」

先日、ある問題の採点基準を作る機会がありました。
その際に見受けられた話です。


問題は、与えられた自然数Nが
  N=a_0・1+a_1・8^1+a_2・8^2+…+a_n・8^n
(ただし、a_n≠0、0≦a_k≦7)
と表せるときに
 N<(a_n+1)8^n
であることを示せというものでした。

(なお、a_nはaの右下に下付けのnをおいたもの。数列の第n項で使われる表記。
a^nはaのn乗のこと。)


この問題に対する証明で、私が見た答案(正確には採点基準を作るために用意された答案のコピー)のうち、2枚に1枚は「数学的帰納法」を使ったものでした。


ちなみにこの問題は, 0≦k≦n-1でa_k≦7であることを用いれば、
 N≦7(1+8+8^2+…+8^(n-1))+a_n・8^n
  =7{(8^n-1)/(8-1)}+a_n・8^n
  =8^n-1+a_n・8^n<(1+a_n)8^n
とすぐに示すことができます。

一方、数学的帰納法を用いて証明をする場合は、
  すべての0以上の整数nについて
  「N=a_0・1+a_1・8^1+a_2・8^2+…+a_n・8^n (a_n≠0、0≦a_k≦7)と
   表されるすべての自然数Nについて、N<(a_n+1)8^n」…(*)
であることを示すこととなります。そしてこの証明は、
 (i) n=0のときに(*)が成り立つ
ことを示した上で、
 (ii) n≦m (m=0, 1, 2, …)で(*)が成り立つときにn=m+1でも(*)が成り立つ
ことを示すこととなります。

なお、(ii)については
  N=a_0・1+a_1・8^1+a_2・8^2+…+a_(n+1)・8^(n+1) (a_(n+1)≠0、0≦a_k≦7)
であるときに、このa_0, a_1, …a_nを用いて
  N'=a_0・1+a_1・8^1+a_2・8^2+…+a_n・8^n
というのをつくったときに、a_n≠0とならないことがあるので、
  n≦mで(*)が成り立つとき
とすることになります。


先の数学的帰納法を用いた学生の答案で、正しく証明できていたものは皆無でした。
その理由には、

(1)数学的帰納法で「何が証明できるのか」がわかっていない
(2)数学的帰納法によって「なぜ証明できるのか」がわかっていない

ということが上げられますが、何よりも問題なのは

 「自然数nについての命題は、なんでもかんでも帰納法を使えばいい」

という「思いこみ」です。
この問題は「添削講座」の問題なので、ある答案には学生の採点する側にむけてのコメントがありました。そこには

 「(2)はミエミエで帰納法で、…」

と書いてありました。
(ちなみに、この問題はN=a_0・1+…+a_n・8^nであることについての(2)の問題)

本人は自信を持って「帰納法」だったのでしょうが…。


数学的帰納法は、自然数(あるいは整数)nについての命題を示す「1つの手法」にすぎないわけで、万能なわけではありません。様々な選択肢の中の一つなのです。

それをさも「鬼の首を取ったよう」に、「帰納法」に走っていくのはよろしくない傾向です。「…の一つ覚え」と言われないように、やはり、このような問題や、それに対する基本事項などについても見直していくことが大切です。

math_palace at 18:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 大学受験数学 | 数学講座

October 02, 2008

同じ問題を解く

復習をする際に「理解する」ことを中心に、と書きました。
それに加えて、「再度、問題を解く」というときに重要なのは、

「解答を思い出そうとしないこと」

です。
どうにも、「解答を覚える」ということが無意識に働いているようで、一度やった問題を再度解くときに、「どうやったら解けるんだったのだろうか」ということを意識してしまう人が多いようです。

最終的には「解いたことのない問題を解く」ことが、受験においては目標となるわけですから、「解いたことのある問題の解き方を覚える」のではなく「その解き方に至った理由を解明する」事の方が重要です。

だからこそ復習の際には
「どうやったら解けるんだったか」
と思い出すのではなく
「この問題を解くにはどうすればいいか」
と、「解くためにはどうするか」という気持ちで行くのが重要です。


いずれにせよ、
「解いたことのない問題を解けるようにする」
ための努力をしなければなりません。

math_palace at 01:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 勉強方法