酒を断らない女
山田真貴子内閣広報官が
辞職しましたね。

きっと強い女性だったんだろうな~
今後 更なる活躍が見たいです!

少し前、懲戒解雇になった。
横領とかじゃない。
取引先との関係を不正な形で歪め、信頼を棄損した…というのが言い渡された理由だ。

わたしがいた会社は規模はそこそこだったけれど、取引先に対しては弱い立場だった。
結局は下請け、発注元の企業のさじ加減一つで業績にブレが出てしまう。

そこで一計を案じたのが、わたしの上司にあたるセクション長だった。
先方の担当者をなんとか懐柔して、有利な条件で仕事を回してもらおうというのだ。
野心家だが出世の糸口を見いだせずにいた彼は、活路をそこに見出したんだと思う。
けれど、金銭的な賄賂を贈るほどの余裕は、うちの会社にはない。
そこで、彼が白羽の矢を立てたのがわたしだった。

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営業でもないただの事務職のOLだったわたしだが、真面目そうな娘が多い社内では、客観的にみてもかなり派手だった。
そこが、彼の目に留まった。
目論見を達成するにはうってつけの存在と思ったらしい。
ここまで言えば、わたしが何をしていたかは大体の想像はつくだろう。

もっとも、いくらわたしでも、最初にセクション長に呼び出されて説得を受けたときにはショックだった。
そこで椅子を蹴って立ち上がっていれば、こんなことにはならなかったと思う。
けれど、わたしは断れなかった。

どこでもそうだろうけど、うちの社内は、セクション間でかなり扱いに差がある。
そして、わたしが属していたセクションは、社内でもひときわ扱いが悪かった。
なんとかその窮状を打破したい。力を貸してほしい。
セクション長は、真剣な顔でそう懇願してきた。

会社自体にはまったく思い入れはなかったけれど、同じセクションの同僚には思い入れがあった。
それに加えて、当時わたしははじめての直接の後輩を迎えた直後だった。
まだ頼りなげな彼をなんとかしてやろうと、色々と走り回っていたのだ。
それだけに、社内の理不尽に直面する機会も多くなっていて、現状にはかなり不満を持っていた。
自分でいうのもなんだけれど、わたしは割と面倒見はいいのだ。

それがいけなかったのだろう。
常識的にはありえない指示に、わたしはうなづいてしまったのだ。

はじめて取引先の担当者に会ったときには、足が震えた。
絵に描いたようなスケベ親父。
もっとも、そういうわたしだって人のことは言えない。
過去の男関係はひどいものだったから、同類といえば同類だ。
そう自分に言い聞かせて、わたしは彼と関係を持った。
一旦関係を持つと、マヒするものだ。
彼の2週間1回の性欲処理係として、わたしは身体を差し出し続けた。

具体的に何をどういう形で優遇してもらっていたのかは知らない。
そのあたりの交渉は別の人をうまく使ってやり取りしていたようだし、わたしも大して興味はなかった。
わたしが興味があったのは、セクションの立場が多少なりとも改善されることで、その過程は問題ではなかったのだ。

けれど、この目論見が破綻するのは意外と早かった。
取引先の担当者は、うち以外にも色々後ろ暗いことに手を出していたらしく、それが発覚したのだ。
取引先による徹底的な調査が行われ、芋づる式に彼の悪行は明るみに出た。
当然、うちの会社との関係もだ。
彼自身はあっさりと懲戒解雇になったが、それでうちの会社が免責されるわけでもなかった。
わたしが知らないうちに、セクション長はかなりタチの悪い領域まで踏み込んでいたようだ。

そして、セクション長はまるで当然のことのように、わたしに全責任を押し付けた。

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もちろん、わたしは激怒した。
けれど、それでどうにかなるわけでもない。
実態はどうあれ、わたしが不正な形で取引を捻じ曲げたこと自体は事実だ。
それに、こんな真似をする以上、セクション長は自分がかかわったという証拠は一切残していないだろう。

なにより、上層部との関係が違い過ぎた。
セクション長のいう事は聞いたとしても、一介のOL、しかも既にケチがついているわたしのいう事を聞いてくれるとも思えない。
むしろ、わたしが騒ぐことで上層部の感情を余計に刺激してしまったら、セクション全体に迷惑が掛かりかねない。
そう思うと、口をつぐむほかなかった。
悔しくてたまらなかったけれど、わたしは抗弁することもなく処分を受け入れた。

宣告をうけたあと、そのままわたしは会社から追い出された。
後輩の男の子は呆然とした顔をしていて、その視線が痛かった。
脱力感を覚えながら会社を出たわたしは、フラフラしながら駅にむかった。

無職になったわたしは、1週間ほど家でゴロゴロしていた。
一人暮らしだし、誰にもとがめられることもない。
懲戒扱いだからこの先苦労することは目に見えていたけれど、まずは2週間くらい休むつもりだった。
それくらいの恩恵はないとやってられない。

会社のことを思い出すとムカムカしたけれど、いざ首になってみると、これはこれで快適だった。
時間に追われることもないし、軋轢に悩むこともない。
なにより、もう自分の身体を差し出す必要がない。
貯金もそれなりにたまっていたので、しばらくは持つ。
そう考えると、この生活は悪いものではなかった。

ただ、後輩のことは気になった。
後輩はS君といって、新卒で入社してきた社員の一人だった。
実力はまだまだだったけれど、頼りないながらも一生懸命だったので、わたしは好感を持っていた。
それだけに、仕事の教え方が中途半端になってしまったことはわたしの中にしこりとして残っていた。

それに、彼の信頼を裏切ってしまったのは確かだ。
あれがトラウマにならなければいいけれど。

とはいっても、いくら心配したところで今更手の打ちようがない。
今あの会社に対してできることは、せいぜい制服をクリーニングして送り返す程度だ。
それはわかっていたが、やはり悶々としていた。

S君から電話がかかってきたのは、そんなときのことだった。
解雇から10日くらいたったころだっただろうか。
やはりゴロゴロと寝そべっていたわたしのそばで、スマホが鳴った。
誰だろうと発信元番号をみて、わたしは跳ね起きた。
S君だった。
慌てて通話ボタンを押すと、かなり切羽詰まった声で、聴きなれたS君の声が聞こえてきた。

「と、突然のお電話ですみません」
「とんでもない、休んでたとこだから」
「あ、あの、いまさらお伺いするのもどうかと思うんですけど、お聞きしたいことがありまして…」

どうやら、案の定仕事で詰まってしまったようだ。
それは仕方がない。
ただ、わざわざわたしに電話をかけてきたのは気になった。
教えてくれる人はいないんだろうか。
そう思ったが、敢えて突っ込まなかった。
そもそもの原因はわたしなんだから、口出ししていい問題じゃない。

「…ああ、それね。システム立ち上げて…右側の、そう、そのボタンをクリックして。画面かわった?じゃあ、上から3番目のコマンドを…」

慣れ親しんだ仕事だけに、まだ記憶ははっきりしていた。
ディスプレイの画面が、手に取るように目の前に浮かんでくる。
説明している間中、S君が電話の向こうでフンフンと言っていた。
彼のクセだ。
電話に向かってうなづく仕草まで簡単に想像できた。
それだけに、たった数日前まで一緒に仕事をしていたことが、ひどく懐かしく感じられた。

一通り説明を終えると、彼はふう…と息を吐いた。

「ありがとうございました。ちょっと普段と違う仕事をすると、まったくわからなくて」
「そっか…本当にごめん、こんなことになっちゃって」
「いえ、こちらこそ…あのですね…」

一瞬言いよどんだあと、彼は意を決したように言った。

「あの、もし先輩のご都合がよかったらなんですが、一度お会いできませんでしょうか」
「え?」
「口頭でいいので、直接教えて欲しいんです。わけがわからないことが多すぎて」
「いや、それは構わないんだけど…」

どうせ暇なのだから、お安い御用だ。
ただ、会社がどう反応するかは気になった。

「あのさ、わたしなんかに会っていいの?下手すると、あなたまで目を付けられかねないわよ」
「いえ、構いません。心配していただかなくて結構ですんで、何とかお願いします」
「そっか…わかった」

声だけだったけれど、彼の切羽詰まり具合はかなり深刻そうだ。
断るわけにはいかなかった。

「いらっしゃい」
「すみません、無理言っちゃって」
「いえいえ。あなたこそ、休日にごくろうさま」

土曜日。わたしは彼を自分の部屋に招き入れた。

最初は喫茶店あたりがいいかなあとも思ったけれど、一応会社の仕事のやり方だ。
どこから情報が洩れるかもわからない。
そう思うと、家に呼んだ方がいいかと思ったのだ。
そんなに時間が経ったわけではないけれど、まだ今いちなじんでいないスーツに身を包んだ彼の姿は、やはり懐かしく感じられた。

やり方を教えるとはいっても、実際に画面や書類を見ながら教えられるわけでもない。
だから、詳しく教えるにしても限界はあった。
それでも、職場で教える時とはちがって、時間だけはある。
部屋の小さなテーブルで、わたしは彼と向かい合って、記憶を呼び起こしながら喋り続けた。

彼はノートを取りながら、やはりフンフンとうなづいている。
頼りなげだったけれど、こういう真面目さがわたしは好きだった。
だから余計に、取引先に向かう時は、彼を裏切っているようで心が痛んだものだ。
命令とはいえ、わたしは何をやっているんだろう。
後ろめたい気持ちで、わたしはずっとそう思っていた。

だから、この日は罪滅ぼしのつもりで、必死に教えたつもりだ。
午前中から教え始めて、ようやく一通り話し終わったときには、もう夕方になっていた。

「おつかれさま。こんなところかな」
「ありがとうございました。すごく助かります」
「なんとかやれそうかな?」
「はい。それに、これだけ手間をかけてもらっちゃったら、やらないわけにもいかないですよ」
「そっか。頑張ってね」

窓から差し込む真っ赤な光をあびながら、彼は満足そうに笑った。
どこか危なっかしい感じは変わらないけれど、その表情は入社の頃よりはだいぶ大人びた気がする。
わたしもつられて笑い返した。
話し過ぎで口がすっかり疲れていたけれど、心のしこりが幾分か軽くなった気がして、心地よかった。

「あれ、あの制服は?」

ふと、彼が部屋の壁に目をやった。
クリーニング済みのわたしの制服。

「ああ、わたしが着てた奴だよ。そろそろ返さなきゃね…」

送ってしまえばそれで終わりだったのだけど、何となく面倒くさくて先延ばしにしていたのだ。
それくらい、辞めてからのわたしはダラけていた。

「…なんか、まだ信じられないですね。先輩の制服姿、もう見れないって思うと」
「あはは、ちょっとは目の保養になってたかな?」
「そりゃそうですよ。けど、そういう意味じゃなくて…」
「あ…」

軽い冗談のつもりだったけれど、真正面からの返事が返ってきて、わたしは言葉に詰まった。
そうだ。
今の状況は、彼にとっては冗談では済まないのだ。

「…ごめん」
「いえ、それは何とかしますけど…でも、先輩がなんでだろうっていうのは思って」
「ショックだった、よね」

事実関係はともかく、わたしが身体を使っていたこと自体は、もう会社中に広まっているだろう。
それは、多分S君には相当の衝撃だったはずだ。

彼は真面目な一方で、融通の利かないところがあった。
とくに男女関係については経験が薄いのか、かなり潔癖で、社内での下ネタにも顔をしかめていたくらいだ。
だから、わたしがやったことは、二重三重の意味で彼には嫌悪感を呼び起こすものだったと思う。
単に会社的に弁護のしようがないというだけじゃない。
恐らく、彼が軽蔑し、忌み嫌っていた行為そのものだろう。

「ええ、まあ、ショックでしたけど…」
「まあ、何でかっていわれたら、巡り合わせがよくなかったって言うしかないわね。それに、結局はわたしが甘かったの」

部屋の姿見をチラリと見た。
わたしの表情が、自嘲するように歪んでいる。
今さらセクション長のことを出す気はなかった。
話がここまで進んだ今、何の意味もない。
だから、次のS君のセリフにわたしはすっかり虚を突かれた。

「そうじゃなくて…なんでセクション長の言いなりになったんですか!」
「え?」

一瞬、彼が何を言っているのかわからなかった。
なんで、そんなことを彼が知っているんだろう。

「あの、その、誰から聞いたの、そんなこと…」
「…やっぱりそうなんですか?」
「え?それって…」
「…確証はなかったですけどね。でも、俺らもそこまで目が節穴なわけじゃないですから」
「…」
「あの人、どうみたって動きが怪しかったですから。それだけでも何かやってるなって感じですもん。ただ、まさかこんな話とは思いもしませんでしたけど」
「そ、それだけじゃ」
「推測するだけなら十分ですよ。第一、先輩がそんなことしても何のメリットもないじゃないですか。メリットがあるのは、あの人だけなんですから」
「推測って…」
「先輩が辞めたあと、みんなそう言ってます。あからさますぎますよ、さすがに」

意外だった。
そんなにみんなが見てくれているなんて、思ってもみなかった。
けれど、その意外な満足感に浸る余裕はなかった。

「…だから、なおさらイライラしてて。…ひどいですよ…そこまでして…」
「あ…」

彼の口調が急に変わった。
身体がブルブルと震えている。
わたしは慌てて言った。

「いいの。わたしがただバカだったってだけだから」
「そういっても…そこまでしなきゃいけない仕事ってなんなんですか…」
「まあまあ」
「…なんでそこまで頑張らないといけないんですか、あんな奴のために。」

わたしの方がとりなす側に回っていた。
けれど、彼は止まらなかった。
吐き出すように言った。

「あー…、なんか、大人って汚いっすね…」

彼の言葉が、わたしにズシンとこたえた。
子供っぽい言い方だとは思う。
だけど、社会に出たばかりの彼にとっては、これまで憧れていた大人の社会に幻滅するには十分だったのかもしれない。

「…ご、ごめん…」
「謝んないでくださいよ!」
「!?」

少し沈黙があった。
彼はうつむいたまま、やっぱりブルブル震えている。
それに…真っ赤になっている。

「すいません。でも本当に、謝んないでください。俺にはもったいないですよ…気持ち的にきついんで、やっぱり言いますね」
「え?」
「俺、先輩がしてるって聞いて…たしかにがっくりきたんですよ」
「そうだろうね」
「そうなんですけど…実は、同じくらい興奮しちゃったんです」
「?!」
「先輩が、だれか、…まあ、その、取引先ですか。その相手とやってると思ったら、どうしようもない気分になっちゃって」
「…」
「自分で自分に呆れましたよ。口ではあれだけいいことを言っといて、実はこの程度だったんだ俺って思っちゃって」
「…」
「それで、ひとりでやったりして。憧れの人でですよ。セクション長がどうこうとか言っても、俺も似たようなもんじゃないですか。どうしようもないじゃないですか!」

何も言えなかった。
憧れっていうのは少し驚いたけれど、でも、そんな場合じゃなかった。
彼は社会に対しても自分に対しても、理想が高すぎたんだろう。
すっかり冷静さを失っていて、ギリギリと歯をかみしめている。
その表情だけで、ひどい自己嫌悪に陥っているのが一目でわかった。

謝るなっていったけど、やっぱりこれはわたしの責任だと思った。
彼にとってこの会社での出来事は、最悪の思い出として長く尾を引いてしまうかもしれない。

だから、少しだけでもいい。
なんとか今からでも、ひとつでもいい思い出を作ってあげられないだろうか。

その時、わたしがなぜあんな行動に出たのか。
他にもっといいやり方はなかったのかとは思う。
ただ、余裕がなくなっていたのは、わたしも同じだった。
だから他に思いつく手段がなかったのだ。
彼の嗜好からして、いい思い出になるかどうかさえ微妙だったけれど、もう試してみるしかなかった。

わたしはテーブル越しに身体を大きく伸ばした。
そして片手を彼の後頭部に回して、引き寄せた。

「え?」

いきなりのことに、さすがの彼も表情が崩れた。
苦渋に満ちていた顔が、おどろきと戸惑いで塗り替えられる。

わたしはその隙を見逃さなかった。
彼に構わず、わたしは自分の唇を彼のそれに押し付けた。

「んぐうぅっ…?」

彼が唸り声を漏らしたけれど、わたしはそれを無視した。
無視するしかなかった。

テーブルの上で唇を触れ合わせたまま、わたしたちはしばらくじっとしていた。
S君は呆然としているんだろうか、身じろぎさえしない。

「ぷはっ…」

けれど、さすがにそのままの形で固まっているのにも限界があった。
どれくらいキスしていたのか、呼吸が少し辛くなってきたところで、わたしたちは唇を離した。

「せ、先輩…なんで、いきなり…」

 

すっかり彼は動揺していた。
表情はすっかり崩れている。
さて、ここからどうするかだけど。

「何となくね。嫌だった?」
「い、いえ、嫌じゃないですけど…俺みたいなのに…」
「自分を責め過ぎ」
「え?」

わたしは、ストレートに切り込むことにした。
彼には、変なごまかしとかはしない方がいいように思えたからだ。

「あなたの価値観を否定するわけじゃない。でも、それなら諦めが肝心だよ」
「諦め、ですか」
「そうよ。世の中も、自分に対してもね。そんなに思い通りにはいかないってことは、もうわかったでしょ?」
「でも…」
「わたしにしたってね、こんな感じで平気でキスもするし、もちろんHだってするし。納得はできないかもしれないけど、それはあなたにはどうしようもない話でしょ?」
「まあ、そうですね…」
「それなら、逆にあなたがわたしに興奮したって言っても、それは本能なんだから仕方ないって思わない?」
「…うーん…それは俺的に…」
「だから、そこはもう理想通りにはいかないものなんだって。それだけなら、セクション長なんかより全然マシだよ。それにね」
「え?」

わたしは、もう一度彼の唇にキスをした。

「んんっ…」

彼はまた唸るような声を上げたけれど、その声はさっきよりもずっと短く、おとなしかった。
今度は、短時間で離す。

「少なくとも、わたしは話聞いてもあんまり嫌な感じしなかったよ」
「そ、そうですか…」
「どっちかっていうと、ちょっと興奮したかな」
「えっ…」
「わたしはだけどね。でもね、そういう奴もいるってこと。あんまりガチガチに考えても、当てはまらないことの方が多くて苦しいと思うよ」
「そんなもんなんですかね…」
「そんなもんだよ。まあ、わたしが言っても、仕方ないことなんだけどね…」

わたしはそう言いながら、身体をごそごそ動かして彼のそばに近づいていった。

「せ、先輩…?」

彼が震える声で言うのを、目の前で聴く。
わたしは四つん這いで、座っている彼の顔の真ん前までにじり寄っていた。
至近距離で見た彼の顔は真っ赤で、よくよく見るとまだ少しあどけなかった。

「あ、あの…」
「ねえ、S君」
「はい?」
「わたし、あなたとしたいなって今思ってるんだけど」
「えっ…えっ…?」
「一度だけね。嫌なら別にいいんだけど」
「あ、あの…どういうつもりっすか…?」
「あなたがわたしで興奮したって言ったから。それじゃ理由にならないかな?」
「そ、そういうのって、ありなんですか…?」
「だから、わたしの場合はね」
「…ああ…先輩は、ってことですか…」
「そうそう。こういう女もいるってこと。ごめんね、こんなノリで」
「い、いえ…」
「それで、どうする?任せるよ。あなたの価値観とは外れると思うけど」

ブルブルと震える、S君の手。
その手を、わたしはギュッと握りしめた。

「あったかい手だね」
「…先輩」
「なに?」
「つきあうの前提じゃ、ダメですか?」
「ダメ。あなたはもう、わたしとは関わらない方がいいよ。だから一度だけって言ったの」
「そう…ですか」
「かえって未練がわいちゃう?」
「そりゃ…!」

しばらく彼は逡巡していた。
わたしはそれをじっと待った。
やがて、彼はポツリと、でもきっぱりと言った。

「…お願いします。俺、やっぱり一度だけでも、先輩としたいです」
「…ごめんね。最後までロクでもないことしかできなくて」

わたしはそういって、さらにもう一度、彼に唇を重ねた。
できるだけやさしく、彼のズボンの上に手をやる。
真ん中に、ごりっとした感触の突起物があった。

「し、舌…すごいね…そんなに興奮する?」
「は、はひ…っ」

わたしは制服を着て、四つん這いになっていた。
S君のリクエストだ。
一度だけなんだから、できるだけ好きなことをさせてあげる。
そう言ったら、彼は壁にかかっていた制服を指さしたのだ。
どうやら、あれを着たわたしの姿が、彼にはことのほか好みだったらしい。

彼は今、後ろから制服のスカートをまくり上げて、わたしの太ももの付け根あたりを無心に舐めまわしていた。
時々下着を持ち上げて、お尻にも舌を這わせて来る。
そんな感じだから、下着にも彼の唾液がベトベトとつくのが分かったけれど、わたしは何も言わなかった。
彼のあまりの熱心さに、わたしも相当に身体が熱くなっていたからだ。
この調子だと、どうせもう下着は濡れているだろうから、少々唾液がつこうがあまりかわらない。

「もしかして、ずっとこんなこと、したかったの?」
「はいっ…できることなら…したかったです…」
「そう…今日は、我慢しなくていいからね」
「はい…」

しばらく、ちゅぶちゅぶと舐める音が続いた後、彼はわたしの下着に手をかけ、ゆっくりとおろした。

「先輩…」

S君が感極まったような歓声を上げた。
振り返ると、四つん這いの私の後ろで、彼はわたしの股間をじっと凝視して、目を見開いていた。


「…もしかして、じっくり見るのはじめて?」
「はい…昔の彼女と一度だけしたんですけど、その時はちゃんと見なかったので…」
「そう。ちゃんと見たら、なんか気持ち悪くない?」
「いえ!…うまく言えないんですけど…ちょっとぷっくりしてて、すごく、こう、なんていうか…」
「やらしいってこと?」
「ろ、露骨ですね…」
「あなたの言い方も相当だよ…でも、そういうことを言いたいんでしょ?」
「…まあ、そうです」
「どうする?ここ、一応準備はできてるんだけど…もう挿れたい?」

片手を回して、左右から拡げてみせる。
目を見開いた彼は、無言で首を何度も縦に振った。

「んんっ…」

中に入ってきた彼のおちん●んは、ものすごく熱かった。
取引先の相手とは、全然違っていた。
なんていうか…エネルギーが違うっていうか…

「あっ…」
「んっ…」

お互いの股間がぴったり密着したところで、わたしたちは、ほぼ同時にあえぎ声を漏らした。
わたしは、制服のタイトスカートを腰までまくり上げて、脚を開いて彼を受け入れている。
正常位だから、目の前に彼がいる。
わたし自身はこれまで正常位にこだわりはなかったけれど、S君の気持ちよさそうな顔を見ると、つい顔がほころんでしまう。
こういう感じもいいなあと思った。

「ね、ねえ…あなた、いつからわたしをこんな風にしたいって思ったの?」
「…言っていいんですかね…入社してすぐくらいからです…」
「そっか…じゃあ、だいたいもう半年くらい、そう思ってたんだ」
「それがなにか…?」
「ううん、ちょっとね…」

半年。エネルギーもたまるはずだ。
彼の半年分の欲望を胎内に収めて、わたしはひとり納得していた。

「じゃあ、動きますね…」
「うん…んんっ…」

遠慮がちな、ゆっくりした動きだったけれど、やっぱり全然違う。
一突き一突きに、S君の情念がこもっている気がした。
大きさも形もごく普通なのに、中で動いている存在感が違う。
わたしは早くも、息が荒くなってきた。

「はぁ、ああっ…くっ…」
「い、痛いですか?」
「全っ然…すごくいいよ…」

彼が動くたびに、わたしは震えそうなほど気持ちよかった。

「んんっ…ね、ねえ、もっと好きなように動いてもいいんだよ…」
「いえ、俺は…本当に先輩とこういう感じでしたかったんです」
「そう…」
「もっと動いた方がいいですか?」
「そういうわけじゃないよ…あなたがしたいかなって思っただけ…んっ…」
「せ、先輩っ…」

彼は、腰を振りながら、わたしのベストをはだけ、ブラウスの上から胸を刺激してきた。

「あんっ…も、もうっ…なんか、凝ったことしちゃってっ…んっ!」
「すいません…先輩、やっぱり制服姿、すごくHですっ…」
「そ、そんなこと言われたらっ…ん、あんっ…あ、ぐりぐりってするぅっ…」
「んっ!せ、先輩っ、…中、急に、なんか…」
「そ、そう…今、すごくよかったの…だから、もっとおちん●んぐりぐりしてっ…」
「は、はい…っ」

入れたときから皺になっていた制服が、ますます乱れていく。
身体が、無意識に明後日の方向に動いて、自分でも抑えることができなかった。
だんだん、目が自然に薄目になっていく。
感じたときのわたしの癖だ。
うっすらとぼやけた視界に、眉間にしわをよせて一生懸命腰を突きだすS君の姿があった。
ああ、本当にいい後輩だったな。
そう思った途端、わたしの中は急に高まっていった。
わたしはS君に抱き着いた。
脚を彼の腰に回し、思い切りしがみつく。
勢いで、彼のおちん●んがそれまで以上に深く、ズブリと私の奥深くめり込んだ。

「あっ!…あ…ああっ…」
「せ、先輩、どうかしました?」
「う、うん…んっ…き、きてるのっ…」

どんどん温度をあげていく、わたしの中の何か。
多分、わたしに挿れている彼も、感じるものはあったと思う。
速さは変わらなかったけれど、一突きの重みがグッとました。
圧力が一気に高まる。

「も、もうわたし…だから、最後まで好きにして…」
「先輩っ…先輩っ…っ!」
「あ、あんっ、いいよ…S君、おちん●んいいよっ…」
「せ、先輩も…おま●こ、ぬるぬるして…俺も、たまらないですっ…!」
「S君…いこっ…!」
「はいっ…!」

わたしの一番奥で、S君の熱いものが弾けた。
流れ出す彼の液体を感じたとき、わたしの中からもどっと何かが溶け出すのを感じた。

「んっ…!…っ!………………………っ!」
最後はもう、声にならなかった。
気持ちよさもそうだけれど、何より感極まっていたからだ。
膣内で精液と愛液がドロドロに混ざりあっていく。
はあはあと激しいS君の呼吸が聞こえる。
それを感じながら、わたしはまどろむように、自然に目を閉じた。

「あー、やっぱり、これはクリーニング出し直しだなあ」
「すみません。わがまま言っちゃって」
「冗談よ。いいの。どうせ大した手間でもないし」

事が終わって、わたしたちはベッドの上で起き上がって、後始末をしていた。
彼の精液がまだ中から漏れ出してきていたけれど、わたしは彼の欲望を受け止めた満足感で、あまり気にしていなかった。

「先輩、しつこいかもしれませんけど、やっぱり付き合えませんか?」
「ダメ。多分、あなたにとってもよくないよ。もう吹っ切らなきゃ」
「そうですか…わかりました」
「そうそう、それよりこれからのことだよ」
「これからかあ…うーん」
「どうかした?」
「いえ、先輩のことをみてたら、少し怖くなったっていうか」

さっき少しは話せたけど、あの程度で悪感情が消えるとはわたしも思っていなかった。
少し考えてから、わたしは言った。

「そうね。どんなに頑張ろうと、足を踏み外したらこんなものよ」

もうきれいごとを言う気はなかった。
そんなことを言っても、不信感を持っている彼には何の意味もないだろう。

「身も蓋もない言い方ですね。それ、余計怖くなりますよ」
「…だから。言いたいのは、あなたはわたしみたいに自分から脚を踏み外すようなことするなってこと。なんとしてもね」

別にわたしだって、社会経験が豊富っていうほどじゃない。
単に新卒の子からみれば先輩と言われる程度の人間なのだから。
だから、それはわたしが限られた経験からかけられる精一杯の言葉だった。

「…はは、僕、そんな中でやってけるんですかね…今、こんなに何もできないのに」
「色々あるとは思うよ。でも、道を踏み外さないだけならだれでもできるから。それにね」
「?」
「なんでわたしが懲戒になったと思う?」
「そりゃ…セクション長が…」
「そうじゃなくて。もっと直接の理由よ」
「…ああいうことを、したから…ですかね」
「正解。でもさ、それって、めったにない悪いことっていう前提があるから、懲戒になるわけでしょ?」
「あ…」
「わたしがやったことは、大人の社会でだって普通はありえないことなの。だからこういうことになったんだし」
「…」
「わざわざそんなことしなくてもやっていける会社は、多分いくらでもあるからさ。うちが嫌でも、今のうちなら手は打てるし。どっちにしても、悲観することはないわよ」
「…」

気持ちが通じたかはわからない。
ただ、彼は弱々しいものではあったけれど、笑いを浮かべた。

「…すいません。今日は本当に見苦しいところをさらしちゃって」
「わたしこそ。…ガッカリさせちゃったね」
「いえ、とんでもない!…俺の方こそ、ありがとうございました」

その顔からは、最初に見せた自虐的な色は消えていた。
最後に、ようやく先輩らしいことができたかな。
彼の顔をみながら、わたしは心底ホッとしていた。

約束通り、それを最後に彼には会っていない。
わたしはというと、予想通り相当苦労はしたけれど、どうにかある小さな会社に潜り込むことができた。
仕事自体は以前と似た内容なので、つい時々あの会社のことを思い出してしまうこともある。
それでも吹っ切れているのは、最後にS君に対して最低限の義理を果たしたって思えたからだろう。
そう考えると、実はわたしは、逆にS君に救われたのかもしれない。

女性視点エッチ体験談 性欲女子オリジナル